JPH11190403A - 内接噛合遊星歯車構造の内ローラ及び外ローラ並びにその製造方法 - Google Patents
内接噛合遊星歯車構造の内ローラ及び外ローラ並びにその製造方法Info
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- JPH11190403A JPH11190403A JP35957697A JP35957697A JPH11190403A JP H11190403 A JPH11190403 A JP H11190403A JP 35957697 A JP35957697 A JP 35957697A JP 35957697 A JP35957697 A JP 35957697A JP H11190403 A JPH11190403 A JP H11190403A
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Abstract
り、角度バックラッシュを小さく抑えることができ、且
つ耐久性、動力伝達効率に優れ、騒音の小さな(滑り特
性の良好な)内ローラを低コストで製造する。 【解決手段】 内ローラ30の内周壁32の縦断面を、
軸方向中央部の内径d1が両端部の内径d2より大径
(d1>d2)となる樽形形状に形成する。
Description
構造の内ローラあるいは外ローラ、及びこれらの製造方
法に関する。
て回転する偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して
偏心回転可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯
車が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯
車の自転成分のみを伝達する手段を介して連結された第
2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車構造が広く知られて
いる。
この従来例は、前記第1軸を入力軸、第2軸を出力軸と
すると共に、内歯歯車を固定することによって上記構造
を「減速機」に適用したものである。
0°)をもって偏心体3a、3bが嵌合されている。な
お、偏心体3aと3bは一体化されている。それぞれの
偏心体3a、3bには軸受4a、4bを介して2枚の外
歯歯車5a、5bが取付けられている。この外歯歯車5
a、5bには内ローラ孔6が複数個設けられ、内ピン7
及び内ローラ8が挿入されている。
たのは、動作時の滑りを分散(内ピン7及び外歯歯車5
a、5bの滑りを、内ピン7と内ローラ8の滑り及び内
ローラ8と外歯歯車5a、5bの滑りに分散)させるた
めである。
7及び内ローラ8は、出力軸2のフランジ部に固着又は
嵌入されている。
主に伝達容量の増大、強度の維持、回転バランスの保持
を図るためである。
コイド歯形や円弧歯形等の外歯9が設けられている。こ
の外歯9はケーシング12に固定された内歯歯車10と
内接噛合している。
1によって構成されている。外ピン11は外ピン孔13
に遊嵌され、回転し易く保持されている。なお、例えば
図7に示されるように、この外ピン11は、ときに外ロ
ーラ14で被覆される。これにより、動作時の滑りを分
散(図6で外ピン11と外ピン孔13とで滑らせていた
のを、図7で示されるように外ピン11Aと外ローラ1
4の滑り及び外ピン11Aと外ピン孔13の滑りとに分
散)させることができる。
軸1が1回転すると偏心体3a、3bが1回転する。偏
心体3a、3bが1回転すると、外歯歯車5a、5bも
入力軸1の周りで揺動・回転を行おうとする。しかしな
がら、内歯歯車10によってその自転が拘束されるた
め、外歯歯車5a、5bは、この内歯歯車10に内接し
ながらほとんど揺動のみを行うことになる。
N、内歯歯車10の歯数をN+1とした場合、その歯数
差は1である。そのため、入力軸1の1回転毎に外歯歯
車5a、5bはケーシング12に固定された内歯歯車1
0に対して1歯分だけずれる(自転する)ことになる。
これは、入力軸1の回転が外歯歯車の−1/Nの回転に
減速されたことを意味する。なお、マイナスの符号は逆
回転を意味している。
ラ孔6及び内ローラ8の隙間によってその揺動成分が吸
収され、自転成分のみが内ローラ8内の内ピン7を介し
て出力軸2へと伝達される。この結果、結局減速比−N
の減速が達成される。
機と例えばモータとを組合わせることにより、僅か1段
の減速機構で大きな減速比のギヤドモータを得ることが
できる。
歯車構造の内歯歯車を固定し、第1軸を入力軸、第2軸
を出力軸としていたが、第2軸を固定し、第1軸を入力
軸、内歯歯車を出力軸とすることによっても減速機を構
成可能である。更に、これらの入出力を逆転させること
により増速機を構成することも可能である。
