JP2010065198A - 潤滑油添加剤、潤滑油組成物及び低摩擦摺動部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モノ−N−(アルキル)ホスホリックアミド、ジ−N−(アルキル)チオホスホリックジアミド、等のアミノリン化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる潤滑油添加剤、該潤滑油添加剤を配合してなる潤滑油組成物、及並びに前記潤滑油組成物の存在下で摺動する摺動面がダイヤモンドライクカーボン膜を有する低摩擦摺動部材。
【選択図】なし
Description
潤滑油による省燃費対策は、(1)低粘度化による流体潤滑領域における粘度抵抗及び攪拌抵抗を低減する、及び(2)有効な摩擦低減剤の配合による境界潤滑領域下での摩擦損失を低減する、という観点から研究開発がなされていて、特に、さらに有効な摩擦低減剤の開発が重要視されている。
しかしながら、有機モリブデン化合物(MoDTCやMoDTP)は、新油時の摩擦低減効果は極めて優れるものの、効果の持続性に劣り、潤滑油が劣化したり、自動車排ガス中のスーツが混入すると摩擦低減効果を発揮できないという欠点がある。
一方、リン系の摩擦低減剤や耐摩耗剤も有望視されているが、金属に対する腐食性が大きいなどの欠点がある。
さらに最近、潤滑条件が苛酷な摺動面に対して、硬質薄膜材料、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)、TiN、CrNなどのコーティング材をコーティングして使用することが推奨されている。特に、DLCコーティング材は、優れた低摩擦特性を有しており、低摩擦摺動部材として期待される。
ところが、摺動面がDLCコーティング材を有する摺動部材に、摩擦低減剤として、有機モリブデン化合物を含有する潤滑油組成物を適用しても、摩擦低減効果が十分に発揮されないことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
したがって、DLCコーティング材に対しても摩擦低減効果が発揮される潤滑油添加剤の出現が望まれている。
で表されるアミノリン化合物及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種の化合物からなる潤滑油添加剤、
〔2〕 前記一般式(II)のR2とR3の一方が炭素数11〜30のアルキル基もしくはアルケニル基であり、他方が炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数2〜10のアルケニル基である前記〔1〕に記載の潤滑油添加剤、
〔3〕 前記一般式(III)のR4〜R6のうち、1または2が炭素数11〜30のアルキル基もしくはアルケニル基であり、それ以外が炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数2〜10のアルケニル基である前記〔1〕又は〔2〕に記載の潤滑油添加剤、
〔4〕 前記一般式(I)〜(III)で表されるアミノリン化合物の誘導体が、該アミノリン化合物と硼素化合物、モリブデン化合物、又は亜鉛化合物との反応生成物である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の潤滑油添加剤、
〔5〕 摩擦低減剤もしくは耐摩耗剤である前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の潤滑油添加剤、
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の潤滑油添加剤を配合してなる潤滑油組成物、
〔7〕 潤滑油添加剤の配合量が、潤滑油組成物全量基準で、リン濃度換算で50〜1000質量ppmである前記〔6〕に記載の潤滑油組成物、
〔8〕 潤滑油添加剤が前記〔4〕に記載のアミノリン化合物の誘導体である場合の潤滑油添加剤の配合量が、潤滑油組成物全量基準で、硼素、モリブデン、又は亜鉛元素濃度換算で10〜5000質量ppmである前記〔6〕又は〔7〕に記載の潤滑油組成物、
〔9〕 内燃機関油、自動変速機油、無段変速機油、手動変速機油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、圧縮機油、冷凍機油、油圧ポンプ油、クラッチプーリー用潤滑油もしくはグリースである前記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔10〕 摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン膜である摺動部材を有する機械装置の潤滑に用いる前記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の潤滑油組成物、
