JPH11193248A - 活性水素含有化合物の活性化方法および高分子ゲル - Google Patents

活性水素含有化合物の活性化方法および高分子ゲル

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JPH11193248A
JPH11193248A JP25427598A JP25427598A JPH11193248A JP H11193248 A JPH11193248 A JP H11193248A JP 25427598 A JP25427598 A JP 25427598A JP 25427598 A JP25427598 A JP 25427598A JP H11193248 A JPH11193248 A JP H11193248A
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JP
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reaction
polymer gel
active hydrogen
polymer
catalyst
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JP25427598A
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English (en)
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Yoshiaki Hirano
喜章 平野
Hiroshi Yamamoto
浩史 山本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒の分離操作が容易で、かつ、活性水素含
有化合物を効率的に活性化することができる活性水素含
有化合物の活性化方法を提供する。 【解決手段】 活性水素含有化合物中の活性水素を、内
部に溶媒を保持した3次元網目構造を有し、該3次元網
目構造内部および表面に活性点を有している高分子ゲル
を触媒として用いて活性化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性水素含有化合
物の活性化方法およびそれに用いられる高分子ゲルに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、オレフィンの水和反
応や重合反応等において触媒を用いた反応プロセスは数
多く研究されている。従来、触媒には、溶液中における
酸触媒等のように触媒相と反応相とが同相である均一系
触媒や、気相や液相の反応系に添加した固体触媒のよう
に触媒相と反応相とが異なる不均一系触媒がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】均一系触媒は、活性成
分が均一反応系と同相にあり、例えば、溶液中に活性成
分が均一に分散された状態で反応が進む。このため、反
応速度が速く、反応基質の転化率が高い。従って、触媒
設計が容易である。しかしながら、その反面、均一系触
媒は、触媒の分離操作が困難であり、また、廃液が生じ
るため、廃液の処理を必要とするという問題点を有して
いる。
【0004】一方、不均一系触媒は、分離操作が容易で
あり、また、廃液が生じないため、反応後の処理面では
非常に有利である。しかしながら、不均一系触媒は、例
えば、イオン交換樹脂等のように、担体あるいは母体表
面に固定化された官能基を活性点として反応が進行する
ため、反応は触媒表面で起こる。このため、触媒として
不均一系触媒を用いた場合には、反応速度が遅く、反応
基質の転化率が低くなる。従って、触媒として不均一系
触媒を用いた場合には、触媒設計が困難となる。また、
上記従来の固体触媒は、反応速度を向上させるために、
例えば、高温下や高圧下で反応させなければならない
等、反応条件を厳しく設定する必要があり、反応時の劣
化が大きいという問題点も有している。
【0005】つまり、上記従来の触媒は、分離操作等の
作業性と反応速度や反応基質の転化率等の触媒活性との
バランスが悪く、両者を共に満足させることはできな
い。そこで、分離操作が容易で、しかも、活性水素含有
化合物を効率的に活性化させることができる触媒が求め
られていると共に、活性水素含有化合物を効率的に活性
化するための活性水素含有化合物の活性化方法が求めら
れている。
【0006】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、触媒の分離操作が容易で、
かつ、活性水素含有化合物を効率的に活性化することが
できる活性水素含有化合物の活性化方法を提供すること
にある。また、本発明の他の目的は、分離操作が容易
で、しかも、活性水素含有化合物を効率的に活性化する
ことができる触媒として好適な高分子ゲルを提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の
目的を達成すべく鋭意検討した結果、内部に溶媒を保持
した3次元網目構造を有し、該3次元網目構造内部およ
び/または表面に活性点を有している高分子ゲルが、分
離操作が容易で、しかも、触媒活性に優れ、活性水素含
有化合物を効率的に活性化することができることを見い
出して本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明に係る請求項1記載の活性水
素含有化合物の活性化方法は、上記の課題を解決するた
めに、活性水素含有化合物中の活性水素を、高分子ゲル
を用いて活性化させることを特徴としている。
【0009】また、本発明に係る請求項2記載の活性水
素含有化合物の活性化方法は、上記の課題を解決するた
めに、請求項1記載の活性水素含有化合物の活性化方法
において、上記高分子ゲルの膨潤比が2以上であること
を特徴としている。
【0010】また、本発明に係る請求項3記載の活性水
素含有化合物の活性化方法は、上記の課題を解決するた
めに、請求項1または2記載の活性水素含有化合物の活
性化方法において、上記高分子ゲルが、塩基性官能基を
有していることを特徴としている。
【0011】本発明に係る請求項4記載の活性水素含有
化合物の活性化方法は、上記の課題を解決するために、
請求項3記載の活性水素含有化合物の活性化方法におい
て、上記活性水素の活性化を伴う反応系中における単位
体積当たりの上記高分子ゲルの塩基性活性点の量が0.
43mmol/cc以上となる条件の下で上記活性水素
の活性化を行うことを特徴としている。
【0012】本発明に係る請求項5記載の活性水素含有
化合物の活性化方法は、上記の課題を解決するために、
請求項4記載の活性水素含有化合物の活性化方法におい
て、上記高分子ゲルの塩基性活性点が、3級アミン化合
物、4級アンモニウム塩、環状アミン化合物およびスル
フィド類からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合
物に由来する塩基性官能基であることを特徴としてい
る。
【0013】また、本発明に係る請求項6記載の高分子
ゲルは、上記の課題を解決するために、内部に溶媒を保
持した3次元網目構造を有し、該3次元網目構造内部お
よび/または表面に、活性水素を活性化させる活性点を
有していることを特徴としている。
【0014】本発明に係る請求項7記載の高分子ゲル
は、上記の課題を解決するために、請求項6記載の高分
子ゲルにおいて、主鎖に環状アミン構造を有する高分子
化合物からなることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて詳しく説明する。本発明の活性水素含有化合物の活
性化方法は、活性水素含有化合物中の活性水素を、高分
子ゲルを触媒(活性化触媒)として用いて活性化させる
方法である。
【0016】本発明において用いられる上記高分子ゲル
とは、溶媒に不溶の個々の高分子化合物(例えば、分子
量1,000以上の化合物)が溶媒を吸収することで完
全に溶媒中に分散された状態を有する、高分子化合物の
膨潤体である。本発明で用いられる上記の高分子ゲル
は、特に限定されるものではないが、溶媒を保持した3
次元網目構造を有する架橋性高分子ゲルであることが、
触媒性能および強度の点で好ましく、また、該3次元網
目構造内部および/または表面に、上記活性水素を活性
化させる活性点を有していることが好ましい。さらに、
上記高分子ゲルは、反応基質および溶媒に対して実質的
に反応を起こさないことが、触媒として好ましい。
【0017】上記の高分子ゲルは、その内部に溶媒を保
持し、ゲルとなっていることで、固体と液体との中間の
物質形態を有している。このため、上記高分子ゲルは、
反応後、反応系からの分離・除去操作が容易である。ま
た、上記高分子ゲルは、その支持構造内部に溶媒を保持
し、該支持構造内部および/または表面の活性点にて活
性水素を活性化することで、活性水素含有化合物を効率
的に活性化することができる。そして、該高分子ゲルの
なかでも、特に、溶媒が保持された3次元網目構造を有
し、該3次元網目構造内部および/または表面に活性点
を有している架橋性高分子ゲルは、3次元網目構造内部
への溶媒や反応基質の導入が容易であり、しかも、不均
一系触媒と比較して活性点の自由度が高い。このため、
上記の架橋性高分子ゲルを触媒として用いれば、該架橋
性高分子ゲルの3次元網目構造内部および表面の活性点
にて活性水素含有化合物中の活性水素が活性化されるた
め、反応速度を向上させることができ、反応基質の転化
率を向上させることができる。
【0018】上記高分子ゲルにおけるゲルの形成形態と
しては、特に限定されるものではなく、共有結合、クー
ロン力、水素結合、配位結合等、種々の形態により形成
され、その化学組成や種々の要因によって、粘性のある
液体からかなり固い固体にまで変化する。
【0019】本発明において、上記高分子ゲルは、酸性
官能基および塩基性官能基のうち少なくとも一方の官能
基を有する単量体を、その重合単位として含んでいるこ
とが好ましい。上記高分子ゲルが有する酸性官能基、つ
まり、該高分子ゲル中の重合体(高分子化合物)が有す
る酸性官能基としては、具体的には、例えば、カルボキ
シル基、チオカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸
基、亜リン酸基、ヒドロキシル基、フェノール性水酸
基、チオール基、チオフェノール性チオール基等が挙げ
られる。上記例示の酸性官能基の中でも、カルボキシル
基、スルホン酸基、リン酸基、亜リン酸基、ヒドロキシ
ル基が好ましい。尚、上記酸性官能基には、酸性官能基
の水素原子が炭化水素類により置換された酸のエステル
類、金属イオンにより置換された酸の塩も含まれる。
【0020】また、上記高分子ゲルが有する塩基性官能
基、つまり、該高分子ゲル中の重合体(高分子化合物)
が有する塩基性官能基としては、具体的には、例えば、
シアノ基、イソシアノ基、チオシアノ基、イソチオシア
ノ基等の官能基;アミン類、アミド類、チオアミド類、
ヘテロ環式化合物(例えば、ピロール類、チオフェン
類、イミダゾール類、ピロリジン類、ピペリジン類、ピ
ペラジン類、オキサゾール類、ピリミジン類、ピラジン
類、ピリダジン類、プリン類、チアゾール類、ピラゾー
ル類、ピリジン類、カルバゾール類等)等の塩基性化合
物に由来する官能基、例えば、上記の塩基性化合物のア
ミン類に水素イオンが一つ付加した4級塩等が挙げられ
る。上記塩基性官能基の中でも、アミン類およびスルフ
ィド類(何れも環式化合物を含む)に由来する官能基が
好ましく、そのなかでも、3級アミン化合物、4級アン
モニウム塩、環状アミン化合物、およびスルフィド類か
らなる群より選ばれる少なくとも一種の塩基性化合物に
由来する官能基がさらに好ましく、3級アミン化合物、
4級アンモニウム塩、環状アミン化合物(特にピリジン
類、カルバゾール類)、チオフェン類からなる群より選
ばれる少なくとも一種の塩基性化合物に由来する官能基
が特に好ましく、環状アミン化合物に由来する官能基
(環状アミノ基)が最も好ましい。また、上記高分子ゲ
ルは、複数種類の塩基性官能基を有していてもよい。
【0021】本発明によれば、上記高分子ゲルが酸性官
能基および塩基性官能基のうち少なくとも一方の官能基
を有していることで、選択性に優れた反応を行うことが
できる。
【0022】特に、塩基性官能基を有する触媒により反
応が進行する所謂塩基性の反応機構を用いた重要反応は
極めて多く、品質向上、経済性向上のために、均一系・
不均一系に拘らず塩基性触媒が利用されていることか
ら、上記高分子ゲルが塩基性官能基を有していることは
極めて好ましい。塩基性官能基を有する上記の高分子ゲ
ルを触媒として用いれば、ゲル内部への溶媒や反応基質
の導入が容易であり、しかも、塩基性官能基を有する従
来の触媒よりも活性点の自由度が高く、効率良く活性水
素含有化合物が活性化されるため、反応速度を向上させ
ることができ、塩基性の反応機構を用いた反応を、従来
よりも高反応速度かつ高転化率で行うことが可能であ
る。
【0023】また、上記高分子ゲルが酸性官能基および
塩基性官能基を共に含むことで、酸点・塩基点をあわせ
もち、両活性点が協奏的に作用してより高選択的な反応
を行うことができる。
【0024】上記酸性官能基および塩基性官能基のうち
少なくとも一方の官能基を有する重合体を重合単位とし
て有する高分子ゲルは、上記酸性官能基あるいは塩基性
官能基を有する単量体を単独で、若しくは、該酸性官能
基あるいは塩基性官能基を有する単量体と共重合可能な
共重合性単量体と共重合させた後、得られる高分子化合
物に溶媒を吸液させることにより容易に得ることができ
る。
【0025】上記酸性官能基を有する単量体としては、
特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、
一般式(1)
【0026】
【化1】
【0027】で表される単量体、(メタ)アクリル酸、
マレイン酸、フマル酸等のカルボン酸系単量体等が挙げ
られる。
【0028】また、塩基性官能基を有する単量体として
は、特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ば、2−ビニルピリジン類や4−ビニルピリジン類等の
ビニルピリジン類、N−ビニルカルバゾール類、N−モ
ノアリルアミン類やN,N−ジアリルアミン類やN,
N,N−トリアリルアミン類等のアリルアミン類、4−
(N,N−ジアルキルアミノ)アルキルスチレン類、6
−(N−プロペニルアミノ)−4−チアヘキサン酸、6
