JP2009007440A - 油類用添加剤およびこれを含有する潤滑油 - Google Patents

油類用添加剤およびこれを含有する潤滑油 Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩擦特性または耐摩耗特性を付与しうる油類用添加剤の提供。
【解決手段】一般式(I)で表される窒素含有化合物またはその塩を含有する油類用添加剤。
【化9】

(式中、Rはベンジル基を除く酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基を表し、R、RおよびRは同一または異なって、酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子を表し、RおよびRは隣接する窒素原子と一緒になって環形成してもよく、Xは硫黄原子または酸素原子を表す)
【選択図】 なし

Description

本発明は、潤滑油や燃料油等の油類に耐摩擦特性と耐摩耗特性を付与する油類用添加剤と、これを含有する潤滑剤に関する。
最近になって世界的に環境保護に対する関心が高まり、京都議定書に代表されるような排出ガスが原因となる地球温暖化や酸性雨、オゾン層の破壊と言った環境問題の改善や、省エネルギー化についての様々な規制がなされている。
その一環として、潤滑油中に含まれる金属分、リン分、硫黄分の上限濃度が設定され(非特許文献1および2参照)、これらの成分、特に金属分やリン分を含有しない潤滑油が求められようになってきた。そのため前述のモリブデン系摩擦調整剤は金属分を含有しているため、上記理由によりその添加量の削減が求められている。
このような規制に対応するため、従来より各種無灰型添加剤の検討がなされている。例えば、ステアリン酸やオレイン酸等に代表されるカルボン酸類、オレイルアミン等に代表されるアミン類、ステアリルアルコールやグリセリンモノオレート(GMO)に代表されるアルコール類等が挙げられるが、その摩擦低減効果は十分でなく、高温域で使用される場合や極性基油中で使用される場合には特に効果が発現されにくい。
また、増ちょう剤や極圧剤として知られている尿素系化合物を誘導化し、各種特性を高める検討も進められている。
例えば、非特許文献3では、チオ尿素化合物の硫黄原子上にベンジル基を導入したイソチオ尿素化合物を合成し、極圧特性を評価している。しかしながら、該文献では摩擦低減効果については言及されてはおらず、筆者らの検討した結果では、フェニル基やベンジル基等の芳香族置換基が基材表面での吸着点を阻害するため、摩擦低減効果は低い。
また特許文献1では、尿素化合物の窒素原子上にcis−オクタデセニル基を導入することで、摩擦低減効果が発現することを記載している。
このように金属分およびリン分を含有せず、潤滑油基油に対する溶解性に優れ、かつ、幅広い温度領域下や、脂肪酸エステル等の極性基油中においても十分な効果を付与できる潤滑油添加剤は未だ見出されていなかった。また、金属分およびリン分を含有する添加剤の使用量を低減させるためには、無灰型添加剤が複数の効果を高いレベルで発現させることが有効であるが、そのような観点においても、上述のように従来の添加剤では性能が十分ではなく、結局は金属分およびリン分を含有する添加剤に頼らざるを得ないのが現状であった。
特開2005−120242号公報 「潤滑経済」、2005年、7月号、p7 「月刊トライボロジー」、2005年、12月号、p36 「Tribology International」、1983年、16巻、 6号、p291
本発明の目的は、金属分およびリン分を含有しなくても、潤滑油基油に対して優れた耐摩擦特性または耐摩耗特性を付与しうる窒素含有化合物を含有する油類用添加剤および該油類用添加剤を含有する潤滑油を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(12)を提供する。
(1)一般式(I)で表される窒素含有化合物またはその塩を含有する油類用添加剤。
(式中、Rはベンジル基を除く酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基を表し、R、RおよびRは同一または異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子をそれぞれ表し、RおよびRは隣接する窒素原子と一緒になって環形成してもよく、Xは硫黄原子または酸素原子を表す)
(2)Xが硫黄原子である(1)に記載の油類用添加剤。
(3)Xが酸素原子である(1)に記載の油類用添加剤。
(4)Rが炭素数1〜30の炭化水素基であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の油類用添加剤。
(5)Rが炭素数12〜30の炭化水素基である(1)乃至(3)のいずれかに記載の油類用添加剤。
(6)Rがオクタデセニル基またはオクタデシル基である(1)乃至(3)に記載の油類用添加剤。
(7)R、RおよびRが同一または異なっていてもよい炭素数1〜30の炭化水素基または水素原子であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の油類用添加剤。
(8)摩擦調整剤または摩耗低減剤であることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の油類用添加剤。
(9)(1)乃至(8)のいずれかに記載の油類用添加剤と、潤滑油基油とを含有することを特徴とする潤滑油。
(10)潤滑油基油として、鉱物油、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、シリコーン、ケイ酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、合成ナフテン、ガスツーリキッド(GTL)、イオン液体、または植物油を含有することを特徴とする(9)記載の潤滑油。
(11)一般式(II)で表される窒素含有化合物。
(式中、Rはオクタデセニル基を表し、Rは炭素数1〜30の酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子を表す)
(12)Rが水素原子である(11)記載の窒素含有化合物。
以下、一般式(I)で表される窒素含有化合物を窒素含有化合物(I)と表す。
本発明により、金属分およびリン分を含有しなくても、潤滑油基油に対して優れた耐摩擦特性または耐摩耗特性を付与しうる窒素含有化合物を含有する油類用添加剤および該油類用添加剤を含有する潤滑油が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の油類用添加剤は、例えば潤滑油、燃料油等の油類に添加されることで、油類に優れた耐摩擦特性と更には耐摩耗特性をも付与しうるものであって、前記一般式(I)で表される窒素含有化合物またはその塩を含有する。以下、この窒素含有化合物またはその塩のことを窒素含有化合物(I)またはその塩という場合もある。
前記一般式(I)中、Rはベンジル基を除く酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基を表し、R、RおよびRは同一または異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子をそれぞれ表し、RおよびRは隣接する窒素原子と一緒になって環形成してもよく、Xは硫黄原子または酸素原子を表す。
の酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基の炭素数は1〜30であるのが好ましく、炭素数12〜30であるのがより好ましい。R、RおよびRの酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基の炭素数は1〜30であるのが好ましい。
