JP3632727B2 - 磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末及び磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大きい磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として好適な針状ヘマタイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉末を用いた非磁性下地層を有する磁気記録媒体を提供する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対する高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まっている。
【0003】
当業者間においては、磁気記録媒体のこれら諸特性を向上させるために、磁性粒子粉末の高性能化及び磁性層の薄層化の両面から、種々の試みがなされている。
【0004】
まず、磁気記録層の薄層化について述べる。
【0005】
近時におけるビデオテープの高画像高画質化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテープに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が益々高くなっている。即ち、短波長領域に移行しており、その結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなっている。
【0006】
短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させる為には、磁気記録層の薄層化が強く要求されている。この事実は、例えば、株式会社総合技術センター発行「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」(1982年)第312頁の「‥‥塗布型テープにおける高密度記録のための条件は、短波長信号に対して、低ノイズで高出力特性を保持できることであるが、その為には保磁力Hcと残留磁化Brが‥‥共に大きいことと塗布膜の厚みがより薄いことが必要である。‥‥」なる記載の通りである。
【0007】
磁気記録層の薄層化が進む中で、いくつかの問題が生じている。第一に、磁気記録層の平滑化と厚みむらの問題であり、磁気記録層を平滑で厚みむらがないものとするためには、ベースフィルムの表面もまた平滑でなければならない。この事実は、例えば、工学情報センター出版部発行「磁気テープ−ヘッド走行系の摩擦摩耗発生要因とトラブル対策−総合技術資料集(−以下、総合技術資料集という−)」(昭和62年)第180及び181頁の「‥‥硬化後の磁性層表面粗さは、ベースの表面粗さ(バック面粗さ)に強く依存し両者はほぼ比例関係にあり、‥‥磁性層はベースの上に塗布されているからベースの表面を平滑にすればするほど均一で大きなヘッド出力が得られS/Nが向上する。‥‥」なる記載の通りである。
【0008】
第二に、ベースフィルムもまた磁性層と同様に薄層化が進んでおり、その結果、ベースフィルムの強度が問題となってきている。この事実は、例えば、前出「磁性材料の開発と磁粉の高分散化技術」第77頁の「‥‥高密度記録化が今の磁気テープに課せられた大きなテーマであるが、このことは、テープの長さを短くしてカセットを小型化していく上でも、また長時間記録に対しても重要となってくる。このためにはフィルムベースの厚さを減らすことが必要な訳である。‥‥このように薄くなるにつれてテープのスティフネスが急激に減少してしまうためレコーダーでのスムーズな走行がむずかしくなる。ビデオテープの薄型化にともない長手方向、幅方向両方向に渡ってのこのスティフネスの向上が大いに望まれている。‥‥」なる記載の通りである。
【0009】
ところで、現在、特にビデオテープ等の磁気記録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知することにより行われている。磁気記録媒体の薄層化や磁気記録層中に分散されている磁性粒子粉末の超微粒子化に伴って磁気記録層全体の光透過率が大きくなるとビデオデッキによる検知が困難となる為、磁気記録層にカーボンブラック等を添加して光透過率を小さくすることが行われており、現行のビデオテープにおいては磁気記録層へのカーボンブラック等の添加は必須となっている。
【0010】
しかし、非磁性のカーボンブラック等を多量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりでなく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をより進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラック等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが強く要求されている。
【0011】
そこで、磁気記録層に添加するカーボンブラック量を少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体が強く要求されている。
【0012】
磁気記録層の薄層化及び非磁性支持体の薄層化に伴って、磁気記録層を形成するために、ベースフィルム等の非磁性支持体上にヘマタイト粒子等の非磁性粒子粉末を結合剤中に分散させてなる非磁性下地層を少なくとも1層設けることが行われており、既に、実用化されている(特公平6−93297号公報、特開昭62−159338号公報、特開昭63−187418号公報、特開平4−167225号公報、特開平4−325915公報、特開平5−73882号公報、特開平5−182177号公報、特開平5−347017号公報、特開平6−60362号公報等)。
【0013】
しかし、磁気記録層の薄層化及び非磁性支持体の薄層化に伴って、表面平滑で、強度が大きな非磁性下地層用の非磁性粒子粉末としての針状ヘマタイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉末を用いた非磁性下地層を有する光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大きな磁気記録媒体は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大きな磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として好適な針状ヘマタイト粒子粉末及び該針状ヘマタイト粒子粉末を用いた非磁性下地層を有する磁気記録媒体を得ることを技術的課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0016】即ち、本発明は、平均長軸径0.005〜0.300μm、BET比表面積35〜150m/gである針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を酸濃度1.0N以上,pH値3.0以下,温度範囲20〜100℃の条件で酸による溶解処理を行い、該水性懸濁液中に存在する針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解させた後、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を濾過、水洗、乾燥して得られた平均長軸径0.004〜0.295μm、BET比表面積35.9〜212m/g、長軸径の幾何標準偏差値が1.50以下である磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末である。
【0017】
