JPH11171897A - 環状デプシペプチド及びこれを有効成分とする医薬 - Google Patents

環状デプシペプチド及びこれを有効成分とする医薬

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JPH11171897A
JPH11171897A JP9308589A JP30858997A JPH11171897A JP H11171897 A JPH11171897 A JP H11171897A JP 9308589 A JP9308589 A JP 9308589A JP 30858997 A JP30858997 A JP 30858997A JP H11171897 A JPH11171897 A JP H11171897A
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ala
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distilled
pro
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JP9308589A
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Akinobu Sumio
彰信 角尾
Masayuki Kamijo
政幸 上條
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Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 次の一般式(1) 【化1】 〔R1a、R1b及びR1cはH又はMeを、R2及びR4は低級
アルキル基を、R3は低級アルキル基又はアラルキル基
を、R5及びR6はH、C1〜C8アルキル基又はアラルキ
ル基(R5=R6=Hとはならない)を、A及びBはエチ
レン基又は低級アルキル基置換メチレン基を、X及びY
は−O−又は−N(R1d)−(R1dはH又はMe)を示す。
ただし、R2とXのR1d及び/又はR4とR1cは共同して
隣接するC原子及びN原子と共に含窒素複素環を形成し
てもよい。〕で表される環状デプシペプチド及びこれを
有効成分とする医薬。 【効果】 強い強心作用、抗不整脈作用及び血管拡張作
用を有するとともに、不整脈等の副作用がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な環状デプシ
ペプチド及びこれを有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】心不全
治療薬として、従来ホスホジエステラーゼ阻害活性を有
する薬剤が開発されてきた。しかし、これらは米国で行
われた臨床試験の結果から、長期使用の場合、予後の改
善の点で悲観的であることが示されている(Packer M.
et al.:Effect of oral milrinone on mortality in se
vere chronic heart failure. New Engl. J. Med., 32
5, 1468-1475, 1991)。サイクリック AMPの増加は心筋
自動能の亢進を招き、心筋酸素消費の増加を起こし、ま
た心室性不整脈の原因の一つとなるため、長期予後の悪
化を来すと考えられる。
【0003】また、ジギタリスは現在も心不全治療薬と
して汎用されているが、不整脈をはじめ、副作用が多く
安全域が狭い(Hoffman B. F. and Bigger J. T. Jr.:
Digitalis and allied cardiac glycosides. In Goodm
an and Gilman's "The Pharmacological basis of ther
apeutics." eds.: Gilman A. G, et al. Pergamon Pres
s, pp.814-839, 1990.;Poole-Whilson, P. A. and Rob
inson K.: Digoxin-Aredundant drug in congestive ca
rdiac failure. Cardiovasc. Drugs Ther. 2,733-741,
1989.)。
【0004】そこで、本発明者らは強い強心作用を有す
るとともに副作用の少ない化合物を鋭意検索した結果、
トリコテシウム属に属する微生物の培養物中から、その
ような条件を満たす環状デプシペプチド骨格を有する化
合物を見出し、特許出願した(特開平7-138290号公報及
び特開平7-188286号公報)。
【0005】しかし、優れた強心剤となり得る更に多く
の化合物の提供が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において本発
明者らは環状デプシペプチド骨格を有する化合物を種々
合成し、その強心作用及び副作用について検討した結
果、後述の一般式(1)で表される新規な環状デプシペプ
チドが、強い強心作用、抗不整脈作用及び血管拡張作用
を有するとともに、心臓組織内サイクリックAMPの増加
を来さず不整脈等の副作用を起こさないことから、医薬
として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化5】
【0009】〔式中、R1a、R1b及びR1cはそれぞれ水
素原子又はメチル基を示し、R2及びR4は低級アルキル
基を示し、R3は低級アルキル基又はアラルキル基を示
し、R 5及びR6はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のア
ルキル基又はアラルキル基を示すが、共に水素原子とな
ることはない。A及びBはそれぞれエチレン又は低級ア
ルキル基が置換したメチレン基を示す。X及びYはそれ
ぞれ−O−又は−N(R1d)−(R1dは水素原子又はメチ
ル基)を示す。ただし、R2とXのR1d及び/又はR4
1cは共同して隣接する炭素原子及び窒素原子と共に含
窒素複素環を形成してもよい。〕で表される環状デプシ
ペプチド及びこれを有効成分とする医薬を提供するもの
である。
【0010】なお、本発明の環状デプシペプチド(1)に
は不斉炭素原子が複数存在するため、種々の立体異性が
存在するが、本発明にはそのいずれの立体異性体及びそ
れらの混合物も包含される。また本発明の環状デプシペ
プチド(1)は水和物に代表される溶媒和物の形態で存在
することもあり、本発明においてはこれらも包含され
る。
【0011】
【発明の実施の形態】一般式(1)中、R2、R3及びR4
表される低級アルキル基、並びにA及びBで表される低
級アルキル基置換メチレン基における当該低級アルキル
基としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル
基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ
ピル基、ブチル基、イソブチル、sec-ブチル基、ペンチ
ル基等が挙げられ、R3、R5及びR6で表されるアラル
キル基としては、ベンジル基等が挙げられ、R5及びR6
で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。また、
2とXのR1d及び/又はR4とR1cが共同して隣接する
炭素原子及び窒素原子と共に形成する含窒素複素環とし
ては、ピロリジン環、オクタヒドロインドール環等が挙
げられる。
【0012】本発明の環状デプシペプチド(1)は、次式
【0013】
【化6】
【0014】で示されるように、6個のアミノ酸、ヒド
ロキシ酸等から形成される化合物であり、構造上の特徴
から主として次の3つのタイプに分類できる。
【0015】一番目(タイプ1)は、一般式(1A)で示さ
れるように、一般式(1)中のX及びYが共に−N(R1d)
−である化合物である(2つのR1dは同一でも異なって
もよい)。
【0016】
【化7】
【0017】〔式中の記号はすべて前記と同じ意味を示
す。〕
【0018】二番目(タイプ2)は、一般式(1B)で示さ
れるように、一般式(1)中のXが−N(R1d)−、Yが−
O−である化合物である。
【0019】
【化8】
【0020】〔式中の記号はすべて前記と同じ意味を示
す。〕
【0021】三番目(タイプ3)は、一般式(1C)で示さ
れるように、一般式(1)中のX及びYが共に−O−であ
る化合物である。
【0022】
【化9】
【0023】〔式中の記号はすべて前記と同じ意味を示
す。〕
【0024】タイプ1の環状デプシペプチド(1A)は、
(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)がアミノ酸又はN-メチルア
ミノ酸から形成され、(f)がヒドロキシ酸から形成され
た構造を有する化合物である。
【0025】タイプ1の好ましい例として、(a)がβ-ア
ラニン、(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバリン、
(d)がイソロイシン、(e)がプロリン、(f)がフェニルア
ラニン酸の構造を有するもの(TK22-4)、(a)がβ-アラ
ニン、(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバリン、(d)
がイソロイシン、(e)がメチルアラニン、(f)がロイシン
酸の構造を有するもの(TK32-5)、(a)がβ-アラニン、
(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバリン、(d)がイソ
ロイシン、(e)がメチルバリン、(f)がロイシン酸の構造
を有するもの(TK33-5)、(a)がβ-アラニン、(b)がメ
チルアラニン、(c)がメチルバリン、(d)がN-メチルイソ
ロイシン、(e)がプロリン、(f)がロイシン酸の構造を有
するもの(TK50-8)、(a)がβ-アラニン、(b)がメチル
アラニン、(c)がメチルバリン、(d)がイソロイシン、
(e)がオクタヒドロインドール-2-カルボン酸、(f)がロ
イシン酸の構造を有するもの(TK70-5)、(a)がβ-アラ
ニン、(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバリン、(d)
がイソロイシン、(e)がプロリン、(f)が2-エチル-2-ヒ
ドロキシブチル酸の構造を有するもの(TK330-6)、(a)
がβ-アラニン、(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバ
リン、(d)がイソロイシン、(e)がプロリン、(f)が2-ヒ
ドロキオクタン酸の構造を有するもの(TK340-6)、(a)
がβ-アラニン、(b)がメチルアラニン、(c)がメチルバ
リン、(d)がイソロイシン、(e)がプロリン、(f)が2-ヒ
ドロキシヘキサン酸の構造を有するもの(TK350-6)等
を挙げることができる。
【0026】タイプ2の環状デプシペプチド(1B)は、
(a)、(b)、(d)及び(e)がアミノ酸又はN-メチルアミノ酸
から形成され、(c)及び(f)がヒドロキシ酸から形成され
た構造を有する化合物である。環状デプシペプチド(1b)
は、(b)及び(e)が含窒素複素環構造を有する点対称の構
造のものが好ましい。
【0027】タイプ2の好ましい例として、(a)及び(d)
がβ-アラニン、(b)及び(e)がプロリン、(c)及び(f)が
フェニルアラニン酸の構造を有するもの(TK510-7)、
(a)及び(d)がアラニン、(b)及び(e)がプロリン、(c)及
び(f)がフェニルアラニン酸の構造を有するもの(TK610
-7)、(a)及び(d)がバリン、(b)及び(e)がプロリン、
(c)及び(f)がフェニルアラニン酸の構造を有するもの
(TK620-9)、(a)及び(d)がイソロイシン、(b)及び(e)
がプロリン、(c)及び(f)がフェニルアラニン酸の構造を
有するもの(TK690-4)等の化合物を挙げることができ
る。
【0028】タイプ3の環状デプシペプチド(1C)は、
(a)、(d)及び(e)がアミノ酸又はN-メチルアミノ酸から
形成され、(b)、(c)及び(f)がヒドロキシ酸から形成さ
れた構造を有する化合物である。
【0029】タイプ3の好ましい例として、(a)がβ-ア
ラニン、(b)が乳酸、(c)がロイシン酸、(d)がイソロイ
シン、(e)がプロリン、(f)がフェニルアラニン酸の構造
を有するもの(TK660-7)等の化合物を挙げることがで
きる。
【0030】次に、本発明の環状デプシペプチド(1)の
合成法について説明する。本発明の環状デプシペプチド
(1)は、例えば、目的とする環状デプシペプチド(1)の前
記(a)〜(f)に対応するアミノ酸、N-メチルアミノ酸、ヒ