ここで炭化水素基とは、飽和でも不飽和でも芳香族でもよいし、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。
そのような炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、アルケニル基、置換アリール基およびアラルキル基等が挙げられる。
上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデジル基等の炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは炭素数12〜30のアルキル基が挙げられる。
上記シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基が挙げられる。
上記アルキルシクロアルキル基の具体例としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基を挙げることができる。ここで、アルキル基のシクロアルキル基への置換位置は任意である。また、アルキル基は前記と同義である。
上記アルケニル基の具体例としては、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等の炭素数1〜30のアルケニル基、より好ましくは炭素数12〜30のアルケニル基が挙げることができる。ここで、これらアルケニル基は、二重結合の位置や幾何異性体比については任意である。
上記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14個のアリール基等が挙げられる。置換アリールの置換基としては、アルキル基等が挙げられ、該アルキル基は前記と同義である。
上記アラルキル基の具体例としては、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルプロペニル基、フェニルシクロプロピル基、フェニルブチル基、フェニルブテニル基、フェニルシクロブテニル基、フェニルペンチル基、フェニルペンテニル基、フェニルシクロペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘキセニル基、フェニルシクロヘキシル基、ビフェニル等の炭素数7〜18のアラルキル基が挙げられる。
また、本発明において酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基としては、例えばエステル類、カルボン酸類、エーテル類、アミド類、アミン類、チオール類、チオエステル類、チオエーテル類等から誘導される炭化水素基が挙げられる。酸素原子、硫黄原子、窒素原子の炭化水素基中の含有数は、1〜5個であるのが好ましい。
なお、これらの酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基は特に限定されるものではない。以下、酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基を、単に炭化水素基という場合もある。
およびRが隣接する窒素原子と一緒になって形成する環の具体例としては、炭素数5〜10であるものが好ましく、例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環等が挙げられ、これらの環は上述したアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはアラルキル基を置換基として有していてもよい(ここでいうアルキル基、アルケニル基、アリール基、およびアラルキル基はそれぞれ前記と同義である)。
このような窒素含有化合物(I)またはその塩のうち、さらに好ましい例としては、Xが酸素原子または硫黄原子(より好ましくは酸素原子)であり、Rが炭素数1〜30の炭化水素(より好ましくは炭素数12〜30、さらに好ましくはオクタデセニル基またはオクタデシル基)であり、R、RおよびRが、炭素数1〜30の炭化水素基または水素原子で[より好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルケニル基または水素原子]であるものが挙げられる。
窒素含有化合物(I)の塩としては、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩等が挙げられる。
以下、好ましい化合物(I−1〜I−11)の具体例及び比較例で使用する化合物を記載する。
窒素含有化合物(I)またはその塩の製造方法としては、例えば非特許文献(「Journal of the American Chemical Society」、1952年、74巻、p4271)に挙げられる合成法が使用可能である。
(式中、R、R、R、RおよびXは、それぞれ前記と同義であり、Yは脱離基を表す)
具体的には、チオ尿素化合物または尿素化合物と脱離基を有する炭化水素基を、20〜200℃で反応させた後に、必要に応じて1〜20当量の塩基性化合物で−10〜60℃で脱塩する方法が挙げられる。その際に対応するチオ尿素化合物または尿素化合物に対して、脱離基を有する炭化水素基を0.2〜20当量使用することが好ましく、0.5〜10当量使用することがより好ましい。また、脱塩処理においては塩基性化合物を、原料のシアナミド化合物を基準として、0.2〜50当量使用することが好ましく、0.5〜10当量使用することがより好ましい。
脱離基としては、例えば、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等のハロゲン原子、p−トルエンスルホネート基、ベンゼンスルホネート基、メタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等が挙げられる。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基、それら無機塩基の水溶液、ピリジン、キノリン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。
また、他の窒素含有化合物(I)の製造方法としては、例えば非特許文献(「Journal of the American Chemical Society」、1999年、121巻、p5940)に挙げられる合成法が使用可能である。
(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)
具体的には、酸性化合物の存在下、シアナミド化合物と0.5〜10当量のアルコールを0〜200℃で反応させた後に、必要に応じて1〜20当量の塩基性化合物で−10〜60℃で脱塩する方法が挙げられる。その際に対応するシアナミド化合物に対して、酸性化合物を0.2〜20当量使用することが好ましく、0.5〜10当量使用することがより好ましい。また、脱塩処理は塩基性化合物を生成したイソウレア誘導体に対して0.2〜50当量使用することが好ましく、0.5〜10当量使用することがより好ましい。
酸性化合物としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸等のアルキルカルボン酸、安息香酸等のアリールカルボン酸等が挙げられる。
塩基性化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
また、窒素含有化合物(I)またはその塩の製造時に溶媒を使用してもよく、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ジクロロメタン、1、2−ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、水等が挙げられる。
