JP4302916B2 - 乳性酸性飲料及び製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、γ−PGA及びカルシウムを含む、乳蛋白質成分の凝集及び沈殿が抑制された、カルシウム等のミネラル成分の吸収に優れた乳性酸性飲料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カルシウム摂取量の不足を補うため、カルシウム含有量を増加させた各種カルシウム強化飲料が注目されている。そのようなカルシウム強化飲料の一つとして、酸性乳性飲料にカルシウムを添加した、カルシウム強化酸性乳性飲料がある。しかし、酸性下においてカルシウムと乳蛋白質とが存在すると、凝集・沈殿が発生しやすくなるため、安定した飲料製品とすることが困難であるという問題点がある。
このような問題を解決するために種々の技術が開発されている。例えば、酸性乳とペクチンとを含む原材料を均質化処理した後、カルシウム成分を混合する製造方法(特許第3030752号公報)、カルシウム入り乳性酸性飲料に大豆食物繊維を添加する方法(特開平10−4876号公報)、酸性乳、アルギン酸プロピレングリコールエステル及び水溶性カルシウムからなる飲料(特開平10−286061号公報)、乳酸発酵した酸乳に、シロップ、ブロックワイズ型HMペクチン及びカルシウムを添加した飲料(特許第2847475号公報)、豆乳にカルシウム型強酸性カチオン交換樹脂を接触させ、カルシウムを溶離させるカルシウム強化豆乳の製造方法(特開昭61−249355号公報)、牛乳にカルシウム型強酸性カチオン交換樹脂を接触させ、カルシウムを溶離させるカルシウム強化牛乳の製造方法(特開昭61−257140号公報)等が提案されている。
ところで、ポリ−γ−グルタミン酸(γ−PGA)は、ミネラルの吸収を促進する等の効果を有することが知られている(特許第2712583号公報)。そこで、これを主成分とする飲食品が提案されている(特許第3112724号公報、特開平5−316999号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、γ−PGAを酸性乳性飲料に添加した飲食品については、具体的な製造方法はこれまで示されておらず、更に、カルシウムを含む酸性乳性飲料に、該カルシウムの吸収等を補助しうるγ−PGAを配合した商品は市販されていない。
その原因は、酸性下において乳性飲料にγ−PGAとカルシウムとを添加した場合、乳蛋白質の沈殿、凝集が発生し、飲食品製品としての品質が非常に損なわれ易いことにあるものと思われる。γ−PGAとカルシウムとを添加した乳性酸性飲料においてそのような乳蛋白質の沈殿、凝集が抑制され、飲食品製品として実用的なものは、これまで知られていない。
【0004】
従って、本発明の目的は、酸性下において、カルシウムとγ−PGAとが均質化しており、長期間保存しても、乳蛋白質成分の凝集、沈殿が抑制され、且つ風味良好な、新規なγ−PGA含有乳性酸性飲料及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、酸性乳、ペクチン、カルシウム及びγ−PGAを含み、pHが3.0〜4.0であり、懸濁粒子の平均粒子径が4.0μm以下であることを特徴とするγ−PGA含有乳性酸性飲料が提供される。
また、本発明によれば、酸性乳とペクチンとを含み、実質的にカルシウム及びγ−PGAを配合していない原材料を均質化処理して均質化物を得る工程、及び前記均質化物にカルシウム及びγ−PGAを添加・混合する工程を含むことを特徴とする前記乳性酸性飲料の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料は、酸性乳を含む。
前記酸性乳としては、乳をpH3.0〜4.0に酸性化したものを用いることができる。該乳としては、動物、植物などの由来を問わず各種の乳を用いることができ、具体的には例えば牛乳、山羊乳、馬乳等の獣乳;又は大豆乳等の植物乳等が挙げられる。また乳原料の形態は特に限定されず、全脂乳、脱脂乳若しくは乳清等を用いることができ、あるいは粉乳若しくは濃縮乳から還元した乳等を用いることもできる。これらの乳は、1種類単独又は2種類以上のものの混合物として、酸性乳の調製に用いることができる。
【0007】
前記乳の酸性化は、公知の乳酸菌等の微生物で乳を発酵させることにより有機酸を生成する方法、有機酸類、無機酸類、果汁若しくはこれらの混合物等を乳に添加する方法、又はこれらの方法を併用することにより行うことができる。前記乳に添加し得る有機酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸等を挙げることができ、前記無機酸類としては、リン酸等を挙げることができる。前記果汁としては、リンゴ、オレンジ、ブドウ、グレープフルーツ、アセロラ、ストロベリー、パイン、レモン等の果汁を挙げることができる。
本発明の飲料中における酸性乳の含有割合は、飲料全量中の、当該酸性乳中に含まれる乳蛋白質の含有割合として、好ましくは0.1〜5.0重量%、さらに好ましくは0.5〜2.0重量%とすることができる。
【0008】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料は、ペクチンを含む。
前記ペクチンとしては、前記酸性乳に作用してカゼイン−ペクチン複合体を形成し、乳蛋白成分を安定化させる作用を有するものを用いることができる。具体的には例えば、低メトキシルペクチン又は高メトキシルペクチンのいずれをも使用することができるが、高メトキシルペクチンが特に好ましい。該高メトキシルペクチンとしては、DE値、即ちガラクツロン酸残基とガラクツロン酸メチルエステル残基の総数に対するガラクツロン酸メチルエステル残基の割合が65〜75%のものが特に好ましい。
