JP2013087197A - 摺動機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分子内に、N及び/又はO原子を有し、S原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下である有機モリブデン化合物を含む潤滑油と、少なくとも一方の摺動面に、粒平均直径0.1〜10μm、凹凸高さ平均5〜400nmの粒状凹凸が密集して形成された非晶質炭素膜、あるいは直径0.1〜10μm、深さ0.1〜2μmの凹みを1000個/mm2以上有する非晶質炭素膜、または少なくとも最表層がビッカース硬度50〜1000である非晶質炭素膜が形成されている摺動材料とが用いられている摺動機構である。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1にはエーテル系無灰摩擦低減剤を含む低摩擦摺動材料用潤滑油組成物が開示されている。特許文献2、3には、DLC部材と鉄基部材との摺動面やDLC部材とアルミニウム合金部材との摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を用いる技術が開示されている。特許文献4には、DLCコーティング摺動部材を有する低摩擦摺動機構において、含酸素有機化合物や脂肪族アミン系化合物を含有する低摩擦剤組成物を用いる技術が開示されている。
例えば、DLC材料に、MoDTCを配合した潤滑油組成物を用いた場合、DLC材料が著しく摩耗することがある。
このことは、低摩擦摺動材料用の潤滑油においては、優れた低摩擦性と耐摩耗性とを共に具備することが困難であることを示している。しかも、これらを具備することが不可欠であることは論ずるまでもない。
したがって、潤滑油に求められる各種性能を維持することができ、かつ低摩擦摺動材料用潤滑油として用いた際に優れた低摩擦性を示すとともに優れた耐摩耗性をも有する潤滑油組成物が不可欠のものとして求められている。
1.2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物からなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
非晶質炭素膜の表面には、粒平均直径0.1〜10μm、凹凸高さ平均5〜400nmの粒状凹凸が密集して形成されている摺動機構、
2.2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物からなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
非晶質炭素膜の表面が、直径0.1〜10μm、深さ0.1〜2μmの凹みを1000個/mm2以上有している摺動機構、
3.非晶質炭素膜が、表面に粒状凹凸が密集した下地層の上に形成されている上記1または2に記載の摺動機構、
4.非晶質炭素膜が、水素を含有し、かつX線散乱スペクトルにおいてグラファイト結晶ピークを有している上記1〜3のいずれかに記載の摺動機構、
5.2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物からなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
少なくとも最表層の非晶質炭素膜が、ビッカース硬度50〜1000の非晶質炭素膜である摺動機構、
6.非晶質炭素膜が、2層以上の複層構造であり、表層ほど膜硬度が低い上記5に記載の摺動機構、
7.潤滑油組成物が、有機モリブデン化合物の窒素含有量(N)とモリブデン含有量(Mo)の質量比(N/Mo)が0.05以上1.0以下の潤滑油組成物である上記1〜6のいずれかに記載の摺動機構、
8.潤滑油組成物が、組成物全量基準で、有機モリブデン化合物に由来する硫黄含有量が、100質量ppm以下である潤滑油組成物である上記1〜7のいずれかに記載の摺動機構、
9.有機モリブデン化合物が、(a)モリブデン化合物とアミン化合物との反応生成物、(b)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、アミノ基及び/又はアルコール基含有有機化合物とモリブデン化合物の反応生成物、及び該生成物を硫化して得られる生成物、及び(c)酸性モリブデン化合物又はその塩と、コハク酸イミドもしくはカルボン酸アミドの反応生成物、及び該生成物を硫化して得られる生成物、の中から選ばれた1種又は2種以上の化合物である上記1〜8のいずれかに記載の摺動機構、
10.潤滑油組成物が、さらに、有機ジチオリン酸亜鉛を含む上記1〜8のいずれかに記載の摺動機構、
