JP2001302729A - 高分子架橋体、その製造方法および使用方法 - Google Patents
高分子架橋体、その製造方法および使用方法Info
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Abstract
部位の両端部に3級アミン構造を有する、3級アミンお
よび/または4級アンモニウム塩を含有する高分子架橋
体、その製造方法および使用方法を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる高分子架橋体は、3級ア
ミンおよび/または4級アンモニウム塩を含有する高分
子架橋体であって、少なくとも一つの架橋部位の両端部
に3級アミン構造を有する。該高分子架橋体は、例え
ば、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとジアリ
ルアミン塩酸塩との共重合体のアルカリ中和物をエピク
ロロヒドリンを用いて架橋することにより得られる。上
記高分子架橋体は、例えば、A)イオン交換反応におけ
るイオン交換物質として、また、B)活性水素を活性化
する反応における活性化用触媒として、好適に使用され
る。
Description
架橋部位の両端部に3級アミン構造を有する、3級アミ
ンおよび/または4級アンモニウム塩を含有する高分子
架橋体、その製造方法および使用方法に関するものであ
る。
ン系である。その製造方法は、例えば、スチレンとジビ
ニルベンゼンとを懸濁重合にて球状化してポリ−スチレ
ン−ジビニルベンゼン架橋体(スチレン−ジビニルベン
ゼン共重合体の架橋体)を合成し、次にルイス酸等を用
いて該架橋体をクロロメチル化し、続いてアミン(3級
アミン)等を付加させて製造するものである。
pH領域でイオン交換反応を行うことができるため好適
に使用される。ところで、実際にイオン交換反応に寄与
するのは付加されたアミンの部位(より一般には、3級
アミンより誘導される4級アンモニウム塩)であるた
め、上記の強塩基性イオン交換樹脂による該アミンの安
定的な保持は極めて重要な課題である。そして、該課題
に関しては、a)スペーサーとしてのクロロメチル化剤
を選択することで強塩基性イオン交換樹脂からのアミン
の脱離を低減する、および/または、b)強塩基性イオ
ン交換樹脂の分子量自体を増大させることで一定量以上
のアミンを確実に保持する、等の方法を用いてなる好適
な強塩基性イオン交換樹脂がすでに実現されている。
示の強塩基性イオン交換樹脂においては、4級アンモニ
ウム塩(OH型)の熱分解は本質的に避けられず、高温
下で使用されると強塩基性イオン交換樹脂の性能が低下
するという問題があった。すなわち、耐用使用温度(言
い換えれば、耐熱分解性)が従来のものと比較して向上
されてなる強塩基性イオン交換樹脂を提供することが出
来れば、その用途が大きく広がることが期待される。
されたものであって、その目的は、耐熱分解性に優れ
た、少なくとも一つの架橋部位として3級アミン構造を
有する、3級アミンおよび/または4級アンモニウム塩
を含有する高分子架橋体、その製造方法および使用方法
を提供することにある。
目的を達成すべく鋭意検討した結果、3級アミンおよび
/または4級アンモニウム塩を含有する高分子架橋体で
あって、少なくとも一つの架橋部位の両端部に3級アミ
ン構造を有する高分子架橋体が、優れたイオン交換能、
及び活性水素を活性化させる反応における優れた触媒活
性を示し、加えて、耐熱分解性に優れていることを見出
した。さらに本願発明者等は、特定の構造を有する高分
子化合物を不活性有機溶媒中に懸濁させて、架橋剤の存
在下で該高分子化合物を架橋させることにより、上記の
性能に優れた高分子架橋体を容易に製造することができ
ることを見出して、本発明を完成させるに至った。
体は、上記の課題を解決するために、3級アミンおよび
/または4級アンモニウム塩を含有する高分子架橋体で
あって、少なくとも一つの架橋部位の両端部に3級アミ
ン構造を有することを特徴としている。
上記の課題を解決するために、3級アミンおよび/また
は4級アンモニウム塩を含有する高分子架橋体であっ
て、下記一般式(1)
つ有することを特徴としている。
造方法は、上記の課題を解決するために、下記一般式
(2)、一般式(3)
素数1〜10のアルキル基を表し、R11、R12、R13、
及びR14は相互に独立して水素原子、ハロゲン原子、メ
チル基、またはエチル基を表し、X- はハロゲン化物イ
オンまたは有機酸、無機酸のアニオンを表す)で表され
る構造単位の双方を繰り返し単位として有する高分子化
合物を、不活性有機溶媒中に懸濁させる工程と、架橋剤
を用いて該高分子化合物を架橋させる工程とを含むこと
を特徴としている。
造方法は、上記の課題を解決するために、請求項3記載
の方法において、上記架橋剤を用いて架橋させた高分子
化合物を、極性溶媒を用いて洗浄する工程をさらに含む
ことを特徴としている。
造方法は、上記の課題を解決するために、下記一般式
(4)、一般式(5)
を、懸濁重合する工程を含むことを特徴としている。
用方法は、請求項1または2に記載の高分子架橋体を、
イオン交換反応に使用することを特徴としている。
用方法は、請求項1または2に記載の高分子架橋体を、
活性水素含有化合物中の活性水素を活性化する活性化用
触媒として使用することを特徴としている。
用方法は、請求項7記載の方法において、上記活性水素
含有化合物がカルボン酸類またはそのエステルであり、
上記活性水素含有化合物中の活性水素の活性化が、該カ
ルボン酸類またはそのエステルに、環状ヘテロ化合物を
付加させる反応において行われることを特徴としてい
る。
明すれば、以下の通りである。尚、これによって、本発
明が限定されるものではない。
ミンおよび/または4級アンモニウム塩を含有する高分
子化合物の架橋体であり、少なくとも一つの架橋部位
