JPH11199494A - 腸溶性カプセルを用いた免疫賦活剤 - Google Patents

腸溶性カプセルを用いた免疫賦活剤

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JPH11199494A
JPH11199494A JP10014880A JP1488098A JPH11199494A JP H11199494 A JPH11199494 A JP H11199494A JP 10014880 A JP10014880 A JP 10014880A JP 1488098 A JP1488098 A JP 1488098A JP H11199494 A JPH11199494 A JP H11199494A
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enteric
lactic acid
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immunostimulant
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JP10014880A
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English (en)
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Takashi Shimada
貴志 嶋田
Kazutomo Ohashi
一智 大橋
Takao Noumi
堂郎 能味
Tetsuo Yamamoto
哲郎 山本
Hideki Haruhara
秀基 春原
Toshio Ozaki
敏雄 小崎
Masatomo Yoshikado
正智 吉門
Katsushi Mizutani
勝史 水谷
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NICHINICHI SEIYAKU KK
Morishita Jintan Co Ltd
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NICHINICHI SEIYAKU KK
Morishita Jintan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ドラッグデリバリーシステムを応用した、少量
で効果の高い経口免疫賦活剤を提供する。 【構成】免疫賦活作用を有する乳酸菌を腸溶性カプセル
に封入することによって、少量で、白血球の抗体産生細
胞機能の上昇などの免疫賦活効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、免疫賦活作用を有する
ことが知られている乳酸菌を、腸溶性カプセルに封入す
ることによって、少量で効率の良い免疫賦活効果を得る
ことができる免疫賦活剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】腸管は消化吸収に重要な場所であるだけ
でなく、腸内細菌を中心とした種々の微生物抗原や、食
物抗原などの外来抗原が接触している場であり、免疫臓
器として注目を浴びている。最近の研究により、腸管に
は全末梢リンパ球の50〜60%が集中して、パイエル
板や腸間膜リンパ節などの消化管関連リンパ組織が、全
身の免疫応答を制御していることが明らかにされてき
た。そのため、腸管を通して免疫賦活作用を高めようと
する試みが行われている。
【0003】乳酸菌には整腸効果があることが以前から
知られていたが、そのほかにも免疫に関する効果がある
ことが各菌種で報告されている。たとえば、白血球の増
加、貪食能の増強、サイトカイン産生量の増加及びIg
A産生の増加などが、論文や学会発表などで報告されて
いる。
【0004】薬剤の投与方法として、経口投与は体に対
する負担もなく一番好ましい投与方法である。しかし、
消化管を通ることによる物理・化学的影響によって、薬
物が変性および分解される場合がある。そのため、投与
量が静脈・筋肉内投与と比較して増加する傾向がある。
【0005】最近の医薬品などの研究において、新薬を
開発することのほかに、既存薬をいかに効率よく体内の
必要な場所に輸送できるかという研究もされている。そ
の考えに基づいてドラッグデリバリーシステムという分
野ができ、注目を浴びている。この分野では、薬物の動
態を制御することによって必要最小量の薬物で十分な効
果が得られるように、その薬物の特性に適合した投与経
路、投与剤型の研究・開発が行われている。そのドラッ
グデリバリーシステムの考え方に基づいて作製された剤
型の一つが腸の中で溶解することによって、体内への吸
収率を高める腸溶性カプセルである。
