JPH11186656A - 半導体レーザ素子用反射膜及びその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子用反射膜及びその製造方法

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JPH11186656A
JPH11186656A JP36576597A JP36576597A JPH11186656A JP H11186656 A JPH11186656 A JP H11186656A JP 36576597 A JP36576597 A JP 36576597A JP 36576597 A JP36576597 A JP 36576597A JP H11186656 A JPH11186656 A JP H11186656A
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JP
Japan
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film
thickness
layer
temperature
optical
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JP36576597A
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Shinichiro Gosho
真一郎 御所
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性の高い安定した特性が得られるととも
に、複数波長のレーザ光を発振するレーザ装置に簡便に
形成する。 【解決手段】 GaAsレーザ素子基板の共振器端面上
に第1層目としてAl2O3膜を、成膜温度130℃でス
パッタ法によって成膜し、膜厚を光学膜厚でλ/16に
制御する。次に、第2層目のα−Si:H膜を、成膜温
度200℃でスパッタ成膜する。第2層膜の光学膜厚
は、λ/8に制御する。次に、第3層目のAl2O3膜
を、成膜温度130℃でスパッタ成膜する。第3層膜の
光学膜厚は、λ/16に制御する。次に、第4層目のα
−Si:H膜を、成膜温度200℃でスパッタ成膜す
る。第4層膜18の光学膜厚は、λ/8に制御する。次
に、第5層目のAl2O3膜を、成膜温度130℃でスパ
ッタ成膜する。第5層膜の光学膜厚は、λ/16に制御
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、半導体レーザ素
子の共振器端面(レーザ光出射端面)に形成される反射
膜にかかり、更に具体的には、複数の異なるモードのレ
ーザ光を出力する半導体レーザ素子を含むレーザ装置に
好適な反射膜の改良に関する。
【0002】
【背景技術】半導体レーザ素子の光出射端面には、出射
効率を向上させるために、Al2O3,SiO2,Si3N
4,TiO2などの誘電体物質による反射膜が、例えば光
学膜厚λ/2(λはレーザ光の波長)で形成されてい
る。図6にはその様子が示されている。同図(A)は、単
一波長の半導体レーザ素子900における共振器端面に
は、反射膜902,904がそれぞれ形成されている。
素子900で発振したレーザ光のうちの主ビームは例え
ば反射膜902から出力され、モニタ光は反射膜904
から出力される。同図(B)は、半導体レーザ素子906
における共振器方向の一端に反射膜908が形成された
例である。なお、図中の矢印は、レーザ光の射出方向を
示す(以下同様)。
【0003】反射膜は、単一誘電体物質による単層構造
の場合もあるが、単層反射膜を組み合わせて多層構造と
する場合もある。単層膜では、単一波長(例えば790
nm)に対して目的の反射率(例えば30〜35%)が得
られるような分光特性となるように、材料などが選択さ
れる。多層膜では、多層構造全体として所望の特性が得
られるように、層数や材料などが選択される。
【0004】成膜方法としては、EB真空蒸着法やマグ
ネトロンRFスパッタ法などが一般的であるが、膜質の
良さからスパッタ法が広く使われている。成膜プロセス
は、反射膜の密着性を向上させるために基板(レーザ素
子基板)温度を200℃〜300℃に保ち、この状態で
スパッタを行って反射膜を成膜している。この方法は、
単層構造及び多層構造のいずれの場合も同様である。図
7には、その成膜の条件をグラフに示したもので、横軸
は成膜時間,縦軸は成膜温度である。同図の例では、3
00度一定で反射膜は成膜される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような背景技術には、次のような不都合がある。 (1) 基板温度を200℃〜300℃で一定に保ったまま
反射膜を形成する。このため、反射膜に応力歪みが残存
しやすく、耐環境試験などで膜にクラックが生じたり、
あるいは膜が剥がれることがあり、信頼性に悪影響を及
ぼしている。
【0006】(2)反射膜は、上述したように単一波長に
対して所定の反射率が得られる分光特性となっている。
このため、例えば多重波長で発振するレーザーアレイ,
例えばCD−R用の790nmと、DVD用の650nmm