11.有機ジチオリン酸亜鉛を構成する炭化水素基が、2級アルキル基を含むものである上記10に記載の摺動機構、
12.潤滑油組成物が、組成物全量基準で、モリブデン含有量が0.02〜0.2質量%の潤滑油組成物である上記1〜11のいずれかに記載の摺動機構、
を提供するものである。
はじめに潤滑油組成物について説明する。潤滑油組成物は、以下に記載する潤滑油基油と有機モリブデン化合物を含有する。
ここで、鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製等の1つ以上の処理を行って精製した鉱油、あるいはワックスやGTL WAXを異性化することによって製造される鉱油等が挙げられる。
また、合成油としては、例えば、ポリブテン、ポリオレフィン[α−オレフィン単独重合体や共重合体(例えばエチレン−α−オレフィン共重合体)など]、各種のエステル(例えば、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステルなど)、各種のエーテル(例えば、ポリフェニルエーテルなど)、ポリグリコール、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなどが挙げられる。これらの合成油のうち、特にポリα−オレフィンが好ましい。
基油の粘度については特に制限はなく、潤滑油組成物の用途に応じて異なるが、通常100℃の動粘度が2〜30mm2/s、好ましくは2.5〜15mm2/s、より好ましくは3.5〜10mm2/sである。100℃における動粘度が2mm2/s以上であれば蒸発損失が少なく、一方30mm2/s以下であれば、粘性抵抗による動力損失があまり大きくなることがなく、燃費改善効果が得られる。
また、基油としては、環分析による%CAが3.0以下のものが好ましく用いられる。ここで、環分析による%CAとは、環分析n−d−M法にて算出した芳香族分の割合(百分率)を示す。%CAが、3.0以下であれば、良好な酸化安定性を示す。より好ましい%CAは1.0以下、さらには、0.5以下である。
さらに、基油の粘度指数は、70以上が好ましく、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上である。この粘度指数が70以上の基油は、温度の変化による粘度変化が小さく、安定した潤滑特性が得られる。
このような化合物を含む潤滑油組成物は、低摩擦摺動材料に対して優れた低摩擦性と耐摩耗性とを共に付与する効果がある。
有機モリブデン化合物の硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%を越える有機モリブデン化合物を用いると、低摩擦摺動材料に対する耐摩耗性が悪化する。従って、好ましい有機モリブデン化合物の硫黄含有量は、0.3質量%以下である。
また、本発明の有機モリブデン化合物は、窒素含有量(N)とモリブデン含有量(Mo)の質量比(N/Mo)が0.05以上1.0以下であることが好ましい。これによって、さらに優れた低摩擦性を得ることができる。窒素含有量(N)とモリブデン含有量(Mo)の質量比(N/Mo)が0.05未満であると化合物の安定性が劣ることがあり、1.0を越えると摩擦低減効果が低下することがある。従って、窒素含有量(N)とモリブデン含有量(Mo)の質量比(N/Mo)0.1以上0.8以下であることがより好ましい。
6価のモリブデン化合物と反応させるアミン化合物としては特に制限されないが、具体的には、モノアミン、ジアミン、ポリアミン及びアルカノールアミンが挙げられる。より具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジトリデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジペンタデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジヘプタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、及びプロピルブチルアミン等の炭素数1〜30のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルキルアミン;エテニルアミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン、オクテニルアミン、及びオレイルアミン等の炭素数2〜30のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルケニルアミン;メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヘプタノールアミン、オクタノールアミン、ノナノールアミン、メタノールエタノールアミン、メタノールプロパノールアミン、メタノールブタノールアミン、エタノールプロパノールアミン、エタノールブタノールアミン、及びプロパノールブタノールアミン等の炭素数1〜30のアルカノール基(これらのアルカノール基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアルカノールアミン;メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、及びブチレンジアミン等の炭素数1〜30のアルキレン基を有するアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミン、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、オレイルジエタノールアミン、オレイルプロピレンジアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン等の上記モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有する化合物やイミダゾリン等の複素環化合物;これらの化合物のアルキレンオキシド付加物;及びこれらの混合物等が例示できる。これらのアミン化合物の中でも、第1級アミン、第2級アミン及びアルカノールアミンが好ましい。
前記6価のモリブデン化合物とアミン化合物との反応比は、アミン化合物1モルに対し、モリブデン化合物のMo原子のモル比が、0.7〜5であることが好ましく、0.8〜4であることがより好ましく、1〜2.5であることがさらに好ましい。反応方法については特に制限はなく、従来公知の方法、例えば特開2003−252887号公報に記載されている方法を採用することができる。
特許4109428に開示されている反応生成物は、脂肪油、モノアルキル化アルキレンジアミン及びモリブデン源の反応生成物を含んでおり、第1のステップとして、脂肪油とモノ置換アルキレンジアミンを高温で反応させてアミノアミド/グリセリド混合物を製造し、第2のステップとして、モリブデン源と反応させる方法で製造することが好ましい。
脂肪油としては脂肪酸のグリセリルエステル、トリアシルグリセロールまたはトリグリセリドが挙げられる。ジアミンとしては、脂肪油と反応することが可能で、中間体のアミノアミド/グリセリド混合物がモリブデン源と反応することが可能であるモノアルキル化ジアミンが用いられる。モリブデン源は、アンモニウムモリブデート、ナトリウムモリブデート、酸化モリブデン及びこれらの混合物が挙げられ、特に好ましいモリブデン源は三酸化モリブデンである。
さらに、これらの反応生成物は、特開2004−2866号公報に記載された製造方法により、硫化させてもよい。
また、本発明の潤滑油組成物における、上記有機モリブデン化合物の配合量については、組成物全量基準とし、モリブデン換算で、0.02〜0.2質量%であることが好ましい。0.02質量%以上であれば、低摩擦性と良好な耐摩耗性を得ることができる。より好ましい配合量は、モリブデン換算で、0.025質量%以上、さらには0.03質量%以上である。
上記有機モリブデン化合物と有機ジチオリン酸亜鉛が共存することより、低摩擦摺動材料に対する低摩擦性と耐摩耗性とをさらに向上させることができる。
前記有機ジチオリン酸亜鉛としては、一般式(I)
一般式(I)中のR1、R2、R3及びR4は、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、及び炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
本発明においては、炭化水素基であるR1、R2、R3及びR4が、第2級のアルキル基を含むものが好ましい。
例えば、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
粘度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.5〜15質量%程度であり、好ましくは1〜10質量%である。
流動点降下剤としては、例えば、重量平均分子量が5000〜50,000程度のポリメタクリレートなどが挙げられる。
流動点降下剤の配合量は、配合効果の点から、潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜2質量%程度であり、好ましくは0.1〜1質量%である。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤を用いることができるが、例えば、一般式(II)で表されるモノタイプのコハク酸イミド化合物、又は一般式(III)で表されるビスタイプのコハク酸イミド化合物が挙げられる。
