JP3290646B2 - 半導体レーザ素子、その製造方法及び光ディスク装置 - Google Patents
半導体レーザ素子、その製造方法及び光ディスク装置Info
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Description
の応用が期待される半導体レーザ素子及びその製造方法
並びに半導体レーザ素子を発光部に用いた光ディスク装
置に関する。
ザ光の共振器端面には、端面反射膜が設けられている。
なかでも、レーザ光の出射面と対向する後方端面である
反射端面は、高い反射率が要求されるため、膜厚がλ/
4n1 の低屈折率膜と膜厚がλ/4n2 の高屈折率膜と
を交互に積層してなる高反射率の端面反射膜が形成され
る。ここで、λはレーザ光の発振波長を表わし、n1 は
低屈折率膜の波長λにおける屈折率を表わし、n2 は高
屈折率膜の波長λにおける屈折率を表わしている。
率膜とには、レーザ光の波長におけるそれぞれの吸収係
数が十分に小さいことが要求される。そのため、端面反
射膜を構成する低屈折率膜には、可視光領域及び紫外線
領域を含む広い帯域で吸収係数が小さい酸化シリコン
(SiO2 )又は酸化アルミニウム(Al2 O3 )が用
いられている。一方、端面反射膜を構成する高屈折率膜
には、レーザ光の波長により種々の誘電体材料が用いら
れている。
出力するヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)か
らなる赤外又は赤色半導体レーザ素子には、その高屈折
率膜としてアモルファスシリコン(α−Si)が用いら
れている。ここで、アモルファスシリコンの波長780
nmの光に対する吸収係数の値は4×104 cm-1であ
る。
の光ディスク装置分野への応用例として、規格の4倍の
速度で且つ1回のみの書き込みが可能な4倍速CD−R
(CD−recordable)用レーザ素子が挙げら
れる。4倍速CD−R用レーザ素子には、後方端面の端
面反射膜として酸化シリコンとアモルファスシリコンと
が組をなす積層膜が用いられている。例えば、2組(周
期)分の酸化シリコンとアモルファスシリコンとから端
面反射膜を構成することにより、反射率を95%とする
ことができる。
50%のパルス駆動時で100mW、また、連続(Co
ntinuous−Wave:CW)駆動時で80mW
の光出力を持つ4倍速CD−R用レーザ素子が実現され
ている。
力する燐化アルミニウムガリウムインジウム(AlGa
InP)からなる赤色半導体レーザ素子の高屈折率膜に
は、アモルファスシリコンの代わりに、酸化チタン(T
iO2 )が用いられている。アモルファスシリコンを用
いない理由は、波長が650nm付近の光に対するアモ
ルファスシリコンの吸収係数が大きいため、これを端面
反射膜に用いた場合には、アモルファスシリコン層にお
ける光吸収が大きくなる。この光吸収に伴う温度上昇に
より、レーザ素子における共振器端面近傍の結晶性が劣
化して、素子の信頼性が低下するからである。
レーザ素子には、端面反射膜として、酸化シリコンと比
べて屈折率が十分に大きく且つ吸収係数もアモルファス
シリコンよりも小さい酸化チタンを用いている。アモル
ファスシリコンの波長650nmの光に対する吸収係数
の値が1×105 cm-1であるのに対し、酸化チタンの
波長650nmの光に対する吸収係数の値は2cm-1で
ある。
が約400nmの青紫色半導体レーザ素子においても、
端面反射膜として酸化シリコンと酸化チタンとからなる
積層膜が用いられている。例えば、窒化アルミニウムイ
ンジウムガリウム(AlInGaN)からなる半導体レ
ーザ素子の端面反射膜として、酸化シリコンと酸化チタ
ンとからなる積層膜を用いた半導体レーザ素子が、Jpn.