また、本発明は、前記磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の表面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくとも一種で被覆されている磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末である。
【0018】
また、本発明は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末が前記各非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0019】
本発明の構成をより詳しく説明すれば、次の通りである。
【0020】
まず、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末について述べる。
【0021】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の粒子形状は、被処理粒子の粒子形状とほぼ同じ針状である。ここで、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。また、軸比(平均長軸径:平均短軸径、以下、単に「軸比」という。)は2:1以上、好ましくは3:1以上である。ビヒクル中での分散性を考慮すれば、その上限値は、20:1以下、好ましくは10:1以下である。
軸比が2:1未満の場合には、所望の塗膜強度が得られ難くなる。
【0022】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の平均長軸径は、0.004〜0.295μm、好ましくは0.008〜0.275μmである。0.295μmを越える場合には、粒子サイズが大きすぎる為、塗膜の表面平滑性を害するので好ましくない。0.004μm未満の場合には、ビヒクル中における分散が困難となる。ビヒクル中における分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、さらに好ましくは0.016〜0.245μmである。
【0023】
なお、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の平均短軸径は、0.0020〜0.147μmであることが望ましく、0.0040〜0.123μmであることがより望ましい。0.0020μm未満の場合には、ビヒクル中における分散が困難となる傾向が見られる。0.147μmを越える場合には、粒子サイズが大きすぎる為に、塗膜の表面平滑性を害する傾向が見られる。ビヒクル中における分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮すれば、平均短軸径0.0079〜0.098μmのものを選ぶべきである。
【0024】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末は、BET比表面積値が35.9〜212m/g、好ましくは38.0〜141.4m/gである。35.9m/g未満の場合には、ヘマタイト粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、塗膜の表面平滑性に悪影響を与える。ビヒクル中における分散性を考慮すると、より好ましくは41.0〜113.1m/gである。
【0025】
また、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末は、長軸径の粒度分布の幾何標準偏差値が1.50以下であることが望ましく、1.48以下であることがより望ましい。1.50を越える場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与える傾向が見られる。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、1.45以下のものを選ぶべきである。工業的な生産性を考慮すれば、得られる針状ヘマタイト粒子粉末の長軸径の粒度分布の幾何標準偏差値の下限値は1.01である。
【0026】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、密度化の程度が高いものである。密度化の程度をBET法により測定した比表面積SBET 値と電子顕微鏡写真に示されている粒子から計測された長軸径及び短軸径から算出した表面積STEM 値との比SBET /STEM で示した場合、0.5〜2.5を有している。
【0027】
BET /STEM の値が0.5未満の場合には、針状ヘマタイト粒子の高密度化が達成されてはいるが、粒子及び粒子相互間の焼結により粒子径が増大しており、塗膜化した場合に十分な表面平滑性が得られない。SBET /STEM の値が2.5を越える場合には、高密度化が十分ではなく、粒子表面に多数のポアが存在し、ビヒクル中における分散性が不十分となる。塗膜の表面平滑性及びビヒクル中における分散性を考慮するとSBET /STEM の値は0.7〜2.0が好ましく、より好ましくは0.8〜1.6である。
【0028】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、必要により、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくとも1種で粒子表面が被覆されていてもよい。粒子表面が被覆物で被覆されている針状ヘマタイト粒子からなる針状ヘマタイト粒子粉末は、ビヒクル中に分散させる場合に、結合剤樹脂とのなじみがよく、容易に所望の分散度が得られる。
【0029】
上記被覆物の量は、アルミニウムの水酸化物やアルミニウムの酸化物の場合はAl換算で、ケイ素の水酸化物やケイ素の酸化物の場合はSiO換算で粒子の全重量に対し0.01〜50.00重量%が好ましい。0.01重量%未満である場合には、被覆による分散性向上効果が殆どなく、50.00重量%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。ビヒクル中の分散性向上効果と生産性を考慮すれば、0.05〜20.00重量%がより好ましい。
【0030】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の製造法について述べる。
【0031】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末は、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末を、酸による溶解処理を特定条件下において行なうことによって得ることができる。
【0032】
ここで、被処理粒子粉末としての針状ヘマタイト粒子粉末は、種々の方法によって得ることができる。例えば、湿式法により直接にヘマタイト粒子粉末を生成させる方法、アカゲナイト(β−FeOOH)粒子粉末を生成させた後、加熱脱水してヘマタイト粒子粉末を得る方法等があるが、一般的な製造法としては、針状ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト粒子粉末を湿式法により生成し、得られた針状ゲータイト粒子粉末を加熱脱水して、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末を得る方法が工業的にも好ましい。
【0033】
そこで、まず、被処理粒子粉末としての針状ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト粒子粉末の一般的な製造法について述べる。
【0034】
針状ゲータイト粒子は、後に詳述する通り、第一鉄塩と、水酸化アルカリ又は炭酸アルカリ又は水酸化アルカリと炭酸アルカリの混合アルカリのいずれかとを用いて反応して得られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等の第一鉄含有沈澱物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを通気して針状ゲータイト粒子を生成させて得ることができる。
