JP3825555B2 - ポリフェノール含有乳性酸性飲料及びその製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性乳とポリフェノール含有飲食品成分とを含むポリフェノール含有乳性酸性飲料及びその製造方法に関し、更に詳細には、長期保存時においても乳性蛋白質とポリフェノールとによる凝集・沈澱が実質的に抑制又は防止され、しかも、長期間良好な風味を保持しうるポリフェノール含有乳性酸性飲料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェノールは、茶類、コーヒー、ココア、ブドウ、りんご、柿等の飲食品材料に含まれる成分であり、特有の苦み、渋味を有する。このポリフェノールは、最近、ヒト体内において過酸化脂質の生成を抑制する抗酸化能を有することが確認され、動脈硬化をはじめとする各種の生活習慣病を予防し得る可能性があるとして注目されている。
【0003】
従来、常温流通可能なポリフェノール含有酸性飲料としては、レモンティー、アップルティー等が知られている。また、乳性蛋白質と、茶類、コーヒーに由来するポリフェノールとを含有する常温流通可能な飲料としては、ミルクティー、ミルクコーヒー、抹茶ミルク等が知られているが、これらは中性領域の飲料に限られている。
【0004】
通常、レモン及びミルクの両方を加えた紅茶飲料を製造しようとする場合において、乳等の乳性蛋白質を含有する中性溶液に、茶等のポリフェノールを含有する中性溶液を混合し、さらにポリフェノールを含む果汁等の酸性溶液を加えると飲用に耐え難い多量の凝集物が発生する。混合の順番を変えて、ポリフェノール含有溶液を酸性にした後に、乳性蛋白質を含有する溶液を加えた場合にも、同様に、飲用に耐え難い多量の凝集物が発生する。
このような果汁を含む酸性下における乳性蛋白質の凝集・沈澱を抑制する方法としては、予め果汁に含まれるペクチンやタンニン等のポリフェノールを分解又は除去した後に、酸性乳と混合する方法が提案されている(特開昭48−48664号公報、特開昭53−118548号公報、特開昭63−41548号公報)しかし、これらの方法では、果汁に含まれるポリフェノールを予め分解又は除去する必要があるために、得られる製品は、ポリフェノールに由来する呈味及び機能が極端に低下するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、長期保存時においても酸性乳の乳性蛋白質の凝集・沈澱が抑制又は実質的に防止され、且つポリフェノールに由来する風味と、酸性乳による良好な酸味とを兼ね備えた、ストレート飲料若しくは濃縮飲料としうるポリフェノール含有乳性酸性飲料及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題について、製造方法の見直し検討を行ない試行錯誤の結果、乳類を発酵させる方法及び/又は酸味量を添加する方法等によって乳を酸性化した後に、ペクチン溶液を加えて均質化することによって、酸性下において乳性蛋白質ミセルのカルボキシル基を予めペクチンにより保護することができ、この均質化後にポリフェノール含有飲食品成分を添加混合すれば、乳性蛋白質とポリフェノールとの間の反応が進行せずに、酸性下でもポリフェノールと乳性蛋白質との凝集反応を抑制又は防止できることを見い出し本発明を完成した。即ち、乳性蛋白質とポリフェノールとが反応し凝集物を生じるメカニズムは、ポリフェノールの水酸基と乳性蛋白質のカルボキシル基とが低pHのもとで水素結合するためと考えられる。そこで、乳性蛋白質と、飲食品中に含まれるポリフェノールとの直接反応を防止できれば、凝集反応も阻止できるものと推考し、ペクチンの利用に着想して本発明を完成した。
即ち、本発明によれば、pH2.5〜4.5の乳性酸性飲料であって、平均粒径2.5μm以下の乳性蛋白質−ペクチン複合体と、ポリフェノール含有飲食品成分とを含み、乳性蛋白質の凝集・沈澱が抑制又は防止されていることを特徴とするポリフェノール含有乳性酸性飲料が提供される。
また本発明によれば、ポリフェノール含有乳性酸性飲料中のポリフェノール含有量が0.01〜5.0重量%である前記ポリフェノール含有乳性酸性飲料が提供される。
