JPH11185308A - 光ディスク並びにその製造装置および製造方法 - Google Patents

光ディスク並びにその製造装置および製造方法

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JPH11185308A
JPH11185308A JP9356854A JP35685497A JPH11185308A JP H11185308 A JPH11185308 A JP H11185308A JP 9356854 A JP9356854 A JP 9356854A JP 35685497 A JP35685497 A JP 35685497A JP H11185308 A JPH11185308 A JP H11185308A
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JP
Japan
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substrate
target
groove
optical disk
holder
Prior art date
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Application number
JP9356854A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Chiga
達也 千賀
Masahiro Furuta
正寛 古田
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP9356854A priority Critical patent/JPH11185308A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溝の深さを深くした場合でも、ランド部およ
びグルーブ部に対し略同じレーザパワーの光を用いて情
報の記録・消去が行えるランド・グルーブ記録方式の光
ディスク、並びに、そのような光ディスクの製造装置お
よび製造方法を提供すること。 【解決手段】 スパッタリング法を用い、光ディスクの
基板22上に薄膜を形成する光ディスクの製造装置10
であって、ターゲット24を保持するターゲットホルダ
14と、基板22を保持する基板ホルダ12と、ターゲ
ットホルダ14に保持されたターゲット24の周囲を覆
い基板ホルダ12側に開口部15aを有する筒状のフー
ド15とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク並びに
その製造装置および製造方法に関し、特に、ランド・グ
ルーブ記録方式の光ディスク並びにその製造装置および
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクは、情報を高密度に記録でき
かつ高速に再生できることから、主としてオーディオ用
やコンピュータ用の記録媒体として注目されている。そ
して、このような光ディスクの製造に当たっては、従来
より周知のスパッタリング装置が用いられ、光ディスク
の基板上に記録膜や保護膜などが順次形成される。
【0003】ここで、光ディスクの基板上に記録膜など
を形成するスパッタリング装置には、大別すると、基板
をターゲットに対して静止させてスパッタリングを行う
方式と、基板をターゲットに対して移動させながらスパ
ッタリングを行う方式とがある。このうち、基板を移動
させる方式の移動スパッタリング装置によれば、一度に
多数の光ディスクを製造することができるので、生産上
有利である。
【0004】なお、この移動スパッタリング装置におけ
る基板の移動方式には、ターゲットの中心軸から偏心し
た軸を中心にして基板を公転させる方式や、基板を同様
にして公転させつつ自転もさせる自公転方式が知られて
いる。このうちの自公転方式を採用した移動スパッタリ
ング装置(以下「自公転スパッタリング装置」という)
90では、図16に示されるように、スパッタリング室
91内に、複数の基板96,96,…を保持するための
複数の基板ホルダ92,92,…(図16では8個)
と、ターゲット95(例えば、記録膜用のターゲット)
を保持するためのターゲットホルダ94とが配置されて
いる。
【0005】なお、複数の基板ホルダ92,92,…は
各々パレット93に取り付けられ、図示されない回転軸
を中心に自転できるようになっている。さらに、パレッ
ト93自身も、回転軸L93を中心に自転できるように
なっている。したがって、この自公転スパッタリング装
置90を用いた光ディスクの製造時に、基板ホルダ9
2,92,…に保持された複数の基板96,96,…
は、自転しつつ、ターゲット95の中心軸L95から偏
心した回転軸L93を中心にして公転することができ
る。
【0006】このように、複数の基板96,96,…を
自公転させながら、ターゲット95をスパッタリングす
ることで、複数の基板96,96,…の全てに、内周か
ら外周にわたって非常に均一性の高い薄膜(例えば、記
録膜)を形成できる。また、この自公転スパッタリング
装置90によれば、スパッタリング室91内に複数のタ
ーゲットを配置することで、多元同時スパッタリングを
行うこともできる。
【0007】このため、記録膜のようにこれを構成する
元素の種類が多い場合でも、ターゲットの組み合わせを
適宜選択することで、その組成比を容易に制御すること
ができる。ところで、近年、光ディスクのさらなる大容
量化が求められている。このような要求に応えるために
は、情報をさらに高密度に記録することが必要とされ、
ランド・グルーブ記録方式が提案されている。
【0008】このランド・グルーブ記録方式は、光ディ
スクに形成された溝の底部(グルーブ部)と、隣り合う
溝の間部(ランド部)との双方に情報を記録する方式で
ある。つまり、このランド・グルーブ記録方式では、ト
ラックピッチ(隣接するランド部とグルーブ部との間の
ピッチに相当する)が、ランド部のみに記録する方式や
グルーブ部のみに記録する方式のトラックピッチの半分
程度となり、トラック幅方向の記録密度(トラック密
度)を高めることができる。
【0009】しかし、このランド・グルーブ記録方式の
光ディスクでは、あるトラック(例えば、ランド部)の
情報の記録・消去時に、照射された光により生じる熱が
隣接するトラック(例えば、グルーブ部)にも伝わって
しまい、このときの温度上昇によって、隣接するトラッ
クの情報が部分的に消去されてしまうことがある(クロ
スイレーズ)。
【0010】このため、ランド・グルーブ記録方式の光
ディスクでは、隣接するランド部とグルーブ部との段差
を大きくする(溝の深さを深くする)ことによって、ラ
ンド部とグルーブ部との間の距離を大きくし、それによ
りランド部とグルーブ部との間で熱を伝わりにくくし
て、クロスイレーズを回避するようにしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように
溝の深さを深くしたランド・グルーブ記録方式の光ディ
スクを製造するに当たり、深い溝が形成された基板96
上に、上記した従来の自公転スパッタリング装置90を
用いて記録膜を成膜すると、以下のような問題が生じて
しまう。
【0012】一般に、ターゲットから飛び出すスパッタ
リング粒子の方向性は余弦則にしたがうため、ターゲッ
ト95から飛び出すスパッタリング粒子には、垂直方向
に飛び出すものだけでなく、斜め方向に飛び出すものも
ある。ここで、ターゲット95から垂直方向に飛び出し
たスパッタリング粒子は、基板96に垂直に入射するた
め、図17に示されるように、基板96に形成された溝
97の深さDが深い場合(例えば、180nm)でも、
そのランド部97Lとグルーブ部97Gとの双方に等し
い割合で到達できる(図中のスパッタリング粒子98
a,98b参照)。
【0013】これに対し、ターゲット95から斜め方向
に飛び出したスパッタリング粒子は、基板96に斜めに
入射するため、図18に示されるように、基板96に形
成された溝97の深さDが深い場合(例えば、180n
m)には、深い溝97の側壁97Sに付着したり(図中
のスパッタリング粒子99a,99b参照)、ランド部
97Lに遮られてこのランド部97Lに付着したりして
(図中のスパッタリング粒子99c参照)、グルーブ部
97Gに到達できない。
【0014】このため、深い溝97が形成された基板9
6上への記録膜の形成時、この基板96に斜め方向から
スパッタリング粒子が多く入射すると、その分だけラン
ド部97Lに多くのスパッタリング粒子が付着し、形成
される記録膜の膜厚がランド部97Lで厚くグルーブ部
