JPH11172160A - ストリッパブルペイント - Google Patents

ストリッパブルペイント

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JPH11172160A
JPH11172160A JP33920397A JP33920397A JPH11172160A JP H11172160 A JPH11172160 A JP H11172160A JP 33920397 A JP33920397 A JP 33920397A JP 33920397 A JP33920397 A JP 33920397A JP H11172160 A JPH11172160 A JP H11172160A
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JP
Japan
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emulsion
aqueous
glass transition
acrylic
unsaturated monomer
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Application number
JP33920397A
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English (en)
Inventor
Akira In
明 殷
亨 ▲葛▼原
Toru Kuzuhara
Takashi Amano
高志 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な成膜性と剥離性、適度な強度と伸びを
有し、酸性雨などに対する保護機能に優れ、かつ環境に
有害な物質を用いないストリッパブルペイントを提供す
る。 【解決手段】 ガラス転移温度−40〜5℃の粒子内架
橋を有するアクリル水性エマルジョン(A)とガラス転
移温度10〜40℃のアクリル水性エマルジョン(B)
を含んでなるストリッパブルペイント。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や家庭電化
製品などの塗装物表面を一時的に保護するために使用す
るストリッパブルペイントに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や家庭電化製品には、基材の保護
と美粧及び特殊機能等いろいろな性能を付与するために
塗料が塗装されている。しかし、自動車や家庭電化製品
が消費者に届くまでの輸送や保管中に太陽光線、雨(特
に酸性雨)、砂塵などの影響によって塗装面が劣化する
こと、また、輸送、保管中の不注意により傷が付くこと
がある。それらを防ぐために、製品塗装面に更にストリ
ッパブルペイントを塗布し一時的に保護することが一般
的に行われている。
【0003】従来、これらの塗装製品を一時的に保護す
るために、パラフィンワックスを塗装する方法、あるい
はポリオレフィン系フィルムをポリイソブチレン系粘着
剤で貼り付ける保護シート法が提案されているが、しか
し、パラフィンワックスを塗装する方法は、酸性雨から
の保護機能は低く、しかも、塗布したワックスを洗浄す
るのに洗浄剤などが使用されているため、製品塗装面が
これらの洗浄剤によって膨潤したりすることがある。ま
た、ワックスによる水質汚染なども環境問題となる。一
方、粘着フィルム型の保護シートを貼り付ける方法は、
その保護機能が優れているが、シートの貼り付け工数が
多大なものとなりやすく、作業性やコスト等の問題が指
摘されている。また、粘着剤が使われるために、粘着剤
により製品塗装面に貼り付け跡が生じる。
【0004】したがって、保護機能、材料コスト、作業
性、環境負荷低減などを顧慮し、有機溶剤を用いない塗
布型の一時保護用材料が望まれている。これらの要求を
満足する一時保護用水性塗料としてアクリル樹脂を主成
分とするエマルジョンを用いることが考えられている。
アクリルエマルジョンは一般的に耐候性、耐水性等の塗
膜物性が優れているが、その塗膜の形成時には、エマル
ジョン粒子の合一、融着といった過程を経るため、物性
の良好な塗膜を得るには、通常、最低造膜温度以上の温
度で乾燥する必要がある。しかし、近年、省エネルギー
化、作業性改善等の点から、より低温短時間の乾燥が望
まれている。これに対応するには、エマルジョンの最低
造膜温度を下げねばならないが、そのためには、エマル
ジョンのガラス転移温度を低くしなければならない。し
かし、エマルジョンのガラス転移温度を低くした場合、
塗膜の強度が低下したり、付着力が強くなるために剥離
性が低下してしまう。この問題を解決する方法として、
特開平5−65437号公報にはアクリロニトリル又は
メタクリロニトリルを共重合し、強度を向上させること
ができるという提案がなされているが、それでも、剥離
性は十分でなく、かつアクリロニトリル又はメタクリロ
ニトリル共重合成分を含む膜を焼却する時にシアンガス
が発生するため、剥離被膜の廃棄処理が環境上の課題を
有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、現在のと
ころ自動車や家庭電化製品の塗装面を一時に保護する方
法がいくつか提案されているが、いずれも保護機能、作
業性、あるいは環境上の問題点があり、その改良が要望
されている。
【0006】このような状況で、本発明は、上記従来の
問題点を鑑みなされ、良好な成膜性と剥離性、適度な強
度と伸びを有し、酸性雨などに対する保護機能に優れ、
かつ環境に有害な物質を用いないストリッパブルペイン