(以下に説明する)の両端部に3級アミン構造を有する
ものであれば特に限定されるものではない。上記高分子
架橋体が含有する3級アミンまたは4級アンモニウム塩
は、該高分子架橋体がイオン交換反応に使用される場合
にはイオン交換基として、また、活性水素を活性化する
反応に使用される場合には触媒部位として機能するもの
である。本発明にかかる高分子架橋体の耐熱分解性(以
下に説明する)は、上記構造の架橋部位を有するために
著しく向上される。尚、上記高分子架橋体における、3
級アミンまたは4級アンモニウム塩の含有量や、その両
端部に3級アミン構造を有する架橋部位の含有量は、特
に限定されるものではなく、所望されるイオン交換能、
活性水素の活性化触媒能や、耐熱分解性などに応じて適
宜変更すればよいが、これらの機能をより高くできる点
で、「両端部に3級アミン構造を有する架橋部位」の全
架橋部位に占める割合は高いほど好ましく、全ての架橋
部位が、その両端部に3級アミン構造を有するものであ
ることが最も好ましい。
内、または、分子間で架橋構造が形成される場合に、該
架橋構造の両端部に位置する3分岐構造を有する部位
(A)と、これら3分岐構造を有する部位(A)間に位
置する部位(B)とをあわせた構造を指し、上記説明の
ように、少なくとも一つの架橋部位の両端部が3級アミ
ン構造からなるものであればよい。なお、ここでいう3
級アミン構造とは、窒素原子に3つの炭素原子が直接結
合されてなる構造を有する化学構造一般を指す。
結合する3つの炭素原子はそれぞれ、高分子架橋体を構
成する高分子化合物の一部であってもよく、少なくとも
その一つ(通常一つ)が以下に説明する架橋剤に由来す
るものであってもよい。上記架橋部位の構造として、よ
り好ましくは一般式(1)
一般式(1)に示す構造では、2つの含窒素複素環が上
記部位(A)に相当し、2つの含窒素複素環の窒素原子
間に位置する構造が上記部位(B)に相当する。
る(すなわち、該高分子化合物と反応可能な部位を二つ
以上有する)架橋剤であれば特に限定されるものではな
い。ここでいう架橋剤とは通常、高分子化合物の有する
窒素原子(すなわち、架橋構造の基点に位置する3級ア
ミン構造をなす窒素原子)、および/または、該窒素原
子に直接または間接的に結合された炭素原子を、標的の
少なくとも一つとして架橋構造の形成に寄与するもので
ある。また場合によっては、架橋剤が窒素原子を含有し
てなるもの(含窒素架橋剤)であり、上記3級アミン構
造をなす窒素原子が、該架橋剤により供されるものであ
ってもよい。
エピクロロヒドリン、各種のジエポキシ化合物等のエポ
キシ化合物;1,4−ジクロロブタン、1,2−ビス
(2クロロエトキシ)エタン等のジクロロ化合物;1,
2−ジブロモブタン、1,4−ジクロロブタン等のジブ
ロモ化合物;グリオキザール、グルタルアルデヒド等の
ジアルデヒド化合物;等を挙げることができる。これら
の架橋剤は以下に説明する製造方法Aにおいて好適に使
用される。
る含窒素架橋剤としては、ジアリルアミノ基を同一分子
内に少なくとも2つ含む化合物、より具体的には、N,
N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタ
ン、N,N,N’,N’−テトラアリルジアミノエタ
ン、等を挙げることができる。これらの含窒素架橋剤は
以下に説明する製造方法Bにおいて好適に使用される。
も2つ含む上記化合物の製造方法は特に限定されるもの
ではないが、例えば、1,2−ジアミノプロパン、1,
3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,
4−ジアミノブタン、1,9−ノナンジアミン、イミノ
−ビス−プロピルアミン、メチルイミノ−ビス−プロピ
ルアミン、N,N’−ビス−アミノプロピル−1,3−
プロピレンジアミン、N,N’−ビス−アミノプロピル
−1,4−ブチレンジアミン、ビス−(3−アミノプロ
ピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキ
シ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロピル)−
2,2−ジメチルプロパン、α,ω−ビス−(3−アミ
ノプロピル)−ポリエチレングリコールエーテル、ビス
(アミノプロピル)ピペラジン、2,3−ジアミノピリ
ジン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピ
リジン、2,6−ジアミノ−4−メチル−ピリジン、等
のジアミンをテトラアリル化することにより得ることが
可能である。
は、特に限定されるものではないが、例えば、架橋構造
が形成されるべき高分子化合物を、不活性有機溶媒中に
懸濁させる工程と、上記説明の架橋剤を用いて該高分子
化合物を架橋させる工程とを含む製造方法(製造方法A
と称する)により好適に製造することができる。
は、例えば、一般式(2)、一般式(3)
として有する高分子化合物を挙げることができる。この
高分子化合物中における、一般式(2)で表される構造
単位と一般式(3)で表される構造単位とのモル比は特
に限定されるものではないが、0.50:0.50〜
0.99:0.01の範囲内であることがより好まし
く、0.70:0.30〜0.90:0.10の範囲内
であることがさらに好ましい。尚、上に示すモル比の好
適な範囲は、高分子化合物が上記2種類の構造単位のみ
を含んで構成される場合の値である。
る構造単位を有する高分子化合物としては、例えば、ジ
アリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC) とジ
アリルアミン塩酸塩(DAAHC) とを共重合させることによ
り得られる共重合体(poly-DADMAC/DAAHC ;以下、ポリ
ジアリルアミン誘導体と称する)のアルカリ中和物等を