本発明の飲料中におけるペクチンの含有割合は、特に限定されないが、0.1重量%〜1.5重量%、特に0.24重量%〜0.7重量%であることが好ましい。0.1重量%以上とすることによりペクチンによる乳蛋白質の安定化の効果を良好に得ることができ、1.5重量%以下とすることにより粘度が高くなりすぎ糊感が生じることを防ぎ、良好な清涼感を製品に与えることができる。
【0009】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料は、γ−PGAを含む。このようなγ−PGAを含ませることにより、配合されるカルシウム吸収の促進が期待できると共に、条件によっては、従来のカルシウムを含む乳性酸性飲料におけるペクチン量を減少させることが期待できる。
前記γ−PGAの起源は特に限定されず、納豆の粘物質中のγ−PGAを抽出したもの、納豆菌等のバチルス属の細菌の菌体外に分泌されるもの等を用いることができる。γ−PGAとして、納豆菌が同時に分泌するレバン等との混合物を用いてもよい。
γ−PGAは一般にナトリウム塩として得られるが、他の塩あるいはフリーのγ−PGAを用いても何ら支障がない。
前記γ−PGAの分子量は、特に限定されないが、通常1万〜130万程度のものを用いることができる。
本発明の飲料中におけるγ−PGAの含有割合は特に限定されないが、ナトリウム塩として0.01〜5重量%であることが好ましく、さらには0.01〜2重量%が望ましい。特に、2重量%以下とすることにより、粘度が高くなりすぎ糊感が生じることを有効に防ぎ、良好な清涼感を製品に与えることができる。
【0010】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料はカルシウムを含む。
カルシウムは、本発明の飲料の製造工程において添加することにより、乳が本来含んでいるカルシウム量より高濃度を含有させることができる。添加するカルシウムとしては、水溶性カルシウム塩が好ましい。水溶性カルシウム塩は、水溶性の有機酸塩、無機酸塩又はこれらの混合物のいずれでもよく、具体的には例えば、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、コハク酸カルシウム等の有機酸塩;塩化カルシウム等の無機酸塩等を好ましく用いることができる。
本発明の飲料中におけるカルシウムの含有割合は、特に限定されないが、通常、飲料100gあたりカルシウムイオンとして1000mg以下、好ましくは200〜1000mg、さらに好ましくは300〜600mgとすることができる。200mg以上とすることにより目的とするカルシウム強化効果を十分に得ることができ、1000mg以下とすることにより良好な風味を得ることができる。
【0011】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料は、上記成分に加えて、さらに他の成分を含むことができる。当該他の成分としては、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、乳糖、麦芽糖、各種オリゴ糖等の糖類等の甘味料、並びに、風味及び外観を良くする等のために添加する果汁、野菜エキス、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、香料、色素等を挙げることができる。また、濃度を調整する等の目的で水を添加することもできる。
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料のpHは、3.0〜4.0である。本発明の飲料は、上記の必須成分を含み、さらにpHをこの範囲とすることにより、懸濁粒子を安定化し、且つ風味良好な飲料とすることができる。
【0012】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料においては、その中の懸濁粒子の平均粒子径は4.0μm以下、好ましくは1.5μm以下である。本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料においては、その中の懸濁粒子の平均粒子径は、製造直後のみならず55℃7日間保存後等においても4.0μm以下であることが好ましい。このような懸濁粒子を有する飲料は、具体的には後述する方法等によって製造することができる。
本発明のγ−PGA含有酸性飲料は、水等で3〜6倍程度に希釈して飲用することができる濃縮飲料又はそれを希釈したストレート飲料とすることができる。前記濃縮飲料としては様々な態様のものを挙げることができるが、具体的には例えば甘味料の濃度を30〜60重量%とした濃縮飲料を挙げることができる。
【0013】
本発明の乳性酸性飲料の製造方法は、酸性乳とペクチンとを含み、実質的にカルシウム及びγ−PGAを配合していない原材料を均質化処理して均質化物を得る工程を含む。
前記原材料において、実質的にカルシウム及びγ−PGAを配合していないとは、本発明の目的を損なわない範囲のカルシウム及びγ−PGAを含んでいないことを意味する。従って、該原材料は、原材料成分である酸性乳等に含まれるカルシウムイオンを少なくとも含んでいても良い。また、原材料は、前記酸性乳及びペクチンの他に、本発明の目的を損なわない範囲、更には他の目的等を達成するために前記酸性乳及びペクチン以外の上述した甘味料等の他の成分を含んでいてもよい。
前記原材料中へペクチンを含有させる方法としては、必要に応じてペクチンを予め水溶液として酸性乳を含む原材料に添加混合する方法等が挙げられる。前記原材料のpHは、好ましくは3.0〜4.0の範囲とすることができる。
前記均質化は、前記原材料を、食品加工に一般的に用いられるホモゲナイザー等の均質化処理装置による処理に供することにより行うことができる。均質化処理条件は、特に限定されないが、例えば高圧均質機の場合、好ましくは圧力10〜30Mpaにおいて行うことができる。