心体を組込んでいたが、第1軸を平歯車を介して、「3
本の第1軸」に分散し、この分散した第1軸にそれぞれ
偏心体を組込み、該偏心体を介して外歯歯車を揺動回転
させるタイプのものも公知である。本発明は、このよう
なタイプの内接噛合遊星歯車構造であっても全く問題な
く適用し得る。
して示すように、内ピン7の外周と内ローラ8の内周の
間には、隙間δ1 が設けられている。又、図9に誇張し
て示すように、外ピン11Aの外周と外ローラ14の内
周の間には隙間δ2 が設けられている。この隙間δ1 、
δ2 は、2つの部材間に潤滑油膜を確保すると共に、互
いに接触する部材同士が円滑に滑ることができるように
するためのものである。
けると、内ピン7と内ローラ8、あるいは外ピン11A
と外ローラ14の間にがたが生じ、ひいては歯車伝達機
構全体にがたが生じるという問題が発生する。そのため
一方側の回転から他方側の回転に移るときに駆動側の回
転が直ちに被駆動側の回転となって現われないという欠
点があった。このような応答の遅れを以下「角度バック
ラッシュ」と呼ぶことにする。
星歯車構造が例えばサーボモータ等の制御機構として使
用された場合には、その制御程度を低下させるものとな
る。内接噛合遊星歯車構造において角度バックラッシュ
が発生する原因は種々考えられるが、このような角度バ
ックラッシュを無くす工夫として、従来例えば外歯歯
車、内歯歯車等を正転用と逆転用とに2分割したり、あ
るいは正転用や逆転用に役割分担させたりする等種々の
構造が知られている(特開昭59−106744号、特
開昭59−113340号、特開昭59−115743
号、特開昭59−208366号等)。
しないタイプの内接噛合遊星歯車構造において)外ピン
と外ピン孔に関する隙間を極小にする方法として、特願
昭60−86571号(特公平5−86506)を提案
したりしている。
でも、これまでに角度バックラッシュを低減するために
内ピンと内ローラとの間の隙間δ1 や外ピンと外ローラ
の間の隙間δ2 に着目したものはなく、ここで発生する
角度バックラシュについては何ら対策がとられていない
というのが実情であった。
は外ピンと外ローラの間は、所定の潤滑油を常に確保し
ておく必要がある;たとえ加工誤差や組付け誤差、あ
るいは動力伝達時の各部材の変形により、内ピンと内ロ
ーラ、あるいは外ピンと外ローラとの軸芯がずれるよう
な状態が発生しても、2つの部材を円滑に滑らせる必要
がある;という事情から、この隙間δ1 、δ2 は無くす
ことができない構成(必須の構成)であると考えられて
いたためである。
を設けることなく確保する方法として、例えばホワイト
メタルやフッ素樹脂のように低摩擦で馴染み性の良い素
材を用いることも考えられる。しかしながら、内接噛合
遊星歯車構造の内ローラや外ローラには、一般に入力軸
のトルクを数倍から100倍以上にまで増幅した大きな
トルクがかかるため、耐久性の観点から高硬度、高強度
の材料(例えば高炭素クロム軸受鋼鋼材(JIS G4
805のSUJ2又は相当品)を焼入れ焼戻しするか、
機械構造用合金鋼(JIS G4103、JIS G4
104、JISG4105)を浸炭焼入れ焼戻しして、
HRC58−64程度の表面硬さとした材料)を用いな
ければならず、この方法は多くの場合採用することはで
きない。
外周)に周溝を設けると共に、この周溝にオイルを確保
する構成も考えられるが、この方法は内ローラの加工コ
スト上昇をまねくのみならず、高硬度、高強度材料に応
力集中を生じる鋭利な切欠きを設ける事から著しい強度
の低下となり、この種の内接噛合遊星歯車構造の内ロー
ラや外ローラの構成としては好ましくない。
料を高精度に加工する必要があることから、内ローラや
外ローラの内外径は「研削」によって加工しなければな
らず、特に内径を研削によって加工する場合、(研削は
あくまで材料の結晶粒を剪断する加工であるため)仕上
げ粗さには限界(経済的には2〜3μ)があり、この粗
さで油膜を維持するためにはある程度の大きさの隙間δ
1 、δ2 の存在が必須であるという事情もあった。
ピンと内ローラの隙間δ1 、あるいは外ピンと外ローラ
の隙間δ2 は必須のものと考えられ、従ってこれに起因
する角度バックラッシュの発生は不可避的なものと考え
られていたものである。
なされたものであって、従来(当然に)できるだけ真円
筒に近づけた加工をする必要があると考えられていた内
ローラ、あるいは外ローラの形状を発想を変えて見直
し、新たな不都合を何ら発生させることなく角度バック
ラッシュを従来より大きく低減することのできる内接噛
合遊星歯車構造の内ローラ、あるいは外ローラ、を提供
することを目的とする。
際に製造するのに最適な方法を提供することを目的とす
る。
は、第1軸と、該第1軸の回転によって回転する偏心体
