JPH11195221A - 磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末及び磁気記録媒体

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JPH11195221A
JPH11195221A JP36936497A JP36936497A JPH11195221A JP H11195221 A JPH11195221 A JP H11195221A JP 36936497 A JP36936497 A JP 36936497A JP 36936497 A JP36936497 A JP 36936497A JP H11195221 A JPH11195221 A JP H11195221A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大き
い針状ヘマタイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉
末を用いた非磁性下地層を有する磁気記録媒体。 【解決手段】 平均長軸径0.005〜0.30μmの
針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を酸濃度1.0N
以上で酸による溶解処理を行い、該水性懸濁液中の針状
ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解後、
水洗し、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を含有する水
性懸濁液にアルカリ水溶液を添加しpH値13以上と
し、温度範囲80〜100℃で加熱処理後、得た平均長
軸径0.004〜0.295μm、粉体pH値8以上、
可溶性Na塩の含有量がNa換算で300ppm以下、
可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で150ppm以下
の鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末を使用してい
る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉
末。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光透過率が小さ
く、表面平滑で、強度が大きく、且つ、磁気記録層中に
分散されている鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制された磁気記録媒体
の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として好適な針状ヘマ
タイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉末を用いた
非磁性下地層を有する磁気記録媒体を提供する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録
再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれ
て、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対す
る高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周
波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まってい
る。
【0003】当業者間においては、磁気記録媒体のこれ
ら諸特性を向上させるために、磁性粒子粉末の高性能化
及び磁性層の薄層化の両面から、種々の試みがなされて
いる。
【0004】まず、磁性粒子粉末の高性能化について述
べる。
【0005】磁気記録媒体に対する上記のような要求を
満足させるために適した磁性粒子粉末の特性は、高い保
磁力と大きな飽和磁化とを有することである。
【0006】近年、高出力並びに高密度記録に適する磁
性粒子粉末として針状ゲータイト粒子又は針状ヘマタイ
ト粒子を還元性ガス中で加熱還元することにより得られ
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末が広く使用さ
れている。
【0007】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末
は、高い保磁力と大きな飽和磁化とを有するものである
が、磁気記録媒体用に使用される鉄を主成分とする針状
金属磁性粒子粉末は、1μm以下、殊に、0.01〜
0.3μm程度の非常に微細な粒子であるため、腐蝕し
やすく、磁気特性が劣化し、殊に、飽和磁化及び保磁力
の減少をきたすという欠点がある。
【0008】従って、磁性粒子粉末として鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末を使用している磁気記録媒体
の特性を長期にわたって維持するためには、鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子の腐蝕を極力抑制することが強
く要求される。
【0009】次に、磁気記録層の薄層化について述べ
る。
【0010】近時におけるビデオテープの高画像高画質
化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテー
プに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高
くなっている。即ち、短波長領域に移行しており、その
結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くな
っている。
【0011】短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出
力特性、殊に、S/N比を向上させる為には、磁気記録
層の薄層化が強く要求されている。この事実は、例え
ば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と
磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥
‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短
波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できる
ことであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが
‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必
要である。‥‥」なる記載の通りである。
【0012】磁気記録層の薄層化が進む中で、いくつか
の問題が生じている。第一に、磁気記録層の平滑化と厚
みむらの問題であり、磁気記録層を平滑で厚みむらがな
いものとするためには、ベースフィルムの表面もまた平
滑でなければならない。この事実は、例えば、工学情報
センター出版部発行「磁気テープ−ヘッド走行系の摩擦
摩耗発生要因とトラブル対策−総合技術資料集(−以
下、総合技術資料集という−)」(昭和62年)第18
0及び181頁の「‥‥硬化後の磁性層表面粗さは、ベ
ースの表面粗さ(バック面粗さ)に強く依存し両者はほ
ぼ比例関係にあり、‥‥磁性層はベースの上に塗布され
ているからベースの表面を平滑にすればするほど均一で
大きなヘッド出力が得られS/Nが向上する。‥‥」な
る記載の通りである。
【0013】第二に、ベースフィルムもまた磁性層と同
様に薄層化が進んでおり、その結果、ベースフィルムの
強度が問題となってきている。この事実は、例えば、前
出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第77頁の
「‥‥高密度記録化が今の磁気テープに課せられた大き
なテーマであるが、このことは、テープの長さを短くし
てカセットを小型化していく上でも、また長時間記録に
対しても重要となってくる。このためにはフィルムベー
スの厚さを減らすことが必要な訳である。‥‥このよう
に薄くなるにつれてテープのスティフネスが急激に減少
してしまうためレコーダーでのスムーズな走行がむずか
しくなる。ビデオテープの薄型化にともない長手方向、
幅方向両方向に渡ってのこのスティフネスの向上が大い
に望まれている。‥‥」なる記載の通りである。
【0014】ところで、現在、特にビデオテープ等の磁
気記録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の
光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知する
ことにより行われている。磁気記録媒体の薄層化や磁気
記録層中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に
伴って磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオ
デッキによる検知が困難となる為、磁気記録層にカーボ
ンブラック等を添加して光透過率を小さくすることが行
われており、現行のビデオテープにおいては磁気記録層
へのカーボンブラック等の添加は必須となっている。
【0015】しかし、非磁性のカーボンブラック等を多
量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりで
なく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表
面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をよ
り進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラ
ック等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが
強く要求されている。
【0016】そこで、磁気記録層に添加するカーボンブ
ラック量を少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体
が強く要求されている。
【0017】また、磁気記録層中に分散されている鉄を
主成分とする針状金属磁性粒子粉末は、製造後、腐蝕が
生起し、大幅な磁気特性の劣化をきたすという問題も指
摘されている。
【0018】磁気記録層の薄層化及び非磁性支持体の薄
層化に伴って、磁気記録層を形成するために、ベースフ
ィルム等の非磁性支持体上にヘマタイト粒子等の非磁性
粒子粉末を結合剤中に分散させてなる非磁性下地層を少
なくとも1層設けることが行われており、既に、実用化
されている(特公平6−93297号公報、特開昭62
−159338号公報、特開昭63−187418号公
報、特開平4−167225号公報、特開平4−325
915公報、特開平5−73882号公報、特開平5−
182177号公報、特開平5−347017号公報、
特開平6−60362号公報等)。
【0019】しかし、磁気記録層の薄層化及び非磁性支
持体の薄層化に伴って、表面平滑で、強度が大きな非磁
性下地層用の非磁性粒子粉末としての針状ヘマタイト粒
子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉末を用いた非磁性下
地層を有する光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大
きく、且つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分
とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣
化が抑制された磁気記録媒体は、現在最も要求されてい
るところであるが、未だ得られていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、光
透過率が小さく、表面平滑で、強度が大きく、且つ、磁
気記録層中に分散されている鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制された
磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として好
適な針状ヘマタイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子
粉末を用いた非磁性下地層を有する磁気記録媒体を得る
ことを技術的課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0022】即ち、本発明は、平均長軸径0.005〜
0.30μm、BET比表面積35〜150m2 /gで
ある針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を酸濃度1.