−(N,N−ジプロペニルアミノ)−4−チアヘキサン
酸、トリアルキルアミン、N,N−ジメチルベンジルア
ミン、ピペリジン、N−アルキルピペリジン、ピロリジ
ン、N−アルキルピロリジン、ピペラジン、2−ピロリ
ドン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジ
ン、ピリミジン、ピリダジン、イソオキサゾール、チア
ゾール、アルキルチアゾール、キノリン、インドール、
プリン、ヘキサメチレンイミン、4−ジメチルアミノピ
リジン、1,3,5−トリアジン、2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジノール等のアミン類、中でも
好ましくは3級アミン化合物や環状アミン化合物;4級
アンモニウム塩;チオフェン、テトラヒドロチオフェ
ン、ジエチルスルフィド、ペンタメチレンスルフィド、
1,3−ジチアン、1,4−ジチアン等のスルフィド
類;等が挙げられる。
【0029】また、上記共重合性単量体としては、オレ
フィン基を有し、かつ酸性官能基および塩基性官能基を
含まない単量体であればよく、特に限定されるものでは
ない。上記共重合性単量体としては、具体的には、例え
ば、スチレン、エチレン、ビニルエーテル類、ジビニル
エーテル類等が挙げられる。これら共重合性単量体は、
一種類のみを用いてもよく、二種類以上を適宜混合して
用いてもよい。尚、上記酸性官能基あるいは塩基性官能
基を有する単量体と上記共重合性単量体との使用割合
は、特に限定されるものではない。
【0030】上記高分子化合物の製造方法、即ち、上記
酸性官能基あるいは塩基性官能基を有する単量体を含む
単量体成分の重合方法は、特に限定されるものではな
く、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法
等、従来公知の種々の方法を採用することができる。上
記単量体成分を重合させる際に用いられる溶媒として
は、具体的には、例えば、水、トルエン、シクロヘキサ
ン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。さ
らに上記懸濁重合を行う際の懸濁剤としては、具体的に
は、例えば、ゼラチン、デキストリン、ポリビニルアル
コール、ソルビタンエステル類等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。尚、上記の溶媒や懸濁剤の使
用量は特に限定されるものではない。
【0031】上記単量体成分を重合させる際には、重合
開始剤を用いることができる。該重合開始剤としては、
具体的には、例えば、過酸化水素、ベンゾイルパーオキ
サイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物;
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合
物;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カ
リウム等の過硫酸塩等のラジカル重合開始剤等が挙げら
れる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、二種
類以上を適宜混合して用いてもよい。また、上記重合開
始剤を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を照
射してもよく、重合開始剤とこれら放射線や電子線、紫
外線等の照射とを併用してもよい。尚、上記重合開始剤
の使用量は、特に限定されるものではない。
【0032】上記重合反応を行う際の反応温度は、単量
体成分や溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよく、特
に限定されるものではない。また、反応時間は、上記重
合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重
合開始剤、および溶媒等の種類や組み合わせ、使用量等
に応じて適宜設定すればよい。さらに、反応圧力も特に
限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧
の何れであってもよい。
【0033】上記重合反応を行う際には、架橋性単量体
(架橋剤)を用いることで、得られる架橋性高分子の架
橋度を制御することができる。上記架橋剤としては、例
えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、メチレンビスアク
リルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。
【0034】上記架橋性高分子ゲルの架橋度は、上記架
橋性高分子の原料として用いられる単量体成分中におけ
る架橋剤のモル分率で表され、通常、0.1モル%〜3
0モル%の範囲内、好ましくは0.1モル%〜10モル
%の範囲内、さらに好ましくは、0.1モル%〜5モル
%の範囲内である。
【0035】また、本発明にかかる高分子化合物の製造
方法としては、第一級、第二級のアルキルハロゲンやス
ルホン酸エステルを側鎖に有する重合体と各種硫化剤と
を反応させた後、得られた中間体を加水分解や処理剤等
で還元させることにより、上記重合体末端に−SH基を
生成させ、次いで、この重合体にアクリル酸、メタクリ
ル酸等の不飽和カルボン酸を付加させる方法を採用する
こともできる。
【0036】上記の重合反応により得られる重合体、即
ち、本発明に用いられる高分子化合物としては、例え
ば、一般式(2)
【0037】
【化2】
【0038】で表される構造を備えた官能基を有する架
橋性高分子;一般式(3)
【0039】
【化3】
【0040】で表される構造を備えた官能基を有する架
橋性高分子;一般式(4)
【0041】
【化4】
【0042】、一般式(5)
【0043】
【化5】
【0044】、一般式(6)
【0045】
【化6】
【0046】、一般式(7)
【0047】
【化7】
【0048】、および、一般式(8)
【0049】
【化8】
【0050】からなる群より選ばれる少なくとも一種の
構造を備えた置換基を有する架橋性高分子等が挙げられ
るが、該架橋性高分子としては、溶媒に不溶の3次元網
目構造を有するものであれば、特に限定されるものでは
なく、その官能基の種類もまた、限定されるものではな
い。
【0051】これら高分子化合物のなかでも、主鎖に環
状アミン構造を備えた高分子化合物は、塩基性触媒能が
特に高く、また、窒素原子を含む塩基性官能基の脱離が
生じ難く、耐熱性に優れた高分子ゲルを得ることができ
ることから特に好ましい。
【0052】尚、上記一般式(2)〜(8)において、
カルボン酸系重合体本体とは、該カルボン酸系重合体主
鎖を示し、カルボキシル基を含有するモノマー(例え
ば、前記カルボン酸系単量体)が単独重合したものであ
ってもよく、或いは、カルボキシル基を含有するモノマ
ーと、該カルボキシル基を含有するモノマーと共重合可
能な他の単量体とが共重合したものであってもよい。
【0053】本発明において用いられる高分子ゲルは、
上記の重合反応により得られた重合体(高分子化合物)
を濾過して溶媒で充分に洗浄した後、エバポレーター、
減圧乾燥等、常用の方法を用いて乾燥してから上記高分
子化合物に対して親和性を有する溶媒を吸液、保持させ
ることにより、容易に得ることができる。また、上記高
分子ゲルは、重合条件を適宜設定することにより、重合
反応によって直接得ることもできる。
【0054】本発明において用いられる上記の高分子ゲ
ルは、その膨潤比が2以上であることが好ましい。上記
高分子ゲルの膨潤比とは、上記高分子ゲルを乾燥させて
なる高分子化合物の体積に対する、高分子ゲルの体積の
比であり、上記高分子化合物が溶媒を吸収することによ
り、該高分子化合物の体積が何倍に増えたかを表す尺度
である。本発明において、上記高分子ゲルの膨潤比は、
2以上であればよいが、ゲルの保形性を維持すると共
に、反応後の分離・除去操作をより簡便にするために
は、2〜10の範囲内であることがより好ましい。そし
て、上記高分子ゲルが有する活性点の自由度をより一層
高めると共に、ゲル内部への反応溶液(溶媒)の導入を
促し、その触媒活性を充分に発揮させるために、上記高
分子ゲルの膨潤比は、2.5〜10の範囲内であること
が特に好ましく、3〜8の範囲内であることが最も好ま
しい。
【0055】本発明において上記高分子ゲルが保持する
溶媒としては、特に限定されるものではなく、上記高分
子ゲルを用いた反応に用いられる溶媒であってもよく、
反応基質(活性水素含有化合物)そのものであってもよ
い。つまり、上記高分子ゲルは、予めゲルを形成した状
態で反応系に添加してもよく、ゲル形成前の高分子化合
物を反応系に添加、混合し、その後、上記高分子化合物
に、反応に用いられる溶媒あるいは反応基質そのものを
吸収させて膨潤させることで反応系内で形成してもよ
い。何れの場合にも、上記高分子ゲルを触媒として用い
る際には、上記高分子がゲルを形成した時点から爆発的
に活性水素含有化合物が有する活性水素の活性化が進
む。従って、上記高分子ゲルを触媒として用いる場合に
は、上記高分子ゲルが、反応系への添加時に既にゲルを
形成していることがより望ましい。このように、上記高
分子ゲルは、活性化すべき活性水素を有する活性水素含
有化合物を含み、上記活性水素の活性化を伴う所望の反
応系に添加、混合することで、上記活性水素化合物が有
する活性化すべき活性水素を容易に活性化させることが
できる。
【0056】上記の高分子ゲルは、そのままでも触媒と
して用いることができるが、必要に応じて金属を担持さ
せて用いることもできる。上記の金属としては、具体的
には、例えば、銅、鉛、ニッケル、亜鉛、鉄、コバル
ト、クロム、マンガン、ビスマス、錫、アンチモン、お
よびアルカリ土類金属等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。
【0057】上記の高分子ゲルに金属を担持させる場合
における、高分子化合物に対する金属の担持量は、高分
子化合物の種類や、適用する合成反応の種類等に応じて
適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
尚、ここでいう担持とは、キレート以外にも、塩、吸
着、包接等が挙げられ、その形態は特に限定されるもの
ではない。また、担持される金属はイオン、金属の何れ
であってもよい。また、イオンの形態としては、酸化
物、ハロゲン化物、硫化物等が挙げられる。
【0058】また、本発明において活性化される活性水
素とは、化合物が有する全水素原子のうち、所望の反応
に関与する水素原子を示す。従って、上記の活性水素
は、特に限定されるものではないが、ヘテロ原子を含ま
ない有機化合物中の炭素原子に直接結合した水素原子よ
りも反応性が高い水素原子であることが好ましい。上記
活性水素としては、具体的には、例えば、ヘテロ原子に
直接結合した水素原子;電子吸引基に隣接する炭素に結
合した水素原子(α−水素原子);置換芳香族を構成す
る水素原子;アルデヒドやカルボン酸等の官能基を構成
する水素原子が挙げられる。また、上記ヘテロ原子に直
接結合した水素原子としては、具体的には、例えば、−
NH2 基、−CONH基、−OH基、−SH基等の官能
基を構成する水素原子が挙げられる。また、電子吸引基
に隣接した炭素に結合した水素原子としては、例えば、
カルボニル化合物のα位の水素原子等が挙げられる。
【0059】従って、本発明にかかる活性水素含有化合
物とは、上記活性水素を有する化合物を示す。そして、
活性水素含有化合物のうち不飽和カルボン酸がより好適
であり、不飽和カルボン酸のうち、(メタ)アクリル酸
が最適である。尚、活性水素含有化合物は、活性水素を
複数有していてもよい。また、活性水素含有化合物が活
性水素を複数有している場合において、これら活性水素
の種類は、互いに同一であってもよく、互いに異なって
いてもよい。
【0060】本発明において、活性水素含有化合物の活
性化とは、該活性水素含有化合物から、上記活性水素を
引き抜く(或いは、より解離し易くする)こと、即ち、
活性水素含有化合物が有する活性水素の活性化を意味す
る。つまり、上記高分子ゲルは、上記活性水素含有化合
物から、上記活性水素を引き抜くか、或いは活性水素を
より解離し易くすることによって求核付加させる、上記
活性水素の活性化を伴う種々の反応に好適に用いること
ができる。
【0061】上記活性水素含有化合物の活性化を伴う本
発明の高分子ゲルを適用することができる反応例、即
ち、触媒として上記高分子ゲルを好適に用いることがで
きる、上記活性水素の活性化を伴う種々の反応例を以下
に示す。但し、以下の反応例は、上記高分子ゲルを適用
することができる反応の一例であって、以下の反応にの
み限定されるものではない。尚、以下の反応例(反応
式)中のR、R1 、R2 は各々独立して水素原子または
アルキル基等の有機残基を表し、Arはアリール基を表
し、XはF、Cl、Br、I等のハロゲン原子を表し、
AはO、S、またはNHを表す。
【0062】ヘテロ原子に直接結合した水素原子が関与
する反応としては、例えば、
【0063】
【化9】
【0064】等の反応例(反応式)で表される、アミン
類(第1アミン類または第2アミン類)への環状ヘテロ
化合物(例えばエチレンオキサイド、エチレンイミン、
エチレンスルフィド等)の付加反応;
【0065】
【化10】
【0066】等の反応例で表される、アミン類(第1ア
ミン類または第2アミン類)からアミドへの変換反応;
【0067】
【化11】
【0068】等の反応例で表される、アミド類の加水分
解反応;
【0069】
【化12】
【0070】等の反応例で表される、アミド類への環状
ヘテロ化合物の付加反応、より具体的には、例えば、ピ
ロリドン、イソシアヌル酸へのエチレンオキサイドの付
加反応;
【0071】
【化13】
【0072】等の反応例で表される、チオアミド類への
環状ヘテロ化合物の付加反応;
【0073】
【化14】
【0074】等の反応例で表される、アルコール類(第
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)への環状ヘテロ化合物の付加反応、具体的に
は、メタノール、エタノール、プロパノール、もしくは
ブタノールへの、エチレンオキサイドやプロピレンオキ
サイド等のオキシラン化合物の付加反応;
【0075】
【化15】
【0076】等の反応例で表される、アルコール類(第
