JPH11171892A - 新規な亜リン酸エステル誘導体 - Google Patents

新規な亜リン酸エステル誘導体

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JPH11171892A
JPH11171892A JP10268460A JP26846098A JPH11171892A JP H11171892 A JPH11171892 A JP H11171892A JP 10268460 A JP10268460 A JP 10268460A JP 26846098 A JP26846098 A JP 26846098A JP H11171892 A JPH11171892 A JP H11171892A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高負荷の過酷な条件下においても、極圧
性,耐摩耗性及び摩擦特性を満足できる潤滑油組成物を
与える新規な亜リン酸エステル誘導体を提供する。 【解決手段】 下記一般式(I) (R1 −S−R2 −O)n −P−(OH)3-n ・・・(I) (式中、R1 は炭素数6〜20の炭化水素基、R2 は炭
素数1〜6の二価の炭化水素基を示し、nは1〜3の整
数を示す。)等で表される亜リン酸エステル誘導体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な亜リン酸エス
テル誘導体とその製造方法及び亜リン酸エステル誘導体
を含有した潤滑油用添加剤、並びに亜リン酸エステル誘
導体を配合した潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】機械装置の潤滑においては、潤滑油は摺
動もしくは転動接触における金属表面を摩耗から防止す
る能力、摩耗を制御する能力を有することが必要とされ
る。潤滑油の耐摩耗性を向上させ、かつ装置の寿命を延
長するためには添加剤の役割が極めて重要になってく
る。すなわち、基油単独では、トランスミッション油組
成物をはじめ、その他の潤滑油組成物の用途に要求され
る多くの特殊な性質を有することはできない。そこで、
添加剤を使用し、それぞれの特定の性質を付与し、潤滑
油組成物の性能を向上させる必要がある。したがって、
これらの潤滑油組成物に使用するのに適した一つあるい
はそれ以上の性質を有する新規な添加剤の探索が行われ
てきた。
【0003】その探索方法の一つとして、極圧剤として
含リン化合物と含硫黄化合物が知られているので、一つ
の分子中にリン原子と硫黄原子を含んだ新規な化合物を
合成しようという試みがある。例えば、米国特許第 2,7
50,342号公報,米国特許第 2,960,523号公報,米国第
4,511,480号公報,特開平9-3471号公報等には各種のリ
ン酸エステル類が開示されているが高負荷の過酷な条件
における極圧性,耐摩耗性及び摩擦特性を満足している
ものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたもので、新規な亜リン酸エステル誘導体とそ
の製造方法を提供し、及び亜リン酸エステル誘導体を含
有する潤滑油用添加剤を提供し、更にAT(自動変速
機),CVT(無段変速機)等のような高負荷の過酷な
条件下においても、極圧性,耐摩耗性及び摩耗特性を満
足できる潤滑油組成物を提供することを目的とするもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、新規な亜リ
ン酸エステル誘導体を見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち、本願の第一の発明は、下記一般式(I) (R1 −S−R2 −O)n −P−(OH)3-n ・・・(I) (式中、R1 は炭素数6〜20の炭化水素基、R2 は炭
素数1〜6の二価の炭化水素基を示し、nは1〜3の整
数を示す。)及び下記一般式(II)
【0006】
【化7】
【0007】(式中、R1 ,R2 は前記と同じである。
pは0〜2の整数、qは0又は1の整数を示し、pとq
は同時に0になることはない。)で表される化合物から
選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体であ
る。本願の第二の発明は、下記一般式(III) R1 −S−R2 −OH ・・・(III) (式中、R1 ,R2 は前記と同じである。)で表される
アルキルチオアルキルアルコールと、三塩化リンを、無
触媒または塩基の存在下で反応させることを特徴とする
請求項1記載の亜リン酸エステル誘導体の製造方法であ
る。
【0008】本願の第三の発明は、下記一般式(IV) 〔R1 −(X−R2 m −Y〕n −P−(OH)3-n ・・・(IV) 〔式中、R1 ,R2 は前記と同じである。X,YはS
(硫黄)またはO(酸素)を示し、X,Yのうちどちら
か一方はSである。mは0〜4の整数(但し、n=3の
とき、mは0ではない)で、nは前記と同じである。〕
及び下記一般式(V)
【0009】
【化8】
【0010】(式中、mは0〜4の整数であり、X,