と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転可能な状
態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車が内接噛合する
内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転成分のみ
を伝達する手段を介して連結された第2軸と、を備えた
内接噛合遊星歯車構造の、前記自転成分のみを伝達する
手段を構成するために円柱状の内ピンと共に用いられる
円筒状の内ローラにおいて、第1軸と、該第1軸の回転
によって回転する偏心体と、該偏心体を介して第1軸に
対して偏心回転可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該
外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該
外歯歯車の自転成分のみを伝達する手段を介して連結さ
れた第2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記
自転成分のみを伝達する手段を構成するために円柱状の
内ピンと共に用いられる円筒状の内ローラにおいて、前
記円筒の内周壁の縦断面を、該内周壁の軸方向中央部の
内径が、両端部の内径より大径の樽形に形成したことに
より上記課題を解決したものである。
1軸の回転によって回転する偏心体と、該偏心体を介し
て第1軸に対して偏心回転可能な状態で組込まれた外歯
歯車と、該外歯歯車が内接噛合する内歯歯車と、前記外
歯歯車に該外歯歯車の自転成分のみを伝達する手段を介
して連結された第2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車構
造の、前記自転成分のみを伝達する手段を構成するため
に円柱状の内ピンと共に用いられる円筒状の内ローラの
製造方法において、第1軸と、該第1軸の回転によって
回転する偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏
心回転可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車
が内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車
の自転成分のみを伝達する手段を介して連結された第2
軸と、を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記自転成分
のみを伝達する手段を構成するために円柱状の内ピンと
共に用いられる円筒状の内ローラの製造方法において、
円柱状の内ローラ素材の中央部を軸方向にくり抜き切削
して、円筒状の内ローラ素材を形成する手順と、該円筒
状の内ローラ素材の内周壁をバニシング加工する手順
と、該バニシング加工した内ローラ素材を熱処理するこ
とにより、該内ローラ素材全体を軸方向中央部が膨らん
だ樽形に変形させる樽形形成手順と、該樽形に変形され
た内ローラ素材の外周壁を研削加工し、該外周壁のみを
完全な円柱形状とする手順と、を含むことにより、上記
課題を解決したものである。
て、バニッシング加工時に加工歪をより積極的に加える
ことにより、加工による熱処理前の残留歪と、熱処理に
よる残留歪とにより円筒形の内周壁の縦断面形状をより
明瞭な樽形形状に成形することにより上記課題を解決し
たものである。
造の内ローラに着目したものであり、全く同様の構成を
外ローラに適用したのが請求項4、5及び6である。
施の形態を詳細に説明する。
ラ、あるいは外ローラの特に内周縦断面の形状に特徴が
あり、内接噛合遊星歯車構造自体の構成については、従
来の構成と特に変わるところはない。従って、該内接噛
合遊星歯車構造自体の構成については、既に詳述済みで
あるため、説明を省略する。
縦断面は、特にその内周壁が従来のように真直ではな
く、該内周壁の軸方向中央部の内径が両端部の内径より
大径の樽形形状となっており、内ピンあるいは外ピンを
挿入したときに、ここにオイル又はグリースの潤滑油を
保持できるようになっている。
面図である。ここでは樽形形状が誇張して描かれてい
る。
ーラ30の内周壁の形状、及び粗さを粗さ計で測定した
実計測グラフである。ここでは、目的の測定のために径
方向Yと軸方向Xの縮尺が同一ではなく、径方向Yの倍
率が軸方向Xの200倍にセットされている。
分の実体側の内周壁32に相当している。即ち、該ライ
ン32Lを境にして、下側の部分が実体側、上側が中空
孔側である。
態に係る内ローラ30は、その円筒の内周壁32の縦断
面が真直ではなく、軸方向中央部の内径d1が両端部の
内径d2より大径(d1>d2)で、貫通孔31の中央
部P1が凸(実体側から見れば凹)の樽形形状をしてい
る。この実施形態に係る内ローラ30の大きさは、その