97Gで薄くなってしまう。
【0015】したがって、深い溝97が形成された基板
96のランド部97Lとグルーブ部97Gとで記録膜の
膜厚を一定にしたいのであれば、スパッタリング粒子を
基板96に斜め方向から入射させないようにし、垂直方
向から来るスパッタリング粒子のみを基板96に入射さ
せるようにすればよい。しかしながら、上記した従来の
自公転スパッタリング装置90を用いて深い溝97が形
成された基板96上に記録膜を形成する場合、この基板
96は、図19に示されるように、回転軸L93まわり
に公転する。
【0016】すなわち、基板96は、この公転によっ
て、ターゲット95から垂直方向に飛び出したスパッタ
リング粒子95a,95bが飛んでくる領域(ターゲッ
ト95の直上の領域)95Aだけでなく、斜め方向のス
パッタリング粒子95c,95dしか飛んで来ない領域
(直上の領域95Aの周辺領域)95Bをも必ず通過し
なければならない。
【0017】図19には、基板96が直上の領域95A
内に位置している状態が実線で、直上の領域95Aから
出て周辺領域95B内に至った状態、および直上の領域
95Aに至る手前で周辺領域95B内に位置している状
態が破線で示されている。ここで、基板96が直上の領
域95A内に位置するときには、垂直方向のスパッタリ
ング粒子95a,95bの入射によって、この基板96
に形成された深い溝97のランド部97Lとグルーブ部
97Gとに等しい割合でスパッタリング粒子が到達す
る。
【0018】これに対し、基板96が周辺領域95B内
に位置するときには、斜め方向のスパッタリング粒子9
5c,95dだけがこの基板96に入射するので、この
基板96に形成された深い溝97のグルーブ部97Gに
はスパッタリング粒子が到達せず、ランド部97Lにス
パッタリング粒子が多く到達することになる。このよう
に、従来の自公転スパッタリング装置90を用いて、深
い溝97が形成された基板96上に記録膜を形成する
と、基板96が周辺領域95Bを通過するたびに斜め方
向のスパッタリング粒子95c,95dがランド部97
Lに付着するため、形成される記録膜の膜厚がランド部
97Lで厚くグルーブ部97Gで薄くなることを避ける
ことはできなかった。
【0019】実際に、溝97を深くした(例えば、18
0nm)基板96に、従来の自公転スパッタリング装置
90を用いて記録膜を成膜し、ランド・グルーブ記録方
式の光ディスクを製造したところ、グルーブ部97Gの
膜厚は、ランド部97Lの膜厚の6割程度であった。さ
らに、上記のように記録膜がランド部97Lで厚くグル
ーブ部97Gで薄く形成されたランド・グルーブ記録方
式のディスクでは、実際にランド・グルーブ記録を行う
際のレーザパワーを、ランド部97Lへの情報の記録・
消去時は高パワーに、グルーブ部97Gへの情報の記録
・消去時には低パワーに、各々設定しなければならない
と云う問題も生じる。一般に、情報の記録・消去に最適
なレーザパワーの値は、記録膜の膜厚によって異なるか
らである。その結果、ランド・グルーブ記録を行う際の
動作や、記録再生装置の構成が複雑になる。
【0020】本発明の目的は、溝の深さを深くした場合
でも、ランド部およびグルーブ部に対し略同じレーザパ
ワーの光を用いて情報の記録・消去が行えるランド・グ
ルーブ記録方式の光ディスク、並びに、そのような光デ
ィスクの製造装置および製造方法を提供することにあ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、スパッタリング法を用い、光ディスクの基板上に薄
膜を形成する光ディスクの製造装置であって、ターゲッ
トを保持するターゲットホルダと、基板を保持する基板
ホルダと、ターゲットホルダに保持されたターゲットの
周囲を覆い基板ホルダ側に開口部を有する筒状のフード
とを備えたものである。
【0022】したがって、請求項1に記載の発明によれ
ば、スパッタリング時、ターゲットから斜め方向に飛び
出したスパッタリング粒子をフードの内側筒面に付着さ
せて、フードの開口部から外に飛散させないようにし、
ターゲットから垂直方向に飛び出したスパッタリング粒
子のみを、ターゲットの直上の領域に位置する基板に入
射させることができる。その結果、基板に形成された溝
が深い場合でも、そのランド部とグルーブ部とに膜厚が
略一定の薄膜が形成され、ランド部およびグルーブ部に
対し略同じレーザパワーの光を用いて情報の記録・消去
が行えるランド・グルーブ記録方式の光ディスクが得ら
れる。
【0023】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の光ディスクの製造装置において、フードの開口
部の大きさを、ターゲットホルダに保持されるターゲッ
トの大きさよりも小さく、基板ホルダに保持される基板
の大きさよりも大きくしたものである。したがって、請
求項2に記載の発明によれば、スパッタリング時、ター
ゲットから斜め方向に飛び出したスパッタリング粒子だ
けでなく、ターゲットから垂直方向に飛び出したものの
途中で他のスパッタリング粒子やスパッタリングガスに
よって散乱されて斜め方向となったものも、フードの内
側筒面に付着させて、その開口部から外に飛散させない
ようにすることができる。その結果、基板のランド部と
グルーブ部とに形成される薄膜がより均一化され、ラン
ド部およびグルーブ部に対する情報の記録・消去時に用
いられる光のレーザパワーがより等しくされたランド・
グルーブ記録方式の光ディスクが得られる。
【0024】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
または請求項2に記載の光ディスクの製造装置におい
て、フードのターゲットホルダとの接触部から開口部ま
での長さを、該フードの開口部とターゲットホルダに保
持されたターゲットとの間の距離が、基板ホルダに保持
された基板とターゲットホルダに保持されたターゲット
との間の距離の1/3以上となる値に定めたものであ
る。
【0025】したがって、請求項3に記載の発明によれ
ば、スパッタリング時、斜め方向のスパッタリング粒子
を確実にフードの内側筒面に付着させて開口部から外に
飛散させないようにすることができる。その結果、ラン
ド部およびグルーブ部に対する情報の記録・消去時に用
いられる光のレーザパワーが確実に等しくされたランド
・グルーブ記録方式の光ディスクが得られる。
【0026】また、請求項4に記載の発明は、スパッタ
リング法を用い、光ディスクの基板上に薄膜を形成する
光ディスクの製造装置であって、ターゲットを保持する
ターゲットホルダと、基板を保持する基板ホルダと、基
板ホルダに保持された基板の周囲を覆いターゲットホル
ダ側に開口部を有する筒状のフードとを備えたものであ
る。
【0027】したがって、請求項4に記載の発明によれ
ば、スパッタリング時、ターゲットから斜め方向に飛び
出したスパッタリング粒子を、基板の周囲を覆うフード
の外側筒面に付着させて、フードの開口部から内部に進
入させないようにし、ターゲットから垂直方向に飛び出
したスパッタリング粒子のみを、ターゲットの直上の領
域に位置する基板に入射させることができる。その結
果、基板に形成された溝が深い場合でも、そのランド部
とグルーブ部とに膜厚が略一定の薄膜が形成され、ラン
ド部およびグルーブ部に対し略同じレーザパワーの光を
用いて情報の記録・消去が行えるランド・グルーブ記録
方式の光ディスクが得られる。
【0028】また、請求項5に記載の発明は、スパッタ
リング法を用い、光ディスクの基板上に薄膜を形成する
光ディスクの製造装置であって、ターゲットを保持する
ターゲットホルダと、ターゲットホルダ側に開口部を有
する筒状の凹部が形成されたパレットと、パレットの凹
部の底部に設置されて基板を保持する基板ホルダとを備
えたものである。
【0029】したがって、請求項5に記載の発明によれ
ば、スパッタリング時、ターゲットから斜め方向に飛び
出したスパッタリング粒子を、基板の周囲を覆う筒状凹
部の開口部から内部に進入させないようにし、ターゲッ
トから垂直方向に飛び出したスパッタリング粒子のみ
を、ターゲットの直上の領域に位置する基板に入射させ
ることができる。その結果、基板に形成された溝が深い
場合でも、そのランド部とグルーブ部とに膜厚が略一定
の薄膜が形成され、ランド部およびグルーブ部に対し略
同じレーザパワーの光を用いて情報の記録・消去が行え
るランド・グルーブ記録方式の光ディスクが得られる。
【0030】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
から請求項5の何れか1項に記載の光ディスクの製造装
置において、基板ホルダに保持された基板を、ターゲッ