また、R12、R15及びR16は、それぞれ、炭素数2〜5のアルキレン基で、R15及びR16は同一でも異なっていてもよく、rは1〜10の整数を示し、sは0又は1〜10の整数を示す。
上記R11、R13及びR14の数平均分子量が500未満であると、基油への溶解性が低下し、4,000を超えると、清浄性が低下し、目的の性能が得られないおそれがある。
また、上記rは、好ましくは2〜5、より好ましくは3〜4である。rが1未満であると、清浄性が悪化し、rが11以上であると、基油に対する溶解性が悪くなる。
アルケニル基としては、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基、エチレン−プロピレン共重合体を挙げることができ、アルキル基としてはこれらを水添したものである。好適なアルケニル基の代表例としては、ポリブテニル基又はポリイソブテニル基が挙げられる。ポリブテニル基は、1−ブテンとイソブテンの混合物あるいは高純度のイソブテンを重合させたものとして得られる。また、好適なアルキル基の代表例としては、ポリブテニル基又はポリイソブテニル基を水添したものである。
上記のモノタイプのコハク酸イミド化合物及びビスタイプのコハク酸イミド化合物は、アルケニルコハク酸無水物若しくはアルキルコハク酸無水物とポリアミンとの反応比率を変えることによって製造することができる。
上記ポリオレフィンを形成するオレフィン単量体としては、炭素数2〜8のα−オレフィンの1種又は2種以上を混合して用いることができるが、イソブテンとブテン−1の混合物を好適に用いることができる。
例えば、上記のポリオレフィンを無水マレイン酸と反応させてアルケニルコハク酸無水物とした後、更に上記のポリアミンと酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物、ホウ酸エステル、ホウ素酸のアンモニウム塩等のホウ素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化させることによって得られる。
このホウ素誘導体中のホウ素含有量には、特に制限はないが、ホウ素として、通常、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
アルカリ土類金属フェネートとしては、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が特に好ましく用いられる。
アルカリ土類金属サリシレートとしては、アルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩及び/又はカルシウム塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が好ましく用いられる。
また、アルカリ土類金属スルフォネート、アルカリ土類金属フェネート及びアルカリ土類金属サリシレートとしては、前記のアルキル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノール、アルキルフェノールサルファイド、アルキルフェノールのマンニッヒ反応物、アルキルサリチル酸等を直接、マグネシウム及び/又はカルシウムのアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と反応させたり、又は一度ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩としてからアルカリ土類金属塩と置換させること等により得られる中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートだけでなく、中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカリ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の存在下で加熱することにより得られる塩基性アルカリ土類金属スルフォネート、塩基性アルカリ土類金属フェネート及び塩基性アルカリ土類金属サリシレートや、炭酸ガスの存在下で中性アルカリ土類金属スルフォネート、中性アルカリ土類金属フェネート及び中性アルカリ土類金属サリシレートをアルカリ土類金属の炭酸塩又はホウ酸塩を反応させることにより得られる過塩基性アルカリ土類金属スルフォネート、過塩基性アルカリ土類金属フェネート及び過塩基性アルカリ土類金属サリシレートも含まれる。