0N以上,pH値3.0以下,温度範囲20〜100℃
の条件で酸による溶解処理を行い、該水性懸濁液中に存
在する針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%
を溶解させた後、水洗し、残存する針状ヘマタイト粒子
粉末を含有する水性懸濁液にアルカリ水溶液を添加して
pH値を13以上に調製し、次いで、80〜103℃の
温度範囲で加熱処理した後、濾過、水洗、乾燥して得ら
れた平均長軸径0.004〜0.295μm、BET比
表面積35.9〜212m2 /gであることを特徴とす
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末を使用してい
る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉
末である。
【0023】また、本発明は、前記磁気記録媒体の非磁
性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子
の表面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸
化物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくと
も一種で被覆されている鉄を主成分とする針状金属磁性
粒子粉末を使用している磁気記録媒体の非磁性下地層用
針状ヘマタイト粒子粉末である。
【0024】また、本発明は、非磁性支持体、該非磁性
支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とか
らなる非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成され
る鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂
とからなる磁気記録層からなる磁気記録媒体において、
前記非磁性粒子粉末が前記各非磁性下地層用針状ヘマタ
イト粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体であ
る。
【0025】本発明の構成をより詳しく説明すれば、次
の通りである。
【0026】まず、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性
下地層用針状ヘマタイト粒子粉末について述べる。
【0027】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の粒子形状
は、被処理粒子の粒子形状とほぼ同じ針状である。ここ
で、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米
粒状などを含む意味である。また、軸比(平均長軸径:
平均短軸径、以下、単に「軸比」という。)は2:1以
上、好ましくは3:1以上である。ビヒクル中での分散
性を考慮すれば、その上限値は、20:1以下、好まし
くは10:1以下である。軸比が2:1未満の場合に
は、所望の塗膜強度が得られ難くなる。
【0028】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末の平均長軸径は、0.004
〜0.295μm、好ましくは0.008〜0.275
μmである。0.295μmを越える場合には、粒子サ
イズが大きすぎる為、塗膜の表面平滑性を害するので好
ましくない。0.004μm未満の場合には、ビヒクル
中における分散が困難となる。ビヒクル中における分散
性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、さらに好ましく
は0.016〜0.245μmである。
【0029】なお、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性
下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の平均短軸径は、0.
0020〜0.147μmであることが望ましく、0.
0040〜0.123μmであることがより望ましい。
0.0020μm未満の場合には、ビヒクル中における
分散が困難となる傾向が見られる。0.147μmを越
える場合には、粒子サイズが大きすぎる為に、塗膜の表
面平滑性を害する傾向が見られる。ビヒクル中における
分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、平均短軸径
0.0079〜0.098μmのものを選ぶべきであ
る。
【0030】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末は、BET比表面積値が3
5.9〜212m2 /g、好ましくは38.0〜14
1.4m2 /gである。35.9m2 /g未満の場合に
は、ヘマタイト粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相
互間で焼結が生じた粒子となっており、塗膜の表面平滑
性に悪影響を与える。ビヒクル中における分散性を考慮
すると、より好ましくは41.0〜113.1m2 /g
である。
【0031】また、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性
下地層用針状ヘマタイト粒子粉末は、長軸径の粒度分布
の幾何標準偏差値が1.50以下であることが望まし
く、1.48以下であることがより望ましい。1.50
を越える場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑
性に悪影響を与える傾向が見られる。塗膜の表面平滑性
を考慮すれば、1.45以下のものを選ぶべきである。
工業的な生産性を考慮すれば、得られる針状ヘマタイト
粒子粉末の長軸径の粒度分布の幾何標準偏差値の下限値
は1.01である。
【0032】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、密度
化の程度が高いものである。密度化の程度をBET法に
より測定した比表面積SBET 値と電子顕微鏡写真に示さ
れている粒子から計測された長軸径及び短軸径から算出
した表面積STEM 値との比SBET /STEM で示した場
合、0.5〜2.5を有している。
【0033】塗膜の表面平滑性及びビヒクル中における
分散性を考慮するとSBET /STEMの値は0.7〜2.
0が好ましく、より好ましくは0.8〜1.6である。
【0034】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末の粉体pH値は8以上であ
る。粉体pH値が8未満の場合には、非磁性下地層の上
に形成されている磁気記録層中に含まれる鉄を主体とす
る針状金属磁性粒子粉末を徐々に腐蝕させ、磁気特性の
劣化を引き起こす。鉄を主成分とする針状金属磁性粒子
粉末の腐蝕防止効果を考慮すると、粉体pH値は8.5
〜11が好ましく、より好ましくは粉体pH値が9.0
〜10.5である。
【0035】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子の可溶性ナトリウム塩の含有量は
Na換算で300ppm以下である。300ppmを越
える場合には、非磁性下地層の上に形成されている磁気
記録層中に含まれる鉄を主体とする針状金属磁性粒子粉
末を徐々に腐蝕させ、磁気特性の劣化を引き起こす。ま
た、ビヒクル中におけるヘマタイト粒子の分散特性が害
されやすくなったり、磁気記録媒体の保存状態、特に湿
度の高い環境下においては白華現象を生じる場合があ
る。鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕防止
効果を考慮すると、好ましくは250ppm以下、より
好ましくは200ppm以下、更により好ましくは15
0ppm以下である。生産性等の工業性を考慮すれば、
その下限値は0.01ppm程度である。
【0036】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子の可溶性硫酸塩の含有量はSO4
換算で150ppm以下である。150ppmを越える
場合には、非磁性下地層の上に形成されている磁気記録
層中に含まれる鉄を主体とする針状金属磁性粒子粉末を
徐々に腐蝕させ、磁気特性の劣化を引き起こす。また、
ビヒクル中におけるヘマタイト粒子の分散特性が害され
やすくなったり、磁気記録媒体の保存状態、特に湿度の
高い環境下においては白華現象を生じる場合がある。鉄
を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の腐蝕防止効果を
考慮すると、好ましくは70ppm以下、より好ましく
は50ppm以下である。生産性等の工業性を考慮すれ
ば、その下限値は0.01ppm程度である。
【0037】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、必要
により、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくとも
1種で粒子表面が被覆されていてもよい。粒子表面が被
覆物で被覆されている針状ヘマタイト粒子からなる針状
ヘマタイト粒子粉末は、ビヒクル中に分散させる場合
に、結合剤樹脂とのなじみがよく、容易に所望の分散度
が得られる。
【0038】上記被覆物の量は、アルミニウムの水酸化
物やアルミニウムの酸化物の場合はAl換算で、ケイ素
の水酸化物やケイ素の酸化物の場合はSiO2 換算で粒
子の全重量に対し0.01〜50.0重量%が好まし
い。0.01重量%未満である場合には、被覆による分
散性向上効果が殆どなく、50.0重量%を越える場合
には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意
味がない。ビヒクル中の分散性向上効果と生産性を考慮
すれば、0.05〜20.0重量%がより好ましい。
【0039】次に、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性
下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の製造法について述べ
る。
【0040】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末は、被処理粒子粉末である針
状ヘマタイト粒子粉末を、酸による溶解処理を特定条件
下において行なうことによって得ることができる。
【0041】ここで、被処理粒子粉末としての針状ヘマ
タイト粒子粉末は、種々の方法によって得ることができ
る。例えば、湿式法により直接にヘマタイト粒子粉末を
生成させる方法、アカゲナイト(β−FeOOH)粒子
粉末を生成させた後、加熱脱水してヘマタイト粒子粉末
を得る方法等があるが、一般的な製造法としては、針状
ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト粒子
粉末を湿式法により生成し、得られた針状ゲータイト粒
子粉末を加熱脱水して、被処理粒子粉末である針状ヘマ
タイト粒子粉末を得る方法が工業的にも好ましい。
【0042】そこで、まず、被処理粒子粉末としての針
状ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト粒
子粉末の一般的な製造法について述べる。
【0043】針状ゲータイト粒子は、後に詳述する通
り、第一鉄塩と、水酸化アルカリ又は炭酸アルカリ又は
水酸化アルカリと炭酸アルカリの混合アルカリのいずれ
かとを用いて反応して得られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等
の第一鉄含有沈澱物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガ
スを通気して針状ゲータイト粒子を生成させて得ること
ができる。
【0044】針状ゲータイト粒子の代表的な基本反応に
は、周知の通り、第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化
アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイド
を含む懸濁液をpH値11以上にて80℃以下の温度で
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状
ゲータイト粒子を生成させる方法、第一鉄塩水溶液と
炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCO3
を含む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガス
を通気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲ
ータイト粒子を生成させる方法、第一鉄塩水溶液と炭
酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリとを反応させて得
られる鉄含有沈澱物を含む懸濁液を、必要により熟成し