ドロキシ酸等を、段階的縮合法により逐次結合させ、最
後に分子内縮合反応により閉環させることにより製造す
ることができる。又は、目的とする環状デプシペプチド
(1)が点対称の場合には、前記(a)〜(f)のうち連続する
3つの部位からなるデプシペプチドを段階的縮合法によ
り合成し、この2分子を縮合環化させることによっても
製造することができる。
【0031】アミノ酸又はN-メチルアミノ酸の縮合反応
は、一方のアミノ基と他方のカルボキシル基を保護した
上で、一方のカルボキシル基を活性化して他方のアミノ
基と反応させることにより行われる。また、ヒドロキシ
カルボン酸のカルボキシル基とアミノ酸等のアミノ基と
の縮合反応は、アミノ酸のカルボキシル基を保護した上
で、ヒドロキシ酸のカルボキシル基を活性化してアミノ
酸のアミノ基と反応させることにより行われる。
【0032】ここで、アミノ酸等のアミノ基の保護は、
t-ブトキシカルボニル基(BOC)、ベンジルオキシカル
ボニル基(Z)等により、カルボキシル基の保護は、フ
ェナシルエステル基(Pac)、ベンジルエステル基(Bz
l)等により行うことができる。アミノ基のt-ブトキシ
カルボニル基による保護は、t-ブチルクロロホルマー
ト、t-ブチルアジドホルマート等と反応させることによ
り行われ、その除去は、トリフルオロ酢酸、塩酸/酢
酸、塩酸/ジオキサン等と反応させることにより行われ
る。アミノ基のベンジルオキシカルボニル基による保護
は、弱塩基性水又はジオキサン中でベンジルクロロホル
マートと反応させることにより行われ、その除去は、パ
ラジウム触媒を用いる接触還元、ヨウ化ホスホニウム/
酢酸との反応、ハロゲン化水素/酢酸との反応等により
行われる。カルボキシル基のフェナシルエステル基によ
る保護は、例えばトリメチルアミンの存在下、臭化フェ
ナシルと反応させることにより行われ、その除去は酢酸
−亜鉛粉末との反応、パラジウム触媒を用いる接触還
元、チオフェノールのナトリウム塩/ジメチルスルホキ
シドとの反応等により行われる。カルボキシル基のベン
ジルエステル基による保護は、ベンジルアルコール/ポ
リリン酸との反応、ベンジルアルコール/ベンゼンスル
ホン酸、次いでトリエチルアミンとの反応等により行わ
れ、その除去は、パラジウム触媒を用いる接触還元、水
酸化ナトリウム/ジオキサン等による還元などにより行
われる。またそれぞれの保護アミノ酸として市販品を用
いることもできる。
【0033】またカルボキシル基の活性化には、アジド
法、混合酸無水物法、活性エステル法、ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド(DCC)、水溶性カルボジイミド(WSC
D)等を用いるカルボジイミド法などが用いられる。
【0034】ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基と
アミノ酸等のカルボキシル基との反応は、4-ピロリジノ
ピリジン及びジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下
で行われる。
【0035】最後の縮合環化反応は、ジイソプロピルエ
チルアミン(DIEA)及びO-(7-アザベンゾトリアゾル)-
1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォ
スフェート(HATU)の存在下に行われる。
【0036】上記の如くして得られた本発明の環状デプ
シペプチド(1)は、優れた強心作用、抗不整脈作用及び
血管拡張作用を有し、かつ心臓等の組織内サイクリック
AMP濃度を増加させないので、不整脈等の副作用のない
循環器系疾患治療用の医薬、特に強心剤、抗不整脈剤及
び血管拡張剤として有用である。対象疾患としては、各
種心不全、各種不整脈、高血圧症、狭心症、心筋梗塞等
が挙げられる。
【0037】本発明の環状デプシペプチド(1)を強心
剤、抗不整脈剤、血管拡張剤等の医薬として使用する場
合、環状デプシペプチド(1)を単独で、又は環状デプシ
ペプチド(1)と賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩
壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、
矯味剤、香料、被覆剤等を適宜組み合わせて製剤化して
投与することができる。かかる製剤としては、経口及び
非経口を問わず各種の剤型、例えば散剤、顆粒剤、錠
剤、糖衣錠、カプセル剤、アンプル剤等の経口投与剤;
皮下、筋肉又は静脈注射剤;坐剤等が挙げられる。
【0038】本発明の医薬の投与量は、症状、投与方法
等によっても異なるが、一般に成人において、環状デプ
シペプチド(1)として0.6〜300mg/日、好ましくは5〜2
00mg/日であり、これを通常1日3〜4回に分けて投与
するのが好適である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例において使用した略語は、次のとおりであ
る。
【0040】一般的なアミノ酸残基の略号のほか、「Pa
c」はフェナシル基を、「Boc」はt-ブトキシカルボニル
基を、「Z」はベンジルオキシカルボニル基を、「Bzl」
はベンジル基を、「Me」はメチル基を、「HOBt」は1-ヒ
ドロキシベンゾトリアゾールを、「HOAt」は1-ヒドロキ
シ-7-アザベンゾトリアゾールを、「HATU」はO-(7-アザ
ベンゾトリアゾル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム
ヘキサフルオロフォスフェートを、「DIEA」はジイソプ
ロピルエチルアミンを、「DCC」はジシクロヘキシルカ
ルボジイミドを、「WSCD」は水溶性カルボジイミドを、
「H-OBut-OH」は2-エチル-2-ヒドロキシブチル酸を、
「H-OHex-OH」は2-ヒドロキシヘキサン酸を、「H-OOct-
OH」は2-ヒドロキシオクタン酸を、「OLeu」はロイシン
酸を、「OPhe」はフェニルアラニン酸を、「Lac」は乳
酸を、「Oic」はオクタヒドロインドール-2-カルボン酸
をそれぞれ意味する。
【0041】実施例1 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-OPhe-Pro)(TK22-4)の合成:
【0042】
【化10】
【0043】(1) Boc-β-Ala-OPacの合成 Boc-β-Ala-OH 10.0gをアセトン(100ml)に溶かし、
氷冷下、トリエチルアミン(8.1ml)を滴下し、引き続
き臭化フェナシル(11.57g)を加え、氷冷下で5分
間、更に室温で24時間攪拌した。アセトンを減圧留去し
た後、酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去
後、ヘキサンで結晶化し、Boc-β-Ala-OPac 14.7gを得
た。
【0044】(2) HCl・H-β-Ala-OPacの合成 (1)で合成したBoc-β-Ala-OPac 14.54gに5.0N HCl/
ジオキサン(189ml)を加えた後、室温で1時間放置し
た。ジオキサンを減圧留去し、エーテルを加えて結晶化
した。沈殿をエーテルで洗浄後、減圧下で乾燥して、HC
l・H-β-Ala-OPac11.2gを得た。
【0045】(3) Boc-MeAla-β-Ala-OPacの合成 (2)で合成したHCl・H-β-Ala-OPac 5.55gをDMF(25ml)
に溶かし、氷冷下、Boc-MeAla-OH 4.86g及びHOAt 3.42
gを加え、WSCD 5.48mlを滴下した。氷冷下で30分間、
更に室温で18時間攪拌した。DMFを減圧留去し、残渣を
酢酸エチルに溶かした。10%クエン酸、飽和食塩水、飽
和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。こ
れを、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエ
ン:酢酸エチル=2:1)により精製し、Boc-MeAla-β
-Ala-OPac 8.92gを得た。
【0046】(4) HCl・H-MeAla-β-Ala-OPacの合成 (3)で合成したBoc-MeAla-β-Ala-OPac 8.92gに4.5N H
Cl/ジオキサン(101ml)を加えた後、室温で1時間放
置した。ジオキサンを減圧留去し、エーテルを加えて結
晶化した。沈殿をエーテルで洗浄後、減圧下で乾燥し
て、HCl・H-MeAla-β-Ala-OPac 7.32gを得た。
【0047】(5) HCl・H-MeVal-MeAla-β-Ala-OPacの合
成 (4)で合成したHCl・H-MeAla-β-Ala-OPac 7.00g、Boc-M
eVal-OH 5.18g及びHOAt 3.20gをDMF(35ml)に溶か
し、氷冷下WSCD(5.15ml)を滴下した。氷冷下で1時
間、更に室温で16時間攪拌した。DMFを減圧留去し、残
渣を酢酸エチルに溶かした。10%クエン酸、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去
し、残渣11.2gを得た。この残渣に、4.5N HCl/ジオ
キサン(95.1ml)を加えた後、室温で1時間放置した。
ジオキサンを減圧留去し、エーテルを加え結晶化した。
沈殿をエーテルで洗浄後、減圧下で乾燥して、HCl・H-Me
Val-MeAla-β-Ala-OPac 8.71gを得た。
【0048】(6) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPacの合
成 (5)で合成したHCl・H-MeVal-MeAla-β-Ala-OPac 8.50
g、Z-Ile-OH 5.37g及びHOAt 2.89gをDMF(45ml)に
溶かし、氷冷下WSCD 4.64mlを滴下した。氷冷下で1時
間、更に室温で17時間攪拌した。DMFを減圧留去し、残
渣を酢酸エチルに溶かした。10%クエン酸、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し
た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホル
ム:メタノール=100:1)により精製し、Z-Ile-MeVal
-MeAla-β-Ala-OPac 10.7gを得た。
【0049】(7) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OHの合成 (6)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPac 10.7g
を90%酢酸水溶液(200ml)に溶かし、亜鉛粉末53.7g
を加え、2時間超音波攪拌した。亜鉛粉末を濾過後、酢
酸を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶かして、10%ク
エン酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減
圧留去した。残渣をヘキサンで2回洗浄後、シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール
=19:1)により精製した。残渣をヘキサンで結晶化
し、Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 6.05gを得た。
【0050】(8) H-OPhe-Pro-OBzlの合成 フェニルアラニン酸0.50g(3.01mmol)、HCl・H-Pro-OB
zl 0.763g(3.16mmol)及びHOAt 0.451g(3.31mmol)
をDMF(10ml)に溶かし、氷冷下WSCD 724μl(3.31mmo
l)を滴下後、氷冷下で1時間、更に室温で16時間攪拌
した。DMFを減圧留去した後、残渣を酢酸エチルに溶か
し、10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム:
メタノール=100:1に溶かし、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:
1)で精製し、目的物1.03g(収率97%)を得た。
【0051】(9) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPhe-Pro-
OBzlの合成 (7)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 0.151g
(0.283mmol)、(8)で合成したH-OPhe-Pro-OBzl 0.100
g(0.283mmol)及び4-ピロリジノピリジン 12.6mg(0.
