JP4166872B2 - 新規な亜リン酸エステル誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な亜リン酸エステル誘導体とその製造方法及び亜リン酸エステル誘導体を含有した潤滑油用添加剤、並びに亜リン酸エステル誘導体を配合した潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械装置の潤滑においては、潤滑油は摺動もしくは転動接触における金属表面を摩耗から防止する能力、摩耗を制御する能力を有することが必要とされる。潤滑油の耐摩耗性を向上させ、かつ装置の寿命を延長するためには添加剤の役割が極めて重要になってくる。すなわち、基油単独では、トランスミッション油組成物をはじめ、その他の潤滑油組成物の用途に要求される多くの特殊な性質を有することはできない。そこで、添加剤を使用し、それぞれの特定の性質を付与し、潤滑油組成物の性能を向上させる必要がある。したがって、これらの潤滑油組成物に使用するのに適した一つあるいはそれ以上の性質を有する新規な添加剤の探索が行われてきた。
【0003】
その探索方法の一つとして、極圧剤として含リン化合物と含硫黄化合物が知られているので、一つの分子中にリン原子と硫黄原子を含んだ新規な化合物を合成しようという試みがある。例えば、米国特許第 2,750,342号公報,米国特許第 2,960,523号公報,米国第 4,511,480号公報,特開平9-3471号公報等には各種のリン酸エステル類が開示されているが高負荷の過酷な条件における極圧性,耐摩耗性及び摩擦特性を満足しているものはなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、新規な亜リン酸エステル誘導体とその製造方法を提供し、及び亜リン酸エステル誘導体を含有する潤滑油用添加剤を提供し、更にAT(自動変速機),CVT(無段変速機)等のような高負荷の過酷な条件下においても、極圧性,耐摩耗性及び摩耗特性を満足できる潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、新規な亜リン酸エステル誘導体を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の第一の発明は、下記一般式(I)
(R1 −S−R2 −O)n −P−(OH)3-n ・・・(I)
(式中、R1 は炭素数6〜20の炭化水素基、R2 は炭素数1〜6の二価の炭化水素基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
及び下記一般式(II)
【0006】
【化7】
【0007】
(式中、R1 ,R2 は前記と同じである。pは0〜2の整数、qは0又は1の整数を示し、pとqは同時に0になることはない。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体である。
本願の第二の発明は、下記一般式(III)
R1 −S−R2 −OH ・・・(III)
(式中、R1 ,R2 は前記と同じである。)
で表されるアルキルチオアルキルアルコールと、三塩化リンを、無触媒または塩基の存在下で反応させることを特徴とする請求項1記載の亜リン酸エステル誘導体の製造方法である。
【0008】
本願の第三の発明は、下記一般式(IV)
〔R1 −(X−R2 )m −Y〕n −P−(OH)3-n ・・・(IV)
〔式中、R1 ,R2 は前記と同じである。X,YはS(硫黄)またはO(酸素)を示し、X,Yのうちどちらか一方はSである。mは0〜4の整数(但し、n=3のとき、mは0ではない)で、nは前記と同じである。〕
及び下記一般式(V)
【0009】
【化8】
【0010】
(式中、mは0〜4の整数であり、X,Y,R1 ,R2 ,p及びqは前記と同じである。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。
本願の第四の発明は、上記の亜リン酸エステル誘導体を有効量配合してなる潤滑油組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本願の第一の発明は、上記一般式(I)及び(II)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体である。
上記一般式(I)と(II)においてR1 は炭素数6〜20の炭化水素基を示すが、具体的には各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ウンデシル基,各種ドデシル基,各種トリデシル基,各種テトラデシル基,各種ペンタデシル基,各種ヘキサデシル基,各種ヘプタデシル基,各種オクタデシル基,各種ノナデシル基,各種エイコデシル基のアルキル基、シクロヘキシル基,各種メチルシクロヘキシル基,各種エチルシクロヘキシル基,各種プロピルアルキル基,各種ジメチルシクロアルキル基などのシクロアルキル基、フェニル基,各種メチルフェニル基,各種エチルフェニル基,各種プロピルフェニル基,各種トリメチルフェニル基,各種ブチルフェニル,各種ナフチル基などのアリール基、ベンジル基,各種フェニルエチル基,各種メチルベンジル基,各種フェニルプロピル基,各種フェニルブチル基などのアリールアルキル基などを挙げることができる。これらの中で炭素数8〜16のアルキル基が好ましい。
