JPH11189864A - 蒸着材料 - Google Patents

蒸着材料

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JPH11189864A
JPH11189864A JP35806597A JP35806597A JPH11189864A JP H11189864 A JPH11189864 A JP H11189864A JP 35806597 A JP35806597 A JP 35806597A JP 35806597 A JP35806597 A JP 35806597A JP H11189864 A JPH11189864 A JP H11189864A
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JP
Japan
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vapor
vapor deposition
deposition material
component
alumina
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JP35806597A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Okamura
敏彦 岡村
Yoshitaka Kubota
吉孝 窪田
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Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 沸点又は蒸気圧の異なる2種類の成分からな
る複合化した蒸着膜を組成ずれを起こさずに作製するこ
とのできる蒸着材料を提供する。 【解決手段】 蒸着材料の上部において、沸点の高い成
分又は蒸気圧の低い成分の濃度を大きくし、深さ方向に
進むとともにその濃度が減少するように、蒸着材料の深
さ方向にその組成を傾斜させる。例えば、アルミナの含
有量40wt%、シリカの含有量60wt%のアルミナ
−シリカの複合セラミックス膜を作製したい場合、蒸気
圧の低いアルミナの濃度を蒸着材料の上部で大きくして
おく。この場合、蒸着材料の上部のアルミナ/シリカの
組成比を70/30から95/5、より好ましくは、9
0/10にしておき、深さ方向に進むとともにアルミナ
の濃度を減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エレクトロンビー
ム(EB)蒸着法により、沸点又は同一温度での蒸気圧
が異なる2種類の成分からなる蒸着膜を作製する場合に
有用な蒸着用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セラミックス等のコーティング膜を種々
の基材表面にコーティングする事によって、その基材が
有する性能をさらに向上させようとする試みがあらゆる
分野で行われている。
【0003】セラミックス等のコーティング膜の材料と
しては、従来、Al、カーボン、SiO2、Al23
MgO、ZrO2などの単一組成のもの、又はこれらを
交互に積層したものであった。しかし、近年セラミック
ス等のコーティング膜に対する高度な要求により、複合
化したセラミックス等のコーティング膜が開発されるよ
うになった。
【0004】セラミックス等のコーティング膜を形成す
る方法としては真空を利用したスパッタ法、蒸着法等が
あるが、成膜速度やコスト面などの要求により蒸着法が
優れている。同じ蒸着法においても、近年、その高融点
材料の成膜に電子線を用いたエレクトロンビーム蒸着法
が盛んに使用されるようになってきた。
【0005】従来、この複合化したセラミックスのコー
ティング膜を電子線を用いたエレクトロンビーム蒸着法
で行う場合、複数個の電子銃を用い、成分となる化合物
を独立に蒸発させ、基板上で単一相であり組織が複合化
されたセラミックスのコーティング膜を作製していた。
また別の方法として、作製しようとする複合セラミック
スのコーティング膜と同組成の蒸着材料を成形、焼結に
よって作製し、エレクトロンビーム蒸着法を用いて、こ
の蒸着材料を溶融し、各元素を同時に蒸発させ、基板上
で複合化させて、希望とする組成のセラミックスのコー
ティング膜を作製していた。
