JP2012015155A - 窒化物系半導体レーザ素子および光装置 - Google Patents

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真吾 亀山
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Abstract

【課題】半導体レーザ素子を安定的に動作させることが可能な窒化物系半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】この青紫色半導体レーザ素子100(窒化物系半導体レーザ素子)は、活性層25を有し、共振器端面2aおよび2bが形成された半導体素子層2と、共振器端面2aの表面上に形成された無機誘電体層30と、無機誘電体層30の共振器端面2aとは反対側の表面上に形成されたフッ化高分子層38とを備える。そして、無機誘電体層30の厚みは、フッ化高分子層38の厚みよりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物系半導体レーザ素子および光装置に関し、特に、共振器面上にフッ化高分子層が形成された窒化物系半導体レーザ素子および光装置に関する。
従来、半導体レーザ素子は、光ディスクシステムや光通信システムなどの光源として広く用いられている。たとえば、赤外半導体レーザ素子は、CDの再生用の光源として実用化されているとともに、赤色半導体レーザ素子は、DVDの記録・再生用の光源として実用化されている。また、青紫色半導体レーザ素子は、ブルーレイディスクの光源として実用化されている。
また、昨今では、半導体レーザ素子を搭載する光源装置の薄型化・軽量化および低価格化などに伴い、パッケージの気密封止を必要としないオープンパッケージ型の半導体レーザ装置の検討が進められている。この場合、レーザ素子の動作時に、大気中の水分子や大気中に微量に存在する低分子シロキサンや揮発性の有機ガスなどとレーザ出射光とが反応(光CVD作用)することに起因して、レーザ光が出射される出射端面の最表面に固体の付着物(SiOなどの汚染物質)が形成される虞がある。この場合、このような汚染物質が付着および堆積した部分でレーザ光が吸収されるので、半導体レーザ素子の動作電流が上昇する。また、SiOが誘電体膜として働くため、堆積膜厚が増加するにつれて出射端面の反射率が変化するとともに動作電流が変化し、結果として動作電流値の振動が起こる。さらには、動作電流の上昇に起因して出射端面が異常発熱を起こし、レーザ素子に光学損傷破壊(COD)が発生するという不都合が生じる。
そこで、従来、上記のような不都合を解決する構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、500nm以上の発振波長を有する半導体レーザ素子を備えた半導体発光装置が開示されている。この半導体発光装置では、半導体レーザ素子のレーザ光が出射される出射側共振器面に形成された無機誘電体膜上に、フッ素系の撥水撥油性化合物からなる膜が最表層として形成されている。これにより、半導体レーザ素子の動作時に、大気中の水分子やシロキサンなどとレーザ光との反応に伴う汚染物質が、出射端面の最表面に付着および堆積することが抑制されている。
特開2001−119090号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された半導体発光装置では、出射側共振器面に形成される無機誘電体膜の厚みと、この無機誘電体膜上に形成される撥水撥油性化合物からなる膜の厚みとの関係については何ら開示も示唆もされていない。このため、上記特許文献1に記載された構成をより短い波長を有する半導体レーザ素子に適用する場合、無機誘電体膜および撥水撥油性化合物からなる膜の各々の膜厚の設定値によっては、出射端面の最表面への汚染物質の付着および堆積を確実に抑制することができない場合があると考えられる。この場合、半導体レーザ素子の駆動中に動作電流値の上昇や振動が発生し、安定的に動作させることができないという問題点がある。
特に、赤外半導体レーザ素子(発振波長:約780nm)、赤色半導体レーザ素子(発振波長:約660nm)や、赤外および赤色半導体レーザ素子を励起光源とする緑色SHG半導体レーザ素子(発振波長:約530nm)などと比較して、上記波長よりも短く紫外光に近い波長を有する窒化物系青紫色半導体レーザ素子(発振波長:約405nm)では、光エネルギの増大に伴い、出射端面における光吸収作用や光CVD作用がより促進される。したがって、ブルーレイディスクなどの光源となる窒化物系半導体レーザ素子では、上記した比較的長い発振波長帯の半導体レーザ素子と比較して、出射端面の最表面への汚染物質の付着および堆積が一層抑制されにくい傾向にある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、半導体レーザ素子を安定的に動作させることが可能な窒化物系半導体レーザ素子および光装置を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子は、活性層を有し、出射側共振器面と反射側共振器面とが形成された半導体素子層と、出射側共振器面の表面上に形成された無機誘電体層と、無機誘電体層の出射側共振器面とは反対側の表面上に形成されたフッ化高分子層とを備え、無機誘電体層の厚みは、フッ化高分子層の厚みよりも大きい。なお、本発明において、出射側共振器面は、一対に形成された共振器端面のそれぞれから出射されるレーザ光強度の大小関係により区別される。すなわち、相対的にレーザ光の出射強度の大きい側が出射側共振器面である。また、相対的にレーザ光の出射強度の小さい側が反射側共振器面である。
この発明の第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子では、上記のように、無機誘電体層の厚みがフッ化高分子層の厚みよりも大きいので、出射側共振器面における反射率を容易に制御することができるとともに、最表層での光密度を適切に制御することができる。これにより、出射側共振器面の最表面における光CVD作用を抑制することができるので、出射側共振器面の最表面に汚染物質が付着したり堆積したりすることを抑制することができる。その結果、窒化物系半導体レーザ素子を安定的に動作させることができる。
また、第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子では、上記のように、出射側共振器面の最表面に汚染物質が付着しにくいので、窒化物系半導体レーザ素子を気密封止するためのパッケージが不要になる。