【0035】
針状ゲータイト粒子の代表的な基本反応には、周知の通り、▲1▼第一鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液をpH値11以上にて80℃以下の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト粒子を生成させる方法、▲2▼第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液とを反応させて得られるFeCOを含む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、▲3▼第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリとを反応させて得られる鉄含有沈澱物を含む懸濁液を、必要により熟成した後、酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、▲4▼第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の水酸化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法、▲5▼第一鉄塩水溶液に当量未満の水酸化アルカリ水溶液又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、該針状ゲータイト核粒子を含む第一鉄塩水溶液に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し当量以上の炭酸アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気して前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法及び▲6▼第一鉄塩水溶液と当量未満の水酸化アルカリ又は炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより針状ゲータイト核粒子を生成させ、次いで、酸性乃至中性領域で前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法等がある。
【0036】
なお、ゲータイト粒子の生成反応中に、粒子の長軸径、短軸径、軸比等の諸特性向上の為に通常添加されているNi、Zn、P、Si等の異種元素が添加されていても支障はない。
【0037】
得られる針状ゲータイト粒子粉末は、通常、平均長軸径が0.005〜0.4μm、平均短軸径が0.0025〜0.20μmであって、BET比表面積値が50〜250m/g程度である。
【0038】
次に、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の製造法について述べる。
【0039】
前記被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末は、前駆体である前記針状ゲータイト粒子粉末を加熱脱水して得ることができる。
【0040】
加熱脱水温度は、得られる針状ヘマタイト粒子の密度化の程度を考慮すると550〜850℃が好ましい。
殊に、550℃以上の高温で加熱脱水する場合には、周知の通り、針状ゲータイト粒子粉末の加熱脱水に先立ってあらかじめ針状ゲータイト粒子の粒子表面を焼結防止剤で被覆しておくことが好ましい。
【0041】
前記焼結防止剤としては、通常使用されるヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸、オルトリン酸等のリン化合物、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、コロイダルシリカ等のケイ素化合物、ホウ酸等のホウ素化合物、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ソーダ等のアルミン酸アルカリ塩、アルミナゾル、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、オキシ硫酸チタン等のチタン化合物を使用することができる。
【0042】
針状ゲータイト粒子の表面に存在する焼結防止剤の量は、焼結防止剤の種類や量、アルカリ水溶液中におけるpH値や加熱処理温度等の諸条件により異なるが、粒子の全重量に対し0.05〜10重量%程度である。
【0043】
粒子表面が焼結防止剤で被覆されている前記針状ゲータイト粒子粉末のBET比表面積値は50〜250m/g程度である。
焼結防止剤による被覆処理は、針状ゲータイト粒子を含む水懸濁液中に焼結防止剤を添加し、混合攪拌した後、濾別、水洗、乾燥すればよい。
【0044】
なお、被処理粒子粉末としての針状ヘマタイト粒子粉末としては、高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末であることが好ましい。低密度針状ヘマタイト粒子粉末の場合には、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が多数存在しているために酸による溶解処理の際に脱水孔から溶解が進行する等により粒子形状が維持されず得られた粉末の分散性が劣ったものとなる。
【0045】
高密度化された針状ヘマタイト粒子を得るためには、あらかじめ、針状ゲータイト粒子粉末を250〜550℃で低温加熱処理して低密度針状ヘマタイト粒子粉末を得、次いで、該低密度針状ヘマタイト粒子粉末を550〜850℃で高温加熱処理することが好ましい。
【0046】
加熱温度が250℃未満の場合には、脱水反応に長時間を要する。加熱温度が550℃を越える場合には、脱水反応が急激に生起し、粒子の形状が崩れやすくなったり、粒子相互間の焼結を引き起こしやすくなる。低温加熱処理して得られる低密度針状ヘマタイト粒子粉末は、ゲータイト粒子からHOが脱水され、脱水孔を多数有する低密度粒子からなり、BET比表面積値が出発原料である針状ゲータイト粒子粉末の1.2〜2倍程度となる。低密度ヘマタイト粒子粉末は、通常、平均長軸径が0.005〜0.30μm、平均短軸径が0.0025〜0.15μmであって、BET比表面積値が70〜350m/g程度である。
【0047】
次いで、低密度ヘマタイト粒子粉末を550〜850℃で高温加熱して高密度化された針状ヘマタイト粒子とする。550℃未満の場合には、高密度化が不十分であるためヘマタイト粒子の粒子内部及び粒子表面に脱水孔が多数存在しており、その結果、ビヒクル中における分散性が不十分であり、非磁性下地層を形成した時、表面平滑な塗膜が得られにくい。850℃を越える場合には、ヘマタイト粒子の高密度化は十分なされているが、粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子径が増大し、同様に表面平滑な塗膜は得られにくい。
高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末のBET比表面積値は、通常、35〜150m/g程度である。
【0048】
なお、高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末は、酸による溶解処理を行うにあたって、あらかじめ乾式で粗粉砕をして粗粒をほぐした後、スラリー化し、次いで、湿式粉砕することにより更に粗粒をほぐしておくことが好ましい。湿式粉砕は、少なくとも二次凝集粒子の44μm以上の粗粒が無くなるようにボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、コロイドミル等を用いて行えばよい。湿式粉砕の程度は44μm以上の粗粒が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは0%である。44μm以上の粗粒が10%を越えて残存していると、次工程における酸による溶解処理の効果が得られ難い。