【0012】
一般式(I)と(II)においてR2 は炭素数1〜6の二価の炭化水素基を示すが、具体的にはメチレン基;エチレン基;1,2−プロピレン基;1,3−プロピレン基;各種ブチレン基;各種ペンチレン基;各種ヘキシレン基の二価の脂肪族基、シクロヘキサン,メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素に2個の結合部位を有する脂環式基、各種フェニレン基の二価の芳香族炭化水素基などを挙げることができる。これらの中でメチレン基,エチレン基,各種プロピレン基が好ましい。
【0013】
一般式(I)において、nは1〜3の整数を示すが、1又は2が好ましい。
一般式(II)において、pは0〜2の整数、qは0又は1の整数を示し、同時に0になることはないが、好ましくはp=1かつq=0、p=1かつq=1、p=2かつq=0である。
上記一般式(I)及び(II)で表される亜リン酸エステル誘導体の好ましい具体例としては、トリ(オクチルチオエトキシ)亜リン酸エステル,トリ(ドデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,トリ(ヘキサデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,ジ(オクチルチオエトキシ)亜リン酸エステル,ジ(ドデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,ジ(ヘキサデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,モノ(オクチルチオエトキシ)亜リン酸エステル,モノ(ドデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,モノ(ヘキサデシルチオエトキシ)亜リン酸エステル,オクチルチオエチルホスホン酸オクチルチオエチルエステル,ドデシルチオエチルホスホン酸ドデシルチオエチルエステル,ヘキサデシルチオエチルホスホン酸ヘキサデシルチオエチルエステルなどを挙げることができる。なお、上記のジ,モノエステルは互変異性体をも含む。
【0014】
上記一般式(I)及び(II)で表される亜リン酸エステル誘導体の製造方法については、特に制限はないが、例えば、一般式(III)
R1 −S−R2 −OH ・・・(III)
(式中、R1 ,R2 は前記と同じである。)
で表されるアルキルチオアルキルアルコールと、三塩化リンを、無触媒または塩基の存在下で反応させることにより得ることができる。
【0015】
これらの反応において、アルキルチオアルキルアルコールと三塩化リンの使用割合は、通常、モル比で三塩化リン1モルに対して、アルキルチオアルキルアルコール0.1〜5.0モル、好ましくは1.0〜3.0モル、より好ましくは1.5〜2.5モルの範囲である。
反応温度は、通常、−10〜100℃、好ましくは0〜40℃の範囲で選ばれる。触媒の塩基としては、例えば、トリエチルアミン,ピリジンなどが使用できる。なお、この反応はTHF,ジエチルエーテルなどの溶媒中で行うことができる。
【0016】
本願の第三の発明は、一般式(IV)
〔R1 −(X−R2 )m −Y〕n −P−(OH)3-n ・・・(IV)
〔式中、R1 ,R2 は前記と同じである。X,YはS(硫黄)またはO(酸素)を示し、X,Yのうちどちらか一方はSである。mは0〜4の整数(但し、n=3のとき、mは0ではない)で、nは前記と同じである。〕
及び下記一般式(V)
【0017】
【化9】
【0018】
(式中、mは0〜4の整数であり、X,Y,R1 ,R2 ,p及びqは前記と同じである。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。
上記一般式(IV)と(V)において、R1 ,R2 ,n,p及びqついては第一の発明の記載と同じである。一般式(IV)と(V)において、mの好ましい範囲は1〜4の整数である。
【0019】
また、より好ましい態様として、下記一般式(VI)
(R1 −S−R2 −Y)n −P−(OH)3-n ・・・(VI)
(式中、R1 ,R2 ,Y及びnは前記と同じである。)
及び下記一般式(VII)
【0020】
【化10】
【0021】
(式中、R1 ,R2 ,Y,p及びqは前記と同じである。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。
【0022】
さらに好ましい態様として、下記一般式(VIII)、(IX)、(X)、(XI)及び(XII)
R1 −S−R2 −O−P−(OH)2 ・・・(VIII)
(R1 −S−R2 −O)2 −P−OH ・・・(IX)
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】
【化13】
【0026】
(式中、R1 及びR2 は前記と同じである。)
で表される化合物から選ばれる少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を含有してなる潤滑油用添加剤である。
上記の亜リン酸エステル誘導体を潤滑油用添加剤として使用する場合には、▲1▼そのままで使用する、▲2▼基油等で希釈し使用する、▲3▼後述のその他の添加剤と組み合わせてパッケージとして使用するなどの方法があるので、潤滑油用添加剤中の亜リン酸エステル誘導体の割合は、通常、0.1〜100重量%である。