トを提供することを課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、自動車や
家庭電化製品などの塗装物表面を一時的に保護するため
に使用するストリッパブルペイントの開発について鋭意
検討を進めた結果、ガラス転移温度−40〜5℃の粒子
内架橋を有するアクリル水性エマルジョン(A)とガラ
ス転移温度10〜40℃のアクリル水性エマルジョン
(B)とを含んでなる水性エマルジョン塗料を採用すれ
ば、比較的低温な乾燥条件(例えば20℃で2時間、又
は50℃で10分間)で乾燥することによって、適度な
強度と伸びを有し、酸性雨などに対する保護機能に優
れ、なおかつ容易に剥がれる一時保護塗膜が形成できる
ことを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ガラス転移温度−4
0〜5℃の粒子内架橋を有するアクリル水性エマルジョ
ン(A)とガラス転移温度10〜40℃のアクリル水性
エマルジョン(B)を含んでなるストリッパブルペイン
トを提供するものである。
【0009】本発明のストリッパブルペイントはガラス
転移温度の異なる2種類のアクリル水性エマルジョンを
含み、低温乾燥時においても剥離性に優れている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0011】本発明で用いられるガラス転移温度−40
〜5℃の粒子内架橋を有するアクリル水性エマルジョン
(A)としては、1個の二重結合を有する不飽和単量体
と、単量体総量に対し0.01〜2重量%の該不飽和単
量体と重合可能な2個以上の二重結合を有する多官能性
不飽和単量体とを共重合してなるものが適度な強度及び
伸びを有し、しかも、耐久性及び耐水性を備えている点
で好適に用いられる。
【0012】ガラス転移温度−40〜5℃の粒子内架橋
を有するアクリル水性エマルジョン(A)の重合方法に
ついては、一旦、水溶性溶剤、例えば、イソプロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、
ブチルセロソルブ等のセロソルブ類の溶剤中で、溶液重
合をさせ、その後水に分散させエマルジョン化させる方
法もあるが、通常は界面活性剤の存在下で単量体単独又
は混合物を乳化させ加熱して重合させる方法、いわゆる
乳化重合法で製造するのが簡便で好ましい。
【0013】1個の二重結合を有する不飽和単量体とし
ては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類
が好ましく、比較的低温の条件下で適度な強度及び伸び
を有する良好な塗膜が形成できるストリッパブルペイン
トが得られる。
【0014】アクリル酸エステル類、メタクリル酸エス
テル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プ
ロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ter
t−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート
等の脂肪族アルキル基含有アクリル酸エステル類、シク
ロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、
ジシクロペンチルアクリレート等の脂環式アルキル基含
有アクリル酸エステル類、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ラクト
ン変性2−ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含
有アクリル酸エステル類、N,N−ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリ
レート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート
等のアミノ基含有アクリル酸エステル類、これらのアク
リレートをメタクリレートとした同様の化合物が挙げら
れる。これらのアクリル酸エステル類及びメタクリル酸
エステル類は単独で又は2種類以上組み合わせて使用す
ることができる。これらのアクリル酸エステル類又はメ
タクリル酸エステル類のうち、水酸基、アミノ基等を含
有するエステル類は、使用する全単量体の20重量%以
下になるように用いるのが望ましい。20重量%を超え
ると、乳化重合中や保管貯蔵中の安全性が悪くなるばか
りでなく、形成した塗膜の耐水性、耐候性といった耐久
性が劣る傾向がある。
【0015】また、上記アクリル酸エステル及びメタク
リル酸エステルと重合性不飽和二重結合を有するビニル
化合物とを共重合させてもよい。これらの重合性不飽和
二重結合を有するビニル化合物としては、アクリル酸、
メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカル
ボキシル基含有ビニル化合物、スチレン、ビニルトルエ
ンなどの芳香族環含有ビニル化合物、他に、酢酸ビニ
ル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル等
が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いて共重合
させることが可能である。なお、分散安定性の良好な乳
化重合体組成物を得るために、一般的に、カルボキシル
基含有ビニル化合物を共重合させることが好ましい。た
だし、これらのカルボキシル基含有ビニル化合物は、全
単量体の好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.