J. Appl. Phys. Vol.38 (1999) pp. L184-L186に報告
されている。なお、酸化チタンの波長400nmの光に
対する吸収係数の値は2400cm-1である。
用の半導体レーザ素子には、光ディスクへの記録速度の
向上を図るための高出力化と、記録密度の向上を図るた
めの短波長化とが要求されている。
nmの赤外又は赤色半導体レーザ素子に用いられている
酸化シリコンとアモルファスシリコンとの積層体からな
る端面反射膜や、発振波長が約650nmの赤色半導体
レーザ素子に用いられている酸化シリコンと酸化チタン
との積層体からなる端面反射膜は、レーザ素子の高出力
化に対応することができないという問題がある。
導体レーザ素子にも用いられている酸化シリコンと酸化
チタンとの積層体からなる端面反射膜は、レーザ素子の
短波長化に対応することができないという問題もある。
ける高屈折率膜における光の吸収係数が十分に小さいと
はいえないため、レーザ素子の高出力化を図ると、高屈
折率膜の光吸収による温度上昇が顕著となって、半導レ
ーザ素子、特に活性領域における共振器端面の近傍部分
の結晶構造が劣化するからである。
ような短波長化を図る場合に、従来の酸化シリコンとの
積層膜からなる端面反射膜では対応が困難となる。これ
は、酸化チタンの吸収係数が短波長の領域では大きく増
大するためである。
体レーザ素子の高出力化又は短波長化に対応できる端面
反射膜を得られるようにすることを目的とする。
め、本発明は、半導体レーザ素子の端面反射膜を構成す
る高屈折率膜に酸化ニオブ(Nb2O5)を用いる構成と
する。
ザ素子は、複数の半導体層により形成された共振器と、
共振器の端面に形成された酸化ニオブを含む反射膜とを
備えている。
の端面に形成された反射膜に例えば酸化チタンよりも光
の吸収係数が小さい酸化ニオブを含むため、レーザ光の
吸収が酸化チタンの場合よりも少なくなるので、該反射
膜の温度上昇が抑制される。このため、半導体層におけ
る共振器の端面近傍部分の結晶構造の劣化を防止できる
ので、レーザ素子の高出力化又は短波長化が可能とな
る。
複数の半導体層により形成された共振器と、共振器の端
面に形成され、第1の誘電体層及び屈折率が第1の誘電
体層よりも大きい第2の誘電体層を含む反射膜とを備
え、第2の誘電体層は酸化ニオブからなる。
半導体レーザ素子と同様の効果を得られる上に、反射膜
が酸化ニオブからなる高屈折率膜と酸化ニオブよりも屈
折率が小さい第1の誘電体層とから構成されているた
め、反射率を確実に高めることができる。
複数の半導体層により形成された共振器と、共振器の端
面に形成され、第1の誘電体層及び屈折率が第1の誘電
体層よりも大きい第2の誘電体層を交互に積層してなる
反射膜とを備え、少なくとも共振器の端面側に位置する
第2の誘電体層は酸化ニオブからなる。
半導体レーザ素子における反射膜が積層されているた
め、反射率がより一層向上する。さらに、発振波長が赤
色領域のレーザ素子の場合には、反射膜における共振器
の端面と反対側、すなわち外側に位置する第2の誘電体
層に酸化ニオブよりも高屈折率の誘電体、例えば酸化チ
タン等を用いると、酸化チタンの吸収係数も赤色領域に
おいてはそれ程大きくないため、反射膜の反射率を大き
くできる。
て、第1の誘電体層が酸化シリコン又は酸化アルミニウ
ムからなることが好ましい。
共振器の発振波長が約400nmか又は400nmより
も短いことが好ましい。
複数の半導体層がIII-V族窒化物半導体からなることが
好ましい。
造方法は、基板の上に複数の半導体層を順次成長させる
ことにより、共振器構造を形成する工程と、複数の半導
体層が成長した基板を劈開又はエッチングすることによ
り複数の半導体層から共振器端面を露出する工程と、露
出した共振器端面の上に、酸化ニオブを含む反射膜を形
成する工程とを備えている。
と、複数の半導体層が成長した基板を劈開又はエッチン
グすることにより、該複数の半導体層から共振器端面を
露出し、露出した共振器端面の上に酸化ニオブを含む反
射膜を形成するため、本発明の第1の半導体レーザ素子
を実現できる。
て、反射膜を形成する工程が、反射膜を、屈折率が酸化
ニオブよりも小さい第1の誘電体層と、酸化ニオブから
なる第2の誘電体層とを含む積層構造とする工程を含む
ことが好ましい。このようにすると、本発明の第2又は
第3の半導体レーザ素子を実現できる。
て、反射膜をスパッタ法又は反応性スパッタ法により形
