JPH11181310A - 銀吸着機能を有するポリマーラテックス及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

銀吸着機能を有するポリマーラテックス及びハロゲン化銀写真感光材料

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JPH11181310A
JPH11181310A JP35509997A JP35509997A JPH11181310A JP H11181310 A JPH11181310 A JP H11181310A JP 35509997 A JP35509997 A JP 35509997A JP 35509997 A JP35509997 A JP 35509997A JP H11181310 A JPH11181310 A JP H11181310A
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silver
polymer
polymer latex
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shell
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JP35509997A
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Nobuo Kubo
伸夫 久保
Shinichi Okamura
真一 岡村
Eiichi Ueda
栄一 上田
Ikuo Kurachi
育夫 倉地
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、銀イオンまたは金属銀を吸
着する新規の銀吸着機能を有するポリマーラテックスを
提供することにある。また、他の目的は、前記ポリマー
ラテックスを用いた銀スラッジの発生の起こりにくいハ
ロゲン化銀写真感光材料を提供することである。 【解決手段】 銀吸着性基を有するポリマーがシェルを
形成していることを特徴とするコア/シェル構造の銀吸
着機能を有するポリマーラテックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は銀イオンまたは金属
銀を吸着可能なポリマーラテックスに関し、またこのポ
リマーラテックスを含有しているハロゲン化銀写真感光
材料に関する。特に、現像処理時に銀スラッジによる汚
れが付着しにくいハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料の現像処理に
おいて、現像主薬の酸化防止のために亜硫酸塩が加えら
れており、この塩が、ハロゲン化銀写真感光材料から銀
塩を溶出させる結果、溶出銀が異なった銀塩となって析
出し、処理液の汚染するとか処理中のハロゲン化銀写真
感光材料に付着するという問題(銀スラッジ)を引き起
こすことがある。このような問題を解決する手段として
特公昭64−50047号公報に銀スラッジ防止のため
の銀吸着化合物を含有したクリーニングフィルムを処理
液中に通して処理液中に溶解している銀イオンを吸着さ
せ処理浴中の銀スラッジの発生を極力少なくする方法が
開示されている。この方法では処理液の全ての銀イオン
を捕捉出来ないため、写真フィルムの銀スラッジ汚れを
皆無にすることが出来なかった。近年、ハロゲン化銀写
真感光材料の鮮鋭性の向上とか乾燥付加を低減するとい
う目的で、親水性バインダーの使用量を低減することが
要求されており、現像液の低補充化と相まって、益々銀
スラッジの発生を起こし易くなる傾向にある。このよう
なことから市場では、、処理液への銀イオンあるいは銀
の溶出を防ぐ技術が強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、銀イ
オンまたは金属銀を吸着する新規の銀吸着機能を有する
ポリマーラテックスを提供することにある。また、他の
目的は、前記ポリマーラテックスを用いた銀スラッジの
発生の起こりにくいハロゲン化銀写真感光材料を提供す
ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは銀吸着性基
を有するモノマー、及びそれらのポリマーを鋭意検討し
た結果、ポリマーの構造に特徴をもたせたり、親水性バ
インダーに対する使用量、あるいは親水性ばバインダー
の量によって効果が著しく、更に保存性も向上すること
がわかり、本発明に至った。
【0005】(1)銀吸着性基を含有するポリマーがシ
ェルを形成していることを特徴とするコア/シェル構造
の銀吸着機能を有するポリマーラテックス。
【0006】(2)該ポリマーラテックスが水溶性ポリ
マーの存在下で乳化重合されたものであることを特徴と
する(1)に記載のコア/シェル構造の銀吸着機能を有
するポリマーラテックス。
【0007】(3)前記水溶性ポリマーがゼラチンであ
ることを特徴とする(2)に記載のコア/シェル構造の
銀吸着機能を有するポリマーラテックス。
【0008】(4)前記シェルを形成している銀吸着性
基を有するポリマーの全ポリマーに対する割合が5〜7
0重量%であることを特徴とする(1)乃至(3)のい
ずれか1項に記載のコア/シェル構造の銀吸着機能を有
するポリマーラテックス。
【0009】(5)銀吸着性基を含有するポリマーが水
溶性ポリマーの存在下で乳化重合されたものであること
を特徴とする単一構造の銀吸着機能を有するポリマーラ
テックス。
【0010】(6)前記水溶性ポリマーがゼラチンであ
ることを特徴とする(5)に記載の単一構造の銀吸着機
能を有するポリマーラテックス。
【0011】(7)銀吸着性基を含有するポリマーがシ
ェルを形成しているコア/シェル構造の銀吸着機能を有
するポリマーラテックスを、支持体上に多層設けられて
いる感光層及び非感光層の少なくと1層に含有している
ことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0012】(8)前記コア/シェル構造のポリマーラ
テックスが水溶性ポリマーの存在下で乳化重合したもの
であることを特徴とする(7)に記載のハロゲン化銀写
真感光材料。
【0013】(9)前記コア/シェル構造のシェルを形
成している銀吸着性基を有するポリマーの全ポリマーに
対する割合が5〜70重量%であることを特徴とする
(7)または(8)に記載のハロゲン化銀写真感光材
料。
【0014】(10)銀吸着性基を含有するポリマーが
水溶性ポリマーの存在下で乳化重合された単一構造の銀
吸着機能を有するポリマーラテックスを、支持体上に多
層設けられている感光層及び非感光層の少なくと1層に
含有していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
料。
【0015】(11)前記水溶性ポリマーがゼラチンで
あることを特徴とする(9)または(10)に記載のハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0016】(12)前記該銀吸着機能を有するポリマ
ーラテックスを含有している非感光層に使用されている
ゼラチンバインダーに対する割合が20重量%以上60
重量%以下であることを特徴とする(7)乃至(11)
のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0017】(13)支持体に対して最外の感光層より
も外側に位置する非感光層の少なくとも1層が、前記該
銀吸着機能を有するポリマーラテックスを含有している
ことを特徴とする(7)乃至(12)のいずれか1項に
記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0018】(14)前記該銀吸着機能を有するポリマ
ーラテックスを含有していて、支持体に対して最外の感
光層よりも外側に位置する非感光層のゼラチンバインダ
ーが付き量として1.5g/m2以下であることを特徴
とする(7)乃至(13)のいずれか1項に記載のハロ
ゲン化銀写真感光材料。
【0019】上記の本発明を実施することにより、本発
明の銀吸着機能を有するポリマーラテックスを含有する
ハロゲン化銀写真感光材料は、現像処理液中の銀イオン
あるいは銀スラッジを効率よく吸着し、次の定着処理液
中において、吸着した銀イオンあるいは銀スラッジを吸
着した本発明のハロゲン化銀写真感光材料から溶解溶出
され、銀イオンや銀スラッジはハロゲン化銀写真感光材
料には残らないため、現像処理液中にいくら銀イオンや
銀スラッジが発生していても、本発明のハロゲン化銀写
真感光材料にはそれらの影響を全く受けることはない。
更に定着処理液からの銀回収量も有効に回収され、資源
問題からも好ましい方法である。
【0020】本発明を詳述する。
【0021】まず、本発明の銀吸着機能を有するポリマ
ーラテックスについて説明する。本発明のポリマーラテ
ックスは次のような二つの構造のものである。即ち、一
つは、銀吸着性基を含有するポリマーがシェルを形成し
ているコア/シェル構造の銀吸着機能を有するポリマー
ラテックス、他の一つは、ポリマーラテックスが主に銀
吸着性基を含有するポリマーの銀吸着機能を有する単一
構造のポリマーラテックスである。
【0022】本発明の銀吸着性基を含有するポリマーは
銀吸着性基の複素環を有するモノマーユニットを含有し
たものである。複素環としては、トリアゾール誘導体、
ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミ
ダゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、テトラザ
インデン誘導体、インダゾール誘導体等を挙げることが
出来、他にも銀吸着機能を有する基を有する複素環化合
物ならば本発明に使用でき、例えば、ベンゾチアゾール
誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール、オキ
サゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾ
ール誘導体、トリアゾール誘導体等を挙げることが出
来、これらに限定されるものではない。但し、チオール
基有する複素環を有するモノマーユニットは連鎖移動が
起こり易高分子量のポリマーを得にくいため、本発明に
おいてはほとんど使用できない。
【0023】これらのモノマーユニットの例として、
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】
【0027】
【化4】
【0028】
【化5】
【0029】
【化6】
【0030】等を挙げることが出来るが、これらに限定
されるものではない。
【0031】本発明の銀吸着性基を有するポリマーは1
00モル%このモノマーユニットでホモポリマーを形成
してもよいし、他の共重合可能なモノマーユニットと共
重合してコポリマーを形成してもよい。共重合可能なモ
ノマーユニットとしては、アクリル酸類として:メチル
アクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアク
リレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチル
アクリレート、iso−ブチルアクリレート、sec−
ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、
アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、te
rt−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリ
レート、2−ブロモエチルアクリレート、2−シアノエ
チルアクリレート、2−N,N−ジメチルアミノエチル
アクリレート、2−アセトキシエチルアクリレート、ベ
ンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、
2−クロロシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒド
ロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、5
−ヒドロキシペンチルアクリレート、2,2−ジメチル
−3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メトキシ
エチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレー
ト、2−iso−プロポキシエチルアクリレート、2−
ブトキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエト
キシ)エチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアク
リレート等を挙げることが出来る。
【0032】メタクリレート類としては:メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタク
リレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、s
ec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタク
リレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメ
タクリレート、tert−オクチルメタクリレート、2
−クロロエチルメタクリレート、2−ブロモエチルメタ
クリレート、2−シアノエチルメタクリレート、2−
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ア
セトキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、メトキシベンジルメタクリレート、2−クロロシク
ロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレ
ート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフ
リルメタクリレート、フェニルメタクリレート、5−ヒ
ドロキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−
3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−メトキシ
エチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレ
ート、2−iso−プロポキシエチルメタクリレート、
2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(2−メトキ
シエトキシ)エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート等を挙げることが出来る。
【0033】ビニルエステル類としては:酢酸ビニル、
ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニル−i
so−ブチレート、ビニル−sec−ブチレート、ビニ
ル−tert−ブチレート、ビニルカプロエート、ビニ
ルクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニ
ルフェニルアセテート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビ
ニル等を挙げることが出来る。
【0034】共役ジエン類としては:1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−
1,3−ブタジエン、2−n−プロピル−1,3−ブタ
ジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−
メチル−1,3−ペンタジエン、1−フェニル−1,3
−ブタジエン、1−α−ナフチル−1,3−ブタジエ
ン、1−β−ナフチル−1,3−ブタジエン、2−クロ
ロ−1,3−ブタジエン、1−ブロム−1,3−ブタジ
エン、1−クロロブタジエン、2−フルオロ−1,3−
ブタジエン、1,1,2−トリクロロ−1,3−ブタジ
エン及び2−シアノ−1,3−ブタジエン等を挙げるこ
とが出来る。
【0035】また、アクリルアミド類として:アクリル
アミド、N−エチルアクリルアミド、N−tert−ブ
チルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミ
ド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチ
ルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N,
N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルジアセ
トンアクリルアミド等、またメタクリルアミド類とし
て:メタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、
N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−シクロヘ
キシルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミ
ド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−フェ
ニルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルア
ミド、N,N−ジエチルジアセトンメタクリルアミド等
を挙げることが出来る。
【0036】オレフィン類としては:エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン;ハロゲン化オレフィ
ン類としては:塩化ビニル、塩化ビニリデン等;スチレ
ン類としては:スチレン、メチルスチレン、エチルスチ
レン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、アセ
トキシスチレン、クロルスチレン、ジクロロスチレン、
ブロモスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、ビニル安
息香酸メチル等;ビニルエーテル類としては:メチルビ
ニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニル
エーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエー
テル、メトキシエチルビニルエーテル等;その他とし
て、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メト
キシエチルビニルケトン、N−ビニルビロリドン、アク
リロニトリル、メタクリルニトリル、アクリル酸、メタ
クリル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等を
挙げることが出来る。
【0037】また、本発明では、架橋性モノマーユニッ
トも使用出来る。例えば、ジビニルベンゼン、エチレン
グリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタ
クリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレング
リコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、トリビニルシクロヘキサン、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレー
ト、1,4−ジアクリロイルオキシメチルシクロヘキサ
ン等を挙げることが出来る。
【0038】以上、例挙した共重合可能なモノマーウニ
ットは1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いて共
重合してもよい。これらのモノマーユニットはコア/シ
ェル構造のポリマーラテックスのコア部分を形成するモ
ノマーユニットとしても使用出来る。
【0039】本発明の銀吸着機能を有するポリマーラテ
ックスは、銀吸着性基を含有するポリマーがシェルを形
成しているコア/シェル構造か、銀吸着性基を含有する
ポリマーの単一構造をしているものである。銀吸着機能
から言えば、表面に銀吸着性基を含有するポリマーを高
密度で配置出来るコア/シェル構造のポリマーラテック
スの方が、単一構造のポリマーラテックスよりも効率よ
く吸着機能を発揮することから本発明においては好まし
い。しかしながら、単一構造であっても、銀吸着性基を
より多く含有させることによって効率を挙げることが出
来るので本発明として有用である。
【0040】本発明に有用なコア/シェル構造のポリマ
ーラテックスのシェル部分は銀吸着性基を含有するポリ
マーで形成されるものであるが、コア部分のポリマーに
ついては上記のようなモノマーユニットのポリマー、特
に疎水性のモノマーユニットならほとんどのものを使用
出来る。
【0041】コア/シェル構造を有するポリマーラテッ
クスは、先ず、上記の銀吸着性基を持たないモノマーを
乳化重合することによってコア部分を微粒子の分散物と
して水性媒体中に存在させることが重要である。このコ
アポリマーは粒子径が後述の親水性バインダー中に安定
的に存在し、シェルの形成性に影響を及ぼさない程度で
ある必要がある。このような観点からコア微粒子の平均
粒子径は1.0μm以下、好ましくは0.7μm以下、