とで発振するような二波長レーザ装置に反射膜をコーテ
ィングする場合、波長に応じた分光特性の膜を別個に形
成しなければならない。
【0007】図8には、その一例が示されており、CD
−R用レーザ素子910には、波長790nmに対応する
反射膜912を共振器端面を形成する。一方、DVD用
レーザ素子920には、波長650nmに対応する反射膜
922を共振器端面に形成する。この際に、反射膜91
2,922は同一でないため、マスクを使用して別々に
レーザ素子910,920にコーティングする必要があ
り、製造工程が複雑になる。
【0008】この発明は、以上の点に着目したもので、
信頼性の高い安定した特性が得られるとともに、複数波
長のレーザ光を発振するレーザ装置に簡便に形成するこ
とができるレーザ素子用反射膜,その製造方法,レーザ
装置を提供することを、その目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明の反射膜は、第1の温度で形成される第1
の光学膜厚の第1の膜と、第2の温度で形成される第2
の光学膜厚の第2の膜を、交互に積層したことを特徴と
する。主要な形態の一つによれば、前記第1の膜は、1
30℃で成膜される光学膜厚λ/16のAl2O3膜であ
り、前記第2の膜は、200℃で成膜される光学膜厚λ
/8のシリコン膜であり、5層の積層構造としたことを
特徴とする。他の形態によれば、前記シリコン膜は、α
−SiH膜もしくはSiの結晶膜であることを特徴とす
る。
【0010】本発明の反射膜製造方法は、共振器端面上
に、温度130℃で光学膜厚λ/16の厚さにAl2O3
膜を第1層膜として形成するステップ;この第1層膜上
に、温度200℃で光学膜厚λ/8の厚さにα−SiH
膜を第2層膜として形成するステップ;この第2層膜上
に、温度130℃で光学膜厚λ/16の厚さにAl2O3
膜を第3層膜として形成するステップ;この第3層膜上
に、温度200℃で光学膜厚λ/8の厚さにα−SiH
膜を第4層膜として形成するステップ;この第4層膜上
に、温度130℃で光学膜厚λ/16の厚さにAl2O3
膜を第5層膜として形成するステップ;を含むことを特
徴とする。
【0011】この発明の前記及び他の目的,特徴,利点
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1には、本形態における半導体レ
ーザ素子の反射膜の形成手順がグラフとして示されてい
る。図1のグラフは前記図7に対応するもので、横軸は
成膜時間,縦軸は成膜温度である。図2には、レーザ素
子の一方の共振器端面における反射膜の積層構成が示さ
れている。これら図1,図2に示すように、本形態で
は、まずGaAsレーザ素子基板10の共振器端面上に
第1層目としてAl2O3膜12を形成する。第1層膜1
2は、成膜温度130℃でスパッタ法によって成膜し、
膜厚を光学膜厚でλ/16に制御する。
【0013】次に、第2層目のα−Si:H(水素化ア
モルファスシリコン)膜14を、成膜温度200℃でス
パッタ成膜する。第2層膜14の光学膜厚は、λ/8に
制御する。次に、第3層目のAl2O3膜16を、成膜温
度130℃でスパッタ成膜する。第3層膜16の光学膜
厚は、λ/16に制御する。次に、第4層目のα−S
i:H膜18を、成膜温度200℃でスパッタ成膜す
る。第4層膜18の光学膜厚は、λ/8に制御する。次
に、第5層目のAl2O3膜20を、成膜温度130℃で
スパッタ成膜する。第5層膜20の光学膜厚は、λ/1
6に制御する。なお、成膜時間は、各層いずれも30分
である。
【0014】このように、3層のAl2O3膜と、2層の
α−Si:H膜を、光学膜厚λ/16,λ/8で交互に
積層することで、反射膜22がレーザ素子基板10の共
振器端面上に形成される。また、Al2O3膜12,1
6,20は成膜温度130℃で形成され、α−Si:H
膜14,18は成膜温度200℃で形成される。
【0015】図3には、この5層構造の反射膜22の分
光特性が示されている。なお、比較のため、2層のAl
2O3膜と1層のα−Si:H膜を光学膜厚λ/4で積層
した3層構造の反射膜と、5層のAl2O3膜と4層のα
−Si:H膜を光学膜厚λ/4で積層した9層構造の反
射膜の分光特性を示す。
【0016】図3に示すように、本形態にかかる5層構
造では、CD−R及びDVD用に必要な波長620nm〜
790nmの間で反射率が32%〜34%とほぼフラット
で安定した特性が得られている。しかしながら、3層構
造や9層構造では、波長620nm〜790nmの間で安定
した特性が得られない。次に、5層構造の反射膜につい
て耐環境試験を行ったところ、試験後のクラック観察に
おいてクラックの発生は認められなかった。これは、図
1に示すように、各層を、比較的低い温度であって、か
つ、層毎に交互に異なる温度で成膜することで、膜中の
応力歪みが緩和されたためと考えられる。
【0017】図4,図5には、以上の5層構造の反射膜
を利用したレーザ装置が示されている。図4は平面図,
図5は斜視図である。これらの図において、基板30上
には、DVD用レーザ素子32と、CD−R用レーザ素
子34がそれぞれ分離して形成されている。DVD用レ