なお、無機誘電体層の厚みは、3μm以下が好ましい。このように構成すれば、出射側共振器面から無機誘電体層が膜剥れを起こしにくくすることができるとともに、出射側共振器面における反射率を容易に制御することができる。
上記第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、無機誘電体層は、出射側共振器面における反射率を制御する第1層と、第1層よりも大きな厚みを有する第2層との少なくとも2層からなる。このように構成すれば、第1層により出射側共振器面における反射率を制御するとともに、第2層により、出射側共振器面の最表面でのレーザ光の密度を適切に低減することができる。これにより、出射側共振器面から出射されたレーザ光がフッ化高分子層に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
上記構成において、好ましくは、第2層は、フッ化高分子層と接しており、活性層が発するレーザ光の波長がλ、第2層の屈折率がnである場合に、第2層の厚みtは、t≧m×λ/(2×n)(ただし、mは整数)により規定される範囲に設定されている。このように構成すれば、上記厚みの範囲内に設定された第2層により、出射側共振器面の最表面でのレーザ光の密度を適切に低減することができる。
この場合、好ましくは、t≧m×λ/(2×n)において、m≧3である。このように構成すれば、出射側共振器面の最表面でのレーザ光の密度を容易に低減することができる。
上記第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、フッ化高分子層は、下記化学式(1)(なお、Rは含フッ素官能基、Rは直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、Rはアルキル基、nは2以上の整数をそれぞれ表す)で表される化合物からなる。このように構成すれば、フッ化高分子層上に汚染物質の付着などが生じにくいとともに、出射側共振器面の最表面にフッ化高分子層を容易に形成することができる。
Figure 2012015155
上記第1の局面による窒化物系半導体レーザ素子において、好ましくは、フッ化高分子層の厚みは、5nm以上30nm以下である。このように構成すれば、フッ化高分子層を形成することによって出射側共振器面における反射率が変化することを抑制することができる。また、フッ化高分子層が無機誘電体層の表面から剥離することを容易に抑制することができる。
この発明の第2の局面による光装置は、窒化物系半導体レーザ素子と、半導体レーザ素子の出射光を制御する光学系とを備え、窒化物系半導体レーザ素子は、活性層を有し、出射側共振器面と反射側共振器面とが形成された半導体素子層と、出射側共振器面の表面上に形成された無機誘電体層と、無機誘電体層の出射側共振器面とは反対側の表面上に形成されたフッ化高分子層とを含み、無機誘電体層の厚みは、フッ化高分子層の厚みよりも大きい。
この発明の第2の局面による光装置では、上記のように、無機誘電体層の厚みがフッ化高分子層の厚みよりも大きいので、出射側共振器面における反射率を容易に制御することができるとともに、最表層での光密度を適切に制御することができる。これにより、出射側共振器面の最表面における光CVD作用を抑制することができるので、出射側共振器面の最表面に汚染物質が付着したり堆積したりすることを抑制することができる。その結果、窒化物系半導体レーザ素子を安定的に動作させて長時間の使用にも耐え得る信頼性の高い光装置を得ることができる。
また、第2の局面による光装置では、上記のように、出射側共振器面の最表面に汚染物質が付着しにくいので、窒化物系半導体レーザ素子を気密封止するためのパッケージが不要になる。これにより、光装置の構成を簡略化することができる。
本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子を共振器方向と平行に切断した際の縦断面図である。 本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子を共振器方向と垂直に切断した際の縦断面図である。 本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。 本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子を共振器方向と垂直に切断した際の縦断面図である。 本発明の第1実施形態の効果を確認するために行った確認実験の結果を示した図である。 本発明の第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。 図6における170−170線に沿って青紫色半導体レーザ素子を共振器方向と垂直に切断した際の縦断面図である。 本発明の第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子の上面図である。 本発明の第2実施形態による青紫色半導体レーザ素子を共振器方向と平行に切断した際の縦断面図である。 本発明の第3実施形態による青紫色半導体レーザ素子が搭載された半導体レーザ装置の構造を示した上面図である。 本発明の第3実施形態による半導体レーザ装置が実装された光ピックアップ装置の構成を示した概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による青紫色半導体レーザ素子100の構造について説明する。なお、図2は、図3の150−150線に沿った断面図であり、図4は、図3の160−160線に沿った断面図である。なお、青紫色半導体レーザ素子100は、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」の一例である。
青紫色半導体レーザ素子100は、約405nmの発振波長を有しており、図1に示すように、n型GaN基板1の表面上に、活性層25を含む複数の窒化物系半導体層からなる半導体素子層2が形成されている。また、半導体素子層2は、発振波長λが約405nm帯を有する半導体層からなる。また、半導体素子層2の上面上にp側電極4が形成されるとともに、n型GaN基板1の下面上にn側電極5が形成されている。また、半導体素子層2には、共振器の延びる方向(A方向)と直交する共振器端面2aおよび2bがそれぞれ形成されるとともに、共振器端面2aおよび2b上には、端面コート膜8および9がそれぞれ形成されている。なお、共振器端面2aおよび2bは、それぞれ、本発明の「出射側共振器面」および「反射側共振器面」の一例である。
ここで、端面コート膜8は、共振器端面2aに接触する約1.2μmの厚みを有する無機誘電体層30と、無機誘電体層30の共振器端面2aとは反対側の表面上に形成された約10nmの厚みを有するフッ化高分子層38とから構成されている。なお、フッ化高分子層38の表面が出射端面の最表面3aとなる。