また、窒素含有化合物(I)の塩は、窒素含有化合物(I)を1〜10当量の上記の酸性化合物等と混合し、塩の形成後、通常の有機合成における精製法(洗浄、抽出等)で処理することにより得ることができる。
窒素含有化合物(I)またはその塩の使用のみで十分な耐摩擦特性と耐摩耗特性を付与できるが、場合によっては、公知の油性剤、摩擦調整剤または/および摩耗低減剤と窒素含有化合物(I)またはその塩とを併用してもよい。
本発明において、窒素含有化合物(I)またはその塩は潤滑油、燃料油等の油類に対する溶解性にも優れ、分散剤、増粘剤、酸化安定剤、消泡剤、防錆剤等の油類用添加剤としても有効であり、また、アルミ等の非鉄金属を使用する部材、あるいはこれらと鉄等の異種金属を使用する部材に対しても、例えば、油性剤、摩擦調整剤、摩耗低減剤等の油類用添加剤として使用が可能である。
さらに窒素含有化合物(I)またはその塩は、尿素骨格を基本としているため、生分解性も期待できる。
本発明の潤滑油は、潤滑油基油と、窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する油類用添加剤とを含有するものである。潤滑油中におけるこの油類用添加剤の含有量は、潤滑油1kg中0.001〜500ミリモルが好ましく、さらには0.01〜400ミリモルが好ましく、さらには0.1〜300ミリモルが好ましい。この範囲内であると、より優れた耐摩擦特性および耐摩耗特性を付与することができる。
潤滑油基油としては、例えば、天然基油や合成基油に代表される種々の潤滑油基油を使用できる。またこれらは、極性基油、無極性基油のいずれであってもよい。
天然基油としては、例えば、鉱物油、植物油、獣油等が挙げられ、鉱物油としては、例えば、パラフィン基系原油、中間基系原油、ナフテン基系原油等が挙げられるが特に限定されるものではない。また、これらを常圧または減圧蒸留により誘導される潤滑油原料をフェノール、フルフラール等の芳香族抽出剤で処理して得られる溶剤精製油、水素化分解触媒の存在下において過酷な分解反応条件下で水素と接触させて得られる水素化分解油、潤滑油原料をシリカ−アルミナ担体とするコバルト、モリブデン等の水素化処理用触媒の存在下において水素化処理条件下で水素と接触させて得られる水素化処理油および複数段の水素化処理、水素化処理または溶剤精製処理後にアルカリ蒸留もしくは硫酸洗浄処理、触媒脱蝋後に水素化処理等の方法で処理することにより得られる高度精製油等も好ましく使用できる。
植物油としては、例えば、菜種油、ひまわり油、大豆油、オリーブ油、パーム油、トウモロコシ油等が挙げられるが特に限定されるものではない。
合成基油としては、ポリブテン、ポリプロピレン、炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン;脂肪酸モノエステル、芳香族モノエステル、脂肪酸ジエステル、芳香族ジエステル、脂肪族多塩基酸エステル、芳香族多塩基酸エステル、ポリオールポリエステル等のエステル;ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、シリコーン、ケイ酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、合成ナフテン、ガスツーリキッド(GTL)、フルオロカーボン、イオン液体等が挙げられるが特に限定されるものではない。
これらの中で好ましい潤滑油基油としては、溶剤精製油、水素化分解油、高度精製油、植物油、ポリ−α−オレフィン、脂肪族エステル(脂肪酸モノエステル、脂肪酸ジエステル、脂肪族多塩基酸エステル、ポリオールポリエステル)、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、シリコーン、ケイ酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、合成ナフテン、ガスツーリキッド(GTL)が挙げられ、これらのうち1種以上を使用することが好ましい。
本発明の潤滑油は、前記潤滑油基油と窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する油類用添加剤の他に、任意成分として、清浄分散剤、酸化防止剤、摩耗低減剤(耐摩耗剤、焼付き防止剤、極圧剤等)、摩擦調整剤、油性剤、防錆剤、気相防錆剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、抗乳化剤、染料、香料等の添加剤を併用して添加する。これらの添加剤の添加量としては、特には限定されないが、潤滑油中、それぞれ、0.001〜5重量%であるのが好ましい。
清浄分散剤とは、経時で生成する油中のスラッジを安定的に分散させ、これらの凝集堆積を抑制する分散作用、ならびに水、有機酸、スラッジプレカーサー等の不安定な中間体を可溶化することでワニスやスラッジへの成長を抑制する可溶化作用;潤滑油基油、添加剤の劣化により生成する有機酸、硫酸を中和することで基材の腐食さらには腐食が原因となる摩耗を抑制する酸中和作用を主目的とする添加剤である。清浄分散剤には大きく分けて、金属を含有する金属系清浄剤と、金属を含有しない無灰型分散剤とがあり、前者の代表的なものは、中性・塩基性スルホネート、過塩基性スルホネート、過塩基性フェネート、過塩基性サリシレート、ホスフォネート、過塩基性カルボキシレート等に金属の水酸化物、炭酸化物をコロイド状に分散したものである。金属としてはカルシウム、マグネシウム、バリウム等が挙げられる。無灰型分散剤としてはモノコハク酸イミドやビスコハク酸イミド等が挙げられる。清浄分散剤としては、これらのうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤とは、潤滑油基油または添加剤が空気中の酸素と反応することによる、劣化・分解の抑制を主目的とする添加剤である。作用機構としては連鎖移動反応の停止剤、過酸化物の分解剤、酸化触媒となりうる金属化合物の不活性化剤として作用する。連鎖停止剤として作用するものには、フェノール系、芳香族アミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤として作用するものには、硫黄系、硫黄・リン系化合物等が挙げられる。
摩耗低減剤とは、相対運動により発生する摩擦の摩擦表面において、摩擦表面を形成する金属または金属酸化物と化学反応し無機化合物の膜を形成することで摩耗の低減、焼付きの防止を主目的とする添加剤である。摩耗の抑制を主目的とするものを耐摩耗剤、焼付きの防止を主目的とするものを焼付き防止剤、焼付きを生じるような過酷な条件下で、焼付きの防止および摩耗の抑制を主目的とするものを極圧剤とそれぞれ呼称することもある。摩耗低減剤は硫黄系、リン系、塩素系、有機金属系に大別され、硫黄系化合物には硫化オレフィン、スルフィド等があり、代表的なものにはジベンジルジスルフィド(DBDS)が挙げられる。リン系化合物にはホスファイト、ホスフェート、アミンホスフェート等があり、代表的なものにはトリクレジルホスフェート(TCP)が挙げられる。塩素系化合物には塩化パラフィン等が挙げられる。有機金属系の代表的なものには亜鉛−ジアルキルジチオホスフェート(ZnDTP)や亜鉛−ジアルキルジチオカルバメート(ZnDTC)、モリブデン−ジアルキルジチオカルバメート(MoDTC)、モリブデン−ジアルキルジチオホスフェート(MoDTP)等が挙げられる。摩耗低減剤としては、これらのうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する本発明の油類用添加剤を使用する際には、これら硫黄系、リン系、塩素系、有機金属系の摩耗低減剤を併用してもよいが、本発明の油類用添加剤を使用すれば、これら公知の摩耗低減剤を使用しなくても、潤滑油等の油類に対して優れた耐摩耗特性を付与することができる。よって、例えば、リン系、有機金属系の摩耗低減剤を併用することによる油類中の金属分やリン分の濃度増加を防ぐことができる。