085mmol)をDMF(2ml)に溶かし、氷冷下DCC 64.6mg
(0.313mmol)を加えて氷冷下で30分、更に室温で15時
間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え不溶物を濾去し
た。これを10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナ
トリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲ
ル薄層カラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタ
ノール=30:1)で精製し、目的物78.2mg(収率31.8
%)を得た。
【0052】(10)H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPhe-Pro-
OHの合成 (9)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPhe-Pro-OBz
l 78.2mg(0.090mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(30ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル小
匙2杯)を入れ、室温で攪拌下水素ガスを1時間吹き込
んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、水に溶
かし凍結乾燥して、目的物48.8mg(収率84.1%)を得
た。
【0053】(11)Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPhe
-Pro)(TK22-4)の合成 H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OPhe-Pro-OH 40.0mg(0.062
mmol)をジクロロメタン(25ml)に溶かし、DIEA 64.8
μl(0.372mmol)を加えた。これを25mlのシリンジに入
れ、HATU 70.7mg(0.186mmol)の入ったジクロロメタン
溶液(37ml)に2時間かけて滴下した。その後室温で16
時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸エチルに
溶かし、10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナト
リウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣を得た。これを
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メ
タノール=19:1)により分離し、目的物21.0mg(収率
54.1%)を得た。 mp:252.8℃ MS:m/z 628.0(M+H+) 計算値(C334957):627.4 UV λmax(メタノール)nm(ε):208(22750.7)1 H-NMR:図1 IR(KBr):図2
【0054】実施例2 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-OBut-Pro)(TK330-6)の合成:
【0055】
【化11】
【0056】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-OPac
の合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 0.500g(0.9
37mmol)、2-エチル-2-ヒドロキシブチル酸のフェナシ
ルエステル0.234g(0.937mmol)及び4-ピロリジノピリ
ジン41.7mg(0.281mmol)をDMF(3ml)に溶かし、氷冷
下DCC 268mg(1.03mmol)を加えて氷冷下で30分、更に
室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え不溶
物を濾去した。これを10%クエン酸、飽和食塩水、飽和
炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物
を得た。
【0057】(2) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-OHの
合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-OPac 71
7mg(0.937mmol)を90%酢酸水溶液(30ml)に溶かし、
亜鉛粉末3.06g(46.9mmol)を加え、1時間激しく攪拌
した。亜鉛粉末を濾過後、酢酸を減圧留去し、残渣を酢
酸エチルに溶かして、10%クエン酸で洗浄後、硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサ
ンで2回洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、
目的物を得た。
【0058】(3) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-Pro-
OBzlの合成 (2)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-OH 582m
g(0.898mmol)、HCl・H-Pro-OBzl0.217g(0.898mmol)
及びHOAt 0.134g(0.988mmol)をDMF(15ml)に溶か
し、氷冷下WSCD 216μl(0.988mmol)を滴下後、氷冷下
で1時間、更に室温で16時間攪拌した。DMFを減圧留去
した後、残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽
和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、目的物671mgを得た。
【0059】(4) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-Pro-
OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-Pro-OBz
l 671mg(0.804mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(100ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル
小匙3杯)を入れ、室温で攪拌下水素ガスを1時間吹き
込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、ジオ
キサンで凍結乾燥して、目的物を得た。
【0060】(5) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut
-Pro)(TK330-6)の合成 (4)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OBut-Pro-OH
100.0mg(0.159mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶か
し、DIEA 166μl(0.954mmol)を加えた。これを50mlの
シリンジに入れ、HATU 181.0mg(0.477mmol)の入った
ジクロロメタン溶液(100ml)に4時間かけて滴下し
た。その後室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。
残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、残渣を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=19:1)により分離
し、目的物33.2mg(収率35.0%)を得た。 MS:m/z 594.2(M+H+) 計算値(C305157):593.41 H-NMR:図3
【0061】実施例3 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-L-OOct-Pro)(TK340-6-A)及びCyclo-(Ile-MeVal-MeA
la-β-Ala-D-OOct-Pro)(TK340-6-B)の合成:
【0062】
【化12】
【0063】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-
OPacの合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 0.500g(0.9
37mmol)、D,L-2-ヒドロキシオクタン酸のフェナシルエ
ステル0.261g(0.937mmol)及び4-ピロリジノピリジン
41.7mg(0.281mmol)をDMF(3ml)に溶かし、氷冷下DC
C 268mg(1.03mmol)を加えて氷冷下で30分、更に室温
で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え不溶物を
濾去した。これを10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸
水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物を得
た。
【0064】(2) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-
OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-OPa
c 744mg(0.937mmol)を90%酢酸水溶液(30ml)に溶か
し、亜鉛粉末3.06g(46.9mmol)を加え、1時間激しく
攪拌した。亜鉛粉末を濾過後、酢酸を減圧留去し、残渣
を酢酸エチルに溶かして、10%クエン酸で洗浄後、硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘ
キサンで2回洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製
し、目的物を得た。
【0065】(3) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-
Pro-OBzlの合成 (2)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-OH
635mg(0.937mmol)、HCl・H-Pro-OBzl 0.226g(0.937m
mol)、HOAt 0.140g(1.03mmol)をDMF(15ml)に溶か
し、氷冷下WSCD 225μl(1.03mmol)を滴下後、氷冷下
で1時間、更に室温で16時間攪拌した。DMFを減圧留去
した後、残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽
和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、目的物800mgを得た。
【0066】(4) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-
Pro-OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-Pro
-OBzl 800mg(0.937mmol)をメタノール:酢酸:水=
8:2:1(100ml)に溶かし、パラジウム黒(スパー
テル小匙3杯)を入れ、室温で攪拌下水素ガスを1時間
吹き込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、
ジオキサンで凍結乾燥して、目的物を得た。
【0067】(5) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-L-OO
ct-Pro)(TK340-6-A)及びCyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-
Ala-D-OOct-Pro)(TK340-6-B)の合成 (4)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OOct-Pro
-OH 100.0mg(0.152mmol)をジクロロメタン(50ml)に
溶かし、DIEA 159μl(0.913mmol)を加えた。これを50
mlのシリンジに入れ、HATU 174.0mg(0.457mmol)の入
ったジクロロメタン溶液(100ml)に4時間かけて滴下
した。その後室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去し
た。残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食
塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、残渣を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=30:1)により分離
し、TK340-6-A 19.6mg(収率20.2%)及びTK340-6-B 1
7.0mg(収率17.5%)を得た。1 H-NMR:図4(TK340-6-A),図5(TK340-6-B)
【0068】実施例4 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-L-OHex-Pro)(TK350-6-A)及びCyclo-(Ile-MeVal-MeA
la-β-Ala-D-OHex-Pro)(TK350-6-B)の合成:
【0069】
【化13】
【0070】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-
OPacの合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 0.500g(0.9
37mmol)、D,L-2-ヒドロキシヘキサン酸のフェナシルエ
ステル0.234g(0.937mmol)及び4-ピロリジノピリジン
41.7mg(0.281mmol)をDMF(3ml)に溶かし、氷冷下DC
C 268mg(1.03mmol)を加えて氷冷下で30分、更に室温
で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え不溶物を
濾去した。これを10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸
水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、目的物を得
た。
【0071】(2) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-
OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-OPa
c 719mg(0.937mmol)を90%酢酸水溶液(30ml)に溶か
し、亜鉛粉末3.06g(46.9mmol)を加え、1時間激しく
攪拌した。亜鉛粉末を濾過後、酢酸を減圧留去し、残渣
を酢酸エチルに溶かして、10%クエン酸で洗浄後、硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘ
キサンで2回洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製
し、目的物を得た。
【0072】(3) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-
Pro-OBzlの合成 (2)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-OH
