JP2002146155A - 水性樹脂分散液及びそれを含む水性塗料 - Google Patents

水性樹脂分散液及びそれを含む水性塗料

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JP2002146155A
JP2002146155A JP2000349398A JP2000349398A JP2002146155A JP 2002146155 A JP2002146155 A JP 2002146155A JP 2000349398 A JP2000349398 A JP 2000349398A JP 2000349398 A JP2000349398 A JP 2000349398A JP 2002146155 A JP2002146155 A JP 2002146155A
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resin dispersion
ethylenically unsaturated
unsaturated monomer
weight
aqueous
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Application number
JP2000349398A
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English (en)
Inventor
Toshihiko Nijukken
年彦 二十軒
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性塗料等に添加する場合に最低成膜温度を
調整するための溶剤量が低減でき、塗膜の密着性、耐候
性、耐温水白化性、凍結融解密着性に優れた水性樹脂分
散液。 【解決手段】 アルコキシシリル基を含有するα,β−
エチレン性不飽和モノマーa0.01〜1重量%、ポリ
オルガノシロキサンを含有するα,β−エチレン性不飽
和モノマーb0.5〜30重量%、ラジカル重合性紫外
線吸収剤c0.01〜5重量%、ラジカル重合性光安定
剤d0.01〜5重量%、カルボキシル基含有α,β−
エチレン性不飽和モノマーe0.1〜30重量%、及び
上記以外のα,β−エチレン性不飽和モノマーf29〜
99.37重量%を、重合性界面活性剤の存在下、粒子
径100nm以下になるように有機溶媒中で共重合させ
て得られ、樹脂の計算Tg値が20〜80℃である樹脂
を含む反応マスを、中和、水添加により相転換して得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性樹脂分散液、
及び該分散液を含む水性塗料に関する。詳しくは、アル
コキシシリル基を含有するα,β−エチレン性不飽和モ
ノマー(a)、ポリオルガノシロキサンを含有するα,
β−エチレン性不飽和モノマー(b)、ラジカル重合性
紫外線吸収剤(c)、ラジカル重合性光安定剤(d)、
カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマー
(e)、及び上記(a)〜(e)以外のα,β−エチレ
ン性不飽和モノマー(f)を特定の組成比で、ラジカル
重合可能な界面活性剤の存在下、分散体の粒子径が特定
の範囲になるように水系媒質中でラジカル重合開始剤を
用いて、乳化共重合させて得られる樹脂の水性樹脂分散
液に関する。水性樹脂分散液は、水性塗料等に添加する
場合の最低成膜温度を調整するための溶剤量が低減で
き、また、皮膜の密着性、耐候性、耐温水白化性、凍結
融解密着性に優れ、塗料、接着剤、紙加工剤などにも応
用される。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保全、安全衛生の面より、塗
料の無公害化および安全衛生化が強く要望されており、
溶剤系塗料に代わり水系塗料の用途が拡大されつつあ
る。しかし水系塗料は、酢酸ビニル系、アクリル系、ア
クリルスチレン系等の樹脂の粒子を界面活性剤、分散剤
等を用いて水中に分散させたものを主成分とし、これに
顔料、顔料分散液、消泡剤、増粘剤、成膜助剤、防腐剤
等を配合した分散型樹脂であるために、粒子の融着によ
って成膜がなされる。そのため溶剤系塗料と比較して界
面活性剤等の水溶性成分による耐水性の問題、さらには
耐水性の問題が引き起こす艶の低下、変色、膨れ、割れ
といった耐候性の問題などがあった。また、近年では時
代の要請により、水系コーティング剤への切替えが進め
られるとともに、その用途においても拡大しており、そ
れにともなう要求性能もますます高度なものになってき
ている。無機建材における外装コーティング剤において
は、さらに耐候性、耐汚染性、耐水性の良好なコーティ
ング剤が重要視されている。
【0003】当然のことながら、これに対応すべく水系
でのアクリル/シリコーン樹脂のブレンド系、または、
アクリルシリコーン系のグラフト共重合樹脂、さらには
フッ素系樹脂が開発されている。しかしながらアクリル
/シリコーン樹脂のブレンド系は、ブレンドであるがた
めに長期的にはシリコーン樹脂の脱落が起こり、短期的
な性能はアクリル系樹脂にくらべて優れるものの長期間