特に好ましくは0.5μm以下である。そして下限は
0.00001μmが好ましい。
【0042】本発明のコア/シェル構造を有するポリマ
ーラテックスのシェルの部分について以下に説明する。
本発明のシェル部分は前述の銀吸着性基を含有するポリ
マーである。本発明のこのコア/シェル構造を有するポ
リマーラテックスにおけるコア部分のポリマーとシェル
部分のポリマーの量比は任意に変えることができるが、
コア/シェル重量比で10/90乃至95/5、好まし
くは20/80乃至95/5、特に好ましくは30/7
0乃至90/10である。コア/シェル構造のポリマー
ラテックスの粒子径は、前記コア部分ポリマーの微粒子
と同様に1.0μm以下、好ましくは0.7μm、特に
好ましくは0.5μm以下である。そして下限は0.0
0001μm以上が好ましい。
【0043】乳化重合におけるコア/シェル構造のポリ
マーラテックス形成技術の分野ではよく知られているよ
うに、コアポリマーとシェルポリマーの極性が近く、相
溶化してしまうような組み合わせでは、目的とするコア
/シェル構造を十分に形成し得ない場合もあり得る。よ
り効果的なコア/シェル構造を形成するためには、シェ
ルを構成するポリマーとコアを形成するポリマーが相溶
しにくいものを選択することが好ましい。
【0044】本発明では、銀吸着性基を有するポリマー
がシェル部分を形成しており、シェル部分がかなり特殊
で活性のある、極性が高いポリマーであるため、コア部
分のポリマーを特に不活性な、極性の低い、例えば共役
ジエンポリマーのようなものを必ずしも使用する必要も
ないが、シェルポリマーの成分に応じてコアポリマーに
適したモノマーを選べばよい。
【0045】本発明のシェル部分を構成するポリマー中
の銀吸着性基を含有するモノマーユニットの割合は10
重量%〜100重量%の範囲で用いることが出来、好ま
しくは30重量%〜100重量%の範囲であり、更に4
0重量%〜100重量%が好ましい。本発明のコア/シ
ェル構造を有するポリマーラテックスのシェル部分を乳
化重合によってコア粒子にシェルを形成させる際に、本
発明のモノマーユニットの銀吸着性基は出来上がりのポ
リマーラテックスの表面に偏在する傾向があり、特に乳
化重合する際に、乳化剤として界面活性剤を使用するよ
りも水溶性ポリマーを使用した方がポリマーラテックス
の表面に偏在し易くなり、このような場合には、上記銀
吸着性基を有するモノマーユニットのシェルポリマー中
の割合が少なくても、本発明の効果を出すことが出来
る。勿論、コア/シェル構造を形成させるための、乳化
剤として界面活性剤を使用することが出来、本発明の効
果を十分に発揮することが出来る。
【0046】本発明のもう一つのポリマーラテックスの
構造は銀吸着性基を含有するポリマーが単一構造のラテ
ックス粒子であるが、これは乳化重合する際に、乳化剤
として水溶性ポリマーを使用することによって、コア/
シェル構造を形成させなくとも、同様な作用で銀吸着性
基がラテックス表面に偏在し易く、本発明の効果を十分
引き出すことが出来ることを見出した。この場合、ポリ
マーラテックスに対する銀吸着性基を含有するモノマー
ユニットの割合はコア/シェル構造の場合よりも、若干
大きめが好ましい。30重量%〜100重量%で使用出
来、好ましくは50重量%〜100重量%で、特に、6
0重量%〜100重量%が好ましい。単一構造のラテッ
クスを乳化重合する際に、界面活性剤使用した場合には
偏在化があまり起こらず銀吸着効果は芳しくない。
【0047】本発明のポリマーラテックスを乳化重合す
る際に使用する乳化剤としての水溶性ポリマーは、分子
構造中に水溶性のアニオン性基、カチオン性基、ノニオ
ン性基を有する水溶性合成ポリマーや水溶性天然ポリマ
ーのほとんどのものが使用出来、アニオン性基として
は、カルボン酸またはその塩、スルホン酸またはその
塩、リン酸またはその塩、カチオン性基としては第3級
アミンまたはアンモニウム塩、ノニオン性基としては水
酸基、アミド基、メトキシ基、ピロリドン基等の基が好
ましい。またこれらの2種以上を組み合わせてもよく、
更に疎水性基のものと組み合わせてもよい。本発明のポ
リマーラテックスを乳化重合する際に使用する合成水溶
性ポリマーを下記に例示するがこれらに限定されるもの
ではない。
【0048】
【化7】
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】また、本発明に使用される天然あるいは半
合成的な水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、アルギン
酸またはその塩、デキストラン、グリコーゲン、アラビ
アゴム、アルブミン、寒天、でんぷん誘導体、カルボキ
シメチルセルロースまたはその塩、ヒドロキシセルロー
ス、セルロース硫酸エステル等を挙げることが出来る
が、これらの誘導体も使用出来る。
【0054】本発明の乳化重合において、上記水溶性ポ
リマーとしてはゼラチンが好ましく、ハロゲン化銀写真
感光材料の感光層または非感光層の主なバインダーとし
てゼラチンが使用されており、容易にゼラチンバインダ
ーとの混合がし易い。本発明に使用し得るゼラチンとし
ては、アルカリ処理ゼラチン(石灰処理ゼラチン)、酸
処理ゼラチン、脱イオン化ゼラチン、酵素処理ゼラチ
ン、加水分解ゼラチン等を用いることが出来る。またゼ
ラチン誘導体、例えば、フタル化ゼラチン、エチレンオ
キシド化ゼラチン等も使用し得る。
【0055】本発明において、上記水溶性ポリマーの他
に、コア/シェル構造のポリマーラテックスに用いられ
る界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、両性、ノ
ニオン性が有用である。例えば、ラウリン酸ナトリウ
ム、ドデシル硫酸ナトリウム、1−オクトキシカルボニ
ルメチル−1−オクトキシカルボニルメタンスルホン酸
ナトリウム、ラウリルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
リン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロ
ライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、
N−2−エチルヘキシルピリジニウムクロライド、ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンソルビタンラウリルエステル、ドデシル−ジフェ
ニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、2−テトラデセ
ン−1−スルホン酸ナトリウム、3−ヒドロキシテトラ
デカン−1−スルホン酸ナトリウム等があり、このう
ち、アニオン性あるいはノニオン性の界面活性剤が好ま
しい。
【0056】本発明のポリマーラテックスの乳化重合に
ついて述べる。本発明のコア/シェル構造のポリマーラ
テックスは、コアのラテックスポリマーを乳化重合して
得られる水分散物に対して、シェルを形成するモノマー
を一括投入または滴下しながら更に乳化重合することに
より、容易に得ることが出来る。乳化重合法は好ましく
は少なくとも1種の上記のような乳化剤を用いて水ある
いは水と水に混和し得る有機溶媒(例えばメタノール、
エタノール、アセトン等)の混合溶媒中でモノマーを乳