本発明において、金属系清浄剤の全塩基価は、通常、10〜500mgKOH/g、好ましくは15〜450mgKOH/gであり、これらの中から選ばれる1種又は2種以上併用することができる。なお、ここでいう全塩基価とは、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される電位差滴定法(塩基価・過塩素酸法)による全塩基価を意味する。
金属系清浄剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%である。配合量が0.01質量%未満であると、その効果が発揮されにくく、また20質量%を超えてもその添加に見合った効果は得られない。また、金属系清浄剤は、上記の規定量を含有する限り、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール;2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール;2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。これらの中で、特にビスフェノール系及びエステル基含有フェノール系のものが好適である。
酸化防止剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
金属不活性剤としてベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。金属不活性剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。
界面活性剤又は抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤又は抗乳化剤の配合量は、潤滑油組成物全量基準で、0.01〜3質量%、好ましくは0.01〜1質量%である。
消泡剤としては、シリコーン油、フルオロシリコーン油及びフルオロアルキルエーテル等が挙げられ、消泡効果及び経済性のバランスなどの点から、潤滑油組成物全量基準で、0.005〜0.5質量、好ましくは0.01〜0.2質量%である。
次に、摺動材料について説明する。摺動材料は、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に以下に記載する第1〜第3のいずれかの非晶質炭素膜が形成されている。
(1)第1の非晶質炭素膜
第1の非晶質炭素膜は、表面に、粒平均直径が0.1〜10μm、凹凸高さ(凸部の頂上と凹部の底との高低差)平均が5〜400nmの粒状凹凸が連続的に形成されて密集している非晶質炭素膜である。
第2の非晶質炭素膜は、表面に、直径0.1〜10μm、深さ0.1〜2μmの凹みを1000個/mm2以上有している非晶質炭素膜である。
第3の非晶質炭素膜は、少なくとも最表層がビッカース硬度50〜1000の非晶質炭素膜である。
次に、上記した各非晶質炭素膜の形成方法について説明する。
第1の非晶質炭素膜の形成には、ドロップレット(マクロパーティクル)がないプラズマCVD法、例えば、陰極PIG(Penninng Ionization Gauge)プラズマCVD法が好ましく用いられ、高密度プラズマ雰囲気下で形成することにより、グラファイト結晶のピークを有する非晶質炭素膜を得ることができる。
図4において、40はチャンバー、41は基材、42はホルダー、43はプラズマ源、44は電極、45はコイル、46はカソード、47はガス導入口、48はガス排出口、49はバイアス電源である。そして、50はチャンバー40内に形成されたプラズマである。
上記装置を用いて、以下のようにして非晶質炭素膜を形成することができる。
最初に、基材41をホルダー42に支持させてチャンバー40内に配置する。次いで、ガス導入口47よりArガスを注入すると共に、プラズマ源43、電極44、コイル45を用いて、プラズマ50を発生、安定させる。プラズマ中にて分解されたArガスをバイアス電源49にて基材41へ引きつけ、表面エッチングを行う。その後、金属よりなるカソード46、Arガスを用いて下地層である金属層を形成する。さらに、高密度プラズマ雰囲気下でガス導入口47より注入された原料ガスを分解、反応させることにより、非晶質炭素膜中にグラファイト結晶を生成させる。所定の厚さの非晶質炭素膜となるまでそのまま維持する。このとき、グラファイト結晶の結晶径は、15〜100nmとなるように制御する。
通常、結晶材料のX線回折スペクトルには、個々の格子面に対応した鋭い回折ピークが複数本存在し、これらを照合して結晶構造が確定されるのが一般的である。これに対し、上記の非晶質炭素膜の場合、非晶質に特有のハローパターンと呼ばれるブロードな散乱ピークに混じって、グラファイト結晶の回折ピークが存在する。
測定条件
X線源:放射光源