〔11〕 ダイヤモンドライクカーボン膜が水素含有量40原子%以下のダイヤモンドライクカーボンである前記〔10〕に記載の潤滑油組成物、
〔12〕 機械装置が、内燃機関、自動変速機、無段変速機、手動変速機、パワーステアリング、ショックアブソーバー、圧縮機、冷媒圧縮機、冷凍機、油圧ポンプ、もしくはクラッチプーリーである前記〔10〕又は〔11〕に記載の潤滑油組成物、
〔13〕 摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン膜である機械装置の摺動部材であって、該摺動面が前記〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の潤滑油組成物の存在下で摺動する低摩擦摺動部材、
を提供するものである。
本発明の潤滑油添加剤であるアミノリン化合物は、下記の一般式(I)〜(III)で表される化合物及びその誘導体である。
上記炭素数1〜30のヒドロカルビル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、若しくはアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれであってもよいが、製造の容易性の観点から、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。
そのようなアルキル基及びアルケニル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜30のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等の直鎖状もしくは分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基が挙げられる。
R7−NH2 ・・・(IV)
(式中、R7は炭素数1〜30のヒドロカルビル基を示す。)
で表させるヒドロカルビルアミンとオキシ塩化リン(POCl3)とを反応させることによって得ることができる。
該反応に使用する原料のオキシ塩化リンとヒドロカルビルアミンとの割合は、通常オキシ塩化リン1モルに対して、炭化水素アミンを0.1〜5.0モル、好ましくは0.5〜4.0モル、さらに好ましくは1.0〜3.0モルの範囲で反応を行う。一般式(II)、及び(III)の化合物で、異なるヒドロカルビル基を有する化合物の場合、それに対応する複数のヒドロカルビルアミンを用いる。
また、反応温度は、通常、−20〜150℃、好ましくは10〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃の範囲で、無触媒または、トリエチルアミン、ピリジンなど塩基性触媒の存在下で行う。反応を行うにあたって、溶媒、例えば、キシレン、トルエン、THF、ジエチルエーテルなど使用してもよい。
一方、一般式(I)〜(III)でXが硫黄原子であるアミノリン化合物の製造方法については、Xが酸素原子の場合の原料であるオキシ塩化リンを硫化塩化リンに置き換え、それ以外は、Xが酸素原子の場合と同様の方法で製造することができる。
前記硼素化合物としては、酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼酸、硼酸無水物、硼酸エステルなどの硼素化剤が挙げられる。また、モリブデン化合物としては、酸化モリブデン、ハロゲン化モリブデン、モリブデン酸などが挙げられる。また、亜鉛化合物としては、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、亜鉛酸素酸塩、ハロゲン化亜鉛、カルボン酸亜鉛(オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、アルキルサリチル酸亜鉛など)などの有機亜鉛塩などが挙げられる。
例えば、上記一般式(I)〜(III)で表されるアミノリン化合物と硼素化合物、モリブデン化合物、又は亜鉛化合物とを、室温〜200℃、好ましくは40〜150℃で反応させればよい。
この場合、原料であるアミノリン化合物と各化合物との反応割合は、所望により任意に選定できるが、通常、硼素化合物及びモリブデン化合物の場合は、アミノリン化合物1モルに対して、硼素化合物及びモリブデン0.001〜0.03モル(好ましくは0.005〜0.02モル)、亜鉛の場合は、通常アミノリン化合物1モルに対して、亜鉛化合物0.1〜5.0モルが好ましく(より好ましくは0.5〜3.0モル)である。なお、反応においては、塩酸、硫酸、トリエチルアミンなどの触媒を用いてもよい。また、キシレン、トルエン、ヘキサンなど溶媒使用してもよい。