軸方向長L1が25mm、両端部P2での内径d2が1
2mm、該両端部P2での肉厚tが2.5mmであり、
この場合に、中央部P1と両端部P2での内径の差(d
1−d2)は片側で約5〜6μとされている。
部)32R1と両端部P2での凹部(実体側から見れば
凸部)32R2は滑らかに連続し、更にこの凹部32R
2と両端面32R3も滑らかに連続している。
を内ピン7に組み付けた状態を示す概念図である。な
お、図3も見易さを優先したため、径方向Yと軸方向X
の縮尺は同一ではない。
は従来通りに軸方向真直に形成される。内ピン7の外周
7Aは内ローラ30の内周壁32の(実体側の)凸部3
2R2、32R2に軽く接触しており、内周壁32の中
央部P1の(実体側の)凹部32R1との隙間H、即ち
(d1−d2)/2は、(樽形形状により)前述したよ
うに5〜6μ前後となる。なお、この隙間Hは内ローラ
30の大きさにはあまり影響を受けず、絶対値で2〜1
0μ程度までが許容範囲となる。
該隙間本来の機能が発揮されず、又、あまり大きすぎる
と内ローラ30と内ピン7との間にラジアル方向の(大
きな)力が作用した場合でも、(実体側から見た)2つ
の凸部32R2、32R2での弧が小さくなり、この2
点でしかトルク伝達がなされないため、内ピン7が(い
かなるときも)この部分でのみ内ローラ30と接触する
ようになって耐摩耗性上好ましくないためである。
状とすることにより、図3の隙間Hが潤滑油を確保する
空間として機能する。又、内ピン7は内ローラ30の内
周壁32の2つの凸部32R2、32R2において、該
内ローラ30と接触しているため、内ローラ30と内ピ
ン7の軸心O1は特に大きな力がかからない限りずれる
ことはなく、基本的に「がた」は発生しない。そのた
め、従来のように、隙間δ1に起因する角度バックラッ
シュが発生することもない。
があっても、あるいは動力伝達時に各部材が弾性変形し
ても、更には、予期せぬ大きな外的荷重が加わって内ピ
ン7が撓むようになっても、隙間Hには潤滑油が確保さ
れているため、円滑な滑りを維持することができる。
いは外ローラ)を採用することにより、多量の潤滑油を
確保しながら、即ち耐久性を低下させることなく、内ロ
ーラ(外ローラ)と内ピン(外ピン)の同軸性を確実に
維持することによって、角度バックラッシュを低減でき
る。又、更に、加工誤差や動作時の弾性変形、あるいは
外的荷重に対する弾性変形等が発生しても良好な滑り特
性を確保することができるため、動力損失を格段に減少
させることができる。
後述する製造方法によって製造した場合には、内周壁3
2の表面がバニシング加工によって鏡面化していること
と相まって、潤滑油膜が薄くなっても焼き付きを生じ難
く、実機での実験によれば、その動力伝達能力が約3倍
程度に大幅に向上すると共に、動作時の騒音も低減する
ことが確認されている。
(あるいは外ローラ)を製造する方法について説明す
る。
は、従来と同様な製造工程において、その内周壁の切削
を例えば超高精度のNC(Nunerical Control )工作機
械等で行うという手法も考えられる。しかしながら、高
硬度、高強度の素材を高精度に切削可能なNC工作機械
は、該機械自体が非常に高コストである上に、内ローラ
1本1本にかかる加工時間が長くなってしまうため、実
用的にはコスト上成立し得ない。
加工と熱処理とを組合せ、この加工歪みと熱歪みとを積
極的に利用する製造方法を創案した。
す。なお、図4の各部は見易さを優先させたため、変形
を誇張して描いており、径方向Yと軸方向Xの縮尺は同
一ではない。以下順に説明する。
内ローラ素材の中央部を軸方向Xにくり抜き切削して、
円筒状の内ローラ素材30Aを形成し、該内ローラ素材
30Aの外径及び内径を中間仕上げする。
よる研削又は精密旋盤による旋削によって加工され、内
径は、精密旋盤による旋削によって加工されるものとす
る。なお、この加工は、いずれも材料組織の剪断による
加工である。
によってチャッキングして、内周壁32をローラバニシ
ングツール52によるバニシング加工して、内ローラ素
材30Bを得る。ここでのバニシング加工は、これ自体
は公知のものであり、図4(A)で組織の剪断によって
加工された内周壁32を(押し潰すようにして)圧延す
る加工である。このため、旋削や研削よりも細かい粗さ
(鏡面)を得ることができる。
熱処理を施した後の微小な曲がり具合を誇張して描いた
のが図4(C)である。
材料を高炭素クロム軸受鋼鋼材(JIS G4805の
SUJ2又はその相当品)としたときは、公知の焼入
れ、焼戻しにより全体を硬化させる工程が好ましい。
用合金鋼(JIS G4103、JIS G4104、
JIS G4105等のいわゆる浸炭鋼)としたとき
は、いわゆる浸炭焼入れ、焼戻しにより表面硬化させる
のが好ましい。
向両端部はその放熱面積が大きいため、速く冷却される
