JP2004531764A - 好ましい結晶方位をもつ立方晶系結晶材料光学素子 - Google Patents
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Abstract
複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるための、<194nm波長用フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子を、光入射面が{100}結晶面の光学素子用光学フッ化カルシウム結晶を提供する工程及び光学フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せられた光軸を有する光リソグラフィ素子の光リソグラフィ素子表面を{100}結晶面の光入射面から形成する工程により、作成する方法が提供される。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過する光学素子は<100>方位フッ化カルシウムレンズである。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過する光学素子は<100>方位フッ化カルシウムビームスプリッターである。
Description
【関連出願の説明】
【0001】
本出願はエヌ・エフ・ボレッリ(N. F. Borrelli),ディー・シー・アラン(D. C. Allan),シー・エム・スミス(C. M. Smith)及びビー・ディー・ストーン(B. D. Stone)により2001年5月16日に出願された、名称を「好ましい結晶方位をもつ立方晶材料光学素子」とする、米国仮特許出願第60/291424号の恩典を特許請求し、上記出願の明細書を参照として含む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全般的には、短波長光学系及びこの光学系に使用するための素子、投影光リソグラフィ方法及び光リソグラフィに関し、特に、光リソグラフィシステムに使用するための光リソグラフィ用フッ化物結晶素子及び、193nm領域及び157nm領域の波長を利用する紫外(UV)光リソグラフィシステムのような、194nmより短いUV波長光を利用する短波長光学系に関する。
【背景技術】
【0003】
194nmより短い紫外波長の光を利用する投影光リソグラフィ方法/システムは、形状寸法を小さくするという点で恩恵を供する。157nm波長領域及び193nm波長領域の紫外波長を利用する、そのような方法/システムには、最小寸法がさらに縮小された集積回路の製造能力を向上させる可能性があるが、集積回路の大量生産における194nmより短波長のUV光の工業的使用及び採用は遅々としている。半導体工業による194nmより短波長のUV光への進展の遅れの一部は、そのような短波長において高い性能をもつ、経済的に製造できる立方晶系フッ化物結晶光学素子がなかったことによる。集積回路の製造に利用される予定の、フッ素エキシマーレーザの発光スペクトルウインドウのような157nm領域及びArFエキシマーレーザ発光スペクトルのような193nm領域における紫外光リソグラフィの恩恵のため、有用な光学特性を有し、194nmより短波長のUV光子用に設計および利用できるフッ化物結晶光学素子が必要とされている。フッ化アルゴンは〜193nmで発光し、フッ素(F2)エキシマーは〜157nmで発光する。様々な光学的用途において、そのような194nmより短波長の光を使用できることが好ましい。フッ素(F2)レーザ及びフッ化アルゴンレーザを備える光システムに使用する場合に、光学素子に好ましい結晶材料は、立方晶系フッ化物結晶のフッ化カルシウムであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
194nmより短波長の光に対して有用な光学特性を有するフッ化物結晶光学素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は固有複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子の作成方法を含む。本方法は、光入射面が{100}結晶面の光学素子用フッ化カルシウム結晶を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光軸を有する光リソグラフィ素子の光リソグラフィ素子表面を形成する工程を含み、光軸はフッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せられる。
【0006】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子を含む。本光リソグラフィ素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ光学フッ化カルシウム結晶からなり、光学素子は<100>フッ化カルシウム結晶方位に合せられた光軸を有する。
【0007】
本発明は固有複屈折が最小の光軸に沿って短波長(<194nm)の光を透過させるためのフッ化物結晶光学素子の作成方法を含む。本方法は光入射面が{100}結晶面の光学素子用光学フッ化物結晶を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光軸を有する光学素子の光学素子表面を形成する工程を含み、光軸は光学フッ化物結晶の<100>結晶方位に合せられる。
【0008】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、約194nmより短い波長の光を透過させるための光学素子を含む。本光学素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、本光学素子は<100>結晶方位に合せられた光軸を有する。
【0009】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、最小の固有複屈折で194nmより短波長の光が透過するレンズを含む。本レンズは、曲面の光学表面と、<100>結晶方位に合せられ、{100}結晶面に垂直な光軸とを有する。
【0010】
本発明は最小の固有複屈折で194nmより短波長の光が透過する正六面体のビームスプリッターを含む。本正六面体ビームスプリッターは、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、本正六面体ビームスプリッターの表面は{100}結晶面に平行であり、光軸は<100>結晶方位に合せられている。
【0011】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明で述べられ、当業者には、ある程度はその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本明細書の記述及び特許請求の範囲に説明され添付図面にも示されるように本発明を実施することにより認められるであろう。
【0012】
上述の一般的説明及び以下の詳細な説明は本発明の例示に過ぎず、特許請求される本発明の性質及び特徴を理解するための概観または枠組の提供が目的とされていることは当然である。
【0013】
添付図面は本発明のさらなる理解を図るために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。図面は本発明の1つまたはそれより多くの実施形態を示し、記述とともに本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【非特許文献1】
エイチ・エイ・ローレンツ(H. A. Lorentz),論文集III,p.314
【非特許文献2】
ジェイ・エフ・ナイ(J. F. Nye)著,「結晶の物理的特性」
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、複屈折が最小の光軸に沿って、193nmまたは157nmのような、約194nmより短波長の光を透過させるための、<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子30の作成方法を含む。本方法は、光入射面が{100}結晶面34の光学素子用光学フッ化カルシウム結晶32を提供する工程を含む。本方法は、光入射面の{100}結晶面34から光軸38を有する光リソグラフィ素子30の光リソグラフィ素子表面36を形成する工程を含み、光軸38は光学フッ化カルシウム結晶32の<100>結晶方位40に合せられる。一実施形態において、形成する工程は、フッ化カルシウム結晶32から曲面の光学素子表面44をもつレンズ素子42を形成する工程を含む。形成されたレンズ素子42は、フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位40に合せられた、{100}フッ化カルシウム結晶面34に垂直な、レンズ光軸38を有する。一実施形態において、形成する工程は、光学フッ化カルシウム結晶32から、フッ化カルシウム結晶32の{100}結晶面34に平行な正六面体ビームスプリッター表面48及び<100>結晶方位40に合せられたビームスプリッター光軸38をもつ正六面体ビームスプリッター46を形成する工程を含む。
【0015】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子30を含む。光リソグラフィ素子30は{100}結晶面34及び<100>結晶方位40をもつ光学フッ化カルシウム結晶32からなる。光リソグラフィ素子30は、フッ化カルシウム結晶32の<100>結晶方位40に合せられた光軸38を有する。光リソグラフィ素子30の光学素子表面は光軸38に垂直であることが好ましく、光学表面は結晶の{100}結晶面に合わせて形成されていることが好ましい。一実施形態において、フッ化カルシウム結晶光学素子はレンズである。一実施形態において、フッ化カルシウム結晶光学素子はビームスプリッターである。
【0016】