摩擦調整剤とは、相対運動により発生する摩擦の摩擦表面において、摩擦表面を形成する金属または金属酸化物上に物理吸着または化学吸着し、摩擦を低減もしくは増加させることを主目的とする添加剤である。摩擦の低減を主目的とするものを油性剤または摩擦低減剤と呼称することもある。摩擦調整剤には大別すると金属を含有しない無灰型摩擦調整剤と金属を含有する金属系摩擦調整剤、さらには固体潤滑剤とがある。無灰型摩擦調整剤は分子内に金属表面と強く結合する極性基と長鎖長の炭素鎖を併せ持つ構造であり、代表的なものにはステアリン酸、オレイン酸、ステアリルアミン、オレイルアルコール、オレイルアミン、オレイルアミド、グリセリンモノオレート(GMO)等が挙げられる。金属系摩擦調整剤にはMoDTC、MoDTP等が挙げられる。固体潤滑剤にはグラファイト、二硫化モリブデン等が挙げられる。摩擦調整剤としては、これらのうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する本発明の油類用添加剤を使用する際には、無灰型摩擦調整剤、金属系摩擦調整剤、固形潤滑剤等の摩擦調整剤を併用してもよいが、本発明の油類用添加剤を使用すれば、これら公知の摩擦調整剤を併用しなくても、潤滑油等の油類に対して優れた耐摩耗特性を付与することができる。よって、例えば、金属系摩擦調整剤を併用することによる油類中の金属分の濃度増加を防ぐことができる。
防錆剤とは、空気中に存在する酸素および水分が主原因となる基材の錆びを防止することを主目的とする添加剤である。防錆剤にはアルキルコハク酸誘導体、金属石けん、エステル、スルホネート、ホスファイト、アミン類等が挙げられる。
流動点硬化剤とは、潤滑油のワックス流動点をさらに降下させることで低温流動性を改善し、潤滑油の可使用下限温度をさらに下げることを主目的とする添加剤である。代表的なものには、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、塩素化パラフィンとナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物等が挙げられる。
粘度指数向上剤とは、粘度指数を向上させることで潤滑油の温度による粘度変化を小さくし、潤滑油の可使用温度範囲をさらに広げることを主目的とする添加剤である。代表的なものには、ポリアルキルメタクリレート、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン−プロピレン共重合物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
消泡剤とは、潤滑油の泡立ちが主原因となる油切れや圧縮性増大にともなう摩耗、焼付き等による機械の作動不良、潤滑油のオーバーフロー、酸化・劣化促進の防止を主目的とする添加剤である。代表的なものには、ジメチルシロキサン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート、パーフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
防錆剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、消泡剤は、いずれも例示したもののうち1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の潤滑剤は、例えば、エンジン油、自動変速機油、無段変速機油、ギヤ油、パワーステアリング油、ショックアブソーバ油、タービン油、作動油、冷凍機油、圧延油、軸受油、金属加工用潤滑油、摺動面油、グリース、生体潤滑剤等の各用途に使用することができる。
エンジン油とは、自動車、自動二輪、列車、船舶、潜水艦等の4サイクルガソリンエンジン、2サイクルガソリンエンジン、ディーゼルエンジンのピストンリングとシリンダの摺動部、コンロッドとクランクシャフト軸受、カムとバルブリフタの動弁系部分等の潤滑に使用される潤滑油である。
自動変速機油とは、流体変速機、歯車装置、湿式クラッチおよびこれらをコントロールする油圧機構からなる自動変速機の動力伝達、摩耗調整、各種ギヤの潤滑に使用される潤滑油である。
無段変速機油とは、無段変速機に使用される潤滑油である。無段変速機にはベルトドライブ式とトラクションドライブ式とがあり、自動車、工作機械、産業機械等の変速機として使用される。ベルトドライブ式無段変速機はエンジン側と駆動輪側の2個のプーリーとその間に掛けられたベルトからなり、潤滑油はベルト部、クラッチ板、油圧システムの潤滑および油圧作動に使用される。トラクションドライブ式無段変速機は転動体同士が油膜を介してトルクを伝達するものであり、潤滑油はトルクの伝達、転動体の焼付きや摩耗の防止に使用される。
ギヤ油とは、歯車と軸受の潤滑を目的に使用される潤滑油であり、自動車用ギヤ油と工業用ギヤ油に大別される。自動車用ギヤ油は、自動車の手動変速機やマニュアルトランスアクスル、終減速機(デフ)に採用されているヘリカルギヤやハイポイドギヤ等の潤滑に使用される。工業用ギヤ油は、鉄鋼設備をはじめとする産業機械、設備の歯車に採用されているヘリカル歯車やベベル歯車、ウォーム歯車等の潤滑に使用される。
パワーステアリング油とは、ハンドルにかかる力を軽減させることを目的にパワーステアリング装置に使用される潤滑油である。
ショックアブソーバ油とは、操縦性、安定性、乗り心地を付与することを目的にサスペンション装置におけるショックアブソーバに使用される潤滑油である。
タービン油とは、タービンの軸受および減速歯車の潤滑に使用される潤滑油であり、発電機、船舶および航空機の蒸気タービン、ガスタービン、原子力タービン等に使用される。
作動油とは、油圧機器、装置の動力伝達や摺動部分の潤滑に使用される潤滑油であり、建設機械、工作機械、金属やプラスチックの加工機械、車両、船舶、航空機等の油圧機器、装置に使用される。
冷凍機油とは、冷凍機の圧縮機に冷媒と接触、共存下で使用される潤滑油であり、空調機、冷蔵庫、食品の加工流通の冷凍冷蔵用、産業用等の冷凍機に使用される。
圧延油とは、鉄鋼やアルミニウム合金等の金属材料を圧延する際に、素材とロール間の過擦部分に潤滑性を付与することを目的に使用される潤滑油である。
軸受油とは、軸受が主たる潤滑対象になっている潤滑油であり、各種工作機械の主軸受や特殊なものには圧延機のロールネックの大型すべり軸受に用いられる油膜軸受油がある。また、最近では流体軸受油(動圧軸受油)としてパーソナルコンピューター等のハードディスクドライブに内蔵されているスピンドルモータ等の精密機器の軸受部にも使用される潤滑油である。
金属加工用潤滑油とは、金属の機械加工で潤滑、冷却に使用される潤滑油であり、切削油剤、圧延油剤、プレス加工用潤滑油、引き抜き油剤等の種類がある。
摺動面油とは、すべり速度が非常に遅く、かつ油膜が形成されないような旋盤、研削盤等の各種工作機のテーブルの安定面に摩擦特性を付与するために使用される潤滑油であり、専用油と安定面の潤滑と油圧作動油を兼ねる油圧兼用油とがある。
グリースとは、潤滑油中に増ちょう剤を分散させて半固体または固体状にしたものであり、自動車にはホイールベアリング、等速ボールジョイント、ユニバーサルジョイント、プロペラシャフトセンターサポート、クラッチレリーズベアリング、水ポンプ軸受、ステアリングやアクセルのリンケージ機構部、電装品等の軸受、プロペラシャフトのスプライン部、計装用ワイヤケーブル部、ウインドレギュレータやドアミラー等のボディ用部品、ブレーキ用部品等に使用され、工業用としては転がりやすべり軸受、歯車やチェーン等の継ぎ手類、機械摺動面等を有する機器に使用される。
生体潤滑剤とは、人工関節、人工軟骨や人工涙液型点眼液等に使用される潤滑剤であり、潤滑性や耐久性のみならず、生体への影響がない素材が要求される。