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)とハロゲン化水素との反応、より具体的には、
例えば、イソプロピルアルコールと濃臭化水素とから臭
化イソプロピルを合成する上記の反応;
【0077】
【化16】
【0078】等の反応例で表される、アルコール類(第
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)を用いたエステルの合成反応;
【0079】
【化17】
【0080】等の反応例で表される、アルコール類(第
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)の酸化反応;
【0081】
【化18】
【0082】等の反応例で表される、フェノール類(具
体的には、フェノール、ハイドロキノン、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、BHPF
(ビスヒドロキシフェニルフルオレン)、ジヒドロキシ
ジフェニルメタン等)への環状ヘテロ化合物の付加反
応;
【0083】
【化19】
【0084】等の反応例で表される、フェノール類とハ
ロゲン化アルキルとからエーテル類を合成する反応(ウ
ィリアムソン(Williamson)合成反応)、より具体的に
は、例えば、p−クレゾールと臭化p−ニトロベンジル
とからp−ニトロベンジル−p−トリルエーテルを合成
する上記の反応;
【0085】
【化20】
【0086】等の反応例で表される、フェノール類を用
いたエステルの合成反応、より具体的には、例えば、p
−ニトロフェノールと無水酢酸とから酢酸p−ニトロフ
ェニルを合成する上記の反応、あるいは、o−ブロモフ
ェノールと塩化p−トルエンスルホニルとからo−ブロ
モフェニル−p−トルエンスルホン酸を合成する上記の
反応;
【0087】
【化21】
【0088】等の反応例で表される、チオール類(第1
チオール類、第2チオール類、または第3チオール類)
への環状ヘテロ化合物の付加反応;
【0089】
【化22】
【0090】等の反応例で表される、チオフェノール類
への環状ヘテロ化合物の付加反応;等が挙げられる。
尚、ヘテロ原子に直接結合した水素原子が関与する反応
は、上記例示の反応にのみ限定されるものではない。
【0091】また、電子吸引基に隣接する炭素原子に結
合した水素原子が関与する反応としては、例えば、
【0092】
【化23】
【0093】等の反応例で表される、ケトン類のハロゲ
ン化反応、より具体的には、例えば、シクロヘキサノン
に臭素原子を導入する上記の反応;
【0094】
【化24】
【0095】等の反応例で表されるアルドール縮合反
応、より具体的には、例えばアセトアルデヒドから3−
ヒドロキシブタナールを合成する上記の反応や、アセト
ンからジアセトンアルコールを合成する上記の反応、
【0096】
【化25】
【0097】等の反応例で表されるパーキン(Perkin)
縮合反応、
【0098】
【化26】
【0099】等の反応例で表されるクネーベナーゲル(K
noevenagel) 縮合反応、
【0100】
【化27】
【0101】等の反応例で表されるコープ(Cope)反
応、
【0102】
【化28】
【0103】等の反応例で表されるウィッティヒ(Witti
g)反応等の、カルボニル化合物(ケトン類)への各種求
核付加反応;
【0104】
【化29】
【0105】等の反応例で表されるクライゼン(Claise
n) 縮合反応等の、ケトン類への求核アシル置換反応;
【0106】
【化30】
【0107】等の反応例で表される、α,β−不飽和カ
ルボニル化合物(ケトン類)への付加反応(マイケル(M
ichael) 付加反応);等が挙げられる。尚、電子吸引基
に隣接する炭素原子に結合した水素原子が関与する反応
は、上記例示の反応にのみ限定されるものではない。
【0108】さらに、置換芳香族を構成する水素原子が
関与する反応としては、例えば、
【0109】
【化31】
【0110】等の反応例で表されるライマー・ティーマ
ン(Reimer-Tiemann)反応;
【0111】
【化32】
【0112】等の反応例で表されるフリーデルクラフツ
(Friedel-Crafts)アシル化反応;等が挙げられる。尚、
置換芳香族を構成する水素原子が関与する反応は、上記
例示の反応にのみ限定されるものではない。
【0113】また、アルデヒドやカルボン酸等の官能基
を構成する水素原子が関与する反応としては、例えば、
【0114】
【化33】
【0115】等の反応例で表される、カルボン酸類(具
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、プロピオ
ン酸等)への環状ヘテロ化合物(具体的には、エチレン
オキサイド、プロピオンオキサイド等)の付加反応、よ
り具体的には、工業的に重要な反応として知られる、
(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイドとから(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステルを合成する反
応や、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル
を合成する反応;
【0116】
【化34】
【0117】等の反応例で表される、チオカルボン酸類
への環状ヘテロ化合物の付加反応;
【0118】
【化35】
【0119】等の反応例で表される、アルデヒド類への
アルコールの付加反応;
【0120】
【化36】
【0121】等の反応例で表される、カニッツァーロ
(Cannizzaro)反応、より具体的には、n−ブチルホル
ムアルデヒドにホルムアルデヒドを2回、アルドール縮
合させた後、カニッツァーロ反応を行うことでトリメチ
ロールプロパンを製造する反応;等が挙げられる。尚、
アルデヒドやカルボン酸等の官能基を構成する水素原子
が関与する反応は、上記例示の反応にのみ限定されるも
のではない。
【0122】本発明にかかる高分子ゲルは、これら活性
水素含有化合物中の活性水素の活性化を伴う反応のなか
でも、フェノール類、アミド類、アルコール類、カルボ
ン酸類、マロン酸、シアノ酢酸およびそのエステルから
なる群より選ばれる活性水素含有化合物に、環状ヘテロ
化合物(好適にはオキシラン化合物、特に好適にはエチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド)またはアルデ
ヒド類を付加反応させる反応;マンニッヒ反応;芳香族
化合物のアルキル化反応;特公昭41−13019号公
報に記載の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエ
ステル化反応;シアノヒドリン生成反応;シアノエチル
化反応;等により好適に用いられ、そのなかでも、フェ
ノール類、アミド類、アルコール類、カルボン酸類、マ
ロン酸、シアノ酢酸およびそのエステルからなる群より
選ばれる活性水素含有化合物(より好適にはカルボン酸
類およびそのエステルであり、特に好適には(メタ)ア
クリル酸))に、オキシラン化合物またはアルデヒド類
(より好適にはオキシラン化合物)を付加反応させる反
応に特に好適に用いられる。
【0123】このように、本発明にかかる高分子ゲル
は、活性水素含有化合物中の活性水素の活性化を伴う種
々の反応における触媒として好適に供することができ
る。
【0124】本発明において、上記高分子ゲルを触媒と
して用いて上記活性水素の活性化を伴う上記各種反応を
行う際には、上記活性水素の活性化を伴う反応系中にお
ける単位体積当たりの上記高分子ゲルの活性点(反応活
性点)、特に塩基性活性点の量が0.43mmol/c
c以上となる条件の下で上記活性水素の活性化を行うこ
とが好ましい。
【0125】上記活性水素の活性化を伴う反応系中にお
ける単位体積当たりの上記高分子ゲルの活性点の量は、
(a)上記高分子ゲルの乾燥単位重量あたりの官能基の
量、即ち、上記高分子ゲルを構成する高分子化合物(重
合体)の単位重量あたりの官能基の量(mmol/g)
と(b)上記反応系中での上記高分子ゲルの見かけ比重
(g/cc)との積で表せる。従って、本発明におい
て、上記高分子ゲルを触媒として用いて上記活性水素の
活性化を伴う上記各種反応を行う際には、上記高分子ゲ
ルの乾燥単位重量あたりの塩基性官能基の量と上記活性
水素の活性化を伴う反応系中での上記高分子ゲルの見か
け比重との積が0.43mmol/cc以上となる条件
の下で上記活性水素の活性化を行うことが好ましい。
【0126】上記高分子ゲルを構成する高分子化合物の
単位重量あたりの官能基の量は該高分子化合物を構成す
る元素によって一義的に決定し、元素分析等の手法を用
いて測定することができる。
【0127】一方、反応系中(反応液中)での高分子ゲ
ルの見かけ比重は上記高分子化合物の合成方法に由来す
る。つまり、反応系中での高分子ゲルの見かけ比重は、
上記高分子化合物の架橋度を向上させたり、上記高分子
化合物の合成時のモノマー濃度を調節することによって
調整することが可能である。従って、高分子化合物の合
成に際し、例えば懸濁重合時にモノマー相へ各種架橋剤
を投入したり、モノマー相のモノマー濃度を調節するこ
とで、上記活性水素の活性化を伴う上記各種反応を行う
際の反応系中における膨潤した上記高分子化合物の見か
け比重、即ち、上記高分子ゲルの見かけ比重を高くする
ことができる。
【0128】従って、本発明において、上記高分子ゲル
を触媒として用いて上記活性水素の活性化を伴う上記各
種反応を行う際には、上記活性水素の活性化を伴う反応
系中における単位体積当たりの上記高分子ゲルの塩基性
活性点の量が0.43mmol/cc以上となるよう
に、用いる高分子化合物(重合体)の種類に応じて高分
子化合物(重合体)合成時の反応条件を変更するか、あ
るいは、活性水素の活性化を伴う反応の種類に応じて、
該反応に適した高分子ゲルあるいは膨潤して高分子ゲル
となる高分子化合物の中から、上記反応系中における単
位体積当たりの上記高分子ゲルの塩基性活性点の量が
0.43mmol/cc以上となる高分子ゲルや高分子
化合物を選択的に用いることが好ましい。
【0129】このように、反応系中での活性点、特に塩
基性活性点の密度を高くすることにより、高分子ゲルの
使用量を少なくすることができると共に、生産性を向上
させることができる。
【0130】つまり、生産性向上のため、また、製品の
品質向上のためには、触媒としての上記高分子ゲルの仕
込み量が多いほど好ましい。しかしながら、反応器の大
きさや撹拌動力の問題からその使用量には限界がある。
従って、単位体積あたりの活性の高い触媒は非常に有用
である。
【0131】また、活性水素の活性化を伴う上記高分子
ゲルを用いた反応は、主反応の反応速度が副反応の反応
速度に比べて極めて大きい。従って、上記の構成によれ
ば、選択性をより一層向上させることができる。
【0132】上記高分子ゲルを反応系から分離・除去す
る方法としては、特に限定されるものではなく、例え
ば、濾過等の方法を採用することにより、上記高分子ゲ
ルを反応系から容易に分離・除去することができる。
【0133】以上のように、本発明にかかる活性水素含
有化合物の活性化方法は、活性水素含有化合物中の活性
水素を高分子ゲルを触媒として用いて活性化させる方法
である。また、上記の反応において触媒として用いられ
る、本発明にかかる高分子ゲルは、内部に溶媒を保持し
た3次元網目構造を有し、該3次元網目構造内部および
表面に活性点を有している構成を有している。
【0134】本発明によれば、上記活性水素含有化合物
の活性化方法に用いられる高分子ゲル(触媒)は、その
内部に溶媒を保持し、ゲルとなっていることで、固体と
液体の中間の物質形態を有し、反応後、反応系からの分
離・除去操作が容易である。また、上記の高分子ゲル
は、溶媒が保持された3次元網目構造を有し、その内部
および表面に活性点を有しているため、不均一系触媒と
比較して活性点の自由度が高く、また、活性水素含有化
合物の活性化が、3次元網目構造内部および表面の活性
点にて起こるため、触媒活性に優れ、上述した各種反応
における反応速度や反応基質の転化率を向上させること
ができる。従って、上記高分子ゲルを用いれば、活性水
素含有化合物を効率良く活性化することができ、反応速
度や反応基質の添加率等の触媒活性と分離操作等の作業
性とを共に満足させることができる。
【0135】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、反応基質の転化率および反
応生成物の選択率は、以下の定義に従った。
【0136】反応基質の転化率(%)=(消費された反
応基質のモル数/供給した反応基質のモル数)×100 反応生成物の選択率(%)=(反応生成物に転化した反
応基質のモル数/消費された反応基質のモル数)×10
0 また、反応溶液中における単位体積あたりの触媒(高分
子ゲル)の活性点(塩基性活性点)の量は、以下の定義
に従った。 反応溶液中における単位体積あたりの触媒の活性点の量
(mmol/cc)=触媒(高分子ゲル)となる重合体
(高分子化合物)の単位重量あたりの官能基(塩基性官
能基)の量(mmol/g)×反応溶液中の見かけ比重
(g/cc) 〔実施例1〕温度計、撹拌機、滴下装置および還流冷却
器を備えた反応容器に、溶媒としてのシクロヘキサン8
kgおよびソルビタンモノステアレート60gを仕込ん
で撹拌した。次いで、この反応容器に、6−(N,N−
ジプロペニルアミノ)−4−チアヘキサン酸とアクリル
酸とからなる単量体成分597g、架橋剤としてのトリ
メチロールプロパントリアクリレート56g、および溶
媒としての水751gを添加し、得られた混合溶液を7
0℃に昇温した。尚、上記6−(N,N−ジプロペニル
アミノ)−4−チアヘキサン酸は、単量体成分中におけ
る6−(N,N−ジプロペニルアミノ)−4−チアヘキ
サン酸の使用量が5モル%となるように添加した。一
方、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−アミ
ジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製;商
品名 V−50)の0.4重量%水溶液200mlを滴
下装置に仕込んだ。次いで、上記滴下装置内の重合開始
剤を、上記混合溶液に20分間かけて滴下した。その
後、この反応容器内の反応溶液をさらに3時間撹拌して
撹拌を停止した。次いで、上記の反応溶液を一晩室温で
放置することにより反応を熟成させた。この結果、0.