719mg(0.937mmol)、HCl・H-Pro-OBzl 0.226g(0.937m
mol)、HOAt 0.140g(1.03mmol)をDMF(15ml)に溶か
し、氷冷下WSCD 225μl(1.03mmol)を滴下後、氷冷下
で1時間、更に室温で16時間攪拌した。DMFを減圧留去
した後、残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽
和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去し、目的物781mgを得た。
【0073】(4) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-
Pro-OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OHex-Pro-OBz
l 781mg(0.937mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(100ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル
小匙3杯)を入れ、室温で攪拌下水素ガスを1時間吹き
込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、ジオ
キサンで凍結乾燥して、目的物を得た。
【0074】(5) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-L-OH
ex-Pro)(TK350-6-A)及びCyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-
Ala-D-OHex-Pro)(TK350-6-B)の合成 (4)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-D,L-OHex-Pro
-OH 100.0mg(0.159mmol)をジクロロメタン(50ml)に
溶かし、DIEA 166μl(0.954mmol)を加えた。これを50
mlのシリンジに入れ、HATU 181.0mg(0.477mmol)の入
ったジクロロメタン溶液(100ml)に4時間かけて滴下
した。その後室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去し
た。残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食
塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、残渣を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=30:1)により分離
し、TK350-6-A 22.4mg(収率23.1%)及びTK350-6-B 2
3.2mg(収率23.9%)を得た。1 H-NMR:図6(TK350-6-A),図7(TK350-6-B)
【0075】実施例5 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-OLeu-Oic) (TK70-5)の合成:
【0076】
【化14】
【0077】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OPac
の合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OH1.50g(2.81m
mol)、ロイシン酸のフェナシルエステル(H-OLeu-OPa
c)0.703g(2.81mmol)及び4-ピロリジノピリジン125.
0mg(0.843mmol)をDMF(10ml)に溶かし、氷冷下DCC 6
39.0mg(3.09mmol)を加えて氷冷下で30分、更に室温で
16時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え不溶物を濾
去した。これを10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸水
素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタ
ノール=200:1)で精製し、目的物1.29g(収率60.0
%)を得た。
【0078】(2) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OHの
合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OPac1.2
9g(1.68mmol)を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末
5.50g(84.2mmol)を加え、室温で2時間激しく攪拌し
た。亜鉛粉末をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エ
チルに溶解し、10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグ
ネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタ
ノール=50:1)により精製し、目的物1.03g(94.0
%)を得た。
【0079】(3) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Oic-
OBzlの合成 (2)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OH 100m
g(0.154mmol)、オクタヒドロインドール-2-カルボン
酸のベンジルエステル塩酸塩(Oic-OBzl・HCl)45.6mg
(0.154mmol)及びHOAt23.1mg(0.17mmol)をDMFに溶か
し、氷冷下WSCD 0.0372ml(0.17mmol)を滴下し、氷中
で30分、更に室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残
渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食
塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗
浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後溶媒を留去し、目的物
126mg(収率92.1%)を得た。
【0080】(4) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Oic-
OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Oic-OBz
l 126mg(0.142mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(30ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル小
匙2杯)を入れ、室温で水素ガス風船下4.5時間攪拌し
た。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、水に溶か
し凍結乾燥して、目的物61.8mg(収率62.1%)を得た。
【0081】(5) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu
-Oic) (TK70-5)の合成 (4)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Oic-OH
50.0mg(0.071mmol)をジクロロメタン(20ml)に溶か
し、DIEA 74.6μl(0.428mmol)を加えた。これを25ml
のシリンジに入れ、HATU 81.4mg(0.214mmol)の入った
ジクロロメタン溶液(50ml)に2時間かけて滴下した。
その後室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣
を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩水、飽
和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣
を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ク
ロロホルム:メタノール=19:1)により分離し、目的
物25.3mg(収率52.0%)を得た。1 H-NMR:図8
【0082】実施例6 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-OLeu-MeAla)(TK32-5)の合成:
【0083】
【化15】
【0084】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeAl
a-OBzlの合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OH 200mg
(0.300mmol)、N-メチルアラニンのベンジルエステル
塩酸塩(MeAla-OBzl・HCl)70.8mg(0.300mmol)及びHOA
t 46.2mg(0.330mmol)をDMF 5mlに溶かし、氷冷下WSC
D 0.0743ml(0.330mmol)を滴下し、氷中で30分、更に
室温で16時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥後溶媒を留去し、目的物206mg(収率8
1.6%)を得た。
【0085】(2) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeAl
a-OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeAla-O
Bzl 206mg(0.252mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(40ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル小
匙2杯)を入れ、室温で攪拌下0.5時間水素ガスを吹き
込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、水に
溶かし凍結乾燥して、目的物149.0mg(収率99.9%)を
得た。
【0086】(3) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu
-MeAla)(TK32-5)の合成 (2)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeAla-O
H 100mg(0.168mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶か
し、DIEA 176μl(1.01mmol)を加えた。これを50mlの
シリンジに入れ、HATU 192mg(0.504mmol)の入ったジ
クロロメタン溶液(110ml)に2時間かけて滴下した。
室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣を酢酸
エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩水、飽和炭酸
水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣を得
た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロ
ホルム:メタノール=19:1)により分離し、目的物3
4.4mg(収率35.5%)を得た。 MS:m/z 582.2(M+H+) 計算値(C295157):581.41 H-NMR:図9
【0087】実施例7 Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Al
a-OLeu-MeVal)(TK33-5)の合成:
【0088】
【化16】
【0089】(1) Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeVa
l-OBzlの合成 合成中間体Z-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OH 200mg
(0.300mmol)、N-メチルバリンのベンジルエステル塩
酸塩(MeVal-OBzl・HCl)79.5mg(0.300mmol)、HOAt 4
6.2mg(0.330mmol)をDMFに溶かし、氷冷下WSCD 0.0743
ml(0.330mmol)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16
時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解
し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後溶媒を留去し、目的物222mg(収率85.0%)
を得た。
【0090】(2) H-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeVa
l-OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeVal-O
Bzl 222mg(0.262mmol)をメタノール:酢酸:水=8:
2:1(40ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテル小
匙2杯)を入れ、室温で攪拌下0.5時間水素ガスを吹き
込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、水に
溶かし凍結乾燥して、目的物162.0mg(収率99.2%)を
得た。
【0091】(3) Cyclo-(Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu
-MeVal)(TK33-5)の合成 (2)で合成したH-Ile-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-MeVal-O
H 100mg(0.161mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶か
し、DIEA 168μl(0.963mmol)を加えた。これを50mlの
シリンジに入れ、HATU 183mg(0.482mmol)の入ったジ
クロロメタン溶液(110ml)に2時間かけて滴下した。
その後室温で16時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。残渣
を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩水、飽
和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣
を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(ク
ロロホルム:メタノール=19:1)により分離し、目的
物33.2mg(収率34.1%)を得た。 MS:m/z 610.2(M+H+) 計算値(C315557):609.41 H-NMR:図10
【0092】実施例8 Cyclo-(MeIle-MeVal-MeAla-β-
Ala-OLeu-Pro)(TK50-8)の合成:
【0093】
【化17】
【0094】(1) Z-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OPacの
合成 合成中間体HCl・H-MeVal-MeAla-β-Ala-OPac 1.26g(2.
87mmol)、Z-MeIle-OH0.976g(3.01mmol)及びHOAt 0.