Y,R1 ,R2 ,p及びqは前記と同じである。)で表
される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エ
ステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。本
願の第四の発明は、上記の亜リン酸エステル誘導体を有
効量配合してなる潤滑油組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本願の第一の発明は、上記一般式(I)及び(II)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン
酸エステル誘導体である。上記一般式(I)と(II)に
おいてR1 は炭素数6〜20の炭化水素基を示すが、具
体的には各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチ
ル基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ウンデシル
基,各種ドデシル基,各種トリデシル基,各種テトラデ
シル基,各種ペンタデシル基,各種ヘキサデシル基,各
種ヘプタデシル基,各種オクタデシル基,各種ノナデシ
ル基,各種エイコデシル基のアルキル基、シクロヘキシ
ル基,各種メチルシクロヘキシル基,各種エチルシクロ
ヘキシル基,各種プロピルアルキル基,各種ジメチルシ
クロアルキル基などのシクロアルキル基、フェニル基,
各種メチルフェニル基,各種エチルフェニル基,各種プ
ロピルフェニル基,各種トリメチルフェニル基,各種ブ
チルフェニル,各種ナフチル基などのアリール基、ベン
ジル基,各種フェニルエチル基,各種メチルベンジル
基,各種フェニルプロピル基,各種フェニルブチル基な
どのアリールアルキル基などを挙げることができる。こ
れらの中で炭素数8〜16のアルキル基が好ましい。
【0012】一般式(I)と(II)においてR2 は炭素
数1〜6の二価の炭化水素基を示すが、具体的にはメチ
レン基;エチレン基;1,2−プロピレン基;1,3−
プロピレン基;各種ブチレン基;各種ペンチレン基;各
種ヘキシレン基の二価の脂肪族基、シクロヘキサン,メ
チルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素に2個の結合
部位を有する脂環式基、各種フェニレン基の二価の芳香
族炭化水素基などを挙げることができる。これらの中で
メチレン基,エチレン基,各種プロピレン基が好まし
い。
【0013】一般式(I)において、nは1〜3の整数
を示すが、1又は2が好ましい。一般式(II)におい
て、pは0〜2の整数、qは0又は1の整数を示し、同
時に0になることはないが、好ましくはp=1かつq=
0、p=1かつq=1、p=2かつq=0である。上記
一般式(I)及び(II)で表される亜リン酸エステル誘
導体の好ましい具体例としては、トリ(オクチルチオエ
トキシ)亜リン酸エステル,トリ(ドデシルチオエトキ
シ)亜リン酸エステル,トリ(ヘキサデシルチオエトキ
シ)亜リン酸エステル,ジ(オクチルチオエトキシ)亜
リン酸エステル,ジ(ドデシルチオエトキシ)亜リン酸
エステル,ジ(ヘキサデシルチオエトキシ)亜リン酸エ
ステル,モノ(オクチルチオエトキシ)亜リン酸エステ
ル,モノ(ドデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,
モノ(ヘキサデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,
オクチルチオエチルホスホン酸オクチルチオエチルエス
テル,ドデシルチオエチルホスホン酸ドデシルチオエチ
ルエステル,ヘキサデシルチオエチルホスホン酸ヘキサ
デシルチオエチルエステルなどを挙げることができる。
なお、上記のジ,モノエステルは互変異性体をも含む。
【0014】上記一般式(I)及び(II)で表される亜
リン酸エステル誘導体の製造方法については、特に制限
はないが、例えば、一般式(III) R1 −S−R2 −OH ・・・(III) (式中、R1 ,R2 は前記と同じである。)で表される
アルキルチオアルキルアルコールと、三塩化リンを、無
触媒または塩基の存在下で反応させることにより得るこ
とができる。
【0015】これらの反応において、アルキルチオアル
キルアルコールと三塩化リンの使用割合は、通常、モル
比で三塩化リン1モルに対して、アルキルチオアルキル
アルコール0.1〜5.0モル、好ましくは1.0〜
3.0モル、より好ましくは1.5〜2.5モルの範囲
である。反応温度は、通常、−10〜100℃、好まし
くは0〜40℃の範囲で選ばれる。触媒の塩基として
は、例えば、トリエチルアミン,ピリジンなどが使用で
きる。なお、この反応はTHF,ジエチルエーテルなど
の溶媒中で行うことができる。
【0016】本願の第三の発明は、一般式(IV) 〔R1 −(X−R2 m −Y〕n −P−(OH)3-n ・・・(IV) 〔式中、R1 ,R2 は前記と同じである。X,YはS
(硫黄)またはO(酸素)を示し、X,Yのうちどちら
か一方はSである。mは0〜4の整数(但し、n=3の