以上説明したように、窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する油類用添加剤は、金属分およびリン分を含有しないにもかかわらず、潤滑油に対して優れた耐摩擦特性と耐摩耗特性を付与する。よって、環境面等で非常に好ましい上、従来の亜鉛やモリブデンといった重金属分やリン分を含有する添加剤では、人体への影響や潤滑油の混入が懸念されるために使用が制限されていた用途(食品加工や医薬製造時に使用するベルトコンベア等の作業機械、医療機器等)に対しても有効である。
また、窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する油類用添加剤は、潤滑油基油が極性基油、無極性基油のいずれの場合であっても、これらへの添加により、摩擦低減性と摩耗低減性とを兼ね備えた高い耐摩擦、耐摩耗特性を付与することができる。よって、従来は、潤滑油基油の種類に応じて、相性がよい摩擦調整剤と摩耗低減剤(耐摩耗剤、焼付き防止剤、極圧剤等)の両方をそれぞれ選択して添加する必要があったが、この油類用添加剤を採用することによって、このような煩雑さも排除することができる。
さらに、窒素含有化合物(I)またはその塩を含有する油類用添加剤は、潤滑油基油に対する溶解性に優れているため、潤滑油添加剤としての各特性を効果的に発現させることができる。
燃料油としては、高度に水素化精製された例えば高性能タービン燃料油やバイオディーゼル燃料油等が挙げられる。このように高度に水素化精製された燃料油は、その潤滑性能が特に不足する傾向があり、このような燃料油を使用した燃料ポンプは摩耗しやすい。よって、本発明の油類用添加剤の添加が非常に有効となる。油類用添加剤の含有量は、燃料油100質量%中、0.0001〜15質量%、さらには0.001〜10質量%、さらには0.01〜10質量%が好ましい。この範囲内であると、十分な耐摩擦特性と耐摩耗特性を付与することができる。
また、燃料油は、本発明の油類用添加剤の他、各種の添加剤を含有してもよい。
また、窒素含有化合物(I)またはその塩は、油類用添加剤の他、化粧品、医薬品、肥料、生体材料、電子機器材料、塗料、インク、印刷材料、食品等の乳化剤、可溶化剤、分散剤、可塑剤、合成樹脂等の滑剤、毛髪化粧料、ゲル化剤、紙用添加剤、結晶核剤等としても使用することができる。
本発明により、潤滑油基油に対する溶解性に優れ、また、金属分およびリン分を含有しなくても、潤滑油基油に優れた耐摩擦特性または耐摩耗特性を付与する油類用添加剤を提供できる。
以下、実施例、比較例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例、比較例および試験例中のNMR測定データは、以下の測定機器により測定した。
核磁気共鳴スペクトル(H−NMR;テトラメチルシランを標準物として使用):GSX−400(400MHz)(日本電子製)
[合成例1] S−9−オクタデセニルイソチオ尿素(I−1)の合成
チオ尿素2.00g(東京化成工業製)、オレイルクロリド7.54g(東京化成工業製)、エタノール20ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い70〜80℃で24.5時間攪拌した。反応液を15〜25℃まで冷却後、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去し、残渣にジエチルエーテル50mlを加えることで白色固体が析出した。これを減圧ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、60℃で減圧乾燥することにより、S−9−オクタデセニルイソチオ尿素塩酸塩5.25gを得た。
得られたS−9−オクタデセニルイソチオ尿素塩酸塩0.14gにジクロロメタン6mLを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、25℃で減圧乾燥し、目的物(I−1)0.07g(収率:30.6%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.20−1.41(m,22H),1.66(m,2H),1.97−2.02(m,4H),2.78(t,2H),5.31−5.39(m,2H)
元素分析結果;
<C:69.98%、H:11.90%、N:8.51%、S:9.61%>
[合成例2] S−オクタデシルイソチオ尿素(I−2)の合成
チオ尿素2.00g(東京化成工業製)、ステアリルブロミド8.76g(東京化成工業製)、エタノール30ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い70〜80℃で8.0時間攪拌した。反応液を0〜5℃まで冷却したところ、白色固体が析出した。これを減圧ろ過し、エタノールで洗浄後、60℃で減圧乾燥することにより、S−ステアリルイソチオ尿素臭化水素酸塩5.12gを得た。
得られたS−ステアリルイソチオ尿素臭化水素酸塩2.98gにジクロロメタン150mLを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、50℃で減圧乾燥し、目的物(I−2)1.11g(収率:22.1%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.20−1.35(m,28H),1.40(m,2H),1.66(m,2H),2.77(t,2H)
元素分析結果;
<C:69.60%、H:12.30%、N:8.55%、S:9.55%>
[合成例3] N−エチル−S−オクタデシルイソチオ尿素(I−3)の合成
1−エチル−2−チオ尿素3.00g(Aldrich製)、ステアリルブロミド9.60g(東京化成工業製)、エタノール25ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い70〜80℃で6.0時間攪拌した。反応液を15〜25℃まで冷却後、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した。残渣にジエチルエーテル80mlを加え、40℃で加熱し、得られた溶液を0〜5℃まで冷却したところ、白色固体が析出した。これを減圧ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、50℃で減圧乾燥することにより、N−エチル−S−オクタデシルイソチオ尿素臭化水素酸塩9.97gを得た。
得られたN−エチル−S−オクタデシルイソチオ尿素臭化水素酸塩3.00gにジクロロメタン100mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、40℃で減圧乾燥し、目的物(I−3)2.25g(収率:72.8%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.18(t,3H),1.20−1.33(m,28H),1.39(m,2H),1.65(m,2H),2.80(t,2H),3.33(m,2H)
元素分析結果;
<C:70.62%、H:12.60%、N:8.07%、S:8.71%>
[合成例4] N−アリル−S−オクタデシルイソチオ尿素(I−4)の合成
1−アリル−2−チオ尿素3.00g(東京化成工業製)、ステアリルブロミド8.61g(東京化成工業製)、エタノール5ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い70〜80℃で10.0時間攪拌した。反応液にジエチルエーテル90mlを加え、0〜5℃まで冷却したところ、白色固体が析出した。これを減圧ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、50℃で減圧乾燥することにより、N−アリル−S−オクタデシルイソチオ尿素臭化水素酸塩10.39gを得た。
