JPH11193624A - 住宅床用遮音・制振材及びその製造方法 - Google Patents

住宅床用遮音・制振材及びその製造方法

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JPH11193624A
JPH11193624A JP37048597A JP37048597A JPH11193624A JP H11193624 A JPH11193624 A JP H11193624A JP 37048597 A JP37048597 A JP 37048597A JP 37048597 A JP37048597 A JP 37048597A JP H11193624 A JPH11193624 A JP H11193624A
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JP
Japan
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rubber
sound insulation
damping material
floor
weight
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Application number
JP37048597A
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English (en)
Inventor
Toru Yamane
徹 山根
Toru Kawakami
徹 川上
Yasuyuki Hasegawa
泰之 長谷川
Giichi Fujiwara
義一 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daiken Trade and Industry Co Ltd
Hiroshima Kasei Ltd
Original Assignee
Daiken Trade and Industry Co Ltd
Hiroshima Kasei Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然ゴムを主材とする住宅床用遮音・制振材
の所定の遮音性能及び機械的性能を保持した上で製造コ
ストを大幅に低減すること。 【構成】 天然ゴム、及び任意成分としての非ブチルゴ
ム系再生ゴム、非ブチルゴム系粉末ゴム、及び非ブチル
ゴム系合成ゴムから成るゴム成分、及びオレフィン系樹
脂、並びに無機質系充填材から主として成る配合物を、
前記ゴム及びオレフィン系樹脂の融解温度以上の温度で
溶融混練し、前記ゴム分子の構造内に前記オレフィン樹
脂を侵入させポリマーアロイ状態の混練り物を成形し、
シート状に予備成形した後、面密度4.8kg/m
上で、且つ厚さ4mm以上の形状に成形し、希望により
片面又は両面に絞加工を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、住宅床用遮音・制振
材、及びその製造方法に関する。本発明の遮音・制振材
は、在来木軸、2×4、軽量鉄骨、鉄筋コンクリート等
さまざまの工法による戸建・集合住宅の床上の衝撃音が
階下へ伝播するのを低減させるために利用される。
【0002】
【従来技術の説明】当業界では“遮音材料”を、空気中
に伝播する音波(空気音)を遮る位置に使用して、音波
を受け止め、その裏面から放射される音波(透過波)の
パワーレベル(音響出力)をできるだけ小さくする目的
に用いる「遮音構造」を構成するために使用する材料と
定義されている。
【0003】また、“制振材”は、たとえば、床の衝撃
振動による振動エネルギーを吸収して、熱エネルギーに
変換することで、固有振動系の共振増幅を抑えたり、振
動伝播の距離減衰を大きくしたり、拡散振動板等のエネ
ルギー蓄積を防止する材料である。従って、本発明で使
用する用語“遮音・制振材”は、上述した遮音及び制振
の性能の両者を併せ持つ材料と定義する。