【0006】ところが、例えば、Al23−SiO2
ような複合セラミックス膜、すなわち、沸点又は蒸気圧
の異なる2種類の成分からなる蒸着膜を作製する場合、
希望とするセラミックス膜と同組成の蒸着材料を成形、
焼結によって作製し、これを蒸着材料として用いたので
は、蒸気圧の違いから、長時間蒸着を行うと蒸気圧の高
いものの方が優先蒸発をおこし、組成ずれを生じてしま
い、その結果、得られる膜の組成を希望する組成に制御
することができないという問題があった。また、従来の
ように、電子銃を複数個用いて成分となる化合物を独立
に蒸発させ、基板上で複合化させる方法は、組成制御が
複雑になるうえ、コストもかかるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、沸点
又は蒸気圧の異なる2種類の成分からなる複合化した蒸
着膜を作製する際、一つの電子銃を用いて、複合化した
蒸着膜を組成ずれを起こさずに作製することのできる蒸
着用材料を提供することにある。さらに、このような蒸
着材料を用いることにより、組成制御を簡単にし、装置
コストを安価なものにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、
本発明は、沸点又は同一温度での蒸気圧が異なる2種類
の成分を複合化した薄膜を、エレクトロンビーム(E
B)蒸着法により形成するために用いられる、前記沸点
又は同一温度での蒸気圧が異なる2種類の成分から構成
される蒸着材料であって、その組成が、前記蒸着材料の
深さ方向に傾斜を有する蒸着材料であり、また、前記蒸
着材料の上部において、沸点の高い成分又は蒸気圧の低
い成分の濃度を大きくし、深さ方向に進むとともに前記
沸点の高い成分又は蒸気圧の低い成分の濃度が減少する
ように、前記蒸着材料の深さ方向にその組成を傾斜させ
た蒸着材料である。ここで、蒸着材料を構成する沸点又
は同一温度での蒸気圧が異なる2種類の成分は、各々、
Al、Zr、Y、Mg、Ti、Si、In、Sn又はZ
nの酸化物、窒化物又は炭化物であることが好ましく、
より具体的な化合物としては、蒸着可能な材料であれば
良く特に制限されないが、通常は、Al23、Zr
2、Y23、MgO、TiO2、SiO、SiO2、I
23、SnO、ZnO等が用いられる。特に、アルミ
ナは沸点が高く蒸気圧が低いので、蒸着材料を構成する
2種類の成分の一方がアルミナである場合、本発明の蒸
着材料は特に有効である。なお、蒸着材料をルツボにセ
ットして、その上部表面にエレクトロンビーム(EB)
を照射すると、蒸着材料はその上部表面から下方に向か
って蒸着材料の厚さ方向に溶けていくが、この蒸着材料
が溶けていく方向を、本発明では蒸着材料の深さ方向と
称する。
【0009】本発明におけるエレクトロンビーム(E
B)蒸着法には、真空槽内に酸素などの反応ガスを導入
し、酸化反応を行わせる反応性蒸着等の特殊な蒸着も含
まれる。
【0010】沸点又は蒸気圧の異なる2種類の化合物か
らなる複合蒸着膜を作製する場合、得ようとする膜と同
じ組成の焼結体を作製し、これを用いて、蒸着膜を作製
すると、蒸気圧の高い化合物が優先蒸発を起こし、蒸気
圧の低い化合物をほとんど含まない蒸着膜になってしま
う。本発明が示す通り、蒸着材料の上部において、沸点
の高い成分又は蒸気圧の低い成分の濃度を大きくし、深
さ方向に進むとともに沸点の高い成分又は蒸気圧の低い
成分の濃度が減少するように、深さ方向にその濃度を傾
斜させることによって、蒸気圧の高い成分の優先蒸発を
抑え、膜の組成を制御することができるようになり、希
望とする組成の蒸着膜を得ることができる。本発明で深
さ方向の濃度を傾斜させる場合、濃度の変化率は、各成
分の沸点、蒸気圧に起因した蒸着効率に応じて決められ
るが、その他の各種条件、例えば、電子銃のパワー等に
も左右される。したがって、これらの条件も考慮して蒸
着材料の濃度の変化率を決めることが好ましい。また、
濃度を変化させる場合、必ずしも連続的に変える必要は
なく、1つ1つは均質であるが、互いに組成の異なる複
数の薄い蒸着材料を作製し、それらをその組成の順に積
層した形を取ってもよい。
【0011】蒸着材料の密度は、特には限定されない
が、密度が高いとエレクトロンビーム照射時に破壊され
る化合物もあるので、相対密度は、40〜70%にする
のが好ましい。密度の調整は、出発原料の粒度、成形方
法、例えば、一軸プレスのプレス圧やCIP成形の圧