挙げることができる。高分子化合物の前駆体としてのポ
リジアリルアミン誘導体が、ジアリルジメチルアンモニ
ウムクロライドとジアリルアミン塩酸塩とからのみ成る
場合には、両者のモル比は、5:95〜95:5の範囲
内であることがより好ましい。また、上記ポリジアリル
アミン誘導体のアルカリ中和物に対しては、上記例示の
架橋剤の中でも特にエピクロロヒドリンを用いることで
望ましい架橋部位を形成することが可能である。
えば、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重
合体等の、各種構造をとりうるものであることはいうま
でもない。また、例えば、単量体成分として、ジアリル
ジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルアミン塩酸
塩に加え、「適当な共単量体」が含まれてなる共重合体
のアルカリ中和物も上記高分子化合物として好適に使用
することができる。「適当な共単量体」として、具体的
には、例えば、アクリルアミド、アクリル酸、マレイン
酸、等を挙げることができる。この時、単量体成分に占
める、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジア
リルアミン塩酸塩、「適当な共単量体」それぞれの含有
量は、特に限定されるものではなく、最終的に製造され
る高分子架橋体に所望されるイオン交換能、活性水素の
活性化触媒能や、耐熱分解性などに応じて適宜定めるこ
とができる。
中に懸濁させる方法は特に限定されるものではないが、
一般には、溶媒としての水(または水酸化ナトリウム等
を含む水溶液)中に高分子化合物を分散・溶解して高分
子化合物溶液(水溶液)を調製し、この溶液を懸濁剤の
存在下で不活性有機溶媒中に懸濁させることがより好ま
しい。また、高分子化合物を溶解するための上記水に、
必要に応じてメチルアルコール等の水混和性有機溶媒を
含ませて混合溶媒としてもよい。尚、この混合溶媒は、
1)高分子化合物を溶解することが可能であり、かつ、
2)高分子化合物を溶解した上記混合溶媒(すなわち、
高分子化合物溶液)が、上記不活性有機溶媒と混合する
ことがない、すなわち、該不活性有機溶媒中で高分子化
合物溶液が懸濁粒子として存在する、という条件を満た
す必要がある。
高分子化合物溶液における高分子化合物の溶解含有量
は、最終的に得られる高分子架橋体の強度および性能
(特にイオン交換容量)を左右する要因として極めて重
要である。より具体的には、高分子化合物溶液の濃度が
高いほど、強度に優れ、かつ、イオン交換容量の大きな
高分子架橋体が得られる。したがってこの濃度は、高分
子化合物が上記溶媒(混合溶媒であってもよい)に溶解
可能な範囲内でより高い方が好ましい。なお、上記の
「強度」とは、押しつぶし強度、あるいは急激な溶媒膨
潤等に対してクラック(われ)が生じない等の物理的強
度を指す。
るより低い場合には、例えば、1)予めエバポレータな
どを用いて高分子化合物溶液を濃縮した後に、濃縮後の
高分子化合物溶液を不活性有機溶媒中に懸濁させる、
2)不活性有機溶媒と上記溶媒との共沸現象を利用し
て、高分子化合物溶液を不活性有機溶媒中に懸濁させた
状態で濃縮する、等の方法により高分子化合物溶液の高
濃度化を図ることが可能である。
アルカリ中和物は一般には、1)ジアリルジメチルアン
モニウムクロライド水溶液およびジアリルアミン塩酸塩
水溶液を混合して重合後、アルカリ中和することで水溶
液として調製される。すなわち、原料が共に水溶液での
入手となるため原料濃度に制限がある。その結果、調製
された高分子化合物水溶液において、固形分としての上
記アルカリ中和物の占める割合は、通常約30質量%程
度にしかならない。一方、調製された高分子化合物水溶
液の高濃度化を上記例示の方法等により図ると、上記ア
ルカリ中和物の占める割合を約50質量%程度まで高め
ることが可能である。
駆体溶液や、高分子化合物の原料溶液(単量体成分を含
んでなる溶液)を上記例示の方法により濃縮した後に、
これら前駆体または原料より高分子化合物を調製するこ
とで、高濃度の高分子化合物溶液を得ることも可能であ
る。
溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、ペンタ
ン、(n−)ヘキサン、ヘプタン、等の飽和鎖式炭化水
素;リグロイン、シクロヘキサン、等の脂環式炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレン、等の芳香族炭化水
素;等を挙げることができる。上記例示の不活性有機溶
媒のなかではトルエンがより好ましい。
懸濁させるための上記懸濁剤は特に限定されるものでは
ないが、例えば、グリセロールパルミテート、グリセロ
ール(モノ)ステアレート、グリセロールオレエート、
グリセロールリノレエート等の脂肪酸グリセリドに代表
されるカルボン酸グリセリド;ソルビタンモノパルミテ
ート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオ
レエート等のソルビタンエステル類;等を挙げることが
できる。
上記不活性有機溶媒中で安定に保つために、通常、沈澱
防止剤を用いることがより好ましい。このような沈澱防
止剤としては、逆相懸濁重合に用いられる周知の沈澱防
止剤を挙げることができる。より具体的には、澱粉;ゼ
ラチン;エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリ
ビニルアルコール;等が挙げられ、なかでも、エチルセ
ルロール、ポリビニルアルコールがより好適である。
及び、沈澱防止剤の使用量等は特に限定されるものでは
なく、また、架橋構造を形成する反応における反応温度
等も特に限定されるものではない。これらは、架橋剤の
