JPH11178554A - カルシウム強化飲料の製造法 - Google Patents

カルシウム強化飲料の製造法

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JPH11178554A
JPH11178554A JP9365589A JP36558997A JPH11178554A JP H11178554 A JPH11178554 A JP H11178554A JP 9365589 A JP9365589 A JP 9365589A JP 36558997 A JP36558997 A JP 36558997A JP H11178554 A JPH11178554 A JP H11178554A
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calcium
calcium carbonate
milk
beverage
enriched
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JP9365589A
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English (en)
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Yoshihiko Honda
芳彦 本多
Akira Ikeda
明 池田
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Mitsubishi Chemical Foods Corp
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Foods Corp
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭酸カルシウムの分散安定性が高いカルシウ
ム強化飲料の製造法。 【解決手段】 有機酸モノグリセリドを添加したショ糖
脂肪酸エステルを乳化剤として用いて単粒子径が0.04μ
m 未満の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カルシウ
ム剤を調製する。このスラリー状炭酸カルシウム剤を牛
乳その他の飲料に添加して炭酸カルシウムの分散安定性
を高めたルシウム強化牛乳を製造する。牛乳には、牛
乳、加工乳、乳飲料、部分脱脂乳、強化牛乳、還元牛乳
等がある。有機酸モノグリセリドとしては、コハク酸モ
ノグリセリドが用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な炭酸カルシ
ウムをカルシウム強化剤として使用し、その分散安定性
を高めたカルシウム強化飲料の製造方法に関する。本発
明でいう飲料には、牛乳、加工乳、乳飲料、部分脱脂
乳、強化牛乳、還元牛乳等の乳または乳飲料あるいは野
菜ジュース、チョコレート飲料等の飲料がある。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会への移行に伴い、骨粗
鬆症が大きな社会問題となっている。これは、日本人の
1日当たりのカルシウム摂取量が平均 550mgと低く、必
要量の600mgを下回っていることに起因する。そこで、
このようなカルシウム不足を補うために、カルシウムを
強化した多種類の飲食品が市販されている。特に、牛乳
には、比較的多量のカルシウムが含まれており、また、
カルシウム以外の多くの栄養素も含まれているので、こ
れらの栄養素を効果的に摂取することができる飲料とし
て重用されている。しかし、日本人の一日当たりの牛乳
摂取量は少なく、牛乳の摂取だけでは必要量のカルシウ
ムの補給は困難である。そこで、必要量のカルシウムを
強化した牛乳の開発がなされるに至っている。
【0003】このカルシウム強化牛乳の製造方法として
は、牛乳を加熱殺菌した後、可溶性カルシウム塩を牛乳
に添加する方法、あるいは、不溶性で、かつ乳蛋白質と
反応しない性質を有するリン酸カルシウムや炭酸カルシ
ウム等のカルシウム塩を牛乳に添加し、その後、加熱殺
菌する方法等が知られている。なお、可溶性カルシウム
塩を牛乳に添加する方法では、牛乳に添加するカルシウ
ム塩が少量であっても牛乳の風味に及ぼす影響は大きい
ので、カルシウム塩の添加量には限界があり、また、牛
乳とカルシウム塩を各々加熱殺菌した後にこれらを混合
するという工程が必要で、カルシウム強化牛乳の製造に
時間がかかるという問題もある。
【0004】一方、不溶性カルシウム塩を牛乳に添加す
る方法では、牛乳の風味に及ぼす影響は無いが、カルシ