得られたN−アリル−S−オクタデシルイソチオ尿素臭化水素酸塩3.00gにジクロロメタン100mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、40℃で減圧乾燥し、目的物(I−4)2.26g(収率:82.3%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.20−1.34(m,28H),1.40(m,2H),1.65(m,2H),2.72−2.90(br,2H),3.94(d,2H),5.20(dd,2H),5.86−5.95(m,1H)
元素分析結果;
<C:71.55%、H:12.23%、N:7.80%、S:8.42%>
[合成例5] N−アセチル−S−オクタデシルイソチオ尿素(I−5)とN、N’−ジアセチル−S−オクタデシルイソチオ尿素(I−5−1)の混合物の合成
窒素雰囲気下で、S−オクタデシルイソチオ尿素0.30g(合成例2の合成品)、トリエチルアミン0.14g(東京化成工業製)、ジクロロメタン20ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、0〜25℃で無水酢酸0.12g(和光純薬製)をゆっくり滴下した。15〜25℃で5時間攪拌後、反応液を分液ロートに移し、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、35℃で減圧乾燥し、化合物(I−5)0.20gを得た。
この白色固体は、H−NMR分析により、N−アセチル−S−オクタデシルイソチオ尿素とN、N’−ジアセチル−S−オクタデシルイソチオ尿素の54:46(モル比)の混合物であることが分かった。
[合成例6] O−オクタデシルイソ尿素(I−6)の合成
尿素0.60g(和光純薬製)、ステアリルトシレート4.80g(東京化成工業製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い140〜145℃で4.0時間攪拌した。反応液にジエチルエーテル10mlを加え、15〜25℃まで冷却した。析出した白色固体を減圧ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄後、50℃で減圧乾燥することにより、O−オクタデシルイソ尿素のトシル酸塩を含む混合物1.76gを得た。
得られたO−オクタデシルイソ尿素のトシル酸塩を含む混合物1.63gにジクロロメタン100mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、50℃で減圧乾燥し、O−オクタデシルイソ尿素(I−6)0.32g(収率:11.1%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.20−1.41(m,30H),1.66(m,2H),3.24−3.90(br,3H),4.01(t,2H)
元素分析結果;
<C:73.22%、H:13.10%、N:8.71%、S:−>
[合成例7] N−オクタデシル−O−オクタデシルイソ尿素(I−8)の合成
下記合成例10で合成したN−オクタデシル−O−オクタデシルイソ尿素−p−トルエンスルホン塩1.20gにジクロロメタン100mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、食塩水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、5〜10℃で減圧乾燥し、目的物(I−8)0.57g(収率:61.9%)を得た。これの物性値は以下の通りであった、
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,6H),1.05−1.78(m,64H),3.06(t,2H),4.10−4.20(br,2H)
[合成例8] O−9−オクタデセニルイソ尿素安息香酸塩(I−9)の合成
下記実施例1と同様にしてO−9−オクタデセニルイソ尿素0.42g、安息香酸0.16g(和光純薬製)、ジエチルエーテル5ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、15〜25℃で1.3時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、0〜5℃で減圧乾燥し、目的物(I−9)0.58g(収率:99.3%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.00−1.60(m,24H),1.89−2.10(m,4H),4.08(t,2H),5.30−5.45(m,2H),7.35(t,2H),7.39−7.47(m,1H),7.99(d,2H),7.10−10.20(br,4H)
[合成例9] O−9−オクタデセニルイソ尿素ホウ酸塩(I−10)の合成
下記の実施例1と同様にして合成したO−9−オクタデセニルイソ尿素0.62g、ホウ酸0.12g(和光純薬製)、メタノール5ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、15〜25℃で1.0時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、15℃で減圧乾燥し、目的物(I−10)0.66g(収率:88.6%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.10−1.75(m,24H),1.90−2.06(m,4H),3.92−4.26(br,2H),5.29−5.45(m,2H)
[合成例10] N−オクタデシル−O−オクタデシルイソ尿素−p−トルエンスルホン塩(I−11)の合成
N−n−オクタデシル尿素7.00g(東京化成工業製)、p−トルエンスルホン酸クロリド12.81g(和光純薬製)、ピリジン50ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、15〜25℃で5.0時間攪拌した。反応液を分液ロートに移し、酢酸エチル400mlを加え、0.5重量%塩酸水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、40℃で減圧乾燥し、ステアリルシアナミド6.36g(収率:96.4%)を得た。
得られたステアリルシアナミド3.00g、ステアリルアルコール2.76g(和光純薬製)、p−トルエンスルホン酸1.75g(和光純薬製のp−トルエンスルホン酸1水和物を脱水処理したもの)、クロロホルム20ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い55〜60℃で6.5時間攪拌した。反応液を0〜5℃まで冷却後、析出した白色固体をろ過により除去した。ろ液からロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、目的物(I−11)2.50g(収率:33.3%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,6H),1.05−1.72(m,64H),2.36(s,3H),3.14(t,2H),4.31(t,2H),7.18(d,2H),7.74(d,2H),8.15−8.85(br,3H)
O−9−オクタデセニルイソ尿素(I−7)の合成
シアナミド1.00g(和光純薬製)、オレイルアルコール6.39g(和光純薬製)、p−トルエンスルホン酸4.10g(和光純薬製のp−トルエンスルホン酸1水和物を脱水処理したもの)、クロロホルム(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い55〜60℃で6.5時間攪拌した。反応液を15〜25℃まで冷却後、析出した白色固体をろ過により除去した。ろ液からロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、O−9−オクタデセニルイソ尿素のトシル酸塩4.86gを得た。
