JPH11169988A - リング状素材のロール成形装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形ロール、マンドレルおよび受けロールを
用いてリング状部品を成形加工する成形装置において、
一台の成形装置を用いて、歩留りの低下や品質の低下を
伴うことなく、生産量を増大することを目的としたリン
グ状素材のロール成形装置を提供する。 【構成】 リング状素材７の外周面に押圧接触させる成
形ロール１と、上記リング状素材７の内周面に接触し、
上記成形ロール１とともに上記リング状素材７に成形加
工を施すマンドレル２と、上記マンドレル２の軸の外周
面に接触し、マンドレル２を支える受けロール３とから
構成され、一組の成形ロール１とマンドレル２を一個の
受けロール３に対して、上記受けロール３と成形ロール
１がマンドレル２を挟んで対向するように、複数組配置
してリング状素材のロール成形装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、成形ロール、マン
ドレルおよび受けロールを用いてボールベアリングのア
ウターレースやギアあるいは精紡機、撚糸機等の紡機に
使用される紡機用リング等のリング状部品を成形加工す
るリング状素材のロール成形装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ボールベアリングのアウターレー
スのように、内周面に環状の溝を有するリング状部品を
成形加工する場合、図４に示すように、マンドレル８に
リング状素材７を支持し、受けロール９によりリング状
素材７の軸方向の両端を規制しながら、成形ロール１０
とマンドレル８によりリング状素材７を内外面から挾圧
し、その状態で成形ロール１０、受けロール９およびマ
ンドレル８を回転させることにより、マンドレル８に形
成された凸状部によりリング状素材の内周面に溝を形成
していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記成形装
置において加工数量を増大する場合、加工のサイクルタ
イムを上げることが行われている。

【０００４】しかし、サイクルタイムを上げるため成形
ロールの回転数や移動速度を大幅に上げると、素材に割
れが発生し、歩留りを低下したり、加工精度が低下し、
製品の品質を低下するという問題が生じ、成形ロールの
回転数や移動速度を上昇させることには限界がある。

【０００５】本発明の課題は、一台の成形装置で歩留り
の低下や品質の低下を生じることなく、加工数量を増大
することのできるリング状素材のロール成形装置を提供
することにある。

【０００６】本発明は上記課題を達成することを目的と
するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、リング状素材の外周面
に押圧接触させる成形ロールと、上記リング状素材の内
周面に接触し、上記成形ロールとともに上記リング状素
材に成形加工を施すマンドレルと、上記マンドレルの軸
の外周面に接触し、マンドレルを支える受けロールとか
ら構成されたロール成形装置であって、一組の成形ロー
ルとマンドレルを、受けロールと成形ロールがマンドレ
ルを挟んで対向するように、一個の受けロールに対して
複数組配置したリング状素材のロール成形装置を提供す
るものである。

【０００８】さらに、複数組の成形ロールとマンドレル
を受けロールに対し、上記成形ロールの加圧力がマンド
レルを介して受けロールに均等に掛かるように配置し、
また成形ロールに掛かる加圧力を測定し、それぞれの成
形ロールに掛かる加圧力が均等になるように、成形ロー
ルの移動速度を制御するように構成したリング状素材の
ロール成形装置を提供するものである。

【０００９】本発明の上記ロール成形装置では、成形ロ
ールの回転数や移動速度を無理に上げることなく、品質
が良好で、歩留りを低下することなく生産量を増大する
ことができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明によるリング状素材
のロール成形装置の実施の形態の一例を図面に基づいて
説明する。

【００１１】図１は本発明によるリング状素材のロール
成形装置の要部概略構成を示している。

【００１２】本発明のリング状素材のロール成形装置
は、リング状素材７の外周面に押圧接触させる成形ロー
ル１と、上記リング状素材７の内周面に接触し、上記成
形ロール１とともに上記リング状素材７に成形加工を施
すマンドレル２と、上記マンドレル２の軸の外周面に接
触し、マンドレル２に掛かる押圧力を支える受けロール
３を備えている。

