JPH11197500A - リン酸イオン吸着ろ材及び製造方法 - Google Patents
リン酸イオン吸着ろ材及び製造方法Info
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Abstract
機系リン酸イオン吸着ろ材とその製造方法を提供する。 【解決手段】 カキ殻粉末、鹿沼土、水硬性アルミナ、
ガラス粉末、浄水場汚泥を混合造粒して800℃〜90
0℃で焼成した後水中に浸漬、乾燥して得られる耐水性
のあるリン酸イオン吸着ろ材及びその製造方法。
Description
等各種排水、浄水場、湖沼、河川などの水中に含まれる
微量のリン酸イオンを選択的、効果的に吸着除去する新
規なリン酸イオン吸着ろ材に関するものである。
鉄などリン吸着力の大きい物質が見知されているが、そ
れぞれ欠点があり実用化されていないのが現状である。
例えば、鹿沼土、水酸化鉄などは粒状化しても、水に対
して脆く、崩壊するため、造粒時に多量のバインダーを
添加しなければならず結果的にリン吸着効果が損なわれ
るという問題を有している。また、水酸化鉄などは、単
独ではリン吸着力を損なわずに粒状化するのが困難であ
り、リン酸イオン吸着ろ材として実用化されている例は
ない。更に、活性アルミナは高価であり、排水処理に使
用するには実用的ではない。
の粉末、火山噴出物、溶鉱炉のスラグ等を利用した粒状
リン酸イオン吸着剤は、硬度が硬くリン酸の吸着が表面
にのみ限定されたものが多くみられる。これらのリン酸
イオン吸着剤は、使用後産業廃棄物としての処理費用が
かさみ結果的に高価な商品になっている。
のような観点に立った技術の開発が望まれている。 1.安価な原料を用いたリン吸着ろ材であること(商品
としても安価になる。) 2.水に対して一定の強度があること(脆いと崩壊す
る。) 3.リン吸着表面積ができるだけ大きいこと。
の欠点を解決するため、上記の基本的要望を満足させる
鹿沼土、カキ殻、ガラス粉末、浄水場汚泥、水硬性アル
ミナ等など低価格な原材料を用いて粒状化し、耐水強度
も十分に満足しうる造粒方法を開発し、粒状体の中心ま
でリン酸イオンを吸着可能とした新規性のあるリン酸イ
オン吸着ろ材を提供するものである。
し、以下のような方法によって問題を解決した。すなわ
ち、本発明のリン酸イオン吸着ろ材は、鹿沼土、カキ
殻、水硬性アルミナ、浄水場汚泥、ガラス粉末の5種類
を混練造粒後、乾燥焼成し一度水中に浸漬後乾燥してな
ることを特徴とするものである。本発明のリン酸イオン
吸着ろ材は、カキ殻を必ず含有することを特徴とするも
のである。また、本発明の吸着ろ材は、上記配合に限定
されるものではなく、リン酸イオン吸着効果のある公知
の素材を更に添加してもよい。
ろ材の製造方法を詳細に説明する。先ず、リン酸吸着能
力のあるカキ殻、水硬性アルミナ、鹿沼土、浄水場汚泥
と、バインダーとしてガラス粉末を加えて、混合粉砕し
て均一にし、水を添加して十分混練後、造粒し、得られ
た粒状体を乾燥後、高温度で焼成し、常温まで冷却して
一度水中に浸漬後乾燥して目的とするリン酸イオン吸着
ろ材を製造する。上記において、粒状体の大きさは目的
に応じて種々選択できるが、通常直径4mm〜9.5m
mの粒状体とするとよい。粒状体の乾燥温度は、常温乾
燥、風乾等、特に限定されないが、約200℃で加熱乾
燥してもよい。焼成温度は、バインダーとしてのガラス
粉末や配合成分によって異なるが、800℃〜900℃
で焼成するとよい。焼成後の常温までの冷却は、好まし
くは放冷する。
日程度で粒体が崩壊してしまう欠点があり、実用的でな
かったが、本発明は焼成冷却後直ぐ水中に3分〜5分浸
漬してから乾燥することで、再度水中に投入しても長期
間粒状体を維持し吸着能力も変わらぬ、実用に提供でき
る製品(イオン吸着ろ材)の製造方法を開発した。図5
に焼成後の水中浸漬処理の有無による粒状体(イオン吸
着ろ材)の崩壊試験の結果を示す。試験は25℃の水道