トホルダに保持されたターゲットの中心軸から偏心した
軸を中心にして公転させる回転手段を備えたものであ
る。したがって、請求項6に記載の発明によれば、公転
する基板がターゲットの直上の領域に位置するときにの
み、ターゲットから垂直方向に飛び出したスパッタリン
グ粒子をその基板に入射させることができる。その結
果、公転する基板に形成された溝が深い場合でも、その
ランド部とグルーブ部とに膜厚が略一定の薄膜が形成さ
れ、ランド部およびグルーブ部に対し略同じレーザパワ
ーの光を用いて情報の記録・消去が行えるランド・グル
ーブ記録方式の光ディスクが得られる。
【0031】また、請求項7に記載の発明は、スパッタ
リング法を用い、光ディスクの基板上に薄膜を形成する
光ディスクの製造方法であって、ターゲットの周囲を基
板側に開口部を有する筒状のフードにて覆うものであ
る。したがって、請求項7に記載の発明によれば、スパ
ッタリング時、ターゲットから斜め方向に飛び出したス
パッタリング粒子をフードの内側筒面に付着させて、フ
ードの開口部から外に飛散させないようにし、ターゲッ
トから垂直方向に飛び出したスパッタリング粒子のみ
を、ターゲットの直上の領域に位置する基板に入射させ
ることができる。その結果、基板に形成された溝が深い
場合でも、そのランド部とグルーブ部とに膜厚が略一定
の薄膜が形成され、ランド部およびグルーブ部に対し略
同じレーザパワーの光を用いて情報の記録・消去が行え
るランド・グルーブ記録方式の光ディスクが得られる。
【0032】また、請求項8に記載の発明は、請求項7
に記載の光ディスクの製造方法において、基板を、ター
ゲットの中心軸から偏心した軸を中心にして公転させな
がらスパッタリングを行うものである。したがって、請
求項8に記載の発明によれば、公転する基板がターゲッ
トの直上の領域に位置するときにのみ、ターゲットから
垂直方向に飛び出したスパッタリング粒子をその基板に
入射させることができる。その結果、公転する基板に形
成された溝が深い場合でも、そのランド部とグルーブ部
とに膜厚が略一定の薄膜が形成され、ランド部およびグ
ルーブ部に対し略同じレーザパワーの光を用いて情報の
記録・消去が行えるランド・グルーブ記録方式の光ディ
スクが得られる。
【0033】また、請求項9に記載の発明は、円盤状の
光ディスク基板に、同心円状または螺旋状に溝を形成
し、この溝の深さを80nm〜600nmとし、溝の底
部のグルーブ部と該溝に隣接し溝と溝との間部に位置す
るランド部とに膜厚が略一定の薄膜を形成したものであ
る。したがって、請求項9に記載の発明によれば、ラン
ド・グルーブ記録時に、ランド部およびグルーブ部に対
し略同じレーザパワーの光を用いて情報の記録・消去を
行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。 (第1実施形態)まず、第1実施形態について、図1〜
図7を用いて説明する。第1実施形態は、請求項1,請
求項3,請求項6〜請求項9に対応する。
【0035】この第1実施形態の自公転スパッタリング
装置10は、ランド・グルーブ記録方式の光ディスクを
製造するに当たって、深い溝が形成された光ディスクの
基板上に記録膜を形成するためのものである。この自公
転スパッタリング装置10は、図1に示されるように、
スパッタリング室11と、複数の基板22,22,…を
個々に保持するための複数(図1では8個)の基板ホル
ダ12,12,…と、パレット13と、ターゲット24
を保持するためのターゲットホルダ14と、フード15
とで構成されている。
【0036】このうちパレット13には、回転モータ1
3aが接続され、スパッタリング時に回転軸L13を中
心にして自転できるようになっている(例えば、45r
pm)。なお、このパレット13の回転軸L13には、
パレット13と共に回転する図示されない主ギアが固定
されている。また、複数の基板ホルダ12,12,…は
各々、上記したパレット13のターゲットホルダ14側
の面に、自転可能に取り付けられている。なお、個々の
基板ホルダ12の回転軸(図示省略)には、その基板ホ
ルダ12と共に回転する副ギア(図示省略)が固定され
ている。
【0037】そして、これら基板ホルダ12の副ギア
は、上記したパレット13の主ギアに噛合されている。
したがって、スパッタリング時に、回転モータ13aの
回転によってパレット13が自転するときには、個々の
基板ホルダ12もギア比に応じた回転数で自転すること
になる。
【0038】すなわち、複数の基板ホルダ12,12,
…は、スパッタリング時に、自転しつつ、回転軸L13
を中心にして公転することができる。なお、上記したパ
レット13および回転モータ13aが、請求項6の回転
手段に対応している。また、ターゲットホルダ14に
は、図示されないスパッタリング電源が接続され、スパ
ッタリング時に、ターゲットホルダ14に保持されたタ
ーゲット24に対して、所定の高周波電圧を印加できる
ようになっている。
【0039】さらに、ターゲットホルダ14内には、ス
パッタリング時に、このターゲットホルダ14に保持さ
れたターゲット24の中心軸L24から偏心して回転す
るロータリーマグネット(図示されない)が配置されて
いる。
【0040】このロータリーマグネットによって、スパ
ッタリング時にはターゲット24から満遍なくスパッタ
リング粒子が飛び出し、ターゲット24を効率よく使用
することができる。さらに、成膜速度も高められる。な
お、このターゲットホルダ14は、スパッタリング時に
保持するターゲット24の中心軸L24と上記した回転
軸L13との偏心量Rが、基板ホルダ12に保持される
基板22の公転半径にほぼ一致するように配置されてい
る。
【0041】また、フード15は、ターゲットホルダ1
4に保持されるターゲット24の外形(円形)に合わせ
て円筒状に成型されたステンレス材で構成されている。
この円筒状のフード15は、その円筒軸が上記した回転
軸L13に平行となると共に、一方の開口部15aが基
板ホルダ12,12,…側に位置するようにして、ター
ゲットホルダ14に取り付けられる。
【0042】ここで、このフード15のターゲットホル
ダ14との接触部から開口部15aまでの長さH1(以
下「フード15の長さ」という)は、15cmである。
これによって、フード15の基板ホルダ12側の開口部
15aとターゲット24との距離H2は、基板ホルダ1
2に保持された基板22とターゲット24との距離H3
(およそ20cm)の3/4程度に保たれる。
【0043】また、スパッタリング室11内は、図示さ
れないガス供給系からスパッタリングガスが供給される
と共に、図示されないガス排気系によって排気されてい
る。これによって、スパッタリング室11内のガス圧力
は、スパッタリング時に、所望の値(例えば、5×10
-3Torr)に保たれる。ここで、上記のように構成さ
れた自公転スパッタリング装置10によって記録膜が形
成される基板22は、図2に示されるように、直径(2
r)が86mm,板厚hが1.2mmのポリカーボネイ
ト基板であり、その片面には、螺旋状に溝23が形成さ
れている。
【0044】また、この基板22は、ランド・グルーブ
記録方式用の基板であり、図3に示されるように、トラ
ックピッチLが0.8μm,溝23の深さD(ランド部
23Lとグルーブ部23Gとの段差)が180nmとな
っている。因みに、この基板22の溝23の深さD(1
80nm)は、ランド・グルーブ記録におけるクロスイ
レーズを回避するために深くされている。
【0045】このように深い溝23が形成された基板2
2は、記録膜の形成に当たって、図1に示されるよう
に、スパッタリング室11内の基板ホルダ12に保持さ
れる。このとき、自公転スパッタリング装置10では、
最大8個の基板22,22,…を基板ホルダ12,1
2,…に各々保持させて、一度に記録膜を形成させるこ
とができる。
【0046】また、上記した自公転スパッタリング装置
10を用いて基板22上に記録膜を形成するに当たっ
て、スパッタリング室11内のターゲットホルダ14に
は、記録膜用のTbFeCo合金で構成された6インチ
のターゲット24が保持される。このとき、ターゲット
24は、図1に示されるように、その周囲がフード15
の円筒面によって覆われた状態となる。ただし、フード
15の基板ホルダ12側には開口部15aがあるため、
ターゲット24の表面(基板22,22,…側の面)は
フード15によって覆われてない。
【0047】なお、ターゲット24を構成するTbFe
Co合金の組成は、基板22に形成される記録膜の組成
が、Tb:20原子%,Fe:72原子%,Co:8原
子%(原子百分率)となるように定められている。因み
に、スパッタリングによる上記組成の記録膜は、垂直磁