430g(3.16mmol)をDMF(5ml)に溶かし、氷冷下WSCD
0.692ml(3.16mmol)を滴下した。氷冷下で1時間、更
に室温で18時間攪拌した。DMFを減圧留去し、残渣を酢
酸エチルに溶かした。10%クエン酸、飽和食塩水、飽和
炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチ
ル=3:1)により精製し、目的物1.9gを得た。
【0095】(2) Z-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OHの合
成 (1)で合成したZ-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OPac 1.9g
(2.87mmol)を90%酢酸水溶液(100ml)に溶かし、亜
鉛粉末9.38g(14.3mmol)を加え、2時間超音波攪拌し
た。亜鉛粉末を濾過後、酢酸を減圧留去し、残渣を酢酸
エチルに溶かして、10%クエン酸で洗浄後、硫酸マグネ
シウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン
で2回洗浄後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(クロロホルム:メタノール=50:1)により精製し、
目的物1.10g(収率70%)を得た。
【0096】(3) Z-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OP
acの合成 (2)で合成したZ-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OH 0.626g
(1.14mmol)、H-OLeu-OPac 0.286g(1.14mmol)及び
4-ピロリジノピリジン50.7mg(0.34mmol)をDMF(5m
l)に溶かし、氷冷下DCC 258mg(1.25mmol)を加え、氷
冷下で30分、更に室温で16時間攪拌した。反応液に酢酸
エチルを加え不溶物を濾去した。これを10%クエン酸、
飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の
順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減
圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(トルエン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的物
460mg(収率51.7%)を得た。
【0097】(4) Z-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OH
の合成 (3)で合成したZ-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OPac
460mg(0.589mmol)を90%酢酸水溶液(100ml)に溶か
し、亜鉛粉末1.93g(29.5mmol)を加え、2時間超音波
攪拌した。亜鉛粉末を濾過後、酢酸を減圧留去し、残渣
を酢酸エチルに溶かして、10%クエン酸で洗浄後、硫酸
マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣を、
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:
メタノール=50:1)により精製し、目的物0.390g
(収率100%)を得た。
【0098】(5) Z-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Pr
o-OBzlの合成 (4)で合成したZ-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-OH 0.
390g(0.589mmol)、HCl・H-Pro-OBzl 0.142g(0.589m
mol)及びHOAt 88.2mg(0.648mmol)をDMF(10ml)に溶
かし、氷冷下WSCD 142μl(0.648mmol)を滴下後、氷冷
下で1時間、更に室温で22時間攪拌した。DMFを減圧留
去した後、残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、
飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の
順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を
減圧留去し、目的物0.333g(収率67%)を得た。
【0099】(6) H-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Pr
o-OHの合成 (5)で合成したZ-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Pro-O
Bzl 333.mg(0.392mmol)をメタノール:酢酸:水=
8:2:1(40ml)に溶かし、パラジウム黒(スパーテ
ル小匙2杯)を入れ、室温で攪拌下水素ガスを1時間吹
き込んだ。パラジウムを濾過し、母液を減圧濃縮後、水
に溶かし凍結乾燥して、目的物245.0mg(収率100%)を
得た。
【0100】(7) Cyclo-(MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OL
eu-Pro)(TK50-8)の合成 (6)で合成したH-MeIle-MeVal-MeAla-β-Ala-OLeu-Pro-O
H 100.0mg(0.160mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶
かし、DIEA 167μl(0.960mmol)を加えた。これを50ml
のシリンジに入れ、HATU 182.5mg(0.480mmol)の入っ
たジクロロメタン溶液(110ml)に2時間かけて滴下し
た。その後室温で19時間攪拌後、溶媒を減圧留去した。
残渣を酢酸エチルに溶かし、10%クエン酸、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩水の順で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、残渣を得た。これをシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィー(クロロホルム:メタノール=30:1)により分離
し、目的物11.9mg(収率12.3%)を得た。 MS:m/z 608.2(M+H+) 計算値(C315357):607.41 H-NMR:図11
【0101】実施例9 Cyclo-(β-Ala-OPhe-Pro-β-Al
a-OPhe-Pro)(TK510-7)の合成:
【0102】
【化18】
【0103】(1) Boc-β-Ala-OPhe-OPacの合成 Boc-β-Ala-OH 1.50g(7.9mmol)及びHO-OPhe-OPac 2.
28g(8.0mmol)をDMF10mlに溶かし、氷冷下ピロリジノ
ピリジン0.351g(2.4mmol)及びDCC 1.79g(8.7mmo
l)を加え、氷中で2時間、更に室温で20時間攪拌し
た。沈澱物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、目的物3.5g
を得た。
【0104】(2) Boc-β-Ala-OPhe-OHの合成 (1)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-OPac 3.59g(7.9mmo
l)を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末25.8g(395mm
ol)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末を
ろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1)
により精製し、目的物1.17g(43.8%)を得た。
【0105】(3) Boc-β-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (2)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-OH 0.87g(2.58mmo
l)、Pro-OBzl・HCl 0.624g(2.58mmol)及びHOAt 0.38
6g(2.84mmol)をDMFに溶かし、氷冷下WSCD 0.621ml
(2.84mmol)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16時間
攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥した後、溶媒を留去し、目的物1.35gを得た。
【0106】(4) HCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (3)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.675g(1.2
8mmol)に4N HCl/ジオキサン6.4ml(25.6mmol)を加
え、室温で30分間反応した。溶媒を留去し、エーテルで
洗浄し、目的物0.557g(94.2%)を得た。
【0107】(5) Boc-β-Ala-OPhe-Pro-OHの合成 (3)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.675g(1.2
8mmol)をメタノール・酢酸水溶液に溶かし、パラジウ
ムをスパーテル小匙2杯加え、水素ガス風船下室温で2
時間攪拌した。パラジウムをろ過し、母液を減圧濃縮後
ヘキサンで結晶化し、目的物0.526g(94.1%)を得
た。
【0108】(6) Boc-β-Ala-OPhe-Pro-β-Ala-OPhe-Pr
o-OBzlの合成 (4)で合成したHCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.556g
(1.21mmol)、(5)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-Pro-OH
0.524g(1.21mmol)及びHOAt 0.181g(1.33mmol)をD
MFに溶かし、氷冷下WSCD 0.291ml(1.33mmol)を滴下
し、氷中で1時間、更に室温で20時間攪拌した。溶媒を
留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶
液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和
食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒
を留去し、目的物1.02gを得た。
【0109】(7) HCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-β-Ala-OPhe
-Pro-OHの合成 (6)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-Pro-β-Ala-OPhe-Pro-O
Bzl 1.02g(1.21mmol)をメタノール・酢酸水溶液に溶
かし、パラジウムをスパーテル小匙2杯加え、水素ガス
風船下室温で2時間攪拌した。パラジウムをろ過し、母
液を減圧濃縮した。残渣に4N HCl/ジオキサン6.05ml
(24.2mmol)を加え、室温で30分間反応した。溶媒を留
去し、エーテルで洗浄し、目的物0.750g(90.1%)を
得た。
【0110】(8) Cyclo-(β-Ala-OPhe-Pro-β-Ala-OPhe
-Pro)(TK510-7)の合成 (7)で合成したHCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-β-Ala-OPhe-Pr
o-OH 0.100g(0.145mmol)及びDIEA 0.152ml(0.87mmo
l)をジクロロメタン50mlに溶かしてシリンジに入れ、
これをHATU 0.166g(0.436mmol)の入ったジクロロメ
タン溶液150mlに室温で攪拌しながら2時間かけて滴下
し、その後室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣
を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩
水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。
残渣をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホル
ム:メタノール=19:1)により精製し、目的物52.1mg
(53.7%)を得た。 MS:m/z 633.0(M+H+) 計算値(C344048):632.31 H-NMR:図12
【0111】実施例10 Cyclo-(Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe
-Pro)(TK610-7)の合成:
【0112】
【化19】
【0113】(1) Boc-Ala-OPhe-OPacの合成 Boc-Ala-OH 1.50g(7.9mmol)及びHO-OPhe-OPac 2.28
g(8.0mmol)をDMF 10mlに溶かし、氷冷下ピロリジノ
ピリジン0.351g(2.4mmol)及びDCC 1.79g(8.7mmo
l)を加え、氷中で2時間、更に室温で20時間攪拌し
た。沈澱物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、目的物3.5g
を得た。
【0114】(2) Boc-Ala-OPhe-OHの合成 (1)で合成したBoc-Ala-OPhe-OPac 3.59g(7.9mmol)を
90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末25.8g(395mmol)
を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末をろ過
後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、10%
クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した
後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー (クロロホルム:メタノール=19:1)に
より精製し、目的物1.35g(50.5%)を得た。
【0115】(3) Boc-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (2)で合成したBoc-Ala-OPhe-OH 1.00g(2.96mmol)、P
ro-OBzl・HCl 0.716g(2.84mmol)及びHOAt 0.444g
(3.26mmol)をDMFに溶かし、氷冷下WSCD 0.714ml(3.2
6mmol)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16時間攪拌
した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%
クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去し、目的物1.56gを得た。
【0116】(4) HCl・H-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (3)で合成したBoc-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.780g(1.48mm
ol)に4N HCl/ジオキサン7.43ml(29.7mmol)を加
え、室温で30分間反応した。溶媒を留去し、エーテルで
洗浄し、目的物0.636g(93.2%)を得た。
【0117】(5) Boc-Ala-OPhe-Pro-OHの合成 (3)で合成したBoc-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.780g(1.48mm
ol)をメタノール・酢酸水溶液に溶かし、パラジウムを
スパーテル小匙2杯加え、水素ガス風船下室温で2時間
攪拌した。パラジウムをろ過し、母液を減圧濃縮後ヘキ
サンで結晶化し、目的物0.643g(100%)を得た。
【0118】(6) Boc-Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe-Pro-OBzl
の合成 (4)で合成したHCl・H-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.636g(1.3
8mmol)、(5)で合成したBoc-Ala-OPhe-Pro-OH 0.600g
(1.38mmol)及びHOAt 0.207g(1.52mmol)をDMFに溶
かし、氷冷下WSCD 0.333ml(1.52mmol)を滴下し、氷中
で1時間、更に室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、
残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和
食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で
洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去
し、目的物0.838gを得た。
【0119】(7) HCl・H-Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe-Pro-O
Hの合成 (6)で合成したBoc-Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.