【0049】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末の製造法について述べる。
【0050】
本発明に係る磁気記録非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末は、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を、酸濃度1.0N以上,pH値3.0以下,温度範囲20〜100℃の条件で溶解処理を行い、該水性懸濁液中に存在する針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解させた後、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を濾過、水洗、乾燥して得ることができる。
【0051】
まず、酸による溶解処理の被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末について述べる。
【0052】
被処理粒子粉末であるヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の粒子形状は、針状である。ここで、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。また、軸比は2:1〜20:1である。
【0053】
被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の平均長軸径は、0.005〜0.3μm、好ましくは0.02〜0.25μmである。
【0054】
被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の平均短軸径は、好ましくは0.0025〜0.15μm、より好ましくは0.01〜0.10μmである。
【0055】
被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末のBET比表面積値は35〜150m/gである。
【0056】
次に、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の酸による溶解処理について述べる。
【0057】
前記針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液の濃度は、1〜500g/lであることが望ましく、10〜250g/lであることがより望ましい。1g/l未満の場合には処理単位の処理量が少なすぎるため工業的でない。500g/lを越える場合には、均一な溶解処理を行うことが困難となる。
【0058】
前記酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、塩素酸、過塩素酸、シュウ酸のいずれをも用いることができる。高温での処理を行う場合や溶解処理を行う容器の腐蝕、劣化等を考慮すると、硫酸が好ましい。
【0059】
前記酸濃度は、1.0N以上、好ましくは1.2N以上、より好ましくは1.5N以上である。1.0N未満の場合には、針状ヘマタイト粒子を溶解させるのに非常に長時間を要するため工業的に不利となる。
【0060】
前記溶解処理における初期pH値は、pH値3.0以下、好ましくはpH値2.0以下、より好ましくはpH値1.0以下、溶解時間等を考慮すると工業的にはpH値1.0以下が適している。pH値3.0を越える場合には、ヘマタイト粒子を溶解させるのに非常に長時間を要するため工業的に不利となる。
【0061】
前記水性懸濁液の温度範囲は20〜100℃、好ましくは50〜100℃、より好ましくは70〜100℃である。20℃未満の場合にはヘマタイト粒子を溶解させるために非常に長時間を要するため、工業的に不利となる。100℃を越える場合には、粒子の溶解が急速に進行するためその制御が困難となり、またオートクレーブ等の装置を必要とするため工業的に好ましくない。
【0062】
なお、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末の平均長軸径が比較的大きい領域である0.05〜0.30μmの場合には、溶解処理の条件をハードな条件、例えば、pH値1.0以下、温度範囲70〜100℃で行うことが好ましく、平均長軸径が比較的小さい領域である0.005〜0.05μmの場合には、溶解処理の条件をソフトな条件、例えば、pH値1.0〜3.0、温度範囲20〜70℃で行うことが好ましい。
【0063】
前記酸による溶解処理は、被処理粒子粉末である針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜40重量%を溶解させるまで行う。5重量%未満の場合には、微粒子成分が溶解によって十分に除去されず、50重量%を越える場合には、粒子粉末全体が微粒子化してしまい、また、溶解による損失が大きいため工業的に好ましくない。
【0064】
前記溶解処理の後、常法によって液中に残存する針状ヘマタイト粒子粉末を濾過、水洗、乾燥すれば、本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を得ることができる。
【0065】
なお、前記溶解処理によって溶解した鉄塩の水溶液は、濾過によってスラリーから分離して、資源の再利用という観点から針状ゲータイト粒子粉末の製造の第一鉄塩原料として使用することができる。
【0066】
本発明に係る磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子は、必要により、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物の少なくとも1種により被覆しておくことが好ましい。
【0067】
前記被覆処理は、酸による溶解処理後の得られた針状ヘマタイト粒子粉末のケーキ、該針状ヘマタイト粒子粉末のスラリー、乾燥粉末のいずれかを水溶液中に分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、酸又はアルカリを用いてpH値を調整することにより、前記針状ヘマタイト粒子の粒子表面に、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物を被覆すればよく、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。なお、必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0068】
アルミニウム化合物としては、前出焼結防止剤と同じものが使用できる。
アルミニウム化合物の添加量は、針状ヘマタイト粒子粉末に対しAl換算で0.01〜50.00重量%である。0.01重量%未満である場合には、ビヒクル中における分散が不十分であり、50.00重量%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。
【0069】
ケイ素化合物としては、前出焼結防止剤と同じものが使用できる。
ケイ素化合物の添加量は、針状ヘマタイト粒子粉末に対しSiO換算で0.01〜50.00重量%である。0.01重量%未満である場合には、ビヒクル中における分散が不十分であり、50.00重量%を越える場合には、被覆効果が飽和するため、必要以上に添加する意味がない。
【0070】
アルミニウム化合物とケイ素化合物とを併せて使用する場合には、針状ヘマタイト粒子粉末に対し、Al換算量とSiO換算量との総和で0.01〜50.00重量%が好ましい。
【0071】
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
【0072】