における耐候性は不十分である。また、反応性ビニル基
を有するオルガノポリシロキサンを共重合してなるアク
リルシリコーン系のグラフト共重合樹脂が提案されてい
る(特開平5−194911号公報)。この技術では、
耐汚染性は十分とされながらも長期間の耐候性において
はまだ不十分である。また、エマルション製造時に反応
性ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとモノマー
類を予め微分散する必要があるため通常の乳化装置では
製造が困難で、経済的に不利となり汎用性に乏しい。
【0004】また、無機ポリマーと有機ポリマーのエマ
ルジョンとの結び付きを強固にすべく、特開平10−2
46990号公報に代表されるように、これら両ポリマ
ーのブレンド物にアルコキシシラン類を添加する方法や
アルコキシシラン基を持った重合性モノマーの使用する
方法があるが、このようにして得られる水性コーティン
グ剤においても、それ自体の安定性、長期間の耐候性に
関しては不十分である。さらに、フッ素系樹脂や特開平
8−259773号、特開平9−188847号公報に
代表されるアクリルとフッ素樹脂の複合体については、
性能的には十分とされながらも経済的な面においては、
非常に不利となり汎用性に乏しい。また、耐候性を改善
する別の手段として、水性樹脂分散に紫外線吸収剤や光
安定剤を用いる方法が提案されている。特開平3−37
288号、特開平4−298573号公報にはアクリル
系エマルションに紫外線吸収剤および/または光安定剤
を後添加する方法、特開昭64−20201号、特開平
7−292009号公報には紫外線吸収剤を乳化重合中
に添加する方法、特開平3−128978号公報にはラ
ジカル重合の2重結合を有する光安定剤を乳化重合中に
用いる方法、特開平5−39327号公報にはラジカル
重合の2重結合を有する紫外線吸収剤を乳化重合中に用
いる方法、特開平10−120724号、特開平11−
80486号公報には紫外線吸収剤および/または光安
定剤を乳化重合中に用いシリコーン構造を有する変性剤
を用いてシリコーン変性する方法が提案されている。こ
れらは従来の水性塗料と比較すれば耐候性に改善が見ら
れるものの紫外線吸収剤や光安定剤を後添加する方法で
は長期間の曝露では、徐々にブリードアウトが起こり光
沢の低下や色差の変化が大きくなってしまい、長期耐候
性からは不十分である。また、紫外線吸収剤や光安定剤
を共重合する方法では、後添加の方法と比較して塗膜へ
のブリードアウトは抑えられるが、共重合することによ
り塗膜表面に有効に作用する紫外線吸収剤/光安定剤量
が少なくなるため長期耐候性を維持するためには後添加
での方法より多く共重合する必要があり特開平11−1
2431号公報に記載されてるような特殊な分散方法を
必要としたり、経済的なコストを考えた場合、汎用性に
乏しい。また、紫外線吸収剤および/または光安定剤を
乳化重合中に用いシリコーン変性する方法では、シリル
基の安定化のため重合中の系のpHを中性付近に維持す
る必要があるため耐水性や保存安定性が不十分であっ
た。このように従来提案されている改善方法では求めら
れている溶剤系樹脂と同等の性能には及ばず、よりいっ
そうの改善が要請されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水性塗料等
に添加する場合に最低成膜温度を調整するための溶剤量
が低減でき、また、塗膜の密着性、耐候性、耐温水白化
性、凍結融解密着性に優れた水性樹脂分散液を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、アルコキシシリル基を含有するα,β−エチ
レン性不飽和モノマー(a)、ポリオルガノシロキサン
を含有するα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)、
ラジカル重合性紫外線吸収剤(c)、ラジカル重合性光
安定剤(d)、カルボキシル基含有α,β−エチレン性
不飽和モノマー(e)、上記(a)〜(e)以外のα,
β−エチレン性不飽和モノマー(f)の混合物を特定の
比率で、有機溶剤中でラジカル重合を行い、中和、相転
換して分散体の粒子径が特定の範囲になるようにして得
られた水性樹脂分散液を使用することにより、水性塗料
等に添加する場合の最低成膜温度を調整するための溶剤
量が低減でき、さらに、紫外線吸収剤、光安定剤を共重
合した分散樹脂をポリジメチルシロキサン成分によって
塗膜表面へブリードさせ、さらにアルコキシシラン成分
によって塗膜表面へ固定化させることにより、上記諸欠
点の紫外線吸収剤/光安定剤の後添加によるブリードア
ウト、重合性紫外線吸収剤/光安定剤の共重合量の増加
によるコストアップの問題を克服し、密着性、耐候性、
耐温水白化性、凍結融解密着性に優れた皮膜を形成する
ことを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明の第1は、アルコキシシ
リル基を含有するα,β−エチレン性不飽和モノマー
(a)0.01〜1重量%、ポリオルガノシロキサンを
含有するα,β−エチレン性不飽和モノマー(b)0.
