JPH11185221A - 磁気抵抗効果型磁気ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果型磁気ヘッド

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JPH11185221A
JPH11185221A JP34982297A JP34982297A JPH11185221A JP H11185221 A JPH11185221 A JP H11185221A JP 34982297 A JP34982297 A JP 34982297A JP 34982297 A JP34982297 A JP 34982297A JP H11185221 A JPH11185221 A JP H11185221A
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JP
Japan
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head
recording medium
magnetic recording
groove
sliding direction
Prior art date
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JP34982297A
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English (en)
Inventor
Teruyuki Inaguma
輝往 稲熊
Ikuko Yanai
郁子 矢内
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ヘッドと磁気記録媒体との接触状
態を改善させ、スペーシングロスを抑えるとともに、ヘ
ッドの摩耗を抑えることのできる磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドを提供する。 【解決手段】 本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドは、
磁気記録媒体を摺動させて、当該磁気記録媒体からの信
号を磁気抵抗効果素子によって検出する磁気抵抗効果型
磁気ヘッドであって、磁気記録媒体の摺動面に、磁気記
録媒体の摺動方向に対して交差するように、一方の端部
から他方の端部に亘って溝が形成されていることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体と摺
動して情報の記録再生を行う磁気ヘッド装置に搭載され
る磁気抵抗効果型磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオテープレコーダ、デジタルオーデ
ィオテープレコーダ、データストレージ装置等に搭載さ
れる磁気ヘッド装置として、図35に示すように磁気テ
ープ100に対して記録又は再生を行う1個以上の磁気
ヘッド101を回転ドラム102上に搭載したものが用
いられている。上記磁気ヘッド装置により情報の記録再
生を行う場合には、上記回転ドラム102を磁気テープ
100に接触させた状態で回転させることにより、当該
回転ドラム102に搭載された磁気ヘッド101を磁気
テープ100に接触した状態で走査させて、所定の記録
トラックに対して情報の記録再生を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁気テープ等のフレキ
シブル媒体を用いたヘリカルスキャンニング方式のよう
な高速摺動記録再生システムでは、磁気ヘッド101と
磁気テープ100とが高速で摺動し、磁気ヘッド101
と磁気テープ100との接触、脱離が繰り返し行われ
る。
【0004】このとき、磁気ヘッド101の摺動面上に
空気の層が取り込まれると、磁気ヘッド101と磁気テ
ープ100との距離すなわちスペーシング量が増加して
しまう。
【0005】このため、いわゆるスペーシングロスによ
る再生感度の低下が懸念される。近年の高密度記録化の
ため、磁気ヘッド装置が高周波数帯域、高転送レートで
用いられることを考慮すると、更に磁気ヘッド101と
磁気テープ100との相対速度の増加が予想される。
【0006】また、磁気抵抗効果素子を用いた再生用の
磁気抵抗効果型磁気ヘッドをこの磁気ヘッド装置に搭載
した場合、磁気テープ100との摺動による偏摩耗を抑
えるために、磁気テープ100と磁気ヘッド101との
接触面積を大きくする必要がある。磁気テープ100と
磁気ヘッド101との接触面積を大きくすると、さらに
空気層を取り入れてしまい、スペーシング量が増してし
まう恐れがある。
【0007】スペーシングロスと磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッドの偏摩耗とをともに抑制するためには、磁気記録媒
体と磁気抵抗効果型磁気ヘッドとの接触状態が問題とな
る。
【0008】本発明は、上述したような従来の実情に鑑
みて提案されたものであり、ヘッドと磁気記録媒体との
接触状態を改善させ、スペーシングロスを抑えるととも
に、ヘッドの摩耗を抑えることのできる磁気抵抗効果型
磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗効果型
磁気ヘッドは、磁気記録媒体を摺動させて、当該磁気記
録媒体からの信号を磁気抵抗効果素子によって検出する
磁気抵抗効果型磁気ヘッドであって、磁気記録媒体の摺
動面に、磁気記録媒体の摺動方向に対して交差するよう
に、一方の端部から他方の端部に亘って溝が形成されて
いることを特徴とする。
【0010】上述したような本発明に係る磁気抵抗効果
型磁気ヘッドでは、磁気記録媒体との摺動面に、磁気記
録媒体の摺動方向に対して交差するように一方の端部か
ら他方の端部に亘って形成された溝が、磁気記録媒体と
の摺動により発生する空気流に負圧を生じさせて磁気記
録媒体をヘッドに引き寄せるとともに、空気流を逃がし
て、空気流による浮力と上記負圧との均衡を保ち、ヘッ
ドと磁気記録媒体との接触状態を良好にする。
【0011】本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおい
ては、上記溝は、例えば上記磁気抵抗効果素子を挟んで
磁気記録媒体の摺動方向前側と摺動方向後ろ側とに形成
する。
【0012】この磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、上記
溝が上記磁気抵抗効果素子を挟んで磁気記録媒体の摺動
方向前側と摺動方向後ろ側とに形成されているので、負
圧が高くなり磁気記録媒体が強く引き寄せられるととも
に、空気流が効率よく逃げ、空気流による浮力と上記負
圧との均衡が保たれて、ヘッドと磁気記録媒体との接触
状態が良好になる。
【0013】また、磁気記録媒体の摺動面に、上記磁気
抵抗効果素子を挟んで磁気記録媒体の摺動方向前側と摺
動方向後ろ側とに形成された溝の他に、磁気記録媒体の
摺動方向に沿って、上記磁気抵抗効果素子を挟むように
一対の溝を形成するようにしてもよい。
【0014】この磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、上記
磁気抵抗効果素子の周囲が上記溝により囲まれているの
で、負圧が高くなり、磁気記録媒体がより強くヘッドに
引き寄せられる。また、上述したような本発明に係る磁
気抵抗効果型磁気ヘッドでは、上記一対の溝が磁気記録
媒体の摺動方向に沿って形成されているので、空気流が
効率よく逃げ、空気流による浮力と上記負圧との均衡が
保たれてヘッドと磁気記録媒体との接触状態が良好にな
る。
【0015】また、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッド
においては、上記溝は、例えば、上記一方の端部から磁
気記録媒体の摺動方向前側に向けて斜めに形成された第
1の溝部と、上記他方の端部から磁気記録媒体の摺動方
向前側に向けて斜めに形成された第2の溝部とを有し、
上記第1の溝部と第2の溝部とが、上記磁気抵抗効果素
子よりも磁気記録媒体の摺動方向前側において繋がるよ
うに形成するようにしてもよい。
【0016】この磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、第1
の溝部と、第2の溝部とが、斜めに形成されるとともに
上記磁気抵抗効果素子よりも磁気記録媒体の摺動方向前
側において繋がるように形成されているので、上記溝に
沿って空気流が効率よく逃げ、空気流による浮力と、空
気流により上記第1の溝及び第2の溝部分に生じる負圧
との均衡が保たれてヘッドと磁気記録媒体との接触状態
が良好になる。
【0017】また、本発明の磁気抵抗効果型磁気ヘッド
においては、上記溝は、例えば、上記磁気抵抗効果素子
よりも磁気記録媒体の摺動方向後ろ側において上記一方
の端部から磁気記録媒体の摺動方向前側に向けて斜めに
形成された第1の溝部と、上記磁気抵抗効果素子よりも
磁気記録媒体の摺動方向後ろ側において上記他方の端部
から磁気記録媒体の摺動方向前側に向けて斜めに形成さ
れた第2の溝部と、上記磁気抵抗効果素子の周囲を囲む
ように形成された第3の溝部とを有し、上記第1乃至第
3の溝部が、上記磁気抵抗効果素子よりも磁気記録媒体
の摺動方向後ろ側において繋がるように形成するように
してもよい。
【0018】この磁気抵抗効果型磁気ヘッドでは、上記
第3の溝部により上記磁気抵抗効果素子の周囲が囲まれ
ているので、負圧が高くなり、磁気記録媒体がより強く
ヘッドに引き寄せられる。また、上記第1の溝部と上記
第2の溝部とが斜めに形成されているので、空気流が上
記第1の溝部及び上記第2の溝部に沿って効率よく逃
げ、空気流による浮力と上記負圧との均衡が保たれてヘ
ッドと磁気記録媒体との接触状態が良好になる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0020】なお、以下の説明では、磁気抵抗効果を示
す磁性材料を膜にした磁気抵抗効果素子(以下、MR素
子と称する。)を有する磁気抵抗効果型磁気ヘッドを例
に挙げて説明する。しかし、本発明はこれに限定される
ものではなく、スピンバルブ素子等、複数の薄膜を組み
合わせた多層構造をとることによって巨大磁気抵抗効果
を示す巨大磁気抵抗効果素子を有する巨大磁気抵抗効果
型磁気ヘッドについても適用可能である。
【0021】また、以下の説明では、MR素子を絶縁膜
を介して軟磁性体で挟み込んだシールド型の磁気抵抗効
果型磁気ヘッドを例に挙げて説明する。また、以下の説
明では、SAL(Soft Adjacent Layer)バイアス方式
の磁気抵抗効果型磁気ヘッドを例に挙げて説明する。し
かし本発明はこれに限定されるものではなく、シールド
型以外の磁気抵抗効果型磁気ヘッドや、SALバイアス
方式以外の磁気抵抗効果型磁気ヘッドについても適用可
能である。
【0022】また、図面においては、特徴となる部分を
拡大して示している場合があり、実際の寸法と比率が同
じであるとは限らない。
【0023】本発明に係る磁気抵抗効果型磁気ヘッド
(以下、MRヘッドと称する。)の一構成例を図1及び
図2に示す。
【0024】このMRヘッド1は、第1の基板2と、第
1の基板2上に形成された第1の絶縁膜3と、第1の絶
縁膜3上に形成されたMRヘッド素子4と、MRヘッド
素子4上に形成された第2の絶縁膜5と、第2の絶縁膜
5上に形成された軟磁性膜6と、軟磁性膜6上に形成さ
れた第3の絶縁膜7と、第3の絶縁膜7上に接着された
第2の基板8とから構成され、磁気記録媒体との摺動面
1aには第1の溝9aと第2の溝9bとが形成されてい
る。
【0025】第1の基板2は、図1中矢印Aで示される
磁気記録媒体との摺動方向(以下、単に摺動方向と称す
る。)前端側のガード材とMRヘッド1の下層シールド
とを兼ねるものであり、硬質の軟磁性材料が使用され
る。また、第2の基板8は摺動方向後端側のガード材と
なるものであり、耐摩耗性に優れた非磁性材料が使用さ
れる。
【0026】第1の絶縁膜3は、MRヘッド1の下層ギ
ャップとなり、また、第2の絶縁膜5は、MRヘッド1
の上層ギャップとなる。
【0027】軟磁性膜6は、MRヘッド1の上層シール
ドとなるものである。なお、このMRヘッド1では、軟
磁性膜6による膜シールド構造をとっているが、第2の
基板8に硬質の軟磁性材料を用いて、MRヘッド1の上
層シールドとしてもよい。第2の基板8をMRヘッド1
の上層シールドとする場合には、この軟磁性膜6は不要