得られたO−9−オクタデセニルイソ尿素のトシル酸塩0.60gにジエチルエーテル50mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水、食塩水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、0〜5℃で減圧乾燥し、目的物(I−7)0.37g(収率:40.6%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.20−1.41(m,22H),1.66(m,2H),1.91−2.07(m,4H),4.03(t,2H),5.06(br,3H),5.30−5.40(m,2H)
元素分析結果;
<C:73.55%、H:12.22%、N:8.91%、S:−>
[比較合成例1] 9−オクタデセニル尿素(I−12)の合成
オレイルアミン16.5g(アルドリッチ製)、尿素18.5g(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い160℃で3.0時間攪拌した。反応液を15〜25℃まで冷却し、ジクロロメタン50mlを加えた後、分液ロートに移し、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、50℃で減圧乾燥し、オレイル尿素の粗体8.70gを得た。この粗体1.50gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで目的物(I−12)0.81g(収率:24.6%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);0.88(t,3H),1.05−1.38(m,22H),1.38−1.55(m,2H),1.90−2.05(m,4H),3.05−3.15(m,2H),4.75−4.80(br,2H),5.08−5.18(br,1H),5.25−5.45(m,2H)
元素分析結果;
<C:73.60%、H:12.13%、N:9.01%、S:−>
[比較合成例2] S−ベンジル−N−p−トリルイソチオ尿素(I−13)の合成
p−トリルチオ尿素4.96g(東京化成工業製)、ベンジルブロミド5.18g(東京化成工業製)、エタノール20ml(和光純薬製)を反応フラスコに仕込み、オイルバスを用い70〜80℃で7.0時間攪拌した。反応液を15〜25℃まで冷却し、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、50℃で減圧乾燥することでS−ベンジル−N−p−トリルイソチオ尿素臭化水素酸塩9.93gを得た。
得られたS−ベンジル−N−p−トリルイソチオ尿素臭化水素酸塩2.00gにジクロロメタン100mlを混合し、分液ロートに仕込み、1.0重量%炭酸水素ナトリウム水溶液、蒸留水で洗浄した。有機層を分取し、これを無水硫酸マグネシウムで脱水後、減圧ろ過、ロータリーエバポレーターにて減圧下溶媒を留去した後、30℃で減圧乾燥し、S−ベンジル−N−p−トリルイソチオ尿素(I−13)1.38g(収率:89.6%)を得た。これの物性値は以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,δppm);2.31(s,3H),4.33(br,1H),4.47(br,1H),6.81(br,2H),7.11(d,2H),7.25(t,1H),7.32(t,2H),7.34(br,2H)
元素分析結果;
<C:70.29%、H:6.41%、N:10.91%、S:12.39%>
化合物(I−3)を油類用添加剤として、ポリ−α−オレフィン(潤滑油基油A)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。得られた試作油の120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表1に示す。
化合物(I−6)を油類用添加剤として、ポリ−α−オレフィン(潤滑油基油A)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。得られた試作油の120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表1に示す。
化合物(I−7)を油類用添加剤として、ポリ−α−オレフィン(潤滑油基油A)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。得られた試作油の120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表1に示す。
化合物(I−8)を油類用添加剤として、ポリ−α−オレフィン(潤滑油基油A)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。得られた試作油の120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表1に示す。
化合物(I−10)を油類用添加剤として、ポリ−α−オレフィン(潤滑油基油A)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。得られた試作油の120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表1に示す。
化合物(I−1)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
化合物(I−2)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
化合物(I−3)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
化合物(I−4)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
化合物(I−6)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
化合物(I−7)を油類用添加剤として、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)に10mmol/kgとなるように加え、潤滑油の試作油を調製した。試作油の80℃、120℃、150℃におけるそれぞれの動摩擦係数を曽田式振子型摩擦試験機(神鋼造機製)を用いて測定した。動摩擦係数は振子の初期振幅、振動させた時の振幅、振動回数から算出した。結果を表2に示す。
[比較例1〜6] 動摩擦係数の測定(摩擦低減性の評価)
比較合成例1及び2で合成した化合物(I−12、I−13)およびグリセリンモノオレート(GMO)(花王製)を油類用添加剤とした以外は実施例2または実施例7と同様にして試作油を調製し、評価した。結果を表1および表2に示す。
摩耗痕径の測定(摩耗低減性の評価)
以下、潤滑油基油Aは、ポリ−α−オレフィンを表し、潤滑油基油Bは、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)を表す。
潤滑油基油Aと化合物(I−1)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Aと化合物(I−6)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Aと化合物(I−7)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Bと化合物(I−1)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Bと化合物(I−3)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Bと化合物(I−6)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