更に本発明によれば、pH2.5〜4.5に調製された酸性乳と、ペクチンとを含む原材料を均質化した後、ポリフェノール含有飲食品成分を添加混合することを特徴とする前記ポリフェノール含有乳性酸性飲料の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリフェノール含有乳性酸性飲料は、pH2.5〜4.5の酸性飲料であって、平均粒径2.5μm以下、好ましくは平均粒径2.0μm以下の乳性蛋白質−ペクチン複合体と、ポリフェノール含有飲食品成分とを含有し、乳性蛋白質の凝集・沈澱が抑制又は防止された、希釈せずに飲むストレート飲料、若しくは4〜6倍程度に希釈して飲む濃縮飲料である。
【0008】
前記乳性蛋白質−ペクチン複合体は、後述する製造方法において、pH2.5〜4.5に調製された酸性乳とペクチンとを含む原材料とを均質化する方法等により得ることができる。
乳性蛋白質−ペクチン複合体の含有割合は、ストレート飲料及び濃縮飲料のいずれの場合においても、ポリフェノール含有乳性酸性飲料中の無脂乳固形分換算量で、0.1〜15.0重量%、若しくはペクチン換算量で0.1〜1.0重量%であるのが好ましい。乳性蛋白質−ペクチン複合体の含有割合が、無脂乳固形分換算量で0.1重量%未満では、乳風味が得られ難く、また15.0重量%を超える場合には、粘度上昇が生じて飲料としての清涼感が低下するので好ましくない。
乳性蛋白質−ペクチン複合体における乳性蛋白質の起源としては、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳;豆乳等の植物乳等が挙げられる。一方、ペクチンとしては、低メトキシペクチン又は高メトキシペクチンのいずれでも良いが、高メトキシペクチンが好ましい。
【0009】
前記ポリフェノール含有飲食品成分としては、各種の茶類;コーヒー;ココア;ブドウ、リンゴ、柑橘類等の各種の果汁、これらの抽出エキス又はこれらの混合物等が挙げられる。またこれらのエキス類は市販のエキス類でも良い。
ポリフェノール含有飲食品成分の含有割合は、含有されるポリフェノール量が0.01〜5.0重量%となる範囲であるのが好ましい。特に、ストレート飲料とする場合、含有されるポリフェノール量が0.01〜1.0重量%となる範囲が好ましく、濃縮飲料とする場合には、含有されるポリフェノール量が0.01〜5.0重量%となる範囲であるのが好ましい。特に、濃縮飲料とする場合、含有されるポリフェノール量が0.05〜5.0重量%となる範囲が好ましい。ポリフェノール含有割合が0.01重量%未満では、ポリフェノールに由来する呈味及び機能が保持できず、一方、5.0重量%を超える場合には、ポリフェノールの苦味が増して好ましい風味が得られ難く、更に長期保存安定性も不良となる恐れがあるので好ましくない。
【0010】
本発明のポリフェノール含有乳性酸性飲料は、前記必須成分としての乳蛋白質複合体及びポリフェノール含有飲食品成分の他に、pH調整に伴う発酵物及び/又は酸味料を含有する。発酵物及び/又は酸味料の含有割合は、酸性飲料としての風味を良好とするために、ストレート飲料の場合、酸度(乳酸量換算)が0.1〜1.0重量%となる範囲が好ましく、濃縮飲料の場合には、酸度(乳酸量換算)が0.5〜5.0重量%となる範囲が好ましい。またその他の原材料として、甘味調整のために、砂糖、ブドウ糖、果糖、果糖ブドウ糖混合液糖、麦芽糖液糖、各種オリゴ糖等の糖類;アスパルテーム、ステビオサイド等の高度甘味料;エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール等を適量含有していても良い。特に濃縮飲料とする場合には、これら甘味料を20〜55重量%の範囲で含有させるのが好ましい。更に本発明の目的を損なわない範囲において、通常、飲料に含有させる他の原材料を適当量含有させることもできる。
【0011】
本発明のポリフェノール含有乳性酸性飲料は、食品衛生法に基づき、各種殺菌処理条件によって、殺菌乳酸菌飲料、清涼飲料、乳飲料等にすることができ、また、常温流通飲料又は冷蔵流通飲料のいずれにすることもできる。
【0012】
本発明のポリフェノール含有乳性酸性飲料を製造するには、例えば、以下に説明する本発明の方法等により得ることができる。