【0027】
本願の第四の発明は、潤滑油基油に、上記の少なくとも一種の亜リン酸エステル誘導体を有効量配合してなる潤滑油組成物である。
潤滑油基油としては、鉱油や合成油が使用できる。鉱油,合成油は各種のものがあり、用途などに応じて適宜選定すればよい。鉱油としては、例えばパラフィン系鉱油,ナフテン系鉱油,中間基系鉱油などが挙げられ、具体例としては、溶剤精製または水添精製による軽質ニュートラル油,中質ニュートラル油,重質ニュートラル油,ブライトストックなどを挙げることができる。
【0028】
一方合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン,α−オレフィンコポリマー,ポリブテン,アルキルベンゼン,ポリオールエステル,二塩基酸エステル,,多価アルコールエステル,ポリオキシアルキレングリコール,ポリオキシアルキレングリコールエステル,ポリオキシアルキレングリコールエーテル、シクロアルカン系化合物などを挙げることができる。
これらの基油は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
亜リン酸エステル誘導体の有効量は、用途によって異なるが、組成物全量基準で、通常0.01〜10重量%で、好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の潤滑油組成物には、上記の潤滑油用添加剤の他に、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望に応じ従来から潤滑油組成物に慣用されている清浄分散剤,酸化防止剤,防錆剤,消泡剤,粘度指数向上剤,流動点降下剤,抗乳化剤,他の極圧剤,他の摩耗剤などを、適宜配合することができる。
本発明の潤滑油組成物は、例えば、動力伝達用潤滑油,内燃機関用潤滑油,ギヤ油,軸受け油,ショックアブソーバー油,工業用潤滑油として使用できる。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
〔製造例1〕
500ccフラスコに、n−オクチルチオエタノール38.1g(0.2モル)、トリエチルアミン20.2g(0.2モル)とTHF250ccを入れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気流中で三塩化リン13.7g(0.1モル)を滴下して、室温で1時間攪拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過により除去した。反応液に水1.8g(0.1モル)を滴下して、室温で1昼夜攪拌した後、エバポレーターでTHFを減圧留去した。得られた反応生成物の収量は42gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光(図1)、プロトン核磁気共鳴分光(図2)の結果より、下記の式(XIII)で表される化合物であることが確認された。
【0031】
【化14】
【0032】
〔製造例2〕
500ccフラスコに、三塩化リン13.7g(0.1モル)とTHF50ccを入れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気流下でn−オクチルチオエタノール38.1g(0.2モル)、トリエチルアミン20.2g(0.2モル)とTHF250ccの混合物を滴下して、室温で1時間攪拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩をろ過で除去し、反応液に水1.8g(0.1モル)を滴下して、室温で1昼夜攪拌した後、エバポレーターでTHFを減圧除去した。得られた反応物の収量は41gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果により、上記の式(XIII)で表される化合物であることが確認された。
【0033】
〔製造例3〕
製造例2において、n−オクチルチオエタノールの代わりにn−ドデシルチオエタノール38.6g(0.2モル)を使用したこと以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収量は51gであった。この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XIV)で表される化合物であることが確認された。
【0034】
【化15】
【0035】
〔製造例4〕
製造例2において、n−オクチルチオエタノールの代わりにn−ヘキサデシルチオエタノール60.5g(0.2モル)を使用したこと以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収量は65gであった。この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XV)で表される化合物であることが確認された。
【0036】
【化16】
【0037】
〔製造例5〕
製造例2において、n−オクチルチオエタノールの量を28.6g(0.15モル)、水の量を2.7g(0.15モル)に代えたこと以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収量は33gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XVI)と前記の式(XIII)で表される化合物の混合物であることが確認された。