また、無機誘電体層30は、共振器端面2aから近い順に配置された、共振器端面2aに接触する約10nmの厚みを有するAlN膜31と、約120nmの厚みを有するAl膜32と、約68nmの厚みを有するSiO膜33と、約60nmの厚みを有するAl膜34と、約970nmの厚みを有するSiO膜35とからなる。ここで、AlN膜31、Al膜32、SiO膜33およびAl膜34により、共振器端面2aにおけるレーザ光の反射率が約25%となるように設定されている。なお、AlN膜31、Al膜32、SiO膜33およびAl膜34は、それぞれ、本発明の「第1層」の一例であり、SiO膜35は、本発明の「第2層」の一例である。
なお、SiO膜35の屈折率がn(=約1.48)である場合、SiO膜35の厚みtは、t≧m×λ/(2×n)(mは整数)の関係を有するように設定されている。
また、フッ化高分子層38は、上記化学式(1)で表される化合物からなる。
また、端面コート膜9は、共振器端面2bから近い順に配置された、共振器端面2bに接触する約10nmの厚みを有するAlN膜41と、約120nmの厚みを有するAl膜42と、約140nmの厚みを有するSiO膜43と、約340nmの厚みを有する多層反射膜45とからなる。また、多層反射膜45は、低屈折率膜として約68nmの厚みを有するSiO膜および高屈折率膜として約45nmを有するZrO膜が交互に3層ずつ積層された構成を有しており、多層反射膜45により共振器端面2bにおけるレーザ光の反射率が約80%となるように設定されている。
n型GaN基板1は、約100μmの厚みを有するとともに約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するSiがドープされている。半導体素子層2においては、図2に示すように、n型GaN基板1上に、約100nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量を有するGeドープn型GaNからなるn型層21が形成されている。また、n型層21上には、約400nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するGeドープn型Al0.07Ga0.93Nからなるn型クラッド層22が形成されている。
また、n型クラッド層22上には、約5nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するGeドープn型Al0.16Ga0.84Nからなるn型キャリアブロック層23が形成されている。また、n型キャリアブロック層23上には、約100nmの厚みを有するとともに、約5×1018cm−3のドーピング量および約5×1018cm−3のキャリア濃度を有するGeドープn型GaNからなるn側光ガイド層24が形成されている。また、n側光ガイド層24上には、活性層25が形成されている。この活性層25は、約20nmの厚みを有するアンドープIn0.02Ga0.98Nからなる4層の障壁層と、約3nmの厚みを有するアンドープIn0.1Ga0.9Nからなる3層の井戸層とが交互に積層されたMQW構造を有している。
また、活性層25上には、約100nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgドープp型GaNからなるp側光ガイド層26が形成されている。p側光ガイド層26上には、約20nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgドープp型Al0.16Ga0.84Nからなるp型キャップ層27が形成されている。
また、p型キャップ層27上には、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgドープp型Al0.07Ga0.93Nからなるp型クラッド層28が形成されている。p型クラッド層28は、[1−100]方向(A方向)にストライプ状に延びる約1.5μmの幅を有する凸部28aと、凸部28aの両側の約80nmの厚みを有する平坦部28bとから構成されている。また、凸部28aにおけるp型クラッド層28の厚みは、約400nmである。
また、p型クラッド層28の凸部28a上には、約10nmの厚みを有するとともに、約4×1019cm−3のドーピング量および約5×1017cm−3のキャリア濃度を有するMgドープp型In0.02Ga0.98Nからなるp型コンタクト層29が形成されている。このp型コンタクト層29とp型クラッド層28の凸部28aとによって、A方向にストライプ状に延びるリッジ部2cが構成されている。ここで、リッジ部2cは、電流注入部を構成し、リッジ部2cの下方の活性層25を含む領域には、リッジ部2cに沿って[1−100]方向(A方向)にストライプ状に延びる導波路が形成される。なお、n型層21、n型クラッド層22、n型キャリアブロック層23、n側光ガイド層24、活性層25、p側光ガイド層26、p型キャップ層27、p型クラッド層28およびp型コンタクト層29は、それぞれ、本発明の「半導体素子層」の一例である。
また、p型クラッド層28の凸部28aの側面上および平坦部28bの上面上には、約0.3μmの厚みを有するSiOからなる電流ブロック層30が形成されている。電流ブロック層30は、共振器端面2aおよび2b近傍領域以外のリッジ部2cの上面(p型コンタクト層29の上面)を露出するように形成されている。
p側電極4は、リッジ部2cの上面に接触するように形成されているオーミック電極41と、オーミック電極41および電流ブロック層30上に形成されているp側パッド電極42とから構成されている。オーミック電極41では、p型コンタクト層29側から、約5nmの厚みを有するPt層、約100nmの厚みを有するPd層、約150nmの厚みを有するAu層がこの順に積層されている。また、p側パッド電極42では、オーミック電極41および電流ブロック層30側から、約0.1μmの厚みを有するTi層、約0.1μmの厚みを有するPd層、約3μmの厚みを有するAu層がこの順に積層されている。
また、n側電極5では、n型GaN基板1側から、約10nmの厚みを有するAl層、約20nmの厚みを有するPt層、約300nmの厚みを有するAu層がこの順に積層されている。
また、p側電極4は、図3に示すように、素子の上面のうち、共振器端面2aおよび2bと、素子の共振器の延びる方向に沿った両側面の近傍領域以外とに形成されている。また、p側電極4は、共振器端面2aに近い側の一方の隅部に切り欠き4aを有している。これにより、青紫色半導体レーザ素子100をサブマウントなどに固定する際の共振器端面2aの向き([1−100]方向)が容易に特定される。