となる。
【0028】MRヘッド素子4は、第1の絶縁膜3及び
第2の絶縁膜5を介して、第1の基板2及び上記第2の
基板8に挟持されている。
【0029】図3は、MRヘッド1に使用されるMRヘ
ッド素子4の一構成例を示す平面図である。このMRヘ
ッド素子4は、その長手方向が磁気記録媒体との摺動面
1aと略平行になるように配された平面略長方形のMR
素子部10と、上記MR素子部10の長手方向の両端部
に形成された永久磁石膜11a,11bと、上記永久磁
石膜11a,11bから導出された引き出し導体12
a,12bと、上記引き出し導体12a,12bの一端
部に形成された外部端子13a,13bとを備える。
【0030】MR素子部10は、例えば磁気抵抗効果を
有するMR素子と、SALバイアス方式によってバイア
ス磁界を上記MR素子に印加するための軟磁性膜(いわ
ゆるSAL膜)とが積層されてなる。この軟磁性膜は、
MR素子にバイアス磁界を与えて、検出信号の直線性を
高める働きをする。
【0031】上記MR素子としては、公知の軟磁性材料
が使用可能である。具体的には、NiFe、NiFeC
o、パーマロイ合金NiFe−X(XはTa、Cr、N
b、Rh、Zr、Mo、Al、Au、Pd、Pt、Si
等がある。また、Xとしてこれらの元素が複数種類含有
されてもよい。)、CoZr系アモルファス等が挙げら
れる。
【0032】このMRヘッド1は、MR素子部10の長
手方向が磁気記録媒体との摺動面1aに対して略平行と
なるように配された、いわゆる横型のMRヘッドであ
る。
【0033】上記永久磁石膜11a,11bは、MR素
子部10の長手方向の両端部に設けられ、永久磁石膜1
1a,11bからの磁場の影響によりMR素子を単磁区
化し、MR素子内における磁壁の移動によるバルクハウ
ゼンノイズの発生を防止するものである。
【0034】ところで、上記永久磁石膜11a,11b
は導電性を有しているので、このMRヘッド1におい
て、センス電流は引き出し導体12a,12bから永久
磁石膜11a,11bを介してMR素子部10に供給さ
れる。そして、実際に磁気記録媒体からの磁界を検出す
る感磁部となる部分は、永久磁石膜11a,11b間に
設けられたMR素子部10である。したがって、永久磁
石膜11aと永久磁石膜11bとの間隔がトラック幅T
となり、永久磁石膜11a,11bによってトラック幅
Tが規制されることになる。
【0035】引き出し導体12a,12bは、導電性膜
からなり、MR素子部10及び永久磁石膜11a,11
bへセンス電流を供給するための電極である。この引き
出し導体12a,12bは、長手方向が摺動面1aと垂
直な方向(以下、高さ方向と称する。)となるように設
けられた略長方形状をしており、磁気記録媒体との摺動
面1aには露出していない。引き出し導体12a,12
bの長手方向の一端部は上記永久磁石膜11a,11b
と接続しており、この引き出し導体12a,12bを介
して上記永久磁石膜11a,11b及びMR素子部10
にセンス電流が供給される。
【0036】外部端子13a,13bは外部と電気的接
続をとるためのものであり、引き出し導体12a,12
bの長手方向の他端部に形成される。
【0037】このようなMRヘッド1を用いて磁気記録
媒体から記録信号を読み出す際には、引き出し導体12
a,12bの一端部に形成された外部端子13a,13
bから引き出し導体12a,12bを介して第1のMR
素子部10にセンス電流を供給し、摺動面1aに沿って
MR素子部10の長手方向にセンス電流を流す。そして
このセンス電流により、磁気記録媒体からの磁界によっ
て生じるMR素子部10の抵抗変化を検出し、これによ
って磁気記録媒体からの記録信号を再生する。
【0038】このとき、MRヘッド1と磁気記録媒体と
は高速で摺動するため、MRヘッド1の摺動面1aと磁
気記録媒体との間に空気が取り込まれて空気流が発生す
る。この空気流のため、従来のMRヘッドでは、MRヘ
ッドと磁気記録媒体との接触状態が悪くなり、スペーシ
ングロスやMRヘッドの偏摩耗等の問題が生じていた。
【0039】そこで、このMRヘッド1では、図1及び
図2に示すように、摺動面1a上に、第1の溝9aと、
第2の溝9bとを形成している。第1の溝9aは、MR
ヘッド素子4よりも摺動方向前側に配され、摺動方向に
対して交差するように摺動面1aの一方の端部から他方
の端部に亘って形成されている。第2の溝9bは、MR
ヘッド素子4よりも摺動方向後ろ側に配され、摺動方向
に対して交差するように摺動面1aの一方の端部から他
方の端部に亘って形成されている。
【0040】摺動面1a上に溝9a,9bを形成するこ
とにより、MRヘッド1と磁気記録媒体とが高速で摺動
することにより空気流が発生しても、この溝9a,9b
の部分は負圧となるため、磁気記録媒体が摺動面1aに
引き寄せられる。MRヘッド1では、MRヘッド素子4
を挟んで磁気記録媒体の摺動方向前側と摺動方向後ろ側
とに溝9a,9bが形成されているので、負圧が高くな
り磁気記録媒体を強く引き寄せることができる。また、
この溝9a,9bによって空気流を逃がすことができ
る。空気流を逃がすことで、空気流による浮力と、溝9
a,9bによる負圧との均衡を保ち、MRヘッド1と磁
気記録媒体との接触状態を改善することができる。MR
ヘッド1と磁気記録媒体との接触状態が改善されると、
スペーシングロスを抑えるとともに、MRヘッド1の偏
摩耗を少なくすることができる。
【0041】これらの溝9a,9bの幅t1や深さt2
MRヘッド1と磁気記録媒体との相対速度等を考慮して
適切な値に設定されることが好ましい。
【0042】また、MRヘッド1においては、溝を以下
のように形成してもよい。
【0043】図4及び図5に示されるMRヘッド1で
は、摺動面1a上に第1の溝14aと、第2の溝14b
とが形成されている。第1の溝14aは、摺動面1aの
一方の端部から摺動方向前側に向けて斜めに形成されて
いる。第2の溝14bは、摺動面1aの他方の端部から
摺動方向前側に向けて斜めに形成されている。そして第
1の溝14aと第2の溝14bとはMRヘッド素子4よ
りも摺動方向前側において繋がるようになされている。
【0044】このMRヘッド1では、第1の溝14aと
第2の溝14bとの間隔が、摺動方向後ろ側に向かうに
従って次第に大となっているので、空気流をこれらの溝