た後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことによ
り紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、
第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は
炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コ
ロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して
酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成
させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩
水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上
の水酸化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを
通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法、
第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又
は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄
コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気し
て酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生
成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄
塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以
上の炭酸アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを
通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法及
び第一鉄塩水溶液と当量未満の水酸化アルカリ又は炭
酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロ
イドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸
化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成さ
せ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータイト核
粒子を成長させる方法等がある。
【0045】なお、ゲータイト粒子の生成反応中に、粒
子の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性向上の為に通常添
加されているNi、Zn、P、Si等の異種元素が添加
されていても支障はない。
【0046】得られる針状ゲータイト粒子粉末は、通
常、平均長軸径が0.005〜0.4μm、平均短軸径
が0.0025〜0.20μmであって、BET比表面
積値が50〜250m2 /g程度であり、可溶性ナトリ
ウム塩をNa換算で300〜1500ppm、可溶性硫
酸塩をSO4 換算で150〜3000ppm含有してい
る。
【0047】次に、被処理粒子粉末である針状ヘマタイ
ト粒子粉末の製造法について述べる。
【0048】前記被処理粒子粉末である針状ヘマタイト
粒子粉末は、前駆体である前記針状ゲータイト粒子粉末
を加熱脱水して得ることができる。
【0049】加熱脱水温度は、得られる針状ヘマタイト
粒子の密度化の程度を考慮すると550〜850℃が好
ましい。殊に、550℃以上の高温で加熱脱水する場合
には、周知の通り、針状ゲータイト粒子粉末の加熱脱水
に先立ってあらかじめ針状ゲータイト粒子の粒子表面を
焼結防止剤で被覆しておくことが好ましい。
【0050】前記焼結防止剤としては、通常使用される
ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン
酸等のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリ
ウム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケ
イ素化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、酢酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミ
ニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ソーダ等のア
ルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル、水酸化アルミニウ
ム等のアルミニウム化合物、オキシ硫酸チタン等のチタ
ン化合物を使用することができる。
【0051】針状ゲータイト粒子の表面に存在する焼結
防止剤の量は、焼結防止剤の種類や量、アルカリ水溶液
中におけるpH値や加熱処理温度等の諸条件により異な
るが、粒子の全重量に対し0.05〜10重量%程度で
ある。
【0052】粒子表面が焼結防止剤で被覆されている前
記針状ゲータイト粒子粉末のBET比表面積値は50〜
250m2 /g程度である。焼結防止剤による被覆処理
は、針状ゲータイト粒子を含む水懸濁液中に焼結防止剤
を添加し、混合攪拌した後、濾別、水洗、乾燥すればよ
い。
【0053】なお、被処理粒子粉末としての針状ヘマタ
イト粒子粉末としては、高密度化された針状ヘマタイト
粒子粉末であることが好ましい。低密度針状ヘマタイト
粒子粉末の場合には、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が
多数存在しているために酸による溶解処理の際に脱水孔
から溶解が進行する等により粒子形状が維持されず得ら
れた粉末の分散性は劣ったものとなる。
【0054】高密度化された針状ヘマタイト粒子を得る
ためには、あらかじめ、針状ゲータイト粒子粉末を25
0〜550℃で低温加熱処理して低密度針状ヘマタイト
粒子粉末を得、次いで、該低密度針状ヘマタイト粒子粉
末を550〜850℃で高温加熱処理することが好まし
い。
【0055】加熱温度が250℃未満の場合には、脱水
反応に長時間を要する。加熱温度が550℃を越える場
合には、脱水反応が急激に生起し、粒子の形状が崩れや
すくなったり、粒子相互間の焼結を引き起こしやすくな
る。低温加熱処理して得られる低密度針状ヘマタイト粒
子粉末は、ゲータイト粒子からH2 Oが脱水され、脱水
孔を多数有する低密度粒子からなり、BET比表面積値
が出発原料である針状ゲータイト粒子粉末の1.2〜2
倍程度となる。低密度ヘマタイト粒子粉末は、通常、平
均長軸径が0.005〜0.30μm、平均短軸径が
0.0025〜0.15μmであって、BET比表面積
値が70〜350m2 /g程度であり、可溶性ナトリウ
ム塩をNa換算で500〜2000ppm、可溶性硫酸
塩をSO4換算で300〜4000ppm含有してい
る。
【0056】次いで、低密度ヘマタイト粒子粉末を55
0〜850℃で高温加熱して高密度化された針状ヘマタ
イト粒子とする。550℃未満の場合には、高密度化が
不十分であるためヘマタイト粒子の粒子内部及び粒子表
面に脱水孔が多数存在しており、その結果、ビヒクル中
における分散性が不十分であり、非磁性下地層を形成し
た時、表面平滑な塗膜が得られにくい。850℃を越え
る場合には、ヘマタイト粒子の高密度化は十分なされて
いるが、粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子
径が増大し、同様に表面平滑な塗膜は得られにくい。高
密度化された針状ヘマタイト粒子粉末のBET比表面積
値は、通常、35〜150m2 /g程度である。高密度
ヘマタイト粒子粉末は、通常、可溶性ナトリウム塩をN
a換算で500〜4000ppm、可溶性硫酸塩をSO
4 換算で300〜5000ppm含有している。
【0057】なお、高密度化された針状ヘマタイト粒子
粉末は、酸による溶解処理を行うにあたって、あらかじ
め乾式で粗粉砕をして粗粒をほぐした後、スラリー化
し、次いで、湿式粉砕することにより更に粗粒をほぐし
ておくことが好ましい。湿式粉砕は、少なくとも二次凝
集粒子の44μm以上の粗粒が無くなるようにボールミ
ル、サンドグラインダー、コロイドミル等を用いて行え
ばよい。湿式粉砕の程度は44μm以上の粗粒が10%
以下、好ましくは5%以下、より好ましくは0%であ
る。44μm以上の粗粒が10%を越えて残存している
と、次工程における酸による溶解処理の効果が得られ難
い。
【0058】次に、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性
下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の製造法について述べ
る。
【0059】本発明に係る磁気記録非磁性下地層用針状
ヘマタイト粒子粉末は、被処理粒子粉末である針状ヘマ
タイト粒子粉末の水性懸濁液を、酸濃度1.0N以上,
pH値3.0以下,温度範囲20〜100℃の条件で溶
解処理を行い、該水性懸濁液中に存在する針状ヘマタイ
ト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解させた後、水
洗し、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を含有する水性
懸濁液にアルカリ水溶液を添加してpH値を13以上に
調整し、次いで、80℃〜103℃の温度範囲で加熱処
理した後、濾過、水洗、乾燥して得ることができる。
【0060】まず、酸による溶解処理の被処理粒子粉末
である針状ヘマタイト粒子粉末について述べる。
【0061】被処理粒子粉末であるヘマタイト粒子粉末
を構成している粒子の粒子形状は、針状である。ここ
で、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米
粒状などを含む意味である。また、軸比は2:1〜2
0:1である。
【0062】被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子
粉末の平均長軸径は、0.005〜0.3μm、好まし
くは0.02〜0.25μmである。
【0063】被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子
粉末の平均短軸径は、好ましくは0.0025〜0.1
5μm、より好ましくは0.01〜0.10μmであ
る。
【0064】被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子
粉末のBET比表面積値は35〜150m2 /gであ
る。
【0065】次に、被処理粒子粉末である針状ヘマタイ
ト粒子粉末の酸による溶解処理について述べる。
【0066】前記針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液
の濃度は、1〜500g/lであることが望ましく、1
0〜250g/lであることがより望ましい。1g/l
未満の場合には処理単位の処理量が少なすぎるため工業
的でない。500g/lを越える場合には、均一な溶解
処理を行うことが困難となる。
【0067】前記酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫
酸、塩素酸、過塩素酸、シュウ酸のいずれをも用いるこ
とができる。高温での処理を行う場合や溶解処理を行う
容器の腐蝕、劣化及び経済性等を考慮すると、硫酸が好
ましい。
【0068】前記酸濃度は、1.0N以上、好ましくは
1.2N以上、より好ましくは1.5N以上である。
1.0N未満の場合には、針状ヘマタイト粒子を溶解さ
せるために非常に長時間を要するため工業的に不利とな
る。
【0069】前記溶解処理における初期pH値は、pH
値3.0以下、好ましくはpH値2.0以下、より好ま
しくはpH値1.0以下、溶解時間等を考慮すると工業
的にはpH値1.0以下が適している。pH値3.0を
越える場合には、ヘマタイト粒子を溶解させるために非
常に長時間を要するため工業的に不利となる。
【0070】前記水性懸濁液の温度範囲は20〜100
℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは70〜
100℃である。20℃未満の場合にはヘマタイト粒子
を溶解させるために非常に長時間を要するため、工業的
に不利となる。100℃を越える場合には、粒子の溶解
が急速に進行するためその制御が困難となり、またオー
トクレーブ等の装置を必要とするため工業的に好ましく
ない。
【0071】なお、被処理粒子粉末である針状ヘマタイ
ト粒子粉末の平均長軸径が比較的大きい領域である0.