【0004】なお、遮音材料の遮音性能は、通常「拡散
定常入射波」に関する透過損失で表示されていて、その
測定方法は、JIS A 11416「実験室における
音響透過損失の測定方法」で定められており、また床衝
撃音の遮断性能の測定方法は、JIS A 1418
「建築物の現場における床衝撃音レベルの測定方法」に
定められているので、本発明でもそれらに従った。
【0005】床衝撃音が問題になる建物は、戸建住宅、
集合住宅或いは直下階を持つ体育館等であるが、特に戸
建住宅、集合住宅は遮音対策が不十分なため、階上の音
がほとんど減衰されず階下へ伝播するので問題がある。
床衝撃音の発生に関する要因には、大きく分けると衝撃
音、床構造、下部空間の三つがあり、床衝撃音の発生を
完全に防止することは容易なことではない。
【0006】床衝撃音が問題になる建物は、戸建住宅、
集合住宅或いは直下階を持つ体育館等である。特に、戸
建住宅、集合住宅では遮音対策が不十分なため、階上の
音がほとんど減衰されず階下へ伝播するという問題があ
る。床衝撃音の発生に関する要因には、大きく分けると
衝撃音、床構造、下部空間の三つがあり、衝撃音の発生
を完全に防止することは容易ではない。
【0007】階上の床衝撃音が階下へ伝播するのを減衰
させる方法の一つとして、従来から、階上の床下地材と
仕上材との間に、振動のエネルギーを吸収し、熱エネル
ギーに変換することで、固有振動系の共振増幅を抑えた
り、振動伝播の距離減衰を大きくする材料、いわゆる制
振材料を挿入したりする構造が採用されている。
【0008】住宅用の遮音・制振材に要求される基本的
な特性としては、何よりも十分な損失係数をもつことが
重要であるが、力を負担し大きなエネルギー損失を得る
ためには、適度なヤング係数をもつことも重要である。
また、住宅の遮音性能向上には重量も大きな要素であ
る。すなわち、遮音・制振材が重くなるほで、遮音性能
も向上し、特に、戸建住宅の場合では効果がある。その
他、周波数特性の平坦なこと、温度特性の良いこと、ピ
アノ等重量物の家具等を載荷した場合の復元力が良いこ
と、即ち沈み量が小さいこと、引裂き強度が大きいこ
と、耐磨耗性が良いこと等耐久性があること等建材とし
ての機能を具備していること、かてて加えて生産コスト
が低いことも重要な要件である。
【0009】従来の制振材の製品形躯はいろいろある
が、材料としてはゴム系、プラスチック系、アスファル
ト系のコンパウンド材がほとんどで、いずれもそのガラ
ス転移点付近の粘弾性を利用したものである。単一のポ
リマーで所定の温度条件や周波数領域において、所期の
遮断性能を得ることは不可能であるので、いずれも各種
ポリマーの併用や、ポリマーにグラファイト、マイカ、
クレー等の無機質充填材を配合し、機械的なヒステリシ
ス、内部摩擦を大きくしたもの等がある。
【0010】従来のゴムを主材とした遮音・制振材は、
機械的性質、耐久性等を向上させるため、加硫してい
た。ゴムの加硫には、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助
剤を必要とし、エネルギー、加硫時間、加硫装置、熟練
した技術者等を必要とし、これらが製品のコストを上げ
る大きな要因になっていた。従って、ゴムを主材としな
がら、加硫工程を必要とせず、しかも加硫したと同程度
の物性を保持している遮音材が斯界で強く望まれてい
た。
【0011】最近の非加硫タイプの制振材の一つとして
特開平9−29895号公報に記載されている発明があ
る。この発明は、ブチルゴム10〜40重量%、ポリオ
レフィン樹脂またはその変性体10〜40重量%、粘着
性付与樹脂5〜30重量%、軟化剤1〜10重量%およ
び充填剤5〜50重量%を合計100重量%となるよう
に配合した混合物から成形されたシートの少なくとも片
面に離型紙を被覆した制振シートである。この従来技術
の制振シートは、粘着性付与樹脂と軟化剤を合計でブチ
ルゴムと略等重量%の11〜50重量%使用して製造さ
れる、非常に粘着性に富んだものである。このように大