5〜30重量%、ラジカル重合性紫外線吸収剤(c)
0.01〜5重量%、ラジカル重合性光安定剤(d)
0.01〜5重量%、カルボキシル基含有α,β−エチ
レン性不飽和モノマー(e)0.1〜30重量%、及び
上記(a)〜(e)以外のα,β−エチレン性不飽和モ
ノマー(f)29〜99.37重量%(但し(a)〜
(f)の合計は100重量%である。)を、ラジカル重
合可能な重合性官能基を有する界面活性剤の存在下、ラ
ジカル重合開始剤を用いて、粒子径100nm以下にな
るように有機溶媒中で共重合させて得られる樹脂(p)
であって、モノマー(a)〜(f)からなるとした場合
の樹脂(p’)のFOX式により計算で求められるガラ
ス転移点Tg値が20〜80℃であり、樹脂(p)を含
む反応マスを、中和、水添加により相転換して、水性樹
脂分散液を提供する。本発明の第2は、最低成膜温度を
調整するための溶剤量が低減でき、また、皮膜の性能
が、所定の試験方法に従う評価で、密着性8〜10点、
促進耐候性による光沢保持率が70%以上、耐温水白化
性が4点以上、凍結融解密着性が4点以上であることを
特徴とする本発明の第1に記載の水性樹脂分散液を提供
する。本発明の第3は、本発明の第1又は2に記載の水
性樹脂分散液を含む水性塗料を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の水性樹脂分散液(j)は、アルコキシシリル基
を含有するα,β−エチレン性不飽和モノマー(a)、
ポリオルガノシロキサンを含有するα,β−エチレン性
不飽和モノマー(b)、ラジカル重合性紫外線吸収剤
(c)、ラジカル重合性光安定剤(d)、カルボキシル
基含有α,β−エチレン性不飽和モノマー(e)、上記
(a)〜(e)以外のα,β−エチレン性不飽和モノマ
ー(f)の混合物を特定の比率で、有機溶剤中でラジカ
ル重合を行って得られる樹脂(p)の反応マスを、必要
に応じて溶媒の少なくとも一部を分離した後、中和、相
転換して、樹脂(p)が特定の範囲の粒子径になるよう
に水を主成分とする分散媒に分散したものである。
【0009】アルコキシシリル基を含有するα,β−エ
チレン性不飽和モノマー(a) 本発明で使用されるモノマー(a)の代表例としては,
γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなど
のラジカル重合可能なシラン化合物であり、またこれら
の一種または二種類以上組み合わせても差しつかえな
い。上記モノマー(a)の使用量は、モノマー(a)〜
(f)の合計に対して0.01〜1重量%、好ましくは
0.03〜0.5重量%の範囲である。モノマー(a)
の使用量が少なくなると水性塗料としての塗膜の耐水性
が低下する傾向にあり、使用量が多くなると耐水性は向
上するが、水性樹脂分散液(j)の安定性が低下する。
【0010】ポリオルガノシロキサンを含有するα,β
−エチレン性不飽和モノマー(b) モノマー(b)としては、例えばメタクリロキシポリジ
メチルシロキサン(サイラプレーンFM0711、07
21、0725:チッソ社製)、ジメタクリロキシポリ
ジメチルシロキサン、メタクリロキシポリメチルフェニ
ルシロキサンなどに代表される数平均分子量1000以
上のマクロモノマーが挙げられる。またこれらの一種ま
たは二種類以上、さらには異なる分子量のものを数種組
み合わせても差しつかえない。上記モノマー(b)の使
用量は、モノマー(a)〜(f)の合計に対して0.5
〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲であ
る。モノマー(b)の使用量が少なくなると得られる分
散用樹脂の親水性が低くなり顔料分散能力が低下するた
め分散液の粘度が高くなり、また、保存安定性も低下す
る。使用量が多くなると親水性は向上し安定な分散液は
得られるが水性塗料としての塗膜の耐候性が低下する。
【0011】ラジカル重合性紫外線吸収剤(c) モノマー(c)としては、2−ヒドロキシ−4−アクリ
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリ
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−アクリロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−メタクリロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロ
キシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−(メタクリロキシ−エトキシ)ベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−(メタクリロキシ−ジエトキシ)ベン
ゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシ−ト
リエトキシ)ベンゾフェノンなどベンゾフェノン系の紫
外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリ
ロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール
(RUVA−93:大塚化学社製)、2−(2’−ヒド
ロキシ−5’−メタクリロキシエチル−3−tert−
ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシプロピル−
3−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−
ベンゾトリアゾール、3−メタクリロイル−2−ヒドロ
キシプロピル−3−[3’−(2”−ベンゾトリアゾリ
ル)−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチル]フェニ
ルプロピオネート(CGL−104:日本チバガイギー
社製)などのベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤で、
またこれらの一種または二種類以上のものを数種組み合
わせても差しつかえない。上記モノマー(c)の使用量
は、モノマー(a)〜(f)の合計に対して0.01〜
5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲であ
る。モノマー(c)の使用量が少なくなると紫外線カッ
ト効率が不十分で期待どうりの耐候性が得られなくな
る。また、使用量が多くなると重合安定性が悪くなった
り、未反応の紫外線吸収剤がブリードを起こし皮膜形成
が不良となる場合がある。
【0012】ラジカル重合性光安定剤(d) モノマー(d)のラジカル重合性光安定剤としては、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメ
タクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4
−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメ
チル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,
6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレー
ト、2,2,6,6−テトラメチル−4−イミノピペリ
ジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シア
ノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジ
ルメタクリレートなどのヒンダードアミン系光安定剤が
あり、またこれらの一種または二種類以上のものを数種
組み合わせても差しつかえない。上記モノマー(d)の
使用量は、モノマー(a)〜(f)の合計に対して0.