【0038】
【化17】
【0039】
液体クロマトグラフ分析(カラム:逆層,溶媒:アセトニトリル,検出器:示差屈折計)の結果より式(XVI)の化合物が44重量%、式(XIII)の化合物が56重量%であることが確認された。
【0040】
〔製造例6〕
製造例2において、n−オクチルチオエタノールの量を47.6g(0.25モル)、トリエチルアミンの量を25.3g(0.25モル)、水の量を0.9g(0.05モル)に代えたこと以外は製造例2と同様に実施した。得られた反応生成物の収量は52gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XVII)と前記の式(XIII)で表される化合物の混合物であることが確認された。
【0041】
【化18】
【0042】
液体クロマトグラフ分析(カラム:逆層,溶媒:アセトニトリル,検出器:示差屈折計)の結果より式(XVII)の化合物が51重量%、式(XIII)の化合物が49重量%であることが確認された。
【0043】
〔製造例7〕
500ccフラスコに、三塩化リン13.7g(0.1モル)とジエチルエーテル100ccを入れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気流下でn−オクチルチオエチルマグネシウムブロマイド27.7g(0.1モル)のジエチルエーテル溶液を滴下して、10℃以下で1時間攪拌した。さらに、室温で1時間攪拌した後、反応溶液を氷冷した5%塩酸水溶液中に注ぎ込み反応を停止させた。ジエチルエーテルで抽出、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ジエチルエーテルを留去し、n−オクチルチオエチルジクロロホスフィン(収率75%)を得た。
【0044】
次いで、500ccフラスコに、得られたn−オクチルチオエチルジクロロホスフィン13.7g(0.05モル)とTHF50ccを入れ、均一になるように攪拌した。氷冷しながら、窒素気流下でn−オクチルチオエタノール9.5g(0.05モル)、トリエチルアミン5.1g(0.05モル)とTHF100ccの混合物を滴下して、室温で1時間攪拌した。副生したトリアミンの塩酸塩をろ過で除去し、反応液に水0.9g(0.05モル)を滴下して、室温で1昼夜攪拌した後、エバポレーターでTHFを減圧留去した。得られた反応生成物の収量は20gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XVIII)で表される化合物であることが確認された。
【0045】
【化19】
【0046】
〔製造例8〕
製造例1において、n−オクチルチオエタノールの代わりにエチルチオエタノール21.2g(0.2モル)を使用したこと以外は製造例1と同様に実施した。得られた反応生成物は33gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XIX)で表される化合物であることが確認された。
【0047】
【化20】
【0048】
〔製造例9〕
製造例1において、三塩化リンの代わりにオキシ塩化リン15.3g(0.1モル)を使用したこと以外は製造例1と同様に実施した。得られた反応生成物は44gであった。
この反応生成物は、リン核磁気共鳴分光、プロトン核磁気共鳴分光の結果より、下記の式(XX)で表される化合物であることが確認された。
【0049】
【化21】
【0050】
〔実施例1〜7,比較例1〜4及び参考例1〕
シクロアルカン系の合成油基油に、組成物全量基準で、上記の製造例で得られた亜リン酸エステル誘導体又は市販の亜リン酸エステル誘導体を1重量%、清浄分散剤1重量%、酸化防止剤0.5重量%,防錆剤0.1重量%,消泡剤0.1重量%を配合して潤滑油組成物を調製した。その調製した潤滑油組成物について、下記の条件でファレックス ブロック オン リング摩擦摩耗試験(ASTM
D−3704に準じる)により評価した。その結果を第1表に示す。
【0051】
摩擦摩耗試験の条件
リング材質:SAE 4620 スチール
ブロック材質:SAE 01 スチール
試験温度:130℃
回転速度:0.367m/s
荷重:1500N
試験時間:60分
評価項目:リング外観,リング摩耗量,ブロック摩耗幅,ブロック摩耗量,摩擦
係数変化
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明の亜リン酸エステル誘導体を配合した潤滑油組成物は、AT,CVT等のような高負荷の過酷な条件下においても、極圧性,耐摩耗性及び摩擦特性を満足できるものであり、各種の潤滑油に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造例1の反応生成物のリン核磁気共鳴分光スペクトル
【図2】 製造例1の反応生成物のプロトン核磁気共鳴分光スペクトル
Claims (4)
- 潤滑油基油に、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を有効量配合してなる潤滑油組成物。
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