量部の粘着付与剤等を使用する理由は、この従来技術の
制振シートが、家電製品、OA機器、各種精密機器、産
業機械等の被制振体の全面、或いは一部に接着して使用
するため、被制振体の被接着面の形状がどのような形状
であっても、その形状に完全に追随させることが必要だ
からである。このように粘着性が高い制振材は、制振効
果はよくても、上述した建材としての機能が要求される
住宅床用制振材として使用することはできない。また、
この発明の制振材は厚さが3mm以下となっているが、
この厚さでは住宅床用の遮音材としては効果がなく、こ
の点からも住宅床用としては使用できない。さらに、ゴ
ム成分としてブチルゴムのみを使用しているので、反発
弾性、沈み量、引裂き強度、耐磨耗性等建材に要求され
る基本的な物性で改良の余地がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、発明が解決し
ようとする課題は、ゴムを主成分とする遮音・制振材の
製造において、加硫工程を省略して加硫工程に伴うコス
トを大幅に削減し、且つ同時に加硫工程を経て製造され
たものと同等の遮音・制振効果、温度特性、床材に要求
される機械的性能等を保持させることができなかった点
である。発明が解決しようとするさらに別の課題及び利
点は以下逐次明らかにされる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するための手段を策定するため、従来の遮音材の
コストを上げる最も大きな要因であった加硫工程を排除
することを検討した。そのために、主材としてのゴムと
オレフィン系樹脂を混合して、一種のポリマーアロイを
製造することを検討した。そして、ゴムを選択する当っ
て、オレフィン系樹脂との相溶性、反発弾性、荷重載荷
後の復元力、引裂き強度、耐磨耗性等の観点から各種の
ゴムを検討した。その結果、主材であるゴムとして、天
然ゴムを選択した。
【0014】その結果達成された上記課題を解決するた
めの手段である本発明は、天然ゴム10〜30重量%、
オレフィン系樹脂10〜30重量%及び無機質系充填材
30〜50重量%から成る配合物から製造された面密度
4.8kg/m以上で、且つ厚さ4mm以上の宅床用
遮音・制振材である。
【0015】さらに、上記課題を解決するための手段で
ある本発明は、天然ゴム10〜30重量%、オレフィン
系樹脂10〜30重量%及び無機質系充填材30〜50
重量%から成る配合物を、前記天然ゴム及びオレフィン
系樹脂の両者の溶融温度以上の温度で溶融混練りして、
前記ゴム分子の構造内に前記オレフィン樹脂を侵入させ
て前記ゴム成分及びオレフィン系樹脂成分とのポリマー
アロイ状態の混練り物を成形すること、前記混練り物を
シートに予備成形すること、次いで前記予備成形したシ
ートを、面密度4.8kg/m以上で、且つ厚さ4m
m以上の形状に成形することから成る住宅床用遮音・制
振材を製造する方法である。
【0016】以下、本発明の遮音・制振材に関して詳細
に解説する。本発明の遮音・制振材の製造上の重要な特
徴の一つは天然ゴムを主成分としながら加硫工程を排除
したことである。従来、ゴムを主材とした遮音・制振材
は、機械的性質、耐久性、温度特性、弾性等を向上させ
るため、加硫していた。ゴムの加硫には、加硫剤、加硫
促進剤、加硫促進助剤を必要とし、エネルギー、加硫時
間、加硫装置、熟練した技術者等を必要とし、これらが
製品のコストを上げる大きな要因になっていたことは前
述したとおりである。
【0017】本発明では、主成分である天然ゴムとオレ
フィン系樹脂を併用することによって加硫工程を排除し
たものである。本発明者等は理論に拘束されることを好
まないが、本発明によって、天然ゴムとオレフィン系樹
脂を併用することによって、加硫工程を使用しないで
も、加硫工程を経て製造したものと同程度の物性の製品
が製造されるメカニズムは、天然ゴムとオレフィン系樹
脂を融解状態で混合すると、融解したオレフィン系樹脂
成分が、天然ゴムの分子とファンデルワールス力で結合
している二次元的な交叉領域内に侵入し、前記ファンデ