化させ、ラジカル重合開始剤を用いて一般に30℃〜1
00℃、好ましくは40〜90℃の温度で行われる。水
に混和し得る有機溶媒の量は水に対して体積比で0〜7
0%、好ましくは0から50%である。
【0057】重合反応は、通常重合すべきモノマーに対
し0.05〜5重量%のラジカル重合開始剤と必要に応
じて0.05〜5重量%の乳化剤を用いて行われる。重
合開始剤としては、アゾビス化合物、パーオキサイド、
ハイドロパーオキサイド、レドックス開始剤など、例え
ば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、tert−ブ
チルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イ
ソプロピル−カーボネート、2,4−ジクロロベンジル
パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイ
ド、2,2−アゾビスイソブチレート、2,2−アゾビ
ス(2−アミノジプロパン)ハイドロクロライド、過硫
酸カリウムと亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせなどが
ある。
【0058】乳化重合におけるモノマーの添加は、重合
に伴う発熱を避けることや、より明確なコア/シェル構
造の形成の観点から滴下しながら添加する方が好まし
い。また、上記の開始剤、乳化剤の存在下に乳化重合に
より、コアポリマーラテックス粒子を形成した後、シェ
ルモノマーを重合する際には乳化剤を更に添加してもよ
いし、添加せずに重合を行ってもよい。乳化剤の追加添
加は生成ポリマーラテックスの安定性の観点から必要と
なる場合も多いが、逆に過剰の乳化剤が存在すると目的
以外のシェルポリマーのみからなる粒子が副生してしま
うことがある。従ってコアポリマー形成後に追加添加す
る乳化剤の量はコア粒子に対し、0.001乃至2重量
%程度に抑えるか、もしくは全く添加しない方が好まし
い。有効なコア/シェル構造を有するラテックスを形成
するためには、シェルモノマー添加時におけるコア粒子
の重合は出来るだけ完結していることが好ましく、重合
率は90%以上、好ましくは95%以上、特に好ましく
は実質的に100%である。
【0059】以下に本発明のポリマーラテックスの合成
例を示す。
【0060】(合成例1) 「コア粒子の重合」撹拌装置、温度計、還流冷却管を装
着した1リットルの三口フラスコに、蒸留水360m
l、及び水溶性ポリマーとしてゼラチン4gを加え、窒
素気流下75℃で加熱撹拌した。これに、過硫酸アンモ
ニウムを、後に添加するエチルアクリレートの0.5重
量%を含む水20mlの溶液を添加後、直ちにコアモノ
マーとしてのエチルアクリレート40g及びエチルアク
リレート0.5重量%を含む過硫酸アンモニウムの水2
0ml溶液をそれぞれ定速滴下装置で1時間かけて滴下
した。
【0061】「シェル部分の重合」滴下終了後、2時間
撹拌した後、シェルモノマーとしてエチルアクリレート
を40gとA−1を20gの混合溶液を、及び過硫酸ア
ンモニウムをシェルモノマーの総重量の1重量%を含む
水40mlの溶液を、それぞれ定速滴下装置で1時間か
けて滴下した。滴下終了後さらに3時間加熱撹拌を行い
重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、濾過を
行いコア/シェルポリマーラテックス[PCS−1]を
合成した。その他のコア/シェルポリマーラテックス
[PCS−2〜14]も表1に示す組成で同様に合成し
た。
【0062】
【表1】
【0063】(合成例−2) [コア粒子の重合]合成例−1と同様の装置を用いて、
蒸留水360ml、及び界面活性剤のドデシル硫酸ナト
リウムを5gを加え、窒素気流下75℃で加熱撹拌し
た。これに、過硫酸アンモニウムを後に添加するエチル
アクリレートの0.5重量%を含む水20mlの水溶液
を添加後、直ちにコアモノマーとしてのエチルアクリレ
ート40gを、及びエチルアクリレートの0.5g重量
%を含む過硫酸アンモニウムの水20ml溶液をそれぞ
れ定速滴下装置で1時間かけて滴下した。
【0064】[シェル部分の重合]滴下終了後、2時間
撹拌した後、エチルアクリレートを40gとA−1を2
0gのシェルモノマー混合溶液、及び過硫酸アンモニウ
ムをシェルモノマーの総重量の1重量%を含む水40m
lの溶液を、それぞれ定速滴下装置で1時間かけて滴下
した。滴下終了後更に3時間加熱撹拌を行い重合反応を
完結させた。その後室温まで放冷し、濾過を行いコア/
シェルポリマーラテックス[SCS−1]を合成した。
その他のコア/シェルポリマーラテックス[SCS−2
〜6]も表1に示す組成で同様に合成した。
【0065】(合成例−3)合成例−1と同様な装置を
用いて、蒸留水360ml、及び水溶性ポリマーとして
ゼラチン4gを加え、窒素気流した75℃で加熱撹拌し
た。これに、過硫酸アンモニウムを添加するモノマーの
総重量の1重量%を含む水40mlの溶液を添加後、直
ちにエチルアクリレートを80g及びA−1を20g添
加し、1時間加熱撹拌した。更に過硫酸アンモニウムを
モノマー総量の1重量%を添加し、3時間加熱撹拌を行
い、重合反応を完結させた。その後室温まで放冷し、単
一構造のポリマーラテックス[PLx−1]を合成し
た。ポリマーラテックス[PLx−2〜PLx−5]の
表2に示す組成で同様にして合成した。
【0066】
【表2】
【0067】以下に比較ポリマーラテックスの合成例を
示す。
【0068】(比較ポリマーラテックス:Lx−1の合
成)合成例−3の水溶性ポリマーとしてのゼラチンの代
わりに界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウム5g添加し
た以外は、合成例3と同様に行い、ポリマーラテックス
[Lx−1]を合成した。Lx−2及びLx−3も表3
に示す組成で同様にして合成した。
【0069】(比較ポリマーラテックス:Lx−4の合
成)表3に示す組成で、合成例−2と同様に行った。
【0070】
【表3】
【0071】本発明のポリマーラテックスは、ハロゲン
化銀写真感光材料中の感光層及び非感光層のいずれの少
なくとも一層以上に含有されているものであるが、ハロ
ゲン化銀乳剤層の感光層以外の非感光層に含まれている
のが好ましい。非感光層としては下引層、帯電防止層、
ハレーション防止層、紫外線防止層、中間層あるいは保
護層等があるが、本発明の銀吸着機能を発揮するために
は、出来るだけ支持体から外側の層が好ましく、最も銀
吸着機能を発揮させるためには、特に支持体に対して最
外の感光層よりも外側に位置する非感光層の少なくとも
1層に、銀吸着機能を有するポリマーラテックスを含有
させることが好ましい。更に保護層のごとく最外層の保
護層に含ませることが好ましい。保護層には片面感光層
のハロゲン化銀写真感光材料の場合には帯電防止層等の
保護層もこれに適している。好ましくは保護層に含有さ
れている場合である。
【0072】本発明の銀吸着機能を有するポリマーラテ
ックスの使用量は該ポリマーラテックスを含有している
層のゼラチンバインダーに対して5重量%以上70重量
%以下である。好ましくは20重量%以上60重量%以
下である。
【0073】ハロゲン化銀写真感光材料全体の層の厚さ