ことから、中央部より大きく収縮し、その状態で固まる
ため、図4(C)に図示したような曲がり形状が得られ
る。図4(C)において、lo は外周において曲がって
いる長さ、δo は外径の相対的な縮み量、li 、δiは
内径側の曲がっている長さ及び縮み量をそれぞれ示して
いる。
ラ素材30Cは、外周側がその両端部lo においてδo
だけその径が小さく、内周側はその軸方向両端部li に
おいてδi だけ中央部より両端部の径が小さい、いわゆ
る樽形形状を呈することになる。
よって生じてしまう変形(熱歪み)を積極的に利用し、
これにより内周壁の樽形形状を形成するようにしたのが
大きな特徴である。
樽形に変形した内ローラ素材30Cの外周壁を研削によ
って仕上げ加工する。この結果、外周壁33については
真直、内周壁については樽形の意図した内ローラ30を
得ることができる。図4(D)に示されるように、この
内ローラ30は、内周壁においてのみ、その軸方向両端
部li の部分が中央部よりもδi だけ径が小さくなって
いるものである。
積極的に(より大きく)形成する方法を示す。
に、先の実施形態ではチャッキングを軸方向全長に亘っ
て行っていたが、ここでは該チャッキングを両端部にお
いて意識的に外すようにしたものである。この結果、バ
ニシング加工時にローラバニシングツール52によって
内周側から加工圧がかかった際に、内ローラ素材30E
の両端部が図の破線で示すように外周側に膨張する現象
が発生し、ここでの加工(圧延)が軽度になり、内周壁
32がこの部分のみ拡大されないという状態を作り出す
ことができる。この結果、チャッキング装置50′を解
放すると、図5の(B)に示されるように、未だ熱処理
を行わない段階で、既に両端部lB においてδB だけ両
端部の径が小さい樽形形状を得ることができるようにな
る。従って、これに前述した熱処理工程を施すことによ
り、先の実施形態より一層樽形形状を明瞭化させること
ができるようになる。
されるトルクを考慮し、実際に形成される隙間H(図
3)が2〜10μ(好ましくは5〜6μ)となるように
チャッキングや熱処理の仕方を確定すればよい。
は、上述した実施例の他、放熱の段階で中央部のみが意
図的に遅く放熱されるような(両端部が意図的に速く放
熱されるような)放熱環境、例えば放熱時に両端部付近
のみ冷風をかける等の環境を形成するようにしてもよ
い。
径d2が6mm〜60mmの範囲にあるときは、外径
(d2+t)がその約1.3倍から1.7倍(即ちt/
dが1/3〜1/6程度)の範囲にあれば、要求される
軸方向長L1(内径d2の約1.5倍〜4倍程度が要求
される)において意図した程度の樽形形状を十分に形成
できることが発明者等の試験により確認されている。但
し、理想的には、外径d2+tが内径d2の1.5倍前
後(1.4〜1.6倍)程度に収まっていると(特に更
なる熱処理等を施すことなく)良好な隙間Hが確保され
る。
したように、外周壁が真直に研削される。
周壁の軸方向中央部において内ピンとの間に隙間Hが生
じるため、ここが潤滑油の保持部となる。又、内周壁は
従来の研削加工に比べ、バニシング加工により格段に鏡
面化されているため、焼付きが生じ難くなり、両端部に
おいてほぼ常に接触した状態(内ピンと内ローラとの隙
間をほぼ0)にすることができ、角度バックラッシュの
原因を取り除くことができるようになる。又、内周壁が
鏡面化されることと相まって、常に形成される油膜によ
って動力伝達効率を高く維持でき、動力伝達能力を(3
倍程度)にまで向上させることができるようになる。
例にとってその構成及び製造方法を説明していたが、本
発明は外ローラに対しても全く同様に適用できるのは言
うまでもない。
ーラ(外ローラ)、あるいは本発明に係る方法によって
製造された内ローラ(外ローラ)は、その内周壁の樽形
形状の隙間において十分に潤滑油を確保することがで
き、従って内ピン(外ピン)をほとんどがたを生じるこ
となく、内ローラ(外ローラ)と同軸に保持することが
できるようになる。従って、潤滑油の確保(耐久性の維
持)と、動力伝達効率や伝達能力の向上、騒音の低減を
図ることができると共に、角度バックラッシュの低減を
実現することができる。
る内ローラの縦断面図
の形状を実測したグラフ
す縦断面図
工程図
ための一部破断の正面図
を説明するための部分拡大断面図
の横断面図
めの横断面図
Claims (6)
- 【請求項1】第1軸と、該第1軸の回転によって回転す
る偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転
可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車が内接
噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転