また、p側パッド電極42が形成された領域以外の電流ブロック層30の上面には、共振器端面2aから約5μmだけ内側(A方向)の位置に一対の溝部(凹部)6が形成されている。また、各々の溝部6は、リッジ部2cを通る中心線190の両側に、中心線190から約5μm隔てて形成されている。また、各々の溝部6の平面形状は、共振器端面2aに沿って約15μmの長さと中心線190に沿って約5μmの長さとを有する略矩形形状である。また、各々の溝部6は、図4に示すように、p型クラッド層28の上面からn型層21の内部まで達する約2μmの深さを有し、溝部6の内側面および底面上は電流ブロック層30が連続的に覆われている。青紫色半導体レーザ素子100では、溝部6を有することにより、レーザ出射光の遠視野像が適正に補正される。
次に、図1〜図4を参照して、青紫色半導体レーザ素子100の製造プロセスについて説明する。
まず、図2に示すように、n型GaN基板1上に、有機金属気相エピタキシ(MOVPE)法を用いて、n型層21、n型クラッド層22、n型キャリアブロック層23、n側光ガイド層24および活性層25を順次形成する。また、活性層25上に、p側光ガイド層26、p型キャップ層27、p型クラッド層28およびp型コンタクト層29を順次形成する。その後、p型化アニール処理およびエッチングによりリッジ部2cの形成を行う。
その後、図3に示すような平面形状を有するように、p型クラッド層28の上面からn型層21の内部までエッチングすることにより溝部6を形成する。その後、リッジ部2c上にオーミック電極41を形成するとともに、真空蒸着法により電流ブロック層30を形成する。この際、溝部6の内側面上および底面上も電流ブロック層30により覆われる。また、オーミック電極41上の電流ブロック層30を除去することにより、オーミック電極41の上面を露出させる。次に、オーミック電極41の上面に接触するように電流ブロック層30上にp側パッド電極42を形成する。また、n型GaN基板1の下面上に、真空蒸着法によりn側電極5を形成する。このようにして、青紫色半導体レーザ素子100のウェハが作製される。
次に、まず、青紫色半導体レーザ素子100のウェハの上面に、リッジ部2cの延びる方向に対して直交する方向にスクライブ傷を形成する。このスクライブ傷は、リッジ部2cを除く部分に破線状に形成される。
次に、このスクライブ傷に沿って青紫色半導体レーザ素子100のウェハを劈開することにより、バー状態のウェハを形成する。その後、バー状態のウェハを電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ成膜装置に導入する。
まず、ECRプラズマを5分間の間、上記劈開によって形成された共振器端面2a(図1参照)に照射することにより、共振器端面2aを清浄化する。ECRプラズマは、約0.02PaのNガス雰囲気中で、マイクロ波出力500Wの条件で発生させる。このとき、共振器端面2aは軽微にエッチングされる。なお、その際、スパッタターゲットへRFパワーを印加しない。
次に、ECRスパッタ法により、金属ターゲットにAlを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Nガス流量:約4.5sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、共振器端面2a上にAlN膜31を形成する。その後、金属ターゲットにAlを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約5sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、AlN膜31上にAl膜32を形成する。その後、金属ターゲットにSiを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約7sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、Al膜32上にSiO膜33を形成する。その後、金属ターゲットにAlを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約5sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、SiO膜33上にAl膜34を形成する。その後、金属ターゲットにSiを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約7sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、Al膜34上にSiO膜35を形成する。このようにして、共振器端面2a上に無機誘電体層30が形成される。
その後、上述の共振器端面2aと同様に、ECRプラズマを上記劈開によって形成された他方の共振器端面2b(図1参照)に照射することにより、共振器端面2bを清浄化する。
その後、金属ターゲットにAlを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Nガス流量:約4.5sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、共振器端面2b上にAlN膜41を形成する。その後、金属ターゲットにAlを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約4sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、AlN膜41上にAl膜42を形成する。その後、金属ターゲットにSiを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約7sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、Al膜42上にSiO膜43を形成する。その後、金属ターゲットにSiを用いるとともに、Arガス流量:約20sccm、Oガス流量:約7sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、SiO膜43上にSiO膜を形成する。その後、金属ターゲットにZrを用いるとともに、Arガス流量:約15sccm、Oガス流量:約1.5sccm、マイクロ波出力500WおよびRFパワー500Wに各条件を設定した状態で、SiO膜上にZrO膜を形成する。このSiO膜とZrO膜とを交互に3層ずつ積層することにより多層反射膜45を形成する。このようにして、共振器端面2b上に端面コート膜9が形成される。