を現像処理性を高めるために、出来る限り薄くすること
が要求されており、このような観点から本発明の該銀吸
着機能を有するポリマーラテックスを含有していて、支
持体に対して最外の感光層よりも外側に位置する非感光
層のゼラチンバインダーの付き量を1.5g/m2以下
が好ましい。
【0074】本発明のポリマーラテックスを含有するハ
ロゲン化銀写真感光材料は、従来の方法よりも銀吸着機
能が優れているが、特に本発明のコア/シェル構造のポ
リマーラテックスは、シェル部に銀吸着性基を有してい
るから、支持体に対して最外の感光層よりも外側に位置
する非感光層の少なくとも1層に含有している場合、例
えば最外層の保護層に含有している場合、現像中に溶解
されている銀を効率的にハロゲン化銀写真感光材料中に
トラップして、ハロゲン化銀写真感光材料上の銀の汚れ
を発生させない点で非常に優れている。また、本発明の
コア/シェル構造のポリマーラテックスを水溶性ポリマ
ー存在下で乳化重合したものの場合、銀汚れに対する効
果は上記以上に優れているばかりでなく、ハロゲン化銀
写真感光材料の保存性をも向上させることがわかった。
【0075】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
は、一般的に用いられる構成のものを用いることが出来
る。
【0076】ハロゲン化銀写真感光材料は一般にハロゲ
ン化銀乳剤層を有する。本発明のハロゲン化銀乳剤層に
は各種添加剤として、リサーチ・ディスクロージャー
(RD)−17643号、RD−18716号(197
9年11月)、及びRD−308119号(1989年
12月)中に記載されている各種化合物を添加すること
が出来る。
【0077】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
で用いられる支持体としては、前出のRD−17643
号、RD−18716号(1979年11月)及びRD
−308119号(1989年12月)中に記載されて
いるものが挙げられる。適当な支持体としてはプラステ
ィックフィルムなどで、支持体表面は塗布層の接着性を
よくするために下引層を設けたり、コロナ放電や紫外線
照射などの処理を行ってもよい。
【0078】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
には、他にも必要に応じてアンチハレーション層、中間
層、フィルター層、バッキング層などを設けてもよい。
【0079】本発明に係わるハロゲン化銀写真感光材料
の現像処理は、例えば前出RD−17643号及びRD
−308119号に記載されているような処理液による
処理がなされてよい。
【0080】現像液としては一般に用いられる組成のも
を用いることが出来る。現像中の現像剤としては、ジヒ
ドロキシベンゼン類、3−ピラゾリドン類を単独、もし
くは組み合わせて用いることが出来る。また、本発明で
用いられる現像液には、実質的にジヒドロキシベンゼン
類を含まなくともよい。更に、現像液中には必要に応じ
て、公知の以下のような添加剤を用いることが出来る。
即ち、保恒剤、アルカリ剤、pH緩衝剤、カブリ防止
剤、硬膜剤、増感剤、キレート剤、現像促進剤、界面活
性剤、消泡剤、色調剤、溶解助剤、粘性付与剤などであ
る。現像液のpHは8.5〜12.0に調整されること
が好ましく、更に9.0〜10.9に調整されることが
特に好ましい。
【0081】定着液としては一般に用いられる組成のも
のを用いることが出来る。定着液は一般に定着剤とその
他の成分からなる水溶液であり、pHは通常3.8〜
5.8である。定着剤としては一般に定着剤として知ら
れているものを用いることが出来る。定着液には必要に
応じて硬膜剤、保恒剤、pH緩衝剤、pH調整剤、キレ
ート剤等の化合物を添加することが出来る。
【0082】現像液や定着液、更にその他の処理液(安
定化液など)等の母液及び補充液としては使用液あるい
は濃縮液を直前に希釈したものを供給するのが普通であ
る。母液や補充液のストックは使用液あるいは濃縮液、
粘度の高い半練り状態の粘稠液体の形でも良いし、固体
成分の単位や混合物を使用時に溶解する方法でも良い。
混合物をもちいる場合、互いに反応しにくい成分を隣接
させて層状にパッキングした上で真空包装したものを使
用時に開封して溶解する方式や、錠剤成形する方式を用
いることが出来る。
【0083】現像処理に関しては、現像温度を20〜5
0℃の通常の温度範囲に設定することができる。本発明
の写真感光材料は自動現像機を用いて処理されることが
好ましい。その際に写真感光材料の面積に比例した一定
量の現像液及び定着液を補充しながら処理される。その
現像補充量及び定着補充量は、廃液量を少なくするため
に1m2当たり330ml以下が好ましい。更に好まし
くは1m2当たり現像補充量60〜260mlであり、
定着補充量60〜330mlである。
【0084】本発明は現像時間短縮の要望から自動現像
機を用いて処理するときにフィルム先端が自動現像機に
挿入されてから乾燥ゾーンから出てくるまでの全処理時
間(Dry to Dry)が10〜40秒であること
が好ましい。ここでいう全処理時間とは写真感光材料を
処理するのに必要な全工程時間を含み、具体的には処理
に必要な、例えば現像、定着、漂白、水洗、安定化処
理、乾燥等の工程の時間を全て含んだ時間、つまりDr
y to Dryの時間である。減感、軟調化等で満足
な写真性能が得られる点で、更に好ましくは全処理時間
(Dry toDry)が20〜40秒である。
【0085】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0086】実施例1 下引処理したポリエチレンテレフタレートに8W/(m
2・min)のエネルギーでコロナ放電した後下記構成
の帯電防止液を、下記の付量になる様に30m/min
の速さでロールフィットコーティングパン及びエアーナ
イフを使用して塗布した。
【0087】(導電性層を有する支持体の調製)下引処
理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートに
コロナ放電した後、下記構成の帯電防止液を、下記の付
量になる様に70m/minの速さでロールフィットコ
ーティングパン及びエアーナイフを使用して塗布した。
【0088】 水溶性導電性ポリマー P−1 0.6g/m2 疎水性ポリマー粒子 P−2 0.4g/m2 ポリエチレンオキサイド化合物 Ao−1 0.06g/m2 硬膜剤E−1 0.2g/m2 これを90℃、2分間乾燥し、140℃、90秒間熱処
理した。この導電性層を支持体の片側に塗布したものを
調製した。
【0089】
【化12】
【0090】(ハロゲン化銀乳剤の調製)同時混合法を
用いて塩沃臭化銀(塩化銀62モル%、沃化銀化0.5
モル%他は臭化銀)乳剤を調製した。
【0091】なお、最終到達平均粒径の5%が形成され
てから最終到達平均粒径に至るまでの混合工程時にヘキ
サブロモロジウム酸カリウム塩とヘキサクロロイリジウ
ム酸カリウムを、それぞれ銀1モル当たり8×10-8
ルと8×10-7モル添加した。
【0092】得られた乳剤をフェニルイソシアナートで
処理した変性ゼラチンを用いて通常のフロキュレーショ
ン法で脱塩してからゼラチン中に分散し、防ばい剤とし
て下記の〔A〕、〔B〕及び〔C〕を加え平均粒径0.