潤滑油基油Bと化合物(I−7)を用いて、上記実施例2と同様にして試作油を調製した。試作油を、(ASTM D4172)規定の方法(荷重;40kgf、回転数;1200rpm、時間;60分、温度;75℃)に準じ試験を行い、試験後の摩耗痕径を測定した。試験機には、シェル式四球摩擦試験機(高千穂精機製)を用いた。摩耗痕径は3つの固定球の垂直方向、水平方向全ての平均値とした。
[比較例7〜12] 摩耗痕径の測定(摩耗低減性の評価)
比較合成例1、2で合成した化合物(I−12、I−13)およびジベンジルジスルフィド(DBDS)(東京化成工業製)を油類用添加剤とした以外は実施例2または比較例16と同様にして試作油を調製し、実施例13〜19と同様に評価した。実施例13〜19および比較例7〜12の結果を表3および表4に示す。
化合物(I−1)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−3)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−4)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−5)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−7)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−8)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−9)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−10)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5に示す。
化合物(I−11)と潤滑油基油Aを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−1)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−2)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−3)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−4)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−5)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−6)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−7)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−8)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−9)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−10)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
化合物(I−11)と潤滑油基油Bを用いて実施例2と同様にして試作油を調整した。試作油の40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表6に示す。
[比較例13、14] 溶解性試験
比較合成例1で合成した化合物(I−12)を用いて上記実施例2と同様にして(比較例14では潤滑油基油Bを使用)試作油を調製し、40℃、80℃、120℃における溶解性を目視により評価した。結果を表5〜6に示す。
表1〜6から明らかなように、各試験例によれば、本発明の油類用添加剤は、使用する潤滑油基油の種類、極性にかかわらず、幅広い温度領域においても優れた摩擦低減性、かつ、優れた摩耗低減性も発現し、各種潤滑油基油に対する溶解性にも優れていた。一方、各比較合成例で製造した化合物を含む試作油では、各実施例の潤滑油と比べて、耐摩擦特性、耐摩耗特性、または潤滑油基油に対する溶解性が劣っていた。
本発明により、金属分およびリン分を含有しなくても、潤滑油基油に対して優れた耐摩擦特性または耐摩耗特性を付与しうる窒素含有化合物を含有する油類用添加剤および該油類用添加剤を含有する潤滑油を提供できる。

Claims (12)

  1. 一般式(I)で表される窒素含有化合物またはその塩を含有する油類用添加剤。
    (式中、Rはベンジル基を除く酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基を表し、R、RおよびRは同一または異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子をそれぞれ表し、RおよびRは隣接する窒素原子と一緒になって環形成してもよく、Xは硫黄原子または酸素原子を表す)
  2. Xが硫黄原子である請求項1記載の油類用添加剤。
  3. Xが酸素原子である請求項1に記載の油類用添加剤。
  4. が炭素数1〜30の炭化水素基である請求項1乃至3のいずれかに記載の油類用添加剤。
  5. が炭素数12〜30の炭化水素基である請求項1乃至3のいずれかに記載の油類用添加剤。
  6. がオクタデセニル基またはオクタデシル基である請求項1乃至3に記載の油類用添加剤。
  7. 、RおよびRが同一または異なっていてもよい炭素数1〜30の炭化水素基または水素原子である請求項1乃至6のいずれかに記載の油類用添加剤。
  8. 摩擦調整剤または摩耗低減剤であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の油類用添加剤。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の油類用添加剤と、潤滑油基油とを含有する潤滑油。
  10. 潤滑油基油として、鉱物油、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、シリコーン、ケイ酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、合成ナフテン、ガスツーリキッド(GTL)、イオン液体、または植物油を含有することを特徴とする請求項9記載の潤滑油。
  11. 一般式(II)で表される窒素含有化合物。
    (式中、Rはオクタデセニル基を表し、Rは炭素数1〜30の酸素原子、硫黄原子、窒素原子からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭化水素基または水素原子を表す)
  12. が水素原子である請求項11記載の窒素含有化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021039852A1 (ja) * 2019-08-30 2021-03-04 株式会社ジェイテクト グリース組成物、グリース組成物の製造方法および転がり軸受
CN116333799A (zh) * 2021-12-23 2023-06-27 中国石油天然气股份有限公司 一种补强剂、液力传动油及车辆自动变速器

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