【0006】腸溶性カプセルの中に乳酸菌を封入した薬
剤は存在するが、その薬剤のほとんどは、乳酸菌を生き
たまま多量に腸に到達させ、整腸効果を高めるものであ
る。現在、腸管の免疫賦活を目的として死菌体を腸溶性
カプセルに封入した商品は存在しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】免疫賦活剤を腸溶性カ
プセル内に封入した薬剤として、各種病原菌のワクチン
を封入して経口投与を行えるようにしたものがある。B
CGワクチンを腸溶性カプセルに封入して、脳腫瘍の治
療を経口投与によって行った症例報告がある(松岡浩司
ら、BCG免疫療法誌Vol.10 39-45 (1986))。この方
法をとることによって、BCGの副作用が軽くなり、生
存日数の延長がみられたと報告されている。しかし、こ
のワクチンは、生菌でないと効果が得られず、効果失活
の問題や投与量及び期間などに課題が残る。また、もと
もと注射剤として開発されているため、経口投与に対す
る安全性及び効果に不安がある。
【0008】注射剤などの非経口投与による免疫賦活剤
は発熱や発疹など、何らかの副作用が多くの症例でみら
れる。そのため、患者に負担の少ない投与方法である経
口投与が可能な免疫賦活剤で、副作用がなく、安全であ
り、かつ少量で効果のみられるものが求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】免疫賦活剤としての効果
がある乳酸菌は、静脈内投与などの非経口投与のみなら
ず、経口投与でも同様の効果がみられる。これらの乳酸
菌は、腸管内の消化管関連リンパ組織に到達し、一部が
取り込まれ、細胞を刺激することによって免疫賦活作用
を示すと推測されている。そこで、安全性の高い乳酸菌
を用いて、効率良く免疫賦活作用を得られるか研究した
ところ、抗癌剤などの要因により免疫力が落ちている個
体に対して、乳酸菌を腸溶性カプセルに封入した薬剤を
用いることにより、乳酸菌単体よりも強い免疫賦活作用
を示すことが判明し、本発明を完成することができた。
【0010】本発明に用いる腸溶性カプセルの製造方法
としては、内容物に乳酸菌の油脂(融点30℃以上)懸
濁物を用いて、従来のソフトカプセルの製造法が適用で
きる。そのような製造法としては、カプセル皮膜シート
を用いて、ロータリー式充填機で内容物を封入し、カプ
セル製剤を成型する方法、又は滴下法により、シームレ
スカプセルを製造する方法が挙げられる。
【0011】カプセルへの腸溶性の付与には、ゼラチン
に腸溶化剤を配合した皮膜を用いてカプセル充填を行う
方法、又は通常のゼラチン皮膜の外側に腸溶性コーティ
ングを行う方法のいずれかを用いることができる。
【0012】配合する腸溶化剤としてはペクチン、アル
ギン酸、セルロース類(例えば、カルボキシメチルセル
ロース、セルロースアセテートフタレートなど)、メタ
クリル酸コポリマーなどが挙げられ、腸溶性コーティン
グ剤としてはメタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシ
メチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、
シェラックなどが挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。またコーティングは、公知の方法で行うこ
とができる。
【0013】
【実施例】以下実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例の記載によって何ら制限されるものではない。
【0014】実施例1.(エンテロコッカスの培養) エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecali
s)NF−1011(微工研菌寄第12564号)を、以
下に示す組成のロゴサ液体培地に接種し、(菌数:10
6個/ml)、37℃で10〜16時間培養し、生菌数約
109個/mlの培養液を得た。得られた培養液を120
00×gで20分間遠心分離して集菌し、蒸留水で2回
洗浄して菌体を得た。この菌体を蒸留水で懸濁し、11
0℃で10分間加熱して死菌体懸濁液を得た。次に凍結
乾燥法で乾燥処理し、乾燥死菌体を得た。
【0015】ロゴサ液体培地の組成を示す。 トリプチケース 10g 酵母エキス 5g トリプトース 3g リン酸一カリウム 3g リン酸二カリウム 3g クエン酸三アンモニウム 2g ツイーン80(界面活性剤) 1g システイン塩酸塩 0.2g 塩類溶液(1のとおり) 5ml 蒸留水 1000ml (pH7.0に調整、121℃で15分間加熱滅菌)
【0016】実施例2.(腸溶性カプセル製剤の作製) カプセル皮膜形成溶液及び内容物溶液をそれぞれ、表1
に示した組成を混合することで調製した。次に、それら
