JPH11177173A - エキシマレーザ及びその光学部品 - Google Patents
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Abstract
少ない光学部品を提供し、エキシマレーザの信頼性を向
上させる。 【解決手段】 エキシマレーザの光学部品として、従来
の合成石英に代えてCaF2やMgF2等のフッ化物を材料とし
た光学部品を使用し、かつそのフッ化物の劈開面を光学
部品を通過するレーザ光3の光軸24に対して垂直に配
置することによって、光学部品を通過する際のエキシマ
レーザの出力低下や、スペクトル線幅やビームの断面形
状等の光品位の変動を少なくし、波長制御を精密に行な
って光品位が良質なレーザ光を得るとともに、光学部品
の耐久性を向上させてエキシマレーザの信頼性を向上さ
せる。
Description
の、光に対する耐久性が強く、光品位低下の少ない光学
部品に関するものである。
露光装置(以下ステッパと言う)の光源として、エキシ
マレーザの実用化が進められている。これは、エキシマ
レーザの波長が紫外線領域にあって短いことから、加工
の際にレンズなどの外部光学素子によって光を小さく集
光できるので、非常に精密な加工が可能であることによ
る。
ざまな波長成分を持ち、しかも中心波長が変動している
ので、そのままではレンズなどの外部光学素子を通過す
る際に収差が生じて加工の精度が低下する。そのため、
エキシマレーザにグレーティングなどの波長選択素子を
搭載して、線幅と呼ばれるレーザの発振波長のスペクト
ル幅を狭くし、かつ発振波長の中心値である中心波長を
安定化する狭帯域化という技術が広く用いられている。
開示された技術の一例であり、以下同図に基づいて従来
技術を説明する。図において、チャンバ1にはレーザガ
スが封止されており、放電電極2によって放電によって
エネルギーを供給され、レーザ光3を発振させる。上記
発振したレーザ光3は後部ウィンドウ5から出射し、第
1のプリズム7及び第2のプリズム8を通過する間にそ
の径を広げられ、グレーティング10に入射する。グレ
ーティング10は、図示しないアクチュエータによって
レーザ光3の光路に対する角度を制御されており、選択
された所定の波長だけを発振させることで前記狭帯域化
を行なっている。第1のプリズム7、第2のプリズム
8、及びグレーティング10の光学部品群を狭帯域化光
学部品12と総称する。この狭帯域化光学部品12によ
って波長を制御されたレーザ光3は、前部ウィンドウ1
3を透過し、部分反射ミラーであるフロントミラー14
を透過して一部が図中右方向へ出射する。
光学部品としては、前記公報に開示されているように、
一般に合成石英(SiO2)が材料として用いられている。
これは、合成石英がエキシマレーザから出射する紫外線
光に対して吸収率が低く、また加工が容易であるという
理由による。KrFエキシマレーザの波長である248
nmやArFエキシマレーザの波長である193nmの
紫外光に対し、高い透過率を有する材料は限られてお
り、現在では前記合成石英以外には、CaF2,MgF2,LiF2
等のフッ化物が知られている。
製造や加工の技術は合成石英ほど成熟しておらず、製造
できる光学材料のサイズや数量、光学特性において合成
石英と同等のものを製作するのが困難であるため、光学
材料としては合成石英が使用されることが多い。特に、
前記KrFエキシマレーザは比較的発振波長が長いため
に光学部品を劣化させることが少なく、合成石英製の光
学部品でも長期の使用に耐えうるとされている。このた
め、KrFエキシマレーザの光学部品として、従来は合
成石英が使用されている。
英をエキシマレーザの光学部品の材料として使用するに
は、次に述べるような問題点がある。
産するためにステッパのスループットを上げなければな
らず、レーザの単位時間あたりの発振パルス数である繰
り返し周波数を増やしてレーザを高出力化することが求
められている。