成することが好ましい。
て、複数の半導体層がIII-V族窒化物半導体からなるこ
とが好ましい。
ーザ素子を含む発光部と、発光部から出射されたレーザ
光をデータが記録された記録媒体上に集光する集光光学
部と、記録媒体によって反射されたレーザ光を検出する
光検出部とを備え、半導体レーザ素子は、複数の半導体
層により形成された共振器と、共振器の端面に形成され
た酸化ニオブを含む反射膜とを有している。
を構成する半導体レーザ素子が、共振器の端面に形成さ
れた酸化ニオブを含む反射膜を有しているため、発光部
が半導体レーザ素子の高出力化又は短波長化に対応する
ことができるようになる。
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
体レーザ素子であって、発振波長が約400nmの青紫
色半導体レーザ素子を示している。
には、例えば、窒化ガリウム(GaN)からなる障壁層
と窒化インジウムガリウム(InGaN)からなる井戸
層とにより構成される量子井戸活性層11が少なくとも
n型とp型の各窒化アルミニウムガリウム(AlGa
N)からなる光ガイド層に上下方向から挟まれてなる共
振器12が形成されている。
端面10aと反対側の反射端面10bには、端面反射膜
13が設けられている。
ら順次形成された、第1の誘電体層としての酸化シリコ
ン(SiO2 )からなる低屈折率膜13aと、第2の誘
電体層としての酸化ニオブ(Nb2O5)からなる高屈折
率膜13bとにより構成される単位反射膜130を複数
含むように構成されている。
膜厚、並びに単位反射膜130の数は、半導体レーザ素
子の仕様によってそれぞれ適当な値を設定することがで
きる。例えば、膜厚が約68nmの酸化シリコンと膜厚
が約40nmの酸化ニオブとからなる単位反射膜130
を3組分形成することにより、端面反射膜13に約9
3.9%の反射率を得ることができる。
光に対する反射膜の高屈折率膜13bに、従来のように
酸化チタン(TiO2 )を用いても、酸化ニオブの場合
と同程度の反射率を得ることは可能である。
射膜13の高屈折率膜13bに酸化ニオブを用いている
ため、酸化ニオブの光の吸収係数が酸化チタンよりも小
さいので、共振器13の端面近傍の温度上昇を抑制でき
る。その結果、量子井戸活性層11及びその周辺部の結
晶性が劣化しにくくなり、半導体レーザ素子の高出力化
が可能となる。なお、活性層を量子井戸構造としたが、
必ずしも量子井戸構造を採る必要はない。
00nm以下の紫外領域にまで短波長化を進める場合で
あっても、紫外半導体レーザ素子用の端面反射膜13に
酸化シリコンと酸化チタンとからなる単位反射膜130
を用いると、酸化チタンの光吸収によって半導体レーザ
素子に劣化が生じる。一方、第1の実施形態において
は、紫外領域であっても、光の吸収係数が酸化チタンよ
りも酸化ニオブの方が小さいため、短波長化による素子
の劣化をも低減できる。
又は水素等が、レーザ素子の内部に拡散するのを防止す
る保護膜としても機能する。発振波長に約400nmの
青紫色光を得られる半導体材料として有望視されている
III-V族窒化物半導体は、特に水素によって電気的特性
が劣化しやすいという性質を有しているが、本実施形態
に係る半導体レーザ素子は、共振器端面の一方が水素の
侵入を防ぐ酸化ニオブにより覆われているため、外部か
らの水素等の不純物拡散による半導体レーザ素子の劣化
を防止できる。
ザ素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
体レーザ素子の製造方法であって、スパッタ法による端
面反射膜の製造方法を模式的に示している。ここでは、
スパッタ成膜装置として、例えばマグネトロンスパッタ
リング装置を用いる。
リング装置20は、壁面の上部に設けられたガス導入口
21と該ガス導入口21と対向する壁面の下部に設けら
れた排気口22とを持つ成膜室23を有している。
ており、陽極24上には、成膜対象であるレーザ素子形
成体10Aが各共振器12の反射端面10bを上方に向
けて保持されている。ここで、レーザ素子形成体10A
は、あらかじめ複数の共振器12が形成された短冊状の
半導体ウエハであって、共振器長方向とほぼ垂直な方向
で劈開されて、反射端面10bを露出している。
2O5)からなる板状のターゲット材25が陽極24と対
向するように保持された平板型マグネトロン電極26が
設けられている。これにより、レーザ素子形成体10A