その後、共振器端面2aおよび2bに、それぞれ、無機誘電体層30および端面コート膜9が形成されたバー状態のウェハを、真空蒸着装置に導入する。その後、真空蒸着装置の内部に設置されたターゲット容器内に充填されている上記化学式(1)で表される固体または顆粒状のフッ化高分子のターゲット材を加熱蒸発させることにより、無機誘電体層30上にフッ化高分子層38を形成する。これにより、共振器端面2a上に端面コート膜8が形成される。
その後、バー状態のウェハをリッジ部2cに沿ってチップ状に分離することにより青紫色半導体レーザ素子100が形成される。
第1実施形態では、上記のように、無機誘電体層30の厚みがフッ化高分子層38の厚みよりも大きいので、共振器端面2aにおける反射率を容易に制御することができるとともに、最表層でのレーザ光の密度を適切に制御することができ、光CVD作用を抑制することができるので、出射端面の最表面3aに汚染物質が付着したり堆積したりすることを抑制することができる。その結果、青紫色半導体レーザ素子100を安定的に動作させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、出射端面の最表面3aに汚染物質が付着しにくいので、青紫色半導体レーザ素子100を気密封止するためのパッケージが不要になる。
また、第1実施形態では、無機誘電体層30の厚みを3μm以下に設定している。これにより、共振器端面2aから無機誘電体層30が膜剥れを起こしにくくすることができるとともに、共振器端面2aにおける反射率を容易に制御することができる。
また、第1実施形態では、無機誘電体層30は、共振器端面2aにおける反射率を制御するAlN膜31〜Al膜34と、AlN膜31〜Al膜34までの合計厚み(約260nm)よりも大きな厚みを有するSiO膜35との多層膜により構成されている。これにより、AlN膜31〜Al膜34までの多層膜により共振器端面2aにおける反射率を制御するとともに、SiO膜35により、出射端面の最表面3aでのレーザ光の密度を適切に低減することができる。これにより、共振器端面2aから出射されたレーザ光がフッ化高分子層38に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
また、第1実施形態では、SiO膜35がフッ化高分子層38と接しており、SiO膜35の厚みtは、t≧m×λ/(2×n)(mは整数)の関係を有するように設定されている。これにより、上記厚みの範囲内に設定されたSiO膜35により、出射端面の最表面3aでのレーザ光の密度を適切に低減することができる。この際、m≧3であるので、出射端面の最表面3aでのレーザ光の密度を容易に低減することができる。
また、第1実施形態では、フッ化高分子層38は、上記の化学式(1)で表される化合物からなる。これにより、フッ化高分子層38上に汚染物質の付着などが生じにくいとともに、共振器端面2a上にフッ化高分子層38を容易に形成することができる。
また、第1実施形態では、フッ化高分子層38の厚みが約5nm以上約30nm以下の範囲に設定されている。これにより、フッ化高分子層38を形成することによって共振器端面2aにおける反射率が変化することを抑制することができる。また、フッ化高分子層38が無機誘電体層30(SiO膜35)の表面から剥離することを容易に抑制することができる。
また、第1実施形態では、フッ化高分子層38の形成に真空蒸着法を用いているので、低温での成膜が可能である。また、スパッタ法などによる成膜プロセスと比較して、真空蒸着法では、プラズマのダメージを受けることなく無機誘電体層30上にフッ化高分子層38を成膜することができる。
ここで、端面コート膜8の有用性を確認するため、以下の実験を行った。まず、青紫色半導体レーザ素子100を気密封止していないオープンパッケージ型の半導体レーザ装置に搭載した。そして、80℃の条件で、自動光量制御(APC)により、20mWの出力に調整して連続駆動させることにより寿命試験を行った。なお、比較例として、端面コート膜8の最表面にフッ化高分子層38を形成していない青紫色半導体レーザ素子についても同様の条件で寿命試験を行った。この結果、図5に示すように、第1実施形態の青紫色半導体レーザ素子100では、500時間を経過しても動作電流が振動することなく安定的な電流推移を示す一方、比較例の青紫色半導体レーザ素子では、動作直後から動作電流が振動し始め、不安定な電流推移を示す結果が得られた。また、青紫色半導体レーザ素子100における故障までの平均時間(MTTF)を算出した結果、3000時間以上であることが分かった。この結果から、端面コート膜8の有用性が確認された。
(第1実施形態の第1変形例)
次に、第1実施形態の第1変形例による青紫色半導体レーザ素子105について説明する。この青紫色半導体レーザ素子105では、図6に示すように、p側パッド電極42が形成される領域の半導体素子層2中に約5μmの幅(B方向)を有する溝部6aが形成されている。また、一対の溝部6aの各々は、共振器方向(A方向)に沿ってp側パッド電極42の端から端まで形成されている。また、図7に示すように、溝部6aの表面(内側面および底面)を覆うように、電流ブロック層30およびp側パッド電極42がこの順に形成されている。この溝部6aにより、レーザ出射光の遠視野像が適正に補正されるように構成されている。なお、青紫色半導体レーザ素子105は、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」の一例である。なお、青紫色半導体レーザ素子105のその他の構成は、第1実施形態と同様であって、図中において、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。また、第1実施形態の第1変形例の効果は、第1実施形態と同様である。
(第1実施形態の第2変形例)