1mm〜2mm程度のビーズ状の反応生成物が得られ
た。
【0137】その後、得られたビーズ状の反応生成物を
ロータリーエバポレータに移し、シクロヘキサンを留去
した後、減圧下、80℃で乾燥させて540gの重合体
(1)を得た。該重合体(1)は、アミノチアヘキサン
酸に由来する構造を備えた官能基を有していた。また、
該重合体(1)の単位重量あたりの塩基性官能基の量は
0.6mmol/gであった。
【0138】その後、該重合体(1)をイオン交換水に
浸漬することにより、該イオン交換水を吸収し、該重合
体(1)1mlあたり約4倍に膨潤したゲル体を、本発
明にかかる高分子ゲル(架橋性高分子ゲル)として得た
(膨潤比4)。
【0139】〔実施例2〕温度計、撹拌機、滴下装置お
よび還流冷却器を備えた反応容器に、溶媒としてのシク
ロヘキサン8kgおよび所定量の懸濁剤を仕込んで撹拌
した。次いで、この反応容器に、6−(N,N−ジプロ
ペニルアミノ)−4−チアヘキサン酸とアクリル酸とか
らなる単量体成分600g、架橋剤としてのトリメチロ
ールプロパントリアクリレート20g、および溶媒とし
ての水600gを添加し、70℃に昇温した。尚、上記
6−(N,N−ジプロペニルアミノ)−4−チアヘキサ
ン酸は、単量体成分中における6−(N,N−ジプロペ
ニルアミノ)−4−チアヘキサン酸の使用量が30モル
%となるように添加した。一方、重合開始剤としての
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
(和光純薬工業株式会社製;商品名 V−50)の所定
濃度の水溶液を所定量、滴下装置に仕込んだ。次いで、
上記滴下装置内の重合開始剤を、上記反応溶液に20分
間かけて滴下し、その後、この反応溶液をさらに3時間
撹拌して撹拌を停止した。次いで、上記の反応溶液を2
時間室温で維持することにより反応を熟成させた。その
後、この反応溶液をデカンテーションし、所定量のシク
ロヘキサンで洗浄した後、減圧下、80℃で乾燥させて
約440gの重合体(2)を得た。該重合体(2)の単
位重量あたりの塩基性官能基の量は0.7mmol/g
であった。
【0140】その後、該重合体(2)をイオン交換水に
浸漬することにより、該イオン交換水を吸収し、該重合
体(2)1mlあたり約7倍に膨潤したゲル体を、本発
明にかかる高分子ゲル(架橋性高分子ゲル)として得た
(膨潤比7)。
【0141】〔実施例3〕温度計、撹拌機、滴下装置お
よび還流冷却器を備えた反応容器に、溶媒としてのシク
ロヘキサン8kgおよび所定の懸濁剤を仕込んで撹拌し
た。次いで、上記反応容器に、N,N−ジアリルアミン
とアクリル酸とからなる単量体成分580g、架橋剤と
してのトリメチロールプロパントリアクリレート28
g、および溶媒としての水2400gを添加し、70℃
に昇温した。尚、上記N,N−ジアリルアミンは、単量
体成分中におけるN,N−ジアリルアミンの使用量が5
%となるように添加した。一方、重合開始剤としての
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
(和光純薬工業株式会社製;商品名 V−50)の所定
濃度の水溶液を所定量、滴下装置に仕込んだ。次いで、
上記滴下装置内の重合開始剤を、上記反応溶液に20分
間かけて滴下した。その後、この反応溶液をさらに3時
間撹拌して撹拌を停止した。次いで、上記の反応溶液を
一晩所定温度で維持することにより反応を熟成させた。
この結果、0.1mm〜2mm程度のビーズ状の反応生
成物が得られた。
【0142】その後、得られたビーズ状の反応生成物を
ロータリーエバポレータに移し、シクロヘキサンを留去
した後、減圧下、80℃で所定時間乾燥して600gの
重合体(3)を得た。該重合体(3)の単位重量あたり
の塩基性官能基の量は2.5mmol/gであった。
【0143】その後、該重合体(3)をイオン交換水に
浸漬することにより、該イオン交換水を吸収し、該重合
体(3)1mlあたり約3倍に膨潤したゲル体を、本発
明にかかる高分子ゲル(架橋性高分子ゲル)として得た
(膨潤比3)。
【0144】〔実施例4〕温度計、撹拌機、滴下装置お
よび還流冷却器を備えた反応容器に、溶媒としてのシク
ロヘキサン400gおよび所定量の懸濁剤を仕込んで撹
拌した。次いで、この反応容器に、N,N−ジアリルア
ミンとアクリル酸とからなる単量体成分29g、架橋剤
としてのトリメチロールプロパントリアクリレートを添
加し、70℃に昇温した。尚、上記N,N−ジアリルア
ミンは、単量体成分中におけるN,N−ジアリルアミン
の使用量が30%となるように添加した。また、上記ト
リメチロールプロパントリアクリレートは、反応溶液中
におけるトリメチロールプロパントリアクリレートの使
用量が、1%となるように添加した。一方、重合開始剤
としての2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)
二塩酸塩(和光純薬工業株式会社製;商品名 V−5
0)の所定濃度の水溶液を所定量、滴下装置に仕込ん
だ。次いで、上記滴下装置内の重合開始剤を、上記反応
溶液に10分間かけて滴下し、その後、この反応溶液を
さらに3時間撹拌して撹拌を停止した。その後、上記の
反応溶液をデカンテーションし、所定量のシクロヘキサ
ンで洗浄した後、減圧下、80℃で乾燥させて約27g
の重合体(4)を得た。該重合体(4)の単位重量あた
りの塩基性官能基の量は3.8mmol/gであった。
【0145】その後、該重合体(4)をイオン交換水に
浸漬することにより、該イオン交換水を吸収し、該重合
体(4)1mlあたり約8倍に膨潤したゲル体を、本発
明にかかる高分子ゲル(架橋性高分子ゲル)として得た
(膨潤比8)。
【0146】〔実施例5〕N,N−ジアリルアミンおよ
びN,N,N−トリアリルアミンに、各々塩酸(36重
量%水溶液)を等量加えて中和することによって、単量
体を含む水溶液として、N,N−ジアリルアミン塩酸塩
水溶液およびN,N,N−トリアリルアミン塩酸塩水溶
液を各々調製した。次いで、このN,N−ジアリルアミ
ン塩酸塩水溶液とN,N,N−トリアリルアミン塩酸塩
水溶液とを重量比1:1の割合で混合した後、重合開始
剤である2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパ
ン)二塩酸塩を該水溶液に対して0.8重量%添加して
水相を形成した。
【0147】一方、分散媒としてのトルエンと1,1,
1−トリクロロエタンとを体積比1:1の割合で混合し
た後、懸濁剤であるソルビタンモノステアレートとポリ
ビニルアルコールとを該混合液に対してそれぞれ0.8
重量%添加して、油相を形成した。
【0148】次いで、温度計、撹拌装置および還流冷却
器を備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(反応容器)
に、上記水相と油相とを体積比1:4の割合で所定量、
仕込んだ。そして、撹拌翼を回転数200rpmで回転
させることによって、反応液である両相を緩やかに混合
・撹拌しながら、55℃で4時間重合させた後、75℃
で2時間重合させた。
【0149】続いて、反応液を冷却し、生成したポリマ
ービーズ(固体)を濾過して取り出した。その後、該ポ
リマービーズを70℃で減圧乾燥させることにより、環
状アミン構造を有する粒状樹脂として、平均粒径0.6
mmの粒状樹脂(5)を得た。該粒状樹脂(5)の単位
重量あたりの塩基性官能基の量は6.5mmol/gで
あった。
【0150】〔実施例6〕実施例5において、単量体を
含む水相の調製方法を以下に示すように変更した以外
は、実施例5と同様の反応・操作を行って、環状アミン
構造を有する粒状樹脂を製造した。つまり、先ず、N,
N,N−トリアリルアミンに塩酸(36重量%水溶液)
を加えて中和することによって、単量体(N,N,N−
トリアリルアミン塩酸塩)を含む水溶液を調製した後、
重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2−アミジノ
プロパン)二塩酸塩を上記の水溶液に対して0.8重量
%添加して、水相を形成した。
【0151】一方、分散媒としてのトルエンと1,1,
1−トリクロロエタンとを体積比1:1の割合で混合し
た後、懸濁剤であるソルビタンモノステアレートとポリ
ビニルアルコールとを該混合液に対してそれぞれ0.8
重量%添加して、油相を形成した。
【0152】次いで、温度計、撹拌装置および還流冷却
器を備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(反応容器)
に、上記水相と油相とを体積比1:4の割合で所定量、
仕込んだ。そして、撹拌翼を回転数200rpmで回転
させることによって、反応液である両相を緩やかに混合
・撹拌しながら、55℃で4時間重合させた後、75℃
で2時間重合させた。これにより、上記単量体由来の環
状アミン構造を備えたポリマーを得た。続いて、反応液
を冷却し、生成したポリマービーズ(固体)を濾過して
取り出した。その後、該ポリマービーズを70℃で減圧
乾燥させることにより、上記単量体由来の環状アミン構
造を備えた重合体(6)を得た。該重合体(6)の単位
重量あたりの塩基性官能基の量は5.8mmol/gで
あった。
【0153】〔実施例7〕N,N,N−トリアリルアミ
ンに塩酸(36重量%水溶液)を加えて中和することに
よって、単量体(N,N,N−トリアリルアミン塩酸
塩)を含む水溶液を調製した後、架橋剤としてのトリエ
チレングリコールジビニルエーテルを該水溶液に対して
20重量%添加した。その後、さらに、重合開始剤であ
る2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)二塩
酸塩を上記の水溶液に対して0.8重量%添加して、水
相を形成した。
【0154】一方、分散媒としてのトルエンと1,1,
1−トリクロロエタンとを体積比1:1の割合で混合し
た後、懸濁剤であるソルビタンモノステアレートとポリ
ビニルアルコールとを該混合液に対してそれぞれ0.8
重量%添加して、油相を形成した。
【0155】次いで、温度計、撹拌装置および還流冷却
器を備えた容量1Lのセパラブルフラスコ(反応容器)
に、上記水相と油相とを体積比1:4の割合で所定量、
仕込んだ。そして、撹拌翼を回転数200rpmで回転
させることによって、反応液である両相を緩やかに混合
・撹拌しながら、55℃で4時間重合させた後、75℃
で2時間重合させた。
【0156】続いて、反応液を冷却し、生成したポリマ
ービーズ(固体)を濾過して取り出した。その後、該ポ
リマービーズを70℃で減圧乾燥させることにより、架
橋性高分子として、環状アミン構造を有する粒状樹脂と
して、平均粒径0.6mmの粒状樹脂(7)を得た。元
素分析により単位重量あたりの窒素含有量から求めた上
記粒状樹脂(7)の単位重量あたりの塩基性官能基の量
は5.8mmol/gであった。
【0157】〔実施例8〕N,N,N−トリアリルアミ
ンに、塩酸(36重量%水溶液)を等量加えて中和する
ことによって、単量体を含む水溶液として、N,N,N
−トリアリルアミン塩酸塩水溶液を調製した。次いで、
このN,N,N−トリアリルアミン塩酸塩水溶液100
0gに重合開始剤である2,2’−アゾビス−(2−ア
ミジノプロパン)二塩酸塩を該水溶液に対して0.8重
量%添加して水相を形成した。
【0158】一方、分散媒としてのトルエンと1,1,
1−トリクロロエタンとを各々4Lづつ混合した後、懸
濁剤であるソルビタンモノステアレートとポリビニルア
ルコールとを該混合液に対してそれぞれ0.8重量%添
加して、油相を形成した。
【0159】次いで、温度計、撹拌装置および還流冷却
器を備えた容量20Lの重合釜に、上記水相と油相とを
仕込んだ。そして、撹拌翼を回転数120rpmで回転
させることによって、反応液である両相を緩やかに混合
・撹拌しながら、55℃で4時間重合させた後、85℃
で2時間重合させた。
【0160】続いて、反応液を冷却し、生成したポリマ
ービーズ(固体)を濾過して取り出した。その後、該ポ
リマービーズを60℃で減圧乾燥させることにより、環
状アミン構造を有する粒状樹脂として、平均粒径0.6
mmの粒状樹脂259gを得た。該粒状樹脂の単位重量
あたりの塩基性官能基の量は5.8mmol/gであ
る。
【0161】次に、この重合体41gに、12重量%の
ジエチレングリコールジビニルエーテルのメタノール溶
液118gと7重量%の2,2’−アゾビス−(2−ア
ミジノプロパン)二塩酸塩水溶液(重合開始剤)14.