14a,14bに沿わせて効率よく逃すことができる。
空気流を効率よく逃すことで、空気流による浮力と、空
気流により溝14a,14bの部分に生じる負圧との均
衡を保ち、MRヘッド1と磁気記録媒体との接触状態を
改善することができる。MRヘッド1と磁気記録媒体と
の接触状態が改善されると、スペーシングロスを抑える
とともに、MRヘッド1の偏摩耗を少なくすることがで
きる。
【0045】このように斜めに溝14a,14bを形成
する場合にも、溝14a,14bの幅t3や深さt4は適
切な値に設定されることが好ましい。また、摺動方向に
対する溝14a,14bの角度も適切な値に設定される
ことが好ましい。
【0046】さらにこのMRヘッド1では、図6及び図
7、あるいは図8及び図9に示すように、MRヘッド素
子4の周辺部を溝で囲むようにしてもよい。
【0047】図6及び図7に示すMRヘッド1では、摺
動面1a上に、第1の溝15aと、第2の溝15bと、
第3の溝15cと、第4の溝15dとが形成されてい
る。第1の溝15aは、MRヘッド素子4よりも摺動方
向前側に配され、摺動方向に対して交差するように摺動
面1aの一方の端部から他方の端部に亘って形成されて
いる。第2の溝15bは、MRヘッド素子4よりも摺動
方向後ろ側に配され、摺動方向に対して交差するように
摺動面1aの一方の端部から他方の端部に亘って形成さ
れている。また、第3の溝15c及び第4の溝15dは
摺動方向に沿って形成され、第3の溝15cと第4の溝
15dとによってMRヘッド素子4を挟むように配され
ている。そして、これら第1の溝15a乃至第4の溝1
5dにより、MRヘッド素子4の周囲が囲まれている。
【0048】このMRヘッド1では、MRヘッド素子4
の周囲が上記溝15a,15b,15c,15dにより
囲まれているので、負圧が高くなり、磁気記録媒体をよ
り強くヘッドに引き寄せることができる。また、MRヘ
ッド1では第3の溝15c及び第4の溝15dが磁気記
録媒体の摺動方向に沿って形成されているので、空気流
を効率よく逃がすことができる。空気流を効率よく逃が
すことで、空気流による浮力と溝15a,15b,15
c,15dの部分に生じる負圧との均衡を保ち、MRヘ
ッド1と磁気記録媒体との接触状態を改善することがで
きる。MRヘッド1と磁気記録媒体との接触状態が改善
されると、スペーシングロスを抑えるとともに、MRヘ
ッド1の偏摩耗を少なくすることができる。
【0049】これらの溝15a,15bの幅t5や深さ
6、溝15c,15dの幅t7や深さ、及びこれらの溝
15a,15b,15c,15dにより囲まれた部分の
摺動方向の長さt8や摺動方向に垂直な方向の長さt
9は、MRヘッド1と磁気記録媒体との相対速度等を考
慮して適切な数値に設定されることが好ましい。
【0050】また、図8及び図9に示すMRヘッド1で
は、摺動面1a上に第1の溝16aと、第2の溝16b
と、第3の溝16cとが形成されている。第1の溝16
aは、MRヘッド素子4よりも摺動方向後ろ側に配さ
れ、摺動面1aの一方の端部から摺動方向前側に向けて
斜めに形成されている。第2の溝16bは、MRヘッド
素子4よりも摺動方向後ろ側に配され、摺動面1aの他
方の端部から摺動方向前側に向けて斜めに形成されてい
る。第3の溝16cは、各辺が摺動方向に対して斜めと
なるように配された略菱形状とされ、MRヘッド素子4
の周囲を囲むように形成されている。そして第1の溝1
6a乃至第3の溝16cが、MRヘッド素子4よりも摺
動方向後ろ側において繋がるようになされている。
【0051】このMRヘッド1では、第3の溝16cに
よりMRヘッド素子4の周囲が囲まれているので、負圧
が高くなり、磁気記録媒体をより強くMRヘッド1に引
き寄せることができる。また、MRヘッド1では、第1
の溝16aと第2の溝16bとの間隔が摺動方向後ろ側
に向かうに従って次第に大となっているので、空気流を
これらの溝16a,16bに沿わせて効率よく逃すこと
ができる。空気流を効率よく逃すことで、空気流による
浮力と、溝16a,16b,16c部分に生じる負圧と
の均衡が保たれ、MRヘッド1と磁気記録媒体との接触
状態を改善することができる。MRヘッド1と磁気記録
媒体との接触状態が改善されると、スペーシングロスを
抑えるとともに、MRヘッド1の偏摩耗を少なくするこ
とができる。
【0052】これらの溝16a,16b,16cの深さ
10や幅t11、及び第3の溝16cによって囲まれる領
域の大きさはMRヘッド1と磁気記録媒体との相対速度
等を考慮して適切な値に設定されることが好ましい。ま
た、摺動方向に対する溝16a,16bの角度も適切な
値に設定されることが好ましい。
【0053】以下、上述したような構成を有するMRヘ
ッド1の製造方法について説明する。
【0054】まず、例えば直径が約3インチ、厚みが約
2mmの円盤状の第1の基板2を用意する。この第1の
基板2は摺動方向前端側のガード材とMRヘッド1の下
層シールドとを兼ねるもので、硬質の軟磁性材料が使用
される。硬質の軟磁性材料として具体的には、例えばN
i−Znフェライトや、Mn−Znフェライト等があ
る。ここで、この第1の基板2上には後述するように多
数のMRヘッド素子4が形成されるため、表面粗度を向
上させるために、第1の基板2の表面に対して鏡面処理
を施しておく。
【0055】次に、図10及び図11に示すように、表
面が鏡面状態とされた上記第1の基板2上に、下層ギャ
ップとなる第1の絶縁膜3をスパッタリング等により形
成する。この第1の絶縁膜3の材料としては、絶縁特性
や耐摩耗性等を考慮すると、例えばAl23等が好適で
ある。また、この第1の絶縁膜3の厚みはシステムで扱
う周波数等に応じて決定され、例えば約190nmとす
る。
【0056】次に、図12及び図13に示すように、上
記第1の絶縁膜3上に、MR素子部10となるMR素子
部用薄膜10aを形成する。上述したように、MR素子
部10は、いわゆるSALバイアス方式によってバイア
ス磁界をMR素子に印加するために、MR素子と、MR
素子へバイアス磁界を印加するための軟磁性膜(いわゆ
るSAL膜)とが積層されてなる。具体的には、例えば
Taを5nmと、NiFeNbを43nmと、Taを5
nmと、NiFeを40nmと、Taを1nmとをこの
順にスパッタリング等により成膜してMR素子部用薄膜
10aを形成する。ここでNiFeが磁気抵抗効果をも