本発明の製造方法では、pH2.5〜4.5に調製された酸性乳とペクチンとを含む原材料を均質化した後、ポリフェノール含有飲食品成分を添加混合する。前記酸性乳に用いる原料乳としては、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳;豆乳等の植物乳等が挙げられ、原料乳の形態としては全脂乳、脱脂乳、乳清及びこれらの粉乳、濃縮乳からの還元乳等のいずれであっても良い。これらの原料乳は、酸性乳調製時において単独若しくは混合物として用いることができる。原料乳の無脂乳固形分濃度は、0.1〜15重量%となるように調製されたものを用いるのが好ましい。無脂乳固形分濃度0.1重量%未満では、乳風味を得ることができず、また、乳性蛋白質の凝集反応も殆ど問題にならなくなる。無脂乳固形分濃度が15重量%を超える場合には、酸性乳調製時に粘度が増加して飲料としての清涼感が失われる恐れがあるので好ましくない。
【0013】
前記pH2.5〜4.5の酸性乳を調製するには、例えば、酸性発酵乳製品の製造に一般に用いられる乳酸菌スターターを前記原料乳に対して接種し、通常行なわれている乳酸発酵の条件で発酵することにより製造できる。得られた乳酸発酵乳はpHが2.5〜4.5であればそのまま用いることができる。また、酸味料を添加することにより酸性化した酸性乳を用いることもできる。添加できる酸味料としては、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、フマール酸、コハク酸、リン酸又はこれらの混合物等が挙げられる。原料乳と酸味料との混合は、一般にアジテーター等を用いて行なわれる。この混合操作は、速やかに行なうのが好ましい。その理由としては、乳性蛋白質の等電点(pH4.6)付近を速やかに通過させることにより、乳性蛋白質の粒子径は細かいままで維持される。即ち、局部的に高酸性下状態にさらされることによる過度の乳性蛋白質の変性が回避できるからである。前記乳酸発酵による方法と酸味料添加による方法とは、得られる呈味やコスト等を考慮し、組合わせて用いることができる。この際も酸性化の程度は、前述のとおりpH2.5〜4.5に調整する必要がある。
【0014】
前記酸性乳に添加するペクチンは、酸性乳に作用して乳性蛋白質−ペクチン複合体を形成し、後に添加混合するポリフェノールと乳性蛋白質との凝集反応を阻止しうる作用を有する原材料であって、低メトキシペクチン又は高メトキシペクチンのいずれも使用できるが、高メトキシペクチンの使用が特に好ましい。
前記酸性乳にペクチンを添加混合するには、例えば、1〜5重量%濃度のペクチン水溶液として添加混合するのが好ましい。ペクチン水溶液を調製する際にペクチンを十分に溶解させるためには、60℃程度の温水を用いるのが好ましい。ペクチンの添加量は、酸性乳中の無脂乳固形分量に対応して適宜選択できるが、通常、得られるポリフェノール含有乳性酸性飲料全量に対して、0.1〜1.0重量%となる量が好ましい。
【0015】
酸性乳とペクチンとを含む原材料を均質化するには、酸性乳中の乳性蛋白質と、ペクチンとの接触機会を最大にする条件が好ましく、例えば、100〜500kg/cm2程度の条件でホモゲナイザー等により均質化するのが好ましい。この均質化により、平均粒径2.5μm以下、特に平均粒径2.0μm以下の乳性蛋白質(カゼイン)−ペクチン複合体が効率的に形成される。均質化を行なうタイミングは、確実に凝集物の発生抑制効果を獲得するために、ポリフェノール含有飲食品成分の添加前に実施する必要がある。
【0016】
前記均質化後に添加混合するポリフェノール含有飲食品成分としては、各種の茶類;コーヒー;ココア;ブドウ、リンゴ、柑橘類等の各種の果汁;これらの原材料から得た抽出エキス、抽出エキス粉末又はこれらの混合物等が挙げられる。茶類、コーヒー、ココア等の抽出エキスの調製は、紅茶葉、緑茶葉、抹茶葉、ウーロン茶葉等の乾燥茶葉をそのまま若しくは粉砕物を、又は、コーヒー豆、ココア豆類の粉砕物等を常法により温水で抽出することにより行うことができる。抽出エキス中のポリフェノール濃度の調整は、抽出温度、抽出時間及び抽出時の茶葉若しくはコーヒー豆、ココア豆の使用量を調整することにより変更可能である。これら抽出操作の省略を目的として、市販のエキス類を用いることもできる。ポリフェノール含有飲食品成分の添加量は、目的とするポリフェノール含有乳性酸性飲料中のポリフェノール含有量が、0.01〜5.0重量%となる添加量が好ましい。ポリフェノール含有量が0.01重量%未満では、ポリフェノールの呈味及び機能を保持できず、また、5.0重量%を超える場合には、ポリフェノール成分の苦味が増して好ましい風味が得られ難く、更に長期保存安定性も不良となる恐れがあるので好ましくない。