838g(0.996mmol)をメタノール・酢酸水溶液に溶か
し、パラジウムをスパーテル小匙2杯加え、水素ガス風
船下室温で2時間攪拌した。パラジウムをろ過し、母液
を減圧濃縮した。残渣に4N HCl/ジオキサン5.00ml
(19.9mmol)を加え、室温で30分間反応した。溶媒を留
去し、エーテルで洗浄し、目的物0.457g(66.7%)を
得た。
【0120】(8) Cyclo-(Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe-Pro)
(TK610-7)の合成 (7)で合成したHCl・H-Ala-OPhe-Pro-Ala-OPhe-Pro-OH
0.100g(0.145mmol)及びDIEA 0.112g(0.87mmol)を
ジクロロメタン50mlに溶かしてシリンジに入れ、これを
HATU 0.166g(0.436mmol)の入ったジクロロメタン溶
液150mlに室温で攪拌しながら2時間かけて滴下し、そ
の後室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸
エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣を
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メ
タノール=19:1)により精製し、目的物37.0mg(38.1
%)を得た。 MS:m/z 633.2(M+H+) 計算値(C344048):632.31 H-NMR:図13
【0121】実施例11 Cyclo-(Val-OPhe-Pro-Val-OPhe
-Pro)(TK620-9)の合成:
【0122】
【化20】
【0123】(1) Boc-Val-OPhe-OPacの合成 Boc-Val-OH 5.00g(23.0mmol)及びHO-OPhe-OPac 6.54
g(23.0mmol)をDMF80mlに溶かし、氷冷下ピロリジノ
ピリジン1.02g(6.90mmol)及びDCC 6.59g(25.3mmo
l)を加え、氷中で1時間、更に室温で20時間攪拌し
た。沈澱物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をクロ
ロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(トルエン:酢酸エチル=5:1)により精製し、目
的物10.6g(95.2%)を得た。
【0124】(2) Boc-Val-OPhe-OHの合成 (1)で合成したBoc-Val-OPhe-OPac 10.6g(21.9mmol)
を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末71.7g(1100mmo
l)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末を
ろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去した。ヘキサンで洗浄後、ヘキサン
から結晶化し、目的物4.15g(51.9%)を得た。
【0125】(3) Boc-Val-OPhe-Pro-OBzlの合成 (2)で合成したBoc-Val-OPhe-OH 1.20g(3.28mmol)、P
ro-OBzl・HCl 0.794g(3.28mmol)及びHOBt 0.488g
(3.61mmol)をDMF10mlに溶かし、氷冷下WSCD 0.79mml
(3.61mmol)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16時間
攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリ
ウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥した後、溶媒を留去し、目的物1.96g(100%)を
得た。
【0126】(4) HCl・H-Val-OPhe-Pro-OBzlの合成 (3)で合成したBoc-Val-OPhe-Pro-OBzl 0.980g(1.64mm
ol)に4N HCl/ジオキサン16.4ml(65.7mmol)を加
え、室温で40分間反応した。溶媒を留去し、エーテルで
洗浄し、目的物0.686g(85.5%)を得た。
【0127】(5) Boc-Val-OPhe-Pro-OHの合成 (3)で合成したBoc-Val-OPhe-Pro-OBzl 0.980g(1.64mm
ol)をメタノール・酢酸水溶液に溶かし、パラジウムを
スパーテル小匙2杯加え、水素ガス風船下室温で2時間
攪拌した。パラジウムをろ過し、母液を減圧濃縮後ヘキ
サンで結晶化し、目的物0.710g(93.6%)を得た。
【0128】(6) Boc-Val-OPhe-Pro-Val-OPhe-Pro-OBzl
の合成 (4)で合成したHCl・H-Val-OPhe-Pro-OBzl 0.324g(0.70
0mmol)、(5)で合成したBoc-Val-OPhe-Pro-OH 0.343g
(0.700mmol)及びHOAt 0.105g(0.771mmol)をDMFに
溶かし、氷冷下WSCD 0.169ml(0.771mmol)を滴下し、
氷中で30分間、更に室温で20時間攪拌した。溶媒を留去
し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、
飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留
去し、目的物0.65g(100%)を得た。
【0129】(7) HCl・H-Val-OPhe-Pro-Val-OPhe-Pro-O
Hの合成 (6)で合成したBoc-Val-OPhe-Pro-Val-OPhe-Pro-OBzl 0.
65g(0.700mmol)をメタノール・酢酸水溶液に溶か
し、パラジウムをスパーテル小匙2杯加え、水素ガス風
船下室温で1時間攪拌した。パラジウムをろ過し、母液
を減圧濃縮した。残渣に4N HCl/ジオキサン3.50ml
(14.0mmol)を加え、室温で30分間反応した。溶媒を留
去し、エーテルで洗浄し、目的物0.468g(85.2%)を
得た。
【0130】(8) Cyclo-(Val-OPhe-Pro-Val-OPhe-Pro)
(TK620-9)の合成 (7)で合成したHCl・H-Val-OPhe-Pro-Val-OPhe-Pro-OH
0.200g(0.255mmol)及びDIEA 0.266ml(1.53mmol)を
ジクロロメタン50mlに溶かしてシリンジに入れ、これを
HATU 0.291g(0.765mmol)の入ったジクロロメタン溶
液200mlに室温で攪拌しながら4時間かけて滴下し、そ
の後室温で20時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸
エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣を
シリカゲル薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メ
タノール=19:1)により精製し、目的物121.0mg(65.
0%)を得た。 mp:181.3℃ MS:m/z 689.0(M+H+) 計算値(C384848):688.4 UV λmax(メタノール)nm(ε):208(26781.3)1 H-NMR:図14 IR(KBr):図15
【0131】実施例12 Cyclo-(Ile-OPhe-Pro-Ile-OPhe
-Pro)(TK690-4)の合成:
【0132】
【化21】
【0133】(1) Z-Ile-OPhe-OPacの合成 Z-Ile-OH 2.80g(10.6mmol)及びHO-OPhe-OPac 3.00g
(10.6mmol)をDMF20mlに溶かし、氷冷下ピロリジノピ
リジン0.47g(3.17mmol)、DCC 3.02g(11.6mmol)を
加え、氷中で1時間、更に室温で18時間攪拌した。沈澱
物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解
し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をクロロホルム
に溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トル
エン:酢酸エチル=5:1)により精製し、目的物6.00
g(100%)を得た。
【0134】(2) Z-Ile-OPhe-OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-OPhe-OPac 6.00g(10.6mmol)を9
0%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末34.7g(530mmol)を
加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末をろ過
後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、10%
クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した
後、溶媒を留去した。ヘキサンで洗浄後、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=1:
1)により精製し、目的物2.31g(56.1%)を得た。
【0135】(3) Z-Ile-OPhe-Pro-OBzlの合成 (2)で合成したZ-Ile-OPhe-OH 2.31g(5.95mmol)、Pro
-OBzl・HCl 1.47g(6.09mmol)及びHOBt 0.911g(6.70
mmol)をDMF10mlに溶かし、氷冷下WSCD1.47ml(6.70mmo
l)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16時間攪拌し
た。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%ク
エン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(トルエン:酢酸エチル=10:1)により精製し、
目的物2.95g(86.1%)を得た。
【0136】(4) H-Ile-OPhe-Pro-OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-OPhe-Pro-OBzl 2.95g(5.12mmo
l)をメタノール・酢酸水溶液に溶かし、パラジウムを
スパーテル小匙3杯加え、水素ガス風船下室温で3時間
攪拌した。パラジウムをろ過し、母液を減圧濃縮後し、
目的物1.85g(96.1%)を得た。
【0137】(5) Cyclo-(Ile-OPhe-Pro-Ile-OPhe-Pro)
(TK690-4)の合成 (4)で合成したH-Ile-OPhe-Pro-OH 0.100g(0.266mmo
l)及びDIEA 0.277ml(1.60mmol)をジクロロメタン50m
lに溶かしてシリンジに入れ、これをHATU 0.303g(0.7
98mmol)の入ったジクロロメタン溶液200mlに室温で攪
拌しながら4時間かけて滴下し、その後室温で20時間攪
拌した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10
%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾
燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲル薄層クロ
マトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=1:1)によ
り精製し、目的物43.9mg(46.1%)を得た。 MS:m/z 717.5(M+H+) 計算値(C405248):716.41 H-NMR:図16
【0138】実施例13 Cyclo-(Ile-D,L-OLeu-Lac-β-A
la-OPhe-Pro)(TK660-7)の合成:
【0139】
【化22】
【0140】(1) Z-Ile-D,L-OLeu-Pacの合成 Z-Ile-OH 5.32g(20.1mmol)及びHO-D,L-OLeu-OPac 5.