【0014】
本発明の乳性酸性飲料の製造方法では、前記均質化物にγ−PGA及びカルシウムを添加・混合する工程を含む。
γ−PGA及びカルシウムの両方を前記均質化物に添加する場合の順序は特に限定されず、どちらを先に添加しても、同時に添加してもよい。γ−PGA及びカルシウムは、必要に応じて各々を予め水又は温水(50℃前後)に溶解して10〜20重量%程度の水溶液とした後に前記均質化物に添加することができる。また、得られる乳性酸性飲料のpHを上記所定の範囲に調整するために、上述の有機酸、無機酸、果汁等をγ−PGA及びカルシウムの添加時に添加することもできる。
上記γ−PGA及びカルシウムの添加後の混合は、例えば、一般食品加工に用いられる撹拌機により行なうことができる。
【0015】
上述のように、酸性乳及びペクチンを含む原材料を均質化する工程を行った後にγ−PGA及びカルシウムを添加・混合することにより、安定なカゼイン−ペクチン複合体を形成させ、均質で保存安定性が良好な飲料とすることができる。
前記均質化物にγ−PGA及びカルシウムを添加・混合する工程を行った後に、必要に応じて二次均質化、さらに前記他の成分の添加、殺菌等の処理を行い、最終的な製品を得ることができる。これらの必要に応じて行う処理は、一つ又は二つ以上の処理を組み合わせて、任意の順序で行うことができる。
前記二次均質化は、前記均質化物にγ−PGA及びカルシウム等の成分を添加したものを、食品加工に一般的に用いられるホモゲナイザー等の均質化処理装置による処理に供することにより行うことができる。均質化処理条件は、特に限定されないが、例えば高圧均質機の場合、好ましくは圧力10〜30Mpaにおいて行うことができる。
前記殺菌は、一般の酸性加工食品において通常行われる条件、例えば80℃以上、具体的には92℃等の温度で、達温〜60分間等の条件で加熱殺菌することにより行うことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料は、酸性下において、カルシウムとγ−PGAとが均質化しており、長期間保存しても、乳蛋白質成分の凝集、沈殿を抑制することができ、且つ風味良好なものであって、γ−PGAを含むので従来のカルシウム強化飲料に比して、更なるカルシウム吸収の促進が期待できる。
また、本発明の乳性酸性飲料の製造方法は、酸性乳及びペクチンを含む原材料を均質化処理した後にγ−PGA及びカルシウムを添加混合するという工程を行うので、上記本発明のγ−PGA含有乳性酸性飲料を簡便に製造することができる。
【0017】
【実施例】
以下実施例、参考例及び比較例を参照して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
乳酸菌により発酵させた、pH3.2〜3.3の乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、20重量%乳酸カルシウム水溶液12.0kg(得られる濃縮飲料100gあたりのカルシウム含有量440mg)及び50重量%乳酸1.465kgを加えて混合し、10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgをさらに加えて均一に混合撹拌した後、濃度調整水として水4.899kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、形式:LA−920)を用いて測定した。測定は、濃縮飲料調製直後、及び濃縮飲料調製後55℃で7日間保存後において測定した。結果を表1に示す。
【0018】
比較例1
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合し、さらに10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgを加えて撹拌混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、20重量%乳酸カルシウム水溶液12.0kg(得られる濃縮飲料100gあたりのカルシウム含有量440mg)及び50重量%乳酸1.465kgを加えて混合した後、濃度調整水として水4.899kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の濃縮飲料調製直後の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0019】
比較例2
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合し、20重量%乳酸カルシウム水溶液12.0kg(得られる濃縮飲料100gあたりのカルシウム含有量440mg)及び50重量%乳酸1.465kgをさらに加えて撹拌混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgをさらに加えて均一に混合撹拌した後、濃度調整水として水4.899kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0020】
比較例3
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合し、10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgをさらに加えて均一に混合撹拌した後、20重量%乳酸カルシウム水溶液12.0kg(得られる濃縮飲料100gあたりのカルシウム含有量440mg)及び50重量%乳酸1.465kgをさらに加えて撹拌混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、濃度調整水として水4.899kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0021】