本発明は、複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるためのフッ化物結晶光学素子の作成方法を含む。本方法は、193nm波長または157nm波長のような、194nmより短波長で動作するリソグラフィシステム用の立方晶系フッ化物結晶光リソグラフィ素子を作成する工程を含むことが好ましい。本方法は、光入射面が{100}結晶面34である光学素子用光学フッ化物結晶32を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光学フッ化物結晶32の<100>結晶方位40に合せられた光軸38を有する光学素子30の光学素子表面36を形成する工程を含む。一実施形態において、形成する工程は、光学フッ化物結晶32から曲面の光学素子表面44をもつレンズ素子42を形成する工程を含み、レンズ素子42は、結晶32の<100>結晶方位40に合せられた、結晶32の{100}結晶面34に垂直な、レンズ光軸38を有する。好ましい実施形態において、円錐角θが少なくとも35.26°の光線円錐を出射するためのレンズ素子42が、結晶32から形成される。別の実施形態において、正六面体ビームスプリッター表面48が結晶32の{100}結晶面34に平行で、ビームスプリッター光軸38が結晶32の<100>結晶方位40に合せられた、正六面体ビームスプリッター46が、結晶32から形成される。好ましい実施形態において、194nmより短波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するための正六面体ビームスプリッターが結晶32から形成され、入り光線はある角度で正六面体に入射する。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光線に使用するための、結晶32の<100>([100],[010],[001])方位に合せられた光軸に沿って光線が進む、干渉法正六面体ビームスプリッターが結晶32から形成される。好ましい実施形態において、固有複屈折が最小限に抑えられた光学素子30が結晶32から形成され、光学素子は、素子を透過する光が{100}結晶面に垂直ではない場合の、194nmより短波長の光学的用途に使用するための素子である。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はカルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、基本的に194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はバリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2からなることが最も好ましい。
【0017】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、約194nmより短波長の光を透過させるための光学素子を含む。光学素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、光学素子は<100>結晶方位に合せられた光軸を有する。好ましい実施形態において、光学素子は、光リソグラフィシステムにおける193nm波長または157nm波長のような、194nmより短波長のリソグラフィ光を透過させるための、194nmより短波長の光に用いるリソグラフィ素子である。光学素子30は194nmより短波長の光を光軸38に沿って透過させる。光学素子30は、{100}結晶面34及び<100>結晶方位40をもつ立方晶系光学フッ化物結晶32からなり、光軸38は<100>結晶方位40に合せられ、{100}結晶面34に垂直である。光学素子30は、{100}結晶面34に合せられ、光学素子の<100>結晶方位の光軸に垂直な光学素子表面36を有する。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32はカルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30は曲面の光学表面及び<100>結晶方位に合せられたレンズ光軸38をもつレンズ素子である。レンズ素子は円錐角が少なくとも35.26°の光線円錐に対応する円錐角θを有することが好ましく、光線は{100}結晶面に垂直ではない。一実施形態において、光学素子30は正六面体ビームスプリッターであり、正六面体ビームスプリッター表面48は{100}結晶面に平行であって、ビームスプリッター光軸は<100>結晶方位に合せられている。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッターは、<194nm波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するためのリソグラフィ素子であり、入り光線は正六面体にある角度で入射することが好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッターは194nmより短波長の光線で使用するための干渉法正六面体ビームスプリッターであり、光線は<100>結晶方位に一致する光軸に沿って進む。光学素子30は、194nmより短波長において固有複屈折を最小限に抑えるようになっている。
【0018】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、194nmより短波長の光が透過するレンズ42を含み、レンズ42は曲面の光学表面44及び光軸38を有する。レンズ光軸38は<100>結晶方位に合せられ、{100}結晶面に垂直である。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、カルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2だけからなることが最も好ましい。レンズ素子は円錐角が少なくとも35.26°の光線円錐に対応する円錐角θを有することが好ましい。光学結晶レンズ素子は、{100}結晶面34に垂直ではない194nmより短波長の光線において固有複屈折を最小限に抑えるようになっていることが好ましい。
【0019】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター48を含み、正六面体ビームスプリッター46は、{100}結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面48を有し、<100>結晶方位に合せられたビームスプリッター光軸を有する。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用の立方晶系光学フッ化物結晶は、カルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、立方晶系結晶は、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2だけからなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用の立方晶系光学フッ化物結晶は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用立方晶系光学フッ化物結晶は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2だけからなることが最も好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッター46は、193nmまたは157nmのような、リソグラフィ波長で使用するためのリソグラフィ素子である。リソグラフィ素子ビームスプリッターは、<194nm波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するためのビームスプリッターであり、入り光線は正六面体表面48にある角度で入射することが好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッター46は、194nmより短波長の光線で使用するための干渉法光学素子であり、光線は結晶の<100>結晶方位に合せられた軸に沿って進む。正六面体ビームスプリッター光学素子46には、立方晶系フッ化物結晶32の<100>結晶方位を利用することによる、194nmより短波長における固有屈折率を最小限に抑えるようになっている。
【0020】
これまでは、複屈折に関する立方晶系結晶の問題は、結晶成長過程の結果としての、応力複屈折にともなう問題に関するものであった。関心は、光入射面が、応力複屈折の効果が最小限に抑えられる面である{111}面の結晶を使用するための選択方位に向けられていた。
【0021】
しかし、立方晶系結晶には、これまで問題にされていなかった固有複屈折がある。この複屈折は応力には全く関わらない。固有複屈折は、さらに波長が短くなると、応力複屈折と同程度になる。直感的には、CaF2またはBaF2のような立方晶系結晶材料は光学的に等方性であると思われる。言い換えれば、任意のいかなる方向での光伝搬に対しても、屈折率または誘電テンソルは同じである。そうであれば、立方晶系結晶は等方的光学特性をもつガラスに類似する。立方晶系結晶については、光の波長が原子間距離に比較して非常に長い範囲内でしか上記の描像が成立しないことがわかる。さらに短い波長で立方晶系結晶材料が用いられると、光応答への追加の寄与がもはや無視できない。そのような追加の寄与により、屈折率の方向依存性、すなわち固有複屈折が生じる。この複屈折は応力関連複屈折ではないことに注意することが重要である。この複屈折は、全ての立方晶系結晶の固有特性であり、アニールで取り除くことはできない。
【0022】
上記の固有複屈折は対称な<111>または<100>方位に伝搬する光に対しては消滅するが、<110>方位に進む光に対して最大値に達することが示される。
【0023】
{111}結晶面を用いて光学素子の光入射面を形成することによりCaF2光学素子を作成することが、これまでの常であった。光が{111}面に垂直な方位(または等価的に対称性の高い方位)以外の方位に透過伝搬するであろう光学素子の作成では、本明細書に説明される固有複屈折が問題となり得る場合が現れる。
【0024】
3つの例が添付図面に示される。初めの2つの例は短波長における結像用途に関する。第1の例は、光学素子自体が曲率を有する場合である(図1)。円錐角θが少なくとも:
【数1】
【0025】
にある光線円錐を含む事例を考察する。この円錐には<110>方位が含まれ、複屈折のピークがいくつかの位置で観察されるはずである。12の等価な<110>方位の内3つだけが、[111]に対して90°より小さい範囲内にある。その3つは、[110],[101],[011]である。光円錐はこれらの3つの方位を含むから、等価な3つの複屈折のピークが、互いに120°離れて、透過強度に観測されるはずである。次に、光入射面として{100}面を用いること以外は同じ場合を考察すれば、同じ複屈折に対して光円錐がより大きな角度を掃引することを示すことができる。言い換えれば、{100}面を用いた場合は、同じ円錐角でより小さな複屈折が得られる。
【0026】
第2の例は、偏光を配送するために平面正六面体ビームスプリッターとともに曲面ミラーが用いられる場合である(図2)。この構成では1/4波長板も備えられる。本例では、曲面ミラーからの反射により、入り光線が正六面体にある角度で入射する。これは、図1に示される状況と関連する状況であり、この場合にも固有複屈折を最小限に抑える上で{100}面が利点を提供するはずである。
【0027】
最後に、フッ化カルシウムを利用する干渉計応用も{100}面の有用性を認識することにより恩恵を受けることになろう。この状況が図3に簡略に示される。<111>方位に光線1が進めば、光線1は複屈折を受けない。しかし、この場合、<110>方位は<111>方位に対して直角方向にあるから、光線3は<110>方位の1つに進まなければならず、最大の複屈折を受ける。