【００１３】前記成形ロール１とマンドレル２が一組を
なし、一組の成形ロール１とマンドレル２が、一個の受
けロール３に対して、成形ロール１がマンドレル２を挟
んで受けロール３に対向するように、三組配置されてい
る。

【００１４】上記三組の配置は、二組の成形ロール１と
マンドレル２が受けロール３を挟んで対向するように水
平状態に配置され、残りの一組の成形ロール１とマンド
レル２が上記二組各ロールの軸心と受けロール３の軸心
を通る面に対して垂直に位置するように配置される。

【００１５】前記成形ロール１は、図２に示すように、
その外周面４が成形されるリング状部品の外側形状に形
成され、上記外周面４の両側面には規制面１ａ、１ｂを
有している。

【００１６】前記マンドレル２は、その外周面５が成形
されるリング状部品の半円弧状の内側形状に形成された
凸条６を有している。

【００１７】前記受けロール３は、前記マンドレル２の
凸条６を挟んで両側に配置された２つの受け面３ａ、３
ｂを備え、リング状部品を成形加工する場合に、マンド
レル２に掛かる成形ロール１の加圧力を受け止める。

【００１８】なお、上記凸条６の形状は、上記半円弧状
の形状に限定されるものではなく、成形されるリング状
部品の内側形状を有していれば良いものである。

【００１９】次に、上記装置の作用について説明する。

【００２０】まず、それぞれの成形ロール１とマンドレ
ル２をスタート位置に位置させる。この時、図１のリン
グ状部品の加工位置に対し、成形ロール１はマンドレル
２から離れる方向に後退し、マンドレル２は受けロール
３が固定されている場合には、一旦受けロール３から離
れる方向に移動し、その後軸方向に後退する。また、受
けロール３が移動する場合には、一旦受けロール３を下
方に下げ、その後軸方向に後退させる。

【００２１】次いで、リング状素材７を成形位置に保持
する。そして、それぞれのマンドレル２を軸方向に前進
させ、リング状素材７の内側を通してその先端をブラケ
ットの軸受に嵌合支承させ、リング状素材７をマンドレ
ル２に支持させる。

【００２２】そして、マンドレル２および受けロール３
を成形位置に戻し、それぞれのマンドレル２の成形部を
対応する成形ロール１の成形部と対向する成形位置に位
置させると同時に、受けロール３の受け面３ａ、３ｂを
マンドレル２の軸の外周面に当接させる。

【００２３】さらに、それぞれの成形ロール１をマンド
レル２に向かって前進させ、マンドレル２の成形部と成
形ロール１の成形部とによりリング状素材７を内外両面
から挟圧する。

【００２４】この状態でそれぞれの成形ロール１と受け
ロール３を回転させながらそれぞれの成形ロール１をマ
ンドレル２に向かって移動させることにより、リング状
素材７は成形ロール１とマンドレル２との間で加圧成形
され、所定のリング状部品の形状に形成される。

【００２５】成形加工の終了後、それぞれの成形ロール
１と受けロール３の回転を止め、各組の成形ロール１と
マンドレル２を前記と同様にそれぞれスタート位置に戻
すことにより、リング状部品は成形部から取り出され、
次いで前記と同様の動作を繰り返すことにより、次の加
工が行われる。

【００２６】上記実施例によれば、一回の動作により三
個のリング状部品が同時に加工されるため、工数を逓減
すると同時に生産性を大幅に向上することができる。

【００２７】なお、上記実施例において、三組の成形ロ
ール１とマンドレル２を受けロール３の周囲に配置する
場合において、二組の成形ロール１とマンドレル２が受
けロール３を挟んで対向するように水平状態に配置さ
れ、残りの一組の成形ロール１とマンドレル２が上記二
組の軸心と受けロール３の軸心を通る面に対して垂直に
位置するように配置したが、図３に示すように、それぞ
れの成形ロール１の加圧力がマンドレル２を介して受け
ロール３に均等に掛かるように、三組の成形ロール１と
マンドレル２を受けロール３の周囲に放射状に等間隔と
なるように配置することも可能である。

【００２８】上記のように、それぞれの成形ロール１の
加圧力がマンドレル２を介して受けロール３に均等に掛
かるように配置することにより、成形ロール１からの荷
重による受けロール３の変位を押さえることができ、受
けロール３の軸受けの異常摩耗を防止し、寿命を延ばす
ことができる。