次に、第1実施形態の第2変形例による青紫色半導体レーザ素子110について説明する。この青紫色半導体レーザ素子110では、図8に示すように、半導体素子層2中に形成される溝部6aが共振器端面2aおよび2bの位置で外部(A方向)に露出している。溝部6aをこのように構成しても、レーザ出射光の遠視野像が適正に補正される。なお、青紫色半導体レーザ素子110は、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」の一例である。なお、青紫色半導体レーザ素子110のその他の構成は、第1実施形態と同様であって、図中において、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。また、第1実施形態の第2変形例の効果は、第1実施形態と同様である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による青紫色半導体レーザ素子200について説明する。この青紫色半導体レーザ素子200では、図9に示すように、端面コート膜9aの最表面にも上記化学式(1)で表される約10nmの厚みを有するフッ化高分子層39が形成されている。この場合、フッ化高分子層39の表面が反射端面の最表面3bとなる。なお、青紫色半導体レーザ素子200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様であって、図中において、上記第1実施形態と同じ符号を付して図示している。なお、青紫色半導体レーザ素子200は、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」の一例である。
また、フッ化高分子層39は、フッ化高分子層38を形成した後、第1実施形態と同様のプロセスにより多層反射膜45上に形成される。その他のプロセスは、上記第1実施形態の製造プロセスと同様である。
青紫色半導体レーザ素子200では、上記のように、端面コート膜9aの最表面にもフッ化高分子層39が形成されているので、反射端面の最表面3bにも汚染物質が付着および堆積することを抑制することができる。これにより、共振器端面2bから出射されるレーザ光強度を安定させることができる。ここで、共振器端面2bから出射されるレーザ光を共振器端面2aから出射されるレーザ光強度を制御するためのモニターとして利用する場合には、共振器端面2bから出射されるレーザ光強度を検出して得られるモニター用電流を安定させることができる。この結果、青紫色半導体レーザ素子200の共振器端面2aから出射されるレーザ光強度をさらに安定化させることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による3波長半導体レーザ装置305を備えた光ピックアップ装置300について説明する。なお、光ピックアップ装置300は、本発明の「光装置」の一例である。
光ピックアップ装置300は、図11に示すように、3波長半導体レーザ装置305と、3波長半導体レーザ装置305から出射されたレーザ光を調整する光学系320と、レーザ光を受光する光検出部330とを備えている。
また、3波長半導体レーザ装置305では、図10に示すように、絶縁体(樹脂製)からなり略平板状を有するベース本体70の台座部70aの底面上に、上記第2実施形態の青紫色半導体レーザ素子200と、約650nmの発振波長を有する赤色半導体レーザ素子50および約780nmの発振波長を有する赤外半導体レーザ素子55がモノリシックに形成された2波長半導体レーザ素子60とがサブマウント61を介して接合されている。なお、3波長半導体レーザ装置305は、青紫色半導体レーザ素子200および2波長半導体レーザ素子60が台座部70a上において外部に露出するオープンパッケージ型の半導体レーザ装置である。
青紫色半導体レーザ素子200および2波長半導体レーザ素子60は、それぞれ、レーザ光の出射端面を外部(A1方向)に向けてジャンクションアップ方式で取り付けられており、互いに所定の間隔を隔てて幅方向(B方向)に隣接している。
また、ベース本体70には、金属製のリードフレームからなるリード端子71、72、73、74および75が設けられている。このリード端子71〜75は、樹脂モールド成型によって、互いに絶縁された状態でベース本体70を前方(A1方向)から後方(A2方向)に貫通するように配置されている。そして、ベース本体70の外部(A2側)に延びる後端領域が、それぞれ図示しない駆動回路に接続されている。また、リード端子71〜75の前方(A1側)に延びた前端領域71a、72a、73a、74aおよび75aは、台座部70aを構成するベース本体70の内壁面70bからそれぞれ露出しており、台座部70aの底面上に配置されている。なお、台座部70aの底面は、ベース本体70の上面70c(紙面手前側)から所定の深さだけ奥まった位置(紙面奥側)に形成されている。また、前端領域71aは、前端領域72a〜75aの前方(A1側)において台座部70aの底面上でB方向に広がっている。
また、リード端子71には、前端領域71aに接続される一対の放熱部71dが一体的に形成されている。放熱部71dは、リード端子71を中心としてB方向の両側に略対称に配置されている。また、放熱部71dは、前端領域71aから延びるとともにベース本体70の側面からB1方向およびB2方向に貫通して3波長半導体レーザ装置305の外部に露出している。
また、p側電極4には、金属線91の一端がワイヤボンディングされており、金属線91の他端は、リード端子74の前端領域74aに接続されている。また、赤色半導体レーザ素子50の上面に形成されている表面電極54には、金属線92の一端がワイヤボンディングされており、金属線92の他端は、リード端子73の前端領域73aに接続されている。また、また、赤外半導体レーザ素子55の上面に形成されている表面電極56には、金属線93の一端がワイヤボンディングされており、金属線93の他端は、リード端子72の前端領域72aに接続されている。また、青紫色半導体レーザ素子200の下面に形成されたn側電極(図示せず)および2波長半導体レーザ素子60の下面に形成されたn側電極(図示せず)は、サブマウント61を介してリード端子71の前端領域71aに電気的に接続されている。
また、サブマウント61の後方(A2側)の青紫色半導体レーザ素子200の共振器端面2b側には、レーザ光強度をモニターするために用いられるフォトダイオード(PD)62が受光面を上方(C2方向)に向けて配置されている。そして、PD62の下面をサブマウント61に電気的に接続するとともに、PD62の上面には、Auなどからなる金属線94の一端がワイヤボンディングされており、金属線94の他端は、リード端子75の前端領域75aに接続されている。
また、光学系320は、偏光ビームスプリッタ(PBS)321、コリメータレンズ322、ビームエキスパンダ323、λ/4板324、対物レンズ325、シリンドリカルレンズ326および光軸補正素子327を有している。
また、PBS321は、3波長半導体レーザ装置305から出射されるレーザ光を全透過するとともに、光ディスク335から帰還するレーザ光を全反射する。コリメータレンズ322は、PBS321を透過した3波長半導体レーザ装置305からのレーザ光を平行光に変換する。ビームエキスパンダ323は、凹レンズ、凸レンズおよびアクチュエータ(図示せず)から構成されている。アクチュエータは後述するサーボ回路からのサーボ信号に応じて、凹レンズおよび凸レンズの距離を変化させることにより、3波長半導体レーザ装置305から出射されたレーザ光の波面状態を補正する機能を有している。