【0028】
あるいは、結晶の<100>方位に光線1が進めば、光線3は<010>方位に進むことができる。これらの方位のいずれにおいても複屈折はゼロである。この手法により干渉計構成において波長板が無用になるであろう。
【0029】
遭遇する固有複屈折の大きさを最小限に抑える方位の使用が関わるのは、波面の完全性が死命を制する用途である。これには、短波長リソグラフィ及び干渉計機能が含まれる。
【0030】
固有複屈折は、立方晶系結晶の{111}面及び{100}面ではゼロであり、{110}面で最大になる。特に、光学素子を透過する光が結晶面に垂直ではない場合に、複屈折の効果を最小限に抑えるには{100}面が好ましいことが提案される。
【0031】
図3において、正六面体ビームスプリッターで、光は光路1に沿って入射し、材料内の路長が等しい光路2及び3に分割される、固有複屈折は、<110>方位でゼロではなく、<111>方位及び<100>方位でゼロである。自然発生複屈折の効果を避けるため、発明者等は、結晶の{100}面(または等価な面)が光学素子の光入射面であるような正六面体光学素子を作成した。この場合、図3に示される光線3は{010}面か、または{100}面に等価な面から出て来るであろう。したがって、図3の、入射光線、透過光線及び反射光線は固有複屈折を受けないであろう。
【0032】
ここで、CaF2及びその他の立方晶系結晶の固有複屈折の簡単な物理的描像を説明し、短波長でしか観察されることのない、立方晶系結晶の固有複屈折率の数学的解析も説明する。
【0033】
通常、CaF2のような立方晶系結晶は、その立方対称性により固有複屈折は無視可能であると見なされている(発明者等は残留応力により誘起される複屈折は考慮していない)。しかし、光の波長が短くなると、光波は異なる伝搬方向に対して若干異なる環境にさらされる。この効果は、波長の二乗の逆数に比例する固有複屈折を生じさせる、追加の対称性破綻項として定量的に表現される。この複屈折のレベルは、157nm及び193nmにおける光学性能に有害となる可能性がある。
【0034】
論じられる、1/λ2に比例する対称性破綻項は、基本原理により立方晶系で生じると考えられる。同じく基本原理から、この項はガラスのような完全に等方性の材料には存在しない。固有複屈折は、<111>及び<100>のような、対称性の高い一定の伝搬方位に対しては消滅し、中間の<110>方位で最大値に達する。したがって、例えば、<111>方位にある一般的光軸を進行している光は固有複屈折を受けない。
【0035】
非特許文献1による固有複屈折値の大きさの概略の推定(式(0.1)):
【数2】
【0036】
があり、ここでΔnは複屈折、nは屈折率、aは代表的結合距離としてとることができる特性長、λは光の波長である。λ=147nmに対する推定値を得るため、CaF2に対する文献値、n=1.589及び結合距離0.2365nmをとると、Δn=13×10−6m/mすなわち130nm/cmが得られる。ローレンツの推定は、約5倍大きいと考えられる。この推定は、正しい1/λ2依存性をもつ極めて大まかな近似と見なされる。
【0037】
効果が<110>方位で最大になり、<100>及び<111>方位で消滅する理由を理解するためには、正六面体の対称性を考えればよい。正六面体のx,yまたはz軸(すなわち<100>方位)を眺めると、90°回転する毎に正六面体体の配向が回転前の配向に一致することがわかる(4回回転対称性)。同様に、正六面体の対角線(すなわち<111>方位)を眺めると、3回回転対称性があることがわかる。これらの回転対称性はいずれも、回転軸に垂直な平面にあるいかなる2次元ベクトルの成分も混合するに十分であり、それぞれの軸を直進する光波のいかなる複屈折も消滅させる。正六面体を<110>方位で眺めると(例えば、正六面体の面の対角線方向に眺めると)、明らかに、2回回転対称性しかもたない矩形対称性が見える。2回回転対称性はベクトル成分を混合せず、よって複屈折がおこり得る。これが、複屈折が最大の方位であることがわかる。
【0038】
いきなり数学に入る前に、光円錐複屈折に対するもう1つの描像を考察する。平均方位が<111>である光円錐では、角度が少なくとも:
【数3】
【0039】
(CaF2での設計では42°に達し得る)にある光線を光円錐が含んでいれば、<110>方位が含まれ、いくつかの位置で複屈折のピークが観察されるはずである。等価な12の<110>方位の内の3つだけが<111>方位に対して90°より小さい角度範囲内にある。それらは、[110],[101],[011]である。これらの3つの方位が光円錐に含まれるから、3つの等価な複屈折のピークが互いに120°離れて透過強度に観測されるはずである。
【0040】
数学的詳細に関する本節は、第一原理から導かれる誘電テンソルについての基本式で始められ、いくつかの重要な式及び結果を導く。本節は、<100>及び<111>方位に沿う固有複屈折の消滅を証明するため、等方性材料における固有複屈折の消滅を示すため(代数に関するチェックの一種)、及び<110>方位に対する非ゼロの結果を示すために、重要である。<110>方位にある光に対しては、詳細な解析により主光軸の方向も与えられる。
【0041】
非ゼロの光子波動ベクトル:
【数4】
【0042】
を含む、誘電テンソルについての一般式(0.2)は:
【数5】
【0043】
であり、ここでRμ vijはεへの非ゼロ波動ベクトルの影響を表わす、新しい4階テンソルである。この式は光応答に対する基礎量子力学から導かれる。従来の誘導のほとんどでは、通常は非常によい近似であることから:
【数6】
【0044】
の極限がとられる。歪と屈折率変化を関係付ける4階の歪光学すなわち光弾性テンソルpijklとの密接な類推を維持するため、q依存屈折率変化を式(0.3):
【数7】
【0045】
と定義する。ここでΔBμ vは相対反誘電テンソルBijのq=0のときの値からの変化である(Bij及び関連するテンソルは、非特許文献2のp.243で定義され、論じられている。Bijは誘電テンソルの逆テンソルである)。ここで定義されるテンソルPijklは、同様に定義することができるかもしれないし、できなきかもしれないから、実値に適用する場合は慎重な比較が必要である。立方晶系においては、4階テンソルは一意的な非ゼロ成分を3つしかもたない。縮約表現を用いれば(非特許文献2を参照されたい)、これらの成分は、式(0.4):
【数8】
【0046】
すなわちP11,P12及びP44である。同じ3つのテンソル成分が立方晶系結晶材料の光弾性応答(もちろん異なるテンソルであるが、同じ変換特性をもつ)の特性を完全に表現することに注意されたい。
【数9】
【0047】
でつくられるダイヤードは、縮約された屈折率表現と同形になるように変形されなければならない。
【数10】
【0048】
を表わす3×3テンソル(ダイヤード)は6成分をもつ列ベクトル(0.5):
【数11】
【0049】
で置き換えられる。
【0050】
倍数2は、より嵩高の原4階テンソルの屈折率和を縮約された屈折率積で再現するために必要である。これらの定義を用いれば、式(0.3)を式(0.6):
【数12】
【0051】
に書き換えることができる。
【0052】
3つの定数P11,P12及びP44に対する測定値または理論計算値が与えられれば、式(0.6)は立方晶系において反誘電テンソル成分が短波長でどのように変形されるかを正確に示す。さらなる解析には、成分q1,q2及びq3がわかるように、光子波動ベクトル:
【数13】
【0053】
に対して与えられるいずれかの方位を指定する必要がある(異なるPテンソルを定義することも可能であることに注意されたい。定義は結果を比較する前に慎重にチェックされるべきである)。反誘電テンソルは、式(0.7):
【数14】
【0054】
により屈折率楕円体を定義するために用いられる。
【0055】
したがって、Bijの小さな変化により、(複屈折を含む)屈折率の変化及び主屈折率軸(Bの固有ベクトル)の変化が生じる。立方晶系結晶については:
【数15】
【0056】
の極限において、反誘電テンソルは対角テンソルであって、屈折率nに対しては1/n2の、3つの同じ固有値を有する。すなわち、ここでの立方晶系に対し、B11(0),B22(0)及びB33(0)はそれぞれ1/n2である。
【0057】
[100]に沿う複屈折は上述の論拠により消滅すると考えられるが、チェックとして:
【数16】
【0058】
に対して式(0.6)を適用する。すると、反誘電テンソルの成分は式(0.8):
【数17】
【0059】
になる。
【0060】
この場合の反誘電テンソルは未だに対角テンソルであるが、対角上のそれぞれの要素はもはや同じ値ではないことに注意されたい。しかし、光は横波であるから、B22及びB33成分だけがここの[100]方位に進む光の場合に関係する。このような簡単な場合には、[100]に垂直ないかなる偏光にも対応する2つの等しい固有値がある。固有複屈折はこれらの2つの等しい値の差、すなわちゼロである。複屈折は消滅しても、実屈折率はこの項により若干変化する。変化した屈折率は式(0.9):
【数18】
【0061】
で与えられる。
【0062】
複屈折の有無にかかわらず、立方晶系結晶において異なる方位に伝搬する光に対して、屈折率は1ppm程度変化し得ることがわかるであろう(再度、非特許文献2のp.252を参照されたい)。そのような屈折率の固有変化は、レンズ設計モデル作成において、固有複屈折に加えて、考慮されるべきである。
【0063】
< 111 > の場合
<100>と同様に、<111>軸に沿って伝搬する光に関する複屈折の消滅に対する対称性の論拠が既に与えられている。それにもかかわらず、代数演繹を遂行してこれを示すことには意義がある。波動ベクトル:
【数19】
【0064】
を考える。正規化係数は、絶対値が:
【数20】
【0065】
ではなく、qであるように選ばれる。反誘電テンソルの成分は式(0.10):
【数21】
【0066】
になる。
【0067】
この場合、反誘電テンソルは対角テンソルではなく、よって、異なる偏光及び関係する複屈折に対して屈折率がいくらであるかは明白ではない。(何らかの処理後に)主軸及び主屈折率を与える、反誘電テンソルの固有ベクトル及び固有値が必要である。反誘電テンソルの形は、式(0.11):
【数22】
【0068】
の3×3行列である。
【0069】
この行列は、固有ベクトル:
【数23】
【0070】
にともなう1つの固有値(a+2b)を有し、固有ベクトル:
【数24】
【0071】
及び
【数25】
【0072】
にともなう2つの縮重固有値(a−b)を有する(2つの固有値が同じであるから、これらの固有ベクトルのいかなる線形結合も固有ベクトルである)。第1の主軸は伝搬方向に沿い、したがって無関係である。第2の2つは偏光がとり得る主軸であるが、固有値(及び屈折率)が同じであるから、やはり複屈折は生じない。{100}の場合と同様に、実屈折率は若干変化し、この場合は式(0.12):
【数26】
【0073】
の値になる。
【0074】
但し、固有複屈折はゼロである。
【0075】
< 110 > の場合
発明者等は、<110>方位に対しては複屈折が消滅しないであろうことを対称性から論じた。