参考例1
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、さらに10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgを加えて均一に混合撹拌した後、濃度調整水として水18.364kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。なお、この例は、γ−PGAを一次均質化処理後に含有させ、且つカルシウムを含有させない場合の例である。
【0022】
参考例2
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合し、さらに10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgを加えて均一に混合撹拌した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、濃度調整水として水18.364kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。なお、この例は、γ−PGAを一次均質化処理前に含有させ、且つカルシウムを含有させない場合の例であって、γ−PGAの添加時期のみが参考例1と異なる例である。
【0023】
比較例4
実施例1と同様に調製した乳酸菌発酵乳25kgに、グラニュ糖9.25kgと、2.5重量%ペクチン水溶液12.8kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.32重量%)とを加えて撹拌混合し、次いで20重量%乳酸カルシウム水溶液12.0kg(得られる濃縮飲料100gあたりのカルシウム含有量440mg)及び50重量%乳酸1.465kgをさらに加えて混合した。
得られた混合液を、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
次いで均質化処理後の混合液に、グラニュ糖32.72kgを添加混合した後、濃度調整水として水6.215kgを加えて混合液を調製した。
この混合液を再度、ラボラトリーホモゲナイザー(マントンゴーリン社製、形式:15MR−8TBA)により、圧力14.7Mpa、処理流量2500ml/分で均質化処理した。
続いて調合香料を0.55kg加え、更に、92℃達温まで加熱殺菌して、200ml容壜に充填し、濃縮飲料を得た。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0024】
実施例2
10重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量3万)水溶液1.316kgの代わりに、2.5重量%γ−PGA(味の素株式会社製、分子量80万)水溶液1.316kg(得られる濃縮飲料中のγ−PGA濃度0.0329重量%)を用いた以外は、実施例1と同様に濃縮飲料を調製した。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0025】
実施例3
2.5重量%ペクチン水溶液の使用量を9.6kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.24重量%)、調整水の使用量を8.099kgとした以外は、実施例1と同様に濃縮飲料を調製した。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0026】
実施例4
2.5重量%ペクチン水溶液の使用量を6.4kg(得られる濃縮飲料中のペクチン濃度0.16重量%)、調整水の使用量を11.299kgとした以外は、実施例1と同様に濃縮飲料を調製した。得られた濃縮飲料のpHは3.8であった。
次に、得られた濃縮飲料中の粒子の平均径を、実施例1と同様に測定した。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0004302916
【0028】
表1の結果より、本発明の製造方法で調製した各実施例では、得られた飲料中に含まれる懸濁粒子の平均粒径は、調整直後及び55℃、7日間保存後においても良好であり、特に、実施例3及び4から明らかなように、ペクチン量を減少させた場合でも良好な結果が得られた。従って、γ−PGAの添加により、安定化剤としてのペクチン量を減少させうる効果も期待できる。
一方、本発明の製造方法に従わない各比較例では、いずれも安定な飲料を得ることができなかった。更に、参考例1及び2では、γ−PGAを添加し、カルシウムを添加しない例であるが、γ−PGAの添加時期を一次均質化処理前後と変えた場合であっても得られる飲料は、特に安定性について問題が生じないことが判った。従って、γ−PGAの添加時期は、本発明のようにカルシウムを含む乳性酸性飲料の場合に問題となることが判った。

Claims (3)

  1. 酸性乳、ペクチン、カルシウム及びγ−PGAを含み、pHが3.0〜4.0であり、懸濁粒子の平均粒子径が4.0μm以下であることを特徴とするγ−PGA含有乳性酸性飲料。
  2. カルシウム含有割合が、飲料100gあたりカルシウムイオンとして1000mg以下であることを特徴とする請求項1記載の乳性酸性飲料。
  3. 酸性乳とペクチンとを含み、実質的にカルシウム及びγ−PGAを配合していない原材料を均質化処理して均質化物を得る工程、及び前記均質化物にカルシウム及びγ−PGAを添加・混合する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の乳性酸性飲料の製造方法。
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