02g(20.1mmol)をDMF 20mlに溶かし、氷冷下ピロリジ
ノピリジン0.892g(6.02mmol)及びDCC 5.74g(22.1m
mol)を加え、氷中で1時間、更に室温で18時間攪拌し
た。沈澱物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチ
ル=1:1)により精製し、目的物10.0g(100%)を
得た。
【0141】(2) Z-Ile-D,L-OLeu-OHの合成 (1)で合成したZ-Ile-D,L-OLeu-OPac 10.0g(20.1mmo
l)を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末65.7g(1.01m
ol)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末を
ろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去した。ヘキサンで洗浄後、シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノー
ル=9:1)により精製し、目的物6.23g(81.7%)を
得た。
【0142】(3) Z-Ile-D,L-OLeu-Lac-OPacの合成 (2)で合成したZ-Ile-D,L-OLeu-OH 7.65g(20.2mmol)
及び乳酸のフェナシルエステル(Lac-OPac)4.20g(2
0.2mmol)をDMF20mlに溶かし、氷冷下ピロリジノピリジ
ン0.896g(6.05mmol)、DCC 5.77g(22.2mmol)を加
え、氷中で1時間、更に室温で18時間攪拌した。沈澱物
をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解
し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナ
トリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=50:
1)により精製し、目的物2.00g(17.4%)を得た。
【0143】(4) Z-Ile-D,L-OLeu-Lac-OHの合成 (3)で合成したZ-Ile-D,L-OLeu-Lac-OPac 2.00g(3.51m
mol)を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末11.5g(176
mmol)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末
をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解
し、10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥した後、溶媒を留去した。ヘキサンで洗浄後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム)によ
り精製し、目的物0.72g(45.4%)を得た。
【0144】(5) Boc-β-Ala-OPhe-OPacの合成 Boc-β-Ala-OH 1.85g(9.78mmol)及びHO-OPhe-OPac
2.78g(9.78mmol)をDMF 10mlに溶かし、氷冷下ピロリ
ジノピリジン435mg(2.93mmol)、DCC 2.80g(10.8mmo
l)を加え、氷中で1時間、更に室温で18時間攪拌し
た。沈澱物をろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチ
ルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭
酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲル
カラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル5:
1)により精製し、目的物4.08g(91.5%)を得た。
【0145】(6) Boc-β-Ala-OPhe-OHの合成 (5)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-OPac 4.08g(8.96mmo
l)を90%酢酸水溶液に溶かし、亜鉛粉末29.3g(448mm
ol)を加え、室温で2時間激しく攪拌した。亜鉛粉末を
ろ過後、溶媒を留去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、
10%クエン酸水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー (クロロホルム:メタノール=19:
1)により精製し、目的物2.84g(93.9%)を得た。
【0146】(7) Boc-β-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (6)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-OH 2.84g(8.42mmo
l)、Pro-OBzl・HCl 2.03g(8.42mmol)及びHOBt 1.25
g(9.26mmol)をDMFに溶かし、氷冷下WSCD 2.03ml(9.
26mmol)を滴下し、氷中で30分、更に室温で16時間攪拌
した。溶媒を留去し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%
クエン酸水溶液、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
した後、溶媒を留去し、目的物3.89g(収率88.0%)を
得た。
【0147】(8) HCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-OBzlの合成 (7)で合成したBoc-β-Ala-OPhe-Pro-OBzl 3.89g(7.41
mmol)に4N HCl/ジオキサン37.0ml(148mmol)を加
え、室温で1時間反応した。溶媒を留去し、エーテルで
洗浄し、目的物3.01g(88.4%)を得た。
【0148】(9) Z-Ile-D,L-OLeu-Lac-β-Ala-OPhe-Pro
-OBzlの合成 (4)で合成したZ-Ile-D,L-OLeu-Lac-OH 0.72g(1.59mmo
l)、(8)で合成したHCl・H-β-Ala-OPhe-Pro-OBzl 0.73
3g(1.59mmol)及びHOAt 0.239g(1.75mmol)をDMFに
溶かし、氷冷下WSCD 0.384ml(1.75mmol)を滴下し、氷
中で1時間、更に室温で18時間攪拌した。溶媒を留去
し、残渣を酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、
飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留
去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロ
ホルム)で精製し、目的物1.24g(収率91.1%)を得
た。
【0149】(10) H-Ile-D,L-OLeu-Lac-β-Ala-OPhe-Pr
o-OHの合成 (9)で合成したZ-Ile-D,L-OLeu-Lac-β-Ala-OPhe-Pro-OB
zl 1.24g(1.45mmol)をメタノール・酢酸水溶液に溶
かし、パラジウムをスパーテル小匙3杯加え、水素ガス
風船下室温で3時間攪拌した。パラジウムをろ過し、母
液を減圧濃縮後ジオキサンで凍結乾燥し、目的物0.878
g(95.7%)を得た。
【0150】(11) Cyclo-(Ile-D,L-OLeu-Lac-β-Ala-OP
he-Pro)(TK660-7)の合成 (10)で合成したH-Ile-D,L-OLeu-Lac-β-Ala-OPhe-Pro-O
H 0.150g(0.237mmol)及びDIEA 0.248ml(1.42mmol)
をジクロロメタン50mlに溶かしてシリンジに入れ、これ
をHATU 0.271g(0.712mmol)の入ったジクロロメタン
溶液190mlに室温で攪拌しながら4時間かけて滴下し、
その後室温で18時間攪拌した。溶媒を留去し、残渣を酢
酸エチルに溶解し、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水、
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、
硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣
をシリカゲル薄層クロマトグラフィー(トルエン:酢酸
エチル=1:5)により精製し、目的物0.12g(82.7
%)を得た。1 H-NMR:図17
【0151】試験例1 実施例1で得たTK22-4の効果を文献(Kurokawa M. and
Tsunoo A.: Parasympathetic depression of vas defer
ens contraction in the guinea-pig involvesadenosin
e receptors. J. Physiol., 407, 135-153, 1988; Tsun
oo A. Kurokawa M. and Takahashi K.: Neurally evoke
d potentiation of tonic contractions in the guinea
-pig vas deferens involves adenosine receptors. J.
Physiol., 433, 163-181, 1991)の方法に従って試験
した。すなわち、SDラット(雄,200〜350g)の摘出心
筋を容積0.8mlの横型灌流槽に固定し、収縮力を等尺性
に記録した。灌流液は、95%酸素及び5%炭酸ガスで平
衡させたクレブス液、又は塩化ナトリウム140mM、塩化
カリウム5mM、塩化カルシウム2.6mM、塩化マグネシウ
ム1.3mM、グルコース10mM及びHEPES 5mMからなる組成
を持ち、通気させた塩溶液を使用した。灌流液は36〜37
℃に保ち、流速は3〜4ml/分とした。試験物質は灌流
液に溶かして標本に適用した。乳頭筋標本は灌流槽内の
白金線を通して2Hzで電気刺激した。摘出した右心房
は、自動能により収縮を繰り返す。ラット右心房筋にお
ける灌流槽内のTK22-4濃度と収縮力との関係を図18に、
同濃度と収縮間隔時間との関係を図19に示す。なお、値
は薬物適用前の対照値に対する比率(相対値)で示し
た。TK22-4は、2μMから200μMの濃度範囲で用量依存
的に右心房筋の自動能による収縮を増強した(図18)。
また、収縮間隔はほとんど影響を受けないか延長傾向が
見られた(図19)。更に、TK22-4は右心房筋の場合と同
様に、右心室乳頭筋の電気刺激による収縮を用量依存的
に増強した。TK620-9による収縮力増強効果の濃度反応
関係を図20に、収縮間隔時間延長効果の濃度反応関係を
図21に示す。TK620-9は、TK22-4と同様に収縮力を増強
させ、収縮時間を延長させた。
【0152】試験例2 TK22-4及びTK620-9以外の化合物の活性を以下に示す。
上記の方法に従い、ラット摘出右心房の自動収縮に対す
る収縮力増強効果と収縮間隔時間に対する効果を薬物投
与前の値に対する相対値として表した。薬物濃度は全て
20μMとした。この結果を表1に示す。
【0153】
【表1】
【0154】試験例3 ジギタリスにより誘発される異常収縮に対する抑制効果
を調べるために、モルモット(雄,100〜200g)の摘出