力、焼成の際の焼成温度等の組み合わせによって行うこ
とができる。
【0012】本発明は、例えば、アルミナとシリカの複
合セラミックス膜のような蒸気圧の差がかなり大きな化
合物を蒸発させる場合に特に効果的である。
【0013】例えば、アルミナの含有量40wt%、シ
リカの含有量60wt%のアルミナ−シリカの複合セラ
ミックス膜を作製したい場合、蒸気圧の低いアルミナの
濃度を蒸着材料の上部で大きくしておく。この場合、蒸
着材料の上部のアルミナ/シリカの組成比を70/30
から95/5、より好ましくは、90/10にしてお
き、深さ方向に進むとともにアルミナの濃度を減少させ
る。
【0014】アルミナの濃度の減少率は、エレクトロン
ビームを照射させたときにできる溶融部の組成比がアル
ミナ/シリカ=70/30から95/5、より好ましく
は90/10に成るように調整する必要がある。
【0015】このようにして作製した蒸着材料を用いて
蒸着を行うと、一つの電子銃によって、複合化した膜を
組成ずれを起こさずに作製することができる。
【0016】なお、このような方法で作成した膜は、食
品包装材に用いられるガスバリアフィルム、耐熱用コー
ティング膜、熱線反射フィルム、透明導電膜等としても
利用される。また、基板材料としては、高分子フィルム
に限定されることなく、ガラス、金属、セラミックスや
プラスチック成形体にも応用することが可能である。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】実施例1 第1図は、本発明の蒸着材料の一構成例を示す図であ
る。図示する蒸着材料は、Al23−SiO2系のアル
ミナ含有量が40wt%、シリカ含有量60wt%であ
る複合セラミックス薄膜を形成する際に用いられるもの
である。
【0019】この蒸着材料は、次のようにして作製でき
る。平均粒径0.5μmのアルミナ(住友化学製、商品
名「AES−12」)と平均粒径100μmのシリカ
(UNIMIN Co.製、商品名「IOTA4」)を
重量比で90:10になるように秤量する。その後、ボ
ールミルで湿式混合し、エバポレーターで乾燥する。こ
うして得られた混合粉末を用い、直径25mmの金型で
100kg/cm2の圧力で一軸プレスを行い円柱状の
成形体を作製する。同様な方法で、重量比80:20、
70:30、60:40、50:50、40:60の成
形体をそれぞれ作製し、これらをその深さ方向にアルミ
ナの含有量が順次少なくなるように重ね合わせ、500
kg/cm2で再プレスし一体の成形体にする。焼成
は、大気中、1500℃で4時間行う。
【0020】このようにして作製された蒸着材料は、1
8mmの高さと25mmの直径を持ち、相対密度は65
%であった。
【0021】エレクトロンビーム(EB)蒸着は、次の
通り行った。
【0022】エレクトロンビーム(EB)蒸着装置チャ
ンバー内のルツボに蒸着源として前述の蒸着材料を載置
する。この際、アルミナ成分が多い方が、蒸着膜が形成
される基板に対向するようにする。
【0023】蒸着は次の条件で行われる。チャンバーに
接続されているポンプでチャンバー中を真空引きし、1
-6torrの圧力に設定する。電子銃のパワーは、加
速電圧6kVで電流120mAである。蒸着膜を形成す
る基板にはポリプロピレンを使用し、基板は特には加熱
しない。
【0024】以上の条件下で、前述の蒸着材料にエレク
トロンビームを照射させ、これにより溶融、蒸発させ、
厚さ100nmの蒸着膜を形成した。このときの蒸着速
度は、1nm/secであった。
【0025】このようにして作製された蒸着膜を、蛍光
X線分析によって組成分析した結果を、横軸を蒸着開始
からの蒸着時間の累積時間として示した結果を図2に示
す。図示するように、蒸着膜の組成は蒸着の初期から終
了時まで多少の変動はあるもののほぼアルミナ:シリカ
=40:60に保たれている。
【0026】以上、本発明の一実施例を説明した。前記
実施例では蒸着材料を6層構造にしたが、層の数を増や
すことによって、より精度を向上させることができる。
また、各層の組成比は主として各化合物の沸点、蒸気圧
に起因した蒸着効率に応じて決められるが、その他の各
種条件、例えば、電子銃のパワー等にも左右される。し
たがって、これらの条件も考慮して蒸着材料の組成比を
決めることが好ましい。
【0027】比較例1 実施例1で用いたと同じ平均粒径0.5μmのアルミナ