05〜0.30μmの場合には、溶解処理の条件をハー
ドな条件、例えば、pH値1.0以下、温度範囲70〜
100℃で行うことが好ましく、平均長軸径が比較的小
さい領域である0.005〜0.05μmの場合には、
溶解処理の条件をソフトな条件、例えば、pH値1.0
〜3.0、温度範囲20〜70℃で行うことが好まし
い。
【0072】前記酸による溶解処理は、被処理粒子粉末
である針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量
%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15
〜40重量%を溶解させるまで行う。5重量%未満の場
合には、微粒子成分が溶解によって十分に除去されず、
50重量%を越える場合には、粒子粉末全体が微粒子化
してしまい、また、溶解による損失が大きいため工業的
に好ましくない。
【0073】なお、前記溶解処理によって溶解した鉄塩
の水溶液は、濾過によってスラリーから分離して、資源
の再利用という観点から針状ゲータイト粒子粉末の製造
の第一鉄塩原料として使用することができる。
【0074】前記酸による溶解処理の後、液中に残存し
ている針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を濾過、水
洗して得られたケーキを再度、水中へ分散させた針状ヘ
マタイト粒子粉末の水性懸濁液にアルカリ水溶液を添加
してpH値を13以上とし、次いで、80〜103℃の
温度範囲で加熱処理を行った後、濾過、水洗、乾燥する
ことで本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状
ヘマタイト粒子粉末を得ることができる。
【0075】前記アルカリ水溶液の添加にあたって、あ
らかじめ、酸による溶解処理後の針状ヘマタイト粒子粉
末の水性懸濁液を濾過、水洗して得られたケーキを再
度、水中へ分散させた針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸
濁液としておくか、又は、針状ヘマタイト粒子粉末の水
性懸濁液をデカンテーションによって水洗した針状ヘマ
タイト粒子粉末の水性懸濁液としておくことが望まし
い。
【0076】前記針状ヘマタイト粒子粉末のアルカリ性
懸濁液の濃度は、50〜250g/lが好ましい。
【0077】前記アルカリ水溶液としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等
の水酸化アルカリの水溶液を用いることができる。
【0078】前記針状ヘマタイト粒子粉末を含むアルカ
リ性懸濁液中のpH値は13以上である。pH13未満
の場合には、ヘマタイト粒子の粒子表面に存在する焼結
防止剤に起因する固体架橋を効果的に取りはずすことが
できず、粒子内部及び粒子表面に存在する可溶性ナトリ
ウム塩、可溶性硫酸塩等の洗い出しができない。その上
限は、pH値が14程度である。ヘマタイト粒子表面に
存在する焼結防止剤に起因する固体架橋の取りはずしや
可溶性ナトリウム塩、可溶性硫酸塩等の洗い出しの効
果、更には、アルカリ性水溶液処理中にヘマタイト粒子
表面に付着したナトリウム等のアルカリを除去するため
の洗浄効果を考慮すれば、pH値は13.1〜13.8
の範囲が好ましい。
【0079】前記針状ヘマタイト粒子粉末を含むpH値
が13以上のアルカリ性懸濁液の加熱温度は、80℃以
上が好ましく、より好ましくは90℃以上である。80
℃未満の場合には、ヘマタイト粒子表面に存在する焼結
防止剤に起因する固体架橋を効果的に取りはずすことが
困難となる。加熱温度の上限値は103℃が好ましく、
より好ましくは100℃である。103℃を越える場合
には、固体架橋は効果的に取りはずすことはできるが、
オートクレーブ等が必要となったり、常圧下においては
被処理液が沸騰するなど工業的に不利となる。
【0080】アルカリ性懸濁液中で加熱処理した針状ヘ
マタイト粒子は、常法により、濾別、水洗することによ
り、粒子内部及び粒子表面から洗い出した可溶性ナトリ
ウム塩や可溶性硫酸塩やアルカリ性懸濁液処理中にヘマ
タイト粒子表面に付着したナトリウム等のアルカリを除
去し、次いで、乾燥する。
【0081】水洗法としては、デカンテーションによっ
て洗浄する方法、フィルターシックナーを使用して希釈
法で洗浄する方法、フィルタープレスに通水して洗浄す
る方法等の工業的に通常使用されている方法を使用すれ
ばよい。
【0082】なお、針状ヘマタイト粒子の粒子内部に含
有されている可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩を水洗
して洗い出しておけば、それ以降の工程、例えば、後出
する被覆処理工程において針状ヘマタイト粒子の粒子表
面に可溶性ナトリウム塩や可溶性硫酸塩が付着しても水
洗により容易に除去することができる。
【0083】本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層
用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、必要
により、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物の少なくとも
1種により被覆しておくことが好ましい。
【0084】前記被覆処理は、アルカリ性懸濁液の加熱
処理後の得られた針状ヘマタイト粒子粉末のケーキ、該
針状ヘマタイト粒子粉末のスラリー、乾燥粉末のいずれ
かを水溶液中に分散して得られる水懸濁液に、アルミニ
ウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して
混合攪拌することにより、又は、必要により、酸又はア
ルカリを用いてpH値を調整することにより、前記針状
ヘマタイト粒子の粒子表面に、アルミニウムの水酸化
物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ
素の酸化物を被覆すればよく、次いで、濾別、水洗、乾
燥、粉砕する。なお、必要により、更に、脱気・圧密処
理等を施してもよい。
【0085】アルミニウム化合物としては、前出焼結防
止剤と同じものが使用できる。アルミニウム化合物の添
加量は、針状ヘマタイト粒子粉末に対しAl換算で0.
01〜50.0重量%である。0.01重量%未満であ
る場合には、ビヒクル中における分散が不十分であり、
50.0重量%を越える場合には、被覆効果が飽和する
ため、必要以上に添加する意味がない。
【0086】ケイ素化合物としては、前出焼結防止剤と
同じものが使用できる。ケイ素化合物の添加量は、針状
ヘマタイト粒子粉末に対しSiO2 換算で0.01〜5
0.0重量%である。0.01重量%未満である場合に
は、ビヒクル中における分散が不十分であり、50.0
重量%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必
要以上に添加する意味がない。
【0087】アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併
せて使用する場合には、針状ヘマタイト粒子粉末に対
し、Al換算量とSiO2 換算量との総和で0.01〜
50.0重量%が好ましい。
【0088】次に、本発明に係る磁気記録媒体について
述べる。
【0089】本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力が9
00〜3500Oe、好ましくは1000〜3500O
e、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が
0.86〜0.95、好ましくは0.87〜0.95、
塗膜の光沢度が195〜300%、好ましくは200〜
300%、塗膜表面粗度Raが8.5nm以下、好まし
くは0.5〜8.3nm、より好ましくは0.5〜8.