1〜2重量%の範囲になるように用いる。これらの成分
が多量に含まれると、形成した塗膜の耐水性が低下した
り、また付着力が強すぎ剥離し難くなる傾向がある。
【0016】また、アクリル水性エマルジョンを粒子内
架橋させる上記不飽和単量体と重合可能な2個以上の二
重結合を有する多官能性不飽和単量体としては、例え
ば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレン
オキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレ
ンオキシド変性グリセリントリアクリレート、エチレン
オキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
等が挙げられる。これらは1種又は2種以上用いて共重
合させることが可能である。これら多官能性不飽和単量
体の配合量は、全単量体に対し0.01〜2重量%が好
ましく、より好ましくは0.05〜1重量%である。配
合量が0.01重量%未満では、ミクロゲル化による効
果は十分でなく、2重量%を超えて使用すると、粒子内
部の架橋密度が高すぎ塗膜の形成に支障を与える傾向が
ある。
【0017】この他、粒子内架橋を有するアクリル水性
エマルジョン(A)を得る方法としては、架橋反応を生
じることのできる官能基を有する不飽和単量体用いて乳
化重合を行い、乳化重合中あるいは重合終了後に、かか
る架橋反応を生じさせることにより得ることも可能であ
る。具体的には、例えば、グリシジルメタクリレートと
アクリル酸及び他の不飽和単量体を乳化重合し、その後
加熱保温、あるいは触媒の添加によりグリシジル基とカ
ルボキシル基との反応を生じさせ、内部架橋させる方法
や、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等
の不飽和二重結合と加水分解性シリル基を有する不飽和
単量体と他の不飽和単量体を乳化重合し、その後、加熱
保温あるいは触媒の添加によりシロキサン架橋を生じさ
せて内部架橋させる方法等が挙げられる。これらの粒子
内架橋反応はアクリル樹脂の側鎖あるいは末端に導入さ
れた反応性の官能基同士で架橋反応を行ってもよいし、
側鎖あるいは末端に導入された反応性の官能基を架橋反
応可能な橋かけ剤を用いて架橋反応を行ってもよい。ま
た、これら架橋反応を生じる不飽和単量体の配合量は、
前記の理由で、全単量体に対し0.01〜2重量%が好
ましく、より好ましくは0.05〜1重量%である。
【0018】乳化重合に用いられる界面活性剤として
は、通常の乳化重合反応に用いられる界面活性剤であれ
ば特に制限されるものではない。例えば、アニオン性界
面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルアリル硫
酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン
酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩などが挙げられ、カ
チオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアン
モニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムク
ロライドなどが挙げられる。また、ノニオン性界面活性
剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンカルボン酸エステルなどが挙げられる。これ
らの界面活性剤は、もちろん単独で又は2種類以上組み
合わせて使用してもよい。乳化重合工程又は得ようとす
るエマルジョンの特性に応じて適宜の界面活性剤を選択
することができる。界面活性剤の使用量は、使用する界
面活性剤の種類、製造するエマルジョンの粒径によって
異なるが、好ましくは、全単量体に対し0.01〜10
重量%の範囲、更に好ましくは0.1〜5重量%の範囲
である。使用量が少ない場合は、重合時及び貯蔵時の安
定性が劣り、また多すぎる場合は、塗膜の耐久性が劣る
傾向にある。
【0019】また、乳化重合物の安定性を向上させるた
めに、前記界面活性剤以外、保護コロイド剤が一部使用