ウム塩が直ぐに沈澱してしまうという問題がある。した
がって、不溶性のカルシウム塩を添加して牛乳にカルシ
ウムを強化する場合、カルシウム塩の沈澱防止を図らな
ければならない。そして、不溶性カルシウム塩の沈澱を
防止する方法として、以下のような提案がなされてい
る。
【0005】(1) 炭酸カルシウムやリン酸カルシウムを
添加した牛乳に、安定剤として、カラギーナン及びグア
ガムを添加する方法(特開昭 62-248450号公報)、(2)
油脂と水とからなる乳化物において、油脂球に不溶性の
カルシウム塩の微粒子を付着あるいは包埋させ、これら
の粒子の比重を液相の比重とほぼ同じにする方法(特開
昭 57-110167号公報)、(3) 結晶セルロースを牛乳に添
加して液相に構成させた微細な網目構造により、不溶性
のカルシウム塩の微粒子を支持して沈降を防止する方法
(特開昭57-33540号公報)、(4) スラリー状炭酸カルシ
ウムと親水性乳化剤を含む水溶液とを混合し、脱水処理
した後、真空乾燥して、スラリー状炭酸カルシウムの凝
集を防止する方法(特開昭 63-173556号公報)、(5) ス
ラリー状炭酸カルシウムと親水性乳化剤を含む水溶液と
の混合液を超音波で微細化処理する方法(特開昭64-695
13号公報)等である。また、通常のカルシウム塩では、
溶液中での沈澱を防止する程度まで微細化するのが困難
であるとして、チーズ製造時に副産物として生成するホ
エーから、微細で沈澱しないリン酸カルシウムやクエン
酸カルシウムを回収し、これらのカルシウム塩を利用し
てカルシウム強化牛乳を製造する方法も提案されている
(特開昭 60-248152号公報)。
【0006】これらのカルシウム塩は、網目構造をなし
ているので、溶液中で殆ど沈降することはなく、極めて
安定な状態を保ち、かつ塩を形成しているので、蛋白質
と反応して沈降することもない。しかし、カルシウム塩
の網状物そのものが二次的に結合して重合状態となり、
結果的に沈澱することがあるので、この現象を防止する
ために油脂と混合しておく必要がある。
【0007】その他、水酸化カルシウムと麦芽糖又は乳
糖との複合体を添加する方法(特開平1- 95727号公
報)、炭酸カルシウムを酸で溶解した後、アルカリ処理
して得られる微細な炭酸カルシウムを利用する方法(特
開平5- 76279号公報)等が提案されている。さらに、牛
乳をカルシウム型強酸性カチオン交換体と接触させて牛
乳中にカルシウムイオンを溶離させることにより、カル
シウムが安定な状態で存在するカルシウム強化牛乳を製
造する方法が提案されている(特開昭 61-257140号公
報)。
【0008】このように、カルシウム強化牛乳を製造す
る方法については、種々提案がなされている。しかし、
可溶性カルシウム塩を使用してカルシウム強化牛乳を製
造した場合には、風味の点で問題がある。また、不溶性
カルシウム塩を使用してカルシウム強化牛乳を製造した
場合には、カルシウム塩が短時間で沈澱するという問題
があり、この問題を解決するために安定剤等を添加する
と、カルシウム強化牛乳の清涼感が無くなるという問題
もある。また、野菜ジュース等のジュース類、チョコレ
ート飲料等においても同様の問題が存在する。しかしこ
の問題は、カルシウム強化牛乳において主に生じる問題
であるので、以下、カルシウム強化牛乳を中心にして説
明する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、カルシウム強化
用の食品素材として、ショ糖脂肪酸エステルを乳化剤と
して添加することにより、炭酸カルシウムの二次凝集を
抑制したスラリー状炭酸カルシウム剤が製造されてい
る。そして、このスラリー状炭酸カルシウム剤を利用し
たカルシウム強化牛乳が製造されている。このカルシウ
ム強化牛乳は、添加したカルシウム塩の影響を受けてお
らず、牛乳本来の風味を保持しているという特徴を有し
ており、また、カルシウム塩の沈澱も一定期間抑制され
るという利点を有している。
【0010】しかし、さらに、カルシウム塩の沈澱を長
期間抑制するためには、牛乳に添加するスラリー状炭酸
カルシウム剤に含まれる炭酸カルシウムの単粒子径を平
均径で0.04μm 未満と微細にする必要がある。ところ
が、このような単粒子径を平均径で0.04μm 未満とした
炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カルシウム剤を製
造する場合、炭酸カルシウムの二次凝集を抑制する目的
で通常のショ糖脂肪酸エステルを使用すると、粘度が上
昇し、見かけ上、炭酸カルシウムの粒子も凝集した状態
となるという問題があった。
【0011】なお、炭酸カルシウムは、石灰石を焼成炉
で焼成して生石灰と炭酸ガスに分解した後、生石灰に水