水中における所定時間経過後の粒状体の崩壊の有無を目
視によって判定した。
説明する。水硬性アルミナは、焼成することでリン酸吸
着能力の低下が見られる活性アルミナに比べると、焼成
後にも同様のリン酸吸着能力が得られ活性アルミナより
安価であることから使用される。素材としてカキ殻を利
用するのは、図1に示すように、原料として安価である
ことと、焼成によりリン酸の吸着能が増加することによ
る。又カキ殻を一度焼成したのち粉末にして混練しても
よいが焼成を二度行うことは経済的にも不利であり、当
初から粉末化して混練し焼成した方が良い。
て用いる。焼成時に溶融して各素材を結合するが、ろ材
粒子の空隙率を低下させない程度の溶融点を有するもの
が好ましい。ガラス粉末は、焼成ろ材粒子中に微粒状で
存在してガラスの親水性によって被処理水をろ材粒子中
に引き込む役割をもするものと思われる。鹿沼土、浄水
場汚泥はリン酸吸着能力のほか、多くの有機物を含有し
ており、焼成により有機物が燃焼して空間ができるた
め、リン酸イオン吸着ろ材の粒子に空間を与え、全体に
水の浸透を容易にする役割をも果すために使用される。
ろ材をそのまま高温で焼成すると粒状体が破壊するた
め、あらかじめ低温で強制乾燥または、自然乾燥して2
0%〜30%程度にまで水分を除去しておくことが望ま
しい。強制乾燥は、場合により200℃程度の温度で行
ってもよい。焼成温度は、使用する各成分(素材)によ
って異なるが、800℃〜900℃の間で焼成するのが
好ましい。900℃以上では焼結して硬くなり吸着ろ材
粒子が緻密になって空隙が少なくなり比重も大きくな
る。また、800℃以下では焼成が不完全でリン酸イオ
ン吸着力が低下する。示差熱分析によると、この温度範
囲はカキ殻がCaCO3 →CaOに組成変化する温度と
一致することが判明した。よって、800℃〜900℃
の範囲が最適焼成温度と推定される。焼成後粒子は常温
近くまで冷却した後、水中に3分程度浸漬したあと、取
り出して乾燥することにより、耐水性のあるポーラスな
状態のリン酸イオン吸着ろ材の粒子が製造される。
を4mm〜9.5mmの範囲にしたのは、径の小さい程
リン酸イオンの吸着効率は高いが、処理すべき排水を流
通させる場合に抵抗があり、流水量が少なくなり、単位
時間あたりの処理効率が低下する場合があるためであ
る。また径が大きくなるほど比表面積が小さくなり、か
つ、中心部に浸透するのに時間がかかるため、リン酸イ
オン吸着効果が落ちるためである。これらの相反する条
件を考慮して、直径を4mm〜9.5mmとした粒子の
混合ろ材とすることが好ましい。しかしながら、被処理
水および濾床の構造等によって、上記粒径に限定される
ことなく任意の粒径の吸着ろ材が使用できる。
ついては、特に限定しないが、カキ殻粉末を総重量の1
0%以上配合することが望ましい。鹿沼土、浄水場汚泥
は品質にバラ付きがあるため、被処理水に応じて適宜増
減するとよい。水硬性アルミナは多い程良いが、製造単
価を低くするためには25%以下が好ましい。ガラス粉
末は、焼成粒子が水中で崩壊しない程度の強度が得られ
る範囲内で、かつ、ろ材粒子の空隙率等が損なわれない
範囲で使用される。
g、ガラス粉末500gを粉砕した後、浄水場汚泥(水
分90%)300gを加え十分混練し、直径4mm〜
9.5mmの球状に丸め、炉内温度200℃に設定した
ロータリーキルンに投入して乾燥した後取り出し、炉内
温度を850℃に設定し再度1時間の焼成を行い常温ま
で冷却して水中に3分間浸漬後、水を切って自然乾燥し
て目的とする吸着ろ材( No.1)を得た。表1に示すよ
うに各素材の配合量を変えて、上記と同様にして、イオ
ン吸着ろ材 No.2〜4を製造した。
ン吸着ろ材 No.1〜4を用いてリン酸吸着性能を確認し
た。リン酸イオンを10mg/lの割合で含有した液5
00ml中に、各イオン吸着ろ材を96時間浸漬して調
べた結果を表1に示す。表1の結果からわかるように、
吸着率95%以上の良好な結果を得た。
lの水溶液を流量を変えて流した場合の吸着破過曲線