01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲
である。モノマー(d)の使用量が少なくなると期待ど
うりの耐候性が得られなくなる。また、使用量が多くな
ると重合安定性が悪くなったり、未反応の光安定剤がブ
リードを起こし皮膜形成が不良となる場合がある。
【0013】カルボキシル基含有α,β−エチレン性不
飽和モノマー(e) モノマー(e)の代表例としては、アクリル酸、メタク
リル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マ
レイン酸、フマル酸、2−カルボキシエチル(メタ)ア
クリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレ
ートなどが挙げられる。またこれらの一種または二種類
以上組み合わせても差しつかえない。上記モノマー
(e)の使用量は、モノマー(a)〜(f)の合計に対
して0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の
範囲である。モノマー(e)の使用量が少なくなると、
得られる分散用樹脂の親水性が低くなり樹脂分散能力が
低下するため安定な樹脂分散液が得られなくなる。使用
量が多くなると親水性は向上し安定な樹脂分散液は得ら
れるが、塗膜の耐水性が低下する。
【0014】(a)〜(e)以外のα,β−エチレン性
不飽和モノマー(f) 上記モノマー(f)としては、例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)
アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリルな
どの(メタ)アクリル酸のC1〜C24のアルキルまた
は、シクロアルキルエステル;ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レートなどの(メタ)アクリル酸のC2〜C8のヒドロキ
シアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレンなどの芳香族不飽和モノマー;グリシジ
ル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有の(メ
タ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸1−メチ
ル2−オキサゾリドン、(メタ)アクリル酸1−エチル
2−オキサゾリドンなどの(メタ)アクリル酸のオキサ
ゾール環含有のC1〜C24のアルキルエステル;ポリオ
キシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アクリ
ルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキ
シメチルアクリルアミドなどのアミド基含有の(メタ)
アクリル酸アミド;N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル
(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)ア
クリレート類;1−ビニル−2−ピロリドン、1−ビニ
ル−3−ピロリドンなどのビニルピロリドン類;2−ビ
ニルピリジン、5−メチル−2−ビニルピリジン、5−
エチル−2−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類;
1−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミ
ダゾールなどのビニルイミダゾール類などが挙げられ
る。またこれらの一種または二種類以上組み合わせても
差しつかえない。上記モノマー(f)の使用量は、モノ
マー(a)〜(f)の合計に対して29〜99.37重
量%、好ましくは53.5〜97.87重量%である。
モノマー(f)の使用量が少なくなると得られる樹脂分
散液の親水性が高くなるため塗膜の耐水性が低下する。
使用量が多くなると樹脂分散能力が低下するため安定な
樹脂分散液が得られなくなる。
【0015】Tg値の測定は、示差走査熱量計(DS
C)などの熱分析装置を用いて測定することができる
が、例えば、2成分の例として、モノマー(1)及び
(2)について、それぞれのホモポリマーのガラス転移
点Tg1およびTg2が分かっている場合には、該モノ
マー(1)及び(2)の2成分からなる共重合体のガラ
ス転移点Tgは、次式に示すFOXの式(2成分の例で
ある)により計算値として求めることができる。 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2(但し、W1+
W2=1) W1:モノマー(1)の重量分率 W2:モノマー(2)の重量分率 Tg1:モノマー(1)のホモポリマーのTg値(単
位:K) Tg2:モノマー(2)のホモポリマーのTg値(単
位:K) 本発明における実施例、比較例中のポリマーのTg値は
上記の式を多成分系に一般化した式により計算したもの
である。
【0016】本発明では、モノマー(a)〜(f)から
なるとした樹脂(p’)のFOXにより計算されるTg
値は20℃〜80℃、好ましくは30〜60℃の範囲で
ある。樹脂(p’)のTg値が20℃より低いと水性塗
料としての塗膜の耐水性が低下する傾向にあり、Tg値
が80℃より高いと塗膜にクラックが発生する原因とな
り期待どうりの性能が得られなくなる。
【0017】水性樹脂分散液(j) 上記モノマー(a)〜(f)を、重合性官能基を有する
界面活性剤(e)の存在下、粒子径が100nm以下に
なるように有機溶剤中でラジカル重合を行って得られる
樹脂(p)の反応マスを、必要に応じて溶媒の少なくと
も一部を分離した後、中和、相転換して、水を主成分と
する分散媒に分散したものである。水性樹脂分散液の合
成方法としては、溶液重合により調製される。例えば、
モノマー(a)〜(f)の混合物を、水溶性又は非水溶