本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力が500〜3500Oe、好ましくは800〜3500Oe、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)が0.86〜0.95、 塗膜の光沢度が190〜300%、好ましくは195〜300%、塗膜表面粗度Raが9.0nm以下、好ましくは0.5〜8.5nm、より好ましくは0.5〜8.0nm、塗膜の線吸収係数が1.10〜2.00μm−1好ましくは1.20〜2.00μm−1、塗膜のヤング率(相対値)が120〜160、好ましくは122〜160である。
【0073】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法について述べる。
【0074】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性下地層を形成した後、該非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られる。
【0075】
まず、非磁性支持体上への非磁性下地層の形成について述べる。
【0076】
前記非磁性下地層は、非磁性支持体上に、本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とからなる塗料を塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。
【0077】
前記非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板および各種の紙を使用することができ、その厚みは、その材質により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmである。磁気ディスクの場合、非磁性支持体としてはポリエチレンテレフタレートが通常用いられ、その厚みは、通常50〜300μm、好ましくは60〜200μmである。磁気テープの場合は、ポリエチレンテレフタレートの場合、その厚みは、通常3〜100μm、好ましくは4〜20μm、ポリエチレンナフタレートの場合、その厚みは、通常3〜50μm、好ましくは4〜20μm、ポリアミドの場合、その厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
【0078】
前記結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルマレイン酸ウレタンエラストマー、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネートポリマー、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用することができる。また、各結合剤樹脂には−OH、−COOH、−SOM、−OPO、−NH等の極性基(但し、MはH、Na、Kである。)が含まれていてもよい。粒子の分散性を考慮すれば、極性基として−COOH、−SOMが含まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0079】
前記溶剤としては、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン及びその混合物等を使用することができる。
【0080】
溶剤の使用量は、本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末100重量部に対しその総量で50〜1000重量部である。50重量部未満では非磁性塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を越える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0081】
針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、針状ヘマタイト粒子粉末が5〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。
【0082】
本発明における非磁性支持体上に形成された非磁性下地層の塗膜厚さは、0.2〜10.0μmの範囲である。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となり、強度も不十分になりやすい。薄層の磁気記録媒体を得るためには上限値は10.0μm程度が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0μmの範囲である。
【0083】
なお、非磁性下地層に、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を、必要により、添加してもよい。
【0084】
本発明に係る表面被覆物が被覆されていない針状ヘマタイト粒子を含有する非磁性下地層は、塗膜の光沢度が185〜300%、好ましくは190〜300%、より好ましくは195〜300%、塗膜表面粗度Raが0.5〜9.0nm、好ましくは0.5〜8.5nm、より好ましくは0.5〜8.0nm、塗膜のヤング率(相対値)が119〜160、好ましくは120〜160である。
【0085】
本発明に係る粒子表面が前記被覆物で被覆されている針状ヘマタイト粒子を含有する非磁性下地層は、塗膜の光沢度が190〜300%、好ましくは193〜300%、より好ましくは196〜300%、塗膜表面粗度Raが0.5〜8.5nm、好ましくは0.5〜8.0nm、より好ましくは0.5〜7.4nm、塗膜のヤング率(相対値)が120〜160、好ましくは123〜160である。
【0086】
次に、前記非磁性下地層上への磁気記録層の形成について述べる。
【0087】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に設けられた前記非磁性下地層上に、磁性粒子粉末と結合剤樹脂と溶剤とを含む磁性塗料を塗布し塗膜を形成した後、乾燥して磁気記録層を形成することにより得られる。
【0088】
前記磁性粒子粉末としては、マグヘマイト粒子粉末(γ−Fe)やマグネタイト粒子粉末(Fe2+ Fe3+ (8−2x)/3、0<x≦1)等の磁性酸化鉄粒子粉末、前記磁性酸化鉄粒子にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B等の異種元素を含有させた磁性酸化鉄粒子粉末、これらの磁性酸化鉄粒子にCo被着させた粒子からなるCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、Ba,Sr,Ba−Srを含有する板状フェライト粒子粉末等のマグネトプランバイト型板状フェライト粒子粉末並びにこれに保磁力低減剤である2価金属(Co、Ni、Zn等)を含有させたマグネトプランバイト型板状複合フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
なお、近年の短波長記録、高密度記録を考慮すれば鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B等を含有する鉄合金磁性粒子粉末等が好ましい。
【0089】
前記磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.01〜0.50μm、好ましくは0.03〜0.30μmであって、該磁性粒子粉末を構成している粒子の形状は針状である。ここで、針状とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。また、軸比は3:1以上、好ましくは5:1以上の粒子であり、ビヒクル中での分散性を考慮すれば、その上限値は、15:1以下、好ましくは10:1以下の粒子である。
【0090】