ルファールス力を補強し全体として三次元的な編目構造
と似たような結合力を持った構造となり、一種のポリマ
ーアロイを形成し、天然ゴムの物性、特に弾性を保持し
た上で、折り曲げ強度、引張強さ、伸び、引裂き強さ等
天然ゴムの機械的性能が改良されるものと推断される。
【0018】尚、本発明において、“加硫工程を経ない
で製造する”とは、本発明で製造された遮音・制振材
が、全く加硫されていない、ということを意味するもの
ではなく、使用するゴムの出所起源によっては、一部が
加硫されている場合もある。この点については後述す
る。
【0019】本発明で使用されるゴムは、主として天然
ゴムであるが、シートに加工する際の加工性を改良する
ため、又はコスト削減のための増量剤として再生ゴム、
粉末ゴム、或いは各種合成ゴムを併用してもよい。
【0020】本発明で天然ゴムと再生ゴムを併用する場
合は、前述した理由により再生ゴムは非ブチルゴム系の
再生ゴムが好ましい。本発明で使用される非ブチルゴム
系再生ゴムは、ブチルゴム以外の各種ゴムを原料とする
使用済みゴム製品を粉砕し、補強用繊維等を除去し、脱
硫して架橋ゴム分子を切断してゴムの弾性を失わせ、可
塑性、粘着性を持たせたものである。脱硫工程で使用さ
れる種々の薬品は、繊維等の夾雑物を除去したり(アル
カリ、酸等)、ゴムを膨潤軟化させたりするのが主な役
割であるので、再生といっても見掛け上の再生で、分子
的に未加硫の状態に戻すのではなく、主として熱の作用
で分子がC−Cの箇所で切断されて小さくなっているに
過ぎない。従って、再生ゴムでも加硫された箇所、即ち
架橋部分を含んでいる場合がある。再生ゴムは、それ自
体で原料ゴムとして使用され、また原料ゴムの一部を置
換する増量剤として使用されている。再生ゴム自体は、
原料の加硫くずゴム中の充填剤をそのまま含んでおり、
ゴムの加工性の改良、製品のコスト削減等に使用されて
いる。再生ゴムの種類、品質についてはJIS K63
13(再生ゴム)に規定されているが、本発明は必ずし
もそれに限定されない。尚、本発明において非ブチルゴ
ム系再生ゴムの好ましい配合量は、10〜15重量%の
範囲である。下限値以下の場合、シートの加工性、或い
は増量効果が期待できず、一方上限値を超えると製造さ
れた遮音・制振材の機械的物性が劣る。
【0021】本発明で天然ゴムと粉末ゴムを併用する場
合は、前述した理由により非ブチルゴム系粉末ゴムが好
ましい。本発明で使用される非ブチルゴム系粉末ゴム
は、ブチルゴム以外の各種ゴムを原料とする使用済みゴ
ム製品を水洗・乾燥し、グラインダーまたは回転粉砕機
にかけて粉末にしたもので、摩擦熱でゴム粒の表面の一
部は再生された状態になっていると考えられるが、全体
としては加硫状態が残っている、いわゆる加硫粉末ゴム
である。粉末ゴムは、従来、ゴム生地の加工性を改良
し、ゴム分の少ない低級配合ゴムに弾性を与えるため、
或いは単に増量剤として使用されていた。本発明におい
て非ブチルゴム系粉末ゴムの好ましい配合量は、5〜1
5重量%の範囲である。下限値以下の場合、シートの加
工性、或いは増量効果が期待できず、一方上限値を超え
ると製造された遮音・制振材の機械的物性が劣る。
【0022】本発明で天然ゴムと各種合成ゴムを併用す
る場合は、前述した理由により非ブチルゴム系の各種合
成ゴム、例えばSBR,NBR等が好ましい。本発明に
おいて非ブチルゴム系合成ゴムの好ましい配合量は、2
〜10重量%の範囲である。下限値以下の場合、シート
の加工性、或いは増量効果が期待できず、一方上限値を
超えると製造された遮音・制振材の機械的物性が劣る。
又、上記非ブチルゴム系再生ゴム、非ブチルゴム系粉末
ゴム、及び非ブチルゴム系合成ゴムは、その2種以上が
天然ゴムと併用されてもよく、その場合の好ましい配合
量は5〜35重量%である。下限値以下の場合、シート
の加工性、或いは増量効果が期待できず、一方上限値を
超えると製造された遮音・制振材の機械的物性が劣る。
本発明を実施する場合、主材としてのゴム成分の配合は
製造しようとする遮音・制振材の諸物性、コスト等を勘