を加えて石灰乳とし、さらに、焼成時に発生した炭酸ガ
スを吹き込むという方法で製造されており、高純度で、
粒子が細かく、色が白いという特徴を有している。そし
て、炭酸カルシウムを製造する際の反応条件により、種
々の粒子径や形態を有する炭酸カルシウムを得ることが
できる。この炭酸カルシウムの比重は 2.6と高く、ま
た、凝集し易いという性質を有している。したがって、
カルシウム強化牛乳に添加するカルシウム塩として炭酸
カルシウムを使用するに際しては、炭酸カルシウムの凝
集を防止すると共に、微細な状態に炭酸カルシウムを保
持しなければならない。
【0012】一般に、液体中に存在する固体粒子の沈降
速度は、ストークスの法則により支配されている。そこ
で、液体中に存在する固体粒子の沈澱を長期間にわたっ
て防止するためには、固体粒子をより微細な状態にしな
ければならない。しかし、固体粒子は微細化する程、フ
ァンデルワールスの力により粒子間に働く結合力が強く
なり、より凝集しようとする性質を示す。したがって、
カルシウム強化牛乳に添加するカルシウム塩として、単
粒子径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含む
スラリー状炭酸カルシウム剤を使用し、沈澱を抑制しよ
うとする場合、そのカルシウム剤の調製が非常に難しい
といえる。
【0013】本発明は、このような炭酸カルシウム微細
粒子の分散安定性が良好なカルシウム強化飲料、特にカ
ルシウム強化乳あるいは乳飲料の製造方法を提供するこ
とを目的とする。さらに、具体的には、本発明は単粒子
径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラ
リー状炭酸カルシウム剤を使用してカルシウム強化飲料
を製造する際の飲料中の炭酸カルシウムの分散安定性を
高めるカルシウム強化飲料、特にカルシウム強化乳ある
いは乳飲料の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】さらに、本発明は、前記のような目的で単
粒子径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含む
スラリー状炭酸カルシウム剤にショ糖脂肪酸エステルを
加えて炭酸カルシウムの二次凝集を防止した場合に生ず
る、粘度が上昇し、見かけ上炭酸カルシウムの粒子の凝
集した状態となることを防止して、炭酸カルシウムの分
散安定性の良いカルシウム強化飲料、特にカルシウム強
化乳あるいは乳飲料を製造する方法を提供することを目
的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カルシウ
ム強化牛乳を製造する際に使用する単粒子径が平均径で
0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カ
ルシウム剤に発生する粘度の上昇という問題を解決する
べく鋭意研究を進めていたところ、スラリー状炭酸カル
シウム剤を調製する際に有機酸モノグリセリドを添加し
たショ糖脂肪酸エステルを乳化剤として使用することに
より、問題となるような粘度の上昇がなくなるというこ
とを見出した。さらに、牛乳ばかりではなく、その他の
乳飲料あるいは野菜ジュース、チョコレート飲料等の飲
料においても同様のことが見出された。
【0016】そして、この有機酸モノグリセリドを添加
したショ糖脂肪酸エステルを乳化剤として使用して調製
した単粒子径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウム
を含むスラリー状炭酸カルシウム剤を使用してカルシウ
ム強化牛乳その他の飲料を製造することにより、炭酸カ
ルシウムの分散安定性が良好で、かつ炭酸カルシウムの
沈澱もほとんどなくなるということを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0017】すなわち、本発明は、単粒子径が平均径で
0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カ
ルシウム剤を使用してカルシウム強化飲料を製造するに
際し、有機酸モノグリセリドを添加したショ糖脂肪酸エ
ステルを乳化剤として使用して調製した単粒子径が平均
径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭
酸カルシウム剤を使用することを特徴とする炭酸カルシ
ウムの分散安定性を高めたカルシウム強化飲料の製造法
に関する。本発明におけるカルシウム強化飲料として
は、カルシウム強化乳あるいは乳飲料が好ましい。そし
て、前記スラリー状炭酸カルシウム剤を製造するとき、