の露出した反射端面10bはターゲット材25と対向す
る。
口21からアルゴン(Ar)を主成分とするプラズマ生
成用ガスを導入する。続いて、ターゲット材25に高周
波電力を印加して、ターゲット材25の表面近傍にプラ
ズマを発生させる。このとき、ターゲット材25に衝突
するアルゴンイオンによって、ターゲット材25の表面
がスパッタリングされることにより、陽極24上に保持
されたレーザ素子形成体10Aの反射端面10b上に誘
電体膜が成膜される。第1の実施形態においては、一例
として、酸化シリコンからなる低屈折率膜13aと酸化
ニオブからなる高屈折率膜13bとにより構成される単
位反射膜130を3組分形成する。
25をシリコン(Si)とし、プラズマ生成用ガスをア
ルゴン(Ar)とし且つ反応性ガスを酸素(O2 )とす
る反応性スパッタ法を用いる。
らなるターゲット材25をアルゴンイオンによってスパ
ッタリングする場合には、成膜される酸化ニオブの酸素
の組成が化学量論比よりも小さくなりやすい。従って、
酸化ニオブの酸素の欠損を防止するために、成膜時の導
入ガスとしてアルゴンガスと共に酸素ガスを供給するこ
とが望ましい。
を約10sccm(standard cubic c
entimeter per minute)とし、酸
素の供給量を約40sccmとしている。また、成膜中
の成膜室23の圧力を約0.1Paとし、高周波電力を
1kW程度に設定している。これらの条件により、約8
nm/minの堆積速度で且つほとんど酸素の欠損がな
い酸化ニオブからなる高屈折率膜13bを形成すること
ができる。
ット材25に酸化ニオブを用いたが、これに代えて、金
属ニオブ(Nb)をターゲット材25とし、酸素ガスを
反応性ガスとする反応性スパッタ法により成膜してもよ
い。
コンからなる低屈折率膜13aと酸化ニオブからなる高
屈折率膜13bとの界面汚染を防止するため、真空一環
プロセスにより形成することが望ましい。このために
は、酸化シリコン用の成膜室と酸化ニオブ用の成膜室と
を備えたマルチチャンバ構成のスパッタ装置、又は1つ
の成膜室に酸化シリコンの原料と酸化ニオブの原料とを
有するマルチソース構成のスパッタ装置を用いることが
望ましい。
比較的簡単に低光吸収で且つ高屈折率の誘電体膜を形成
できるため、青紫色半導体レーザ素子に限らず、赤色半
導体レーザ素子等の他の波長領域のレーザ光を出力する
レーザ素子にも容易に適用できる。
メータによる評価結果であって、第1の実施形態に係る
酸化ニオブからなる高屈折率膜の光の吸収係数及び屈折
率の波長分散を、比較用であって反応性スパッタ法によ
る酸化チタンからなる高屈折率膜とそれぞれ対比させて
示している。
ニオブの吸収係数は、波長が短くなるにつれて単調に増
加するものの、破線で示す酸化チタンと比較すると、そ
の値は大幅に小さいことが分かる。例えば、400nm
の波長における吸収係数を比較すると、酸化チタンが2
400cm-1であるのに対し、酸化ニオブは109cm
-1を示している。
ブの屈折率は波長が短くなるにつれて単調に増加する
が、酸化チタンと比較すると若干小さい値を示してい
る。このように、屈折率は、酸化チタンの方が酸化ニオ
ブよりも大きい値を示しており、例えば、400nmの
波長における屈折率を比較すると、酸化チタンが2.9
5であるのに対し、酸化ニオブは2.52を示してい
る。
問題となるのは、光の吸収係数の値が103 cm-1〜1
04 cm-1以上の場合である。吸収係数の値が104 c
m-1以下の領域を端面反射膜13の材料として使用可能
な波長領域であるとすると、酸化チタンの場合は約37
0nm以下の波長には対応できないのに対し、酸化ニオ
ブの場合は340nm付近まで対応可能であることが分
かる。
ブの屈折率は酸化チタンの屈折率と比べて若干小さい値
ではあるが、低屈折率膜13aを構成する酸化シリコン
(SiO2 )の屈折率と比べて十分に大きい値であるた
め、酸化シリコンと酸化ニオブとからなる単位反射膜1
30を用いることにより、端面反射膜13に十分な反射
率を得ることができる。
素子の端面反射膜における波長が400nmの光に対す
る反射率の膜厚依存性を示している。ここでは、膜厚が
λ/4n1 により決定される約68nmの酸化シリコン
からなる低屈折率膜13aと、膜厚がλ/4n2 により
決定される約40nmの酸化ニオブからなる高屈折率膜
13bとにより構成される単位反射膜130を3組分積