化膜である。次に、図1に示される自公転スパッタリン
グ装置10を用いて、深い溝23が形成された基板22
(図2,図3)上に記録膜を形成する動作について、図
4,図5を用いて説明する。
【0048】記録膜の形成時、図1に示されるスパッタ
リング室11内において、ターゲットホルダ14に保持
されたターゲット24には、所定の高周波電圧が印加さ
れる。その結果、このターゲット24は、スパッタリン
グ室11内のスパッタリングガスによってスパッタリン
グされる。一般に、ターゲットから飛び出すスパッタリ
ング粒子の方向性は余弦則にしたがう。このため、ター
ゲット24から飛び出すスパッタリング粒子には、図4
に示されるように、垂直方向(図中、矢印27で示され
る方向)に飛び出すものだけでなく、斜め方向(図中、
矢印28,29で示される方向)に飛び出すものも存在
する。
【0049】ここで、このターゲット24の周囲は円筒
状のフード15によって覆われているので、ターゲット
24から斜め方向(矢印28,29の方向)に飛び出し
たスパッタリング粒子は、フード15の内側円筒面15
bに付着し(図4中のスパッタリング粒子25d,25
e,25f,25g参照)、フード15の開口部15a
に到達することができない。
【0050】第1実施形態の自公転スパッタリング装置
10では、上記のように、フード15の開口部15aと
ターゲット24との距離H2が、ターゲット24と基板
22との距離H3の3/4程度に保たれているので、斜
め方向(矢印28,29の方向)のスパッタリング粒子
を、確実にフード15の内側円筒面15bに付着させる
ことができる。
【0051】したがって、斜め方向(矢印28,29の
方向)のスパッタリング粒子は、フード15の開口部1
5aから外に向かって飛び出すことができない。これに
対し、ターゲット24から垂直方向(矢印27の方向)
に飛び出したスパッタリング粒子は、ターゲット24の
周囲を覆うフード15の内側円筒面15bに付着するこ
となく、フード15の開口部15aから外に向かって飛
び出していく(図4中のスパッタリング粒子25a,2
5b,25c参照)。
【0052】このように、第1実施形態の自公転スパッ
タリング装置10では、ターゲット24の周囲を覆う円
筒状のフード15を設けたので、ターゲット24から飛
び出すスパッタリング粒子のうち、フード15の内側円
筒面15bに付着しなかった垂直方向のスパッタリング
粒子25a〜25cのみを、フード15の開口部15a
から外に向かって飛び出させることができる。
【0053】そして、これらフード15の開口部15a
から垂直方向に飛び出したスパッタリング粒子25a〜
25cは、図5に示されるように、ターゲット24の直
上の領域24Aに向かって飛んでいく。一方、基板ホル
ダ12,12,…に保持された複数の基板22,22,
…は、スパッタリング時、パレット13の自転によっ
て、ターゲット24の中心軸L24から偏心した回転軸
L13を中心にして公転している。
【0054】この回転軸L13まわりの公転によって、
個々の基板22は、図5に示されるように、ターゲット
24の直上の領域24Aに至っては通過していく。図5
には、1つの基板22が直上の領域24A内に位置して
いる状態が実線で、直上の領域24Aから出て周辺領域
24B内に至った状態,直上の領域24Aに至る手前で
周辺領域24B内に位置している状態が破線で示されて
いる。
【0055】このように、回転軸L13まわりの公転に
よって、基板22が直上の領域24A内に位置したとき
(図5の実線の状態)には、この直上の領域24Aに向
かって飛んできた上記の垂直方向のスパッタリング粒子
25a〜25cが、その基板22に垂直に入射する。そ
して、これら垂直方向のスパッタリング粒子25a〜2
5cは、その基板22に形成された深い溝23のランド
部23Lとグルーブ部23Gとの双方に等しい割合で到
達することができる。
【0056】ところで、基板22は上記の公転によっ
て、直上の領域24A内だけでなく、上記した周辺領域
24B内にも必ず位置することになる(図5の破線の状
態)。このように、基板22が周辺領域24B内に位置
するとき、この基板22に向かって、垂直方向のスパッ
タリング粒子25a〜25cが飛んでくることはない。
【0057】さらに、この第1実施形態の自公転スパッ
タリング装置10では、ターゲット24の周囲を円筒状
のフード15で覆い、ターゲット24から斜め方向(矢
印28,29の方向)に飛び出すスパッタリング粒子
を、フード15の内側円筒面15bに付着させて(図
4)、外に飛散しないようにしている。したがって、基
板22が周辺領域24B内に位置するときには、この基
板22に向かって、斜め方向のスパッタリング粒子が飛
んでくることもない。
【0058】すなわち、基板22が回転軸L13まわり
に公転する過程のうちで、基板22にスパッタリング粒
子が入射するのは、ターゲット24の直上の領域24A
内に基板22が位置するときのみとなる。しかも、この
直上の領域24A内に位置する基板22に入射するスパ
ッタリング粒子は、上記したように、垂直方向のスパッ
タリング粒子25a〜25cのみである。
【0059】このため、基板22が回転軸L13まわり
に公転する間、基板22の深い溝23のランド部23L
とグルーブ部23Gとの双方に、常に等しい割合でスパ
ッタリング粒子が到達することになる。その結果、図6
に示されるように、深い溝23が形成された基板22上
には、ランド部23Lの膜厚d1とグルーブ部23Gの
膜厚d2とが等しい記録膜222が形成される。
【0060】なお、この自公転スパッタリング装置10
でのスパッタリングは、記録膜222の膜厚が、深い溝
23のランド部23Lとグルーブ部23Gとで共に10
0nmになるまで行われる。このようなランド部23L
とグルーブ部23Gとで膜厚が一定(100nm)の記
録膜222は、基板ホルダ12,12,…に保持された
全ての基板22上に、等しく形成される。
【0061】さらに、上記の記録膜222は、個々の基
板22上に、内周から外周にわたって非常に均一に形成
される。なお、以上の説明は、説明を簡単にするため、
記録膜222を直接基板22上に形成するものとして行
ったが、実際の光ディスク20では、図7に示されるよ
うに、基板22上にまず下部保護膜221を形成し、そ
の上面に記録膜222が形成される。
【0062】しかし、基板22上に形成された下部保護
膜221の上面の形状は、基板22自体の形状とほぼ同
一であるため、基板22上に記録膜222を形成すると
した以上の説明は、記録膜222を下部保護膜221上
に形成する実際の場合に、そのまま当てはめることがで
きる。また、実際の光ディスク20では、図7に示され
るように、記録膜222の形成後、その上面に、上部保
護膜223が形成される。
【0063】これら下部保護膜221,上部保護膜22
3は共に、窒化シリコン(膜厚70nm)からなり、上
記した自公転スパッタリング装置10を用いた反応性ス
パッタリング法によって形成される。このうち下部保護
膜221の形成は、上記した記録膜222の形成と同
様、シリコンターゲットをターゲットホルダ14に保持
させた状態でその周囲をフード15で覆い、基板22を
自公転させながらシリコンターゲットをスパッタリング
することで行われる。したがって、深い溝23が形成さ
れた基板22上に、グルーブ部23Gとランド部23L
とで膜厚が一定の下部保護膜221が形成される。
【0064】また、上部保護膜223は記録膜222上
に形成されるが、この記録膜222の上面の形状も基板
22自体の形状とほぼ同一であるため、上部保護膜22
3の形成は、上記の下部保護膜221と同一の方法によ
って行われる。したがって、深い溝23のグルーブ部2
3Lとランド部23Gとに、膜厚が一定の上部保護膜2
23が形成される。
【0065】ここで、上記のように自公転スパッタリン
グ装置10を用いて基板22上に下部保護膜221,記
録膜222,上部保護膜223が順次形成された光ディ
スク20(図7)に対し、実際にランド・グルーブ記録
を行う際のレーザパワーを測定した。このレーザパワー
の測定に用いる記録再生装置には、半導体レーザ(波長
が680nm)と、対物レンズ(開口数が0.55)
と、測定される光ディスク20を回転させる回転モータ
(例えば、線速度3600rpm)と、記録磁界(例え
ば、大きさが300(Oe))を発生する磁石とが設けら
れている。
【0066】このような記録再生装置を用い、レーザ光
のデューティー比を30%に変調させながら、マーク長
が0.3μmとなるように記録したところ、ランド部2
3Lへの情報の記録時のレーザパワーと、グルーブ部2
3Gへの情報の記録時のレーザパワーとは、等しく4.