ーザ素子32は波長650nmのレーザ光を発振し、CD
−R用レーザ素子34は波長790nmのレーザ光を発振
する。これらレーザ素子32,34の共振器端面には、
前記5層構造の反射膜36,38が全体に形成されてい
る。これら反射膜36,38は、図3に示したように、
波長620nm〜790nmでほぼ一定の反射率となってい
る。このため、レーザ素子32,34の発振波長が異な
るものの、反射膜36,38の作用はほぼ同一であり、
良好な特性が得られる。従って、レーザ素子毎にマスク
を使用して反射膜を形成するというような複雑な作業を
必要とせず、簡便に反射膜を形成することができる。
【0018】このように、本形態によれば、耐環境試験
においてクラックの発生が認められなかったことなどか
ら、信頼性向上に大きく貢献できる。また、分光特性も
620nm〜790nm間で反射率が32%〜34%とほぼ
平坦で安定した特性が得られていることから、例えば一
つはDVD用半導体レーザ(発振波長650nm),もう
一つはCD−R用半導体レーザ(発振波長790nm)と
いった多重波長のレーザアレイの端面反射膜に好適であ
る。すなわち、発振波長650nmの端面反射膜と発振波
長790nmの端面反射膜を別々に形成する必要がなく、
一つのプロセスと膜構造で良好な信頼性と分光特性を確
保することができる。従って、CD−R及びDVDの両
方を再生するような光ピックアップの光源に好適である
などの利点がある。
【0019】この発明には数多くの実施形態があり、以
上の開示に基づいて多様に改変することが可能である。
例えば、前記形態では、3層のAl2O3膜と2層のα−
Si:H膜を、光学膜厚λ/16とλ/8,成膜温度1
30℃と200℃で交互に形成することとしたが、成膜
温度や使用する材料などは同様の特性が得られる範囲内
で変更可能である。例えば、α−Si:H膜の代わりに
Siを使用し、270℃程度で結晶膜を形成しても、同
様の特性が得られる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
レーザ素子の共振器端面の反射膜を、第1の温度で形成
される第1の膜と、第2の温度で形成される第2の膜の
積層構造としたので、信頼性の高い安定した特性が得ら
れるとともに、複数波長のレーザ光を発振するレーザ装
置に簡便に形成することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態における反射膜の製造手
順を示す図である。
【図2】前記形態にかかる反射膜の積層構造を示す図で
である。
【図3】前記形態にかかる反射膜の分光特性を示す図で
である。
【図4】前記形態にかかる反射膜を利用した二波長レー
ザ装置を示す平面図である。
【図5】図4の二波長レーザ装置を示す斜視図である。
【図6】一般的なレーザ素子を示す図である。
【図7】背景技術における反射膜製造の手順を示す図で
ある。
【図8】背景技術おける二波長レーザ装置を示す平面図
である。
【符号の説明】
10…レーザ素子基板 12…第1層膜 14…第2層膜 16…第3層膜 18…第4層膜 20…第5層膜 22…反射膜 30…基板 32…DVD用レーザ素子 34…CD−R用レーザ素子 36,38…反射膜

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ素子の共振器端面に形成さ
    れる積層構造の反射膜において、 第1の温度で形成される第1の光学膜厚の第1の膜と、
    第2の温度で形成される第2の光学膜厚の第2の膜を、
    交互に積層したことを特徴とする半導体レーザ素子用反
    射膜。
  2. 【請求項2】 前記第1の膜は、130℃で成膜される
    光学膜厚λ/16のAl2O3膜であり、前記第2の膜
    は、200℃で成膜される光学膜厚λ/8のシリコン膜
    であり、5層の積層構造としたことを特徴とする請求項
    1記載の半導体レーザ素子用反射膜。
  3. 【請求項3】 前記シリコン膜は、α−SiH膜もしく
    はSiの結晶膜であることを特徴とする請求項2記載の
    半導体レーザ素子用反射膜。
  4. 【請求項4】 半導体レーザ素子の共振器端面に反射膜
    をスパッタ法で形成する半導体レーザ素子用反射膜の製
    造方法において、 前記共振器端面上に、温度130℃で光学膜厚λ/16
    の厚さにAl2O3膜を第1層膜として形成するステッ
    プ;この第1層膜上に、温度200℃で光学膜厚λ/8
    の厚さにα−SiH膜を第2層膜として形成するステッ
    プ;この第2層膜上に、温度130℃で光学膜厚λ/1
    6の厚さにAl2O3膜を第3層膜として形成するステッ
    プ;この第3層膜上に、温度200℃で光学膜厚λ/8
    の厚さにα−SiH膜を第4層膜として形成するステッ
    プ;この第4層膜上に、温度130℃で光学膜厚λ/1
    6の厚さにAl2O3膜を第5層膜として形成するステッ
    プ;を含むことを特徴とする半導体レーザ素子用反射膜
    の製造方法。
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