【0076】
以下の代数的証明も固有複屈折に対する定量式を与える。光子波動ベクトル:
【数27】
【0077】
を考える。反誘電テンソルは、式(0.13):
【数28】
【0078】
になる。反誘電テンソルの形は、式(0.14):
【数29】
【0079】
の3×3行列であり、式(0.15):
【数30】
【0080】
の固有値及び固有ベクトルがともなう。
【0081】
光は第1の固有ベクトルと同じ方向に進み、よって第2及び第3の固有ベクトルは屈折率に対する主軸を表わす。ここで、ついに、式(0.16):
【数31】
【0082】
で表わされる、{−1,1,0}及び{0,0,1}に沿う偏光に対してq2程度異なる屈折率値に遭遇する。{110}方位に進む光に対する複屈折は式(0.17):
【数32】
【0083】
の最大BR値を有する。
【0084】
上式は非常に重要な式である。この式はテンソル成分と最大固有複屈折の間の関係を与える。
【0085】
ガラスは、または全ての方向で(平均して)全く同じであると見なされ得るいかなる材料も、立方晶系結晶よりさらに高い対称性を有する。等方性材料においては、4階テンソルには、P11及びP12としてとられ得る、2つの独立成分しかない。等方性材料は、関係式(0.18):
【数33】
【0086】
にしたがう。
【0087】
全ての方向が等価であるから、<110>方位における光伝搬を考え、非ゼロの複屈折を求めることができる。そこで式(0.17)を、ただし式(0.18)とともに、適用すれば、BR=0となることがわかる。<100>または<111>方位でBR=0であることを容易に考察し得た以上、そうでなければならない。全ての方向が等価であるから、固有複屈折は全ての方向で消滅しなければならない。これはガラスの重要な利点である。
【0088】
屈折率対方位
屈折率楕円体または反誘電テンソルBijが与えられれば、様々な偏光及び光伝搬方向に対して屈折率を定めることが可能である。これは、レンズ設計または収差モデル化を行うために必要な種類の情報である。しかし、上で示したように、伝搬方向が異なればテンソルBij自体が変わるため、固有複屈折に対しては問題がさらに複雑になる。式(0.6)は全ての情報を与えるが、q1,q2及びq3で与えられる方向の選択毎に処理が必要である。何らかの単純化が可能であるべきである。例えば、xy平面に等価ないかなる平面でのベクトルの回転にともなう方位に対しても、方位は:
【数34】
【0089】
の順に経て、再び[100]に戻る。これらの回転から考えられるように、複屈折は、式(0.19):
【数35】
【0090】
にしたがい、0から式(0.17)で与えられるピーク値になり、次いで0に戻るサイクルを4回とる。ここでθはx軸からの角度である。光線方向が立方晶系結晶面に平行な面にない場合にはさらに複雑になる。
【0091】
様々な波長における複屈折への固有の寄与を見積もるため、最大複屈折方位だけを考え、157nmにおいて6.5nm/cmの値をとることにする。考察する式は式(0.17)、すなわち式(0.20):
【数36】
【0092】
である。
【0093】
CaF2の屈折率変化に対して、セルマイヤーの式はn(157nm)=1.5586を与える。q=2π/λを用いてBR=6.5nm/cmに合せ込むためには、[(P11−P12)/2−P44]=0.000214nm2であると推定される。これらのテンソル成分は、分散対波長が小さいと考えられるが、これは波長が長くなれば小さくなると思われる。この結果、予測される固有複屈折は実際に観測されるはずの固有複屈折よりやや大きくなるであろう。したがって、157nmからの値にテンソル要素を合せ込み、ただし屈折率及びqの分散を考慮すれば、下表:
【表1】
【0094】
を構成することができる。
【0095】
147nmにおける複屈折は633nmにおける複屈折より26倍大きく、その内の18倍分は1/λ2により、残りはq=0における屈折率変化による。これらの推定値が正しければ、<110>方位で見られる固有複屈折は、633nmにおいてはかなり小さいが、193nmでは容易に観測可能なはずである。測定値は253.65nmにおいて1.2nm/cmを与え、これを推定値の2.1と比較すれば、P定数の分散により、633nmでの結果はさらに小さくなる。
【0096】
<100>,<111>及び<110>からの方位ずれにより生じる複雑性を示すため、xy平面にあるがある角度で(例えば{100}と{110}の間を)進む光線方向を考れば、波動ベクトルは式(0.21):
【数37】
【0097】
である。
【0098】
この場合に対する固有ベクトルは:
【数38】
【0099】
に単に沿いもせず:
【数39】
【0100】
に垂直でもない。この場合の光線方向は固有ベクトルではないことに注意することが重要である。先に考察した対称性が高い場合の全てにおいて、光線方向は固有ベクトル(主方向)の1つであったが、これは、式(0.21)のようなより一般的な波動ベクトルに対しては明らかに当てはまらない。P44=(P11−P12)/2とされる特殊な場合には、光線方向は必ず、固有値1/n2+P11q2をもつ固有ベクトルであり、もう1つの固有ベクトルは、縮重固有値1/n2+P12q2をもち、先の固有ベクトルに垂直な平面にある。このことは、ガラスにおけるように、等方性であることの帰結を表わしているに過ぎない。
【0101】
波動ベクトル:
【数40】
【0102】
に対する固有値は、式(0.22):
【数41】
【0103】
で与えられる。
【0104】
これは光線方向にともなう屈折率の明示的な変化を示すが、面内固有ベクトルが計算されない限り、使用し難い(もう1つの固有ベクトルは{001}である)。
【0105】
本発明は、結晶を透過する光の波長の短さに関係する固有複屈折を最小限に抑えるに好ましい<100>結晶方位を有する光学素子をもつ、194nmより短波長の光を用いる短波長光学系に用いるための、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムのような立方晶系フッ化物結晶、好ましくはCaF2から形成された光学素子を提供する。
【0106】
本発明の精神または範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変更が添付される特許請求項及びそれらの等価物の範囲内に入れば、本発明はそれらの改変及び変更を包含するとされる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図1a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図1b】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図2】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図2a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図3】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図3a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【符号の説明】
【0108】
30 光リソグラフィ素子
32 光学フッ化カルシウム結晶
34 {100}結晶面
38 光軸
40 <100>結晶方位
42 レンズ素子
46 ビームスプリッター
【0001】
本出願はエヌ・エフ・ボレッリ(N. F. Borrelli),ディー・シー・アラン(D. C. Allan),シー・エム・スミス(C. M. Smith)及びビー・ディー・ストーン(B. D. Stone)により2001年5月16日に出願された、名称を「好ましい結晶方位をもつ立方晶材料光学素子」とする、米国仮特許出願第60/291424号の恩典を特許請求し、上記出願の明細書を参照として含む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、全般的には、短波長光学系及びこの光学系に使用するための素子、投影光リソグラフィ方法及び光リソグラフィに関し、特に、光リソグラフィシステムに使用するための光リソグラフィ用フッ化物結晶素子及び、193nm領域及び157nm領域の波長を利用する紫外(UV)光リソグラフィシステムのような、194nmより短いUV波長光を利用する短波長光学系に関する。
【背景技術】
【0003】
194nmより短い紫外波長の光を利用する投影光リソグラフィ方法/システムは、形状寸法を小さくするという点で恩恵を供する。157nm波長領域及び193nm波長領域の紫外波長を利用する、そのような方法/システムには、最小寸法がさらに縮小された集積回路の製造能力を向上させる可能性があるが、集積回路の大量生産における194nmより短波長のUV光の工業的使用及び採用は遅々としている。半導体工業による194nmより短波長のUV光への進展の遅れの一部は、そのような短波長において高い性能をもつ、経済的に製造できる立方晶系フッ化物結晶光学素子がなかったことによる。集積回路の製造に利用される予定の、フッ素エキシマーレーザの発光スペクトルウインドウのような157nm領域及びArFエキシマーレーザ発光スペクトルのような193nm領域における紫外光リソグラフィの恩恵のため、有用な光学特性を有し、194nmより短波長のUV光子用に設計および利用できるフッ化物結晶光学素子が必要とされている。フッ化アルゴンは〜193nmで発光し、フッ素(F2)エキシマーは〜157nmで発光する。様々な光学的用途において、そのような194nmより短波長の光を使用できることが好ましい。フッ素(F2)レーザ及びフッ化アルゴンレーザを備える光システムに使用する場合に、光学素子に好ましい結晶材料は、立方晶系フッ化物結晶のフッ化カルシウムであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
194nmより短波長の光に対して有用な光学特性を有するフッ化物結晶光学素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は固有複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子の作成方法を含む。本方法は、光入射面が{100}結晶面の光学素子用フッ化カルシウム結晶を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光軸を有する光リソグラフィ素子の光リソグラフィ素子表面を形成する工程を含み、光軸はフッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せられる。
【0006】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子を含む。本光リソグラフィ素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ光学フッ化カルシウム結晶からなり、光学素子は<100>フッ化カルシウム結晶方位に合せられた光軸を有する。