あるいは飲料原料とスラリー状炭酸カルシウム剤とを混
合するときホモミキサー及び/又は高圧ホモゲナイザー
を用いて分散せしめることが望ましい。
【0018】この有機酸モノグリセリドを添加したショ
糖脂肪酸エステルは、乳化剤として通常使用されている
ショ糖脂肪酸エステルに、アニオン性界面活性剤である
有機酸モノグリセリドを添加したものである。なお、こ
こでいう有機酸モノグリセリドとは、グリセリンと有機
酸とのエステル及びその誘導体であり、有機酸として
は、クエン酸、コハク酸及び酒石酸等が使用される。そ
して、これらの有機酸モノグリセリドの中から1種類も
しくは2種類以上を選択し、好ましくは、有機酸モノグ
リセリドの濃度がショ糖脂肪酸エステルに対し5〜50
%、好ましくは15〜40%となるようショ糖脂肪酸エステ
ルに添加して使用する。
【0019】通常、微細な炭酸カルシウムは、モノエス
テルを多く含むショ糖脂肪酸エステルを添加することに
より、安定的に分散する。ここで、添加するショ糖脂肪
酸エステルが二重層になるのに必要な濃度は、炭酸カル
シウムの大きさ、すなわち比面積の大きさにより決定さ
れる。すなわち、添加するショ糖脂肪酸エステルが必要
濃度より少ない場合には、炭酸カルシウムの表面がショ
糖脂肪酸エステルの単分子層で覆われ、あるいはその一
部が単分子層のままとなる。このため炭酸カルシウムの
表面は疎水性となり凝集する。一方、添加するショ糖脂
肪酸エステルが必要濃度より多い場合には、ショ糖脂肪
酸エステルが二重層の状態で炭酸カルシウムに吸着して
親水性となり分散状態となる。
【0020】本発明者らは、先に、単粒子径が平均径で
0.04μm の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カルシ
ウム剤 (炭酸カルシウム含量: 9.1%) に、HLB10以
上のショ糖脂肪酸エステルを乳化剤として 1.5重量%添
加した後、超音波処理することで、炭酸カルシウムの分
散性が良好なスラリー状炭酸カルシウム剤が得られるこ
とを見出した (特開平1- 69513号公報) 。
【0021】ところが、カルシウム強化牛乳に添加する
カルシウム塩として、単粒子径が平均径で0.04μm 未満
の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カルシウム剤を
使用する場合、このスラリー状炭酸カルシウム剤にショ
糖脂肪酸エステルを乳化剤として 1.5重量%添加した
後、遠心粉砕機、ボールミル、コロイドミル、流体粉砕
機、高圧型均質機、超音波分散機等の装置で微細化の処
理を施しても、一部に疎水性部分が生じて炭酸カルシウ
ムが凝集するという現象が認められた。この凝集を防止
する為には、乳化剤として添加するショ糖脂肪酸エステ
ルの濃度を高めれば良いが、ショ糖脂肪酸エステルの濃
度を高めると、短時間で粘度が上昇するという問題が発
生する。そして、ショ糖脂肪酸エステルの濃度が 2.5重
量%以上になるとゲル化するという問題も発生する。
【0022】そこで、本発明では、カルシウム強化牛乳
を製造するに際して、有機酸モノグリセリドを添加した
ショ糖脂肪酸エステルを乳化剤として使用して調製した
単粒子径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含
むスラリー状炭酸カルシウム剤を調製することにより、
その粘度が上昇せず、かつ、これを使用することによ
り、炭酸カルシウムの分散安定性を高めたカルシウム強
化牛乳を提供することができた。また、この方法は、カ
ルシウム強化牛乳ばかりではなく、カルシウム強化乳飲
料その他のカルシウム強化飲料製造時における炭酸カル
シウムの分散安定性を高めることにも用いることができ
た。
【0023】次に、乳化剤として有機酸モノグリセリド
を添加したショ糖脂肪酸エステルを使用することの効果
を確認した試験の結果を示す。
【試験例1】乳化剤として、6重量%濃度に溶解したシ
ョ糖ステアリン酸エステル (HLB16) 又はコハク酸モ
ノグリセリドを添加したショ糖ステアリン酸エステル
を、単粒子径が平均径で0.03μm の炭酸カルシウムを含
むスラリー状炭酸カルシウム剤(凝集状態において0.01
μm 〜0.08μm 、単粒子径はほぼ0.03μm にそろってい
る)に最終濃度が 1.5重量%となるよう添加した後、T
Kホモミキサーを使用して15分間撹拌し、さらに高圧ホ
モゲナイザーを使用して圧力 50MPaで微細化処理を施し
た。そして、これらのスラリー状炭酸カルシウム剤を10
重量%濃度の還元脱脂乳にそれぞれ添加し、TKホモミ
キサーを使用して15分間撹拌した後、 40gずつ遠沈管に
入れて 1,000〜4,000rpmで遠心分離を行った。そして、