性有機溶媒、好ましくは親水性または水溶性有機溶媒中
でラジカル重合を行い、粒子径が100nm以下になる
ように調製する。さらに合成された樹脂溶液は、そのま
まあるいは溶媒を除去したあと、アンモニア、アミン、
アルカリ金属塩などの塩基性化合物で中和し、水を加え
て水溶化(水分散)する。
【0018】上記溶液重合に用いられる溶媒は、反応に
対して不活性であり、かつ重合効率等に悪影響をおよぼ
さない化合物であれば、特に限定されるものではない。
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、
n−プロパノール、iso−プロパノールなどの脂肪族
系の水溶性アルコール;エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなど
のエチレングリコールモノアルキルエーテル誘導体;プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノブエチルエーテルメなどのプロピレングリ
コールモノアルキルエーテル誘導体;メチルエチルケト
ン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素等が挙げられる。またこれらの一種または二
種類以上組み合わせても差しつかえない。
【0019】本発明におけるラジカル重合開始剤として
は、熱又は還元性物質等によってラジカル分解してモノ
マーへの付加重合を起こさせるもので水溶性、または油
溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾ化合物等が使用でき
る。その例としては過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫
酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸
化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、過コハク
酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−
ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,
2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス
(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、4,4
−アゾビス−(4−シアノバレリン酸)、2,2−アゾ
ビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)等のアゾ系化合物が挙げられるが、特に限定される
ものではない。これらの重合開始剤は、1種類のみを用
いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。モノ
マー成分に対する重合開始剤の使用量は特に限定される
ものではない。
【0020】なお、重合速度の促進、低温での重合を望
む時には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコル
ビン酸塩、ロンガリット、次亜リン酸ナトリウム・1水
和物などの次亜リン酸塩などの還元剤を重合開始剤と組
み合わせて使用することもできる。又、分子量の調節の
ため、ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、
チオグリコール酸2−エチルヘキシルなどの連鎖移動剤
を添加することも可能である。
【0021】本発明に用いられる中和剤は、好ましくは
アンモニア及び/又はアミン類であり、具体例としては
ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミ
ン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルア
ミン等のアルキルアミン;エタノールアミン、ジエタノ
ールアミン等のアルカノールアミン;ジメチルアミノエ
タノールなどのアルキルアルカノールアミン等が挙げら
れる。使用量は重合性不飽和モノマーの種類と濃度によ
って異なるが、通常、該不飽和モノマーの酸基に対して
50〜95モル%が好ましい。
【0022】また、必要に応じて公知の分散助剤(界面
活性剤、増粘剤)、凍結防止剤、防腐剤、防カビ剤等を
加えてもよく、また、乳化分散あるいは界面活性剤、水
溶性高分子を用いて分散されたアクリル樹脂、アルキド
樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのエマルション
と任意の割合で混合することができき、水性塗料組成物
とすることができる。
【0023】前記有機溶剤中でのラジカル重合により得
られたポリマー中の酸基は、上記中和剤で中和され、次
に有機溶媒層のポリマーを水層に移す相転換を行わせる
ため、相転換に必要な量の水(特に脱イオン水が好まし
い)を添加し、樹脂が水相に移る。必要に応じて有機溶
媒や水系溶媒の一部を、留出等により分離除去して、水
性樹脂分散液(j)が得られる。溶媒の分離除去はどの
段階で行ってもよく、有機溶剤中でのラジカル重合後行
っても、相転換後行ってもよい。
【0024】顔料分散液(k) 本発明に係る顔料分散液(k)は、樹脂エマルジョンに
顔料(g)を分散して得られる。必要に応じて水、例え
ば脱イオン水、消泡剤、アンモニア水等を加えることが
できる。顔料(g)としては、無機系ではマイカ、タル
ク、カオリン、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミ
ニウム、硫酸バリウム等の体質顔料;ベンガラ、黄酸化
鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、カーボンブラ
ック等の着色顔料;二酸化チタン、酸化亜鉛等の白色顔