前記ポリフェノール含有飲食品成分を添加混合する方法は、前記均質化された溶液に、ポリフェノール含有飲食品成分の抽出液や水溶液等を添加した後にアジテーター等で撹拌混合する方法等が挙げられる。更に、ポリフェノール含有飲食品成分を添加混合した後に、再度均質化を行なうことにより、保存中における凝集物発生の抑制効果が更に向上する。
【0017】
本発明の製造方法においては、前記各成分の他に、その他の原材料を、例えば前記酸性乳とペクチンとを含む均質化前の原材料や均質化後のポリフェノール含有飲食品成分の添加前後又は同時に添加混合することもできる。その他の原材料としては、前述の具体的に列挙した甘味料や通常飲料に配合され、本発明の目的を損ねない成分であれば特に限定されるものではない。
【0018】
本発明の製造方法においては、酸性度の調整、ポリフェノール量等の調整により、ストレート飲用又は濃縮飲料のいずれにもすることができる。また、得られた飲料を適当な容器に充填し、各種殺菌条件により殺菌することにより、常温流通飲料又は冷蔵流通飲料とすることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明のポリフェノール含有乳性酸性飲料は、特定平均粒径の乳性蛋白質−ペクチン複合体とポリフェノールとを含有し、酸性下において乳性蛋白質の凝集・沈澱が抑制又は防止されているので、長期保存安定性に優れると共に、乳性酸性飲料の風味とポリフェノールに由来する呈味及び機能とを合わせもつ風味良好なストレート飲料若しくは濃縮飲料として利用できる。また、本発明の製造方法は、ポリフェノール含有飲食品成分の添加混合の以前に、酸性乳とペクチンとを含む原材料を均質化する構成を採用するので、乳性蛋白質とポリフェノールとの凝集・沈澱を有効に抑制又は防止でき、前記ポリフェノール含有乳性酸性飲料を容易に且つ工業的に製造することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜3及び比較例1〜5
<発酵乳と紅茶との風味を合わせ持つポリフェノール含有乳性酸性飲料の製造>無脂乳固形分8.5%濃度の還元脱脂乳10kg(タカナシ乳業社製)に、予め前培養したラクトバチラス・ヘルベティカスATCC−10797をスターターとして300g接種し、35℃、18時間発酵させてpH3.3の酸性乳の発酵物を得た。次いで、得られた発酵物に、砂糖16.6kg、3重量%のペクチン(商品名「ペクチンJM−150−J」、コペンハーゲンペクチン社製)溶液16.5kg及び(比較例2〜5ではペクチン溶液の代わりにペクチンを含まないイオン交換水16.5kgを加える)、20重量%のクエン酸ナトリウム溶液0.5kgを加え、ラボラトリーホモゲナイザー(型式:15M−8BA、マントンゴーリン社製)により圧力150kg/cm2、処理流量2500ml/分にて均質化した。次いで、紅茶エキス(商品名「紅茶エキストラクトM−1」、三井農林株式会社製)を、表1に示す各実施例及び比較例の添加量で添加混合した後、全重量を165kgとなるように加水し、85℃に達温加熱殺菌し、350ml容量壜へ熱時充填して製品とした。実施例1〜3で調製した最終製品は、無脂乳固形分0.5重量%、糖濃度10重量%、ペクチン(乳性蛋白質−ペクチン複合体のペクチンを含む)0.3重量%、ポリフェノール0.05〜0.2重量%であり、pHは3.75であった。
【0021】
各例について、37℃、2か月間の加速保存試験を行なった。これは、常温12か月の保存期間に相当する試験である。
各例における製造直後及び37℃、2か月保存後の各分散粒子の平均粒径をレーザー解析式粒度分布計(型式:「SALD−1100」島津製作所製)で測定した。結果を表1に示す。