種類や、架橋構造が形成されるべき高分子化合物の性質
等に基づいて適宜決めることができる。
明にかかる高分子架橋体に対し、必要に応じて、「無機
塩」が可溶な極性溶媒を用いて洗浄することも可能であ
る。これにより、より高いイオン交換容量および強度を
有する塩基性高分子架橋体を得ることが可能となる。
リルアミン誘導体に含まれるジアリルアミン塩酸塩部分
をアルカリ中和することにより生成する無機塩を指す。
例えば上記アルカリ中和をNaOHを用いて行う場合に
は、無機塩とはNaClを指す。
溶媒は、無機塩の種類によって異なるが、一般には、
水;メチルアルコール、グリセリン等の親水性アルコー
ル類;ジメチルホルムアミド;ジメチルアセトアミド;
ジメチルスルホキシド;N−メチルピロリドン;等を挙
げることができる。より具体的には、上記無機塩がNa
Clの場合、極性溶媒としては、水、グリセリン、メチ
ルアルコール等が好ましく、溶解性の観点から、これら
の中でも水が最も好ましい。
方法は、特に上記説明の製造方法Aに限定されるもので
はない。製造方法の他の例として具体的には、下記一般
式(4)、一般式(5)
体成分を、懸濁重合する工程を含む製造方法(製造方法
Bと称する)を挙げることができる。上記一般式
(4)、一般式(5)で表される単量体を含んでなる単
量体成分を懸濁重合することにより、耐熱性に優れ、樹
脂触媒として高い処理能力を発揮するとともに所望の粒
径を有する球状(パール状)の高分子架橋体を得ること
が可能となる。
(5)で表される単量体は、ジアリルアミノ基を同一分
子内に2つ含む化合物、つまり、上記説明の含窒素架橋
剤である。すなわち、この単量体は、重合体の形成に寄
与するとともに、それぞれのジアリルアミノ基側に形成
された重合体同士を架橋する架橋剤としても機能し、本
発明にかかる高分子架橋体を与えるものである。なお、
一般式(5)で表される単量体は通常、塩酸塩のかたち
で懸濁重合に供される。
一般式(4)、一般式(5)で表される単量体と共重合
可能な共単量体を、得られる高分子架橋体の性能を阻害
しない範囲内で含んでいてもよい。該共重合性単量体と
しては、具体的には、例えば、スチレン、エチレン、ビ
ニルエーテル類等を挙げることができる。これら共単量
体は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。なお、単量体成分に
占める上記共単量体の割合は、特に限定されるものでは
ない。
いられる分散媒(溶媒)としては、具体的には、例え
ば、水、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。また、上記分散媒の使用
量も特に限定されるものではない。
ては、具体的には、例えば、ソルビタンエステル類等が
挙げられるが、その種類および使用量は特に限定される
ものではない。さらに、上記単量体成分の懸濁状態を安
定に保つために、ゼラチン、デキストリン、ポリビニル
アルコール等から選択される沈澱防止剤を用いることも
できる。
合開始剤を用いることができる。該重合開始剤として
は、具体的には、例えば、過酸化水素、ベンゾイルパー
オキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物
系開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
等のアゾ化合物(アゾ系開始剤);過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩
(過硫酸系開始剤)等のラジカル重合開始剤等が挙げら
れるが、反応によっては触媒毒として作用する虞れのあ
る硫黄の残存がないことから、過硫酸系開始剤よりもア
ゾ系開始剤を用いて重合反応を行うことが好ましい。こ
れら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。尚、上記重合開始剤
を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を照射し
てもよく、また、重合開始剤とこれら放射線や電子線、
紫外線等の照射とを併用してもよい。また、上記重合開
始剤の使用量は、特に限定されるものではない。
体成分や分散媒の種類等に応じて適宜設定すればよく、
特に限定されるものではない。また、反応時間は、上記
重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、
重合開始剤、および分散媒等の種類や組み合わせ、使用
量等に応じて適宜設定すればよい。さらに、反応圧力も
特に限定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、
加圧の何れであってもよい。
た高分子架橋体をそのまま樹脂触媒として用いる場合、
該高分子架橋体は、溶媒に不溶で分離操作が可能である
ことが望ましい。
橋体の熱分解温度の程度のことを指し、耐熱分解性が高
い(または向上されている)とは即ち、上記高分子架橋
体の熱分解温度が、従来一般の高分子架橋体と比較して
高い(または向上されている)ことを意味する。また、
高分子架橋体の熱分解温度とは、高分子架橋体を熱分析
測定装置を用いて窒素気流中で5℃/minで加熱昇温
する際に、熱重量分析−示差熱分析(TG−DTA)曲
線によりもとめられる、高分子架橋体の分解に伴う吸熱
ピーク温度を指すものとする。本発明にかかる高分子架
橋体の熱分解温度は300℃以上であることが好まし
い。
A)イオン交換反応におけるイオン交換物質として、ま
た、B)活性水素を活性化する反応における活性化用触
媒として、好適に使用される。さらに、該高分子架橋体
の有する架橋部位の構造によって、以下の実施例に示す
ように、その熱分解温度を300℃以上とすることが可
能であり、高分子架橋体が有する3級アミンや、4級ア