をシームレスカプセル充填機(森下仁丹株式会社製)を
用いて、乳酸菌を含有した腸溶性カプセル製剤を製造し
た。
【0017】
【0018】実施例3.(白血球の抗体産生細胞数の回
復作用) (1)抗体産生細胞の調製 10週齢のC3H/HeN 雌性マウス(日本SLC株
式会社)を実施例1で作製した乾燥死菌体を投与する群
(以下菌体投与群)、実施例2で作製した腸溶性カプセ
ル製剤を投与する群(以下腸溶剤投与群)、無処置群及
び対照群の4群(n=6)に分けた。乾燥死菌体及び腸
溶性カプセル製剤は60mg/マウス量を胃ゾンデを用
いて経口投与し、無処置群及び対照群には生理食塩水を
胃ゾンデを用いて経口投与を行った。投与開始7日後に
菌体投与群、腸溶剤投与群及び対照群にフルオロウラシ
ル(5−FU:協和発酵株式会社)を80mg/kg量
腹腔内投与した。同日に、全群に羊赤血球(SRBC:
コスモバイオ株式会社)を5×107個量腹腔内投与し
た。
【0019】5−FU及びSRBCの投与4日後にマウ
ス脾臓を採取して、脾細胞数が1×107個/mlにな
るようEagle’s MEM培地(日水製薬株式会
社)に浮遊させた。
【0020】(2)プラーク法による抗体産生細胞(P
FC)の検出 SRBCを生理食塩水で3回洗浄した後、30%(v/
v)となるように、生理食塩水に浮遊させた。0.05
%のDEAEデキストランを含む2倍濃度のEagl
e’s MEM培地を等量の1.6%寒天溶液に添加
し、45℃に保温したまま、2mlづつ試験管に分注し
た。この試験管に、SRBC浮遊液0.1mlおよびモ
ルモット補体溶液(極東製薬株式会社)20μlを添加
し、予め脾細胞浮遊液を1×106個づつ分注しておい
たプラスチックシャーレ中に試験管の中身を入れ、すば
やく混和して均一の層にした。このプレートを37℃の
恒温器内で3時間保持した。SRBCが溶血して透明に
透けている場所(溶血斑)を数えて脾細胞106個当た
りの抗体産生細胞(PFC)数を算出した。
【0021】結果を図1に示す。無処置群の脾細胞10
6個中には1640±400個の羊赤血球に対するPF
Cが存在した。しかし5−FU処置によって、対照群で
は350±130個まで低下した。これに対して、菌体
投与群のPFC数は、570±200個に増加し、乾燥
死菌体を投与することによって免疫賦活効果がみられ
た。さらに、乾燥死菌体量として換算すると約10分の
1量である7mg/マウス量を投与したことになる腸溶
剤投与群でも、菌体投与群と同等の560±160個の
PFC数が得られ、腸溶剤化することによってより少量
で免疫賦活作用がみられた。
【0022】
【発明の効果】実施例に示すように、免疫賦活作用のあ
ることが知られている乳酸菌を腸溶性カプセルに封入す
ることによって、少量で強力な免疫賦活効果が得られる
腸溶性カプセル製剤を作製することができる。この製剤
を食品に添加する事によって、かぜなどに代表される感
染症の予防食品としても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウス脾臓細胞中の抗体産生細胞数を表した図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 能味 堂郎 三重県阿山郡伊賀町大字柘植町3353−1 アーバンライフ柘植308号 (72)発明者 山本 哲郎 三重県阿山郡阿山町大字円徳院1406−69 (72)発明者 春原 秀基 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 小崎 敏雄 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 吉門 正智 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 水谷 勝史 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】乳酸菌菌体又はその処理物を腸溶性カプセ
    ルの中に封入することを特徴とする免疫賦活剤
  2. 【請求項2】乳酸菌がエンテロコッカス属、ラクトバチ
    ルス属、ビフィドバクテリウム属、ストレプトコッカス
    属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属、ラクト
    コッカス属及びそれらの亜属に属する1種又は2種以上
    の乳酸菌であることを特徴とする請求項1記載の免疫賦
    活剤
  3. 【請求項3】免疫賦活効果が白血球の抗体産生能を亢進
    させるものである請求項1記載の免疫賦活剤
  4. 【請求項4】抗ガン剤による免疫機能低下を回復させる
    ことを特徴とする請求項1記載の免疫賦活剤
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