本発明にける、前記アミノリン化合物と硼素化合物との反応生成物の硼素含有量は、0.1〜5.0質量%のものが好ましく、0.5〜3.0質量%のものがより好ましい。また、アミノリン化合物とモリブデン化合物との反応生成物のモリブデン含有量は0.1〜10質量%のものが好ましく、0.5〜5.0質量%のものがより好ましい。さらにアミノリン化合物と亜鉛化合物と反応生成物の亜鉛含有量は0.5〜50質量%のものが好ましく、3〜30質量%のものがより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、上記潤滑油添加剤を配合してなる潤滑油組成物である。
本発明においては、「潤滑油」の語は、常温液状の潤滑油に限定されるものではなく、常温で半固体及び固体の形態を有する潤滑油(剤)や水を含む潤滑油(剤)をも含む概念として用いる。したがって、本発明の潤滑油組成物は、グリース(組成物)や固体潤滑剤(組成物)さらには、水溶性潤滑剤(組成物)などの含水潤滑油(剤)を含む概念である。
また、潤滑油添加剤が前記アミノリン化合物の誘導体である場合の配合量は、溶解性を良好に保つなどの観点から、潤滑油組成物全量基準で、硼素、モリブデン、又は亜鉛元素の濃度換算で10〜5000質量ppmとなる範囲であることが好ましく、50〜4800質量ppmであることがより好ましい。
潤滑基油としては、特に制限はなく、鉱油、または各種合成油を使用できる。また、水含有潤滑油(剤)では、さらに水を用いる。
鉱油としては、例えば、パラフィン基原油、中間基原油又はナフテン基原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、これらの留出油を常法に従って精製することによって得られる精製油、具体的には溶剤精製油、水添分解、水添精製油、溶剤脱ロウ処理油、水添脱ロウ処理油、白土処理油などが挙げられる。
また、合成油としては、例えば、低分子量ポリブテン、低分子量ポリプロピレン、1−デセンオリゴマーなど炭素数8〜14のα−オレフィンオリゴマー及びこれらの水素化物、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステルなど)、二塩基酸エステル、芳香族ポリカルボン酸エステル(例えば、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルなど)、リン酸エステルなどのエステル化合物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルフェニルエーテル、ターフェニルなどのアルキルアロマ系化合物、シリコーン油、フッ素系オイル(例えば、フルオロカーボン、パーフルオロポリエーテルなど)などが挙げられる。
これらの潤滑基油は一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の潤滑油組成物においては、その用途に応じて、例えば酸化防止剤、油性剤、極圧剤、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動性向上剤、防錆剤、金属不活性化剤および消泡剤などの中から、適宜一種又は二種以上選び配合することができる。また、潤滑油組成物がグリース組成物である場合は、通常増ちょう剤を配合する。これらの添加剤は、通常配合される範囲で適宜選択すればよい。
なお、用途によっては、添加剤を配合せず、潤滑油潤滑基油をそのまま潤滑油として使用してもよい。
そのような潤滑油としては、例えば、内燃機関、自動変速機、無段変速機、手動変速機、パワーステアリング、ショックアブソーバー、圧縮機、冷媒圧縮機、冷凍機、油圧ポンプ、及びクラッチプーリーなどに用いる潤滑油組成物が挙げられる。したがって、本願発明の潤滑油組成物は、特に、内燃機関油、自動変速機油、無段変速機油、手動変速機油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、圧縮機油、冷凍機油、油圧ポンプ油、クラッチプーリー用潤滑油、及びグリースなどとして有効である。
本願発明の摺動部材は、摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜である機械装置の摺動部材であって、該摺動面が前記潤滑油組物の存在下で摺動する低摩擦摺動部材である。つまり、少なくとも摺動面の一方の少なくとも一部がDLC膜である。
前記DLC膜は、摩擦低減効果を高める観点から、水素含有量が40原子%以下のものが好ましく、30原子%以下のものがより好ましく、20原子%以下のものが特に好ましい。