案して任意に設定される。
【0023】本発明で使用されるオレフィン系樹脂は、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等通常のオ
レフィン系樹脂から任意に選択されるが、製品の常温時
の形体保持力という観点から、ポリエチレンが好まし
い。ポリエチレンを使用する場合は、コスト低減の点か
ら再生品で十分である。
【0024】本発明において遮音・制振材の物性、或い
は加工性の改善、或いはコスト低減の目的のために使用
される無機質充填剤は、重質又は軽質炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、ゼオライト、マイカ、グラファイ
ト、カーボンブラック、珪酸、珪酸塩類等が例示され
る。こらの充填剤の種類及びその添加量は、その使用目
的に応じ、加工性、コスト等を考慮し、充填剤の粒子の
大きさ(粒子の表面積)、粒子の形、粒子表面の物理
的、化学的性質等を勘案して決定する必要がある。充填
剤の最も重要な要件である粒子の大きさに関して論究す
ると、一般に充填剤粒子の細かいものほど引っ張り強
さ、引裂き強さ、耐磨耗性などの機械的強度が優れたゴ
ムを与えるが、一方、粒子径が小さくなるほど、ゴムと
ぬれるべき比表面積が大きくなり、ゴムへのぬれ、分散
がむつかしくなる。とくに、0.1μ以下になると表面
エネルギーが大きくなって、粒子が凝集しやすくなるの
で好ましくない。従って、本発明の充填剤の粒子径は、
1〜4μ、好ましくは2〜3μの範囲である。
【0025】本発明の遮音・制振材は、主として住宅の
床に使用されるので、ゴム特有の臭気を有していないこ
とが好ましい。この目的に適う充填剤として、例えば無
機質交換体の一種であるゼオライトが使用される。然し
ながら、ゼオライトは、それ単独では充填剤としてゴム
への補強効果が弱いので、他の充填剤、例えば、重質炭
酸カルシウム等と併用することが好ましい。以上の理由
により、本発明で最も好ましく使用される充填剤は、例
えば、粒径2〜3μの重質炭酸カルシウムとゼオライト
の混合物である。
【0026】本発明の遮音・制振材は、たとえば下記の
方法によって製造される。先ず、適正に秤量したゴム成
分、即ち天然ゴム、非ブチルゴム系合成ゴム、非ブチル
ゴム系再生ゴム及び非ブチルゴム系ゴム粉末と適正に秤
量したオレフィン系樹脂、及び充填剤を前記ゴム成分及
びオレフィン系樹脂成分の溶融温度以上の温度で混練り
する。混練り作業はロール、或いはバンバリーミキサー
等適当な手段で行なう。混練り条件は、使用する原材料
によって異なるが、通常約4〜6分間である。次いで、
混練りが完了した130乃至140℃の温度のブロック
状の混練り物を、押出機、或いはコニカルフィーダに投
入し、任意の厚さと幅、例えば厚さ4mm、幅400m
mのシートに予備成形する。次いでこのシートを、製造
しようとする遮音・制振材の厚さに対応させて一定の間
隙で設定されているカレンダーロールを使用して成形加
工する。カレンダーロールは2本構成でよい。カレンダ
ー工程の間の各ロールの温度調節、回転速度等諸条件は
製造しようとする遮音・制振材の厚さに対応させて設定
される。たとえば、6mm厚の遮音・制振材を製造する
場合は、カレンダーロールの回転速度は3.2m/分、
9mmの場合は2.3m/分である。次いで、遮音・制
振材の片面、或いは両面に絞加工を施す場合は、カレン
ダーロールを出たシートを、任意の絞彫刻が施された絞
ロール間を通過させる。絞加工が施されたシートは、適
当な裁断装置、例えば回転丸刃カッターで幅切りをして
所定の幅に調整し、次いで任意の冷却装置、例えば冷却
水槽中を通過させて冷却処理をし、最後に適当な裁断装
置、例えば油圧式カッターで所定の製品長さに裁断す
る。この方法を採用することによって、所定の厚さ、幅
及び長さを有する本発明の遮音・制振材を、原料の配合
から一貫した圧延工程によって製造することができる。
また、本発明の遮音・制振材を極めて小ロットで製造す
る場合は、前述した方法によって溶融混練りした混練り