30μmの立方体単分散粒子(変動係数10%)からな
る乳剤を得た。
【0093】
【化13】
【0094】この乳剤にクエン酸と塩化ナトリウム及び
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを加えた
後、塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを加えて60℃で化
学熟成し最高感度に達してから、4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを銀1モ
ル当たり1g添加して熟成を停止した後、ハロゲン化銀
1モル当たり臭化カリウム600mg及びSD−1の増
感色素を150mg添加した。
【0095】(乳剤塗布液の調製)この乳剤にハロゲン
化銀1モル当りハイドロキノンを4g、ポリマーラテッ
クスP−3を15g、抑制剤ST−1を150mg、ス
チレン−マレイン酸重合体を2g、1Nの水酸化ナトリ
ウム溶液、S−1を1.5g及び塗布助剤としてサポニ
ンと硬膜剤として2,4−ジクロル−6−ヒドロキシ−
1,3,5−トリアジンのナトリウム塩を添加した。
【0096】(乳剤保護層塗布液の調製)1m2当た
り、ゼラチンを表4に示すような重量を含む水溶液に重
亜硫酸ナトリウムのホルマリン付加物を1mg、1−フ
ェニル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンを
5.5mg、平均粒径3μm及び平均粒径8μmの単分
散シリカをそれぞれ15mgずつ塗布助剤としてS−2
とクエン酸を添加し、更に硬膜剤としてホルマリンを添
加した。又、フッ素系の界面活性剤FA−1を塗布量が
3×10-6モル/m2となるように添加した。更に、表
4に示すように、本発明及び比較のポリマーラテックス
を加えた。
【0097】(バッキング層塗布液の調製)1m2当た
り、ゼラチン2.3gを含む水溶液に、水溶性染料化合
物−1を100mg、同−2を25mg、同−3を10
0mg、ポリマーラテックスP−1を350mg、スチ
レン−マレイン酸重合体を60mg、コロイダルシリカ
を150mg、〔A〕、〔B〕、〔C〕の混合物、塗布
助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、硬膜剤
としてグリオキザール及びE−2を55mg添加し撹拌
した。
【0098】
【化14】
【0099】
【化15】
【0100】(バッキング層保護層塗布液の調製)1m
2当たり、ゼラチン0.7gを含む水溶液に、S−2を
7mg、平均粒径5.5μmの単分散ポリメチルメタク
リレートの分散物、〔A〕、〔B〕、〔C〕の混合物、
スチレン−マレイン酸重合体を添加し撹拌し、更に硬膜
剤としてグリオキザール及び2,4−ジクロル−6−ヒ
ドロキシ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩を添
加した。
【0101】(試料の作製)上記帯電防止層を有するポ
リエチレンテレフタレートフィルム支持体上の片側に1
5W/(m2・min)のエネルギーでコロナ放電した
後、上記帯電防止層を有する側に以上のようにして調製
したバッキング層塗布液及びバッキング層保護層塗布液
を塗布した。またこのバッキング層と反対側の支持体上
の片側に15W/(m2・min)のエネルギーでコロ
ナ放電した後、乳剤層及び乳剤保護層を塗布した。尚乳
剤層は銀量4.0mg/m2、ゼラチン量1.7mg/
2になるように塗布、乾燥した。
【0102】次いで下記の現像液及び定着液を用い製版
用自動現像機GQ・26SR(コニカ製)にて下記条件
で現像処理した。
【0103】〈処理条件〉処理条件は以下の通りであ
る。
【0104】 〔現像液処方〕 (組成A) 純水 150ml エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 2g ジエチレングリコール 50g 亜硫酸カリウム(55%W/V水溶液) 130ml 炭酸カリウム 50g ハイドロキノン 15g 5−メチルベンゾトリアゾール 200mg 水酸化カリウム 使用液のpHを10.5にする量 臭化カリウム 4.5g (組成B) 純水 3ml ジエチレングリコール 50g エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 25mg 酢酸(90%水溶液) 0.3ml 5−ニトロインダゾール 110mg 1−フェニル−3−ピラゾリドン 500mg 現像液の使用時に水500ml中に上記組成A、組成B
の順に溶かし、1lに仕上げて用いた。
【0105】 〔定着液処方〕 (組成A) チオ硫酸アンモニウム(72.5%W/V水溶液) 230ml 亜硫酸ナトリウム 9.5g 酢酸ナトリウム・3水塩 28g 硼酸 6.7g クエン酸ナトリウム・2水塩 2g 酢酸(90%W/W水溶液) 使用液のpHを4.7にする量 (組成B) 純水 17ml 硫酸(50%W/W水溶液) 2.5g 硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%W/W水溶液) 21g 定着液の使用時に水500ml中に上記組成A、組成B
の順に溶かし、1lに仕上げて用いた。
【0106】〔現像処理条件〕 工程 温度 時間 現像 38℃ 12秒 定着 35℃ 10秒 水洗 常温 10秒 乾燥 50℃ 13秒 合計 45秒 各工程時間は次工程までのいわゆるワタリ搬送時間も含
む。
【0107】補充液は現像液及び定着液の組成と同一の
ものを使用し、現像250cc/m2定着400cc/
2の割合で補充しながら試料を30m2処理した。
【0108】評価は下記のように行い、結果を表4に示
す。
【0109】<現像汚れの評価>処理後の銀汚れの有無
を調べるために3.5×12cmのフィルム片を未露光
で処理してフィルム表面の汚れを目視観察した。現像汚
れは5段階評価とし評価した。
【0110】 5:銀汚れ全然ない 4:かすかに銀汚れらしいものが見られる 3:わずかに銀汚れが見られる 2:銀汚れがある 1:銀汚れがかなりある。
【0111】<現像速度の評価>He−Neレーザで1
-6秒間露光した後、上記条件で、現像処理した時、比
較試料101の感度を基準として100とし、それぞれ
の試料をその相対感度として表した。
【0112】<保存性評価>未露光の試料を、湿熱性条