8mWであった。以上説明したように、第1実施形態に
よれば、円筒状のフード15によってターゲット24の
周囲を覆い、ターゲット24から斜め方向に飛び出すス
パッタリング粒子がフード15の外に飛散しないように
したので、自公転スパッタリング装置10を用いた場合
でも、ターゲット24から垂直方向に飛び出すスパッタ
リング粒子のみを基板22に到達させることができる。
【0067】したがって、光ディスク20の基板22上
に形成された溝23の深さDを、ランド・グルーブ記録
におけるクロスイレーズを回避するために深くした場合
でも、自公転スパッタリング装置10を用い、ランド部
23Lとグルーブ部23Gとで膜厚が一定になるよう
に、記録膜222,下部保護膜223,上部保護膜22
1を形成することができる。
【0068】このように、第1実施形態によれば、光デ
ィスク20の記録膜222,下部保護膜223,上部保
護膜221の膜厚をランド部23Lとグルーブ部23G
とで一定にできるので、同じレーザパワーの光を用いて
ランド部23Lにもグルーブ部23Gにも情報の記録・
消去を行うことができる(ランド・グルーブ記録)。
【0069】この結果、ランド・グルーブ記録を行う際
の動作や、記録再生装置の構成が簡略化される。 (第1実施形態の変形例)次に、上述した第1実施形態
の変形例について、図8を用いて説明する。この変形例
は、請求項1〜請求項3,請求項6〜請求項9に対応す
る。
【0070】図8に示される変形例の自公転スパッタリ
ング装置30は、上述した第1実施形態の自公転スパッ
タリング装置10のフード15に代えて、フード35を
用いたものである。なお、この自公転スパッタリング装
置30のフード35以外の構成については、図1に示さ
れる第1実施形態の自公転スパッタリング装置10と同
じであるため、図8では図1と同じ符号を付すことにす
る。
【0071】この変形例のフード35は、第1実施形態
のフード15と同様、ターゲットホルダ14に保持され
たターゲット24の周囲を覆うものであり、筒状に成型
されたステンレス材からなる。しかし、このフード35
は、図8に示されるように、側面がテーパ状に成型され
されている。すなわち、フード35の基板ホルダ12側
の開口部35aの大きさφは、ターゲットホルダ14に
保持されるターゲット24の大きさ(6インチ)よりも
小さく、基板ホルダ12に保持される基板22の大きさ
(3.5インチ)よりも大きくなっている。
【0072】また、このフード35の長さH1は、第1
実施形態のフード15と同様、15cmであり、開口部
35aとターゲット24との距離H2が、基板22とタ
ーゲット24との距離H3(およそ20cm)の3/4
程度に保たれている。なお、このフード35は、自公転
スパッタリング装置30を用いて基板22上に記録膜を
形成するに当たって、ターゲットホルダ14にターゲッ
ト24を保持させたのち、ターゲットホルダ14に取り
付けられる。
【0073】上記のように構成されたテーパ状の筒型フ
ード35によってターゲット24の周囲を覆うことで、
スパッタリング時、ターゲット24から斜め方向に飛び
出したスパッタリング粒子だけでなく、ターゲット24
から垂直方向に飛び出したものの途中で他のスパッタリ
ング粒子やスパッタリングガスによって散乱されて斜め
方向となったものも、フード35の内側筒面に付着させ
て、その開口部35aから外に飛散させないようにする
ことができる。
【0074】すなわち、フード35の小さな開口部35
aから外に向かって飛び出していくスパッタリング粒子
は、垂直方向のスパッタリング粒子のみとなる。したが
って、スパッタリング時、回転軸L13まわりに公転す
る基板22が、フード35の小さな開口部35aに対応
する小さな領域に至ったときに、この小さな領域に向か
って飛んできた垂直方向のスパッタリング粒子のみが、
その基板22に垂直に入射する。
【0075】この基板22に垂直に入射したスパッタリ
ング粒子は、基板22に形成された深い溝23のランド
部23Lとグルーブ部23Gとの双方に、等しい割合で
到達することができる。また、回転軸L13まわりに公
転する基板22が、上記小さな領域の周辺部に位置する
ときには、この基板22に向かって、垂直方向のスパッ
タリング粒子も斜め方向のスパッタリング粒子も飛んで
こない。
【0076】このため、基板22が回転軸L13まわり
に公転する間、基板22の深い溝23のランド部23L
とグルーブ部23Gとの双方に、常に等しい割合でスパ
ッタリング粒子が到達することになる。その結果、変形
例の自公転スパッタリング装置30によれば、深い溝2
3が形成された基板22のランド部23Lとグルーブ部
23Gとに、膜厚がより一定の記録膜(または保護膜)
を形成することができる。
【0077】したがって、同じレーザパワーの光を用い
てランド部23Lにもグルーブ部23Gにも情報の記録
・消去を行うことができ(ランド・グルーブ記録)、ラ
ンド・グルーブ記録を行う際の動作や、記録再生装置の
構成が簡略化される。なお、上述した第1実施形態およ
びその変形例では、ターゲット24の周囲を覆うために
フード15(図1)やフード35(図8)を取り付けた
例を説明したが、図9,図10に示されるフード45や
フード55ように、その側面に複数の孔45c,孔55
cが形成されたものを取り付けることもできる。
【0078】これらフード45(図9)またはフード5
5(図10)の側面に形成された複数の孔45c,孔5
5cは、フード45,フード55内部に、定常的にスパ
ッタリングガスを取り込むための孔である。なお、複数
の孔45c,孔55cの形状は、円形に限らず如何なる
形状でも良い。このように、側面に複数の孔45cまた
は孔55cを形成したフード45(図9),フード55
(図10)によってターゲット24の周囲を覆う場合に
は、スパッタリング時、常に安定したプラズマ状態を維
持しつつ、基板22のランド部23Lとグルーブ部23
Gとに、膜厚が一定の記録膜(または保護膜)を形成で
きる。したがって、ランド部23Lおよびグルーブ部2
3Gに対して略同じレーザパワーの光を用いて情報の記
録・消去を行うことができ(ランド・グルーブ記録)、
ランド・グルーブ記録を行う際の動作や、記録再生装置
の構成が簡略化される。
【0079】また、上述した第1実施形態およびその変
形例では、フード15(またはフード35)の長さH1
を15cmとし、フード15の開口部15a(またはフ
ード35の開口部35a)とターゲット24との距離H
2を、ターゲット24と基板22との距離H3(20c
m)の3/4程度に保つ例を説明したが、距離H2が距
離H3の1/3以上に保たれるのであれば、フードの長
さH1を他の値に設定することもできる。
【0080】このように、距離H2が距離H3の1/3
以上に保たれる場合には、斜め方向(図4中、矢印2
8,29の方向)のスパッタリング粒子を、確実にフー
ド15の内側円筒面15b(またはフード35の内側円
筒面)に付着させ、開口部15a(または開口部35
a)から外に飛散させないようにできることが実験的に
求められている。
【0081】さらに、上述した第1実施形態およびその
変形例では、フード15(またはフード35)をステン
レス材で構成する例を説明したが、ステンレス材以外の
非磁性体で構成することもできる。このように、フード
を非磁性体で構成する場合には、スパッタリング時、斜
め方向のスパッタリング粒子を確実にフードの筒面に付
着させることができる。
【0082】また、上述した第1実施形態およびその変
形例では、円形のターゲット24を用いる例を説明した
が、本発明は、円形以外の形状(例えば、多角形)のタ
ーゲットを用いる場合に適用することもできる。さら
に、上述した第1実施形態およびその変形例では、円形
のターゲット24を用いたため、断面が円形に成型され
た筒状のフード15(またはフード35)を設けたが、
円形以外の形状(例えば、多角形)のターゲットを用い
る場合には、そのターゲットの外形に合った断面形状
(例えば、多角形)のフードを設けることもできる。
【0083】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施