とき、mは0ではない)で、nは前記と同じである。〕
及び下記一般式(V)
【0017】
【化9】
【0018】(式中、mは0〜4の整数であり、X,
Y,R1 ,R2 ,p及びqは前記と同じである。)で表
される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エ
ステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。上
記一般式(IV)と(V)において、R1 ,R2 ,n,p
及びqついては第一の発明の記載と同じである。一般式
(IV)と(V)において、mの好ましい範囲は1〜4の
整数である。
【0019】また、より好ましい態様として、下記一般
式(VI) (R1 −S−R2 −Y)n −P−(OH)3-n ・・・(VI) (式中、R1 ,R2 ,Y及びnは前記と同じである。)
及び下記一般式(VII)
【0020】
【化10】
【0021】(式中、R1 ,R2 ,Y,p及びqは前記
と同じである。)で表される化合物から選ばれる少なく
とも一種の亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑
油用添加剤である。
【0022】さらに好ましい態様として、下記一般式
(VIII)、(IX)、(X)、(XI)及び(XII) R1 −S−R2 −O−P−(OH)2 ・・・(VIII) (R1 −S−R2 −O)2 −P−OH ・・・(IX)
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】(式中、R1 及びR2 は前記と同じであ
る。)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の
亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤
である。上記の亜リン酸エステル誘導体を潤滑油用添加
剤として使用する場合には、そのままで使用する、
基油等で希釈し使用する、後述のその他の添加剤と組
み合わせてパッケージとして使用するなどの方法がある
ので、潤滑油用添加剤中の亜リン酸エステル誘導体の割
合は、通常、0.1〜100重量%である。
【0027】本願の第四の発明は、潤滑油基油に、上記
の少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を有効量配
合してなる潤滑油組成物である。潤滑油基油としては、
鉱油や合成油が使用できる。鉱油,合成油は各種のもの
があり、用途などに応じて適宜選定すればよい。鉱油と
しては、例えばパラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油,中
間基系鉱油などが挙げられ、具体例としては、溶剤精製
または水添精製による軽質ニュートラル油,中質ニュー
トラル油,重質ニュートラル油,ブライトストックなど
を挙げることができる。
【0028】一方合成油としては、例えば、ポリα−オ
レフィン,α−オレフィンコポリマー,ポリブテン,ア
ルキルベンゼン,ポリオールエステル,二塩基酸エステ
ル,,多価アルコールエステル,ポリオキシアルキレン
グリコール,ポリオキシアルキレングリコールエステ
ル,ポリオキシアルキレングリコールエーテル、シクロ
アルカン系化合物などを挙げることができる。これらの
基油は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わ
せて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて
使用してもよい。
【0029】亜リン酸エステル誘導体の有効量は、用途
によって異なるが、組成物全量基準で、通常0.01〜
10重量%で、好ましくは0.1〜5重量%である。本
発明の潤滑油組成物には、上記の潤滑油用添加剤の他
に、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ従
来から潤滑油組成物に慣用されている清浄分散剤,酸化
防止剤,防錆剤,消泡剤,粘度指数向上剤,流動点降下
剤,抗乳化剤,他の極圧剤,他の摩耗剤などを、適宜配
合することができる。本発明の潤滑油組成物は、例え
ば、動力伝達用潤滑油,内燃機関用潤滑油,ギヤ油,軸
受け油,ショックアブソーバー油,工業用潤滑油として
使用できる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。 〔製造例1〕500ccフラスコに、n−オクチルチオ
エタノール38.1g(0.2モル)、トリエチルアミ
ン20.2g(0.2モル)とTHF250ccを入
れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気
流中で三塩化リン13.7g(0.1モル)を滴下し
て、室温で1時間攪拌した。副生したトリエチルアミン
の塩酸塩をろ過により除去した。反応液に水1.8g
(0.1モル)を滴下して、室温で1昼夜攪拌した後、
エバポレーターでTHFを減圧留去した。得られた反応
生成物の収量は42gであった。この反応生成物は、リ