前記磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力が500〜3500Oe、好ましくは800〜3500Oe、飽和磁化が40〜170emu/g、好ましくは50〜170emu/gである。高密度記録化等を考慮すれば、保磁力は、より好ましくは900〜3200Oe、さらに好ましくは1000〜2500Oeであり、飽和磁化は、より好ましくは100〜170emu/g、さらに好ましくは130〜170emu/gである。
【0091】
磁気記録層の形成に使用する結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するのに用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0092】
前記非磁性下地層上に設けられた磁気記録層の塗膜厚さは、0.01〜5.0μmの範囲である。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難で塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。5.0μmを越える場合には、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性が得られにくくなる。好ましくは0.05〜1.0μmの範囲である。
【0093】
磁気記録層における磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対し、磁性粒子粉末が200〜2000重量部、好ましくは300〜1500重量部である。
【0094】
磁気記録層の形成に使用する溶剤としては、前記非磁性下地層を形成するのに用いた溶剤を使用することができる。
【0095】
溶剤の使用量は、磁性粒子粉末100重量部に対しその総量で65〜1000重量部である。65重量部未満では磁性塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を越える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮散量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0096】
磁気記録層中には、通常用いられる潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0097】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0098】
フルイ残量は、湿式粉砕後のスラリー濃度を別途に求めておき、固形分100gに相当する量のスラリーを325メッシュ(目開き44μm)のフルイに通し、フルイに残った固形分の量を定量することによって求めた。
【0099】
粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕微鏡写真(×30000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。軸比は、平均長軸径と平均短軸径との比である。
【0100】
粒子の長軸径の幾何標準偏差値(σg)は、下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に粒子の長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みとり、幾何標準偏差値(σg)=積算フルイ下84.13%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が小さい程、粒子の長軸径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0101】
比表面積はBET法により測定した値で示した。
【0102】
針状ヘマタイト粒子の高密度化の程度は、前述した通り、SBET /STEM で示した。ここで、SBET は、上記BET法により測定した比表面積の値である。STEM は、前記電子顕微鏡写真から測定した粒子の平均長軸径lcm、平均短軸径wcmを用いて粒子を直方体と仮定して下記式に従って算出した値である。
【0103】
TEM (m/g)=〔(4lw+2w)/(lw・ρ)〕×10−4
(ただし、ρはヘマタイトの真比重であり、5.2g/cmを用いた。)
【0104】
TEM は、粒子内部及び粒子表面に脱水孔が全くなく表面が平滑な粒子の比表面積であるから、SBET /STEM の値が1に近い程、ヘマタイト粒子の内部及び表面に脱水孔が少なく表面が平滑な粒子、即ち、高密度な粒子であることを意味する。
【0105】
針状ヘマタイト粒子粉末を構成する粒子に存在するAl、Si等のそれぞれの含有量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0106】
塗料粘度は、得られた塗料の25℃における塗料粘度を、E型粘度計EMD−R(株式会社東京計器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92l/secにおける値で示した。
【0107】
非磁性下地層及び磁気記録層の塗膜表面の光沢度は、「グロスメーターUGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて塗膜の45°光沢度を測定して求めた。
【0108】
表面粗度Raは、「Surfcom−575A」(東京精密株式会社製)を用いて塗布膜の中心線平均粗さRaを測定した。
【0109】
塗膜強度は、「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120(日本ビクター株式会社製)」との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜強度が良好であることを示す。
【0110】
磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を使用し、外部磁場10KOeまでかけて測定した。
【0111】
光透過の程度は、「光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気記録媒体について測定した光透過率の値を下記式に挿入して算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その値が大きい程、光を透しにくいことを示す。光透過率の値を測定するにあたっては、上記磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と同一の非磁性支持体をブランクとして用いた。
【0112】
線吸収係数(μm−1)=〔ln(1/t)〕/FT
t:λ=900nmにおける光透過率(−)
FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の膜厚と磁気記録層の膜厚との総和)の厚み(μm)
【0113】
磁気記録媒体を構成している非磁性支持体、非磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記の方法によって測定した。
即ち、デジタル電子マイクロメーターK351C(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みはB−Aで示し、磁気記録層の厚みはC−Bで示した。
【0114】
<針状ヘマタイト粒子の製造>
硫酸第一鉄水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とを用いて、前記ゲータイト粒子の製造法▲2▼により得られた針状ゲータイト粒子粉末(平均長軸径0.164μm、平均短軸径0.0213μm、軸比7.7、幾何標準偏差値(σg)1.33、BET比表面積値146.8m/g)1200gを水中に懸濁させてスラリーとし、固形分濃度を8g/lに調整した。このスラリー150lを加熱し、温度を60℃とし、0.1NのNaOH水溶液を加えてスラリーのpH値を10.0に調整した。
【0115】