上清中のカルシウム濃度を測定するという方法で、炭酸
カルシウムの沈澱度合いを判断した。その結果を図1に
示す。なお、対照として平均粒子径が0.42μm の炭酸カ
ルシウムを含むスラリー状炭酸カルシウム剤を用いて、
炭酸カルシウムの沈澱度合いを判断した。この結果をも
図1に示した。これによると、炭酸カルシウムの粒子径
を微細とし、乳化剤としてコハク酸モノグリセリドを添
加したショ糖ステアリン酸エステルを使用すると、ショ
糖ステアリン酸エステルを使用した場合と同様に、炭酸
カルシウムの沈澱を抑制できることが判った。
【0024】
【試験例2】試験例1と同様にして微細化処理を施した
単粒子径が平均径で0.03μm の炭酸カルシウムを含むス
ラリー状炭酸カルシウム剤を冷蔵庫に保存し、経時的な
粘度の変化を観察した。その結果を図2に示す。これに
よると、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステルを使用した
場合、急激に粘度が上昇したのに対し、コハク酸モノグ
リセリドを添加したショ糖脂肪酸エステルを使用した場
合、粘度は殆ど上昇しなかった。これらの試験例から、
単粒子径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含
むスラリー状炭酸カルシウム剤を調製する際に、乳化剤
として有機酸モノグリセリドを添加したショ糖脂肪酸エ
ステルを使用することで、炭酸カルシウムの沈澱を抑制
することができると共に、粘度の上昇も抑制できること
が判る。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明では、単粒子径が平均径で
0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラリー状炭酸カ
ルシウム剤に有機酸モノグリセリドを添加したショ糖脂
肪酸エステルを乳化剤として添加した後、コロイドミ
ル、ボールミル、遠心粉砕機、流体粉砕機、高圧型均質
機、超音波分散機等の装置で微細化処理を施したスラリ
ー状炭酸カルシウム剤を使用してカルシウム強化飲料を
製造する。本発明における、スラリー状炭酸カルシウム
剤は通常の方法で製造される。すなわち、石灰岩を焼成
して生石灰とし、精製後、加水して石灰乳を調製する。
そして、これに炭酸ガスを吹き込み、微細な炭酸カルシ
ウムを得る。この炭酸カルシウムの大きさは、炭酸ガス
の吹き込み量による。このようにすると、炭酸カルシウ
ム粒子は凝集しているので、粒度分布計で測定すると、
0.02〜0.7 μm 位となる。これを単粒子径について電子
顕微鏡でみてみると、大きな巾はなく、ほぼそろってい
る。
【0026】本発明における、カルシウム強化牛乳を製
造する方法としては、例えば、溶解したバターに微細化
処理を施したスラリー状炭酸カルシウム剤を必要量添加
し撹拌した後、濃度を調整した還元脱脂乳を添加する方
法、あるいは、全ての調合したものに添加する方法等に
よれば良い。この場合、微細化処理を施したスラリー状
炭酸カルシウム剤を添加し、ホモミキサーや高圧ホモゲ
ナイザーを用いてカルシウム剤の原料中への均質分散を
はかるとよい。このようにして、炭酸カルシウムの分散
安定性の良いカルシウム強化牛乳を製造することができ
る。また、その他の飲料の製造においても微細化処理を
施して得られたスラリー状炭酸カルシウム剤を添加し、
ホモミキサーや高圧ホモゲナイザーを用いてカルシウム
剤の原料中への均質分散をはかると良い。微細化処理を
施したスラリー状炭酸カルシウム剤は、pH5.5 以上で原
料に添加される。原料のpHが5.5 未満ではカルシウムの
沈殿が生じ望ましくない。
【0027】
【参考例1】単粒子径が平均径で0.03μm の炭酸カルシ
ウムを含む12重量%のスラリー状炭酸カルシウム剤に、
予め6重量%濃度に溶解したコハク酸モノグリセリドを
添加したショ糖ステアリン酸エステルを最終濃度で 1.5
重量% (1.05重量%ショ糖ステアリン酸エステル(HLB1
6)、0.45重量%コハク酸モノグリセリド)となるよう添
加し、TKホモミキサーを使用して15分間撹拌した後、
さらに高圧ホモゲナイザーを使用して圧力 50MPaで微細
化処理を施し、スラリー状炭酸カルシウム剤を調製し
た。
【0028】
【実施例1】加熱溶解した無塩バター316gに参考例1で
得られたスラリー状炭酸カルシウム剤550gを添加し、T
Kホモミキサーを使用して10分間撹拌した後、12重量%
濃度の還元脱脂乳18kgを添加し、TKホモミキサーを使
用して20分間撹拌した。そして、高圧ホモゲナイザーを
使用して圧力 10MPaで均質化処理を施し、大きい粒子径
の炭酸カルシウムをクラリファイヤーで除去した後、さ