料;雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパー
ル系顔料;窒化ほう素、ホトクロミック顔料、合成フッ
素金雲母、微粒子複合粉体等の特殊機能性顔料等があ
り、有機系では有機合成色素としての染料、レーキ、有
機顔料等がある。これらは、単独で又は二種以上併用で
きる。
【0025】樹脂エマルジョンへの顔料(g)の分散方
法としては、公知のスラリー化法により行なうことがで
きる。分散装置としては、ホモミキサー、ディスパー、
サンドミル、ボールミル、ロールミル、ニーダーなどが
使用できる。又、必要に応じて公知の分散助剤(界面活
性剤、増粘剤等)、凍結防止剤、防腐剤、防カビ剤等を
加えてもよい。
【0026】本発明の水性樹脂分散液は、添加して水性
塗料等を得る場合、最低成膜温度を調整するための溶剤
量が低減でき、また、水性樹脂分散液の皮膜の性能が、
所定の試験方法に従う評価で、密着性8〜10点、促進
耐候性による光沢保持率が70%以上、耐温水白化性が
4点以上、凍結融解密着性が4点以上である。
【0027】
【実施例】以下、実施例および比較例を示して本発明を
具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらのみに限定
されるものではない。なお、実施例、比較例中の部およ
び%は重量表示である。また、Tg値は、モノマー
(a)〜(f)の重合により得られたとした場合の樹脂
(p’)のFOX式により計算で求められた値である。
粒子径は光散乱により求めた体積平均の粒子径であり、
実施例では全て粒子径が100nm以下に分散されてい
ることが分かった。 [樹脂分散液の合成] (実施例A−1)第一段階として、γ−メタクリルオキ
シプロピルトリメトキシシラン0.2部、サイラプレー
ンFM0725(チッソ社製)50.0部、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化
学社製)1.0部、1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−イミノピペリジルメタクリレート(LA−82、
旭電化社製)1.0部、メタクリル酸メチル129.7
部、メタクリル酸シクロヘキシル27.9部、アクリル
酸ブチル55.8部、メタクリル酸33.5部、メタク
リル酸ジエチルアミノエチル32.1部を混合し均一な
モノマー混合溶液を得る。次に、かくはん機、還流冷却
器、滴下ろ斗、温度計を備えた2リットルの4つ口フラ
スコにiso−プロパノール223.2部、第一段階で
得たモノマー混合溶液の一部を仕込んで窒素ガス気流下
に80℃まで加熱し、ここへ重合開始剤を添加し、第一
段階で得たモノマー混合溶液の残りを2時間かけて滴下
した。このときの重合温度は79〜81℃の範囲を維持
し、滴下終了後の同温度範囲に5時間維持したあと、室
温まで冷却し、25%アンモニア水37.4部を滴下し
て中和した。中和終了後、約15分程度攪拌を行い、脱
イオン水600.0部を1時間かけて滴下して相転換を
行い、その後、エバポレーターで溶剤を留去し、目的の
樹脂分散液を得た。得られた樹脂分散液の不揮発分は3
4%、Tg値は50℃である。
【0028】(実施例A−2)γ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシランをビニル−tris−(2−
メトキシエトキシ)シランへ変更して、表1に示す組成
にした以外は、実施例A−1と同様の操作で行った。得
られた樹脂分散液の不揮発分は34%、Tg値は50℃
である。
【0029】(実施例A−3)重合に使用する溶剤をi
so−プロパノールから、iso−プロパノール13
0.2部、プロピレングリコールモノメチルエーテル9
3部の混合溶媒として、表1に示す組成にした以外は、
実施例A−1と同様の操作で行った。得られた樹脂分散
液の不揮発分は34%、Tg値は50℃である。
【0030】(実施例A−4)重合に使用する溶剤をi
so−プロパノールから、iso−プロパノール13
0.2部、ブチルセロソルブ93部の混合溶媒として、
表1に示す組成にした以外は、実施例A−1と同様の操
作で行った。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、
Tg値は50℃である。
【0031】(実施例A−5)メタクリル酸メチルを1
15.8部とし、アクリル酸ブチルをアクリル酸2−エ
チルヘキシル69.8部として、表1に示す組成にした
以外は、実施例A−1と同様の操作で行った。得られた
樹脂分散液の不揮発分は34%、Tg値は31℃であ
る。
【0032】(実施例A−6)メタクリル酸メチルを1
57.6部、アクリル酸ブチルを27.9部として、表
1に示す組成にした以外は、実施例A−1と同様の操作
で行った。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、T
g値は71℃である。
【0033】(実施例A−7)メタクリル酸をアクリル
酸に変更して、表1に示す組成にした以外は、実施例A
−1と同様の操作で行った。得られた樹脂分散液の不揮
発分は34%、Tg値は44℃である。
【0034】(実施例A−8)メタクリル酸メチルを1
07.9部、メタクリル酸ジエチルアミノエチルを4
2.8部、メタクリル酸を44.6部として、表1に示
す組成にした以外は、実施例A−1と同様の操作で行っ
た。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、Tg値は
49℃である。
【0035】(実施例A−9)γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン0.8部、サイラプレーンFM
0725を70.0部、メタクリル酸メチルを124.
9部、アクリル酸ブチル27.9部、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチルを48.1部、メタクリル酸を50.