次に、上記アルカリ性スラリー中に、焼結防止剤として3号水ガラス42gを徐々に加え、添加が終わった後、60分間熟成を行った。次に、このスラリーに0.1Nの酢酸溶液を加え、スラリーのpH値を6.0に調整した。その後、常法により、濾別、水洗、乾燥、粉砕を行い、ケイ素の酸化物が粒子表面に被覆されている針状ゲータイト粒子からなる針状ゲータイト粒子粉末を得た。含有するSiO量は0.91wt%であった。
【0116】
得られた針状ゲータイト粒子粉末1000gを、ステンレス製回転炉に投入し、回転駆動させながら空気中で340℃で30分間熱処理を行って加熱脱水し、低密度針状ヘマタイト粒子粉末を得た。得られた低密度針状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径0.141μm、平均短軸径0.0192μm、軸比7.3、幾何標準偏差値(σg)1.35、BET比表面積値(SBET )179.1m/g、密度化の程度を示すSBET /STEM は4.18であった。
【0117】
次に、上記低密度針状ヘマタイト粒子粉末850gをセラミック製の回転炉に投入し、回転駆動させながら空気中630℃で20分間熱処理を行い、脱水孔の封孔処理を行った。高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径が0.134μm、平均短軸径が0.0196μm、軸比が6.8、幾何標準偏差値(σg)1.35、BET比表面積値(SBET )が53.1m/g、密度化の程度を示す比SBET /STEM が1.26であった。SiO量は1.00wt%であった。
【0118】
得られた高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末800gをあらかじめ奈良式粉砕機で粗粉砕した後、純水4.7lに投入し、ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて60分間解膠した。
【0119】
次に、得られた高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末のスラリーを横型SGM(ディスパマットSL:エスシー・アディケム株式会社製)で循環しながら、軸回転数2000rpmのもとで3時間混合・分散した。得られたスラリー中の針状ヘマタイト粒子粉末の325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。
【0120】
<針状ヘマタイト粒子粉末の酸による溶解処理>
得られた高密度化された針状ヘマタイト粒子粉末のスラリーに水を添加して該スラリーの濃度を100g/lとした後、当該スラリーを7l採取した。採取したスラリーを攪拌しながら、70wt%の硫酸水溶液を加えて硫酸濃度を1.3Nとし、スラリーのpH値を0.59に調整した。次に、このスラリーを攪拌しながら加熱して80℃まで昇温し、その温度で5時間保持して溶解処理を行って、液中に存在している針状ヘマタイト粒子粉末全体量の30.3重量%を溶解させた。
【0121】
次に、このスラリーを濾過して濾液(硫酸鉄の酸性水溶液)を分離した。
スラリーから濾液を分離後、デカンテーション法により水洗し、pH値が5.0の水洗スラリーとした。この時点でのスラリー濃度を確認したところ68g/lであった。
【0122】
次に、得られた水洗スラリー2lをブフナーロートを用いて濾別し、純水を通水して濾液の電導度が30μs以下になるまで水洗し、その後、常法によって乾燥させた後、粉砕して、針状ヘマタイト粒子粉末を得た。得られた針状ヘマタイト粒子粉末は、長軸径が0.129μm、短軸径が0.0182μm、軸比が7.1、粒子サイズ(長軸径)の幾何標準偏差値σgが1.35、BET比表面積値(SBET )が55.6m/g、密度化の程度を示すSBET /STEM が1.23であった。
【0123】
<磁気記録媒体の製造−非磁性支持体上への非磁性下地層の形成>
上記で得られた針状ヘマタイト粒子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0124】
この混練物を140mlガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。
【0125】
得られた針状ヘマタイト粒子粉末を含む塗料の組成は、下記の通りであった。
Figure 0003632727
【0126】
得られたヘマタイト粒子粉末を含む塗料を厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した。非磁性下地層の厚みは3.5μmであった。
【0127】
得られた非磁性下地層は、光沢が196%、表面粗度Raが7.2nm、塗膜のヤング率(相対値)は133であった。
【0128】
<磁気記録媒体の製造−磁気記録層の形成>
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.116μm、平均短軸径0.0155μm、軸比7.5、保磁力1913Oe、飽和磁化値135.2emu/g)12g、研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学(株)製)1.2g、カーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成(株)製)0.36g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0129】
この混練物を140mlガラス瓶に1.5mmφガラスビーズ95g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行った後、潤滑剤及び硬化剤を加え、さらに、ペイントシェーカーで15分間混合・分散して磁性塗料を得た。
【0130】
得られた磁性塗料の組成は下記の通りであった。
Figure 0003632727
【0131】
上記磁性塗料を前記非磁性下地層の上にアプリケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁場中において配向・乾燥し、次いで、カレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い0.5インチ幅にスリットして磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは1.0μmであった。
【0132】
得られた磁気テープは、Hcが1985Oe、角型比(Br/Bm)が0.87、光沢度が203%、表面粗度Raが7.2nm、塗膜のヤング率(相対値)が135、線吸収係数が1.24であった。
【0133】
【作用】
近年、短波長記録、高密度記録の追求のため、磁気記録媒体の磁気記録層の薄層化にいっそう拍車がかかっている。かかる磁気記録層の薄層化にあたっては、非磁性支持体上に非磁性下地層を設け、該非磁性下地層上に磁気記録層を塗布することが行われており、該非磁性下地層表面は、より平滑であることが要求され、非磁性下地層を構成している針状ヘマタイト粒子粉末にも結合剤樹脂中への分散性が良好であることが求められている。
しかし、従来の針状ヘマタイト粒子粉末は、構成している粒子の粒子表面への表面被覆等により、若干の分散性の向上を図ることはできたものの未だ非磁性下地層の十分な表面平滑性は得られていない。
【0134】
本発明者は、針状ヘマタイト粒子粉末は、通常、湿式法により針状ゲータイト粒子粉末を得、次いで、加熱脱水して得られているが、常法によって得られる針状ヘマタイト粒子粉末は、粒径分布にかなりの幅を有しており、特に微粒子成分の存在が結合剤樹脂中への分散を困難にしていることを見出した。
【0135】
そこで、本発明者は、針状ヘマタイト粒子粉末を強酸性の水溶液中で溶解処理を行って溶解しやすい微粒子成分を除去することにより、分散性の向上、ひいては非磁性支持体上に当該酸による溶解処理を行って得られた針状ヘマタイト粒子粉末と結合剤樹脂とからなる非磁性下地層を形成した場合、該非磁性下地層の表面平滑性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0136】