ルギー密度が高く、しかもレーザ光が共振器内を往復し
て光学部品を何度も透過する。このため、前記レーザの
高出力化に伴って、KrFエキシマレーザに従来使われ
ている前記合成石英の光学部品が、材料内部のわずかな
歪みや不均一性などの理由によって劣化するということ
が起きている。そして、光学材料のわずかな劣化でさえ
も、発振するレーザ光の品位に大きな影響を及ぼすの
で、前記ステッパの光源として使用することが困難とな
ってしまう。
って、従来合成石英の光学部品は耐久性が不十分であ
り、これを使用していると前記エキシマレーザの波長を
高精度で制御することが困難であるということがわかっ
てきている。
部品に前記光学部品の劣化が起きる様子を示す。図9は
第1のプリズム7とそれを通過するレーザ光3の正常な
状態である。前記繰り返し周波数を上げていくに従っ
て、図10に示したようにレーザ光のエネルギーによっ
てプリズムの内部が歪んだり、それが大きくなるとプリ
ズムの表面が収縮して表面に歪み15が発生するような
ことが起きる。これにより、レーザ光3の径や断面形状
が変化したり、レーザ光3の波面が乱れてその波長や偏
光状態が狂うという問題が起きる。また、この歪み15
によって光学部品の表面に施した無反射コーティングが
剥がれてレーザ光がそこに集中し、光学部品が破損した
りすることもある。
劣化が起きる前と起きた後の狭帯域化されたレーザの発
振波長分布を示す。図12に示すように、光学部品に劣
化が起きると中心波長λcが例えばλcとλc'との間で変
動したり、前記線幅Δλが広がってステッパの光源とし
て使用することが困難になる。
たものであり、高出力化されたエキシマレーザにおいて
も紫外線光に対する耐久性が強く、光品位を良好に保
ち、かつ波長制御に好適なエキシマレーザの光学部品を
提供することを目的としている。
的を達成するために、請求項1記載の発明は、狭帯域発
振エキシマレーザの光学部品において、光学材料として
フッ化物を使用し、前記フッ化物の結晶の劈開面20
が、この光学部品に入射する光の入射側の面又は光学部
品から出射する光の出射側の面の少なくともいずれか一
方に対して概平行であるように形成されている。
の材料としてフッ化物を使用し、この光学部品の入射側
の面もしくは出射側の面に対してフッ化物の結晶の劈開
面を概平行に構成している。こうすることによって、こ
の劈開面を通過する際に、エキシマレーザ光の偏光状態
の変化や波面の不均一化等を低減でき、良質な光品位を
得ることができる。
記載のエキシマレーザの光学部品において、前記フッ化
物の結晶の劈開面20の向きを示す可視マーク27をつ
けている。
に、前記劈開面の向きを示す可視マークをつけたことに
よって、これをエキシマレーザに設置する際にその向き
を容易に判断でき、またその向きを間違えて設置すると
いうことがなくなる。
又は2に記載のエキシマレーザの光学部品において、光
学部品が、前記狭帯域化のための狭帯域化部品である。
域化のための光学部品に、前記フッ化物を使用してい
る。精密に狭帯域化を行なうためには、狭帯域化部品は
特に精度良く製作されている必要があり、光学部品の劣
化は、微少であってもレーザの波長制御に悪影響を与え
る。狭帯域化のための光学部品をフッ化物で製作するの
で、光学部品の劣化を少なくすることができ、前記中心
波長が安定で線幅が細い、光品位の良質なレーザ光を得
ることができる。
エキシマレーザにおいて、エキシマレーザに用いられる
フッ化物を材料とした光学部品を、フッ化物の結晶の劈
開面20が光学部品中を光が通過する際の光路に対して
概垂直になるように配置している。
光路に対して概垂直になるように光学部品を配置するこ
とによって、光学部品内部の屈折率の不均一性や光学歪
み等の影響を最小限に抑えることができる。これによ
り、レーザ光がこの光学部品を通過する際に生ずるエキ
シマレーザ光の偏光状態の変化や波面の不均一化等を低
減でき、良質な光品位を得ることができる。また、各部
品の結晶材料を常に劈開面に対して同一の方向に使用す