X線エネルギー:15keV
入射スリット幅:0.1mm
検出器:シンチレーションカウンタ(前段にソーラースリットを配置)
散乱角2θの測定範囲:5〜100°
測定ステップ:0.1°
積算時間:30秒/ステップ
なお、非晶質炭素膜試料は、基板から剥離し、ガラス細管(キャピラリ)に充填して測定した。
この場合でも、分析化学で広く用いられている微分スペクトルを用いることで、主な結晶ピークの存在を確認することができる。図5において用いたのと同じ膜試料についての微分スペクトルを図6に示す。
D=(0.9×λ)/(β×cosθ) ・・・式1
但し、D:結晶径(nm)
λ:X線の波長(nm)
β:結晶ピークの半価幅(ラジアン)
θ:結晶ピークの位置
第1の非晶質炭素膜における粒状凹凸は、平滑状態に形成された非晶質炭素膜を表面処理することにより形成させることができるが、粒状の凹凸が密集した下地層を設けた後に非晶質炭素膜を成膜することによっても形成することができる。この方法の場合、前記した表面処理工程が不要となるため、低コスト化を図ることができる。またプロセス条件により容易に凹凸の大きさを制御できるため好ましい。
第2の非晶質炭素膜の形成には、成膜時に多数のドロップレットが形成される例えばアーク蒸着法が好ましく用いられる。成膜後に表面をラップしてドロップレットを除去することにより、その跡が凹みとして形成される。
第3の非晶質炭素膜の形成には、例えば陰極PIGプラズマCVD法が好ましく用いられる。非晶質炭素膜の硬度は非晶質炭素膜を形成する際のバイアス電圧を調整することによって制御される。即ち、低硬度の非晶質炭素膜を形成する際にはバイアス電圧を低く設定し、高硬度の非晶質炭素膜を形成する際にはバイアス電圧を高く設定する。
1.基材
基材としては、金属系またはセラミックス系の基材を用いることができ、具体的には、例えば、鉄、熱処理鋼、超硬合金、ステンレス、ニッケル、鋼、アルミニウム合金、チタン合金、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素などを挙げることができる。
非晶質炭素膜は、一般に、鉄基材料やアルミニウム合金等に密着力よく形成することが困難であるため、前記のように密着層としての中間層を設ける。中間層としては、具体的には、例えば、Ti、Cr、W、Siより選択されたいずれかの金属の金属膜、これらの金属の炭化膜、窒化膜やこれらを複層形成した構造を挙げることができる。中間層の総厚さは0.1〜2.0μmであることが望ましい。即ち、0.1μm未満である場合には、中間層としての機能が不十分となる。一方、2.0μmを超える場合には、中間層そのものが低硬度であるため、耐衝撃性や密着性が低下する恐れがある。また、必要に応じて基材の表面に下地層が設けられる。下地層としては、具体的には、例えば、Ti、Cr、W、Siより選択された金属、金属窒化物、金属炭化物製の膜が挙げられる。
他方の摺動材料には、例えば、非晶質炭素材料、鉄基材料あるいはアルミニウム合金材料などが用いられる。つまり、2つの摺動面がともに非晶質炭素材料、一方の摺動面が非晶質炭素材料で他方の摺動面が鉄基材料、一方の摺動面が非晶質炭素材料で他方の摺動面がアルミニウム合金材料である場合が例示できる。
摺動材料として、以下の構成の摺動材料を用意した。
(1)基材
基材として、φ24mm×7.9mmのFCD700(鋳鉄)を用いた。成膜前処理として、アルカリ洗浄液にて10分間超音波線状した後、120℃にて充分乾燥させた。乾燥後、図4に示すPIGプラズマCVD装置にセットし、2×10−3Paまで真空引きした。
次に、基材1の表面上に、スパッタリング法によりTi金属からなる下地層を形成した。具体的には、Tiカソード46およびArガス80ccを用い、圧力0.4Pa、DC電流6kW、バイアス電圧50Vにて、厚さ0.5μmのTi金属層を形成した。これにより、粒平均直径0.5μ、凹凸高さ平均0.2μm(200nm)の粒が密集した表面の下地層が形成された。
次に、下地層上に中間層を形成した。具体的には、テトラメチルシラン60ccおよびアセチレンガス150ccをガス導入口41より導入し、圧力0.4Pa、放電電流10A、コイル電流8A、バイアス電圧550Vにて、厚さ0.5μmのシリコーン炭素混合非晶質層からなる中間層を形成した。
さらに、中間層上に陰極PIGプラズマCVD法を用いて非晶質炭素膜を形成した。具体的には、アセチレンガス140ccを用い、放電電流20A、コイル電流8A、バイアス電圧700Vにて厚さ2μmのグラファイト結晶を有する非晶質炭素膜を形成した。これにより、粒平均直径1.0μm、凹凸高さ平均20nmの粒が密集した表面を有する非晶質炭素膜を得た(総膜厚3μm)。
潤滑油として、以下の組成の潤滑油を用意した。