0nm、塗膜のヤング率(相対値)が120〜160、
好ましくは122〜160、塗膜の線吸収係数が1.1
0〜2.00μm-1、好ましくは1.20〜2.00μ
-1である。
【0090】保磁力の変化率(%)で示す腐蝕性が1
0.0%以下、好ましくは9.5%以下、飽和磁束密度
の変化率(%)で示す腐蝕性が10.0%以下、好まし
くは9.5%以下である。
【0091】次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法
について述べる。
【0092】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に非磁性下地層を形成した後、該非磁性下地層上に
磁気記録層を形成することにより得られる。
【0093】まず、非磁性支持体上への非磁性下地層の
形成について述べる。
【0094】前記非磁性下地層は、非磁性支持体上に、
本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂と溶
剤とからなる塗料を塗布して塗膜を形成した後、乾燥す
ることにより形成される。
【0095】前記非磁性支持体としては、現在、磁気記
録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ
リエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、
ステンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用するこ
とができ、その厚みは、その材質により種々異なるが、
通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは
2.0〜200μmである。磁気ディスクの場合、非磁
性支持体としてはポリエチレンテレフタレートが通常用
いられ、その厚みは、通常50〜300μm、好ましく
は60〜200μmである。磁気テープの場合は、ポリ
エチレンテレフタレートの場合、その厚みは、通常3〜
100μm、好ましくは4〜20μm、ポリエチレンナ
フタレートの場合、その厚みは、通常3〜50μm、好
ましくは4〜20μm、ポリアミドの場合、その厚み
は、通常2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
【0096】前記結合剤樹脂としては、現在、磁気記録
媒体の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラ
ール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエス
テル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキ
シ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネートポリマ
ー、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とこれらの混
合物を使用することができる。また、各結合剤樹脂には
−OH、−COOH、−SO3 M、−OPO2 2 、−
NH2 等の極性基(但し、MはH、Na、Kである。)
が含まれていてもよい。粒子の分散性を考慮すれば、極
性基として−COOH、−SO3 Mが含まれている結合
剤樹脂が好ましい。
【0097】前記溶剤としては、メチルエチルケトン、
トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケト
ン、テトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を使用す
ることができる。
【0098】溶剤の使用量は、本発明に係る針状ヘマタ
イト粒子粉末100重量部に対しその総量で50〜10
00重量部である。50重量部未満では非磁性塗料とし
た場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。100
0重量部を越える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の
揮散量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0099】針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂との
配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、針状ヘマ
タイト粒子粉末が5〜2000重量部、好ましくは10
0〜1000重量部である。
【0100】本発明における非磁性支持体上に形成され
た非磁性下地層の塗膜厚さは、0.2〜10.0μmの
範囲である。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体
の表面粗さを改善することが困難となり、強度も不十分
になりやすい。薄層の磁気記録媒体を得るためには上限
値は10.0μm程度が好ましく、より好ましくは0.
5〜5.0μmの範囲である。
【0101】なお、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒
体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等
を、必要により、添加してもよい。
【0102】本発明に係る表面被覆物が被覆されていな
い針状ヘマタイト粒子を含有する非磁性下地層は、塗膜
の光沢度が187〜300%、好ましくは193〜30
0%、より好ましくは195〜300%、塗膜表面粗度
Raが0.5〜8.5nm、好ましくは0.5〜8.0
nm、より好ましくは0.5〜7.5nm、塗膜のヤン
グ率(相対値)が119〜160、好ましくは120〜
160である。
【0103】本発明に係る粒子表面が前記被覆物で被覆
されている針状ヘマタイト粒子を含有する非磁性下地層
は、塗膜の光沢度が190〜300%、好ましくは19
5〜300%、より好ましくは197〜300%、塗膜
表面粗度Raが0.5〜8.3nm、好ましくは0.5
〜7.8nm、より好ましくは0.5〜7.3nm、塗
膜のヤング率(相対値)が120〜160、好ましくは
123〜160である。
【0104】次に、前記非磁性下地層上への磁気記録層
の形成について述べる。
【0105】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に設けられた前記非磁性下地層上に、鉄を主成分と
する針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む
磁性塗料を塗布し塗膜を形成した後、乾燥して磁気記録
層を形成することにより得られる。
【0106】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末は、鉄を50〜99重量%、好ましくは6
0〜95重量%含有している粒子であり、必要により、
鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、N
d、La、Y等を含有していてもよい。
【0107】本発明における鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.01〜0.50μ
m、好ましくは0.03〜0.30μmであって、平均
短軸径が0.0007〜0.17μm、好ましくは0.
003〜0.10μmであって、軸比が3:1以上、好
ましくは5:1以上の粒子であり、ビヒクル中での分散
性を考慮すれば、軸比の上限値は、15:1以下、好ま
しくは10:1以下である。粒子の形状は、針状であ
る。ここで、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡
錘状や米粒状などを含む意味である。
【0108】鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末の
磁気特性は、高密度記録化等の特性を考慮すれば、保磁
力は1200〜3200Oeが好ましく、より好ましく
は1500〜2500Oeであり、飽和磁化は100〜
170emu/gが好ましく、より好ましくは130〜
170emu/gである。
【0109】磁気記録層の形成に使用する結合剤樹脂と
しては、前記非磁性下地層を形成するのに用いた結合剤
樹脂を使用することができる。
【0110】前記非磁性下地層上に設けられた磁気記録
層の塗膜厚さは、0.01〜5.0μmの範囲である。
0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難で塗り
むら等の現象が出やすくなるため好ましくない。5.0
μmを越える場合には、反磁界の影響のため、所望の電
磁変換特性が得られにくくなる。好ましくは0.05〜
1.0μmの範囲である。
【0111】磁気記録層における磁性粒子粉末と結合剤
樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、
磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは3
00〜1500重量部である。
【0112】磁気記録層の形成に使用する溶剤として
は、前記非磁性下地層を形成するのに用いた溶剤を使用
することができる。
【0113】溶剤の使用量は、磁性粒子粉末100重量
部に対しその総量で65〜1000重量部である。65
重量部未満では磁性塗料とした場合に粘度が高くなりす
ぎ塗布が困難となる。1000重量部を越える場合に
は、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工
業的に不利となる。
【0114】磁気記録層中には、通常用いられる潤滑
剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0115】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0116】フルイ残量は、湿式粉砕後のスラリー濃度
を別途に求めておき、固形分100gに相当する量のス
ラリーを325メッシュ(目開き44μm)のフルイに
通し、フルイに残った固形分の量を定量することによっ
て求めた。
【0117】粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕
微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞ
れ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個につい
て長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示し
た。軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比である。
【0118】粒子の長軸径の幾何標準偏差値(σg)
は、下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡
大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測
定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から
統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子の
長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する
粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットす
る。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び8
4.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みと
り、幾何標準偏差値(σg)=積算フルイ下84.13
%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径
(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準
偏差値が小さい程、粒子の長軸径の粒度分布が優れてい
ることを意味する。
【0119】比表面積はBET法により測定した値で示
した。
【0120】針状ヘマタイト粒子の高密度化の程度は、
前述した通り、SBET /STEM で示した。ここで、S
BET は、上記BET法により測定した比表面積の値であ
る。STEM は、前記電子顕微鏡写真から測定した粒子の
平均長軸径lcm、平均短軸径wcmを用いて粒子を直
方体と仮定して下記式に従って算出した値である。
【0121】STEM (m2 /g)=〔(4lw+2
2 )/(lw2 ・ρp )〕×10-4 (ただし、ρp はヘマタイトの真比重であり、5.2g
/cm3 を用いた。)
【0122】STEM は、粒子内部及び粒子表面に脱水孔
が全くなく表面が平滑な粒子の比表面積であるから、S
BET /STEM の値が1に近い程、ヘマタイト粒子の内部
及び表面に脱水孔が少なく表面が平滑な粒子、即ち、高
密度な粒子であることを意味する。
【0123】針状ヘマタイト粒子粉末を構成する粒子に
存在するAl、Si等のそれぞれの含有量は、「蛍光X
線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)
を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通
則」に従って測定した。
【0124】粉体pH値は、試料5gを300mlの三
角フラスコに秤り取り、煮沸した純水100mlを加
え、加熱して煮沸状態を約5分間保持した後、栓をして
常温まで放冷し、減量に相当する水を加えて再び栓をし
て1分間振り混ぜ、5分間静置した後、得られた上澄み
液のpH値をJIS Z 8802−7に従って測定
し、得られた値を粉体pH値とした。
【0125】可溶性ナトリウム塩の含有量及び可溶性硫
酸塩の含有量は、上記粉体pH値の測定用に作製した上
澄み液をNo.5Cの濾紙を用いて濾過し、濾液中のN
+及びSO4 2-を誘導結合プラズマ発光分光分析装置
(セイコー電子工業株式会社製)を用いて測定した。
【0126】塗料粘度は、得られた塗料の25℃におけ
る塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計
器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92lsec
-1における値で示した。
【0127】非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の
光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験
機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して
求めた。
【0128】表面粗度Raは、「Surfcom−57
5A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線
平均粗さRaを測定した。
【0129】塗膜強度は、「オートグラフ」(株式会社
島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求め
た。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120
(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表した。相
対値が高いほど塗膜強度が良好であることを示す。
【0130】磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−
3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁
場10KOeまでかけて測定した。
【0131】磁気記録層中の鉄を主成分とする針状金属
磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気記録媒体の磁気特性の経
時変化は、磁気記録媒体を温度60℃、相対湿度90%
の環境下に14日間放置し、放置前後の保磁力値及び飽
和磁束密度値を測定し、その変化量を放置前の値で除し
た値を変化率として百分率で示した。
【0132】光透過の程度は、「自記分光光度計UV−
2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気記録
媒体について測定した光透過率の値を下記式に挿入して
算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その値が
大きい程、光を透しにくいことを示す。光透過率の値を
測定するにあたっては、上記磁気記録媒体に用いた非磁
性支持体と同一の非磁性支持体をブランクとして用い
た。
【0133】 線吸収係数(μm-1)=〔ln(1/t)〕/FT t:λ=900nmにおける光透過率(−) FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の
膜厚と磁気記録層の膜厚との総和)の厚み(μm)
【0134】磁気記録媒体を構成している非磁性支持
体、非磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記
の方法によって測定した。即ち、デジタル電子マイクロ
メーターK351C(安立電気株式会社製)を用いて、
先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非
磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地
層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層
の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性
下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁
気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性
下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にし
て測定する。そして、非磁性下地層の厚みはB−Aで示
し、磁気記録層の厚みはC−Bで示した。
【0135】<紡錘状ヘマタイト粒子の製造>硫酸第一
鉄水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とを用いて、前記ゲー
タイト粒子の製造法により得られた紡錘状ゲータイト
粒子粉末(平均長軸径0.171μm、平均短軸径0.