ン核磁気共鳴分光(図1)、プロトン核磁気共鳴分光
(図2)の結果より、下記の式(XIII)で表される化合
物であることが確認された。
【0031】
【化14】
【0032】〔製造例2〕500ccフラスコに、三塩
化リン13.7g(0.1モル)とTHF50ccを入
れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気
流下でn−オクチルチオエタノール38.1g(0.2
モル)、トリエチルアミン20.2g(0.2モル)と
THF250ccの混合物を滴下して、室温で1時間攪
拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除
去し、反応液に水1.8g(0.1モル)を滴下して、
室温で1昼夜攪拌した後、エバポレーターでTHFを減
圧除去した。得られた反応物の収量は41gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁
気共鳴分光の結果により、上記の式(XIII)で表される
化合物であることが確認された。
【0033】〔製造例3〕製造例2において、n−オク
チルチオエタノールの代わりにn−ドデシルチオエタノ
ール38.6g(0.2モル)を使用したこと以外は製
造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収量は
51gであった。この反応生成物は、リン核磁気共鳴分
光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XI
V)で表される化合物であることが確認された。
【0034】
【化15】
【0035】〔製造例4〕製造例2において、n−オク
チルチオエタノールの代わりにn−ヘキサデシルチオエ
タノール60.5g(0.2モル)を使用したこと以外
は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収
量は65gであった。この反応生成物は、リン核磁気共
鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式
(XV)で表される化合物であることが確認された。
【0036】
【化16】
【0037】〔製造例5〕製造例2において、n−オク
チルチオエタノールの量を28.6g(0.15モ
ル)、水の量を2.7g(0.15モル)に代えたこと
以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物
の収量は33gであった。この反応生成物は、リン核磁
気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記
の式(XVI)と前記の式(XIII)で表される化合物の混合
物であることが確認された。
【0038】
【化17】
【0039】液体クロマトグラフ分析(カラム:逆層,
溶媒:アセトニトリル,検出器:示差屈折計)の結果よ
り式(XVI)の化合物が44重量%、式(XIII)の化合物
が56重量%であることが確認された。
【0040】〔製造例6〕製造例2において、n−オク
チルチオエタノールの量を47.6g(0.25モ
ル)、トリエチルアミンの量を25.3g(0.25モ
ル)、水の量を0.9g(0.05モル)に代えたこと
以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物
の収量は52gであった。この反応生成物は、リン核磁
気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記
の式(XVII)と前記の式(XIII)で表される化合物の混
合物であることが確認された。
【0041】
【化18】
【0042】液体クロマトグラフ分析(カラム:逆層,
溶媒:アセトニトリル,検出器:示差屈折計)の結果よ
り式(XVII)の化合物が51重量%、式(XIII)の化合
物が49重量%であることが確認された。
【0043】〔製造例7〕500ccフラスコに、三塩
化リン13.7g(0.1モル)とジエチルエーテル1
00ccを入れ、均一になるように攪拌した。氷冷しな
がら、窒素気流下でn−オクチルチオエチルマグネシウ
ムブロマイド27.7g(0.1モル)のジエチルエー
テル溶液を滴下して、10℃以下で1時間攪拌した。さ
らに、室温で1時間攪拌した後、反応溶液を氷冷した5
%塩酸水溶液中に注ぎ込み反応を停止させた。ジエチル
エーテルで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、
ジエチルエーテルを留去し、n−オクチルチオエチルジ
クロロホスフィン(収率75%)を得た。
【0044】次いで、500ccフラスコに、得られた
n−オクチルチオエチルジクロロホスフィン13.7g
(0.05モル)とTHF50ccを入れ、均一になる
ように攪拌した。氷冷しながら、窒素気流下でn−オク
チルチオエタノール9.5g(0.05モル)、トリエ
チルアミン5.1g(0.05モル)とTHF100c
cの混合物を滴下して、室温で1時間攪拌した。副生し
たトリアミンの塩酸塩をろ過で除去し、反応液に水0.