2部として、表1に示す組成にした以外は、実施例A−
1と同様の操作で行った。得られた樹脂分散液の不揮発
分は32%、Tg値は69℃である。
【0036】(実施例A−10)2−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベ
ンゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化学社製)を
0.5部、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イ
ミノピペリジルメタクリレート(LA−82:旭電化社
製)を0.5部として、表1に示す組成にした以外は、
実施例A−1と同様の操作で行った。得られた樹脂分散
液の不揮発分は34%、Tg値は50℃である。
【0037】(比較例B−1)γ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、サイラプレーンFM072
5(チッソ社製)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メ
タクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾ
ール(RUVA−93:大塚化学社製)、1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリ
レート(LA−82:旭電化社製)を使用せず、実施例
A−1のシランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定
剤の共重合されていない樹脂分散液を、表2に示す組成
で、合成した。得られた樹脂分散液の不揮発分は30
%、Tg値は50℃である。
【0038】(比較例B−2)γ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシランを使用せず、実施例A−1の
シランカップリング剤の共重合されていない樹脂分散液
を、表2に示す組成で、合成した。得られた樹脂分散液
の不揮発分は34%、Tg値は50℃である。
【0039】(比較例B−3)γ−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシランを5.0部として、表2に示
す組成にした以外は実施例A−1と同様の操作を行なっ
た。得られた樹脂分散液の不揮発分は34.5%、Tg
値は50℃である。
【0040】(比較例B−4)2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化学社製)、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリ
ジルメタクリレート(LA−82:旭電化社製)を使用
せず、実施例A−1の紫外線吸収剤、光安定剤の共重合
されていない樹脂分散液を、表2に示す組成で合成し
た。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、Tg値は
50℃である。
【0041】(比較例B−5)2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベン
ゾトリアゾール(RUVA−93:大塚化学社製)を3
0.0部、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イ
ミノピペリジルメタクリレート(LA−82:旭電化社
製)を30.0部とし、中和転相時の脱イオン水を75
0部使用して、表2に示す組成にした以外は実施例A−
1と同様の操作を行なった。得られた樹脂分散液の不揮
発分は33%、Tg値は50℃である。
【0042】(比較例B−6)サイラプレーンFM07
25を使用せず、実施例A−1のオルガノシロキサンの
共重合されていない樹脂分散液を、表2に示す組成で合
成した。得られた樹脂分散液の不揮発分は30.5%、
Tg値は50℃である。
【0043】(比較例B−7)サイラプレーンFM07
25を140.0部とし、中和転相時に使用する脱イオ
ン水を800部として、表2に示す組成にした以外は実
施例A−1と同様の操作を行なった。得られた樹脂分散
液の不揮発分は33.5%、Tg値は50℃である。
【0044】(比較例B−8)メタクリル酸メチルを7
3.9部、アクリル酸ブチルを111.6部として、表
2に示す組成にした以外は実施例A−1と同様の操作を
行なった。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、T
g値は14℃である。
【0045】(比較例B−9)メタクリル酸メチルを1
75.8部、アクリル酸ブチルを9.8部として、表2
に示す組成にした以外は実施例A−1と同様の操作を行
なった。得られた樹脂分散液の不揮発分は34%、Tg
値は87℃である。上記、実施例A−1〜A−10、比
較例B−1〜B−9の合成における組成、性状について
は、それぞれ表1、表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】[顔料分散液の調製]直径10cm、高さ
15cmのステンレス製ビーカーに脱イオン水:30
g、消泡剤としてSNデフォーマー485:0.3g
(サンノプコ社製)、25%アンモニア水:0.3g
と、顔料分散液としてAsi−86(当社製):3.6
gを入れ、直径5cmの攪拌翼を備えたディスパーを用
いて1000rpmで攪拌しながら無機顔料としてブラ
ック390H(戸田工業社製、黒色酸化鉄系顔料)58
g、シリカ粉としてサイリシア350:7.8g(富士
シリシア化学社製)を添加した。添加後、攪拌翼の回転
数を4000rpmで30分間攪拌することにより顔料
分散液を得た。
【0049】[アクリル系水性塗料の調製] (実施例1−1〜1−10および比較例2−1〜2−1
0)次に、上記顔料分散液を用いて水性塗料を調製し
た。水性塗料の調製は、直径10cm、高さ15cmの
ステンレス製ビーカーに、上記顔料分散液:79gを仕