物を、製造しようとする遮音・制振材の形状に設計した
金型内に充填し圧縮成形する、いわゆる金型プレス成形
を採用してもよい。
【0027】本発明の遮音・制振材の厚さは、遮音性能
に重要な要因である面密度と、施工性とに依存して任意
に設定できる。然しながら、施工性、遮音性、製造コス
ト等の観点から、厚さの下限は4mmであるが、6mm
位に設定することが好ましい。厚さが4mm以下の場
合、施工性は良好であるが、優れた遮音効果が得られな
い。一方、厚さの上限は、特段に限定されないが、厚す
ぎると、遮音効果は向上するが、施工性と製造コストの
観点から難がある。従って、施工性、遮音性、製造コス
ト等の諸般の条件を経験的に考慮すると、厚さの上限
は、好ましくは約9mm程度である。
【0028】また、遮音効果の要素の一つである面密度
は、単位面積当りの重量に依存して決定されるが、遮音
性能と施工性との兼合いを考慮すると、下限を面密度
4.8kg/m(4mm厚)に設定することが好まし
い。、面密度が4.8kg/m(4mm厚)以下の場
合、施工性は良好であるが、優れた遮音効果が得られな
い。一方、面密度の上限は、特段に限定されないが、大
き過ぎると、遮音効果は向上するが、施工性と製造コス
トの観点から難がある。従って、施工性、遮音性、製造
コスト等の諸般の条件を経験的に考慮すると、面密度の
上限は、好ましくは約18.0kg/m(15mm
厚)程度である。但し、本発明の遮音材の厚さ、及び面
密度の上限が上記の数値に限定されないことは、当業者
のよく理解するところである。
【0029】上述した方法によって製造された住宅床用
遮音・制振材の片面又は両面に所定の形状の絞加工を施
すにことによって、数枚積層しても離型性が良く、開梱
時及び現場での施工作業を容易にするという搬送、施工
上の利点或いは遮音・制振材の表面の流れ模様が消える
という商品外観上の利点が得られる。
【0030】本発明の遮音・制振材を製造するに当っ
て、前述した充填剤の他に硫酸バリウム、酸化鉄、鉄粉
等の高密度無機質充填剤、ロックウール、ガラス繊維、
金属繊維等の無機及び有機繊維、或いは難燃剤等を配合
することもできる。
【0031】本発明の遮音・制振材を使用して階上の床
衝撃音が階下へ伝播するのを減衰させるための床衝撃音
防止施工方法は、根太の直上へ敷設されている下地板の
表面に、本発明の遮音・制振材を積層し、次いで直接或
いは間接的に床仕上げ材を敷き、全体を根太に固定する
ことから成る。
【0032】在来木軸工法や2×4工法等木造建築の床
施工法は、通常、床梁の上に直角方向に根太を架け渡す
工法てあるが、コンクリートスラブの上に直接根太を置
いた、いわゆる根太床工法もある。本発明はいずれの床
工法にも適用できる。
【0033】本発明の遮音・制振材は、根太の直上に敷
設されている合板やパーチクルボード等床下地板の表面
に積層される。この際、床下地板の目地と遮音材の目地
が重ならないように、即ち目地違いに積層し、遮音材の
目地はコーキング処理をして音漏れを防止することが好
ましい。
【0034】本発明の遮音・制振材を床下地板の表面に
積層した後は、直接、間接に床仕上げ材を敷設する。床
仕上材としては、木質ブロック、木質ボード等任意の材
料が選択される。床仕上材を施工する際、遮音・制振材
と床仕上材との間に、防水紙、薄手の耐水合板等を介在
させてもよい。このようにして施工された床下地板、遮
音・制振材及び床仕上材等は釘、或いは接着剤等で根太
に固定して全体を一体化し、荷重による撓み、沈み等が
発生しないようにする。
【0035】以下、実施例及び施工例により、本発明を
詳細、具体的に解説するが、本発明はこれら実施例及び
施工例に限定されるものではなく、種々の変形が可能で
ある。
【実施例1】実施例1で使用した原料配合物を下記に示
す。
【0036】上述した原料配合物を100Lバンバリー
ミキサーで4分間混練りし、混練り物をコニカルフィー
ダに排出し、温度130〜140℃で厚さ3mm、幅3
00mmのシートに予備成形し、次いでシリンダー温度