(住友化学製、商品名「AES−12」)と平均粒径1
00μmのシリカ(UNIMIN Co.製、商品名
「IOTA4」)を重量比で40:60になるように秤
量した。その後、ボールミルで湿式混合し、エバポレー
ターで乾燥した。こうして得られた混合粉末を用いて、
直径25mmの金型で100kg/cm2の圧力で一軸
プレスを行い円柱状の成形体を作製し、大気中、150
0℃で4時間焼成して、18mmの高さと25mmの直
径を持ち、相対密度65%の蒸着材料を得た。
【0028】実施例1と同様の蒸着条件下で、蒸着を行
い、作製された蒸着膜の組成を蛍光X線分析によって分
析した結果を図3に示す。
【0029】この結果から明らかなように、蒸着源のア
ルミナ含有量を深さ方向に増加させないと、沸点が低
く、蒸気圧の高いシリカの優先蒸発が起こり、蒸着の初
期では、殆どシリカからなる蒸着膜が、蒸着の後期では
殆どアルミナからなる蒸着膜が形成されてしまい、所望
の組成の蒸着膜を得ることができない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
蒸着材料の上部における、沸点の高い成分又は蒸気圧の
低い成分の組成比を多くし、深さ方向に進むとともに沸
点の高い成分又は蒸気圧の低い成分の組成比を減少さ
せ、深さ方向に組成を傾斜させたことによって、長時間
連続して蒸着しても蒸着初期と後期で組成ずれを起こさ
ず、所定組成の複合セラミックス薄膜を作製することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸着材料の一例を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例1により作製された蒸着膜の組
成の、累積蒸着時間に対する変化を示す図である。
【図3】本発明の比較例1により作製された蒸着膜の組
成の、累積蒸着時間に対する変化を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸点又は同一温度での蒸気圧が異なる2
    種類の成分を複合化した薄膜を、エレクトロンビーム
    (EB)蒸着法により形成するために用いられる、前記
    沸点又は同一温度での蒸気圧が異なる2種類の成分から
    構成される蒸着材料であって、その組成が前記蒸着材料
    の深さ方向に傾斜を有していることを特徴とする蒸着材
    料。
  2. 【請求項2】 エレクトロンビーム(EB)が照射され
    る蒸着材料の上部において、沸点の高い成分又は蒸気圧
    の低い成分の濃度を大きくし、深さ方向に進むとともに
    前記沸点の高い成分又は蒸気圧の低い成分の濃度が減少
    するように、前記蒸着材料の深さ方向にその組成を傾斜
    させたことを特徴とする請求項1記載の蒸着材料。
  3. 【請求項3】 沸点又は同一温度での蒸気圧が異なる2
    種類の成分が、各々、Al、Zr、Y、Mg、Ti、S
    i、In、Sn又はZnの酸化物、窒化物又は炭化物で
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の蒸着
    材料。
  4. 【請求項4】 蒸着材料を構成する2種類の成分が各々
    アルミナ及びシリカであることを特徴とする請求項1又
    は請求項2記載の蒸着材料。
  5. 【請求項5】 蒸着材料を構成する沸点の高い成分又は
    蒸気圧の低い成分がアルミナであることを特徴とする請
    求項2又は請求項3記載の蒸着材料。
  6. 【請求項6】 蒸着により得られる、沸点又は同一温度
    での蒸気圧が異なる2種類の成分を複合化した薄膜の組
    成が、所望の組成を有し、かつその組成が常に一定にな
    るように、前記蒸着材料の沸点の高い成分又は蒸気圧の
    低い成分の含有量を多くするとともにその組成の深さ方
    向の傾斜を調整したことを特徴とする請求項1〜5いず
    れか1項に記載の蒸着材料。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009149975A (ja) * 2007-11-26 2009-07-09 Hoya Corp 蒸着膜の形成方法、光学部材の製造方法及び光学部材

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