込み、直径5cmの攪拌翼を備えたディスパーを用いて
700rpmで攪拌しながらアクリル系水性エマルショ
ン(当社製:アクアブリッド4727):205g、テ
キサノール:2g、脱イオン水:23gの混合物を仕込
み、10分間攪拌したあと実施例A−1〜A−10、比
較例B−1〜B−9で得られた樹脂分散液を7.0部仕
込み、増粘剤として2%ヒドロキシエチルセルロース水
溶液:25g、脱イオン水:8gを配合し、ブチルセロ
ソルブでMFTを30℃に調整し、得られた塗料を1
日、室温で静置後、各種試験用塗料として使用した。そ
の配合組成を表3、表4示す。
【0050】以上のようにして得られた塗料について以
下の方法により、テストピースを作成し、塗膜の密着
性、耐候性、耐温水白化性、凍結融解密着性試験を行っ
た。結果を表3、表4示す。表3、表4から分かるよう
に、本発明の水性樹脂分散液を使用すると、密着性、促
進耐候性による光沢保持率、耐温水白化性、凍結融解密
着性のいずれにも優れた塗膜が得られる。また、比較例
2−10から分かるように本発明の水性樹脂分散液を加
えることにより、ブチルセロソルブ等の溶剤量を減らす
ことができる。
【0051】(テストピースの作成)脱イオン水で10
%希釈した上記塗料をスレート基材にスプレー塗装し、
120℃/3分間乾燥を行なった後、20℃、相対湿度
65%の条件で7日間養生を行い、目的とするテストピ
ースを得た。スレート板は、フレキシブルボードを使用
し、塗料サンピルの塗布量を150g/m2とした。
【0052】(塗膜の試験方法) 1.促進耐候性試験 上記テストピースを用いて、スーパーUVテスターによ
り、2000時間の促進試験を行い、塗膜の色差(Δ
E)、光沢保持率(%)を測定した。 2.密着性試験(JIS K5400) 上記テストピースを用いて、JIS K5400に規定
される碁盤目試験を実施する。判定基準はJIS K5
400に準じ10点満点で評価する。 3.耐温水性試験方法 前記テストピースを50℃の脱イオン水に20日間浸漬
した後、水から取り出し冷水で急冷を行い、皮膜の白化
の程度を目視判定する。判定基準は以下のとうりであ
る。 5点:透明性に変化なし。膨れ、剥がれなし。 4点:わずかにうす青く白化が認められる。膨れ、剥が
れなし。 3点:わずかに白化が認められる。一部において膨れ、
剥がれが認められる。 2点:白化が認められる。一部において膨れ、剥がれが
認められる。 1点:全面に白化している。膨れ、剥がれあり。 4.凍結融解密着性試験 上記テストピースを用いてASTM−C666Aに従
い、300サイクル繰り返し試験を行ったあとの皮膜の
状態を目視判定する。判定基準は以下のとおりである。 5点:変化なし。4点:わずかに皮膜の浮き、膨れが認
められる。3点:皮膜の浮き、膨れが認められる。2
点:皮膜の剥離が認められる。1点:全面に塗膜の剥離
が認められる。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
【発明の効果】本発明による水性樹脂分散液及びそれを
含む水性塗料は、塗膜の耐候性、耐水性、耐温水白化
性、耐熱水白化性に優れ、通常の製造装置、製造条件な
どで工業的容易にかつ安価に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/07 C09D 183/07 Fターム(参考) 4J002 BN201 GH00 GJ01 GK04 4J011 HA03 HA08 4J027 AF05 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA13 BA15 BA30 CB01 CB02 CB03 CB09 CC02 CD08 4J038 CG061 CG141 CG171 CH031 CH041 CH071 CH121 CH171 CH191 CH201 CK021 CK041 DB221 DL121 DL141 GA15 GA16 JB02 JB09 KA16 MA08 MA10 MA13 MA14 NA03 NA04 NA05 NA14 NA27 PA18 PB05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシシリル基を含有するα,β−
    エチレン性不飽和モノマー(a)0.01〜1重量%、
    ポリオルガノシロキサンを含有するα,β−エチレン性
    不飽和モノマー(b)0.5〜30重量%、ラジカル重
    合性紫外線吸収剤(c)0.01〜5重量%、ラジカル
    重合性光安定剤(d)0.01〜5重量%、カルボキシ
    ル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマー(e)0.
    1〜30重量%、及び上記(a)〜(e)以外のα,β
    −エチレン性不飽和モノマー(f)29〜99.37重
    量%(但し(a)〜(f)の合計は100重量%であ
    る。)を、ラジカル重合可能な重合性官能基を有する界
    面活性剤の存在下、ラジカル重合開始剤を用いて、粒子
    径100nm以下になるように有機溶媒中で共重合させ
    て得られる樹脂(p)であって、モノマー(a)〜
    (f)からなるとした場合の樹脂(p’)のFOX式に
    より計算で求められるガラス転移点Tg値が20〜80
    ℃であり、樹脂(p)を含む反応マスを、中和、水添加
    により相転換して、水性樹脂分散液。
  2. 【請求項2】 最低成膜温度を調整するための溶剤量が
    低減でき、また、皮膜の性能が、所定の試験方法に従う
    評価で、密着性8〜10点、促進耐候性による光沢保持
    率が70%以上、耐温水白化性が4点以上、凍結融解密
    着性が4点以上であることを特徴とする請求項1記載の
    水性樹脂分散液。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の水性樹脂分散液
    を含む水性塗料。
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