ることにより、各部品における前記屈折率の不均一等が
最小限に抑えられるので、光学部品の個体差が減少して
安定な光学性能を得られ、結果としてエキシマレーザの
光品位を安定させることができる。
に係わる実施形態を詳細に説明する。なお、図において
同一の符号を付したものは同一の構成を表すものとす
る。
る。図1は、本発明に係わるエキシマレーザ装置の構成
図を示している。同図において、前記狭帯域化光学部品
12は狭帯域化ボックス11内に収納されており、前記
前部ウィンドウ13及び後部ウィンドウ5は損失を少な
くするためにレーザ光3に対してブリュースター角φを
なしている。本実施形態においては、第1のプリズム
7、第2のプリズム8及びフロントミラー14を、従来
の合成石英に代えてCaF2等のフッ化物の光学材料で製作
している。
化がなく、エキシマレーザの波長の狭帯域化を効果的に
行なうことができる。プリズム7,8は狭帯域化のため
に正確な形状が求められるので、ここに光学部品の劣化
が起きると波長制御が困難になり、材料をフッ化物にす
る効果は大きい。また、フロントミラー14は強度の強
い光がここを透過するので光学部品の劣化の影響を受け
やすく、これも材料をフッ化物にすることの効果が大き
い。
レーザにおいて、従来合成石英を使っていた光学部品に
代えてCaF2やMgF2などのフッ化物を使用するようにした
ことで、レーザ光3による光学部品の劣化が起きにくく
なり、波長の狭帯域化を精密に行なうことができるとと
もに、エキシマレーザの信頼性を向上させることができ
る。
明する。同図は、一般にリトロー型と呼ばれるエキシマ
レーザの狭帯域化光学部品12の構成図であり、図にお
いて、グレーティング10で図中上方に反射したレーザ
光3はリアミラー16によって全反射され、元の光路を
戻って出射する。このとき、前述したプリズム7,8及
びフロントミラー14の他に、前記リアミラー16を例
えばMgF2などのフッ化物で製作している。
反射するために従来は損傷が大きく、これをフッ化物に
することで、狭帯域化光学部品12の耐光性を増すこと
ができる。これにより、前記実施形態と同様の理由で、
波長の狭帯域化を精密に行なうことができるとともに、
エキシマレーザの信頼性を向上させることができる。
レーザのチャンバ1に近いほうの第1のプリズム7のみ
をフッ化物とし、チャンバ1から遠い第2のプリズム8
のみを合成石英製とすることも可能である。当該プリズ
ム7,8は、チャンバ1から出射するレーザ光3を拡大
するものであるため、チャンバ1に近い前記第1のプリ
ズム7を通過するレーザ光3の光密度が高く、光学部品
の劣化を引き起こしやすいため、プリズムをフッ化物と
することの効果はチャンバ1に近い第1のプリズム7に
おいて大だからである。
態を説明する。図3に示すように、フッ化物でできた光
学部品19はその結晶構造に応じて劈開面20を持つ。
劈開面20の一例としては、例えば結晶の111面があ
る。レーザ光22がこの光学部品19を通過する際に、
レーザ光22の光軸24に対して劈開面20のなす角θ
が概垂直以外の角度を持って通過する場合には、波面が
乱れてその偏光状態や波長が変化したり、光の一部が吸
収されて出力が低下したりする。
して劈開面20のなす角θが概垂直になるように、前記
光学部品19を製作し、かつこれを光路内に配置してい
る。本実施形態による光学部品19の一例として、図4
にフロントミラー14を示す。フロントミラー14は、
一般的に表面と裏面の間での反射による寄生発振を避け
るため、入射側の面23と反対側の面とが非平行になっ
ている。同図における劈開面20がレーザ光22の入射
側の面23と概平行になるようにフロントミラー14を
製作し、この入射側の面23をチャンバ1の側に向け、
劈開面20がその内部を通過するレーザ光22の光軸2
4に概垂直になるように配置する。フロントミラー14
の別の例としては、入射側の面23と反対側の面とを平
行に製作し、一方の面に無反射コーティングを施して寄