形態について、図11〜図13を用いて説明する。第2
実施形態は、請求項4〜請求項6,請求項9に対応す
る。第2実施形態の自公転スパッタリング装置60は、
上述した第1実施形態の自公転スパッタリング装置10
と同様、ランド・グルーブ記録方式の光ディスクを製造
するに当たって、深い溝が形成された光ディスクの基板
上に記録膜を形成するためのものである。
【0084】この第2実施形態の自公転スパッタリング
装置60では、上述した第1実施形態の自公転スパッタ
リング装置10のフード15に代えて、図11に示され
るフード65,65,…が用いられる。なお、第2実施
形態の自公転スパッタリング装置60は、フード65,
65,…以外の構成が、図1に示される第1実施形態の
自公転スパッタリング装置10と同じである。
【0085】このため、第2実施形態の自公転スパッタ
リング装置60のフード65,65,…以外の構成につ
いては、図1に示される第1実施形態の自公転スパッタ
リング装置10と同じ符号を付して、その個別説明は省
略する。また、第2実施形態の自公転スパッタリング装
置60によって記録膜が形成される基板22の構成、お
よびターゲットホルダ14に保持されるターゲット24
の構成も、第1実施形態と同じであるため、その説明を
省略する。
【0086】したがって、ここでは、第2実施形態のフ
ード65,65,…の構成、および第2実施形態の自公
転スパッタリング装置60を用いて深い溝23が形成さ
れた基板22に記録膜を形成する動作について順に説明
する。まず、第2実施形態のフード65,65,…につ
いて説明する。この第2実施形態において、フード6
5,65,…は、図11に示されるように、複数の基板
ホルダ12,12,…ごとに設けられている。
【0087】また、これらのフード65,65,…は、
基板ホルダ12,12,…に保持される基板22,2
2,…の外形(円形)に合わせて円筒状に成型されたス
テンレス材で構成されている。これら円筒状のフード6
5,65,…は、その円筒軸が上記した回転軸L13に
平行となると共に、一方の開口部65a,65a,…が
ターゲットホルダ14側に位置するようにして、パレッ
ト13に取り付けられている。
【0088】ここで、各フード65のパレット13との
接触部から開口部65aまでの長さ(フード65の長
さ)H1は、15cmである。これによって、フード6
5のターゲットホルダ14側の開口部65aと基板ホル
ダ12に保持された基板22との距離H2は、基板ホル
ダ12に保持された基板22とターゲット24との距離
H3(およそ20cm)の3/4程度に保たれる。
【0089】次に、自公転スパッタリング装置60(図
11)を用い、深い溝23が形成された基板22上に記
録膜を形成する動作について、説明する。ここで、記録
膜を形成するに当たって基板ホルダ12,12,…に保
持された基板22,22,…は、図11に示されるよう
に、その周囲がフード65,65,…の円筒面によって
覆われた状態となる。ただし、フード65,65,…の
ターゲットホルダ14側には開口部65a,65a,…
があるため、基板22,22,…の表面(深い溝23が
形成された面)はフード65,65,…によって覆われ
てない。
【0090】記録膜の形成時、ターゲット24から飛び
出すスパッタリング粒子には、図12,図13に示され
るように、垂直方向(図中、矢印27で示される方向)
に飛び出すものだけでなく、斜め方向(図中、矢印2
8,29で示される方向)に飛び出すものも存在する。
このうち、ターゲット24から垂直方向(矢印27の方
向)に飛び出したスパッタリング粒子は、ターゲット2
4の直上の領域に向かって飛んでいき、ターゲット24
から斜め方向(矢印28,29の方向)に飛び出したス
パッタリング粒子は、上記したターゲット24の直上の
領域の周辺部に向かって飛んでいくことになる。
【0091】したがって、回転軸L13まわりに公転す
る基板22がターゲット24の直上の領域に至ったとき
(図12の状態)には、垂直方向(矢印27の方向)の
スパッタリング粒子が、その基板22の周囲を覆うフー
ド65の開口部65aから内部に進入し、基板22に垂
直に入射する(図中のスパッタリング粒子25a,25
b参照)。
【0092】このようにして基板22に垂直に入射した
スパッタリング粒子25a,25bは、基板22に形成
された深い溝23のランド部23Lとグルーブ部23G
との双方に、等しい割合で到達することができる。一
方、回転軸L13まわりに公転する基板22が、上記し
た直上の領域の周辺部に至ったとき(図13の状態)に
は、斜め方向(矢印28の方向)のスパッタリング粒子
のみが飛んでくる。
【0093】しかし、基板22の周囲はフード65で覆
われているため、飛んできた斜め方向(矢印28の方
向)のスパッタリング粒子は、フード65の外側円筒面
65cに付着し(図中のスパッタリング粒子25d,2
5e参照)、フード65の開口部65aから内部に進入
することができない。第2実施形態の自公転スパッタリ
ング装置60では、上記のように、フード65の開口部
65aと基板22との距離H2が、ターゲット24と基
板22との距離H3の3/4程度に保たれているので、
斜め方向(矢印28の方向)のスパッタリング粒子を、
確実にフード65の外側円筒面65cに付着させること
ができる。
【0094】したがって、基板22が回転軸L13まわ
りに公転する過程のうちで、基板22にスパッタリング
粒子が入射するのは、ターゲット24の直上の領域内に
基板22が位置するときのみとなる。しかも、この直上
の領域内に位置する基板22に入射するスパッタリング
粒子は、上記したように、垂直方向のスパッタリング粒
子25a,25bのみである。
【0095】このため、基板22が回転軸L13まわり
に公転する間、基板22の深い溝23のランド部23L
とグルーブ部23Gとの双方に、常に等しい割合でスパ
ッタリング粒子が到達することになる。その結果、深い
溝23が形成された基板22上には、ランド部23Lと
グルーブ部23Gとで膜厚が一定の記録膜が形成され
る。
【0096】なお、この自公転スパッタリング装置60
でのスパッタリングは、第1実施形態と同様、記録膜の
膜厚が、深い溝23のランド部23Lとグルーブ部23
Gとで共に100nmになるまで行われる。このような
ランド部23Lとグルーブ部23Gとで膜厚が一定(1
00nm)の記録膜は、基板ホルダ12,12,…に保
持され、かつ各々フード65で周囲が覆われた全ての基
板22,22,…上に、等しく形成される。
【0097】さらに、このような記録膜は、個々の基板
22上に、内周から外周にわたって非常に均一に形成さ
れる。なお、以上の説明は、説明を簡単にするため、記
録膜を直接基板22上に形成するものとして行ったが、
第1実施形態と同様、実際の光ディスクの場合(記録膜
を下部保護膜上に形成する場合)に、そのまま当てはめ
ることができる。また、実際の光ディスクでは、記録膜
上に上部保護膜がさらに形成される。
【0098】上記した下部保護膜の形成、および記録膜
上への上部保護膜の形成は、第1実施形態と同様、上記
した自公転スパッタリング装置60を用いた反応性スパ
ッタリング法によって行われる。この場合、各基板22
の周囲を各々フード65で覆い、これらの基板22を自
公転させながらシリコンターゲットがスパッタリングさ
れる。その結果、深い溝23が形成された基板22上
に、グルーブ部23Gとランド部23Lとで膜厚が一定
の下部保護膜または上部保護膜(共に、膜厚が70nm
の窒化シリコン膜)が形成される。
【0099】また、上記のように自公転スパッタリング
装置60を用いて基板22上に下部保護膜,記録膜,上
部保護膜が順次形成された光ディスクに対し、実際にラ
ンド・グルーブ記録を行う際のレーザパワーを測定し
た。第1実施形態におけるレーザパワーの測定に用いた
記録再生装置により、第1実施形態と同様に、レーザ光
のデューティー比を30%に変調させながら、マーク長
が0.3μmとなるように記録したところ、ランド部2
3Lへの情報の記録時のレーザパワーと、グルーブ部2
3Gへの情報の記録時のレーザパワーとは、等しく4.