摺動面にDLC膜を有する摺動部材の相手部材については特に制限はなく、例えば、同じくDLC膜を有する摺動部材であってもよく、鉄や鉄合金部材、アルミニウム合金部材あるいは樹脂やゴム材などの有機材料であってもよい。
また、低摩擦摺動部材としては、特に制限はなく、摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン膜を有する全ての摺動部材が含まれる。
終減速機の摺動部材としては、例えば、歯車の歯面、歯車の軸受部、入力および出力軸のシール部等が挙げられる。
車両用ショックアブソーバーの摺動部材としては、例えば、ピストンロッドとブッシュ、ピストンロッドとシュー等が挙げられる。
電動パワーステアリングにおいては、ウォームホイールとウォームが挙げられる。
〔製造例1〕
窒素気流下、500mlの四つ口フラスコに、オキシ塩化リン18.4g(0.12mol)とトルエン50mlを入れた。10℃を超えないようにオレイルアミン26.7g(0.1mol)、トリエチルアミン12.1g(0.12mol)、トルエン20ml混合溶媒をゆっくり滴下し、室温で2時間、90℃で3時間反応した。
次いで、再び10℃以下に冷却して、n−プロピルアミン11.8g(0.2mol)、トリエチルアミン22.2g(0.22mol)、トルエン20ml混合溶媒を10℃超えないようにゆっくり滴下し、室温で2時間、90℃で5時間反応した。
反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、十分水洗した。その後硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し、N−,N’−ビス(n−プロピル)−N’’−オクタデセニルホスホリックトリアミド(化合物a)を得た。
〔製造例2〕
n−プロピルアミン11.8g(0.2mol)の代わりに、n−オクチルアミン25.9g(0.2mol)を用いた以外は、製造例1と同様に行い、N−,N’−ビス(n−オクチル)−N’’−オクタデセニルホスホリックトリアミド(化合物 b)を得た。
オレイルアミン26.7g(0.1mol)の代わりに、ステアリルアミン27.0g(0.1mol)を用いた以外は、製造例1と同様に行い、N−,N’−ビス(n−プロピル)−N’’−オクタデシルホスホリックトリアミド(化合物c)を得た。
〔製造例4〕
オレイルアミン26.7g(0.1mol)の代わりに、ステアリルアミン27.0g(0.1mol)を用いた以外は、製造例2と同様に行い、N−,N’−ビス(n−オクチル)−N’’−オクタデシルホスホリックトリアミド(化合物d)を得た。
〔製造例5〕
窒素気流下、500mlの四つ口フラスコに、オキシ塩化リン18.4g(0.12mol)とトルエン50mlを入れた。10℃を超えないようにオレイルアミン80.1g(0.3mol)、トリエチルアミン36.3g(0.36mol)、トルエン60ml混合溶媒をゆっくり滴下し、室温で2時間、90℃で5時間反応した。
反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、十分水洗した。硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し、N−,N’,N’’−トリスオクタデセニルホスホリックトリアミド(化合物e)を得た。
オレイルアミン80.1g(0.3mol)の代わりに、n−プロピルアミン17.7g(0.3mol)を用いた以外は、製造例5と同様に行い、N−,N’,N’’−トリス(n−プロピル)ホスホリックトリアミド(化合物f)を得た。
〔製造例7〕
オレイルアミン80.1g(0.3mol)のかわりに、n−オクチルアミン38.9g(0.3mol)を用いた以外は、製造例5と同様に行い、N−,N’,N’’−トリスオクチルホスホリックトリアミド(化合物g)を得た。
〔製造例8〕
窒素気流下、500mlの四つ口フラスコに、オキシ塩化リン18.4g(0.12mol)とトルエン50mlを入れた。10℃を超えないように、n−プロピルアミン11.8g(0.2mol)、トリエチルアミン22.2g(0.22mol)、トルエン60ml混合溶媒をゆっくり滴下し、室温で2時間、90℃で5時間反応した。その後反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、十分水洗した。硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し、ビス−N−,N’−(n−プロピル)ホスホリックジアミド(化合物h)を得た。