7gとの混合物を含浸させた。次いで、上記の混合物を
含浸させた重合体を、トルエン690g中で、窒素をバ
ブリングしながら2.5時間加熱した。このときのトル
エン相の温度は67℃であった。冷却後、得られた反応
物をトルエンで洗浄し、引き続きメタノールで洗浄後、
60℃で減圧乾燥させることにより、上記重合体がジエ
チレングリコールジビニルエーテルで処理されてなる樹
脂(8)を得た。
【0162】〔実施例9〕実施例1で得られた高分子ゲ
ルを触媒として用いた、α,β−不飽和化合物への水酸
基含有化合物の付加反応(マイケル付加反応)として、
アクロレインの水和反応を行った。先ず、温度計および
撹拌装置等を備えた反応容器に所定量の水を入れた後、
水溶液中における濃度が28重量%となるようにアクロ
レイン(活性水素含有化合物)を所定量仕込んだ。次
に、触媒として、上記の高分子ゲルを、上記アクロレイ
ン水溶液に対して19容量%添加して反応溶液とした。
その後、上記の反応溶液を、撹拌しながら90℃で5時
間反応させることにより、アクロレインを水和した。
【0163】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をガスクロマトグラフ(GC)により分析した結果、ア
クロレインの転化率は57%であり、水和反応生成物で
ある3−ヒドロキシプロパナールおよびその2量体の合
計の選択率は89%であった。尚、上記アクロレイン
(反応基質)の転化率並びに3−ヒドロキシプロパナー
ル(反応生成物)およびその2量体(副反応の反応生成
物)の選択率は、前述の定義に従った。
【0164】つまり、アクロレインの転化率(%)=
(消費されたアクロレインのモル数/供給したアクロレ
インのモル数)×100 3−ヒドロキシプロパナールの選択率(%)=(3−ヒ
ドロキシプロパナールに転化したアクロレインのモル数
/消費されたアクロレインのモル数)×100 3−ヒドロキシプロパナール2量体の選択率(%)=
(3−ヒドロキシプロパナール2量体に転化したアクロ
レインのモル数/消費されたアクロレインのモル数)×
100 上記の結果から、本実施例で得られた高分子ゲルは、水
の活性水素を活性化させることができると共に、3−ヒ
ドロキシプロパナールおよびその2量体を高い選択率で
得ることができることが判った。
【0165】〔実施例10〕実施例1で得られた重合体
(1)を用いて、アルコール類への環状ヘテロ化合物の
付加反応として、n−ブチルアルコールのヒドロキシプ
ロピル化反応を行った。
【0166】即ち、温度計および撹拌装置等を備えた反
応容器に、n−ブチルアルコール(活性水素含有化合
物)とプロピレンオキサイドとを、n−ブチルアルコー
ルに対するプロピレンオキサイドの仕込み量が、モル比
で1.2倍となるように仕込んで反応溶液とした。次
に、反応溶液に、上記の重合体(1)を、n−ブチルア
ルコールに対して10重量%添加した。その後、該反応
溶液を撹拌しながら、90℃で4.5時間反応させるこ
とにより、上記の重合体(1)を反応溶液中で膨潤させ
て高分子ゲルを形成させ、この高分子ゲルを触媒として
用いてn−ブチルアルコールのヒドロキシプロピル化を
行った。
【0167】反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液をG
Cにより分析した。その結果、n−ブチルアルコールの
転化率は67%であり、n−ブチルアルコールにプロピ
レンオキサイドが1モル付加したプロピレンオキサイド
1モル付加体(反応生成物)の選択率は86%であり、
n−ブチルアルコールにプロピレンオキサイドが2モル
付加したプロピレンオキサイド2モル付加体(副反応の
反応生成物)の選択率は14%であった。尚、上記n−
ブチルアルコール(反応基質)の転化率並びにプロピレ
ンオキサイド1モル付加体およびプロピレンオキサイド
2モル付加体の選択率は、前述の定義に従って求めた。
【0168】〔実施例11〕実施例1で得られた重合体
(1)を用いて、フェノール類への環状ヘテロ化合物の
付加反応として、フェノールのヒドロキシプロピル化反
応を行った。即ち、温度計および撹拌装置等を備えた反
応容器に、フェノール(活性水素含有化合物)とプロピ
レンオキサイドとを、フェノールに対するプロピレンオ
キサイドの仕込み量が、モル比で1.6倍となるように
仕込んで反応溶液とした。次に、反応溶液に、上記の重
合体(1)を、フェノールに対して10重量%添加し
た。その後、該反応溶液を撹拌しながら、90℃で4.
5時間反応させることにより、上記の重合体(1)を反
応溶液中で膨潤させて高分子ゲルを形成させ、この高分
子ゲルを触媒として用いてフェノールのヒドロキシプロ
ピル化を行った。
【0169】反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液をG
Cにより分析した。その結果、フェノールの転化率は1
00%であり、フェノールにプロピレンオキサイドが1
モル付加したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応
生成物)の選択率は94%であり、フェノールにプロピ
レンオキサイドが2モル付加したプロピレンオキサイド
2モル付加体(副反応の反応生成物)の選択率は5%で
あった。尚、上記フェノール(反応基質)の転化率並び
にプロピレンオキサイド1モル付加体およびプロピレン
オキサイド2モル付加体の選択率は、前述の定義に従っ
て求めた。
【0170】〔実施例12〕実施例1で得られた重合体
(1)を用いて、アミド類への環状ヘテロ化合物の付加
反応として、2−ピロリドンのヒドロキシプロピル化反
応を行った。
【0171】即ち、温度計および撹拌装置等を備えた反
応容器に、2−ピロリドン(活性水素含有化合物)とプ
ロピレンオキサイドとを、2−ピロリドンに対するプロ
ピレンオキサイドの仕込み量が、モル比で1.4倍とな
るように仕込んで反応溶液とした。次に、反応溶液に、
上記の重合体(1)を、2−ピロリドンに対して10重
量%添加した。その後、該反応溶液を撹拌しながら、9
0℃で5時間反応させることにより、上記の重合体
(1)を反応溶液中で膨潤させて高分子ゲルを形成さ
せ、この高分子ゲルを触媒として用いて2−ピロリドン
のヒドロキシプロピル化を行った。
【0172】反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液をG
Cにより分析した。その結果、2−ピロリドンの転化率
は44%であり、2−ピロリドンにプロピレンオキサイ
ドが1モル付加したプロピレンオキサイド1モル付加体
(反応生成物)の選択率は94%であり、2−ピロリド
ンにプロピレンオキサイドが2モル付加したプロピレン
オキサイド2モル付加体(副反応の反応生成物)の選択
率は2%であった。尚、上記2−ピロリドン(反応基
質)の転化率並びにプロピレンオキサイド1モル付加体
およびプロピレンオキサイド2モル付加体の選択率は、
前述の定義に従って求めた。
【0173】〔実施例13〕実施例1で得られた重合体
(1)を用いて、電子吸引基に隣接する炭素原子に結合
した水素原子(α−水素原子)が関与する反応である、
マロン酸とベンズアルデヒドとの縮合反応(Knoevenage
l 縮合反応)を行った。
【0174】即ち、温度計および撹拌装置等を備えた反
応容器に、マロン酸(活性水素含有化合物)とベンズア
ルデヒドとを、両者のモル比が1:1となるように仕込
んで反応溶液とした。次に、反応溶液に、上記の重合体
(1)を、マロン酸に対して10重量%添加した。その
後、該反応溶液を撹拌しながら、90℃で11時間反応
させることにより、上記の重合体(1)を反応溶液中で
膨潤させて高分子ゲルを形成させ、この高分子ゲルを触
媒として用いてマロン酸とベンズアルデヒドとの縮合反
応を行った。
【0175】反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液をG
Cにより分析した。その結果、マロン酸の転化率は61
%であり、桂皮酸(反応生成物)の選択率は84%であ
った。尚、上記マロン酸(反応基質)の転化率並びに桂
皮酸の選択率は、前述の定義に従って求めた。
【0176】〔実施例14〕実施例2で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、アミド類への環状ヘテロ化合
物の付加反応として、2−ピロリドンのヒドロキシプロ
ピル化反応を行った。先ず、温度計および撹拌装置等を
備えた反応容器に、2−ピロリドン(活性水素含有化合
物)とプロピレンオキサイドとを、2−ピロリドンに対
するプロピレンオキサイドの仕込み量が、モル比で1.