ンモニウム塩等の脱離(熱分解)を防ぐことができる。
よって、幅広い温度条件下で長期間にわたり好適に使用
されることが可能で、その用途を大きく広げることがで
きる。
触媒として使用される場合、通常、高い反応温度に耐え
うることが必要となるが、該高分子架橋体は耐熱分解性
に優れているため、長期間にわたり好適な触媒活性を示
すこととなる。尚、いうまでもないが、該高分子架橋体
は架橋構造を有しているため、イオン交換反応や、活性
水素を活性化する反応において、反応溶液中に溶出等す
るおそれがない。
具体的には陰イオンの交換反応のことを指す。すなわ
ち、上記高分子架橋体が含有する3級アミンまたは4級
アンモニウム塩がイオン交換基として機能し、該イオン
交換基の有する水酸化物イオン、ハロゲンイオン、並び
に、有機酸または無機酸のアニオンが、他の陰イオンと
交換される。尚、有機酸または無機酸のアニオンとは、
有機酸または無機酸より水素イオンが脱離したものを指
す。
する」とは、本発明の高分子架橋体が有する窒素原子
(3級アミン、4級アンモニウム塩に由来するもの、ま
た場合によっては3級アミン構造に由来するもの)によ
り、活性水素が活性化されることを指す。ところで、環
状のアミン、または、環状の4級アンモニウム塩は脂肪
族アミンよりも酸化的分解を受けにくいことが一般に知
られている。よって、高分子架橋体の耐熱分解性の観点
においては、高分子架橋体が有する3級アミン、また
は、4級アンモニウム塩が、環状の3級アミン、また
は、環状の4級アンモニウム塩であることがより好まし
い。
は、化合物が有する全水素原子のうち、所望の反応に関
与する水素原子を示す。従って、上記の活性水素は、特
に限定されるものではないが、ヘテロ原子を含まない有
機化合物中の炭素原子に直接結合した水素原子よりも反
応性が高い水素原子であることが好ましい。上記活性水
素としては、具体的には、例えば、ヘテロ原子に直接結
合した水素原子;電子吸引基に隣接する炭素に結合した
水素原子(α−水素原子);置換芳香族を構成する水素
原子;アルデヒドやカルボン酸等の官能基を構成する水
素原子が挙げられる。また、上記ヘテロ原子に直接結合
した水素原子としては、具体的には、例えば、−NH2
基、−CONH基、−OH基、−SH基等の官能基を構
成する水素原子が挙げられる。また、電子吸引基に隣接
した炭素に結合した水素としては、例えば、カルボニル
化合物のα位の水素原子等が挙げられる。
物とは、上記活性水素を有する化合物を示す。そして、
活性水素含有化合物のうち不飽和カルボン酸がより好適
であり、不飽和カルボン酸のうち、(メタ)アクリル酸
が最適である。尚、活性水素含有化合物は、活性水素を
複数有していてもよい。また、活性水素含有化合物が活
性水素を複数有している場合において、これら活性水素
の種類は、互いに同一であってもよく、互いに異なって
いてもよい。
性化とは、該活性水素含有化合物から、上記活性水素を
引き抜く(或いは、より解離し易くする)こと、即ち、
活性水素含有化合物が有する活性水素の活性化を意味す
る。つまり、本発明にかかる上記の樹脂触媒は、活性水
素含有化合物から、活性水素を引き抜くか、或いは活性
水素をより解離し易くすることによって求核付加させ
る、活性水素の活性化を伴う種々の反応に好適に用いる
ことができる。
素含有化合物の活性化を伴う種々の反応例、即ち、上記
高分子架橋体を樹脂触媒として好適に用いることができ
る種々の反応例を以下に示す。但し、以下の反応例は、
上記高分子架橋体を樹脂触媒として適用可能な反応の一
例であって、以下の反応にのみ限定されるものではな
い。尚、以下の反応例(反応式)中のR、R1 、R2 は
各々独立して水素原子またはアルキル基等の有機残基を
表し、Arはアリール基を表し、XはF、Cl、Br、
I等のハロゲン原子を表し、AはO、S、またはNHを
表す。
する反応としては、例えば、
類(第1アミン類または第2アミン類)への環状ヘテロ
化合物(例えばエチレンオキサイド、エチレンイミン、
エチレンスルフィド等)の付加反応;
ミン類または第2アミン類)からアミドへの変換反応;
解反応;
ヘテロ化合物の付加反応、より具体的には、例えば、ピ
ロリドン、イソシアヌル酸へのエチレンオキサイドの付
加反応;
環状ヘテロ化合物の付加反応;
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)への環状ヘテロ化合物の付加反応、具体的に
は、メタノール、エタノール、プロパノール、もしくは
ブタノールへの、エチレンオキサイドやプロピレンオキ
サイド等のオキシラン化合物の付加反応;
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)とハロゲン化水素との反応、より具体的には、
例えば、イソプロピルアルコールと濃臭化水素とから臭
化イソプロピルを合成する上記の反応;
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)を用いたエステルの合成反応;
1アルコール類、第2アルコール類、または第3アルコ
ール類)の酸化反応;
体的には、フェノール、ハイドロキノン、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、BHPF
(ビスヒドロキシフェニルフルオレン)、ジヒドロキシ
ジフェニルメタン等)への環状ヘテロ化合物の付加反
応;
ロゲン化アルキルとからエーテル類を合成する反応(ウ
ィリアムソン(Williamson)合成反応)、より具体的に
は、例えば、p−クレゾールと臭化p−ニトロベンジル
とからp−ニトロベンジル−p−トリルエーテルを合成
する上記の反応;
いたエステルの合成反応、より具体的には、例えば、p
−ニトロフェノールと無水酢酸とから酢酸p−ニトロフ
ェニルを合成する上記の反応、あるいは、o−ブロモフ