生発振を防止する場合もある。
して、図5にプリズム26を示す。プリズム26を前記
劈開面20が光の入射側の面23に概平行になるように
製作し、このプリズム26を、劈開面20が内部を通過
するレーザ光22の光軸24に対して概垂直になるよう
に配置している。
マレーザの配置図を示す。同図において、第1のプリズ
ム7、第2のプリズム8及び後部ウィンドウ5は、例え
ばCaF2等のフッ化物からなる光学部品である。
は、図5に示したようにレーザ光22の入射側の面23
に対して劈開面20のなす角θが概垂直になるように製
作され、この劈開面20がその内部を通過する光軸24
に概垂直になるように配置されている。また、図6に示
したように後部ウィンドウ5がレーザ光3に対してブリ
ュースター角φをなしているとすれば、その劈開面20
がブリュースター角φだけ傾いた状態で光軸24に対し
て概垂直をなすように製作され、光路内に配置されるよ
うにすればよい。図示されていない前部ウィンドウ13
も同様である。さらに、図示されていないフロントミラ
ー14は、図4に示したように、レーザ光3の光軸24
に対して劈開面20が概垂直になるように配置されてい
る。
ズム7,8などの上面に点線で示した劈開面20を示す
マーク27をつければ、たとえ二等辺三角形のプリズム
7,8を使用したとしても、光軸24に対して劈開面2
0が概垂直になるように容易にプリズム7,8を設置す
ることができる。
レーザの光学部品をフッ化物で製作し、しかもその劈開
面20が光軸24に対して概垂直になるように配置して
いる。これにより、エキシマレーザの高出力化に対して
も、レーザ光3が光学部品を通過する際に波長や偏光状
態が変化したりすることがなく、光品位の良質なレーザ
光3を得ることができる。
キシマレーザの光学部品において、従来合成石英に代え
てCaF2やMgF2などのフッ化物を材料としたことで、レー
ザ光3による光学部品の劣化が起きにくくなり、波長の
狭帯域化を精密に行なうことができるとともに、エキシ
マレーザの信頼性を向上させることができる。
対して概垂直に配置したことで、エキシマレーザ光がこ
の光学部品を通過する際に起きる、エキシマレーザ光の
偏光状態の変化や波面の不均一さ等の問題点を低減で
き、エキシマレーザの性能を低下させずに良質な光品位
を得ることができる。
ザの構成図。
図。
図。
図。
を示す説明図。
を示す説明図。
ウィンドウ、7…第1のプリズム、8…第2のプリズ
ム、10…グレーティング、11…狭帯域化ボックス、
12…狭帯域化光学部品、13…前部ウィンドウ、14
…フロントミラー、15…歪み、16…リアミラー、1
9…フッ化物、20…劈開面、22…レーザ光、23…
入射側の面、24…光軸、26…プリズム。
Claims (4)
- 【請求項1】 狭帯域発振エキシマレーザの光学部品に
おいて、 光学材料としてフッ化物を使用し、前記フッ化物の結晶
の劈開面(20)が、この光学部品に入射する光の入射側の
面又は光学部品から出射する光の出射側の面の少なくと
もいずれか一方に対して概平行であるように形成されて
いることを特徴とする光学部品。 - 【請求項2】 請求項1記載のエキシマレーザの光学部
品において、 前記フッ化物の結晶の劈開面(20)の向きを示す可視マー
ク(27)をつけていることを特徴とする光学部品。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のエキシマレーザ
の光学部品において、光学部品が、前記狭帯域化のため
の狭帯域化部品であることを特徴とする光学部品。 - 【請求項4】 狭帯域発振エキシマレーザにおいて、 エキシマレーザに用いられるフッ化物を材料とした光学
部品を、フッ化物の結晶の劈開面(20)が光学部品中を光
が通過する際の光路に対して概垂直になるように配置し
たことを特徴とする狭帯域発振エキシマレーザ。
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