らに高圧ホモゲナイザーを使用して圧力 14MPaで均質化
処理を施し、殺菌してカルシウム強化牛乳を製造した。
このようにして得られたカルシウム強化牛乳は、約220m
g/100ml のカルシウムを含有していた。このカルシウム
強化牛乳は、2℃で15日間保存しても粘度が上昇するこ
となく、分散安定性が良好であった。
【0029】
【実施例2】6重量%濃度のショ糖脂肪酸エステル(コ
ハク酸モノグリセリド混合、三菱化成フーズ製)を12重
量%濃度のスラリー状の炭酸カルシウムに添加し、高圧
ホモゲナイザーを用い、50MPa の圧力で微細化してカル
シウム剤を調製した。このカルシウム剤 100g を人参ジ
ュース (固形分15%) 30kgに添加し、実施例1と同様に
して均質化処理を施し、殺菌(120℃、2秒) し、カルシ
ウム強化野菜ジュースを製造した。この場合、クラリフ
ァイヤー処理後でのジュース中に保持された炭酸カルシ
ウムの割合は添加したカルシウム量に対して97%であ
り、また、5℃で1週間保存後の容器中間部での残存率
は保存開始時のカルシウム量に対して98%であった。
【0030】
【実施例3】6重量%濃度のショ糖脂肪酸エステル(コ
ハク酸モノグリセリド混合、三菱化成フーズ製)を12重
量%濃度のスラリー状の炭酸カルシウムに添加し、高圧
ホモゲナイザーを用い、50MPa の圧力で微細化してカル
シウム剤を調製した。このカルシウム剤 100g をチョコ
レートの溶液 (固形分10%) 30kgに添加し、実施例1と
同様にして均質化処理を施し、殺菌(120℃、2秒) し、
カルシウム強化チョコレート飲料を製造した。この場
合、クラリファイヤー処理後でのチョコレート飲料中に
保持された炭酸カルシウムの割合は添加したカルシウム
量に対して95%であり、また、10℃で1週間保存後の容
器中間部での残存率は保存開始時のカルシウム量に対し
て95%であった。
【0031】
【発明の効果】本発明では、カルシウム強化牛乳その他
の飲料を製造するに際し、有機酸モノグリセリドを添加
したショ糖脂肪酸エステルを乳化剤として使用して調製
した単粒子径が平均径で0.04μm 未満の微細な炭酸カル
シウムを含むスラリー状炭酸カルシウムをカルシウム塩
として使用することにより、牛乳中で炭酸カルシウムを
安定的に分散することができる。しかも、このスラリー
状炭酸カルシウムを牛乳に添加することによる物性や風
味等に対する影響も殆ど無いカルシウム強化牛乳を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1におけるスラリー状炭酸カルシウム剤
を添加した還元脱脂乳の上清中に含まれるカルシウム量
の低下量を示す。
【図2】試験例2におけるスラリー状炭酸カルシウム剤
の経時的な粘度変化を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機酸モノグリセリドを添加したショ糖
    脂肪酸エステルを乳化剤として使用して調製した単粒子
    径が平均径で0.04μm 未満の炭酸カルシウムを含むスラ
    リー状炭酸カルシウム剤を使用することを特徴とする炭
    酸カルシウムの分散安定性を高めたカルシウム強化飲料
    の製造法。
  2. 【請求項2】 飲料が乳または乳飲料である請求項1記
    載の炭酸カルシウムの分散安定性を高めたカルシウム強
    化飲料の製造法。
  3. 【請求項3】 高圧ホモゲナイザーを用いて炭酸カルシ
    ウムを含むスラリー状炭酸カルシウム剤とする請求項1
    または2記載の炭酸カルシウムの分散性を高めたカルシ
    ウム強化飲料の製造法。
  4. 【請求項4】 飲料原料とスラリー状炭酸カルシウム剤
    とをpH5.5 以上でホモミキサー及び高圧ホモゲナイザー
    を用いて微細化処理する請求項1〜3のいずれかに記載
    の炭酸カルシウムの分散性を高めたカルシウム強化飲料
    の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007282506A (ja) * 2006-04-12 2007-11-01 Kojo:Kk カルシウム補給飲料及びその製造方法
JP5619318B1 (ja) * 2014-07-02 2014-11-05 白石工業株式会社 炭酸カルシウム水性懸濁液及び炭酸カルシウム乾燥組成物
WO2015141346A1 (ja) * 2014-03-17 2015-09-24 白石工業株式会社 炭酸カルシウム水性懸濁液、炭酸カルシウム乾燥組成物及びカルシウム強化食品

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