8mWであった。
【0100】以上説明したように、第2実施形態によれ
ば、円筒状のフード65によって基板22の周囲を覆
い、ターゲット24から斜め方向に飛び出すスパッタリ
ング粒子が、フード65の開口部65aから内部に進入
しないようにしたので、自公転スパッタリング装置60
を用いた場合でも、ターゲット24から垂直方向に飛び
出すスパッタリング粒子のみを基板22に到達させるこ
とができる。
【0101】したがって、光ディスクの基板22上に形
成された溝23の深さDを、ランド・グルーブ記録にお
けるクロスイレーズを回避するために深くした場合で
も、自公転スパッタリング装置60を用い、ランド部2
3Lとグルーブ部23Gとで膜厚が一定になるように、
記録膜,下部保護膜,上部保護膜を形成することができ
る。
【0102】このように、第2実施形態によれば、光デ
ィスクの記録膜,下部保護膜,上部保護膜の膜厚をラン
ド部23Lとグルーブ部23Gとで一定にできるので、
同じレーザパワーの光を用いてランド部23Lにもグル
ーブ部23Gにも情報の記録・消去を行うことができる
(ランド・グルーブ記録)。この結果、ランド・グルー
ブ記録を行う際の動作や、記録再生装置の構成が簡略化
される。
【0103】なお、上述した第2実施形態では、基板2
2の周囲を覆うために、パレット13にフード65(図
11)を取り付けた例を説明したが、図14に示される
ように、パレット73自体に、ターゲットホルダ14側
に開口部75aを有する円筒状の凹部75を形成し、こ
の円筒状の凹部75の底部に設置された基板ホルダ12
に基板22を保持させることで、その周囲を覆うことも
できる。パレット73は、ステンレス材で構成される。
【0104】この場合にも、回転軸L73まわりに公転
する基板22がターゲット24の直上の領域に至ったと
きにのみ、垂直方向のスパッタリング粒子が、基板22
の周囲を覆う円筒状の凹部75の開口部75aから進入
し、基板22に垂直に入射するため、深い溝23が形成
された基板22のランド部23Lとグルーブ部23Gと
に、膜厚が一定の記録膜(または保護膜)を形成するこ
とができる。
【0105】したがって、同じレーザパワーの光を用い
てランド部23Lにもグルーブ部23Gにも情報の記録
・消去を行うことができ(ランド・グルーブ記録)、ラ
ンド・グルーブ記録を行う際の動作や、記録再生装置の
構成が簡略化される。また、上述した第2実施形態で
は、各フード65の長さH1を15cmとし、フード6
5の開口部65aと基板22との距離H2を、基板22
とターゲット24との距離H3(20cm)の3/4程
度に保つ例を説明したが、距離H2が距離H3の1/3
以上に保たれるのであれば、各フードの長さH1を他の
値に設定することもできる。
【0106】このように、距離H2が距離H3の1/3
以上に保たれる場合には、斜め方向(図12中、矢印2
8,29の方向)のスパッタリング粒子を、確実にフー
ド65の外側円筒面65cに付着させ、開口部65aか
ら内部に進入させないようにできることが実験的に求め
られている。さらに、上述した第2実施形態では、フー
ド65をステンレス材で構成する例を説明したが、ステ
ンレス材以外の非磁性体で構成することもできる。この
ように、フードを非磁性体で構成する場合には、スパッ
タリング時、斜め方向のスパッタリング粒子を確実にフ
ードの筒面に付着させることができる。
【0107】また、上述した第2実施形態では、円形の
ターゲット24を用いる例を説明したが、本発明は、円
形以外の形状(例えば、多角形)のターゲットを用いる
場合に適用することもできる。なお、上述した実施形態
および変形例では、ターゲット24または基板22の何
れか一方の周囲を覆う例を説明したが、図15に示され
るように、ターゲット24と基板22の双方の周囲を覆
うこともできる。
【0108】このように、ターゲット24と基板22の
双方の周囲を覆う場合には、ターゲット24から斜め
方向に飛び出すスパッタリング粒子をフード55の外に
飛散しないようにすることができると共に、フード5
5の開口部55aから垂直方向に飛び出したものの途中
で他のスパッタリング粒子によって散乱されて斜め方向
となってしまっても、これをフード65の開口部65a
から内部に進入しないようにすることができる。
【0109】したがって、ターゲット24と基板22の
双方の周囲を覆った自公転スパッタリング装置80によ
れば、垂直方向のスパッタリング粒子のみが基板22に
入射され、基板22上に形成される薄膜(記録膜,保護
膜)の膜厚を、ランド部23Lとグルーブ部23Gとで
より均一化させことができる。その結果、同じレーザパ
ワーの光を用いてランド部23Lにもグルーブ部23G
にも情報の記録・消去を行うことができ(ランド・グル
ーブ記録)、記録動作や記録再生装置の構成が確実に簡
略化される。
【0110】さらに、上述した実施形態および変形例で
は、基板22を公転させつつ自転させる自公転スパッタ
リング装置を例に説明したが、本発明は、基板22を公
転させるが自転はさせないスパッタリング装置にも同様
に適用することができる。また、上述した実施形態およ
び変形例では、基板22を公転させつつ自転させる自公
転スパッタリング装置を例に説明したが、本発明は、複
数の基板22をパレットに設置させるだけで、公転も自
転もさせることなく成膜するスパッタリング装置に適用
することもできる。
【0111】この場合には、パレットに設置された複数
の基板のうち、ターゲットの直上の領域に位置する基板
のみに、ターゲットから垂直方向に飛び出したスパッタ
リング粒子を入射させることができる。その結果、深い
溝が形成された基板22のランド部23Lとグルーブ部
23Gとに膜厚が一定の記録膜(または保護膜)が形成
され、同じレーザパワーの光を用いてランド部23Lに
もグルーブ部23Gにも情報の記録・消去を行うことが
できる光ディスクが得られる。
【0112】また、上述した実施形態および変形例で
は、ターゲット24に所定の高周波電圧を印加してスパ
ッタリングを行う例を説明したが、本発明は、ターゲッ
ト24に所定の直流電圧を印加してスパッタリングを行
う場合にも適用することができる。なお、上記のような
場合であって、特に基板22の周囲をフード65で覆う
場合(図11、図15)には、フード65とパレット1
3との間に絶縁体のスペーサを挿入するか、またはフー
ド65の径を大きくすることにより、基板22の外周部
分に、確実にランド部とグルーブ部とで膜厚が一定の薄
膜を形成できるので、好ましい。
【0113】さらに、上述した実施形態および変形例で
は、TbFeCo合金(磁性体)にて構成されたターゲ
ット24を用いて記録膜222(磁性薄膜)を形成する
例、およびシリコンターゲットを用いて下部保護膜22
1,上部保護膜223を形成する例を説明したが、光デ
ィスクにアルミニウムなどで構成された反射膜が形成さ
れる場合には、その反射膜の形成に本発明を適用するこ
ともできる。また、本発明は、相変化媒体(例えば、G
eTeSb合金)にて構成されたターゲットを用いて相
変化薄膜を形成する場合にも適用することができる。
【0114】また、上述した実施形態および変形例で
は、1つのターゲットホルダ14が配置されたスパッタ
リング装置を例に説明したが、本発明は、複数のターゲ
ットホルダが配置されたスパッタリング装置に適用する
こともできる。この場合には、複数のターゲットの周
囲を各々筒状のフードで覆うか、複数の基板の周囲を
各々筒状のフード(または筒状の凹部)で覆うか、と
とを組み合わせるかの何れかの構成とすることで、複
数のターゲットを同時放電させながらスパッタリングを
行う場合でも、基板22のランド部とグルーブ部とに膜
厚が一定の薄膜を形成することができる。その結果、同
じレーザパワーの光を用いてランド部23Lにもグルー
ブ部23Gにも情報の記録・消去を行うことができる光
ディスクが得られる。
【0115】さらに、上述した実施形態および変形例で
は、溝23の深さDが180nmの基板22に薄膜を形
成する場合を例に説明したが、溝23の深さDが80n
m〜600nmの範囲内の基板であれば、同様にランド
部とグルーブ部とで一定の膜厚の薄膜を形成することが
でき、同じレーザパワーの光を用いてランド部23Lに
もグルーブ部23Gにも情報の記録・消去を行うことが
できる光ディスクが得られる。
【0116】また、上述した実施形態および変形例で
は、トラックピッチLが0.8μmの基板22に薄膜を