される。保護コロイド剤としては、親水性高分子、例え
ば、部分ケン化あるいは完全ケン化した種々の重合度の
ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコー
ル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ポリビニルメチルエーテル等が挙げられ
る。これらの保護コロイドを1種又は2種以上組み合わ
せて重合時あるいは重合終了後に添加することも可能で
あるが、前記不飽和単量体と一緒に添加して重合させる
と、グラフト化によってこれらの保護コロイド剤は高分
子鎖に取り込まれ、乳化重合物を一層安定化させると考
えられる。これら保護コロイド剤の添加量は、樹脂の組
成や使用する保護コロイド剤の種類、また他の界面活性
剤の種類と使用量によって異なるが、全単量体に対し
0.01〜5重量%程度添加することが好適である。
【0020】重合開始剤としては、熱分解してラジカル
を発生させる過酸化物あるいはアゾ化合物が使用され
る。代表的な重合開始剤としては過硫酸カリウム、過硫
酸アンモニウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモ
ニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ドなどの水溶性過酸化物、アゾビスアミノジプロパン塩
酸塩などの水溶性アゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオ
キサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ジブチル
パーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネ
ート、クミルパーオキシオクトエート、アゾビスイソブ
チロニトリルなどの油溶性重合開始剤が挙げられる。ま
た、酸性亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィ
ン酸ナトリウム、アスコルビン酸などの還元剤を併用し
て、いわゆるレドックス系とすることが可能である。こ
れら重合開始剤の使用量は、使用する重合開始剤の種
類、得ようとするエマルジョンの特性、特に分子量によ
り決められるが、全単量体に対して好ましくは0.1〜
10重量%の範囲である。
【0021】乳化重合の際には、上記原料の以外、pH
を調整する緩衝液、アミン系化合物、アンモニウム水溶
液、分子量を調整する連鎖移動剤を使用することができ
る。また、樹脂粘度を調整する増粘剤、チキソ性を調整
するレオロジーコントロール剤、耐候性を向上させる紫
外線吸収剤、造膜性を向上させる造膜助剤など公知の添
加剤を使用することも可能である。
【0022】このようにして得られるアクリル水性エマ
ルジョン(A)の固形分は、実際の乾燥条件に適するた
めには好ましくは40重量%以上、より好ましくは45
〜60重量%であることが好適である。40重量%未満
では、固形分が低く実用的でなく、また60重量%を超
えると貯蔵安定性が劣る傾向にある。
【0023】また、アクリル水性エマルジョン(B)
も、アクリル水性エマルジョン(A)と同様の方法で合
成することができる。ただし、アクリル水性エマルジョ
ン(B)は粒子内架橋させないので、前記多官能性不飽
和単量体又は多官能性化合物を使う必要はない。
【0024】アクリル水性エマルジョン(A)のガラス
転移温度は、−40〜5℃になるように、アクリル酸エ
ステル類、メタクリル酸エステル類等の不飽和単量体及
びこれらと共重合可能なビニル化合物、多官能性単量体
を配合し、また、アクリル水性エマルジョン(B)のガ
ラス転移温度は、10〜40℃になるように、アクリル
酸エステル類、メタクリル酸エステル類等の不飽和単量
体及びこれらと共重合可能なビニル化合物を配合する。
なお、アクリル水性エマルジョンのガラス転移温度は、
下記に示す周知のFox式によって、アクリル水性エマ
ルジョンの重合原料である各単量体成分の配合量から計
算される値を使用する。共重合体又はブレンド系のガラ
ス転移温度
【0025】
【数1】 ここで、Ciは各成分の重量濃度(ΣCi=1)、Tg,i
は各成分のガラス転移温度である。(参考文献:T.