つMR素子となり、またNiFeNbがMR膜にバイア
ス磁界を印加する軟磁性膜となる。上記MR素子部10
のバイアス方式、MR素子部10を構成する各膜の材料
や膜厚はこれに限られるものではなく、システム等の要
求に応じて任意に変更可能である。
【0057】次に、図14、図15及び図16に示すよ
うに、MR素子部10となる部分の両端側に永久磁石膜
11a,11bを形成する。この永久磁石膜11a,1
1bにより上記MR素子が磁気的に安定化される。な
お、図15及び図16、並びに後掲する図17乃至図2
8では、1つのMRヘッド素子4に対応する部分、すな
わち図14中の円Bの部分を拡大して示している。
【0058】永久磁石膜11a,11bを形成するに
は、まず、上記MR素子部用薄膜10a上にレジストを
塗布し、フォトリソグラフィ技術により、永久磁石膜1
1a,11bとなる部分のみレジストが除去されたレジ
ストパターンを形成する。具体的には、1つのMRヘッ
ド素子4に対して、長手方向に並べられた2つの略長方
形状の開口部を有するレジストパターンとする。ここ
で、この開口部の間隔によりMRヘッド1のトラック幅
が決定される。具体的にはトラック幅Tを例えば5μm
とする。この開口部の大きさは例えば、長辺t12を50
μm、短辺t13を10μmとする。
【0059】次に、上記レジストパターンをマスクとし
てエッチングを行い、マスクから露出している部分のM
R素子部用薄膜10aを除去する。エッチングはドライ
方式でもウェット方式でも構わないが、加工のしやすさ
等を考慮すると、イオンエッチングが好適である。次
に、上記レジストパターンを残存させたまま、永久磁石
膜11a,11bをスパッタリング等により全面に成膜
する。この永久磁石膜11a,11bの材料としては、
保磁力が1000エルステッド以上ある材料が好まし
い。保磁力が1000エルステッド以上ある材料として
具体的には、例えばCoNiPt、CoCrPt等があ
る。最後に、レジストを当該レジスト上に成膜された永
久磁石膜11a,11bとともに除去することにより、
所定パターンの永久磁石膜11a,11bがMR素子部
用薄膜10a中に埋め込まれた状態となる。
【0060】次に、図17及び図18に示すように、M
R素子部10、及びMR素子部10にセンス電流を供給
する引き出し導体12a,12bを形成する。具体的に
は、まず、上記MR素子部用薄膜10a上にレジストを
塗布し、フォトリソグラフィ技術により、最終的にMR
素子部10となる部分と引き出し導体12a,12bと
なる部分、及び永久磁石膜11a,11bが形成された
部分のみレジストが残存されたレジストパターンを形成
する。具体的には、引き出し導体12a,12bとなる
部分は、例えば短辺t14が80μm、長辺t15が2mm
の略長方形状をしており、長手方向の一端部が上記永久
磁石膜11a,11bに接続している。そして、短辺方
向に、引き出し導体12aの端部から引き出し導体12
bの端部までの長さt16は例えば200μmである。ま
た、永久磁石膜11aと永久磁石膜11bとの間が、M
R素子部10となる部分である。MR素子部10となる
部分は、略長方形状であり、長辺の長さがトラック幅T
となる。具体的には、例えば、トラック幅Tを約5μ
m、短辺t17を約4μmとする。
【0061】次に上記レジストパターンをマスクとして
エッチングを行い、マスクから露出しているMR素子部
用薄膜10aを除去する。エッチングはドライ方式でも
ウェット方式でも構わないが、加工のしやすさ等を考慮
すると、イオンエッチングが好適である。
【0062】次に、引き出し導体12a,12bとなる
部分をより電気抵抗の小さい導電性膜に置き換える。ま
ず、レジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によ
り、引き出し導体12a,12bとなる部分のみレジス
トが除去されたレジストパターンを形成する。次にこの
レジストパターンをマスクとしてエッチングを行い、マ
スクから露出している引き出し導体12a,12bとな
る部分のMR素子部用薄膜10aを除去する。エッチン
グはドライ方式でもウェット方式でも構わないが、加工
のしやすさ等を考慮すると、イオンエッチングが好適で
ある。引き出し導体12a,12bとなる部分のMR素
子部用薄膜10aを除去した後、上記レジストパターン
を残存させたまま導電性膜を成膜する。具体的には、例
えばTiを15nmと、Cuを70nmと、Tiを15
nmとをこの順にスパッタリング等により成膜して導電
性膜を形成する。次に、レジストを当該レジスト上に形
成された導電性膜とともに除去することにより、引き出
し導体12a,12bの部分に導電性膜が形成された状
態となる。
【0063】次に、図19及び図20に示すように、上
層ギャップとなる第2の絶縁膜5をスパッタリング等に
より形成する。この第2の絶縁膜5の材料としては、絶
縁特性や耐摩耗性等を考慮すると、例えばAl23等が
好適である。また、この第2の絶縁膜5の厚みはシステ
ムで扱う周波数等に応じて決定され、例えば約180n
mとする。
【0064】次に、図21及び図22に示すように、上
層シールドとなる軟磁性膜6を形成する。具体的には、
まず、例えばNiFeをスパッタリング等により全面に
成膜してメッキ下地膜を形成する。このメッキ下地膜の
厚さは、例えば10nm程度とする。次に、このメッキ
下地膜上にレジストを塗布し、上層シールドとなる部分
のみレジストが除去されたレジストパターンをフォトリ
ソグラフィ技術により形成する。この軟磁性膜6が形成
される部分は、例えば長辺t18が約250μm、短辺t
19が約100μmの略長方形状とする。次に、NiFe
を磁場中でメッキして例えば厚さ2.5μm程度のNi
Fe膜を形成する。次に、上記レジストを当該レジスト
上に成膜されたNiFe膜とともに除去し、さらに不要
部分のメッキ下地膜をエッチングにより除去することに
より、図21及び図22に示すように、上層シールドと
なる軟磁性膜6が所定の位置に形成された状態となる。
なお、この上層シールドとなる軟磁性膜6の材料として
NiFeの他にも、MR素子に影響を与えないものであ
れば任意の軟磁性材料が使用可能である。また、軟磁性
膜6の形成方法もメッキに限定されず、スパッタリング
や蒸着等によって形成してもよい。