件(温度60℃、80%RH、5日間)で暗室下放置し
た後、<現像速度の評価>と同様に露光し、現像処理を
上記条件で行った。湿熱処理を行わなかった比較試料1
01の感度を100として、それぞれの湿熱処理した試
料をその相対感度として表した。
【0113】以上の評価結果を表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】試料102〜133は表4に示すように乳
剤保護層にポリマーラテックス(固形分重量を表4に示
す)を添加し、該保護層のゼラチン量を変更した以外は
試料101と同様にして作製した。
【0116】(結果)本発明のポリマーラテックスを添
加したハロゲン化銀写真感光材料はほとんど銀汚れがな
く、現像速度をほとんど低下させることがないことは明
らかである。特に、コア/シェル構造の銀吸着機能を有
する本発明のポリマーラテックスは、単一構造のポリマ
ーラテックスよりも銀汚れに関して効率よく改善してい
ることがわかる。
【0117】また、保存試験においても本発明のポリマ
ーラテックスは現像速度の著しい低下を示すことなく上
記全ての性能を満たしている。特に水溶性ポリマー存在
下で合成したポリマーラテックスは、界面活性剤存在下
で合成したものより保存性の観点で好ましいことがわか
る。
【0118】
【発明の効果】ハロゲン化銀写真感光材料が現像処理で
発生する銀スラッジ等によって汚染される欠陥を本発明
の銀吸着機能を有するポリマーをハロゲン化銀写真感光
材料の外側の非感光層に含有させることによって容易に
防止することが出来る。
フロントページの続き (72)発明者 倉地 育夫 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀吸着性基を有するポリマーがシェルを
    形成していることを特徴とするコア/シェル構造の銀吸
    着機能を有するポリマーラテックス。
  2. 【請求項2】 該ポリマーラテックスが水溶性ポリマー
    の存在下で乳化重合されたものであることを特徴とする
    請求項1に記載のコア/シェル構造の銀吸着機能を有す
    るポリマーラテックス。
  3. 【請求項3】 前記水溶性ポリマーがゼラチンであるこ
    とを特徴とする請求項2に記載のコア/シェル構造の銀
    吸着機能を有するポリマーラテックス。
  4. 【請求項4】 前記シェルを形成している銀吸着性基を
    有するポリマーの全ポリマーに対する割合が5〜70重
    量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    1項に記載のコア/シェル構造の銀吸着機能を有するポ
    リマーラテックス。
  5. 【請求項5】 銀吸着性基を含有するポリマーが水溶性
    ポリマーの存在下で乳化重合されたものであることを特
    徴とする単一構造の銀吸着機能を有するポリマーラテッ
    クス。
  6. 【請求項6】 前記水溶性ポリマーがゼラチンであるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の単一構造の銀吸着機能
    を有するポリマーラテックス。
  7. 【請求項7】 銀吸着性基を含有するポリマーがシェル
    を形成しているコア/シェル構造の銀吸着機能を有する
    ポリマーラテックスを、支持体上に多層設けられている
    感光層及び非感光層の少なくと1層に含有していること
    を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  8. 【請求項8】 前記コア/シェル構造のポリマーラテッ
    クスが水溶性ポリマーの存在下で乳化重合したものであ
    ることを特徴とする請求項7に記載のハロゲン化銀写真
    感光材料。
  9. 【請求項9】 前記コア/シェル構造のシェルを形成し
    ている銀吸着性基を有するポリマーの全ポリマーに対す
    る割合が5〜70重量%であることを特徴とする請求項
    7または8に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  10. 【請求項10】 銀吸着性基を含有するポリマーが水溶
    性ポリマーの存在下で乳化重合された単一構造の銀吸着
    機能を有するポリマーラテックスを、支持体上に多層設
    けられている感光層及び非感光層の少なくと1層に含有
    していることを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
  11. 【請求項11】 前記水溶性ポリマーがゼラチンである
    ことを特徴とする請求項9または10に記載のハロゲン
    化銀写真感光材料。
  12. 【請求項12】 前記該銀吸着機能を有するポリマーラ
    テックスを含有している非感光層に使用されているゼラ
    チンバインダーに対する割合が20重量%以上60重量
    %以下であることを特徴とする請求項7乃至11のいず
    れか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
  13. 【請求項13】 支持体に対して最外の感光層よりも外
    側に位置する非感光層の少なくとも1層が、前記該銀吸
    着機能を有するポリマーラテックスを含有していること
    を特徴とする請求項7乃至12のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀写真感光材料。
  14. 【請求項14】 前記該銀吸着機能を有するポリマーラ
    テックスを含有していて、支持体に対して最外の感光層
    よりも外側に位置する非感光層のゼラチンバインダーが
    付き量として1.5g/m2以下であることを特徴とす
    る請求項7乃至13のいずれか1項に記載のハロゲン化
    銀写真感光材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007020734A1 (ja) * 2005-08-12 2007-02-22 Lion Corporation ナノ平滑性とエッチング耐性を有するフォトレジストポリマーならびにレジスト組成物

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