が95℃、スクリュー温度が25℃、ヘッド温度が10
0℃に設定されているローラヘッドを介して、ローラ間
隙を6mm、温度を80℃に設定した2本カレンダーロ
ール間を、カレンダーロール回転速度3.2m/分で通
過させた。カレンダーロールを通過させた後、80℃に
温度設定した絞ロールの間を通過させてシートの両面に
絞加工を施した。絞加工を施したシートを回転丸刃カッ
ターでシートの進行方向に606mmに裁断した後、冷
却水槽中を通過させて室温程度に冷却した。冷却したシ
ートを油圧式カッターでシートの進行の幅方向に909
mmに裁断した。このようにして、厚さ6mm、幅60
6mm、及び長さ909mmの本発明の遮音・制振材を
一貫製造した。
【0037】実施例1で製造した本発明の遮音・制振材
の各種機械的性能を測定した結果は下記のとおりであっ
た。尚、硬度、引張強度、伸び、引裂き強さ、及び圧縮
永久歪の測定は、JUS K6301に準拠した。 重量:3.9kg 比重:1.20 硬度:70 引張強度:1.5×10Pa 伸び:150%以上(縦)、200%以上(横) 引裂き強さ:1.2×10N/m 圧縮永久歪:65%以下 面密度:7.2kg/m
【0038】
【実施例2】実施例1と同じ原料配合物及び製造装置を
使用し、厚さ9mm、幅606mm、及び長さ909m
mの本発明の遮音・制振材を製造した。
【0039】実施例2で製造した本発明の遮音・制振材
の各種機械的性能を測定した結果は下記のとおりであっ
た。尚、硬度、引張強度、伸び、引裂き強さ、及び圧縮
永久歪の測定は、JUS K6301に準拠した。 重量:5.9kg 比重:1.20 硬度:70 引張強さ:1.5×10Pa 伸び:150%以上(縦)、200%以上(横) 引裂き強さ:1.2×10N/m 圧縮永久歪:65%以下 面密度:10.8kg/m
【0040】以下、本発明の住宅床用遮音・制振材を使
用した施工例を説明する。
【施工例1】図1は、実施例1による本発明の遮音・制
振材を在来木軸工法に適用した断面斜視図である。90
mm×90mmの床梁2を910mmピッチで梁り、梁
2と直角方向に45mm×45mmの根太3を架け渡し
た。根太3の直上に厚さ12mmの床下地板(合板)4
を捨て張りし、その表面の本発明の遮音・制振材1を捨
て張り合板の目地と重ならないように2〜3mmの目地
を設けて敷き込み、遮音・制振材1の目地はコーキング
5で充填処理した。最後に、床仕上材として12mmの
木質化粧床板6を敷き、30mmピッチで根太に固定し
た。
【0041】
【施工例2】施工例1で使用した住宅床用遮音・制振材
1を実施例2の遮音材に替えて施工例1と同じ手順で施
工テストを行なった。
【0042】施工例1及び2による床構造の遮音性能を
JIS A1416に規定する[実験室における音響透
過損失測定方法]に従って測定して得た結果を表−1に
記録する。
【0043】施工例1及び2による床構造の床衝撃音遮
断性能をJIS A1418に規定する[建築物におけ
る床衝撃音レベルの測定方法]に従って軽量床衝撃音
(LL)及び重量床衝撃音(LH)レベルを測定した。
その結果、実施例1の床構造ではLLで1ランクの改善
が、実施例2の床構造ではLLで1ランク、LHで1ラ
ンクの改善が測定された。
【0044】
【比較例】実施例2の配合物から熱可塑性樹脂を排除
し、替りに加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等を使用する
通常の加硫工程を経て、実施例2と同一規格の加硫ゴム
遮音材を製造した。この遮音材に対して、施工例2と同
じ手順で試験を行なって得た結果を表−2に記録する。
【0045】
【0046】この結果から、天然ゴムを主成分とし、非
ブチルゴム系再生ゴム、非ブチルゴム系粉末ゴム、及び
SBR等非ブチルゴム系合成ゴム増量剤、或いは加工助
剤として配合したゴム成分、及びオレフィン系樹脂から
成る配合物から、加硫工程を経ないで製造した本発明の
住宅床用遮音・制振材の遮音効果が、熱可塑性樹脂を使
用しないで、加硫工程を経て製造した従来の住宅床用遮