【0065】次に、図23及び図24に示すように、引
き出し導体12a,12bの端部に、外部との電気的接
続をとるための外部端子13a,13bを形成する。
【0066】具体的にはまず、レジストを塗布し、外部
端子13a,13bとなる部分のみレジストが除去され
たレジストパターンをフォトリソグラフィ技術により形
成する。具体的に、外部端子13a,13bが形成され
る部分は、上記引き出し導体12a,12bの長手方向
で、永久磁石膜11a,11bと接続していないほうの
端部である。また、外部端子13a,13bの長さt20
は、引き出し導体12a,12bの端部から例えば約5
0μmとする。上記レジストパターンをマスクとして、
マスクから露出している絶縁膜をエッチングにより除去
する。エッチングはドライ方式でもウェット方式でも構
わないが、加工のしやすさ等を考慮すると、イオンエッ
チングが好適である。次に、例えばCuをスパッタリン
グ等により全面に成膜してメッキ下地膜を形成する。こ
のメッキ下地膜の厚さは、例えば0.1μm程度とす
る。
【0067】次に、上記レジストパターンを残存させた
まま、硫酸銅溶液を用いた電解メッキにより、例えば厚
さ6μm程度のCu膜を形成する。次に、上記レジスト
を当該レジスト上に成膜されたCu膜とともに除去し、
さらに不要部分のメッキ下地膜をエッチングにより除去
することにより、引き出し導体12a,12bの後端部
に外部端子13a,13bが形成された状態となる。
【0068】次に、図25及び図26に示すように、例
えばAl23をスパッタリング等により全面に約4μm
の厚さに成膜して第3の絶縁膜7を形成する。この第3
の絶縁膜7の材料としては、非導電性であれば任意の材
料が使用可能であるが、絶縁特性や耐摩耗性等を考慮す
ると、例えばAl23等が好適である。また第3の絶縁
膜7の形成方法もスパッタリングに限られず、蒸着等に
より形成してもよい。
【0069】次に、図27及び図28に示すように、外
部端子13a,13bの表面が現れるまで、全面を被覆
した第3の絶縁膜7を研磨する。研磨は、粒径が約2μ
mのダイヤモンド砥粒により、外部端子13a,13b
の表面が露出するまで大まかに研磨した後、シリコン砥
粒によりバフ研磨を施して、外部端子13a,13bの
表面及び第3の絶縁膜7の表面を鏡面状態とする。
【0070】以上の工程で、第1の基板2上にMRヘッ
ド素子4を形成する薄膜工程が終了し、図29に示すよ
うに、第1の基板2上に多数のMRヘッド素子4が形成
された状態となる。
【0071】次に、図30及び図31に示すように、多
数のMRヘッド素子4が形成された第1の基板2をMR
ヘッド素子4毎に切断する。第1の基板2は、例えば長
辺t21が約2mm、短辺t22が約300μm、厚さt23
が約0.8mmのチップ状に切り出される。
【0072】そして、図32に示すように、MRヘッド
素子4毎に切り出された第1の基板2上に、例えば厚さ
24が約0.7mmの第2の基板8を貼り付ける。この
第2の基板8は摺動方向後端側のガード材となる。第2
の基板8の貼り付けには、例えば樹脂等の接着剤が用い
られる。このとき、この第2の基板8の長さt25を第1
の基板2の長さt21よりも短くして、MRヘッド素子4
の外部端子13a,13bを露出させて外部端子13
a,13bへの接続が行われるようにする。また、この
第2の基板8には耐摩耗性に優れた非磁性材料が使用さ
れる。第2の基板8に使用される非磁性材料として具体
的には、アルミナ−チタン−カーバイト等がある。
【0073】なお、このMRヘッド1では、軟磁性膜6
をMRヘッド1の上層シールドとしているが、第2の基
板8に硬質の軟磁性材料を用いて、MRヘッド1の上層
シールドとしてもよい。第2の基板8をMRヘッド1の
上層シールドとする場合には、軟磁性膜6は不要とな
る。
【0074】次に、摺動面1aとなる面に対して研削加
工を施し、円弧状とする。このときMR素子部10の摺
導面1a側の側面が、摺動面1aに露出するようにす
る。
【0075】最後に、摺動面1aに対して、溝入れ加工
を施し、溝9a,9bを形成することにより、図1に示
されるようなMRヘッド1が完成する。これらの溝9
a,9bは例えば砥石により形成することができる。ま
た、パターニングを行い、パウダービームエッチング等
のエッチングにより溝9a,9bを形成することもでき
る。
【0076】このMRヘッド1では、図1及び図2に示
すように、摺動面1a上に第1の溝9aと第2の溝9b
とを形成する。第1の溝9aは、MRヘッド素子4より
も摺動方向前側に配され、摺動方向に対して交差するよ
うに摺動面1aの一方の端部から他方の端部に亘って形
成される。また、第2の溝9bは、MRヘッド素子4よ
りも摺動方向後ろ側に配され、摺動方向に対して交差す
るように摺動面1aの一方の端部から他方の端部に亘っ
て形成される。
【0077】溝9a,9bの深さや幅はMRヘッド1と
磁気記録媒体との相対速度等を考慮して適切な値に設定
されることが好ましい。具体的には、例えば幅t1を1
50μm、深さt2を100μmとする。
【0078】このMRヘッド1を使用する際は、図33
に示すように、MRヘッド1をチップベース17に貼り
付けるとともに、上述したように形成した外部端子13
a,13bと、チップベース17に設けられた端子17
a,17bとを電気的に接続する。そして、MRヘッド
1は、このようにチップベース17に取り付けられた上
で、回転ドラムに取り付けられて使用される。
【0079】なお、このMRヘッド1では、摺動面1a
に形成する溝を、例えば図4及び図5、図6及び図7、
あるいは図8及び図9に示したように形成してもよい。
【0080】MRヘッド1では、図4及び図5に示した
ように、摺動面1a上に第1の溝14aと第2の溝14
bとを形成してもよい。第1の溝14aは、摺動面1a
の一方の端部から摺動方向前側に向けて斜めに形成され
る。第2の溝14bは、摺動面1aの他方の端部から摺
動方向前側に向けて斜めに形成される。そして第1の溝
14aと第2の溝14bとがMRヘッド素子4よりも摺
動方向前側において繋がるように形成される。
【0081】このように摺動方向に斜めに溝14a,1
4bを形成する場合にも、溝14a,14bの深さや幅
は適切な値に設定可能である。具体的には、例えば幅t
3を100μm、深さt4を30μmとする。また、摺動