G. Fox, Bull. Am. Phys. S
oc., 1, 123(1956)) アクリル水性エマルジョン(A)とアクリル水性エマル
ジョン(B)との混合によって、ストリッパブルペイン
ト用アクリル水性エマルジョンを調製することができ
る。アクリル水性エマルジョン(A)及び(B)の混合
物のガラス転移温度が低すぎると、生成した塗膜の粘着
力が強すぎ保護膜を剥離するに多大の労力を要したり、
塗膜にタックが残り、ほこりが付着し易くなり、逆にガ
ラス転移温度が高すぎると、造膜性が劣り、ストリッパ
ブルペイントとして使用し難くなる。混合物の好ましい
ガラス転移温度は−10〜35℃、更により好ましくは
0〜25℃である。
【0026】アクリル水性エマルジョン(A)の混合量
は、固形分として全アクリル水性エマルジョンの固形分
の好ましくは5〜40重量%程度、より好ましくは10
〜30重量%の範囲である。アクリル水性エマルジョン
(A)の混合量が5重量%未満では、ミクロゲル化粒子
による強靭化効果は認められなく、形成された膜は適度
の強度と伸びを有することができなくなり、しかも、塗
膜の耐水性が劣る傾向にあり。逆に、アクリル水性エマ
ルジョン(A)の混合量が40重量%超えると、十分な
塗膜強度を得るのが困難となる傾向にある。
【0027】アクリル水性エマルジョン粒子径について
は、0.05μm以上1.00μm以下が好ましく、更
に、0.10μm以上0.50μm以下が好適である。
粒子径が小さすぎると、アクリル水性エマルジョンの粘
度が高くなりすぎ実用的でなく、また、粒子径が大きす
ぎると、形成された塗膜の透明性が低くなり外観不良と
なる傾向にある。
【0028】上記方法で調製されたアクリル水性エマル
ジョンは、剥離性を向上させるために、剥離剤を添加す
ることができる。かかる剥離剤としては、ワックス系、
シリコーン系、フッ素系などから選ばれる少なくとも1
種以上の化合物が好適に使用できる。これらは水に溶
解、若しくは分散されたもの、又は粉末状のものいずれ
のものであってもよい。シリコーン系化合物(シロキサ
ン結合を主骨格とするシリコンオイル、エマルジョン、
水溶性樹脂など)は、耐熱、耐湿、経時安定な剥離機能
に優れるので、最適である。これらの化合物としては、
ジメチルポリシロキサン系、メチルフェニルポリシロキ
サン系、環状ジメチルポリシロキサン系、フロロポリシ
ロキサン系、ポリエーテル変性ポリシロキサン系、エポ
キシ変性ポリシロキサン系等の化合物が挙げられる。シ
リコーン系化合物の添加量は、アクリル水性エマルジョ
ン(A)とアクリル水性エマルジョン(B)の樹脂固形
分に対して好ましくは0.01〜10重量%、より好ま
しくは0.1〜5重量%程度である。
【0029】本発明のアクリル水性エマルジョンを含ん
でなるストリッパブルペイントは、顔料を加えない、い
わゆるクリヤペイントとして使用できるが、顔料を加え
たエナメルペイントとすることも可能である。顔料とし
ては、チタン白、ベンガラ、カーボンブラック等の無機
顔料、マピコイエロー、フタロシアニンブルー等の有機
顔料等公知のものが使用できる。顔料とアクリル水性エ
マルジョンの比率は、使用する顔料の種類により異なる
が、固形分比で5/95から40/60が好ましく、更
に10/90から30/70が好適である。顔料が少な
すぎると、遮光効果が低くなり本来の保護機能が低下
し、また多すぎると、塗膜の強度が低下する傾向にあ
る。顔料を分散させる方法としては、ペイントシェーカ
ー法、ロールミル法、ディスパーザー法、ニーダー法、
高速インペラーミル法等公知の手法が採ることできる。
【0030】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げて本発明を更に
具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。なお、以下の記載において部は重量部を示す。
【0031】アクリル水性エマルジョンの合成例 合成1:粒子内架橋アクリル水性エマルジョン(Em
I)の合成 攪拌装置、還元冷却器、温度計及び窒素ガス吹き込み管
を備えた反応器に、イオン交換水85部、ラウリル硫酸
ナトリウム0.8部を仕込み、反応器を80℃に昇温さ
せる。次に、イオン交換水4部に過硫酸アンモニウム
0.2部及びトリメチルアミン0.8部を溶解した水溶
液を添加した後、スチレン20部、メチルメタクリレー
ト15部、エチルアクリレート12.5部、n−ブチル
アクリレート51.0部、エチレングリコールジアクリ
レート0.5部、メタクリル酸1部及びラウリル硫酸ナ
トリウム1部からなる単量体と乳化剤の混合液を、前記
反応器内に3時間かけて滴下する。単量体と乳化剤の混
合液滴下終了後、イオン交換水4部に過硫酸アンモニウ
ム0.1部及びトリメチルアミン0.1部を溶解した水
溶液を添加して、更に80℃で3時間保温する。反応終
了後、イオン交換水7部を加えてアクリルエマルジョン
を得た。このエマルジョンを25%アンモニウム水でp
H10.0に調整後10%の部分ケン化ポリビニルアル
コール水溶液(ケン化度87.0〜89.0、重合度2
000)をエマルジョンに対し1重量%添加してアクリ
ルエマルジョンを得た。得られたエマルジョン(Em
I)は、Tg計算値−10℃、固形分49.3重量%、
平均粒径0.17μmであった。
【0032】合成2:粒子内架橋アクリル水性エマルジ
ョン(EmII)の合成 単量体と乳化剤の混合液をスチレン19.8部、メチル
メタクリレート20.4部、エチルアクリレート10.