n−プロピルアミンのかわりに、オクチルアミンを用いた以外は、製造例8と同様に行い、ビス(ビス−N,N’−オクチル)ホスホリックジアミ(化合物i)を得た。
〔製造例10〕
n−プロピルアミンの代わりに、オレイルアミンを用いた以外は、製造例8と同様に行い、ビス(ビス−N,N’−オクタデセニル)ホスホリックジアミド(化合物j)を得た。
〔製造例11〕
窒素気流下、500mlの四つ口フラスコに、オキシ塩化リン18.4g(0.12mol)とトルエン50mlを入れた。10℃を超えないように、オレイルアミン26.7g(0.1mol)、トリエチルアミン12.1g(0.12mol)、トルエン60ml混合溶媒をゆっくり滴下し、室温で2時間、90℃で5時間反応した。
反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、十分水洗した。硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを留去し、モノ−N−(オクチル)ホスホリックアミド(化合物k)を得た。
〔製造例12〕
500mlの四つ口フラスコに、製造例8で得たビス−N−,N’−(n−プロピル)ホスホリックジアミド72.1g(0.4mol)、酸化亜鉛16.2g(0.2mol)、トルエン50ml、水2gを入れ、70℃で3時間反応した。室温まで冷却し、吸引ろ過した後、ろ液を硫酸マグネシウムで乾燥後、トルエンを減圧留去して、亜鉛反応生成物(化合物l)を得た。
200mlのフラスコに、製造例1で得たN−,N’−ビス(n−プロピル)− N’’−オクタデセニルホスホリックトリアミド21.5g(0.05mol)、硼酸1.55g(0.025mol)を入れ、窒素気流下、120℃で1時間反応した。次いで、150℃に昇温して3時間反応し、次いで、水を減圧留去して、硼素反応生成物(化合物m)を得た。生成物の硼素含有量は1.6重量%であった。
〔製造例14〕
200mlのフラスコに、製造例1で得たN−,N’−ビス(n−プロピル)− N’’−オクタデセニルホスホリックトリアミド21.5g(0.05mol)、三酸化モリブデン0.9g(0.00625mol)、水1.8g(0.1mol)を入れ、窒素気流下、80℃で1時間反応した。次いで、100℃に昇温して2時間反応し、次いで、水を減圧留去し、モリブデン反応生成物(化合物n)を得た。生成物のモリブデン含有量は3.5重量%であった。
100ニュートラル留分の鉱油に製造例1〜14で得られたアミノリン化合物(化合物a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l,m及びn)1質量%を配合した潤滑油組成物A〜Nを調製した。また、無添加の100ニュートラル留分の鉱油を潤滑油組成物X,100ニュートラル留分の鉱油にオレイン酸アミド、グリセロールモノオレエート1質量%を配合した潤滑油組成物Y,Zを調製した。
潤滑油組成物A〜Nを実施例1〜14、潤滑油組成物X,Y,Zを比較例1〜3の試料として用い、これらの潤滑油組成物の性能を、下記の〔摩擦実験I〕により評価した。その結果を第1表に示す。
実施例15〜28
実施例1〜14で調製した潤滑油組成物A〜Nを実施例15〜28、潤滑油組成物X,Y,Zを比較例4〜6の試料として用い、これらの潤滑油組成物の性能を、下記の〔摩擦実験II〕により評価した。その結果を第2表に示す。
実施例1〜14で調製した潤滑油組成物A〜Nを実施例29〜42、潤滑油組成物X,Y,Zを比較例7〜9の試料として用い、これらの潤滑油組成物の性能を、下記の〔摩擦実験III〕により評価した。その結果を第3表に示す。
実施例43〜56
実施例1〜14で調製した潤滑油組成物A〜Nを実施例43〜56、潤滑油組成物X,Y,Zを比較例10〜12の試料として用い、これらの潤滑油組成物の性能を、下記の〔摩擦実験IV〕により評価した。その結果を第4表に示す。
〔摩擦実験I〕
下記の試験装置及び試験条件で、摩擦係数及び試験板の摩耗痕幅を測定した。
試験装置
試験機 :往復動摩擦試験機(キャメロンプリント社製)
試験板 :試験板SUJ−2
試験球 :SUJ−2(φ10mm)
試験条件
油温 :100℃
振幅 :15mm
周波数 :5Hz
荷重 :50N
試験板「SUJ−2」を「HDLC(I)」(水素含有量36原子%DLC)
に置換えた以外は摩擦実験Iと同じ方法で,摩擦係数及び試験板の摩耗痕幅を測定した。
〔摩擦実験III〕
試験板「SUJ−2」を「HDLC(II)」(水素含有量20原子%DLC)に置き換えた以外は摩擦実験Iと同じ方法で、摩擦係数及び試験板の摩耗痕幅を測定した。
〔摩擦実験IV〕