層することにより、反射率が約93.9%となる端面反
射膜13を得ている。ここで、λは400nmであり、
n1 は酸化シリコンの波長400nmにおける屈折率で
あり、n2 は酸化ニオブの波長400nmにおける屈折
率である。
オブの成膜方法として、マグネトロンスパッタ装置を用
いたが、これに限らず、ECRスパッタ装置、高周波ス
パッタ装置又はヘリコンスパッタ装置等を用いてもよ
い。
bとからなる単位反射膜130は、端面側に低屈折率膜
13aを設けると、該低屈折率膜13aと接する半導体
層との間で屈折率に差が生じて、反射率が大きくなる。
しかしながら、反射率は低下するものの、端面側に高屈
折率膜13bを設ける構成、又は単位反射膜130の外
側の膜を1組の膜の一方のみで終わらせる構成、すなわ
ち端面側と外側との双方に低屈折率膜13a若しくは高
屈折率膜13bを設ける構成であっても、本発明の効果
を損なうことはない。
を用いたが、これに代えて、酸化アルミニウム(Al2
O3)を用いてもよい。
と反対側の出射端面10aにも、保護膜として、低屈折
率である酸化シリコン又は酸化アルミニウムを設けても
よい。
半導体レーザ素子の半導体材料に窒化ガリウムを主な組
成とするIII-V族窒化物半導体を用いたが、これに限ら
れず、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化亜鉛(ZnS)
又は酸化亜鉛(ZnO)等のII−VI族化合物半導体を用
いてもよい。
実施形態について説明する。
化に対応できる高反射率膜に酸化ニオブを用いたが、第
2の実施形態においては、発振波長が赤外から赤色の長
波長の半導体レーザ素子の高出力化に対応できるように
する。
書き込みが可能な16倍速CD−R用レーザ素子におい
ては、デューティ比が50%のパルス駆動時で150m
W、また、CW駆動時で110mWの光出力が要求され
ており、従来の酸化シリコンからなる低屈折率膜とアモ
ルファスシリコンからなる高屈折率膜とから構成される
端面反射膜では十分な信頼性を得ることができない。
反射膜に用いる第1の誘電体層と第2の誘電体層とをそ
れぞれ酸化シリコン(SiO2 )と酸化ニオブ(Nb2
O5)とにより構成することによって、16倍速CD−
R用の赤外又は赤色半導体レーザ素子の長期信頼性を得
られるようになる。
体レーザ素子であって、発振波長が約780nmの赤外
又は赤色半導体レーザ素子を示している。
には、例えば、ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaA
s)からなる障壁層とヒ化ガリウム(GaAs)からな
る井戸層とにより構成される量子井戸活性層31が少な
くともn型とp型の各ヒ化アルミニウムガリウム(Al
GaAs)からなる光ガイド層に上下方向から挟まれて
なる共振器32が形成されている。なお、第2の実施形
態においても、活性層を量子井戸構造としたが、必ずし
も量子井戸構造を採る必要はない。
端面30aと反対側の反射端面30bには、端面反射膜
33が設けられている。
ら順次形成された、第1の誘電体層としての酸化シリコ
ンからなる低屈折率膜33aと、第2の誘電体層として
の酸化ニオブからなる高屈折率膜33bとにより構成さ
れる単位反射膜330を複数含むように構成されてい
る。
膜厚、並びに単位反射膜330の数は、半導体レーザ素
子の仕様によってそれぞれ適当な値を設定することがで
きる。例えば、反射端面30b上に、膜厚が膜厚がλ/
4n1 により決定される酸化シリコンと、膜厚がλ/4
n2 により決定される酸化ニオブとを2組分形成するこ
とにより、端面反射膜33に約85%の反射率を得るこ
とができる。
射端面30bに形成された端面反射膜33の高屈折率膜
33bに酸化ニオブを用いているため、該酸化ニオブの
光の吸収係数はアモルファスシリコンよりも小さいの
で、共振器33の端面近傍の温度上昇が抑制される。そ
の結果、量子井戸活性層31及びその周辺部の結晶性が
劣化しにくくなり、半導体レーザ素子の高出力化が可能
となる。
モルファスシリコンの光の吸収係数の値が4×104 c
m-1であるのに対し、酸化ニオブの光の吸収係数の値は
10 -3cm-1以下とほぼ0であるため、端面反射膜33
における光吸収を大きく低減できるからである。
端面反射膜33における2組目の高屈折率膜33bの酸
化ニオブに代えて、水素を含むアモルファスシリコンで