9g(0.05モル)を滴下して、室温で1昼夜攪拌し
た後、エバポレーターでTHFを減圧留去した。得られ
た反応生成物の収量は20gであった。この反応生成物
は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結
果より、下記の式(XVIII)で表される化合物であること
が確認された。
【0045】
【化19】
【0046】〔製造例8〕製造例1において、n−オク
チルチオエタノールの代わりにエチルチオエタノール2
1.2g(0.2モル)を使用したこと以外は製造例1
と同様に実施した。得られた反応生成物は33gであっ
た。この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン
核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XIX)で表される
化合物であることが確認された。
【0047】
【化20】
【0048】〔製造例9〕製造例1において、三塩化リ
ンの代わりにオキシ塩化リン15.3g(0.1モル)
を使用したこと以外は製造例1と同様に実施した。得ら
れた反応生成物は44gであった。この反応生成物は、
リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果よ
り、下記の式(XX)で表される化合物であることが確認
された。
【0049】
【化21】
【0050】〔実施例1〜7,比較例1〜4及び参考例
1〕シクロアルカン系の合成油基油に、組成物全量基準
で、上記の製造例で得られた亜リン酸エステル誘導体又
は市販の亜リン酸エステル誘導体を1重量%、清浄分散
剤1重量%、酸化防止剤0.5重量%,防錆剤0.1重
量%,消泡剤0.1重量%を配合して潤滑油組成物を調
製した。その調製した潤滑油組成物について、下記の条
件でファレックス ブロック オン リング摩擦摩耗試
験(ASTMD−3704に準じる)により評価した。
その結果を第1表に示す。
【0051】摩擦摩耗試験の条件 リング材質:SAE 4620 スチール ブロック材質:SAE 01 スチール 試験温度:130℃ 回転速度:0.367m/s 荷重:1500N 試験時間:60分 評価項目:リング外観,リング摩耗量,ブロック摩耗
幅,ブロック摩耗量,摩擦係数変化
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の亜リン酸エステル誘導体を配合
した潤滑油組成物は、AT,CVT等のような高負荷の
過酷な条件下においても、極圧性,耐摩耗性及び摩擦特
性を満足できるものであり、各種の潤滑油に利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造例1の反応生成物のリン核磁気共鳴分光
スペクトル
【図2】 製造例1の反応生成物のプロトン核磁気共鳴
分光スペクトル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) (R1 −S−R2 −O)n −P−(OH)3-n ・・・(I) (式中、R1 は炭素数6〜20の炭化水素基、R2 は炭
    素数1〜6の二価の炭化水素基を示し、nは1〜3の整
    数を示す。)及び下記一般式(II) 【化1】 (式中、R1 ,R2 は前記と同じである。pは0〜2の
    整数、qは0又は1の整数を示し、pとqは同時に0に
    なることはない。)で表される化合物から選ばれる少な
    くとも一種の亜リン酸エステル誘導体。
  2. 【請求項2】 下記一般式(III) R1 −S−R2 −OH ・・・(III) (式中、R1 ,R2 は前記と同じである。)で表される
    アルキルチオアルキルアルコールと、三塩化リンを、無
    触媒または塩基の存在下で反応させることを特徴とする
    請求項1記載の亜リン酸エステル誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 下記一般式(IV) 〔R1 −(X−R2 m −Y〕n −P−(OH)3-n ・・・(IV) 〔式中、R1 ,R2 は前記と同じである。X,YはS
    (硫黄)またはO(酸素)を示し、X,Yのうちどちら
    か一方はSである。mは0〜4の整数(但し、n=3の
    とき、mは0ではない)で、nは前記と同じである。〕
    及び下記一般式(V) 【化2】 (式中、mは0〜4の整数であり、X,Y,R1
    2 ,p及びqは前記と同じである。)で表される化合
    物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導
    体を含有してなる潤滑油用添加剤。
  4. 【請求項4】 下記一般式(VI) (R1 −S−R2 −Y)n −P−(OH)3-n ・・・(VI) (式中、R1 ,R2 ,Y及びnは前記と同じである。)
    及び下記一般式(VII) 【化3】 (式中、R1 ,R2 ,Y,p及びqは前記と同じであ
    る。)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の
    亜リン酸エステル誘導体を含有してなる請求項3記載の
    潤滑油用添加剤。
  5. 【請求項5】 下記一般式(VIII)、(IX)、(X)、
    (XI)及び(XII) R1 −S−R2 −O−P−(OH)2 ・・・(VIII) (R1 −S−R2 −O)2 −P−OH ・・・(IX) 【化4】 【化5】 【化6】 (式中、R1 及びR2 は前記と同じである。)で表され
    る化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステ
    ル誘導体を含有してなる請求項3又は4に記載の潤滑油
    用添加剤。
  6. 【請求項6】 潤滑油基油に、請求項3〜5のいずれか
    に記載の亜リン酸エステル誘導体を有効量配合してなる
    潤滑油組成物。
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