(1)基油(組成比率:残余):水素化精製基油、40℃動粘度21mm2/s、100℃動粘度4.5mm2/s、粘度指数127、%CA0.0、硫黄含有量20質量ppm未満、NOACK蒸発量13.3質量%
(2)有機モリブデン化合物(組成比率:0.20質量%):商品名「SAKURA−LUBE S−710」(ADEKA Corporation製)、モリブデン含有量;10質量%、窒素含有量;1.3質量%、硫黄含有量0.02質量%
(3)ジアルキルジチオリン酸亜鉛(組成比率:0.92質量%):Zn含有量;9.0質量%、リン含有量;8.2質量%、硫黄含有量;17.1質量%、アルキル基;第2級ブチル基と第2級ヘキシル基の混合物
(4)粘度指数向上剤(組成比率:5.00質量%):ポリメタクリレート、質量平均分子量230,000
(5)流動点降下剤(組成比率:0.10質量%):ポリアルキルメタクリレート、質量平均分子量6,000
(6)アミン系酸化防止剤(組成比率:0.60質量%):ジアルキルジフェニルアミン、窒素含有量3.4質量%
(7)フェノール系酸化防止剤(組成比率:0.30質量%):オクタデシル 3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(8)金属系清浄剤A(組成比率:1.50質量%):過塩基性カルシウムサリシレート、塩基価(過塩素酸法)350mgKOH/g、カルシウム含有量12.1質量%、硫黄量0.3質量%
(9)金属系清浄剤B(組成比率:0.60質量%):中性カルシウムスルフォネート、塩基価(過塩素酸法)17mgKOH/g、カルシウム含有量2.4質量%、硫黄含有量2.8質量%
(10)ポリブテニルコハク酸ビスイミド(組成比率:3.00質量%):ポリブテニル基の数平均分子量2000、塩基価(過塩素酸法)11.9mgKOH/g、窒素含有量0.99質量%、硫黄量0.18質量%
(11)ポリブテニルコハク酸モノイミドホウ素化物(組成比率:1.50質量%):ポリブテニル基の数平均分子量1000、塩基価(過塩素酸法)25mgKOH/g、窒素含有量1.23質量%、ホウ素含有量1.3質量%
(12)その他の添加剤(組成比率:0.50質量%):防錆剤、界面活性剤および消泡剤
(1)摩擦係数の測定
往復動摩擦試験機(オプティマール社製SRV往復動摩擦試験機)を用いて、以下の方法(SRV試験)により摩擦係数を測定した。具体的には、非晶質炭素膜をコーティングしたディスク(φ24mm×7.9mm)を用い、その上に上記の潤滑油を数滴滴下する。SCM420製のシリンダー(φ15mm×22mm)を上記ディスク上部にセットした状態で、荷重400N、振幅1.5mm、周波数50Hz、温度100℃の条件で摩擦係数を求めた。
摩耗量は、摺動部分を触針式の粗さ計で段差を計測することにより測定した。
比較例1として、粒平均直径0.05μm、凹凸高さ平均8nmの表面がより平滑な非晶質炭素膜を形成したこと以外は実施例1と同様の方法で摺動材料を作製し、摺動特性を評価した。
実施例1および比較例1の測定結果を表1に示す。
実施例1で用いた基材と同様の基材上に、アーク蒸着法を用いて水素を含有しない非晶質炭素膜を形成した。成膜後、形成された非晶質炭素膜の表面をラップして、非晶質炭素膜の表面に形成されたドロップレットを除去した。これにより、平均直径1μm、深さ0.1μm以上の凹みが5000個/mm2以上形成された表面を有する非晶質炭素膜を得た(総膜厚1μm)。
実施例1で用いた潤滑油と同じ組成の潤滑油を用いた。
(1)摩擦係数および摩耗量の測定
実施例1と同じ方法を用いて、摩擦係数および摩耗量を測定した。
比較例2として、偏向フィルターを介してアーク蒸着を行うフィルタードアーク蒸着装置を用いて、ドロップレットが非常に少ない非晶質炭素膜(総膜厚1μm)を形成したこと以外は実施例2と同様に摺動材料を作製した。ラップ後の表面に形成された平均直径1μm、深さ0.1μm以上の凹みは、30個/mm2であった。
実施例2および比較例2の測定結果を表2に示す。
1.摺動材料
(1)基材
基材として、面粗度が粗い、具体的には表面粗度Rz=6.0μmのSCM415(クロムモリブデン鋼、ロックウェル硬さHRC:58−6)を用いた(サイズ:φ30×t3mm)。成膜前処理として、アルカリ洗浄液にて10分間超音波洗浄した後、120℃にて充分乾燥させた。乾燥後、図4に示すPIGプラズマCVD装置にセットし、2×10−3Paまで真空引きした。
次に、スパッタリング法を用いて基材上に中間層として厚さ0.5μmのTi金属層を形成した。具体的には、Tiカソード46およびArガス80ccを用い、圧力0.4Pa、DC電流6kW、バイアス電圧50Vにて、厚さ0.5μmのTi金属層を形成した。