0213μm、軸比8.0、長軸径の幾何標準偏差値
(σg)1.34、BET比表面積値151.6m2
g)1200gを水中に懸濁させてスラリーとし、固形
分濃度を8g/lに調整した。このスラリー150lを
加熱し、温度を60℃とし、0.1NのNaOH水溶液
を加えてスラリーのpH値を10.0に調整した。
【0136】次に、上記アルカリ性スラリー中に、焼結
防止剤として3号水ガラス36gを徐々に加え、添加が
終わった後、60分間熟成を行った。次に、このスラリ
ーに0.1Nの酢酸溶液を加え、スラリーのpH値を
6.0に調整した。その後、常法により、濾別、水洗、
乾燥、粉砕を行い、ケイ素の酸化物が粒子表面に被覆さ
れている紡錘状ゲータイト粒子からなる紡錘状ゲータイ
ト粒子粉末を得た。含有するSiO2 量は0.78wt
%であった。
【0137】得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末100
0gを、ステンレス製回転炉に投入し、回転駆動させな
がら空気中で350℃で40分間熱処理を行って加熱脱
水し、低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得た。得られ
た低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径0.
145μm、平均短軸径0.0193μm、軸比7.
5、長軸径の幾何標準偏差値(σg)1.34、BET
比表面積値(SBET )176.5m2 /g、密度化の程
度を示すSBET /STEM は4.15、可溶性ナトリウム
塩の含有量はNa換算で1717ppm、可溶性硫酸塩
はSO4 換算で1011ppm、SiO2 量は0.85
wt%、粉体pH値は6.3であった。
【0138】次に、上記低密度紡錘状ヘマタイト粒子粉
末850gをセラミック製の回転炉に投入し、回転駆動
させながら空気中610℃で30分間熱処理を行い、脱
水孔の封孔処理を行った。高密度化された紡錘状ヘマタ
イト粒子粉末は、平均長軸径が0.137μm、平均短
軸径が0.0190μm、軸比が7.2、長軸径の幾何
標準偏差値(σg)1.35、BET比表面積値(S
BET )が55.3m2 /g、密度化の程度を示す比S
BET /STEM が1.28、可溶性ナトリウム塩の含有量
はNa換算で2626ppm、可溶性硫酸塩はSO4
算で3104ppm、SiO2 量は0.85wt%、粉
体pH値は5.3であった。
【0139】得られた高密度化された紡錘状ヘマタイト
粒子粉末800gをあらかじめ奈良式粉砕機で粗粉砕し
た後、純水4.7lに投入し、ホモミキサー(特殊機化
工業株式会社製)を用いて60分間解膠した。
【0140】次に、得られた高密度化された紡錘状ヘマ
タイト粒子粉末のスラリーを横型SGM(ディスパマッ
トSL:エスシー・アディケム株式会社製)で循環しな
がら、軸回転数2000rpmのもとで3時間混合・分
散した。得られたスラリー中の針状ヘマタイト粒子粉末
の325mesh(目開き44μm)における篩残分は
0%であった。
【0141】<紡錘状ヘマタイト粒子粉末の酸による溶
解処理>得られた高密度化された紡錘状ヘマタイト粒子
粉末のスラリーに水を添加して該スラリーの濃度を10
0g/lとした後、当該スラリーを7l採取した。採取
したスラリーを攪拌しながら、70wt%の硫酸水溶液
を加えて硫酸濃度を1.3Nとし、スラリーのpH値を
0.65に調整した。次に、このスラリーを攪拌しなが
ら加熱して80℃まで昇温し、その温度で5時間保持し
て溶解処理を行い、液中に存在している紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末全体量の29.7重量%を溶解させた。
【0142】次に、このスラリーを濾過して濾液(硫酸
鉄の酸性水溶液)を分離した。スラリーから濾液を分離
後、デカンテーション法により水洗し、pH値が5.0
の水洗スラリーとした。この時点でのスラリー濃度を確
認したところ68g/lであった。
【0143】ここで、得られた水洗スラリーの一部を分
取してブフナーロートを用いて濾別し、純水を通水して
濾液の電導度が30μs以下になるまで水洗し、その
後、常法によって乾燥させた後、粉砕して、紡錘状ヘマ
タイト粒子粉末を得た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子
粉末は、長軸径が0.131μm、短軸径が0.018
1μm、軸比が7.2、長軸径の幾何標準偏差値σgが
1.35、BET比表面積値(SBET )が58.1m2
/g、密度化の程度を示すSBET /STEM が1.28、
可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換算で138pp
m、可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で436pp
m、粉体pH値が4.8であった。
【0144】<紡錘状ヘマタイト粒子粉末のアルカリ性
懸濁液中の加熱処理>上記酸による溶解処理後の紡錘状
ヘマタイト粒子粉末の水洗スラリーに水を添加して濃度
を50g/lとし、スラリーを5lを採取した。このス
ラリーを攪拌しながら、6NのNaOH水溶液を加えて
スラリーのpH値を13.6に調整した。次に、このス
ラリーを攪拌しながら加熱して95℃まで昇温し、その
温度で3時間保持した。
【0145】次に、このスラリーをデカンテーション法
により水洗し、pH値が10.5のスラリーとした。正
確を期すため、この時点でのスラリー濃度を確認したと
ころ98g/lであった。
【0146】次に、得られた水洗スラリー1lをブフナ
ーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度
が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によっ
て乾燥させた後、粉砕して、目的とする紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末を得た。得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末
は、長軸径が0.131μm、短軸径が0.0181μ
m、軸比が7.2、長軸径の幾何標準偏差値σgが1.