音材の遮音効果と比肩できるものであることが分かる。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は下記に例示
する効果を奏効する; 本発明の遮音・制振材は、軽量床衝撃音及び重量床
衝撃音の遮断性能で、各々1ランク改善させる。 加硫工程を省略したにも係わらず加硫した製品と同
程度等の機械的性能及び遮音性能を有している。 加硫工程を必要としないので、加硫剤、加硫促進
剤、加硫促進助剤等加硫に必要な添加剤、エネルギー、
加硫時間、技術者等が不要になり、製造コストを大幅に
低減化することができる。 床下地板を積層し、次いで床仕上材を施工する完全
な乾式工法で、極めて容易に施工できる。 絞加工を施したので、数枚重ねても離型性が良く、
開梱時及び現場での施工作業が容易になる。 絞加工を施したので、表面の流れ模様が消え、外観
品位が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施工例を示す断面斜視図である。
【符号の説明】 1 遮音・制振材 2 床梁 3 根太 4 床下地板(合板) 5 コーキング材 6 木質化粧床板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 21:00 23:00 503:04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴム10〜30重量%、オレフィン
    系樹脂10〜30重量%及び無機質系充填材30〜50
    重量%から成る配合物から製造された面密度4.8kg
    /m以上で、且つ厚さ4mm以上の住宅床用遮音・制
    振材。
  2. 【請求項2】 非ブチルゴム系再生ゴム、非ブチルゴム
    系粉末ゴム、及び非ブチルゴム系合成ゴムから成る群か
    ら選択された少なくとも1種を5〜20重量%更に配合
    したことを特徴とする請求項1に記載の住宅床用遮音・
    制振材。
  3. 【請求項3】 片面又は両面に絞加工を施したことを特
    徴とする、請求項1或いは2に記載の住宅床用遮音・制
    振材。
  4. 【請求項4】 天然ゴム10〜30重量%、オレフィン
    系樹脂10〜30重量%及び無機質系充填材30〜50
    重量%から成る配合物を、前記天然ゴム及びオレフィン
    系樹脂の両者の溶融温度以上の温度で溶融混練りして、
    前記ゴム分子の構造内に前記オレフィン樹脂を侵入させ
    て前記ゴム成分及びオレフィン系樹脂成分とのポリマー
    アロイ状態の混練り物を成形すること、 前記混練り物をシートに予備成形すること、次いで 前記予備成形したシートを、面密度4.8kg/m
    以上で、且つ厚さ4mm以上の形状に成形することから
    成る住宅床用遮音・制振材を製造する方法。
  5. 【請求項5】 非ブチルゴム系再生ゴム、非ブチルゴム
    系粉末ゴム、及び非ブチルゴム系合成ゴムから成る群か
    ら選択された少なくとも1種を5〜20重量%更に配合
    したことを特徴とする請求項4に記載の住宅床用遮音・
    制振材を製造する方法。
  6. 【請求項6】 更に、片面又は両面に絞加工を施すこと
    を特徴とする、請求項4或いは5に記載の住宅床用遮音
    ・制振材を製造する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004084274A (ja) * 2002-08-27 2004-03-18 Kajima Corp パネル重ね構造
JP2008144350A (ja) * 2006-12-05 2008-06-26 Sumitomo Rubber Ind Ltd 制振シート
JP2015017491A (ja) * 2013-06-14 2015-01-29 積水ハウス株式会社 遮音床構造

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