4倍となるように仕込んで反応溶液とした次に、この反
応溶液に、触媒として、上記の高分子ゲルを、2−ピロ
リドンに対して10重量%添加した。その後、上記の反
応溶液を、撹拌しながら90℃で5時間反応させること
により、2−ピロリドンのヒドロキシプロピル化を行っ
た。
【0177】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、2−ピロリドンの転化率は
44%であり、2−ピロリドンにプロピレンオキサイド
が1モル付加したプロピレンオキサイド1モル付加体
(反応生成物)の選択率は94%、2−ピロリドンにプ
ロピレンオキサイドが2モル付加したプロピレンオキサ
イド2モル付加体(副反応の反応生成物)の選択率は2
%であった。尚、上記2−ピロリドン(反応基質)の転
化率並びに2−ピロリドンのプロピレンオキサイド1モ
ル付加体およびプロピレンオキサイド2モル付加体の選
択率は、前述の定義に従って求めた。
【0178】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、2−ピロリドンの活性水素を活性化させること
ができると共に、2−ピロリドンのプロピレンオキサイ
ド1モル付加体を高い選択率で得ることができることが
判った。
【0179】〔実施例15〕実施例2で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、カルボン酸類への環状ヘテロ
化合物の付加反応として、アクリル酸のヒドロキシプロ
ピル化反応を行った。先ず、温度計および撹拌装置等を
備えた反応容器に、アクリル酸(活性水素含有化合物)
とプロピレンオキサイドとを、アクリル酸に対するプロ
ピレンオキサイドの仕込み量が、モル比で1.2倍とな
るように仕込んで反応溶液とした。次に、この反応溶液
に、触媒として、上記の高分子ゲルを、アクリル酸に対
して10重量%添加した。その後、上記の反応溶液を、
撹拌しながら90℃で2時間反応させることにより、ア
クリル酸のヒドロキシプロピル化を行った。
【0180】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、アクリル酸の転化率は95
%であり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル
付加したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成
物)の選択率は92%、アクリル酸にプロピレンオキサ
イドが2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付加
体(副反応の反応生成物)の選択率は8%であった。
尚、上記アクリル酸(反応基質)の転化率並びにプロピ
レンオキサイド1モル付加体およびプロピレンオキサイ
ド2モル付加体の選択率は、前述の定義に従って求め
た。
【0181】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、アクリル酸の活性水素を活性化させることがで
きると共に、アクリル酸のプロピレンオキサイド1モル
付加体を高い選択率で得ることができることが判った。
【0182】〔実施例16〕実施例2で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、フェノール類への環状ヘテロ
化合物の付加反応として、フェノールのヒドロキシプロ
ピル化反応を行った。先ず、温度計および撹拌装置等を
備えた反応容器に、フェノール(活性水素含有化合物)
とプロピレンオキサイドとを、フェノールに対するプロ
ピレンオキサイドの仕込み量が、モル比で1.6倍とな
るように仕込んで反応溶液とした。次に、この反応溶液
に、触媒として、上記の高分子ゲルを、フェノールに対
して10重量%添加した。その後、上記の反応溶液を、
撹拌しながら90℃で4.5時間反応させることによ
り、フェノールのヒドロキシプロピル化を行った。
【0183】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、フェノール(反応基質)の
転化率は100%であり、フェノールにプロピレンオキ
サイドが1モル付加したプロピレンオキサイド1モル付
加体(反応生成物)の選択率は94%、フェノールにプ
ロピレンオキサイドが2モル付加したプロピレンオキサ
イド2モル付加体(副反応の反応生成物)の選択率は5
%であった。尚、上記フェノール(反応基質)の転化率
並びにプロピレンオキサイド1モル付加体およびプロピ
レンオキサイド2モル付加体の選択率は、前述の定義に
従って求めた。
【0184】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、フェノールの活性水素を活性化させることがで
きると共に、フェノールのプロピレンオキサイド1モル
付加体を高い選択率で得ることができることが判った。
【0185】〔実施例17〕実施例2で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、フェノール類への環状ヘテロ
化合物の付加反応として、ハイドロキノンのヒドロキシ
プロピル化反応を行った。先ず、温度計および撹拌装置
等を備えた反応容器に、ハイドロキノン(活性水素含有
化合物)とプロピレンオキサイドとを、ハイドロキノン
に対するプロピレンオキサイドの仕込み量が、モル比で
2.0倍となるように仕込んで反応溶液とした。次に、
上記の反応溶液に、触媒として、上記の高分子ゲルを、
ハイドロキノンに対して26重量%添加した。その後、
上記の反応溶液を、撹拌しながら90℃で6.5時間反
応させることにより、ハイドロキノンのヒドロキシプロ
ピル化を行った。
【0186】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、ハイドロキノンの転化率は
84%であり、ハイドロキノンにプロピレンオキサイド
が2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付加体
(反応生成物)の選択率は100%であった。尚、上記
ハイドロキノンの転化率(反応基質)並びにプロピレン
オキサイド2モル付加体の選択率は、前述の定義に従っ
て求めた。
【0187】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、ハイドロキノンの活性水素を活性化させること
ができると共に、ハイドロキノンのプロピレンオキサイ
ド2モル付加体を高い選択率で得ることができることが
判った。
【0188】〔実施例18〕実施例2で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、カルボン酸類への環状ヘテロ
化合物の付加反応として、アクリル酸のヒドロキシエチ
ル化反応を行った。先ず、温度計、ガス供給管および撹
拌装置等を備えた反応容器に、アクリル酸(活性水素含
有化合物)を20g仕込むと共に、触媒として、上記の
高分子ゲルを、アクリル酸に対して10重量%添加し
た。次に、アクリル酸を撹拌しながら70℃に加熱した
後、反応容器内に、エチレンオキサイドを、アクリル酸
に対する仕込み量が、モル比で1.1倍となるようにガ
ス供給管を介して4時間かけて連続的に導入した。その
後、該反応溶液を撹拌しながら70℃でさらに3時間熟
成させることにより、アクリル酸のヒドロキシエチル化
を行った。
【0189】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、アクリル酸の転化率は90
%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1モル付
加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は91%、アクリル酸にエチレンオキサイドが
2モル付加したエチレンオキサイド2モル付加体(副反
応の反応生成物)の選択率は7%であった。尚、上記ア
クリル酸(反応基質)の転化率並びにエチレンオキサイ
ド1モル付加体およびエチレンオキサイド2モル付加体
の選択率は、前述の定義に従って求めた。
【0190】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、アクリル酸の活性水素を活性化させることがで
きると共に、アクリル酸へのエチレンオキサイド1モル
付加体を高い選択率で得ることができることが判った。
【0191】〔実施例19〕実施例3で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、電子吸引基に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)が関与する反応
である、マロン酸とベンズアルデヒドとの縮合反応(Kn
oevenagel 縮合反応)を行った。先ず、温度計および撹
拌装置等を備えた反応容器に、マロン酸(活性水素含有
化合物)とベンズアルデヒドとを、マロン酸に対するベ
ンズアルデヒドの仕込み量が、モル比で1.0倍となる
ように仕込んで反応溶液とした。次に、この反応溶液
に、触媒として、上記の高分子ゲルを、マロン酸に対し
て、重量比で0.8倍となるように添加した。その後、
上記の反応溶液を、撹拌しながら90℃で11時間反応
させることにより、マロン酸とベンズアルデヒドとの縮
合反応を行った。
【0192】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、ベンズアルデヒドの転化率
は61%であり、ケイ皮酸(反応生成物)の選択率は8
4%であった。つまり、本実施例におけるケイ皮酸の収
率は51%であった。尚、上記ベンズアルデヒド(反応
基質)の転化率並びにケイ皮酸の選択率は、前述の定義
に従って求めた。
【0193】上記の結果から、本実施例で得られた高分
子ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素
原子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化
合物であるマロン酸の活性水素を活性化させることがで
きると共に、ケイ皮酸を高い選択率で得ることができる
ことが判った。
【0194】〔実施例20〕実施例4で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、電子吸引基に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)が関与する反応
である、マロン酸とp−メトキシベンズアルデヒドとの
縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。先ず、温
度計および撹拌装置等を備えた反応容器に、マロン酸
(活性水素含有化合物)とp−メトキシベンズアルデヒ
ドとを、マロン酸に対するp−メトキシベンズアルデヒ
ドの仕込み量が、モル比で0.5倍となるように仕込ん
で反応溶液とした。次に、この反応溶液に、触媒とし
て、上記の高分子ゲルを、マロン酸に対して、重量比で
1.0倍となるように添加した。その後、上記の反応溶
液を、撹拌しながら90℃で6時間反応させることによ
り、マロン酸とp−メトキシベンズアルデヒドとの縮合
反応を行った。
【0195】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、p−メトキシベンズアルデ
ヒドの転化率は53%であった。尚、上記p−メトキシ
ベンズアルデヒド(反応基質)の転化率は、前述の定義
に従って求めた。
【0196】上記の結果から、本実施例で得られた高分
子ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素
原子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化
合物であるマロン酸の活性水素を活性化させることがで
きると共に、p−メトキシベンズアルデヒドを高い転化
率で転化させることができることが判った。
【0197】〔実施例21〕実施例20において、p−
メトキシベンズアルデヒドに代えて、p−ヒドロキシベ
ンズアルデヒドを用いた以外は、実施例20と同様の反
応・操作を行って、実施例4で得られた高分子ゲルを触
媒として用いた、マロン酸とp−ヒドロキシベンズアル
デヒドとの縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行っ
た。
【0198】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、p−ヒドロキシベンズアル
デヒドの転化率は53%であった。尚、上記p−ヒドロ
キシベンズアルデヒド(反応基質)の転化率は、前述の
定義に従って求めた。
【0199】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるマロン酸の活性水素を活性化させることができ
ると共に、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを高い転化
率で転化させることができることが判った。
【0200】〔実施例22〕実施例20において、p−
メトキシベンズアルデヒドに代えて、p−メチルベンズ
アルデヒドを用いた以外は、実施例20と同様の反応・
操作を行って、実施例4で得られた高分子ゲルを触媒と
して用いた、マロン酸とp−メチルベンズアルデヒドと
の縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。
【0201】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、p−メチルベンズアルデヒ
ドの転化率は64%であった。尚、上記p−メチルベン
ズアルデヒド(反応基質)の転化率は、前述の定義に従
って求めた。
【0202】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素に結
合した水素(α−水素)含有化合物であるマロン酸の活
性水素を活性化させることができると共に、p−メチル
ベンズアルデヒドを高い転化率で転化させることができ
ることが判った。
【0203】〔実施例23〕実施例20において、p−
メトキシベンズアルデヒドに代えて、p−クロロベンズ
アルデヒドを用いた以外は、実施例20と同様の反応・
操作を行って、実施例4で得られた高分子ゲルを触媒と
して用いた、マロン酸とp−クロロベンズアルデヒドと
の縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。
【0204】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、p−クロロベンズアルデヒ
ドの転化率は71%であった。尚、上記p−クロロベン
ズアルデヒド(反応基質)の転化率は、前述の定義に従
って求めた。
【0205】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるマロン酸の活性水素を活性化させることができ
ると共に、p−クロロベンズアルデヒドを高い転化率で
転化させることができることが判った。
【0206】〔実施例24〕実施例20において、p−
メトキシベンズアルデヒドに代えて、p−ブロモベンズ
アルデヒドを用いた以外は、実施例20と同様の反応・
操作を行って、実施例4で得られた高分子ゲルを触媒と
して用いた、マロン酸とp−ブロモベンズアルデヒドと
の縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。
【0207】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、p−ブロモベンズアルデヒ
ドの転化率は72%であった。尚、上記p−ブロモベン
ズアルデヒド(反応基質)の転化率は、前述の定義に従
って求めた。
【0208】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるマロン酸の活性水素を活性化させることができ
ると共に、p−ブロモベンズアルデヒドを高い転化率で
転化させることができることが判った。
【0209】〔実施例25〕実施例4で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、電子吸引基に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)が関与する反応
である、シアノ酢酸エチルとベンズアルデヒドとの縮合
反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。先ず、温度計
および撹拌装置等を備えた反応容器に、シアノ酢酸エチ
ル(活性水素含有化合物)とベンズアルデヒドとを、シ
アノ酢酸エチルに対するベンズアルデヒドの仕込み量
が、モル比で0.5倍となるように仕込んで反応溶液と
した。次に、この反応溶液に、触媒として、上記の高分
子ゲルを、シアノ酢酸エチルに対して、重量比で0.8
倍となるように添加した。その後、上記の反応溶液を、
撹拌しながら90℃で18時間反応させることにより、
シアノ酢酸エチルとベンズアルデヒドとの縮合反応を行
った。
【0210】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、ベンズアルデヒドの転化率
は96%であり、マスクロマトグラフィーによる分析の
結果、反応生成物は、相当するα−シアノアクリル酸エ
ステルであることが判明した。尚、上記ベンズアルデヒ
ド(反応基質)の転化率は、前述の定義に従って求め
た。
【0211】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるシアノ酢酸エチルの活性水素を活性化させるこ
とができると共に、ベンズアルデヒドを高い転化率で転
化させることができることが判った。
【0212】〔実施例26〕実施例4で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、電子吸引基に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)が関与する反応
である、シアノ酢酸エチルとメチルエチルケトンとの縮
合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。先ず、温度
計および撹拌装置等を備えた反応容器に、シアノ酢酸エ
チル(活性水素含有化合物)とメチルエチルケトンと
を、シアノ酢酸エチルに対するメチルエチルケトンの仕
込み量が、モル比で1.0倍となるように仕込んで反応
溶液とした。次に、この反応溶液に、触媒として、上記
の高分子ゲルを、シアノ酢酸エチルに対して、重量比で
0.09倍となるように添加した。その後、上記の反応
溶液を、撹拌しながら90℃で18時間反応させること
により、シアノ酢酸エチルとメチルエチルケトンとの縮
合反応を行った。
【0213】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、シアノ酢酸エチルの転化率
は96%であり、マスクロマトグラフィーによる分析の
結果、反応生成物は、相当するα−シアノアクリル酸エ
ステルであることが判明した。尚、上記シアノ酢酸エチ
ル(反応基質)の転化率は、前述の定義に従って求め
た。
【0214】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるシアノ酢酸エチルの活性水素を活性化させるこ
とができると共に、シアノ酢酸エチルを高い転化率で転
化させることができることが判った。
【0215】〔実施例27〕実施例4で得られた高分子
ゲルを触媒として用いた、電子吸引基に隣接する炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)が関与する反応
である、シアノ酢酸エチルとプロピオンアルデヒドとの
縮合反応(Knoevenagel 縮合反応)を行った。先ず、温
度計および撹拌装置等を備えた反応容器に、シアノ酢酸
エチル(活性水素含有化合物)とプロピオンアルデヒド
とを、シアノ酢酸エチルに対するプロピオンアルデヒド
の仕込み量が、モル比で1.0倍となるように仕込んで
反応溶液とした。次に、この反応溶液に、触媒として、
上記の高分子ゲルを、シアノ酢酸エチルに対して、重量
比で0.09倍となるように添加した。その後、上記の
反応溶液を、撹拌しながら90℃で6時間反応させるこ
とにより、シアノ酢酸エチルとプロピオンアルデヒドと
の縮合反応を行った。
【0216】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、シアノ酢酸エチルの転化率
は82%であり、マスクロマトグラフィーによる分析の
結果、反応生成物は、相当するα−シアノアクリル酸エ
ステルであることが判明した。尚、上記シアノ酢酸エチ
ル(反応基質)の転化率は、前述の定義に従って求め
た。
【0217】上記の結果から、本実施例で用いた高分子
ゲルは、活性水素、即ち、電子吸引基に隣接した炭素原
子に結合した水素原子(α−水素原子)を含有する化合
物であるシアノ酢酸エチルの活性水素を活性化させるこ
とができると共に、シアノ酢酸エチルを高い転化率で転
化させることができることが判った。
【0218】〔実施例28〕実施例5で得られた粒状樹
脂(5)を用いて、カルボン酸類への環状ヘテロ化合物
の付加反応として、アクリル酸のヒドロキシエチル化反
応を行った。先ず、温度計、ガス供給管および撹拌装置
等を備えた反応容器に、アクリル酸(活性水素含有化合
物)20gと上記の粒状樹脂(5)1gとを仕込んだ。
次に、アクリル酸を撹拌しながら70℃に加熱した後、
反応容器内に、エチレンオキサイド15gを、ガス供給
管を介して2.5時間かけて連続的に導入した。その
後、該反応溶液を撹拌しながら70℃でさらに2時間熟
成させることにより、上記粒状樹脂(5)を反応溶液中
で膨潤させて高分子ゲルを形成させ、この高分子ゲルを
触媒として用いてアクリル酸のヒドロキシエチル化を行
った。
【0219】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、アクリル酸の転化率は7
8.8%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1
モル付加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生
成物)の選択率は93.7%、アクリル酸にエチレンオ
キサイドが2モル付加したエチレンオキサイド2モル付
加体(副反応の反応生成物)の選択率は6.1%、アク
リル酸がヒドロキシエチルアクリレートでエステル化さ
れたジエステル(副反応の反応生成物)の選択率は0.