ある水素化アモルファスシリコン(α−Si:H)を用
いてもよい。このようにすると、端面反射膜33の反射
率を約90%にすることができる。
ザ素子の高出力化を図る場合には、2組分の単位反射膜
330のすべての高屈折率膜33bに酸化ニオブを用い
れば良く、さらには3組以上の単位反射膜330からな
る端面反射膜33を設ければ良い。
合、例えば4倍速CD−R用のレーザ素子の場合は、所
定の注入電流量で高反射率を得られるように、複数の単
位反射膜330の反射端面30b側の1組目を除く外側
の高屈折率膜33bに、酸化ニオブよりも屈折率が大き
い誘電体を用いるようにしても良い。
実施形態について図面を参照しながら説明する。
ィスク装置の構成を模式的に表わしている。図6におい
て、第3の実施形態に係る光ディスク装置は、本発明の
半導体レーザ素子、すなわち、第1の実施形態に係る青
紫色半導体レーザ素子を光ディスク装置の発光部41に
用いている。
発光部41を構成する半導体レーザ素子の出射端面と、
所望のデータが記録された記録媒体である光ディスク5
0のデータ保持面とが互いに対向するように設けられ、
発光部41と光ディスク50との間には、集光光学部4
0が設けられている。
設けられた、該発光部41から出射される出射光51を
平行光とするコリメータレンズ42と、平行光を3本の
ビーム(図示せず)に分割する回折格子43と、出射光
51を透過し且つ光ディスク50からの反射光52の光
路を変更するハーフプリズム44と、3本のビームを光
ディスク50上に集光させる集光レンズ45とを有して
いる。ここでは、発光光51として波長が約400nm
のレーザ光を用いている。
ムは径がそれぞれ0.4μm程度のスポット形状とな
る。この3つのスポットの位置によって検出される光デ
ィスク50の半径方向の位置ずれを、集光レンズ45を
適当に移動させることにより修正する駆動系回路46が
設けられている。
路上には反射光52を絞る受光レンズ47と、焦点の位
置ずれを検出するシリンドリカルレンズ48と、集光さ
れた反射光52を電気信号に変換する光検出部としての
フォトダイオード素子49とが設けられている。
に導く集光光学部40、及び光ディスク50により反射
した反射光52を受光するフォトダイオード素子49と
を備えた光ディスク装置の発光部41を構成する半導体
レーザ素子は、アモルファスシリコンや酸化チタンより
も光の吸収係数が小さい酸化ニオブを出射端面と反対側
の端面である端面反射膜の高屈折率膜に用いている。こ
のため、発振波長が約400nm又は400nm以下と
なる短波長化を図る場合に、発光部41の長期信頼性、
ひいては光ディスク装置の長期信頼性を得ることができ
る。
発光部41を構成する半導体レーザ素子に第2の実施形
態に係る赤外又は赤色半導体レーザ素子を用いれば、1
6倍速CD−ROMドライブ装置として長期信頼性を得
ることができる。
製造方法によると、反射膜におけるレーザ光の吸収が低
減するため、該反射膜の温度上昇が抑制されるので、半
導体層における共振器の端面近傍部分の結晶構造の劣化
を防止でき、レーザ素子の高出力化又は短波長化が可能
となる。
ーザ素子を示す斜視図である。
ーザ素子の反射端面の製造方法を示す模式図である。
係る青紫色半導体レーザ素子の端面反射膜における高屈
折率膜の波長依存性を示し、(a)は光の吸収係数を示
すグラフであり、(b)は屈折率を示すグラフである。
ーザ素子の端面反射膜における波長が400nmの光に
対する反射率の膜厚依存性を示すグラフである。
導体レーザ素子を示す斜視図である。
を示す模式的な構成図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 発振波長が約400nmか又は400n
mよりも短い半導体レーザ素子であって、 複数の半導体層により形成された共振器と、 前記共振器の端面に第1の誘電体層を介在させて形成さ
れ、酸化ニオブからなる第2の誘電体層を含む反射膜と
を備え、 酸化ニオブの前記発振波長に対する吸収係数は酸化チタ
ンの前記発振波長に対する吸収係数よりも小さいことを
特徴とする半導体レーザ素子。 - 【請求項2】 発振波長が約400nmか又は400n
mよりも短い半導体レーザ素子であって、 複数の半導体層により形成された共振器と、 前記共振器の端面に該端面側から順次形成され、第1の
誘電体層及び屈折率が前記第1の誘電体層よりも大きい
第2の誘電体層を含む反射膜とを備え、 前記第2の誘電体層は酸化ニオブからなり、酸化ニオブ