ェノールと塩化p−トルエンスルホニルとからo−ブロ
モフェニル−p−トルエンスルホン酸を合成する上記の
反応;
チオール類、第2チオール類、または第3チオール類)
への環状ヘテロ化合物の付加反応;
への環状ヘテロ化合物の付加反応;等が挙げられる。
尚、ヘテロ原子に直接結合した水素原子が関与する反応
は、上記例示の反応にのみ限定されるものではない。
合した水素原子が関与する反応としては、例えば、
ン化反応、より具体的には、例えば、シクロヘキサノン
に臭素原子を導入する上記の反応;
応、より具体的には、例えばアセトアルデヒドから3−
ヒドロキシブタナールを合成する上記の反応や、アセト
ンからジアセトンアルコールを合成する上記の反応、
縮合反応、
noevenagel) 縮合反応、
応、
g)反応等の、カルボニル化合物(ケトン類)への各種求
核付加反応;
n) 縮合反応等の、ケトン類への求核アシル置換反応;
ルボニル化合物(ケトン類)への付加反応(マイケル(M
ichael) 付加反応);等が挙げられる。尚、電子吸引基
に隣接する炭素原子に結合した水素原子が関与する反応
は、上記例示の反応にのみ限定されるものではない。
関与する反応としては、例えば、
ン(Reimer-Tiemann)反応;
(Friedel-Crafts)アシル化反応;等が挙げられる。尚、
置換芳香族を構成する水素原子が関与する反応は、上記
例示の反応にのみ限定されるものではない。
を構成する水素原子が関与する反応としては、例えば、
体的には、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、プロピオ
ン酸等)への環状ヘテロ化合物(具体的には、エチレン
オキサイド、プロピオンオキサイド等)の付加反応、よ
り具体的には、工業的に重要な反応として知られる、
(メタ)アクリル酸とエチレンオキサイドとから(メ
タ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステルを合成する反
応や、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル
を合成する反応;
への環状ヘテロ化合物の付加反応;
アルコールの付加反応;
(Cannizzaro)反応、より具体的には、n−ブチルホル
ムアルデヒドにホルムアルデヒドを2回、アルドール縮
合させた後、カニッツァーロ反応を行うことでトリメチ
ロールプロパンを製造する反応;等が挙げられる。尚、
アルデヒドやカルボン酸等の官能基を構成する水素原子
が関与する反応は、上記例示の反応にのみ限定されるも
のではない。
性水素含有化合物中の活性水素の活性化を伴う反応のな
かでも、フェノール類、アミド類、アルコール類、カル
ボン酸類、マロン酸、シアノ酢酸およびそのエステルか
らなる群より選ばれる活性水素含有化合物に、環状ヘテ
ロ化合物(好適にはオキシラン化合物、特に好適にはエ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド)またはアル
デヒド類を付加反応させる反応;マンニッヒ反応;芳香
族化合物のアルキル化反応;特公昭41−13019号
公報に記載の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキル
エステル化反応;シアノヒドリン生成反応;シアノエチ
ル化反応;等により好適に用いられ、そのなかでも、フ
ェノール類、アミド類、アルコール類、カルボン酸類、
マロン酸、シアノ酢酸およびそのエステルからなる群よ
り選ばれる活性水素含有化合物(より好適にはカルボン
酸類およびそのエステルであり、特に好適には(メタ)
アクリル酸))に、オキシラン化合物またはアルデヒド
類(より好適にはオキシラン化合物)を付加反応させる
反応に特に好適に用いられる。
は、活性水素含有化合物中の活性水素の活性化を伴う種
々の反応における活性水素の活性化用樹脂触媒として好
適に供することができる。
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、特に言及しない限り、以下
の各実施例において%とは、容量%をさすものとする。
ムクロライドとジアリルアミン塩酸塩との含有率(モル
比)が約70:30で、かつ、その分子量が約15万の
線状の高分子共重合体(高分子化合物の前駆体)を固形
分として42%含んでなる0.3重量(質量)%NaO
H水溶液2380gと、8.2%NaOH水溶液951
gとを混合し、pH12.5の高分子化合物水溶液を調
製した。なお、該高分子化合物水溶液中において上記線
状の高分子共重合体は、NaOHによりアルカリ中和さ
れている。
翼、及び還流冷却器を備えた容量20Lの容器(SUS
製)に、分散媒(不活性有機溶媒)としてのトルエン1
0L、及び懸濁剤としてのソルビタンモノパルミテート
25.1gとエチルセロソルブ25.1gとを仕込ん
だ。そしてマックスブレンド撹拌翼を120rpmの回
転数で回転させながら、上記高分子化合物水溶液を分散
媒中に穏やかに混合・懸濁(分散)し、40℃で一時間
保持した。続いて、架橋剤としてのエピクロロヒドリン
90.8gを1時間かけて滴下後、90℃に昇温して4
時間反応させた。
残ったトルエンをデカンテーションにて除去し、メチル
アルコール(極性溶媒)8Lを使用した残留反応生成物
の洗浄(残留反応生成物を含んだメチルアルコール8L
を1時間撹拌後、デカンテーションする作業を4回繰り
返す)を行いポリマービーズを得た。生成したポリマー
ビーズを60℃で2晩減圧乾燥して、生成した新規な高
分子架橋体の乾燥体907gを本発明にかかる高分子架
橋体Aとして得た。
般式(6)に示す構造を4級アンモニウム塩として、か
つ、以下の一般式(7)に示す構造を架橋部位として有
し、さらに両構造の含有比(モル比)が理論上70:1
5(すなわち、30/2)となる高分子架橋体である。