試験板「SUJ−2」を「HADLC(III)」(水素フリーDLC)に置き換えた以外は摩擦実験Iと同じ方法で、摩擦係数及び試験板の摩耗痕幅を測定した。
(2)第2表より、実施例15〜28の本願発明の潤滑油添加剤a〜nを配合した潤滑油組成物A〜Nは、いずれも摩擦実験II(摺動面が水素含有量36原子%DLC−鋼)における摩擦係数が0.106以下、摩耗痕幅0.30mm以下であり、良好な摩擦低減効果と耐摩耗性能を有することが分る。これに対して、従来の摩擦低減剤を配合した潤滑油組成物Y,Z(比較例5,6)は、摩擦係数が0.11以上、摩耗痕幅0.30mm以上であって、潤滑油添加剤を配合しない比較例4のX(それぞれ0.132と0.32mm)と比較して添加効果が小さい。
(3)第3表より、実施例29〜42の本願発明の潤滑油添加剤a〜nを配合した潤滑油組成物A〜Nは、いずれも摩擦実験III(摺動面が水素含有量20原子%DLC−鋼)における摩擦係数が0.106以下、摩耗痕幅0.30mm以下であり、良好な摩擦低減効果と耐摩耗性能を有することが分る。これに対して、従来の摩擦低減剤を配合した潤滑油組成物Y,Z(比較例8,9)は、摩擦係数が0.116以上、摩耗痕幅0.48mm以上であって、潤滑油添加剤を配合しない比較例7のX(それぞれ0.127と0.50mm)と比較して添加効果が小さい。
(4)第4表より、実施例43〜56の本願発明の潤滑油添加剤a〜nを配合した潤滑油組成物A〜Nは、いずれも摩擦実験IV(摺動面が水素フリーDLC−鋼)における摩擦係数が0.079以下、摩耗痕幅0.60mm以下であり、良好な摩擦低減効果と耐摩耗性能を有することが分る。これに対して、従来の摩擦低減剤を配合した潤滑油組成物Y,Z(比較例11,12)は、摩擦係数が0.087以上、摩耗痕幅0.66mm以上であって、潤滑油添加剤を配合しない比較例10のX(それぞれ0.104と0.69mm)と比較して添加効果が小さい。
Claims (13)
- 前記一般式(II)のR2とR3の一方が炭素数11〜30のアルキル基もしくはアルケニル基であり、他方が炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数2〜10のアルケニル基である請求項1に記載の潤滑油添加剤。
- 前記一般式(III)のR4〜R6のうち、1または2が炭素数11〜30のアルキル基もしくはアルケニル基であり、それ以外が炭素数1〜10のアルキル基もしくは炭素数2〜10のアルケニル基である請求項1又は2に記載の潤滑油添加剤。
- 前記一般式(I)〜(III)で表されるアミノリン化合物の誘導体が、該アミノリン化合物と硼素化合物、モリブデン化合物、又は亜鉛化合物との反応生成物である請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
- 摩擦低減剤もしくは耐摩耗剤である請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油添加剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油添加剤を配合してなる潤滑油組成物。
- 潤滑油添加剤の配合量が、潤滑油組成物全量基準で、リン濃度換算で50〜1000質量ppmである請求項6に記載の潤滑油組成物。
- 潤滑油添加剤が請求項4に記載のアミノリン化合物の誘導体である場合の潤滑油添加剤の配合量が、潤滑油組成物全量基準で、硼素、モリブデン又は亜鉛元素の濃度換算で10〜5000質量ppmである請求項6又は7に記載の潤滑油組成物。
- 内燃機関油、自動変速機油、無段変速機油、手動変速機油、パワーステアリング油、ショックアブソーバー油、圧縮機油、冷凍機油、油圧ポンプ油、クラッチプーリー用潤滑油もしくはグリースである請求項6〜8のいずれかに記載の潤滑油組成物。
- 摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン膜である摺動部材を有する機械装置の潤滑に用いる請求項6〜8のいずれかに記載の潤滑油組成物。
- ダイヤモンドライクカーボン膜が水素含有量40原子%以下のダイヤモンドライクカーボンである請求項10に記載の潤滑油組成物。
- 機械装置が、内燃機関、自動変速機、無段変速機、手動変速機、パワーステアリング、ショックアブソーバー、圧縮機、冷媒圧縮機、冷凍機、油圧ポンプもしくはクラッチプーリーである請求項10又は11に記載の潤滑油組成物。
- 摺動面の少なくとも一部がダイヤモンドライクカーボン膜である機械装置の摺動部材であって、該摺動面が請求項6〜8のいずれかに記載の潤滑油組成物の存在下で摺動する低摩擦摺動部材。
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