さらに、中間層上に陰極PIGプラズマCVD法を用いて、2層からなる非晶質炭素膜を形成した。具体的には、先ず、アセチレンガス150ccを用い、放電電流30A、コイル電流5A、バイアス電圧を500Vと高くすることによって、Hv(ビッカース硬度)1500、厚さ2μmの第1層を形成した。次に、バイアス電圧を50Vに落とすことによって、Hv500、厚さ5μmの第2層(最表層)を形成した。
実施例1で用いた潤滑油と同じ組成の潤滑油を用いた。
(1)摩擦係数および摩耗量
実施例1と同じSRV試験法を用いて、摩擦係数を測定した。
比較例3として、平滑な表面を有する基材、具体的には表面粗度Rz=0.5μの基材を用いて非晶質炭素膜を上記の第1層のみ形成したこと以外は実施例3と同様にして摺動材料を作製した。また、比較例4として、非晶質炭素膜を上記の第1層のみ形成したこと以外は実施例3と同様にして摺動材料を作製した。
実施例3および比較例3、4の測定結果を図8に示す。
22、82 中間層
23 非晶質炭素膜(第1層)
24 非晶質炭素膜(最表層)
25、84 固体状の潤滑物質
31、91 摺動相手材
40 チャンバー
42 ホルダー
43 プラズマ源
44 電極
45 コイル
46 カソード
47 ガス導入口
48 ガス排出口
49 バイアス電源
50 プラズマ
83 DLC皮膜
Claims (12)
- 2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物からなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
非晶質炭素膜の表面には、粒平均直径0.1〜10μm、凹凸高さ平均5〜400nmの粒状凹凸が密集して形成されている摺動機構。 - 2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物でからなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
非晶質炭素膜の表面が、直径0.1〜10μmで深さ0.1〜2μmの凹みを1000個/mm2以上有している摺動機構。 - 非晶質炭素膜が、表面に粒状凹凸が密集した下地層の上に形成されている請求項1または2に記載の摺動機構。
- 非晶質炭素膜が、水素を含有し、かつX線散乱スペクトルにおいてグラファイト結晶ピークを有している請求項1〜3のいずれかに記載の摺動機構。
- 2つの摺動材料が相互に摺動する摺動面に潤滑油を介在させた摺動機構であって、
潤滑油は、分子内に、窒素(N)原子及び/又は酸素(O)原子を有し、硫黄(S)原子を有してもよい有機モリブデン化合物であって、硫黄含有量が、化合物基準で0.5質量%以下であることを特徴とする有機モリブデン化合物を含む潤滑油組成物からなり、
2つの摺動材料のうち、少なくとも一方の摺動材料の摺動面に非晶質炭素膜が形成されており、
少なくとも最表層の非晶質炭素膜が、ビッカース硬度50〜1000の非晶質炭素膜である摺動機構。 - 非晶質炭素膜が、2層以上の複層構造であり、表層ほど膜硬度が低い請求項5に記載の摺動機構。
- 潤滑油組成物が、有機モリブデン化合物の窒素含有量(N)とモリブデン含有量(Mo)の質量比(N/Mo)が0.05以上1.0以下の潤滑油組成物である請求項1〜6のいずれかに記載の摺動機構。
- 潤滑油組成物が、組成物全量基準で、有機モリブデン化合物に由来する硫黄含有量が、100質量ppm以下である潤滑油組成物である請求項1〜7のいずれかに記載の摺動機構。
- 有機モリブデン化合物が、(a)モリブデン化合物とアミン化合物との反応生成物、(b)脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体、アミノ基及び/又はアルコール基含有有機化合物とモリブデン化合物の反応生成物、及び該生成物を硫化して得られる生成物、及び(c)酸性モリブデン化合物又はその塩と、コハク酸イミドもしくはカルボン酸アミドの反応生成物、及び該生成物を硫化して得られる生成物、の中から選ばれた1種又は2種以上の化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の摺動機構。
- 潤滑油組成物が、さらに、有機ジチオリン酸亜鉛を含む請求項1〜8のいずれかに記載の摺動機構。
- 有機ジチオリン酸亜鉛を構成する炭化水素基が、2級アルキル基を含むものである請求項10に記載の摺動機構。
- 潤滑油組成物が、組成物全量基準で、モリブデン含有量が0.02〜0.2質量%の潤滑油組成物である請求項1〜11のいずれかに記載の摺動機構。
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