35、BET比表面積値(SBET )が57.8m2
g、密度化の程度(SBET /STEM )が1.27、粉体
pH値が9.3、可溶性ナトリウム塩の含有量がNa換
算で99ppm、可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で
21ppmであった。
【0147】<磁気記録媒体の製造−非磁性支持体上へ
の非磁性下地層の形成>上記で得られた紡錘状ヘマタイ
ト粒子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリ
ウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30
重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキ
サノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、こ
の混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物
を得た。
【0148】この混練物を140mlガラス瓶に1.5
mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン
酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、
溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重
量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びト
ルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行って塗料組成物を得た。
【0149】得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末を含む
塗料の組成は、下記の通りであった。 紡錘状ヘマタイト粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 シクロヘキサノン 44.6重量部 メチルエチルケトン 111.4重量部 トルエン 66.9重量部
【0150】得られたヘマタイト粒子粉末を含む塗料を
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上
にアプリケーターを用いて55μmの厚さに塗布し、次
いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した。
非磁性下地層の厚みは3.5μmであった。
【0151】得られた非磁性下地層は、光沢が204
%、表面粗度Raが6.6nm、塗膜のヤング率(相対
値)は124であった。
【0152】<磁気記録媒体の製造−磁気記録層の形成
>鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径
0.120μm、平均短軸径0.0154μm、軸比
7.8、保磁力1896Oe、飽和磁化値133.8e
mu/g)12g、研磨剤(商品名:AKP−30、住
友化学株式会社製)1.2g、カーボンブラック(商品
名:#3250B、三菱化成株式会社製)0.12g、
結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキ
サノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して
混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラ
ストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0153】この混練物を140mlガラス瓶に1.5
mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン
酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、
溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重
量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びト
ルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混
合・分散を行った後、潤滑剤及び硬化剤を加え、さら
に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散して磁性
塗料を得た。
【0154】得られた磁性塗料の組成は下記の通りであ
った。 鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末 100重量部 スルホン酸ナトリウム基を有する 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10重量部 スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10重量部 研磨剤(AKP−30) 10重量部 カーボンブラック(#3250B) 3.0重量部 潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部 硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部 シクロヘキサノン 65.8重量部 メチルエチルケトン 164.5重量部 トルエン 98.7重量部
【0155】上記磁性塗料を前記非磁性下地層の上にア
プリケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁
場中において配向・乾燥し、次いで、カレンダー処理を
行った後、60℃で24時間硬化反応を行い0.5イン
チ幅にスリットして磁気テープを得た。磁気記録層の厚
みは1.1μmであった。
【0156】得られた磁気テープは、Hcが1986O
e、角型比(Br/Bm)が0.87、光沢度が220
%、表面粗度Raが6.2nm、塗膜のヤング率(相対
値)が128、線吸収係数が1.24であった。
【0157】また、磁気テープの耐腐蝕性を示す保磁力
の変化率は4.3%、飽和磁束密度の変化率は4.6%
であった。
【0158】
【作用】近年、短波長記録、高密度記録の追求のため、
磁気記録媒体の磁気記録層の薄層化にいっそう拍車がか
かっている。かかる磁気記録層の薄層化にあたっては、
非磁性支持体上に非磁性下地層を設け、該非磁性下地層
上に磁気記録層を塗布することが行われており、該非磁
性下地層表面は、より平滑であることが要求され、非磁
性下地層を構成している針状ヘマタイト粒子粉末にも結
合剤樹脂中への分散性が良好であることが求められてい
る。しかし、従来の針状ヘマタイト粒子粉末は、構成し
ている粒子の粒子表面への表面被覆等により、若干の分
散性の向上を図ることはできたものの未だ非磁性下地層
の十分な表面平滑性は得られていない。
【0159】本発明者は、針状ヘマタイト粒子粉末は、
通常、湿式法により針状ゲータイト粒子粉末を得、次い
で、加熱脱水して得られているが、常法によって得られ
る針状ヘマタイト粒子粉末は、粒径分布にかなりの幅を
有しており、特に微粒子成分の存在が結合剤樹脂中への
分散を困難にしていることを見出した。
【0160】そこで、本発明者は、針状ヘマタイト粒子
粉末を強酸性の水溶液中で溶解処理を行って溶解しやす
い微粒子成分を除去することにより、分散性の向上、ひ
いては非磁性支持体上に当該酸による溶解処理を行って
得られた針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂とからな
る非磁性下地層を形成した場合、該非磁性下地層の表面
平滑性を向上させることができることを見出し、本発明
を完成させたものである。
【0161】なお、酸化鉄粒子粉末について酸性溶液に
よる処理を行う試みとしては、pH値4以下の酸性水溶
液中における黄色含水酸化鉄粒子粉末の加熱処理を行う
ものがある(特開平9−165531号公報)が、粒子
そのものを溶解させるものではなく、粒子表面に吸着し
ている可溶性ナトリウム塩の除去を目的とするものであ
る。
【0162】また、近年の短波長記録、高密度記録の追
求のため、高い保磁力と大きな飽和磁化を有する鉄を主
成分とする針状金属磁性粒子粉末の使用が不可欠となっ
てきているが、前述の通り、非常に微細な粒子であるた
め、腐蝕しやすく磁気特性が劣化するため、長期にわた
って磁気記録媒体の磁気特性を維持することができる磁
気記録媒体が求められている。
【0163】本発明者は、磁性層中の鉄を主成分とする
針状金属磁性粒子粉末の磁気特性の劣化に非磁性下地層
中の非磁性粒子粉末の粉体pH値、可溶性ナトリウム塩
及び可溶性硫酸塩が影響していることを見出した。
【0164】即ち、前駆体として使用する針状ゲータイ
ト粒子粉末は、前述した通り、各種製造法により製造さ
れるが、いずれの方法においても針状ゲータイト粒子を
製造する主な原料が硫酸第一鉄である場合には当然反応
母液中に硫酸塩〔SO4 2-〕が多量に存在するのであ
る。
【0165】特に、酸性溶液中からゲータイト粒子を生
成する場合には、同時に、Na2 SO4 等水可溶性硫酸
塩を生じるとともに、反応母液にはK+ 、NH4 + 、N
+等アルカリ金属を含んでいるので、アルカリ金属や
硫酸塩を含む沈澱を生じ易く、この沈澱はRFe3 (S
4 )(OH)6 (R=K+ 、NH4 + 、Na+ )で示
される。これら沈澱物は難溶性の含硫鉄塩で常法による
水洗によっては除去することができない。この難溶性塩
はその後の加熱処理工程において可溶性ナトリウム塩や
可溶性硫酸塩になるが、この可溶性ナトリウム塩や可溶
性硫酸塩は、高密度化のための高温加熱処理工程におい
て針状ヘマタイト粒子の形状の変形、粒子相互間の焼結
を防止するために必須である焼結防止剤によって、針状
ヘマタイト粒子相互を架橋しながら粒子内部及び粒子表
面に強固に結合されることにより、針状ヘマタイト粒子
相互間の凝集が一層強まる。その結果、殊に、粒子内部
や凝集物内部に閉じ込められた可溶性硫酸塩や可溶性ナ
トリウム塩は、常法による水洗によって除去することが
極めて困難となる。
【0166】硫酸第一鉄と水酸化ナトリウムとを用いて
アルカリ性水溶液中で針状ゲータイト粒子を生成する場
合には、同時に生成される硫酸塩はNa2 SO4 であ
り、また、母液中にNaOHが存在し、これらは共に可
溶性であるため針状ゲータイト粒子を十分水洗すれば本
質的にはNa2 SO4 およびNaOHを除去できるはず
である。しかし、一般には針状ゲータイト粒子の結晶性
が小さい為、水洗効率が悪く、常法により水洗した場
合、なお、粒子中に可溶性硫酸塩〔SO4 2-〕、可溶性
ナトリウム塩〔Na+ 〕等水可溶性分を含んでいる。そ
して、この水可溶性分は、前述した通り、焼結防止剤に
よって針状ヘマタイト粒子相互を架橋しながら粒子内部
及び粒子表面に強固に結合されることにより、針状ヘマ
タイト粒子相互間の凝集が一層強まる。その結果、殊
に、粒子内部や凝集物内部に閉じ込められた可溶性硫酸
塩や可溶性ナトリウム塩は、常法による水洗によって除
去することが極めて困難となる。