ムクロライドとジアリルアミン塩酸塩との含有率(モル
比)が約70:30で、かつ、その分子量が約15万の
線状の高分子共重合体(高分子化合物の前駆体)を固形
分として42%含んでなる0.3重量%NaOH水溶液
119.0gと、8.2%NaOH水溶液47.5gと
を混合し、pH12.5の高分子化合物水溶液を調製し
た。なお、該高分子化合物水溶液中において上記線状の
高分子共重合体は、NaOHによりアルカリ中和されて
いる。
水分離管を備えた容量1Lのガラス製セパラブルフラス
コに、分散媒(不活性有機溶媒)としてのトルエン50
0ml、懸濁剤としてのソルビタンモノパルミテート
1.25g、及び沈澱防止剤としてのエチルセルロース
1.25gを仕込んだ。そしていかり型撹拌翼を200
rpmの回転数で回転させながら、上記高分子化合物水
溶液を分散媒中に穏やかに混合・懸濁(分散)して懸濁
液を調製し、40℃で30分間保持した。続いて、該懸
濁液を90℃まで昇温して1時間保持し、トルエンとの
共沸により水41gを脱水することで、懸濁液中の高分
子化合物水溶液を濃縮した。さらに、懸濁液を40℃ま
で冷却し、架橋剤としてのエピクロロヒドリン4.52
gを1時間かけて滴下後、90℃に昇温して4時間反応
させた。
よってトルエン相と水相とを分離し、ポリマービーズを
得た。生成したポリマービーズは600mlのメチルア
ルコール(極性溶媒)で3回洗浄した後に、60℃で1
晩減圧乾燥して、生成した新規な高分子架橋体の乾燥体
46.0gを本発明にかかる高分子架橋体Bとして得
た。
リマービーズを調製した。続いて、該ポリマービーズを
600mlのトルエンで1回、さらに600mlの水
(極性溶媒)で3回洗浄した後に、60℃で1晩減圧乾
燥して、本発明にかかる高分子架橋体Cを得た。
ムクロライド(単量体)の65重量%水溶液4.24
g、N,N,N’,N’−テトラアリルジアミノブタン
・2塩酸塩(単量体、含窒素架橋剤)の72重量%水溶
液0.89g、アゾ系開始剤としての2,2’−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩44mg、ならび
に水0.29gを耐圧ガラスビン中で混合して完全に溶
解した。次に、上記耐圧ガラスビンを55℃で4時間、
続いて75℃で2時間加熱し、上記単量体の重合反応を
行った。
合反応生成物を得、これを100mlのメチルアルコー
ルで3回洗浄した後に、60℃で1晩減圧乾燥して、生
成した新規な高分子架橋体の乾燥体3.5gを本発明に
かかる高分子架橋体Dとして得た。
般式(8)に示す構造を4級アンモニウム塩として、か
つ、以下の一般式(9)に示す構造を架橋部位として有
し、さらに両構造の含有比(モル比)が理論上90:1
0(一般式(8)の構造:一般式(9)の構造)となる
高分子架橋体である。
高分子架橋体Aを試料とし、その熱分解温度を上記実施
の形態に記載の方法で測定した。また、実施例3・4で
得られた高分子架橋体C,Dの熱分解温度も同様に測定
した。その結果、高分子架橋体Aの熱分解温度は390
℃、高分子架橋体Cの熱分解温度は386℃、高分子架
橋体Dの熱分解温度は384℃であった。
脂であるアンバーライトIRA−400(ロームアンド
ハース社製)の熱分解温度を、上記実施の形態に記載の
方法で測定したところ、290℃であった。したがっ
て、上記実施例1、3、4で得られた高分子架橋体A,
C,Dは、上記市販の強塩基性イオン交換樹脂アンバー
ライトIRA−400と比較して熱分解温度が高い、す
なわち高い耐熱分解性を有することが判明した。
橋体Aを活性水素(α−水素原子)を活性化する活性化
用触媒として用い、活性水素含有化合物であるカルボン
酸類、または、そのエステルに環状ヘテロ化合物を付加
させる反応としての、アクリル酸のヒドロキシプロピル
化反応を行った。
えた反応容器に、アクリル酸(カルボン酸類)とプロピ
レンオキシド(環状ヘテロ化合物、オキシラン化合物)
とを、アクリル酸に対するプロピレンオキシドの仕込み
量が、モル比で1.2倍となるように仕込んだ。
た高分子架橋体Aを、アクリル酸に対し10重量%添加
した。その後、反応溶液を撹拌しながら、70℃で4時
間反応させることにより、アクリル酸のヒドロキシプロ
ピル化反応を行った。
したろ液をガスクロマトグラフィーにより分析した。そ
の結果、アクリル酸の転化率は75.0%であり、アク
リル酸1分子にプロピレンオキシドが1分子付加した付
加体(反応生成物:HPA)の選択率は86.7%であ
り、アクリル酸1分子にプロピレンオキシドが2分子付
加した付加体(反応副生成物:DPGA)の選択率は
9.6%であった。尚、本実施例における反応基質(ア
クリル酸)の転化率、及び、反応生成物や反応副生成物
の選択率は、以下の定義に従って求めた。
応基質のモル数/供給した反応基質のモル数)×100 反応生成物(または反応副生成物)の選択率(%)=
(反応生成物(または反応副生成物)に転化した反応基
質のモル数/消費された反応基質のモル数)×100 上記の結果より、実施例1で得られた高分子架橋体A
は、カルボン酸類、または、そのエステルに環状ヘテロ
化合物を付加させる反応において、活性水素(特にα−
水素原子)を活性化する活性化用触媒として有用である
ことが判った。
橋体Aを活性水素(α−水素原子)を活性化する活性化
用触媒として用い、カルボン酸類、または、そのエステ
ルに環状ヘテロ化合物を付加させる反応としての、アク
リル酸のヒドロキシエチル化反応を行った。
えた反応容器に、アクリル酸(カルボン酸)を20g仕
込むとともに、実施例1で得られた高分子架橋体Aを、
アクリル酸に対し10重量%添加した。
しながら70℃に加熱した後、エチレンオキシド(環状
ヘテロ化合物、オキシラン化合物)をガス供給管を介し
て反応容器内に導入した。エチレンオキシドの導入は、
アクリル酸に対する最終的な仕込み量が、モル比で1.