成分のみを伝達する手段を介して連結された第2軸と、
を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記自転成分のみを
伝達する手段を構成するために円柱状の内ピンと共に用
いられる円筒状の内ローラにおいて、 前記円筒の内周壁の縦断面を、該内周壁の軸方向中央部
の内径が、両端部の内径より大径の樽形に形成したこと
を特徴とする内接噛合遊星歯車構造の内ローラ。 - 【請求項2】第1軸と、該第1軸の回転によって回転す
る偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転
可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車が内接
噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転
成分のみを伝達する手段を介して連結された第2軸と、
を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記自転成分のみを
伝達する手段を構成するために円柱状の内ピンと共に用
いられる円筒状の内ローラの製造方法において、 円柱状の内ローラ素材の中央部を軸方向にくり抜き切削
して、円筒状の内ローラ素材を形成する手順と、 該円筒状の内ローラ素材の内周壁をバニシング加工する
手順と、 該バニシング加工した内ローラ素材を熱処理することに
より、該内ローラ素材全体を軸方向中央部が膨らんだ樽
形に変形させる樽形形成手順と、 該樽形に変形された内ローラ素材の外周壁を研削加工
し、該外周壁のみを完全な円柱形状とする手順と、 を含むことを特徴とする内接噛合遊星歯車構造の内ロー
ラの製造方法。 - 【請求項3】請求項2に記載の内接噛合遊星歯車構造の
内ローラの製造方法において、 前記バニシング加工する手順におけるバニシング加工
が、前記円筒状に形成された内ローラ素材の外周を、そ
の軸方向中央位置で半径方向円周側への所定の押圧力が
発生するようにチャッキングした状態で実行され、且
つ、 前記樽形形成手順における熱処理が、前記チャッキング
を解放した状態で実行されることを特徴とする内接噛合
遊星歯車構造の内ローラの製造方法。 - 【請求項4】第1軸と、該第1軸の回転によって回転す
る偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転
可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車が内接
噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転
成分のみを伝達する手段を介して連結された第2軸と、
を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記内歯歯車の内歯
を構成するために用いられる円筒状の外ローラにおい
て、 前記円筒の内周壁の縦断面を、該内周壁の軸方向中央部
の内径が、両端部の内径より大径の樽形に形成したこと
を特徴とする内接噛合遊星歯車構造の外ローラ。 - 【請求項5】第1軸と、該第1軸の回転によって回転す
る偏心体と、該偏心体を介して第1軸に対して偏心回転
可能な状態で組込まれた外歯歯車と、該外歯歯車が内接
噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転
成分のみを伝達する手段を介して連結された第2軸と、
を備えた内接噛合遊星歯車構造の、前記内歯歯車の内歯
を構成するために用いられる円筒状の外ローラの製造方
法において、 円柱状の外ローラ素材の中央部を軸方向にくり抜き切削
して、円筒状の外ローラ素材を形成する手順と、 該円筒状の外ローラ素材の内周壁をバニシング加工する
手順と、 該バニシング加工した外ローラ素材を熱処理することに
より、該外ローラ素材全体を軸方向中央部が膨らんだ樽
形に変形させる樽形形成手順と、 該樽形に変形された外ローラ素材の外周壁を研削加工
し、該外周壁のみを完全な円柱形状とする手順と、 を含むことを特徴とする内接噛合遊星歯車構造の外ロー
ラの製造方法。 - 【請求項6】請求項5に記載の内接噛合遊星歯車構造の
外ローラの製造方法において、 前記バニシング加工する手順におけるバニシング加工
が、前記円筒状に形成された内ローラ素材の外周を、そ
の軸方向中央位置で半径方向円周側への所定の押圧力が
発生するようにチャッキングした状態で実行され、且
つ、 前記樽形形成手順における熱処理が、前記チャッキング
を解放した状態で実行されることを特徴とする内接噛合
遊星歯車構造の外ローラの製造方法。
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