【0007】
本発明は固有複屈折が最小の光軸に沿って短波長(<194nm)の光を透過させるためのフッ化物結晶光学素子の作成方法を含む。本方法は光入射面が{100}結晶面の光学素子用光学フッ化物結晶を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光軸を有する光学素子の光学素子表面を形成する工程を含み、光軸は光学フッ化物結晶の<100>結晶方位に合せられる。
【0008】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、約194nmより短い波長の光を透過させるための光学素子を含む。本光学素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、本光学素子は<100>結晶方位に合せられた光軸を有する。
【0009】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、最小の固有複屈折で194nmより短波長の光が透過するレンズを含む。本レンズは、曲面の光学表面と、<100>結晶方位に合せられ、{100}結晶面に垂直な光軸とを有する。
【0010】
本発明は最小の固有複屈折で194nmより短波長の光が透過する正六面体のビームスプリッターを含む。本正六面体ビームスプリッターは、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、本正六面体ビームスプリッターの表面は{100}結晶面に平行であり、光軸は<100>結晶方位に合せられている。
【0011】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明で述べられ、当業者には、ある程度はその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本明細書の記述及び特許請求の範囲に説明され添付図面にも示されるように本発明を実施することにより認められるであろう。
【0012】
上述の一般的説明及び以下の詳細な説明は本発明の例示に過ぎず、特許請求される本発明の性質及び特徴を理解するための概観または枠組の提供が目的とされていることは当然である。
【0013】
添付図面は本発明のさらなる理解を図るために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。図面は本発明の1つまたはそれより多くの実施形態を示し、記述とともに本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【非特許文献1】
エイチ・エイ・ローレンツ(H. A. Lorentz),論文集III,p.314
【非特許文献2】
ジェイ・エフ・ナイ(J. F. Nye)著,「結晶の物理的特性」
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、複屈折が最小の光軸に沿って、193nmまたは157nmのような、約194nmより短波長の光を透過させるための、<194nm波長光透過フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子30の作成方法を含む。本方法は、光入射面が{100}結晶面34の光学素子用光学フッ化カルシウム結晶32を提供する工程を含む。本方法は、光入射面の{100}結晶面34から光軸38を有する光リソグラフィ素子30の光リソグラフィ素子表面36を形成する工程を含み、光軸38は光学フッ化カルシウム結晶32の<100>結晶方位40に合せられる。一実施形態において、形成する工程は、フッ化カルシウム結晶32から曲面の光学素子表面44をもつレンズ素子42を形成する工程を含む。形成されたレンズ素子42は、フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位40に合せられた、{100}フッ化カルシウム結晶面34に垂直な、レンズ光軸38を有する。一実施形態において、形成する工程は、光学フッ化カルシウム結晶32から、フッ化カルシウム結晶32の{100}結晶面34に平行な正六面体ビームスプリッター表面48及び<100>結晶方位40に合せられたビームスプリッター光軸38をもつ正六面体ビームスプリッター46を形成する工程を含む。
【0015】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、194nmより短波長の光を透過させるための<194nm波長フッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子30を含む。光リソグラフィ素子30は{100}結晶面34及び<100>結晶方位40をもつ光学フッ化カルシウム結晶32からなる。光リソグラフィ素子30は、フッ化カルシウム結晶32の<100>結晶方位40に合せられた光軸38を有する。光リソグラフィ素子30の光学素子表面は光軸38に垂直であることが好ましく、光学表面は結晶の{100}結晶面に合わせて形成されていることが好ましい。一実施形態において、フッ化カルシウム結晶光学素子はレンズである。一実施形態において、フッ化カルシウム結晶光学素子はビームスプリッターである。
【0016】
本発明は、複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるためのフッ化物結晶光学素子の作成方法を含む。本方法は、193nm波長または157nm波長のような、194nmより短波長で動作するリソグラフィシステム用の立方晶系フッ化物結晶光リソグラフィ素子を作成する工程を含むことが好ましい。本方法は、光入射面が{100}結晶面34である光学素子用光学フッ化物結晶32を提供する工程及び{100}結晶面の光入射面から光学フッ化物結晶32の<100>結晶方位40に合せられた光軸38を有する光学素子30の光学素子表面36を形成する工程を含む。一実施形態において、形成する工程は、光学フッ化物結晶32から曲面の光学素子表面44をもつレンズ素子42を形成する工程を含み、レンズ素子42は、結晶32の<100>結晶方位40に合せられた、結晶32の{100}結晶面34に垂直な、レンズ光軸38を有する。好ましい実施形態において、円錐角θが少なくとも35.26°の光線円錐を出射するためのレンズ素子42が、結晶32から形成される。別の実施形態において、正六面体ビームスプリッター表面48が結晶32の{100}結晶面34に平行で、ビームスプリッター光軸38が結晶32の<100>結晶方位40に合せられた、正六面体ビームスプリッター46が、結晶32から形成される。好ましい実施形態において、194nmより短波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するための正六面体ビームスプリッターが結晶32から形成され、入り光線はある角度で正六面体に入射する。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光線に使用するための、結晶32の<100>([100],[010],[001])方位に合せられた光軸に沿って光線が進む、干渉法正六面体ビームスプリッターが結晶32から形成される。好ましい実施形態において、固有複屈折が最小限に抑えられた光学素子30が結晶32から形成され、光学素子は、素子を透過する光が{100}結晶面に垂直ではない場合の、194nmより短波長の光学的用途に使用するための素子である。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はカルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、基本的に194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はバリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学フッ化物結晶32はストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2からなることが最も好ましい。
【0017】
本発明は、固有複屈折を最小限に抑えて、約194nmより短波長の光を透過させるための光学素子を含む。光学素子は{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、光学素子は<100>結晶方位に合せられた光軸を有する。好ましい実施形態において、光学素子は、光リソグラフィシステムにおける193nm波長または157nm波長のような、194nmより短波長のリソグラフィ光を透過させるための、194nmより短波長の光に用いるリソグラフィ素子である。光学素子30は194nmより短波長の光を光軸38に沿って透過させる。光学素子30は、{100}結晶面34及び<100>結晶方位40をもつ立方晶系光学フッ化物結晶32からなり、光軸38は<100>結晶方位40に合せられ、{100}結晶面34に垂直である。光学素子30は、{100}結晶面34に合せられ、光学素子の<100>結晶方位の光軸に垂直な光学素子表面36を有する。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32はカルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30の光学フッ化物結晶32は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、結晶は基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、光学素子30は曲面の光学表面及び<100>結晶方位に合せられたレンズ光軸38をもつレンズ素子である。レンズ素子は円錐角が少なくとも35.26°の光線円錐に対応する円錐角θを有することが好ましく、光線は{100}結晶面に垂直ではない。一実施形態において、光学素子30は正六面体ビームスプリッターであり、正六面体ビームスプリッター表面48は{100}結晶面に平行であって、ビームスプリッター光軸は<100>結晶方位に合せられている。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッターは、<194nm波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するためのリソグラフィ素子であり、入り光線は正六面体にある角度で入射することが好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッターは194nmより短波長の光線で使用するための干渉法正六面体ビームスプリッターであり、光線は<100>結晶方位に一致する光軸に沿って進む。光学素子30は、194nmより短波長において固有複屈折を最小限に抑えるようになっている。