ペクチンを添加した実施例においては、製造直後及び37℃、2か月間保存後共に紅茶エキス添加量を変更しても、外観及び平均粒径に対する影響は殆ど認められなかった。尚、比較例において、ペクチンを添加し、紅茶エキスを添加しなかった比較例1、並びにペクチン及び紅茶エキスを添加しなかった比較例2では、沈澱は若干量であったが、ペクチンを添加せずに紅茶エキスを添加した比較例3〜5は、紅茶エキスの添加量に関わらず激しく凝集、沈澱し、上澄と沈澱部分とが完全に分離していたために平均粒径を測定することができなかった。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例4及び比較例6〜8
<水又は温湯で5倍に希釈して飲用するポリフェノール含有乳性酸性飲料の濃縮飲料タイプの製造>
無脂乳固形分8.5%濃度の還元脱脂乳10kg(タカナシ乳業社製)に、予め前培養したラクトバチラス・ヘルベティカスATCC−10797をスターターとして300g接種し、35℃、18時間発酵させてpH3.3の酸性乳の発酵物を調製した。次いで、得られた発酵物に、砂糖13kg、3重量%のペクチン(商品名「ペクチンJM−150−J」、コペンハーゲンペクチン社製)溶液3.9kgを加え(比較例7及び8ではイオン交換水3.9kgを加え)、ラボラトリーホモゲナイザー(型式:15M−8BA、マントンゴーリン社製)により圧力150kg/cm2、処理流量2500ml/分にて均質化した。次いで、紅茶エキス(商品名「紅茶エキストラクトM−1」、三井農林株式会社製)2kg及び(比較例6及び8では紅茶エキスに代えてイオン交換水2kgを加え)、及び20重量%のクエン酸ナトリウム溶液0.4kgを加え、撹拌混合した後、全重量を33.3kgとなるように加水し、85℃に加温して殺菌し、350ml容量壜へ熱時充填して製品とした。実施例4の最終製品は、無脂乳固形分2.5重量%、糖濃度40重量%、ペクチン(乳蛋白質−ペクチン複合体のペクチンを含む)0.35重量%、ポリフェノール0.2重量%であり、pHは3.7であった。実施例4の紅茶濃度は、5倍希釈することにより通常紅茶として飲用される場合と同一の1倍濃度となる製品であり、これを5倍希釈して飲用したところ、乳性酸性飲料の風味とポリフェノールの呈味と機能とを合わせ持つ風味良好な濃縮飲料であった。
【0024】
得られた各飲料の分散粒子の平均粒径をレーザー解析式粒度分布計(型式:「SALD−1100」島津製作所製)で測定した。測定は濃縮飲料のまま行なった。結果を表2に示す。
ペクチンを添加した実施例においては、平均粒径が小さくなり、希釈飲用時も滑らかな舌ざわりであった。一方、比較例においてペクチンを添加して紅茶エキスを添加しなかった比較例6では、凝集が起きなかったが、ペクチンを添加せずに紅茶エキスを添加した比較例7では激しく凝集した。また、発酵乳のみを加熱殺菌した比較例8でも凝集が認められた。凝集が顕著になることは平均粒径の測定値からも確認された。比較例7及び8では、希釈飲用時もざらつきのある舌ざわりとなり不快感が生じた。
【0025】
【表2】
【0026】
実施例5〜8
<水又は温湯で5倍に希釈して飲用するポリフェノール含有乳性酸性飲料の濃縮飲料タイプの製造>
紅茶エキス添加量を表3に示す添加量とした以外は実施例4と同様にポリフェノール含有乳性酸性飲料の濃縮飲料タイプの製品を調製した。得られた製品を、37℃、2か月間の保存試験に供した。これは常温12か月の保存試験に相当する試験である。
粒度測定は、実施例4と同様の方法により濃縮飲料の状態で、製造直後及び37℃、2か月保存後について行なった。結果を表3に示す。いずれにおいても安定性良好で凝集・沈澱の問題は認められなかった。
【0027】
【表3】
Claims (3)
- pH2.5〜4.5の乳性酸性飲料であって、平均粒径2.5μm以下の乳性蛋白質−ペクチン複合体と、ポリフェノール含有飲食品成分とを含み、乳性蛋白質の凝集・沈澱が抑制又は防止されていることを特徴とするポリフェノール含有乳性酸性飲料。
- ポリフェノール含有乳性酸性飲料中のポリフェノール含有量が0.01〜5.0重量%である請求項1に記載のポリフェノール含有乳性酸性飲料。
- pH2.5〜4.5に調製された酸性乳と、ペクチンとを含む原材料を均質化した後、ポリフェノール含有飲食品成分を添加混合することを特徴とする請求項1に記載のポリフェノール含有乳性酸性飲料の製造方法。
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