また、λ/4板324は、コリメータレンズ322によって略平行光に変換された直線偏光のレーザ光を円偏光に変換する。また、λ/4板324は光ディスク335から帰還する円偏光のレーザ光を直線偏光に変換する。この場合の直線偏光の偏光方向は、3波長半導体レーザ装置305から出射されるレーザ光の直線偏光の方向に直交する。これにより、光ディスク335から帰還するレーザ光は、PBS321によって略全反射される。対物レンズ325は、λ/4板324を透過したレーザ光を光ディスク335の表面(記録層)上に収束させる。なお、対物レンズ325は、対物レンズアクチュエータ(図示せず)により、後述するサーボ回路からのサーボ信号(トラッキングサーボ信号、フォーカスサーボ信号およびチルトサーボ信号)に応じて、フォーカス方向、トラッキング方向およびチルト方向に移動可能にされている。
また、PBS321により全反射されるレーザ光の光軸に沿うように、シリンドリカルレンズ326、光軸補正素子327および光検出部330が配置されている。シリンドリカルレンズ326は、入射されるレーザ光に非点収差作用を付与する。光軸補正素子327は、回折格子により構成されており、シリンドリカルレンズ326を透過した青紫色、赤色および赤外の各レーザ光の0次回折光のスポットが後述する光検出部330の検出領域上で一致するように配置されている。
また、光検出部330は、受光したレーザ光の強度分布に基づいて再生信号を出力する。ここで、光検出部330は再生信号とともに、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号が得られるように所定のパターンの検出領域を有する。このようにして、3波長半導体レーザ装置305を備えた光ピックアップ装置300が構成される。
この光ピックアップ装置300では、3波長半導体レーザ装置305は、リード端子71と、リード端子72〜74との間に、それぞれ、独立して電圧を印加することによって、青紫色半導体レーザ素子200、赤色半導体レーザ素子50および赤外半導体レーザ素子55から、青紫色、赤色および赤外のレーザ光を独立的に出射することが可能である。また、3波長半導体レーザ装置305から出射されたレーザ光は、上記のように、PBS321、コリメータレンズ322、ビームエキスパンダ323、λ/4板324、対物レンズ325、シリンドリカルレンズ326および光軸補正素子327により調整された後、光検出部330の検出領域上に照射される。
ここで、光ディスク335に記録されている情報を再生する場合には、青紫色半導体レーザ素子200、赤色半導体レーザ素子50および赤外半導体レーザ素子55から出射される各々のレーザパワーが一定になるように制御しながら、光ディスク335の記録層にレーザ光を照射するとともに、光検出部330から出力される再生信号を得ることができる。また、同時に出力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ323のアクチュエータと対物レンズ325を駆動する対物レンズアクチュエータとを、それぞれ、フィードバック制御することができる。
また、光ディスク335に情報を記録する場合には、記録すべき情報に基づいて、青紫色半導体レーザ素子200および赤色半導体レーザ素子50(赤外半導体レーザ素子55)から出射されるレーザパワーを制御しながら、光ディスク335にレーザ光を照射する。これにより、光ディスク335の記録層に情報を記録することができる。また、上記同様、光検出部330から出力されるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号およびチルトエラー信号により、ビームエキスパンダ323のアクチュエータと対物レンズ325を駆動する対物レンズアクチュエータとを、それぞれ、フィードバック制御することができる。
このようにして、3波長半導体レーザ装置305を備えた光ピックアップ装置300を用いて、光ディスク335への記録および再生を行うことができる。
光ピックアップ装置300に実装される3波長半導体レーザ装置305では、上記青紫色半導体レーザ素子200を備えている。これにより、3波長半導体レーザ装置305のパッケージを気密封止を必要としないオープンパッケージ型とすることができる。これにより、安定的に動作させて長時間の使用にも耐え得る信頼性の高い光ピックアップ装置300を簡単な構成で得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、フッ化高分子層38の厚みを約10nmとしたが、本発明では、5nm以上30nm以下の厚みに設定されていれば好適である。
また、上記第1〜第3実施形態では、AlN膜31、Al膜32、SiO膜33およびAl膜34による多層膜によって本発明の「第1層」を構成したが、本発明では、単層膜により本発明の「第1層」を構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、無機誘電体層30において、Al元素を含む窒化膜(AlN膜31)を用いたが、これに限られず、Si元素を含む窒化膜を用いてもよい。また、Zr元素、Ta元素、Hf元素、Ti元素またはNb元素などを含む酸化膜を用いて構成してもよい。これにより、無機誘電体層30における反射率が約20%以上になるように好適に制御することができる。また、上記第1〜第6実施形態に示した材料に加えて、上記変形例で示した材料からなる誘電体膜を用いて、共振器端面2b側の端面コート膜9を構成してもよい。これにより、端面コート膜9における反射率が約50%以上になるように好適に制御することができる。
また、上記第1〜第3実施形態では、本発明の「第2層」としてのSiO膜35を約970nmとしたが、本発明では、膜厚t≧m×λ/(2×n)におけるmは、14以下であるのが好ましい。この場合、SiO膜35の厚みtは、t≦1.92μmであるのが好ましい。