【0018】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、194nmより短波長の光が透過するレンズ42を含み、レンズ42は曲面の光学表面44及び光軸38を有する。レンズ光軸38は<100>結晶方位に合せられ、{100}結晶面に垂直である。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、カルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過するレンズ用の光学フッ化物結晶は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2だけからなることが最も好ましい。レンズ素子は円錐角が少なくとも35.26°の光線円錐に対応する円錐角θを有することが好ましい。光学結晶レンズ素子は、{100}結晶面34に垂直ではない194nmより短波長の光線において固有複屈折を最小限に抑えるようになっていることが好ましい。
【0019】
本発明は、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなる、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター48を含み、正六面体ビームスプリッター46は、{100}結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面48を有し、<100>結晶方位に合せられたビームスプリッター光軸を有する。好ましい実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用の立方晶系光学フッ化物結晶は、カルシウムを含み、フッ化カルシウムからなることが好ましく、立方晶系結晶は、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのCaF2だけからなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用の立方晶系光学フッ化物結晶は、バリウムを含み、フッ化バリウムからなることが好ましく、基本的に、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのBaF2からなることが最も好ましい。一実施形態において、194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター用立方晶系光学フッ化物結晶は、ストロンチウムを含み、フッ化ストロンチウムからなることが好ましく、194nmより短波長の光の内部透過率が少なくとも99%/cmのSrF2だけからなることが最も好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッター46は、193nmまたは157nmのような、リソグラフィ波長で使用するためのリソグラフィ素子である。リソグラフィ素子ビームスプリッターは、<194nm波長の偏光を配送するための曲面ミラーとともに使用するためのビームスプリッターであり、入り光線は正六面体表面48にある角度で入射することが好ましい。好ましい実施形態において、正六面体ビームスプリッター46は、194nmより短波長の光線で使用するための干渉法光学素子であり、光線は結晶の<100>結晶方位に合せられた軸に沿って進む。正六面体ビームスプリッター光学素子46には、立方晶系フッ化物結晶32の<100>結晶方位を利用することによる、194nmより短波長における固有屈折率を最小限に抑えるようになっている。
【0020】
これまでは、複屈折に関する立方晶系結晶の問題は、結晶成長過程の結果としての、応力複屈折にともなう問題に関するものであった。関心は、光入射面が、応力複屈折の効果が最小限に抑えられる面である{111}面の結晶を使用するための選択方位に向けられていた。
【0021】
しかし、立方晶系結晶には、これまで問題にされていなかった固有複屈折がある。この複屈折は応力には全く関わらない。固有複屈折は、さらに波長が短くなると、応力複屈折と同程度になる。直感的には、CaF2またはBaF2のような立方晶系結晶材料は光学的に等方性であると思われる。言い換えれば、任意のいかなる方向での光伝搬に対しても、屈折率または誘電テンソルは同じである。そうであれば、立方晶系結晶は等方的光学特性をもつガラスに類似する。立方晶系結晶については、光の波長が原子間距離に比較して非常に長い範囲内でしか上記の描像が成立しないことがわかる。さらに短い波長で立方晶系結晶材料が用いられると、光応答への追加の寄与がもはや無視できない。そのような追加の寄与により、屈折率の方向依存性、すなわち固有複屈折が生じる。この複屈折は応力関連複屈折ではないことに注意することが重要である。この複屈折は、全ての立方晶系結晶の固有特性であり、アニールで取り除くことはできない。
【0022】
上記の固有複屈折は対称な<111>または<100>方位に伝搬する光に対しては消滅するが、<110>方位に進む光に対して最大値に達することが示される。
【0023】
{111}結晶面を用いて光学素子の光入射面を形成することによりCaF2光学素子を作成することが、これまでの常であった。光が{111}面に垂直な方位(または等価的に対称性の高い方位)以外の方位に透過伝搬するであろう光学素子の作成では、本明細書に説明される固有複屈折が問題となり得る場合が現れる。
【0024】
3つの例が添付図面に示される。初めの2つの例は短波長における結像用途に関する。第1の例は、光学素子自体が曲率を有する場合である(図1)。円錐角θが少なくとも:
【数1】
【0025】
にある光線円錐を含む事例を考察する。この円錐には<110>方位が含まれ、複屈折のピークがいくつかの位置で観察されるはずである。12の等価な<110>方位の内3つだけが、[111]に対して90°より小さい範囲内にある。その3つは、[110],[101],[011]である。光円錐はこれらの3つの方位を含むから、等価な3つの複屈折のピークが、互いに120°離れて、透過強度に観測されるはずである。次に、光入射面として{100}面を用いること以外は同じ場合を考察すれば、同じ複屈折に対して光円錐がより大きな角度を掃引することを示すことができる。言い換えれば、{100}面を用いた場合は、同じ円錐角でより小さな複屈折が得られる。
【0026】
第2の例は、偏光を配送するために平面正六面体ビームスプリッターとともに曲面ミラーが用いられる場合である(図2)。この構成では1/4波長板も備えられる。本例では、曲面ミラーからの反射により、入り光線が正六面体にある角度で入射する。これは、図1に示される状況と関連する状況であり、この場合にも固有複屈折を最小限に抑える上で{100}面が利点を提供するはずである。
【0027】
最後に、フッ化カルシウムを利用する干渉計応用も{100}面の有用性を認識することにより恩恵を受けることになろう。この状況が図3に簡略に示される。<111>方位に光線1が進めば、光線1は複屈折を受けない。しかし、この場合、<110>方位は<111>方位に対して直角方向にあるから、光線3は<110>方位の1つに進まなければならず、最大の複屈折を受ける。
【0028】
あるいは、結晶の<100>方位に光線1が進めば、光線3は<010>方位に進むことができる。これらの方位のいずれにおいても複屈折はゼロである。この手法により干渉計構成において波長板が無用になるであろう。
【0029】
遭遇する固有複屈折の大きさを最小限に抑える方位の使用が関わるのは、波面の完全性が死命を制する用途である。これには、短波長リソグラフィ及び干渉計機能が含まれる。
【0030】
固有複屈折は、立方晶系結晶の{111}面及び{100}面ではゼロであり、{110}面で最大になる。特に、光学素子を透過する光が結晶面に垂直ではない場合に、複屈折の効果を最小限に抑えるには{100}面が好ましいことが提案される。
【0031】
図3において、正六面体ビームスプリッターで、光は光路1に沿って入射し、材料内の路長が等しい光路2及び3に分割される、固有複屈折は、<110>方位でゼロではなく、<111>方位及び<100>方位でゼロである。自然発生複屈折の効果を避けるため、発明者等は、結晶の{100}面(または等価な面)が光学素子の光入射面であるような正六面体光学素子を作成した。この場合、図3に示される光線3は{010}面か、または{100}面に等価な面から出て来るであろう。したがって、図3の、入射光線、透過光線及び反射光線は固有複屈折を受けないであろう。
【0032】
ここで、CaF2及びその他の立方晶系結晶の固有複屈折の簡単な物理的描像を説明し、短波長でしか観察されることのない、立方晶系結晶の固有複屈折率の数学的解析も説明する。
【0033】
通常、CaF2のような立方晶系結晶は、その立方対称性により固有複屈折は無視可能であると見なされている(発明者等は残留応力により誘起される複屈折は考慮していない)。しかし、光の波長が短くなると、光波は異なる伝搬方向に対して若干異なる環境にさらされる。この効果は、波長の二乗の逆数に比例する固有複屈折を生じさせる、追加の対称性破綻項として定量的に表現される。この複屈折のレベルは、157nm及び193nmにおける光学性能に有害となる可能性がある。
【0034】
論じられる、1/λ2に比例する対称性破綻項は、基本原理により立方晶系で生じると考えられる。同じく基本原理から、この項はガラスのような完全に等方性の材料には存在しない。固有複屈折は、<111>及び<100>のような、対称性の高い一定の伝搬方位に対しては消滅し、中間の<110>方位で最大値に達する。したがって、例えば、<111>方位にある一般的光軸を進行している光は固有複屈折を受けない。
【0035】
非特許文献1による固有複屈折値の大きさの概略の推定(式(0.1)):
【数2】
【0036】
があり、ここでΔnは複屈折、nは屈折率、aは代表的結合距離としてとることができる特性長、λは光の波長である。λ=147nmに対する推定値を得るため、CaF2に対する文献値、n=1.589及び結合距離0.2365nmをとると、Δn=13×10−6m/mすなわち130nm/cmが得られる。ローレンツの推定は、約5倍大きいと考えられる。この推定は、正しい1/λ2依存性をもつ極めて大まかな近似と見なされる。
【0037】
効果が<110>方位で最大になり、<100>及び<111>方位で消滅する理由を理解するためには、正六面体の対称性を考えればよい。正六面体のx,yまたはz軸(すなわち<100>方位)を眺めると、90°回転する毎に正六面体体の配向が回転前の配向に一致することがわかる(4回回転対称性)。同様に、正六面体の対角線(すなわち<111>方位)を眺めると、3回回転対称性があることがわかる。これらの回転対称性はいずれも、回転軸に垂直な平面にあるいかなる2次元ベクトルの成分も混合するに十分であり、それぞれの軸を直進する光波のいかなる複屈折も消滅させる。正六面体を<110>方位で眺めると(例えば、正六面体の面の対角線方向に眺めると)、明らかに、2回回転対称性しかもたない矩形対称性が見える。2回回転対称性はベクトル成分を混合せず、よって複屈折がおこり得る。これが、複屈折が最大の方位であることがわかる。
【0038】