05倍となるように、1.5時間かけて連続的に行われ
た。その後、この反応溶液を撹拌しながら、70℃でさ
らに3.5時間反応させることにより、アクリル酸のヒ
ドロキシエチル化反応を行った。
したろ液をガスクロマトグラフィーにより分析した。そ
の結果、アクリル酸の転化率は93.9%であり、アク
リル酸1分子にエチレンオキシドが1分子付加した付加
体(反応生成物)の選択率は88.0%であり、アクリ
ル酸1分子にエチレンオキシドが2分子付加した付加体
(反応副生成物)の選択率は4.0%であった。尚、上
記転化率、及び、選択率の定義は上記実施例8と同様で
ある。
子架橋体Aは、活性水素含有化合物であるカルボン酸
類、または、そのエステルに環状ヘテロ化合物を付加さ
せる反応において、活性水素(特にα−水素原子)を活
性化する活性化用触媒として有用であることが判った。
れた高分子架橋体Bを活性化用触媒として用いて、上記
実施例8と同様にアクリル酸のヒドロキシプロピル化反
応を行った。また、実施例3・4で得られた高分子架橋
体C,Dを活性化用触媒として用いて、同様にアクリル
酸のヒドロキシプロピル化反応を行った。その結果は、
表1にまとめて示す。尚、表1に示す転化率(アクリル
酸の転化率)、及び、選択率の定義は上記実施例8と同
様である。
高分子架橋体B,C,Dはいずれも、カルボン酸類、ま
たは、そのエステルに環状ヘテロ化合物を付加させる反
応において、活性水素(特にα−水素原子)を活性化す
る活性化用触媒として有用であることが判った。
ヒドロキシプロピル化反応に使用後の高分子架橋体Cを
顕微鏡観察したところ、クラック(われ)がほとんど生
じていなかった。このことから高分子架橋体Cは、アク
リル酸のヒドロキシプロピル化反応においてもわれが生
じることの少ない、優れた強度を有した架橋体であるこ
とが判った。
高分子架橋体Aを用いて、その陰イオン交換容量を測定
した。陰イオン交換容量の測定は一般的なイオン交換容
量の測定方法に従って行われた。また、実施例3で得ら
れた高分子架橋体Cについても同様にして、その陰イオ
ン交換容量を測定した。測定の結果、高分子架橋体Aの
陰イオン交換容量は0.80meq/ml、高分子架橋
体Cの陰イオン交換容量は1.06meq/ml(それ
ぞれ膨潤体積を基準)であった。以上の結果から、高分
子架橋体A,Cは陰イオン交換能を有することが明らか
となった。
架橋体Cを用いて、その押しつぶし強度を測定した。は
じめに、樹脂ビーズ状の高分子架橋体Cを水で充分に膨
潤させて、飽和吸水状態となった高分子架橋体Cを用意
した。続いて一粒の高分子架橋体Cに荷重をかけ、該高
分子架橋体Cが破砕する荷重を記録した。この操作を2
0粒の高分子架橋体Cに対して行い、測定された荷重の
うち上下5点を除いた15点の平均値を押しつぶし強度
(gf/粒)とした。その結果、高分子架橋体Cの押し
ぶつし強度は50gf/粒であった。
橋体は、3級アミンおよび/または4級アンモニウム塩
を含有する高分子架橋体であって、少なくとも一つの架
橋部位の両端部に3級アミン構造を有する構成である。
上記の高分子架橋体は、その架橋部位の構造により、優
れた耐熱分解性が付与されている。従って、高分子架橋
体が有する3級アミンや、4級アンモニウム塩等の脱離
(熱分解)を防ぐことができる。
交換反応におけるイオン交換物質として、また、B)活
性水素を活性化する反応における活性化用触媒として、
好適に使用される。また、耐熱分解性に優れているた
め、幅広い温度条件下で長期間にわたり好適に使用可能
となるという効果を奏する。
Claims (8)
- 【請求項1】3級アミンおよび/または4級アンモニウ
ム塩を含有する高分子架橋体であって、少なくとも一つ
の架橋部位の両端部に3級アミン構造を有することを特
徴とする高分子架橋体。 - 【請求項2】3級アミンおよび/または4級アンモニウ
ム塩を含有する高分子架橋体であって、下記一般式
(1) 【化1】 で表される構造の架橋部位を少なくとも一つ有すること
を特徴とする高分子架橋体。 - 【請求項3】下記一般式(2)、一般式(3) 【化2】 (式中、R9 とR10とは相互に独立して炭素数1〜10
のアルキル基を表し、R11、R12、R13、及びR14は相
互に独立して水素原子、ハロゲン原子、メチル基、また
はエチル基を表し、X- はハロゲン化物イオンまたは有
機酸、無機酸のアニオンを表す)で表される構造単位の
双方を繰り返し単位として有する高分子化合物を、不活
性有機溶媒中に懸濁させる工程と、架橋剤を用いて該高
分子化合物を架橋させる工程とを含むことを特徴とする
高分子架橋体の製造方法。 - 【請求項4】上記架橋剤を用いて架橋させた高分子化合
物を、極性溶媒を用いて洗浄する工程をさらに含むこと
を特徴とする請求項3記載の高分子架橋体の製造方法。 - 【請求項5】下記一般式(4)、一般式(5) 【化3】 で表される単量体を含んでなる単量体成分を、懸濁重合
する工程を含むことを特徴とする高分子架橋体の製造方
法。 - 【請求項6】請求項1または2に記載の高分子架橋体
を、イオン交換反応に使用することを特徴とする高分子
架橋体の使用方法。 - 【請求項7】請求項1または2に記載の高分子架橋体
を、活性水素含有化合物中の活性水素を活性化する活性
化用触媒として使用することを特徴とする高分子架橋体
の使用方法。 - 【請求項8】上記活性水素含有化合物がカルボン酸類ま
たはそのエステルであり、上記活性水素含有化合物中の
活性水素の活性化が、該カルボン酸類またはそのエステ
ルに、環状ヘテロ化合物を付加させる反応において行わ
れることを特徴とする請求項7記載の高分子架橋体の使
用方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000127664A JP2001302729A (ja) | 2000-04-24 | 2000-04-24 | 高分子架橋体、その製造方法および使用方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010055889A1 (ja) | 2008-11-14 | 2010-05-20 | 株式会社トクヤマ | 陰イオン交換膜及びその製造方法 |
JP2011506536A (ja) * | 2007-12-20 | 2011-03-03 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア | カチオン性三元共重合体およびパーソナルケア組成物の調製 |
US8815469B2 (en) | 2010-07-30 | 2014-08-26 | Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho | Electrolyte, and fuel cell, Li secondary battery, secondary battery and primary battery using the electrolyte |
-
2000
- 2000-04-24 JP JP2000127664A patent/JP2001302729A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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