なお、酸化鉄粒子粉末について酸性溶液による処理を行う試みとしては、pH値4以下の酸性水溶液中における黄色含水酸化鉄粒子粉末の加熱処理を行うものがある(特開平9−165531号公報)が、粒子そのものを溶解させるものではなく、粒子表面に吸着している可溶性ナトリウム塩の除去を目的とするものである。
【0137】
【実施例】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0138】
前駆体1〜6、実施例1〜56、比較例1〜31;
<針状ゲータイト粒子粉末の種類>
前駆体1〜6
針状ヘマタイト粒子粉末の前駆体である針状ゲータイト粒子粉末を表1に示す諸条件下で製造した。得られたゲータイト粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0139】
【表1】
Figure 0003632727
【0140】
<低密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造>
中間粒子1〜7、比較中間粒子1〜6
前駆体である針状ゲータイト粒子粉末の種類、焼結防止剤の種類及び量、加熱脱水温度及び時間を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして、低密度針状ヘマタイト粒子粉末を得た。なお、比較中間粒子4で得られた粒子粉末は、ゲータイト粒子粉末である。この時の主要製造条件及び諸特性を表2及び表3に示す。
【0141】
【表2】
Figure 0003632727
【0142】
【表3】
Figure 0003632727
【0143】
<高密度針状ヘマタイト粒子粉末の製造>
中間粒子8〜14、比較中間粒子7〜11
低密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、高密度化加熱処理の温度及び時間を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして、高密度針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表4及び表5に示す。
【0144】
【表4】
Figure 0003632727
【0145】
【表5】
Figure 0003632727
【0146】
<針状ヘマタイト粒子粉末の酸による溶解処理>
実施例1〜7、比較例1〜2
高密度針状ヘマタイト粒子粉末の種類、湿式粉砕の有無、酸濃度、スラリーのpH値、加熱温度を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして、針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表6及び表7に示す。
【0147】
【表6】
Figure 0003632727
【0148】
【表7】
Figure 0003632727
【0149】
<針状ヘマタイト粒子粉末の表面被覆処理>
実施例8
酸性水溶液中における加熱処理後にデカンテーション法により水洗して得られた実施例1のpH値が5.0の水洗スラリーは、スラリー濃度が68g/lであった。この水洗スラリー5lを再度加熱して60℃とし、該スラリーに1.0Nの酢酸アルミニウム水溶液126ml(針状ヘマタイト粒子に対しAl換算で1.0wt%に相当する。)を加え、30分間保持した後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH値を7.5に調整した。次いで、前記本発明の実施の形態と同様にして、濾別、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面が被覆物により被覆されている粒子からなる針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表8に示す。
【0150】
実施例9〜14
針状ヘマタイト粒子粉末の種類、表面処理物の種類及び量を種々変化させた以外は、実施例8と同様にして、常法により粒子表面が被覆物により被覆されている粒子からなる針状ヘマタイト粒子粉末を得た。この時の主要製造条件及び諸特性を表8に示す。
【0151】
【表8】
Figure 0003632727
【0152】
<磁気記録媒体の製造−非磁性支持体上への非磁性下地層の形成>
下地層1〜14、比較下地層1〜9
実施例1〜14及び比較中間粒子1、3、7〜11、比較例1、2で得られた針状ヘマタイト粒子粉末を用いて、前記本発明の実施の形態と同様にして、非磁性下地層を形成した。この時の主要製造条件及び諸特性を表9及び表10に示す。
【0153】
【表9】
Figure 0003632727
【0154】
【表10】
Figure 0003632727
【0155】
<磁気記録媒体の製造−磁気記録層の形成>
磁気記録層の形成に用いた磁性粒子粉末とその諸特性を表11に示す。
【0156】
【表11】
Figure 0003632727
【0157】
実施例15〜28比較例3〜11
下地層1〜14及び比較下地層1〜9で得られた非磁性下地層の種類、磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記本発明の実施の形態と同様にして、磁気記録媒体を製造した。この時の主要製造条件及び諸特性を表12及び表13に示す。
【0158】
【表12】
Figure 0003632727
【0159】
【表13】
Figure 0003632727
【0160】
【発明の効果】
本発明に係る針状ヘマタイト粒子粉末は、前出実施例に示した通り、非磁性下地層用非磁性粉末として用いた場合、微粒子成分が少ないことによりビヒクル中での分散性が優れているので強度と表面平滑性に優れている非磁性下地層を得ることができ、該非磁性下地層を用いて磁気記録媒体とした場合、光透過率が小さく、表面平滑性に優れ、強度が大きい磁気記録媒体を得ることができるため、高密度磁気記録媒体の非磁性下地層用の非磁性粒子粉末として好適である。
【0161】
そして、本発明に係る磁気記録媒体は、上述した通り、光透過率が小さく、表面平滑で、強度が大きいので高密度磁気記録媒体として好適である。

Claims (3)

  1. 平均長軸径0.005〜0.300μm、BET比表面積35〜150m/gである針状ヘマタイト粒子粉末の水性懸濁液を酸濃度1.0N以上,pH値3.0以下,温度範囲20〜100℃の条件で酸による溶解処理を行い、該水性懸濁液中に存在する針状ヘマタイト粒子粉末全体量の5〜50重量%を溶解させた後、残存する針状ヘマタイト粒子粉末を濾過、水洗、乾燥して得られた平均長軸径0.004〜0.295μm、BET比表面積35.9〜212m/g、長軸径の幾何標準偏差値が1.50以下である磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末。
  2. 請求項1記載の磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末を構成している粒子の表面が、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物又はケイ素の酸化物の少なくとも一種で被覆されている磁気記録媒体の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末。
  3. 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末が請求項1又は2記載の非磁性下地層用針状ヘマタイト粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
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