の前記発振波長に対する吸収係数は酸化チタンの前記発
振波長に対する吸収係数よりも小さいことを特徴とする
半導体レーザ素子。 - 【請求項3】 発振波長が約400nmか又は400n
mよりも短い半導体レーザ素子であって、 複数の半導体層により形成された共振器と、 前記共振器の端面に該端面側から順次形成され、第1の
誘電体層及び屈折率が前記第1の誘電体層よりも大きい
第2の誘電体層を交互に積層してなる反射膜とを備え、 前記第2の誘電体層は酸化ニオブからなり、酸化ニオブ
の前記発振波長に対する吸収係数は酸化チタンの前記発
振波長に対する吸収係数よりも小さいことを特徴とする
半導体レーザ素子。 - 【請求項4】 前記第1の誘電体層は酸化シリコン又は
酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜
3のうちのいずれか1項に記載の半導体レーザ素子。 - 【請求項5】 前記複数の半導体層はIII-V族窒化物半
導体からなることを特徴とする請求項1〜4のうちのい
ずれか1項に記載の半導体レーザ素子。 - 【請求項6】 前記複数の半導体層はII-VI族化合物半
導体からなることを特徴とする請求項1〜4のうちのい
ずれか1項に記載の半導体レーザ素子。 - 【請求項7】 前記反射膜を構成する酸化ニオブにおけ
る波長が400nmの光に対する吸収係数は2400c
m-1未満であることを特徴とする請求項1〜6のうちの
いずれか1項に記載の半導体レーザ素子。 - 【請求項8】 発振波長が約400nmか又は400n
mよりも短い半導体レーザ素子の製造方法であって、 基板の上に複数の半導体層を順次成長させることによ
り、共振器構造を形成する工程と、 前記複数の半導体層が成長した基板を劈開又はエッチン
グすることにより、前記複数の半導体層から共振器端面
を露出する工程と、 露出した前記共振器端面の上に、第1の誘電体層と酸化
ニオブからなる第2の誘電体層を順次堆積して、前記第
1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む反射膜を形成す
る工程とを備え、 酸化ニオブの発振波長に対する吸収係数は酸化チタンの
前記発振波長に対する吸収係数よりも小さいことを特徴
とする半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項9】 前記第1の誘電体層は屈折率が酸化ニオ
ブよりも小さく、 前記反射膜を形成する工程は、前記反射膜を、前記第1
の誘電体層と前記第2の誘電体層とを交互に積層してな
る積層構造とする工程を含むことを特徴とする請求項8
に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項10】 前記反射膜は、スパッタ法又は反応性
スパッタ法により形成することを特徴とする請求項8又
は9に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項11】 前記複数の半導体層はIII-V族窒化物
半導体からなることを特徴とする請求項8〜10のうち
のいずれか1項に記載の半導体レーザ素子の製造方法。 - 【請求項12】 半導体レーザ素子を含む発光部と、 前記発光部から出射されたレーザ光をデータが記録され
た記録媒体上に集光する集光光学部と、 前記記録媒体によって反射されたレーザ光を検出する光
検出部とを備え、 前記半導体レーザ素子は、発振波長が約400nmか又
は400nmよりも短い半導体レーザ素子であって、 複数の半導体層により形成された共振器と、 前記共振器の端面に第1の誘電体層を介在させて形成さ
れ、酸化ニオブからなる第2の誘電体層を含む反射膜と
を有し、 酸化ニオブの発振波長に対する吸収係数は酸化チタンの
前記発振波長に対する吸収係数よりも小さいことを特徴
とする光ディスク装置。
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JP11-339195 | 1999-11-30 | ||
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JP2001223428A JP2001223428A (ja) | 2001-08-17 |
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