17%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)の転
化率並びにエチレンオキサイド1モル付加体、エチレン
オキサイド2モル付加体、およびアクリル酸がヒドロキ
シエチルアクリレートでエステル化されたジエステルの
選択率は、前述の定義に従って求めた。また、上記高分
子ゲル(触媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.07
5g/ccであり、反応溶液中での単位体積あたりの上
記高分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,N−ジアリル
アミンおよびN,N,N−トリアリルアミンに由来する
官能基)の量は0.488mmol/ccであった。
【0220】〔実施例29〕実施例5で得られた粒状樹
脂(5)を用いて、カルボン酸類への環状ヘテロ化合物
の付加反応として、アクリル酸のヒドロキシプロピル化
反応を行った。即ち、温度計および撹拌装置等を備えた
反応容器に、アクリル酸(活性水素含有化合物)とプロ
ピレンオキサイドとを、アクリル酸に対するプロピレン
オキサイドの仕込み量が、モル比で1.2倍となるよう
に仕込んで反応溶液とした。次に、この反応溶液に、上
記の粒状樹脂(5)を、アクリル酸に対して10重量%
添加した。その後、該反応溶液を撹拌しながら90℃で
2時間反応させることにより、上記の粒状樹脂(5)を
反応溶液中で膨潤させて高分子ゲルを形成させ、この高
分子ゲルを触媒として用いてアクリル酸のヒドロキシプ
ロピル化を行った。
【0221】反応終了後、反応溶液を濾過し、濾液をG
Cにより分析した結果、アクリル酸の転化率は96%で
あり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル付加
したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は94%、アクリル酸にプロピレンオキサイド
が2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は5%であった。尚、
上記アクリル酸(反応基質)の転化率並びにプロピレン
オキサイド1モル付加体およびプロピレンオキサイド2
モル付加体の選択率は、前述の定義に従って求めた。
【0222】上記の結果から、実施例5で得られた粒状
樹脂(5)からなる高分子ゲルは、カルボン酸類(不飽
和カルボン酸)への環状ヘテロ化合物の付加反応であ
る、アクリル酸のヒドロキシプロピル化反応の触媒とし
て作用することが判った。
【0223】〔実施例30〕実施例28において、実施
例5で得られた粒状樹脂(5)に代えて、実施例6で得
られた粒状樹脂(5)を用いた以外は、実施例28と同
様の反応・操作を行って、実施例6で得られた重合体
(6)を反応溶液中で膨潤させてなる高分子ゲルを触媒
として用いた、アクリル酸のヒドロキシエチル化を行っ
た。
【0224】この結果、アクリル酸の転化率は88.6
%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1モル付
加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は94.1%、アクリル酸にエチレンオキサイ
ドが2モル付加したエチレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は5.8%、アクリル
酸がヒドロキシエチルアクリレートでエステル化された
ジエステル(副反応の反応生成物)の選択率は0.11
%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)の転化率
並びにエチレンオキサイド1モル付加体、エチレンオキ
サイド2モル付加体、およびアクリル酸がヒドロキシエ
チルアクリレートでエステル化されたジエステルの選択
率は、前述の定義に従って求めた。また、上記高分子ゲ
ル(触媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.075g
/ccであり、反応溶液中での単位体積あたりの上記高
分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,N,N−トリアリ
ルアミンに由来する官能基)の量は0.435mmol
/ccであった。
【0225】〔実施例31〕実施例28において、実施
例5で得られた粒状樹脂(5)に代えて、実施例7で得
られた粒状樹脂(7)を用いた以外は、実施例28と同
様の反応・操作を行って、実施例7で得られた粒状樹脂
(7)を反応溶液中で膨潤させてなる高分子ゲルを触媒
として用いた、アクリル酸のヒドロキシエチル化反応を
行った。
【0226】この結果、アクリル酸の転化率は91.6
%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1モル付
加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は95.5%、アクリル酸にエチレンオキサイ
ドが2モル付加したエチレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は4.4%、アクリル
酸がヒドロキシエチルアクリレートでエステル化された
ジエステル(副反応の反応生成物)の選択率は0.08
%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)の転化率
並びにエチレンオキサイド1モル付加体、エチレンオキ
サイド2モル付加体、およびアクリル酸がヒドロキシエ
チルアクリレートでエステル化されたジエステルの選択
率は、前述の定義に従って求めた。また、上記高分子ゲ
ル(触媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.113g
/ccであり、反応溶液中での単位体積あたりの上記高
分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,N,N−トリアリ
ルアミンに由来する官能基)の量は0.655mmol
/ccであった。
【0227】〔実施例32〕実施例31においてエチレ
ンオキサイドの供給時間を2.5時間から4時間に変更
すると共に、エチレンオキサイド供給後の反応溶液の熟
成時間を2時間から3時間に変更した以外は、実施例3
1と同様の反応・操作を行って、実施例7で得られた粒
状樹脂(7)を反応溶液中で膨潤させてなる高分子ゲル
を触媒として用いた、アクリル酸のヒドロキシエチル化
反応を行った。
【0228】この結果、アクリル酸の転化率は96.1
%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1モル付
加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は95.5%、アクリル酸にエチレンオキサイ
ドが2モル付加したエチレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は4.2%、アクリル
酸がヒドロキシエチルアクリレートでエステル化された
ジエステル(副反応の反応生成物)の選択率は0.21
%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)の転化率
並びにエチレンオキサイド1モル付加体、エチレンオキ
サイド2モル付加体、およびアクリル酸がヒドロキシエ
チルアクリレートでエステル化されたジエステルの選択
率は、前述の定義に従って求めた。また、上記高分子ゲ
ル(触媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.113g
/ccであり、反応溶液中での単位体積あたりの上記高
分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,N,N−トリアリ
ルアミンに由来する官能基)の量は0.655mmol
/ccであった。
【0229】〔実施例33〕実施例29において、実施
例5で得られた粒状樹脂(5)に代えて、実施例7で得
られた粒状樹脂(7)を用いた以外は、実施例29と同
様の反応・操作を行って、実施例7で得られた粒状樹脂
(7)を反応溶液中で膨潤させてなる高分子ゲルを触媒
として用いた、アクリル酸のヒドロキシプロピル化反応
を行った。
【0230】この結果、アクリル酸の転化率は98%で
あり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル付加
したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は94%、アクリル酸にプロピレンオキサイド
が2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は5%であった。尚、
上記アクリル酸(反応基質)の転化率並びにプロピレン
オキサイド1モル付加体およびプロピレンオキサイド2
モル付加体の選択率は、前述の定義に従って求めた。
【0231】上記の結果から、実施例7で得られた粒状
樹脂(7)からなる高分子ゲルは、カルボン酸類(不飽
和カルボン酸)への環状ヘテロ化合物の付加反応であ
る、アクリル酸のヒドロキシプロピル化反応の触媒とし
て作用することが判った。また、上記高分子ゲル(触
媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.113g/cc
であり、反応溶液中での単位体積あたりの上記高分子ゲ
ルの塩基性活性点(即ち、N,N,N−トリアリルアミ
ンに由来する官能基)の量は0.655mmol/cc
であった。
【0232】〔実施例34〕実施例33において、反応
温度を90℃から70℃に変更すると共に、反応時間を
2時間から4時間に変更した以外は、実施例33と同様
の反応・操作を行って、実施例7で得られた粒状樹脂
(7)を反応溶液中で膨潤させてなる高分子ゲルを触媒
として用いた、アクリル酸のヒドロキシプロピル化を行
った。
【0233】この結果、アクリル酸の転化率は76%で
あり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル付加
したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は89%、アクリル酸にプロピレンオキサイド
が2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付加体
(副反応の反応生成物)の選択率は9%であった。尚、
上記アクリル酸(反応基質)の転化率並びにプロピレン
オキサイド1モル付加体およびプロピレンオキサイド2
モル付加体の選択率は、前述の定義に従って求めた。ま
た、上記高分子ゲル(触媒)の反応溶液中での見かけ比
重は0.113g/ccであり、反応溶液中での単位体
積あたりの上記高分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,
N,N−トリアリルアミンに由来する官能基)の量は
0.655mmol/ccであった。
【0234】〔実施例35〕実施例8で得られた樹脂
(8)を用いて、カルボン酸類への環状ヘテロ化合物の
付加反応として、アクリル酸のヒドロキシエチル化反応
を行った。先ず、温度計、ガス供給管および撹拌装置等
を備えた反応容器に、アクリル酸(活性水素含有化合
物)20gと上記の樹脂(8)3.9gとを仕込んだ。
次に、アクリル酸を撹拌しながら80℃に加熱した後、
反応容器内に、エチレンオキサイド12.8gを、ガス
供給管を介して2.0時間かけて連続的に導入した。そ
の後、該反応溶液を撹拌しながら80℃でさらに2時間
熟成させることにより、上記樹脂(8)を反応溶液中で
膨潤させて高分子ゲルを形成させ、この高分子ゲルを触
媒として用いてアクリル酸のヒドロキシエチル化を行っ
た。
【0235】反応終了後、この反応溶液を濾過し、濾液
をGCにより分析した結果、アクリル酸の転化率は9
3.2%であり、アクリル酸にエチレンオキサイドが1
モル付加したエチレンオキサイド1モル付加体(反応生
成物)の選択率は95.6%、アクリル酸にエチレンオ
キサイドが2モル付加したエチレンオキサイド2モル付
加体(副反応の反応生成物)の選択率は4.2%、アク
リル酸がヒドロキシエチルアクリレートでエステル化さ
れたジエステル(副反応の反応生成物)の選択率は0.