また、本発明の「第2層」をAl膜(屈折率:約1.68)により形成する場合、膜厚t≧m×λ/(2×n)におけるmは、17以下であるのが好ましい。また、本発明の「第2層」をTa膜(屈折率:約2.1)により形成する場合、mは、21以下であるのが好ましい。また、本発明の「第2層」をZrO膜(屈折率:約2.2)により形成する場合、mは、22以下であるのが好ましい。また、本発明の「第2層」をTiO膜(屈折率:約2.8)により形成する場合、mは、28以下であるのが好ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、無機誘電体層30を窒化膜と酸化膜とを積層して構成したが、これに限られず、窒化膜および酸化膜に加えて酸窒化膜を積層して無機誘電体層を構成してもよい。この場合、Al元素、Si元素、Zr元素、Ta元素、Hf元素、Ti元素またはNb元素などが含まれる酸窒化膜を用いることができる。なお、窒化膜と酸化膜との間に酸窒化膜を挟んで本発明の「無機誘電体層」を構成するのが好ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、共振器端面2b側の反射率を制御する多層反射膜45を、SiO膜およびZrO膜が交互に3層ずつ積層して形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、SiO膜およびZrO膜を交互に3層以外の数に積層して形成してもよい。また、多層反射膜を、SiO膜およびZrO膜以外の他の屈折率を有する異なる2種類の絶縁膜を組み合わせて構成してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、共振器端面2a側の無機誘電体層30にのみ本発明の「第2層」を形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、共振器端面2b上に形成された端面コート膜9(9a)にも、本発明の「第2層」を形成してもよい。この場合、AlN膜41〜多層反射膜45までが本発明の「第1層」になり、多層反射膜45の共振器端面2bとは反対側の表面上に本発明の「第2層」が形成される。この変形例のように構成すれば、光密度を適切に低減した状態でモニタ用のレーザ光を共振器端面2bから出射させることができる。
また、上記第1および第2実施形態の製造プロセスでは、ECRスパッタ成膜装置を用いて本発明の「無機誘電体層」を形成したが、本発明ではこれに限らず、他の成膜方法により無機誘電体層を形成してもよい。
また、上記第1および第2実施形態の製造プロセスでは、真空蒸着法を用いて本発明の「フッ化高分子層」を形成したが、本発明ではこれに限らず、たとえばスパッタ法などを用いてフッ化高分子層を形成してもよい。
また、上記第1実施形態およびその変形例では、レーザ出射光の遠視野像を補正するための溝部6(6a)を半導体素子層2中に設けたが、本発明はこれに限らず、このような溝部を形成せずに、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」を構成してもよい。
また、上記第3実施形態では、本発明の「窒化物系半導体レーザ素子」が実装された光ピックアップ装置300について示したが、本発明はこれに限らず、本発明の窒化物系半導体レーザ素子を、光ディスク装置やプロジェクタ装置などの光装置に適用してもよい。
2 半導体素子層
2a 共振器端面(出射側共振器面)
2b 共振器端面(反射側共振器面)
21 n型層(半導体素子層)
22 n型クラッド層(半導体素子層)
23 n型キャリアブロック層(半導体素子層)
24 n側光ガイド層(半導体素子層)
25 活性層(半導体素子層)
26 p側光ガイド層(半導体素子層)
27 p型キャップ層(半導体素子層)
28 p型クラッド層(半導体素子層)
29 p型コンタクト層(半導体素子層)
30 無機誘電体層
31 AlN膜(第1層)
32 Al膜(第1層)
33 SiO膜(第1層)
34 Al膜(第1層)
35 SiO膜(第2層)
38 フッ化高分子層
100、105、110、200 青紫色半導体レーザ素子(窒化物系半導体レーザ素子)
300 光ピックアップ装置(光装置)
320 光学系

Claims (7)

  1. 活性層を有し、出射側共振器面と反射側共振器面とが形成された半導体素子層と、
    前記出射側共振器面の表面上に形成された無機誘電体層と、
    前記無機誘電体層の前記出射側共振器面とは反対側の表面上に形成されたフッ化高分子層とを備え、
    前記無機誘電体層の厚みは、前記フッ化高分子層の厚みよりも大きい、窒化物系半導体レーザ素子。
  2. 前記無機誘電体層は、前記出射側共振器面における反射率を制御する第1層と、前記第1層よりも大きな厚みを有する第2層との少なくとも2層からなる、請求項1に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  3. 前記第2層は、前記フッ化高分子層と接しており、
    前記活性層が発するレーザ光の波長がλ、前記第2層の屈折率がnである場合に、前記第2層の厚みtは、t≧m×λ/(2×n)(ただし、mは整数)により規定される範囲に設定されている、請求項2に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  4. t≧m×λ/(2×n)において、m≧3である、請求項3に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  5. 前記フッ化高分子層は、下記化学式(1)(なお、Rは含フッ素官能基、Rは直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、Rはアルキル基、nは2以上の整数をそれぞれ表す)で表される化合物からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
    Figure 2012015155
  6. 前記フッ化高分子層の厚みは、5nm以上30nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物系半導体レーザ素子。
  7. 窒化物系半導体レーザ素子と、
    前記半導体レーザ素子の出射光を制御する光学系とを備え、
    前記窒化物系半導体レーザ素子は、活性層を有し、出射側共振器面と反射側共振器面とが形成された半導体素子層と、前記出射側共振器面の表面上に形成された無機誘電体層と、前記無機誘電体層の前記出射側共振器面とは反対側の表面上に形成されたフッ化高分子層とを含み、
    前記無機誘電体層の厚みは、前記フッ化高分子層の厚みよりも大きい、光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018137462A (ja) * 2014-02-24 2018-08-30 オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングOsram Opto Semiconductors GmbH 被覆されたレーザファセットを有するレーザダイオードチップ

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