【００２９】また、上記実施例では三組の成形ロール１
とマンドレル２を受けロール３の周囲に配置した場合を
示したが、二組の成形ロール１とマンドレル２を受けロ
ール３を挟んで対向するように配置することもでき、こ
の場合も前記と同様に成形ロール１の加圧力がマンドレ
ル２を介して受けロール３に均等に掛かる。

【００３０】さらに、ストレンゲージ、圧電素子等の測
定手段を用いて成形ロール１の軸或いは成形ロール１の
軸を支承する支持台の微小変位を測定し、上記測定され
た歪み量を電気量に変換することにより、成形ロール１
に掛かる加圧力を測定し、それぞれの成形ロール１に掛
かる加圧力が均等になるように、上記変換された電気量
を成形ロール１の加圧手段に入力し、成形ロール１の移
動速度を制御するように構成することもできる。

【００３１】上記のように構成することにより、リング
状素材７に掛かる加圧力が一定となり、均一なリング状
部品が同時に成形でき、しかもリング状素材の割れもな
く、歩留りが向上するとともに、生産性も向上すること
ができる。

【００３２】

【発明の効果】本発明の上記ロール成形装置では、成形
ロールの回転数や移動速度を大幅に上げるという機械的
な無理を強いることがなく複数個のリング状部品を同時
に成形できるので、品質の良好な製品を成形加工できる
とともに、生産性を大幅に向上することができる。

【００３３】成形ロールの加圧力がマンドレルを介して
受けロールに均等に掛かるように、成形ロールとマンド
レルを受けロールの周囲に放射状に等間隔となるように
配置した場合、成形ロールからの荷重による受けロール
の変位を押さえることができるので、加工精度の優れた
製品を成形加工できるとともに、受けロールの軸受けの
異常摩耗を防止し、寿命を延ばすことができる。

【００３４】成形ロールに掛かる加圧力を測定し、それ
ぞれの成形ロールに掛かる加圧力が均等になるように、
上記変換された電気量を成形ロールの加圧手段に入力
し、成形ロールの移動速度を制御することにより、リン
グ状素材に掛かる加圧力が一定となり、均一なリング状
部品が同時に成形でき、しかもリング状素材の割れもな
く、歩留りが向上するとともに、生産性も向上すること
ができるという優れた効果を有する発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のリング状素材のロール成形装置の一実
施例を示す要部概略構成図である。

【図２】本発明のリング状素材のロール成形装置におけ
る成形ロール、マンドレルおよび受けロールの配置を示
す要部平面図である。

【図３】本発明のリング状素材のロール成形装置の他の
実施例を示す要部概略構成図である。

【図４】従来のロール成形装置を示す要部概略構成図で
ある。

【符号の説明】

１、１０ 成形ロール １ａ、１ｂ 規制面 ２、８ マンドレル ３、９ 受けロール ３ａ、３ｂ 受け面 ４、５ 外周面 ６ 凸条 ７ リング状素材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リング状素材の外周面に押圧接触させる成
   形ロールと、上記リング状素材の内周面に接触し、上記
   成形ロールとともに上記リング状素材に成形加工を施す
   マンドレルと、上記マンドレルの軸の外周面に接触し、
   マンドレルを支える受けロールとから構成されたロール
   成形装置であって、 一組の成形ロールとマンドレルを、受けロールと成形ロ
   ールがマンドレルを挟んで対向するように、一個の受け
   ロールに対して複数組配置したことを特徴とするリング
   状素材のロール成形装置。
2. 【請求項２】複数組の成形ロールとマンドレルを受けロ
   ールに対し、上記成形ロールの加圧力がマンドレルを介
   して受けロールに均等に掛かるように配置した請求項１
   記載のリング状素材のロール成形装置。
3. 【請求項３】成形ロールに掛かる加圧力を測定し、それ
   ぞれの成形ロールに掛かる加圧力が均等になるように、
   成形ロールの移動速度を制御するように構成した請求項
   １記載のリング状素材のロール成形装置。