方向に対する溝14a,14bの角度も適切な値に設定
されることが好ましい。
【0082】また、MRヘッド1では、図6及び図7に
示したように、摺動面1a上に、第1の溝15aと、第
2の溝15bと、第3の溝15cと、第4の溝15dと
を形成してもよい。第1の溝15aは、MRヘッド素子
4よりも摺動方向前側に配され、摺動方向に対して交差
するように摺動面1aの一方の端部から他方の端部に亘
って形成される。第2の溝15bは、MRヘッド素子4
よりも摺動方向後ろ側に配され、摺動方向に対して交差
するように摺動面1aの一方の端部から他方の端部に亘
って形成される。また、第3の溝15c及び第4の溝1
5dは、MRヘッド素子4を挟むように配され、摺動方
向に沿って形成される。そして、これら第1の溝15a
乃至第4の溝15dによって、MRヘッド素子4の周囲
が囲まれるようにする。
【0083】これらの溝15a,15b,15c,15
dの幅や深さ、及び溝15a,15b,15c,15d
により囲まれる領域の大きさは、MRヘッド1と磁気記
録媒体との相対速度等を考慮して適切な数値に設定され
ることが好ましい。具体的には、例えば溝15a,15
bの幅t5を150μm、深さt6を100μmとし、溝
15c,15dの幅t7を30μm、深さを100μm
とする。そして、これらの溝により囲まれる領域の大き
さを、例えば摺動方向の長さt8を100μm、摺動方
向に垂直な方向の長さt9を100μmとする。
【0084】また、MRヘッド1では、図8及び図9に
示したように、摺動面1a上に第1の溝16aと、第2
の溝16bと、第3の溝16cとを形成してもよい。第
1の溝16aは、MRヘッド素子4よりも摺動方向後ろ
側に配され、摺動面1aの一方の端部から摺動方向前側
に向けて斜めに形成される。第2の溝16bは、MRヘ
ッド素子4よりも摺動方向後ろ側に配され、摺動面1a
の他方の端部から摺動方向前側に向けて斜めに形成され
る。第3の溝16cは、各辺が摺動方向に斜めとなるよ
うに配された略菱形状とされ、MRヘッド素子4の周囲
を囲むように形成される。そして第1の溝16a乃至第
3の溝16cが、MRヘッド素子4よりも摺動方向後ろ
側において繋がるようにする。
【0085】これらの溝16a,16b,16cの深さ
や幅、及び第3の溝16cによって囲まれる領域の大き
さはMRヘッド1と磁気記録媒体との相対速度等を考慮
して適切な値に設定されることが好ましい。具体的に
は、例えば溝16a,16b,16cの深さt10を30
μm、幅t11を30μmとする。また、摺動方向に対す
る溝16a,16bの角度も適切な値に設定されること
が好ましい。
【0086】図1及び図2に示すような溝9a,9bが
形成された本発明のMRヘッド1、及び溝が形成されて
いない従来のMRヘッドについての走行試験を行った。
走行試験は、ドラムテスターを用いて行い、MR素子中
に流すセンス電流の大きさを10mAとした。
【0087】MRヘッドと磁気記録媒体との相対速度
と、MRヘッドの出力との関係を調べた結果を図34に
示す。図34からわかるように、摺動面に溝のない従来
のMRヘッドでは、相対速度が大きくなるに従って、ス
ペーシングロスにより出力が大幅に低下しているのに対
し、溝9a,9bを形成した本発明のMRヘッド1で
は、相対速度が大きくなっても、出力の低下は少なく抑
えられている。
【0088】従って、磁気記録媒体とヘッドとの相対速
度が大きくなっても、本発明を適用したMRヘッド1は
安定に動作することができる。
【0089】なお、例えばヘリカルスキャニング方式
等、テープ状の磁気記録媒体と高速で摺動して情報の記
録再生を行うシステムでは、MRヘッドと磁気記録媒体
との間に空気流が発生しやすいため、磁気記録媒体との
接触状態が良好に保たれるMRヘッド1は特に有効であ
る。しかし、本発明を適用したMRヘッド1は、ディス
ク状の磁気記録媒体と摺動して情報の記録再生を行うシ
ステムに用いることも可能である。
【0090】
【発明の効果】本発明に係るMRヘッドでは、摺動面上
に溝を形成することにより、MRヘッドと磁気記録媒体
との摺動により発生する空気流をこの溝によって逃がす
ことができる。空気流を逃がすことで、ヘッドと磁気記
録媒体との接触状態を改善し、MRヘッドの摩耗を少な
くするとともに、スペーシングロスを少なくすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るMRヘッドの一構成例を示す平面
図である。
【図2】図1中、X1−X2線における断面図である。
【図3】図1のMRヘッドに用いられているMRヘッド
素子の一構成例を示す平面図である。
【図4】本発明に係るMRヘッドの他の構成例を示す平
面図である。
【図5】図4中、X3−X4線における断面図である。
【図6】本発明に係るMRヘッドの他の構成例を示す平
面図である。
【図7】図6中、X5−X6線における断面図である。
【図8】本発明に係るMRヘッドの他の構成例を示す平
面図である。
【図9】図8中、X7−X8線における断面図である。
【図10】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第1の基板上に第1の絶縁膜を形成した状態を示す
平面図である。
【図11】図5中、X9−X10線における断面図であ
る。
【図12】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第1の絶縁膜上にMR素子部用薄膜を形成した状態
を示す平面図である。
【図13】図12中、X11−X12線における断面図であ
る。
【図14】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、MR素子部用薄膜上にレジストパターンが形成され
た状態を示す平面図である。
【図15】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、永久磁石膜が形成された状態を示す平面図である。
【図16】図15中、X13−X14線における断面図であ
る。
【図17】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、更にMR素子部及び引き出し導体が形成された状態
を示す平面図である。