いきなり数学に入る前に、光円錐複屈折に対するもう1つの描像を考察する。平均方位が<111>である光円錐では、角度が少なくとも:
【数3】
【0039】
(CaF2での設計では42°に達し得る)にある光線を光円錐が含んでいれば、<110>方位が含まれ、いくつかの位置で複屈折のピークが観察されるはずである。等価な12の<110>方位の内の3つだけが<111>方位に対して90°より小さい角度範囲内にある。それらは、[110],[101],[011]である。これらの3つの方位が光円錐に含まれるから、3つの等価な複屈折のピークが互いに120°離れて透過強度に観測されるはずである。
【0040】
数学的詳細に関する本節は、第一原理から導かれる誘電テンソルについての基本式で始められ、いくつかの重要な式及び結果を導く。本節は、<100>及び<111>方位に沿う固有複屈折の消滅を証明するため、等方性材料における固有複屈折の消滅を示すため(代数に関するチェックの一種)、及び<110>方位に対する非ゼロの結果を示すために、重要である。<110>方位にある光に対しては、詳細な解析により主光軸の方向も与えられる。
【0041】
非ゼロの光子波動ベクトル:
【数4】
【0042】
を含む、誘電テンソルについての一般式(0.2)は:
【数5】
【0043】
であり、ここでRμ vijはεへの非ゼロ波動ベクトルの影響を表わす、新しい4階テンソルである。この式は光応答に対する基礎量子力学から導かれる。従来の誘導のほとんどでは、通常は非常によい近似であることから:
【数6】
【0044】
の極限がとられる。歪と屈折率変化を関係付ける4階の歪光学すなわち光弾性テンソルpijklとの密接な類推を維持するため、q依存屈折率変化を式(0.3):
【数7】
【0045】
と定義する。ここでΔBμ vは相対反誘電テンソルBijのq=0のときの値からの変化である(Bij及び関連するテンソルは、非特許文献2のp.243で定義され、論じられている。Bijは誘電テンソルの逆テンソルである)。ここで定義されるテンソルPijklは、同様に定義することができるかもしれないし、できなきかもしれないから、実値に適用する場合は慎重な比較が必要である。立方晶系においては、4階テンソルは一意的な非ゼロ成分を3つしかもたない。縮約表現を用いれば(非特許文献2を参照されたい)、これらの成分は、式(0.4):
【数8】
【0046】
すなわちP11,P12及びP44である。同じ3つのテンソル成分が立方晶系結晶材料の光弾性応答(もちろん異なるテンソルであるが、同じ変換特性をもつ)の特性を完全に表現することに注意されたい。
【数9】
【0047】
でつくられるダイヤードは、縮約された屈折率表現と同形になるように変形されなければならない。
【数10】
【0048】
を表わす3×3テンソル(ダイヤード)は6成分をもつ列ベクトル(0.5):
【数11】
【0049】
で置き換えられる。
【0050】
倍数2は、より嵩高の原4階テンソルの屈折率和を縮約された屈折率積で再現するために必要である。これらの定義を用いれば、式(0.3)を式(0.6):
【数12】
【0051】
に書き換えることができる。
【0052】
3つの定数P11,P12及びP44に対する測定値または理論計算値が与えられれば、式(0.6)は立方晶系において反誘電テンソル成分が短波長でどのように変形されるかを正確に示す。さらなる解析には、成分q1,q2及びq3がわかるように、光子波動ベクトル:
【数13】
【0053】
に対して与えられるいずれかの方位を指定する必要がある(異なるPテンソルを定義することも可能であることに注意されたい。定義は結果を比較する前に慎重にチェックされるべきである)。反誘電テンソルは、式(0.7):
【数14】
【0054】
により屈折率楕円体を定義するために用いられる。
【0055】
したがって、Bijの小さな変化により、(複屈折を含む)屈折率の変化及び主屈折率軸(Bの固有ベクトル)の変化が生じる。立方晶系結晶については:
【数15】
【0056】
の極限において、反誘電テンソルは対角テンソルであって、屈折率nに対しては1/n2の、3つの同じ固有値を有する。すなわち、ここでの立方晶系に対し、B11(0),B22(0)及びB33(0)はそれぞれ1/n2である。
【0057】
[100]に沿う複屈折は上述の論拠により消滅すると考えられるが、チェックとして:
【数16】
【0058】
に対して式(0.6)を適用する。すると、反誘電テンソルの成分は式(0.8):
【数17】
【0059】
になる。
【0060】
この場合の反誘電テンソルは未だに対角テンソルであるが、対角上のそれぞれの要素はもはや同じ値ではないことに注意されたい。しかし、光は横波であるから、B22及びB33成分だけがここの[100]方位に進む光の場合に関係する。このような簡単な場合には、[100]に垂直ないかなる偏光にも対応する2つの等しい固有値がある。固有複屈折はこれらの2つの等しい値の差、すなわちゼロである。複屈折は消滅しても、実屈折率はこの項により若干変化する。変化した屈折率は式(0.9):
【数18】
【0061】
で与えられる。
【0062】
複屈折の有無にかかわらず、立方晶系結晶において異なる方位に伝搬する光に対して、屈折率は1ppm程度変化し得ることがわかるであろう(再度、非特許文献2のp.252を参照されたい)。そのような屈折率の固有変化は、レンズ設計モデル作成において、固有複屈折に加えて、考慮されるべきである。
【0063】
< 111 > の場合
<100>と同様に、<111>軸に沿って伝搬する光に関する複屈折の消滅に対する対称性の論拠が既に与えられている。それにもかかわらず、代数演繹を遂行してこれを示すことには意義がある。波動ベクトル:
【数19】
【0064】
を考える。正規化係数は、絶対値が:
【数20】
【0065】
ではなく、qであるように選ばれる。反誘電テンソルの成分は式(0.10):
【数21】
【0066】
になる。
【0067】
この場合、反誘電テンソルは対角テンソルではなく、よって、異なる偏光及び関係する複屈折に対して屈折率がいくらであるかは明白ではない。(何らかの処理後に)主軸及び主屈折率を与える、反誘電テンソルの固有ベクトル及び固有値が必要である。反誘電テンソルの形は、式(0.11):
【数22】
【0068】
の3×3行列である。
【0069】
この行列は、固有ベクトル:
【数23】
【0070】
にともなう1つの固有値(a+2b)を有し、固有ベクトル:
【数24】
【0071】
及び
【数25】
【0072】
にともなう2つの縮重固有値(a−b)を有する(2つの固有値が同じであるから、これらの固有ベクトルのいかなる線形結合も固有ベクトルである)。第1の主軸は伝搬方向に沿い、したがって無関係である。第2の2つは偏光がとり得る主軸であるが、固有値(及び屈折率)が同じであるから、やはり複屈折は生じない。{100}の場合と同様に、実屈折率は若干変化し、この場合は式(0.12):
【数26】
【0073】
の値になる。
【0074】
但し、固有複屈折はゼロである。
【0075】
< 110 > の場合
発明者等は、<110>方位に対しては複屈折が消滅しないであろうことを対称性から論じた。
【0076】
以下の代数的証明も固有複屈折に対する定量式を与える。光子波動ベクトル:
【数27】
【0077】
を考える。反誘電テンソルは、式(0.13):
【数28】
【0078】
になる。反誘電テンソルの形は、式(0.14):
【数29】
【0079】
の3×3行列であり、式(0.15):
【数30】
【0080】
の固有値及び固有ベクトルがともなう。
【0081】
光は第1の固有ベクトルと同じ方向に進み、よって第2及び第3の固有ベクトルは屈折率に対する主軸を表わす。ここで、ついに、式(0.16):
【数31】
【0082】
で表わされる、{−1,1,0}及び{0,0,1}に沿う偏光に対してq2程度異なる屈折率値に遭遇する。{110}方位に進む光に対する複屈折は式(0.17):
【数32】
【0083】
の最大BR値を有する。
【0084】
上式は非常に重要な式である。この式はテンソル成分と最大固有複屈折の間の関係を与える。
【0085】
ガラスは、または全ての方向で(平均して)全く同じであると見なされ得るいかなる材料も、立方晶系結晶よりさらに高い対称性を有する。等方性材料においては、4階テンソルには、P11及びP12としてとられ得る、2つの独立成分しかない。等方性材料は、関係式(0.18):
【数33】
【0086】
にしたがう。
【0087】
全ての方向が等価であるから、<110>方位における光伝搬を考え、非ゼロの複屈折を求めることができる。そこで式(0.17)を、ただし式(0.18)とともに、適用すれば、BR=0となることがわかる。<100>または<111>方位でBR=0であることを容易に考察し得た以上、そうでなければならない。全ての方向が等価であるから、固有複屈折は全ての方向で消滅しなければならない。これはガラスの重要な利点である。
【0088】
屈折率対方位
屈折率楕円体または反誘電テンソルBijが与えられれば、様々な偏光及び光伝搬方向に対して屈折率を定めることが可能である。これは、レンズ設計または収差モデル化を行うために必要な種類の情報である。しかし、上で示したように、伝搬方向が異なればテンソルBij自体が変わるため、固有複屈折に対しては問題がさらに複雑になる。式(0.6)は全ての情報を与えるが、q1,q2及びq3で与えられる方向の選択毎に処理が必要である。何らかの単純化が可能であるべきである。例えば、xy平面に等価ないかなる平面でのベクトルの回転にともなう方位に対しても、方位は:
【数34】
【0089】
の順に経て、再び[100]に戻る。これらの回転から考えられるように、複屈折は、式(0.19):
【数35】
【0090】
にしたがい、0から式(0.17)で与えられるピーク値になり、次いで0に戻るサイクルを4回とる。ここでθはx軸からの角度である。光線方向が立方晶系結晶面に平行な面にない場合にはさらに複雑になる。
【0091】
様々な波長における複屈折への固有の寄与を見積もるため、最大複屈折方位だけを考え、157nmにおいて6.5nm/cmの値をとることにする。考察する式は式(0.17)、すなわち式(0.20):
【数36】
【0092】
である。
【0093】
CaF2の屈折率変化に対して、セルマイヤーの式はn(157nm)=1.5586を与える。q=2π/λを用いてBR=6.5nm/cmに合せ込むためには、[(P11−P12)/2−P44]=0.000214nm2であると推定される。これらのテンソル成分は、分散対波長が小さいと考えられるが、これは波長が長くなれば小さくなると思われる。この結果、予測される固有複屈折は実際に観測されるはずの固有複屈折よりやや大きくなるであろう。したがって、157nmからの値にテンソル要素を合せ込み、ただし屈折率及びqの分散を考慮すれば、下表:
【表1】
【0094】
を構成することができる。
【0095】