7部、n−ブチルアクリレート43.6部、n−ブチル
メタクリレート4部、エチレングリコールジアクリレー
ト0.5部、メタクリル酸1部及びラウリル硫酸ナトリ
ウム1部に変更したほかは、合成1と同様の方法で合成
した。得られたエマルジョン(EmII)は、Tg計算
値0℃、固形分50.0重量%、平均粒径0.16μm
であった。
【0033】合成3:アクリル水性エマルジョン(Em
III)の合成 単量体と乳化剤の混合液をメチルメタクリレート39
部、エチルアクリレート23部、n−ブチルアクリレー
ト37部、メタクリル酸1部及びラウリル硫酸ナトリウ
ム1部に変更したほかは、合成1と同様の方法で合成し
た。得られたエマルジョン(EmIII)は、Tg計算
値0℃、固形分48.9重量%、平均粒径0.13μm
であった。
【0034】合成4:アクリル水性エマルジョン(Em
IV)の合成 単量体と乳化剤の混合液をスチレン20部、メチルメタ
クリレート20部、エチルアクリレート9部、n−ブチ
ルアクリレート28部、n−ブチルメタクリレート22
部、メタクリル酸1部及びラウリル硫酸ナトリウム1部
に変更したほかは、合成1と同様の方法で合成した。得
られたエマルジョン(EmIV)は、Tg計算値15
℃、固形分50.1重量%、平均粒径0.16μmであ
った。
【0035】合成5:アクリル水性エマルジョン(Em
V)の合成 単量体と乳化剤の混合液をメチルメタクリレート43
部、エチルアクリレート9部、n−ブチルアクリレート
25部、n−ブチルメタクリレート22部、メタクリル
酸1部及びラウリル硫酸ナトリウム1部に変更したほか
は、合成1と同様の方法で合成した。得られたエマルジ
ョン(EmV)は、Tg計算値20℃、固形分49.7
重量%、平均粒径0.14μmであった。
【0036】合成6:アクリル水性エマルジョン(Em
VI)の合成 単量体と乳化剤の混合液をメチルメタクリレート47
部、エチルアクリレート9部、n−ブチルアクリレート
21部、n−ブチルメタクリレート22部、メタクリル
酸1部及びラウリル硫酸ナトリウム1部に変更したほか
は、合成1と同様の方法で合成した。得られたエマルジ
ョン(EmVI)は、Tg計算値27℃、固形分50.
0重量%、平均粒径0.16μmであった。
【0037】実施例と比較例 前記アクリル水性エマルジョン(EmI〜VI)を用
い、表1に示す種類、配合量(重量部)で混合攪拌して
配合し、同表に示す特性を有するストリッパブルペイン
ト用水性樹脂組成物を得た。これら水性樹脂組成物のガ
ラス転移温度は、周知のFox式によって各エマルジョ
ン成分のガラス転移温度と配合量から計算された。
【0038】これらの水性樹脂組成物に、更に必要に応
じて顔料、剥離剤等添加剤を添加してストリッパブルペ
イントを得る。その配合例を以下に示す(「%」及び
「部」は重量基準である)。
【0039】エマルジョン(固形分50%);100部 種ペン(*);13.6部 消泡剤BYK−033(ビックケミ社製);0.1部 増粘剤QR−708 10wt%aq(ローム&ハース
社製);0.3部 剥離剤KM−740(信越化学社製、ポリジメチルシロ
キサン系化合物);2.0部 (*)上記種ペンは、 イオン交換水;35.0部 チタン白R−930;75.0部 顔料分散剤BYK−154(ビックケミ社製);10.