24%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)の転
化率並びにエチレンオキサイド1モル付加体、エチレン
オキサイド2モル付加体、およびアクリル酸がヒドロキ
シエチルアクリレートでエステル化されたジエステルの
選択率は、前述の定義に従って求めた。また、上記高分
子ゲル(触媒)の反応溶液中での見かけ比重は0.15
0g/ccであり、反応溶液中での単位体積あたりの上
記高分子ゲルの塩基性活性点(即ち、N,N,N−トリ
アリルアミンに由来する官能基)の量は0.87mmo
l/ccであった。
【0236】〔比較例1〕実施例14において、高分子
ゲルの代わりに、比較用の触媒として、一般式(A)
【0237】
【化37】
【0238】で表される構造を備えた市販のイオン交換
樹脂「アンバーライトIRA−410」(ロームアンド
ハース社製)を用いた以外は、実施例14と同様の反応
・操作を行って、ピロリドンのヒドロキシプロピル化反
応を行った。
【0239】しかしながら、上記反応においては、副反
応が支配的に進行し、目的物であるピロリドンにプロピ
レンオキサイドが1モル付加した付加体は、殆ど得られ
なかった。
【0240】〔比較例2〕実施例15において、高分子
ゲルの代わりに、比較用の触媒としてジメチルアリルア
ミンを用いた以外は、実施例15と同様の反応・操作を
行って、アクリル酸のヒドロキシプロピル化反応を行っ
た。
【0241】その結果、アクリル酸の転化率は76%で
あり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル付加
したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は87%であり、アクリル酸にプロピレンオキ
サイドが2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付
加体(副反応の反応生成物)の選択率は13.6%であ
った。また、アクリル酸がヒドロキシプロピルアクリレ
ートでエステル化されたジエステル(副反応の反応生成
物)の選択率は0.10%であった。尚、上記アクリル
酸(反応基質)の転化率並びにプロピレンオキサイド1
モル付加体、プロピレンオキサイド2モル付加体、およ
びアクリル酸がヒドロキシプロピルアクリレートでエス
テル化されたジエステルの選択率は、前述の定義に従っ
て求めた。
【0242】上記の結果から、触媒としてジメチルアリ
ルアミンを用いた場合には、アクリル酸の転化率が低下
することが判る。
【0243】〔比較例3〕実施例15において、高分子
ゲルの代わりに、比較用の触媒としてN,N,N−トリ
アリルアミンを用いた以外は、実施例15と同様の反応
・操作を行って、アクリル酸のヒドロキシプロピル化反
応を行った。
【0244】その結果、アクリル酸の転化率は75%で
あり、アクリル酸にプロピレンオキサイドが1モル付加
したプロピレンオキサイド1モル付加体(反応生成物)
の選択率は83%であり、アクリル酸にプロピレンオキ
サイドが2モル付加したプロピレンオキサイド2モル付
加体(副反応の反応生成物)の選択率は15.4%であ
った。また、アクリル酸がプロピルアルコールでエステ
ル化された化合物(副反応の反応生成物)の選択率は
0.10%であった。尚、上記アクリル酸(反応基質)
の転化率並びにプロピレンオキサイド1モル付加体、プ
ロピレンオキサイド2モル付加体、およびアクリル酸が
プロピルアルコールでエステル化された化合物の選択率
は、前述の定義に従って求めた。
【0245】上記の結果から、触媒としてN,N,N−
トリアリルアミンを用いた場合には、アクリル酸の転化
率が低下することが判る。
【0246】〔比較例4〕実施例19において、高分子
ゲルを用いない以外は、実施例19と同様の反応・操作
を行って、マロン酸とベンズアルデヒドとの縮合反応を
行った。即ち、本比較例では、触媒を使用せずに、マロ
ン酸とベンズアルデヒドとの縮合反応(Knoevenagel 縮
合反応)を行った。
【0247】この結果、ベンズアルデヒドの転化率は1
5%であり、ケイ皮酸(反応生成物)の選択率は33%
であった。つまり、本比較例におけるケイ皮酸の収率は
5%であった。尚、上記ベンズアルデヒド(反応基質)
の転化率並びにケイ皮酸の選択率は、前述の定義に従っ
て求めた。上記の結果から、触媒を使用しなかった場
合、ケイ皮酸の収率が低いことが判った。
【0248】〔比較例5〕実施例19において、高分子
ゲルの代わりに、比較用の触媒として、ピリジンを、マ
ロン酸に対して、モル比で15倍となるように添加する
と共に、反応時間を、11時間から8時間に変更した以
外は、実施例19と同様の反応・操作を行って、マロン
酸とベンズアルデヒドとの縮合反応(Knoevenagel 縮合
反応)を行った。
【0249】この結果、ベンズアルデヒドの転化率は1
4%であり、ケイ皮酸(反応生成物)の選択率は57%
であった。つまり、本比較例におけるケイ皮酸の収率は
8%であった。尚、上記ベンズアルデヒド(反応基質)
の転化率並びにケイ皮酸の選択率は、前述の定義に従っ
て求めた。上記の結果から、触媒としてピリジンを用い
た場合には、触媒を多量に必要とすると共に、ケイ皮酸
の収率が低いことが判った。
【0250】〔実施例36〕実施例1で得られた高分子
ゲルと、以下に示す比較用の触媒とを用いたアクロレイ
ンの水和反応において、上記高分子ゲルおよび比較用の
触媒が有する官能基あたりの各々の反応速度を比較し
た。比較用の触媒には、酢酸および酢酸ナトリウムから
なる均一系触媒と、市販のアミノリン酸系のイオン交換
樹脂である「イオン交換樹脂C−467」からなる不均
一系触媒とを用いた。また、アクロレインの濃度は17
%〜28%、反応温度は80℃とした。
【0251】この結果、酢酸および酢酸ナトリウムから
なる均一系触媒を用いた場合の反応速度は1.0(mo
l/hr/ catalyst-mol)であり、上記のイオン交
換樹からなる不均一系触媒を用いた場合の反応速度は
0.1〜0.3(mol/hr/ catalyst-mol)で
あり、実施例1で合成した高分子ゲルを用いた場合の反
応速度は1.8〜2.8(mol/hr/ catalyst-m
ol)であった。上記の結果から、本発明にかかる高分
子ゲルを用いれば、不均一系触媒を用いるよりも反応速
度が速く、均一系触媒と同等あるいはそれを越える反応
速度を達成することができることが判った。
【0252】
【発明の効果】本発明の活性水素含有化合物の活性化方
法によれば、上記高分子ゲルは、その内部に溶媒を保持
していることで、固体と液体との中間の物質形態を有
し、反応系からの分離・除去操作等の作業性に優れてい
るという効果を奏する。しかも、上記高分子ゲルは、そ
の内部への溶媒や反応基質の導入が容易であり、しか
も、不均一系触媒と比較して活性点の自由度が高い。こ
のため、上記の高分子ゲルを触媒として用いれば、該高
分子ゲルの支持構造内部および/または表面の活性点に
て活性水素含有化合物が活性化されるため、活性水素含
有化合物を効率的に活性化することができるという効果
を奏する。これらのことから、上記の活性水素含有化合
物の活性化方法は、作業性と触媒活性とのバランスが良
く、両者を共に満足させることができる方法である。
【0253】また、本発明の活性水素含有化合物の活性
化方法によれば、上記高分子ゲルが塩基性官能基を有し
ていることで、選択性に優れた反応を行うことができ
る。このように塩基性官能基を有する触媒により反応が
進行する所謂塩基性の反応機構を用いた重要反応は極め
て多い。上記の高分子ゲルを用いれば、このような塩基
性の反応機構を用いた反応を高反応速度かつ高転化率で
行うことができるという効果を奏する。
【0254】さらに、本発明の活性水素含有化合物の活
性化方法によれば、反応系中での反応活性点の密度を高
くすることができるので、高分子ゲルの使用量を少なく
することができると共に、生産性を向上させることがで
きるという効果を奏する。また、活性水素の活性化を伴
う上記高分子ゲルを用いた反応は、主反応の反応速度が
副反応の反応速度に比べて極めて大きい。従って、本発
明の活性水素含有化合物の活性化方法によれば、選択性
をより一層向上させることができるという効果を併せて
奏する。
【0255】本発明の高分子ゲルは、その内部に溶媒を
保持していることで、固体と液体との中間の物質形態を
有し、反応系からの分離・除去操作等の作業性に優れて
いる。また、上記の高分子ゲルは、その内部への溶媒や
反応基質の導入が容易であり、しかも、不均一系触媒と
比較して活性点の自由度が高い。このため、上記の高分
子ゲルを触媒として用いれば、該高分子ゲルの3次元網
目構造内部および/または表面の活性点にて活性水素含
有化合物が活性化されるため、活性水素含有化合物を効
率的に活性化することができる。このため、上記高分子
ゲルは、触媒活性に優れ、例えばオレフィンの水和反応
や重合反応等における活性水素含有化合物の活性化に好
適に供される。
【0256】従って、本発明によれば、反応速度や反応
基質の転化率等の触媒活性(処理能力)と分離操作等の
作業性とを共に満足させることができる高分子ゲルを提
供することができるという効果を奏する。また、上記高
分子ゲルは、触媒活性に優れ、例えば固体触媒を用いる
場合と比較して温和な反応条件にて反応させることがで
きるので、反応時の劣化を抑え、劣化に伴う選択性の変
化を防止することができると共に、触媒コストを抑える
ことができるという効果を併せて奏する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 45/64 C07C 45/64 47/19 47/19 67/26 67/26 67/313 67/313 67/343 67/343 69/16 69/16 69/28 69/28 69/54 69/54 Z 69/612 69/612 69/716 69/716 Z 253/30 253/30 255/23 255/23 C07D 207/26 C07D 207/26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性水素含有化合物中の活性水素を、高分
    子ゲルを用いて活性化させることを特徴とする活性水素
    含有化合物の活性化方法。
  2. 【請求項2】上記高分子ゲルの膨潤比が2以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の活性水素含有化合物の活
    性化方法。
  3. 【請求項3】上記高分子ゲルが、塩基性官能基を有して
    いることを特徴とする請求項1または2記載の活性水素
    含有化合物の活性化方法。
  4. 【請求項4】上記活性水素の活性化を伴う反応系中にお
    ける単位体積当たりの上記高分子ゲルの塩基性活性点の
    量が0.43mmol/cc以上となる条件の下で上記
    活性水素の活性化を行うことを特徴とする請求項3記載
    の活性水素含有化合物の活性化方法。
  5. 【請求項5】上記高分子ゲルの塩基性活性点が、3級ア
    ミン化合物、4級アンモニウム塩、環状アミン化合物お
    よびスルフィド類からなる群より選ばれる少なくとも一
    つの化合物に由来する塩基性官能基であることを特徴と
    する請求項4記載の活性水素含有化合物の活性化方法。
  6. 【請求項6】内部に溶媒を保持した3次元網目構造を有
    し、該3次元網目構造内部および/または表面に、活性
    水素を活性化させる活性点を有していることを特徴とす
    る高分子ゲル。
  7. 【請求項7】主鎖に環状アミン構造を有する高分子化合
    物からなることを特徴とする請求項6記載の高分子ゲ
    ル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008143880A (ja) * 2006-11-14 2008-06-26 Toagosei Co Ltd 新規合成方法

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JP2008143880A (ja) * 2006-11-14 2008-06-26 Toagosei Co Ltd 新規合成方法

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