【0167】上述した通り、可溶性ナトリウム塩や可溶
性硫酸塩が焼結防止剤を介在して粒子内部や粒子表面及
び凝集物内部に強く結合されている高密度ヘマタイト粒
子は、湿式粉砕して粗粒をほぐした後、前述の通りの酸
による溶解処理を行って微粒子成分を除去した後、スラ
リーのpH値を13以上に調整し、80℃以上の温度で
加熱処理すると、アルカリ性水溶液が高密度ヘマタイト
粒子の粒子内部まで十分浸透し、その結果、粒子内部や
粒子表面及び凝集物内部に強く結合している焼結防止剤
の結合力が徐々に弱まり、粒子内部や粒子表面及び凝集
物内部から解離され、同時に水可溶性ナトリウム塩や水
可溶性硫酸塩も水洗除去しやすくなるものと考えられ
る。
【0168】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0169】前駆体1〜6、実施例1〜63、比較例1
〜31、参考例1〜20; <針状ゲータイト粒子粉末の種類> 前駆体1〜6 針状ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト
粒子粉末を表1に示す製法に従って製造した。得られた
ゲータイト粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0170】
【表1】
【0171】<低密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造> 実施例1〜7、比較例1〜6 前駆体である針状ゲータイト粒子粉末の種類、焼結防止
剤の種類及び量、加熱脱水温度及び時間を種々変化させ
た以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして、低密
度針状ヘマタイト粒子粉末を得た。なお、比較例4で得
られた粒子粉末は、ゲータイト粒子粉末である。この時
の主要製造条件及び諸特性を表2及び表3に示す。
【0172】
【表2】
【0173】
【表3】
【0174】<高密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造> 実施例8〜14、比較例7〜11 低密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、高密度化加熱処
理の温度及び時間を種々変化させた以外は、前記本発明
の実施の形態と同様にして、高密度針状ヘマタイト粒子
粉末を得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表4及
び表5に示す。
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】<針状ヘマタイト粒子粉末の酸による溶解
処理> 実施例15〜21、比較例12〜13 高密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、湿式粉砕の有
無、酸濃度、スラリーのpH値、加熱温度及び加熱時間
を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同
様にして、針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主
要製造条件及び諸特性を表6及び表7に示す。
【0178】
【表6】
【0179】
【表7】
【0180】<針状ヘマタイト粒子粉末のアルカリ性懸
濁液中の加熱処理> 実施例22〜28、参考例1〜2 針状ヘマタイト粒子粉末の種類、アルカリ性懸濁液中の
加熱処理の有無、スラリーのpH値、加熱温度及び加熱
時間を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態
と同様にして針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の
主要製造条件及び諸特性を表8及び表9に示す。
【0181】
【表8】
【0182】
【表9】
【0183】<針状ヘマタイト粒子粉末の表面被覆処理
> 実施例29 アルカリ性懸濁液中における加熱処理後にデカンテーシ
ョン法により水洗して得られた実施例22のpH値が1
0.5の水洗スラリーは、スラリー濃度が50g/lで
あった。この水洗スラリー4lを再度加熱して60℃と
し、該スラリーに1.0Nのアルミン酸ナトリウム水溶
液74.1ml(針状ヘマタイト粒子に対しAl換算で
1.0wt%に相当する。)を加え、30分間保持した
後、酢酸水溶液を用いてpH値を8.0に調整した。次
いで、前記本発明の実施の形態と同様にして、濾別、水
洗、乾燥、粉砕して粒子表面が被覆物により被覆されて
いる粒子からなる針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この
時の主要製造条件及び諸特性を表10に示す。
【0184】実施例30〜35 針状ヘマタイト粒子粉末の種類、表面処理物の種類及び
量を種々変化させた以外は、実施例29と同様にして、
常法により粒子表面が被覆物により被覆されている粒子
からなる針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主要
製造条件及び諸特性を表10に示す。
【0185】
【表10】
【0186】<磁気記録媒体の製造−非磁性支持体上へ
の非磁性下地層の形成> 実施例36〜49、比較例14〜22、参考例3〜11 実施例15〜35、比較例1、3、7〜13及び参考例
1〜2で得られた針状ヘマタイト粒子粉末を用いて、前
記本発明の実施の形態と同様にして、非磁性下地層を形
成した。この時の主要製造条件及び諸特性を表11乃至
表13に示す。
【0187】
【表11】
【0188】
【表12】
【0189】
【表13】
【0190】<磁気記録媒体の製造−磁気記録層の形成
>磁気記録層の形成に用いた磁性粒子粉末とその諸特性
を表14に示す。
【0191】
【表14】
【0192】実施例50〜63、比較例23〜31、参
考例12〜20 実施例36〜49、比較例14〜22及び参考例3〜1
1で得られた非磁性下地層の種類、針状金属磁性粒子粉
末の種類を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の
形態と同様にして、磁気記録媒体を製造した。この時の
主要製造条件及び諸特性を表15乃至表17に示す。
【0193】
【表15】
【0194】
【表16】
【0195】
【表17】
【0196】
【発明の効果】本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末
は、前出実施例に示した通り、非磁性下地層用非磁性粉
末として用いた場合、微粒子成分が少ないことによりビ
ヒクル中での分散性が優れているので強度と表面平滑性
に優れている非磁性下地層を得ることができ、該非磁性
下地層を用いて磁気記録媒体とした場合、光透過率が小
さく、表面平滑性に優れ、強度が大きな磁気記録媒体と
することができ、しかも、非磁性粉末としての針状ヘマ
タイト粒子粉末の粉体pH値が低く、可溶性ナトリウム
塩及び可溶性硫酸塩が少ないことに起因して磁気記録層
中に分散されている鉄を主成分とする針状磁性粒子粉末
の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が抑制された磁気記録媒体
を得ることができるため、高密度磁気記録媒体の非磁性
下地層用の非磁性粒子粉末として好適である。
【0197】そして、本発明に係る磁気記録媒体は、上
述した通り、光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大
きく、且つ、磁気記録層中に分散されている鉄を主成分
とする針状磁性粒子粉末の腐蝕に伴う磁気特性の劣化が
抑制されているので高密度磁気記録媒体として好適であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森井 弘子 広島県広島市中区舟入南4丁目1番2号戸 田工業株式会社創造センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均長軸径0.005〜0.30μm、
    BET比表面積35〜150m2 /gである針状ヘマタ
    イト粒子粉末の水性懸濁液を酸濃度1.0N以上,pH
    値3.0以下,温度範囲20〜100℃の条件で酸によ
    る溶解処理を行い、該水性懸濁液中に存在する針状ヘマ
    タイト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解させた
    後、水洗し、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を含有す
    る水性懸濁液にアルカリ水溶液を添加してpH値を13
    以上に調製し、次いで、80〜103℃の温度範囲で加
    熱処理した後、濾過、水洗、乾燥して得られた平均長軸
    径0.004〜0.295μm、BET比表面積35.
    9〜212m2 /g、粉体pH値が8以上、且つ、可溶
    性ナトリウム塩の含有量がNa換算で300ppm以
    下、可溶性硫酸塩の含有量がSO4 換算で150ppm
    以下であることを特徴とする鉄を主成分とする針状金属
    磁性粒子粉末を使用している磁気記録媒体の非磁性下地
    層用針状ヘマタイト粒子粉末。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気記録媒体の非磁性下
    地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の表
    面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化
    物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくとも
    一種で被覆されている鉄を主成分とする針状金属磁性粒
    子粉末を使用している磁気記録媒体の非磁性下地層用針
    状ヘマタイト粒子粉末。
  3. 【請求項3】 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成
    される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる非磁性下
    地層及び該非磁性下地層の上に形成される鉄を主成分と
    する針状金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる磁気
    記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子
    粉末が請求項1又は2記載の非磁性下地層用針状ヘマタ
    イト粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012212807A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Dowa Electronics Materials Co Ltd 金属磁性粉末およびその製造方法

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