形成する場合を例に説明したが、トラックピッチLが
0.5μm〜1.0μmの範囲内の基板であれば、同様
に、ランド部とグルーブ部とで一定の膜厚の薄膜を形成
することができ、同じレーザパワーの光を用いてランド
部23Lにもグルーブ部23Gにも情報の記録・消去を
行うことができる光ディスクが得られる。
【0117】
【発明の効果】上記したように、請求項1から請求項8
に記載した発明によれば、光ディスク基板またはターゲ
ットの少なくとも一方の周囲を筒状のフード(または筒
状の凹部)で覆ってスパッタリングを行うので、ランド
・グルーブ記録方式の採用によって情報の高密度化が図
られ、溝の深さを深くすることによってクロスイレーズ
が回避され、溝のランド部およびグルーブ部に対して略
同一のレーザパワーで情報の記録・消去を行える高品質
の光ディスクを製造することができる。
【0118】また、光ディスク基板をターゲットに対し
て公転させながらスパッタリングを行う場合には、上記
した高品質の光ディスクを一度に多数製造することがで
きる。さらに、請求項9に記載した発明によれば、ラン
ド・グルーブ記録方式の採用によって情報の高密度化が
図られ、溝の深さを深くすることによってクロスイレー
ズが回避され、溝のランド部およびグルーブ部に対して
略同一のレーザパワーで情報の記録・消去を行える高品
質の光ディスクが得られる。
【0119】したがって、上記した高品質の光ディスク
に対し、実際にランド・グルーブ記録を行うに当たって
は、情報の記録・消去を行う光ディスク上の箇所がラン
ド部であるかグルーブ部であるかに応じてレーザパワー
を切り換える動作が不要となり、簡易な構成の記録再生
装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の自公転スパッタリング装置10
の構成を示す図である。
【図2】基板22の形状を示す外観図である。
【図3】基板22の断面形状を示す図である。
【図4】フード15の機能を説明する図である。
【図5】自公転スパッタリング装置10による基板22
上への薄膜形成動作を説明する図である。
【図6】基板22上に形成された記録膜222を示す図
である。
【図7】光ディスク20の断面構成を示す図である。
【図8】第1実施形態の変形例の自公転スパッタリング
装置30の構成を示す図である。
【図9】フード45の構成を示す図である。
【図10】フード55の構成を示す図である。
【図11】第2実施形態の自公転スパッタリング装置6
0の構成を示す図である。
【図12】フード65の機能、および自公転スパッタリ
ング装置60による基板22上への薄膜形成動作を説明
する図である。
【図13】フード65の機能、および自公転スパッタリ
ング装置60による基板22上への薄膜形成動作を説明
する図である。
【図14】自公転スパッタリング装置70の構成を示す
図である。
【図15】自公転スパッタリング装置80の構成を示す
図である。
【図16】従来の自公転スパッタリング装置90の構成
を示す図である。
【図17】基板96に垂直に入射するスパッタリング粒
子を説明する図である。
【図18】基板96に斜めに入射するスパッタリング粒
子を説明する図である。
【図19】自公転スパッタリング装置90による基板9
6上への薄膜形成動作を説明する図である。
【符号の説明】
10,30,60,70,80 自公転スパッタリング
装置 11 スパッタリング室 12 基板ホルダ 13,73 パレット 13a 回転モータ 14 ターゲットホルダ 15,35,45,55,65 フード 15a,35a,45a,55a,65a,75a 開
口部 45c,55c 孔 22 基板 23 溝 24 ターゲット 75 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 11/10 541 G11B 11/10 541A 541H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパッタリング法を用い、光ディスクの
    基板上に薄膜を形成する光ディスクの製造装置であっ
    て、 ターゲットを保持するターゲットホルダと、 前記基板を保持する基板ホルダと、 前記ターゲットホルダに保持されたターゲットの周囲を
    覆い前記基板ホルダ側に開口部を有する筒状のフードと
    を備えたことを特徴とする光ディスクの製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光ディスクの製造装置
    において、 前記開口部の大きさは、 前記ターゲットホルダに保持されるターゲットの大きさ
    よりも小さく、前記基板ホルダに保持される基板の大き
    さよりも大きいことを特徴とする光ディスクの製造装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の光ディ
    スクの製造装置において、 前記フードの前記ターゲットホルダとの接触部から前記
    開口部までの長さは、 前記開口部と前記ターゲットホルダに保持されたターゲ
    ットとの間の距離が、前記基板ホルダに保持された基板
    と前記ターゲットホルダに保持されたターゲットとの間
    の距離の1/3以上となる値に定められていることを特
    徴とする光ディスクの製造装置。
  4. 【請求項4】 スパッタリング法を用い、光ディスクの
    基板上に薄膜を形成する光ディスクの製造装置であっ
    て、 ターゲットを保持するターゲットホルダと、 前記基板を保持する基板ホルダと、 前記基板ホルダに保持された基板の周囲を覆い前記ター
    ゲットホルダ側に開口部を有する筒状のフードとを備え
    たことを特徴とする光ディスクの製造装置。
  5. 【請求項5】 スパッタリング法を用い、光ディスクの
    基板上に薄膜を形成する光ディスクの製造装置であっ
    て、 ターゲットを保持するターゲットホルダと、 前記ターゲットホルダ側に開口部を有する筒状の凹部が
    形成されたパレットと、 前記凹部の底部に設置され、前記基板を保持する基板ホ
    ルダとを備えたことを特徴とする光ディスクの製造装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5の何れか1項に記
    載の光ディスクの製造装置において、 前記基板ホルダに保持された基板を、前記ターゲットホ
    ルダに保持されたターゲットの中心軸から偏心した軸を
    中心にして公転させる回転手段を備えたことを特徴とす
    る光ディスクの製造装置。
  7. 【請求項7】 スパッタリング法を用い、光ディスクの
    基板上に薄膜を形成するに当たり、 ターゲットの周囲を、前記基板側に開口部を有する筒状
    のフードにて覆うことを特徴とする光ディスクの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の光ディスクの製造方法
    において、 前記基板を、前記ターゲットの中心軸から偏心した軸を
    中心にして公転させながらスパッタリングを行うことを
    特徴とする光ディスクの製造方法。
  9. 【請求項9】 円盤状の基板に、同心円状または螺旋状
    に溝が形成され、 前記溝の深さは、80nm〜600nmであり、 前記溝の底部のグルーブ部と、該溝に隣接し前記溝と溝
    との間部に位置するランド部とに、膜厚が略一定の薄膜
    が形成されていることを特徴とするランド・グルーブ記
    録方式の光ディスク。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003067588A1 (fr) * 2002-02-06 2003-08-14 Sony Corporation Procede d'enregistrement-lecture optique et support d'enregistrement-lecture optique
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CN106282951A (zh) * 2016-08-30 2017-01-04 河南科技大学 一种磁控溅射镀膜机用的基片固定夹具及使用方法

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