(リン吸着量mg/リン酸イオン吸着ろ材g)を求めた
結果を図2に示す。この場合、流量に関係なくリン酸イ
オン吸着ろ材の単位重量当たりの吸着量は、結果から計
算するとリン酸吸着量は5mg/gであり、かなり高い
吸着能力を持つことがわかった。
実験した結果を表2に示す。リン酸イオン17.9mg
/lを含む某食品会社の排水500mlに、吸着ろ材1
0gを投入して1時間攪拌して取り出し測定した。ま
た、共存する他の元素(陰イオン)についても同時測定
したが、リン酸イオンのみを選択的に多く吸着できるこ
とが判明した。
00℃で1時間再焼成し、除去試験3と同様にして吸着
性能を測定した。再生は4回行った。その結果を図3に
示す。新規の吸着ろ材に比べ1回再生するごとに平均2
%〜3%程度の吸着能が低下するが実用では支障ない。 .薬品処理による吸着ろ材の再生 2%クエン酸を流下させて吸着したリン酸イオンを脱離
させる方法で再生した結果を図4に示す。この場合にお
いてもほぼ同様の結果を得た。以上2通りの方法により
再生することができるが、の方法が経済的でより好ま
しい。
中に3月間浸漬した後の粒子状態を判定したところ、い
ずれも崩壊は見られなかった。そのため長期使用に耐え
られることが認められた。
ような効果がある。 粒状化の困難な水硬性アルミナ、鹿沼土等にガラス粉
末を添加し、適正な温度で焼成することで粒状化するこ
とができた。 粒状化されたリン酸イオン吸着ろ材は微細な空隙が多
く、粒状体の表面のみならず内部までリン酸イオンの吸
着が行われるため、単位体積当たりの吸着量が多くなっ
た。 共存陰イオン元素の吸着が少ないため、実排水に使用
した場合効果が持続し長期間使用に耐える。 使用後は再度焼成するか、2%クエン酸液で洗浄する
ことにより再生使用することが可能である。 使用済みの吸着ろ材は、土壌改良材としての利用も期
待できる。
時変化を示すグラフである。
フである。
グラフである。
性を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 水硬性アルミナ、カキ殻、鹿沼土、ガラ
ス粉末、浄水場汚泥を混練、造粒後焼成し一度水中に浸
漬後乾燥することを特徴とするリン酸イオン吸着ろ材。 - 【請求項2】 水硬性アルミナ、カキ殻、鹿沼土、ガラ
ス粉末、浄水場汚泥を混練、造粒後焼成焼成し一度水中
に浸漬後乾燥することを特徴とするリン酸イオン吸着ろ
材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1記載のイオン吸着剤を使用する
ことを特徴とする水中に溶存するリン酸イオンの除去方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00376798A JP3794003B2 (ja) | 1998-01-12 | 1998-01-12 | リン酸イオン吸着ろ材及び製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100431634B1 (ko) * | 2001-09-19 | 2004-05-17 | 대우조선해양 주식회사 | 입상 산성백토와 하소시킨 입상 굴패각을 이용한 흡착제 |
JP2009050850A (ja) * | 2008-09-24 | 2009-03-12 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 包括固定化担体及びその製造方法 |
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-
1998
- 1998-01-12 JP JP00376798A patent/JP3794003B2/ja not_active Expired - Fee Related
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