0部 消泡剤BYK−033(ビックケミ社製);2.5部 増粘剤QR−708 10wt%aq(ローム&ハース
社製);3.0部 また、ガラスビーズ80部を加え、ペイントシェーカで
90分間分散してなる。
【0040】これらを、ポリエステル/メラミン系塗料
(Tg:62℃)を塗装した試験板に、乾燥膜厚が50
〜60μmとなるように塗装し、50℃で10分間乾燥
させることにより、剥離性被膜を形成した。これらの性
能試験結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 (*1)測定温度:20℃、引張り速度:50mm/分 (*2)剥離性:(初期)被膜形成直後の剥離しやす
さ、(熱処理後)80℃で三日間熱処理した被膜の剥離
しやすさ。○:容易に剥離できる。△:剥離がやや困
難。×:剥離が不可能。
【0042】(*3)耐酸性:被膜の上に6%亜硫酸水
溶液12部/硫酸カルシウム1部/水350部の酸性液
を着けて塗膜を80℃で30分間熱処理し、被膜を剥離
した後の下塗膜状況。○:異常なし。×:跡有り。
【0043】(*4)耐水性:塗膜を40℃の水中に1
0日間浸透した後の被膜状況。○:良好、しかも塗膜容
易に剥離できる。×:膨潤、ブリスタ発生、又は被膜剥
離不可。
【0044】
【発明の効果】本発明は、自動車や家庭電化製品等の塗
装表面を一時保護するに使用するストリッパブルペイン
トを提供する。本発明の提供するストリッパブルペイン
トを採用すれば、比較的低温な乾燥条件で乾燥すること
によって、適度な強度と伸びを有し酸性雨などに対する
保護機能に優れ、なおかつ容易に剥離できる一時保護塗
膜を形成することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度−40〜5℃の粒子内架
    橋を有するアクリル水性エマルジョン(A)とガラス転
    移温度10〜40℃のアクリル水性エマルジョン(B)
    を含んでなるストリッパブルペイント。
  2. 【請求項2】 ガラス転移温度−40〜5℃の粒子内架
    橋を有するアクリル水性エマルジョン(A)が、1個の
    二重結合を有する不飽和単量体と、単量体総量に対し
    0.01〜2重量%の該不飽和単量体と重合可能な2個
    以上の二重結合を有する多官能性不飽和単量体とを共重
    合してなるものである請求項1記載のストリッパブルペ
    イント。
  3. 【請求項3】 1個の二重結合を有する不飽和単量体が
    アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類であ
    る請求項2記載のストリッパブルペイント。
  4. 【請求項4】 アクリル水性エマルジョン(A)を、ア
    クリル水性エマルジョン(A)とアクリル水性エマルジ
    ョン(B)の総量に対して5〜40重量%含んでなる請
    求項1、2又は3記載のストリッパブルペイント。
  5. 【請求項5】 アクリル水性エマルジョン(A)とアク
    リル水性エマルジョン(B)に加え、更にシリコーン系
    化合物を含有してなる請求項1〜4何れか記載のストリ
    ッパブルペイント。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001071393A1 (en) * 2000-03-23 2001-09-27 Sola International Holdings Ltd Removable coating for optical substrates
US6534618B1 (en) 2000-11-27 2003-03-18 Corning Incorporated Methods of drying optical fiber coatings
JP2005509078A (ja) * 2001-11-12 2005-04-07 バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト 可剥性塗料としてのエマルションポリマー
WO2021060293A1 (ja) 2019-09-27 2021-04-01 日東電工株式会社 可剥離塗膜形成用組成物、及び可剥離塗膜

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