147nmにおける複屈折は633nmにおける複屈折より26倍大きく、その内の18倍分は1/λ2により、残りはq=0における屈折率変化による。これらの推定値が正しければ、<110>方位で見られる固有複屈折は、633nmにおいてはかなり小さいが、193nmでは容易に観測可能なはずである。測定値は253.65nmにおいて1.2nm/cmを与え、これを推定値の2.1と比較すれば、P定数の分散により、633nmでの結果はさらに小さくなる。
【0096】
<100>,<111>及び<110>からの方位ずれにより生じる複雑性を示すため、xy平面にあるがある角度で(例えば{100}と{110}の間を)進む光線方向を考れば、波動ベクトルは式(0.21):
【数37】
【0097】
である。
【0098】
この場合に対する固有ベクトルは:
【数38】
【0099】
に単に沿いもせず:
【数39】
【0100】
に垂直でもない。この場合の光線方向は固有ベクトルではないことに注意することが重要である。先に考察した対称性が高い場合の全てにおいて、光線方向は固有ベクトル(主方向)の1つであったが、これは、式(0.21)のようなより一般的な波動ベクトルに対しては明らかに当てはまらない。P44=(P11−P12)/2とされる特殊な場合には、光線方向は必ず、固有値1/n2+P11q2をもつ固有ベクトルであり、もう1つの固有ベクトルは、縮重固有値1/n2+P12q2をもち、先の固有ベクトルに垂直な平面にある。このことは、ガラスにおけるように、等方性であることの帰結を表わしているに過ぎない。
【0101】
波動ベクトル:
【数40】
【0102】
に対する固有値は、式(0.22):
【数41】
【0103】
で与えられる。
【0104】
これは光線方向にともなう屈折率の明示的な変化を示すが、面内固有ベクトルが計算されない限り、使用し難い(もう1つの固有ベクトルは{001}である)。
【0105】
本発明は、結晶を透過する光の波長の短さに関係する固有複屈折を最小限に抑えるに好ましい<100>結晶方位を有する光学素子をもつ、194nmより短波長の光を用いる短波長光学系に用いるための、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウムのような立方晶系フッ化物結晶、好ましくはCaF2から形成された光学素子を提供する。
【0106】
本発明の精神または範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変更がなされ得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の改変及び変更が添付される特許請求項及びそれらの等価物の範囲内に入れば、本発明はそれらの改変及び変更を包含するとされる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図1a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図1b】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶レンズ素子で示す
【図2】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図2a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図3】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【図3a】本発明の実施形態を結晶方位が<100>のフッ化物結晶ビームスプリッタ素子で示す
【符号の説明】
【0108】
30 光リソグラフィ素子
32 光学フッ化カルシウム結晶
34 {100}結晶面
38 光軸
40 <100>結晶方位
42 レンズ素子
46 ビームスプリッター
Claims (24)
- 複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるための<194nmフッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子の作成方法において、
光入射面が{100}結晶面である光学素子用光学フッ化カルシウム結晶を提供する工程、および
{100}結晶面の前記光入射面から、前記光学フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せた光軸を有する光リソグラフィ素子の光リソグラフィ素子表面を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記形成する工程が、前記光学フッ化カルシウム結晶から、曲面の光学素子表面をもつレンズ素子を形成する工程を含み、前記レンズ素子は、前記フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せられ、前記{100}フッ化カルシウム結晶面に垂直なレンズ光軸を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記形成する工程が、前記光学フッ化カルシウム結晶から、前記{100}フッ化カルシウム結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面及び前記フッ化カルシウム結晶の<100>結晶方位に合せられたビームスプリッター光軸をもつ、正六面体ビームスプリッターを形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 複屈折を最小限に抑えて194nmより短波長の光を透過させるための<194nmフッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子において、{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ光学フッ化カルシウム結晶からなり、前記<100>フッ化カルシウム結晶方位に合せられた光軸を有することを特徴とする<194nmフッ化カルシウム結晶光リソグラフィ素子。
- 複屈折が最小の光軸に沿って約194nmより短波長の光を透過させるためのフッ化物結晶光学素子の作成方法において、
光入射面が{100}結晶面である光学素子用光学フッ化物結晶を提供する工程、および
{100}結晶面の前記光入射面から、前記光学フッ化物結晶の<100>結晶方位に合せた光軸を有する光学素子の光学素子表面を形成する工程、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記形成する工程が、前記光学フッ化物結晶から、曲面の光学素子表面をもつレンズ素子を形成する工程を含み、前記レンズ素子は、前記結晶の<100>結晶方位に合せられ、前記{100}結晶面に垂直なレンズ光軸を有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記形成する工程が、前記光学フッ化物結晶から、前記{100}結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面及び前記結晶の<100>結晶方位に合せられたビームスプリッター光軸をもつ、正六面体ビームスプリッターを形成する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記光学フッ化物結晶がカルシウムを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記光学フッ化物結晶がバリウムを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記光学フッ化物結晶がストロンチウムを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 複屈折を最小限に抑えて約194nmより短波長の光を透過させるための光学素子において、前記光学素子が{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、前記光学素子は前記<100>結晶方位に合せられた光軸を有することを特徴とする光学素子。
- 前記光学フッ化物結晶がカルシウムを含むことを特徴とする請求項11に記載の光学素子。
- 前記光学フッ化物結晶がバリウムを含むことを特徴とする請求項11に記載の光学素子。
- 前記光学フッ化物結晶がストロンチウムを含むことを特徴とする請求項11に記載の光学素子。
- 前記光学素子が、曲面の光学素子表面及び前記<100>結晶方位に合せられたレンズ光軸をもつレンズ素子であることを特徴とする請求項11に記載の光学素子。
- 前記光学素子が、前記{100}結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面及び前記<100>結晶方位に合せられたビームスプリッター光軸をもつ正六面体ビームスプリッターであることを特徴とする請求項11に記載の光学素子。
- 194nmより短波長の光が透過するレンズにおいて、前記レンズが{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、前記レンズは曲面の光学表面及び光軸を有し、前記光軸は、前記<100>結晶方位に合わせられ、前記{100}結晶面に垂直であることを特徴とする194nmより短波長の光が透過するレンズ。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がカルシウムを含むことを特徴とする請求項17に記載の194nmより短波長の光が透過するレンズ。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がバリウムを含むことを特徴とする請求項17に記載の194nmより短波長の光が透過するレンズ。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がストロンチウムを含むことを特徴とする請求項17に記載の194nmより短波長の光が透過するレンズ。
- 194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッターにおいて、前記正六面体ビームスプリッターが{100}結晶面及び<100>結晶方位をもつ立方晶系光学フッ化物結晶からなり、前記正六面体ビームスプリッターは、前記{100}結晶面に平行な正六面体ビームスプリッター表面及び前記<100>結晶方位に合わせられた光軸を有することを特徴とする194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がカルシウムを含むことを特徴とする請求項21に記載の194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がバリウムを含むことを特徴とする請求項21に記載の194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター。
- 前記立方晶系光学フッ化物結晶がストロンチウムを含むことを特徴とする請求項21に記載の194nmより短波長の光が透過する正六面体ビームスプリッター。
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