右心房に、ジゴキシン0.6μMを投与して異常収縮を誘発
させる実験を行った。ジゴキシン適用前(対照)は、右
心房は洞調律による規則正しい自動収縮を示すが〔図22
(A)〕、ジゴキシン適用により右心房自動収縮の振幅及
びリズムは共に著しく不整となった〔図22(B)〕。そこ
で、TK620-9を20μM投与すると、振幅及びリズム共に一
定となり〔図22(C)〕、ジゴキシンによる異常収縮は抑
制され、洞調律が回復した。このように、TK620-9は、
ジギタリスにより誘発される異常収縮を抑制する作用を
有することが認められた。
【0155】試験例4 TK22-4の血管拡張効果を検討した。摘出したラット大動
脈切片を、50mM塩化カリウムを含有する上記塩溶液(50
mM塩化カリウム液は塩化ナトリウムを塩化カリウムに置
換して調製)で灌流し、持続的に収縮させた。そこに、
TK22-4を20μM適用したところ、図23に示すように緩徐
な大動脈の弛緩が起こった。
【0156】試験例5 TK22-4を含め、本発明化合物の血管拡張効果を表2にま
とめた。実験条件は試験例4と同じである。50mM塩化カ
リウムによる大動脈収縮振幅を1とし、薬物による弛緩
振幅をその相対値で表した。薬物濃度は全て20μMとし
た。
【0157】
【表2】
【0158】試験例6 SDラット(雄、300〜400g)から心臓を摘出後、右心室
肉柱標本を作成した。標本を95%酸素−5%二酸化炭素
で通気したKrebs-Henseleit液10mlを満たしたマグヌス
管中に懸垂し、上端はひずみ圧力トランスデューサーに
接続した。マグヌス管中の電極を通して電気刺激(頻度
1Hz,刺激持続時間3msec)し、張力を等尺性に測定しチ
ャートレコーダーを通して記録した。試験物質としてTK
22-4(200μM)、TK610-7(400μM) 、TK620-9(100μ
M)、イソプロテレノール(50nM)を標本に曝露した。TK2
2-4、TK610-7、TK620-9は10分間、イソプロテレノール
は5分間曝露した。張力を測定後、標本を直ちに液体窒
素で凍結後−30度で保存した。凍結標本を6%トリクロ
ロ酢酸中で、マイクロホモジナイザーによりホモジナイ
ズ後、10000rpm, 10分間遠心し、上清を得た。上清を5
倍容量のエーテルで4回洗浄し、得られた水層の100μl
を用いてサイクリックAMP量を測定した。サイクリックA
MPの測定は、アマシャム社製のEIAシステムを用いた。
試験物質による収縮力増強効果と組織サイクリックAMP
量変化を表3に示す。なお、試験物質はプロピレングリ
コールに溶解し、有意差検定はプロピレングリコール群
と各試験物質群との間で行った。また、収縮率について
は試験物質投与前の収縮振幅を1とし、試験物質存在下
での収縮振幅を相対値で表した。
【0159】
【表3】
【0160】表3より、TK22-4(200μM)とTK610-7(400
μM)はイソプロテレノール(50nM)とほぼ同程度の収
縮力増強効果を示した。このとき、イソプロテレノール
は有意のサイクリックAMP増加をおこすが、TK610-7は有
意の増加をおこさず、またTK22-4によるサイクリックAM
P量減少は有意であった。TK620-9も有意の収縮力増強を
示し、サイクリックAMP量に変化はなかった。従って、
本発明化合物は、優れた強心作用を有するにもかかわら
ず、心室性不整脈の原因となるといわれているサイクリ
ックAMPを増加させないことが判明した。
【0161】試験例7 TK22-4及びTK610-7の強心効果を調べるため、心カテー
テル法により、ウレタン麻酔下にラット(350〜450g)の
左室圧を測定し、その時間微分値(左室圧最大上昇速
度)を求めた。なお、TK22-4(10mg/kg) 及びTK610-7(10
mg/kg)は溶媒(60%EtOH)0.1mlに溶解し、時間0で大腿
静脈からBolus投与した。投与前の左室圧最大上昇速度
を1としたときの相対値を図24及び図25に示す。TK22-
4、TK610-7はともに左室圧最大上昇速度の持続的な増加
を起こした。
【0162】試験例8 TK22-4及びTK610-7の抗不整脈効果を調べるため、ウア
バイン誘発不整脈モデルを用い試験した。すなわち、モ
ルモット(350〜450g)をウレタン(1.5g/kg) 腹腔内投与
により麻酔し、背位に固定後、気管にカニューレを挿入
した。次に薬物投与用のポリエチレンチューブを右頚静
脈に挿入し、更に左頚動脈から血圧測定用のカニューレ
を挿入した。心電図(第2誘導)は針電極を介して生体
電気用アンプに誘導し、心電図が安定した後、被検物質
を右頚静脈内に投与した。ウアバイン(20μg/kg/min)
は、TK22-4投与15〜18分後、あるいはTK610-7投与の5
分後に頚静脈よりマイクロチューブポンプ(日本光電
(株)製、CFV-3200)を介して持続投与し、心室性期外
収縮、心室細動及び心停止を生じるまでの時間を測定し
た。薬物は溶媒(60%EtOH)0.1mlに溶解し、投与した。
陽性対照としてジソピラミド(3mg/kg)を使用した。その
結果、図26に示す如く、TK22-4(10mg/kg)投与群、TK610
-7(3mg/kg)投与群及びジソピラミド(3mg/kg)投与群はウ
アバイン投与開始から心室性期外収縮及び心室細動がお
こる時間を有意に延長させた。また心停止までの時間も
有意に延長させた。
【00163】
【発明の効果】本発明の環状デプシペプチドは、強い強
心作用、抗不整脈作用及び血管拡張作用を有するととも
に、組織内サイクリックAMPの増加を来さず不整脈等の
副作用を引き起こさないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた環状デプシペプチド(TK22
-4)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られた環状デプシペプチド(TK22
-4)のIRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例2で得られた環状デプシペプチド(TK33
0-6)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例3で得られた環状デプシペプチド(TK34
0-6-A)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図5】実施例3で得られた環状デプシペプチド(TK34
0-6-B)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図6】実施例4で得られた環状デプシペプチド(TK35
0-6-A)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図7】実施例4で得られた環状デプシペプチド(TK35
0-6-B)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図8】実施例5で得られた環状デプシペプチド(TK70
-5)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図9】実施例6で得られた環状デプシペプチド(TK32
-5)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図10】実施例7で得られた環状デプシペプチド(TK
33-5)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図11】実施例8で得られた環状デプシペプチド(TK
50-8)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図12】実施例9で得られた環状デプシペプチド(TK
510-7)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図13】実施例10で得られた環状デプシペプチド
(TK610-7)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図14】実施例11で得られた環状デプシペプチド
(TK620-9)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図15】実施例11で得られた環状デプシペプチド
(TK620-9)のIRスペクトルを示す図である。
【図16】実施例12で得られた環状デプシペプチド
(TK690-4)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図17】実施例13で得られた環状デプシペプチド
(TK660-7)の1H-NMRスペクトルを示す図である。
【図18】灌流槽内のTK22-4濃度と、ラット右心房筋の
収縮力との関係を示す図である。
【図19】灌流槽内のTK22-4濃度と、ラット右心房筋の
収縮間隔時間との関係を示す図である。
【図20】灌流槽内のTK620-9濃度と、ラット右心房筋
の収縮力との関係を示す図である。
【図21】灌流槽内のTK620-9濃度と、ラット右心房筋
の収縮間隔時間との関係を示す図である。
【図22】モルモット摘出右心房の異常収縮に対する本
発明化合物(TK620-9)による抑制効果を示す図であ
る。(A)はジゴキシン適用前(対照)、(B)はジゴキシン
適用時、(C)はTK620-9投与時の自動収縮の振幅及びリズ
ムを示す。
【図23】TK22-4によるラット大動脈の血管拡張作用効
果を示す図である。
【図24】TK22-4によるラットの左室圧最大上昇速度に
対する効果を示す図である。
【図25】TK610-7によるラットの左室圧最大上昇速度
に対する効果を示す図である。
【図26】ウアバイン投与開始から、心室性期外収縮、
心室細動及び心停止が起こるまでの時間(分)に対する
TK22-4、TK610-7及びジソピラミドの効果を示す図であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1) 【化1】 〔式中、R1a、R1b及びR1cはそれぞれ水素原子又はメ
    チル基を示し、R2及びR4は低級アルキル基を示し、R
    3は低級アルキル基又はアラルキル基を示し、R 5及びR
    6はそれぞれ水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は
    アラルキル基を示すが、共に水素原子となることはな
    い。A及びBはそれぞれエチレン基又は低級アルキル基
    が置換したメチレン基を示す。X及びYはそれぞれ−O
    −又は−N(R1d)−(R1dは水素原子又はメチル基)を
    示す。ただし、R2とXのR1d及び/又はR4とR1cは共
    同して隣接する炭素原子及び窒素原子と共に含窒素複素
    環を形成してもよい。〕で表される環状デプシペプチ
    ド。
  2. 【請求項2】 次の一般式(1A) 【化2】 で表されるものである請求項1記載の環状デプシペプチ
    ド。
  3. 【請求項3】 次の一般式(1B) 【化3】 で表されるものである請求項1記載の環状デプシペプチ
    ド。
  4. 【請求項4】 次の一般式(1C) 【化4】 で表されるものである請求項1記載の環状デプシペプチ
    ド。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の環状デ
    プシペプチドを有効成分とする医薬。
  6. 【請求項6】 強心剤、抗不整脈剤又は血管拡張剤であ
    る請求項5記載の医薬。
  7. 【請求項7】 サイクリックAMP非依存性である請求項
    6記載の医薬。
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