【図18】図17中、X15−X16線における断面図であ
る。
【図19】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、MRヘッド素子上に第2の絶縁膜が形成された状態
を示す平面図である。
【図20】図19中、X17−X18線における断面図であ
る。
【図21】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第2の絶縁膜上に上部シールド膜が形成された状態
を示す平面図である。
【図22】図21中、X19−X20線における断面図であ
る。
【図23】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、外部端子が形成された状態を示す平面図である。
【図24】図23中、X21−X22線における断面図であ
る。
【図25】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第3の絶縁膜が形成された状態を示す平面図であ
る。
【図26】図25中、X23−X24線における断面図であ
る。
【図27】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第3の絶縁膜を研磨した状態を示す平面図である。
【図28】図27中、X25−X26線における断面図であ
る。
【図29】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第1の基板上に多数のMRヘッド素子が形成された
状態を示す平面図である。
【図30】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、第1の基板がMRヘッド素子毎に切り分けられた状
態を示す平面図である。
【図31】図30中、X27−X28線における断面図であ
る。
【図32】MRヘッド1の製造方法を説明する図であ
り、MRヘッド素子毎に切り分けられた第1の基板上に
第2の基板を貼り付けた状態を示す断面図である。
【図33】MRヘッド1が、チップベース上に貼り付け
られた状態を示す平面図である。
【図34】磁気記録媒体とMRヘッドとの相対速度と、
MRヘッドの出力との関係を示す図である。
【図35】磁気ヘッド装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 MRヘッド、 2 第1の基板、 3 第1の絶縁
膜、 4 MRヘッド素子、 5 第2の絶縁膜、 6
軟磁性膜、 7 第3の絶縁膜、 8 第2の基板、
9a,9b,14a,14b,15a,15b,15
c,15d,16a,16b,16c 溝

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気記録媒体を摺動させて、当該磁気記
    録媒体からの信号を磁気抵抗効果素子によって検出する
    磁気抵抗効果型磁気ヘッドにおいて、 磁気記録媒体の摺動面に、磁気記録媒体の摺動方向に対
    して交差するように、一方の端部から他方の端部に亘っ
    て溝が形成されていることを特徴とする磁気抵抗効果型
    磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 上記溝は、上記磁気抵抗効果素子を挟ん
    で磁気記録媒体の摺動方向前側と摺動方向後ろ側とに形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗
    効果型磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 磁気記録媒体の摺動面には、上記溝の他
    に、磁気記録媒体の摺動方向に沿って、上記磁気抵抗効
    果素子を挟むように一対の溝が形成されていることを特
    徴とする請求項2記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 上記溝は、 上記一方の端部から磁気記録媒体の摺動方向前側に向け
    て斜めに形成された第1の溝部と、 上記他方の端部から磁気記録媒体の摺動方向前側に向け
    て斜めに形成された第2の溝部とを有し、 上記第1の溝部と第2の溝部とが、上記磁気抵抗効果素
    子よりも磁気記録媒体の摺動方向前側において繋がるよ
    うに形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁
    気抵抗効果型磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 上記溝は、 上記磁気抵抗効果素子よりも磁気記録媒体の摺動方向後
    ろ側において、上記一方の端部から磁気記録媒体の摺動
    方向前側に向けて斜めに形成された第1の溝部と、 上記磁気抵抗効果素子よりも磁気記録媒体の摺動方向後
    ろ側において、上記他方の端部から磁気記録媒体の摺動
    方向前側に向けて斜めに形成された第2の溝部と、 上記磁気抵抗効果素子の周囲を囲むように形成された第
    3の溝部とを有し、 上記第1の溝部乃至第3の溝部が、上記磁気抵抗効果素
    子よりも磁気記録媒体の摺動方向後ろ側において繋がる
    ように形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    磁気抵抗効果型磁気ヘッド。
JP34982297A 1997-12-18 1997-12-18 磁気抵抗効果型磁気ヘッド Withdrawn JPH11185221A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6590741B1 (en) 1999-06-14 2003-07-08 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Magnetic head having grooves to enhance contact with magnetic recording media and magnetic recording/reproducing apparatus

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