JPH11158223A - エネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

エネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法

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JPH11158223A
JPH11158223A JP33009697A JP33009697A JPH11158223A JP H11158223 A JPH11158223 A JP H11158223A JP 33009697 A JP33009697 A JP 33009697A JP 33009697 A JP33009697 A JP 33009697A JP H11158223 A JPH11158223 A JP H11158223A
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JP
Japan
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group
acrylic resin
compound
water
polymerizable vinyl
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Application number
JP33009697A
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English (en)
Inventor
Naoto Saito
直人 齋藤
Yasuyuki Watanabe
泰之 渡辺
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐溶剤性に優れた塗膜を形成しうる、エネル
ギー硬化型水性樹脂の製造方法を提供すること。 【解決手段】 重合性ビニル基が結合した第4級アンモ
ニウム塩基を有する自己水分散性アクリル樹脂を水中に
分散させた後、分散粒子内を架橋させることで得られる
エネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法。 【効果】 本発明の製造方法によれば、耐溶剤性などの
塗膜諸性能に優れ、また光硬化性が極めて良好な塗膜を
形成できるエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物を提
供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エネルギー線硬化
性樹脂組成物の製造方法に関し、更に詳細には、塗料、
インキ、接着剤、紙繊維加工剤用樹脂として、さらには
印刷版、フォトレジストなどとして、幅広く、利用し適
用し得るエネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、紫外線や電子線等のエネルギー線
を照射することによって硬化するエネルギー線硬化性樹
脂組成物は、低温で短時間に硬化するという処から、塗
料分野などにおける需要が伸びている。
【0003】これらのエネルギー線硬化性樹脂組成物
は、自然環境、作業環境汚染改善等の要求から、粘度調
整の際には、有機溶剤を使用せずに低分子量の反応性希
釈剤を使用する、無溶剤型と呼ばれるものが主流となっ
ている。
【0004】このような無溶剤型エネルギー線硬化性樹
脂組成物は、作業性を向上させるために多量の反応性希
釈剤を使用する傾向にあるから、高硬度の塗膜が得られ
る傾向にあるものの、逆にタックがなく、柔軟性に富む
塗膜は得られ難い傾向にある。また、反応性希釈剤は低
分子量であるため、人体に対して毒性を有している。よ
ってこれらの希釈剤に代わる材料として、水を媒体とし
た水性エネルギー線硬化型樹脂組成物の開発が切望され
ている。
【0005】そこで、このような目的に適した樹脂とし
て、例えば特公平7−49467号公報には、3級アミ
ノ基を有する共重合物を酸化合物を用いて第4級アンモ
ニウムとし、更に(メタ)アクリロイル基含有グリシジ
ル化合物を反応させる、水溶性エネルギー線硬化性樹脂
組成物の製造方法が開示されている。あるいは、特開平
8−325328号公報には、3級アミノ基を有する共
重合物を(メタ)アクリロイル基含有酸化合物を用いて
第4級アンモニウムとし、更に(メタ)アクリロイル基
含有グリシジル化合物を反応させて得られる、(メタ)
アクリロイル基濃度の高い水溶性エネルギー線硬化性樹
脂組成物の製造方法が開示されている。あるいは、アド
ヴァンスト・マテリアルズ(Advanced Mat
erials、第5号、417〜421頁、1994年
6月発行)には、乳化重合法によって得られた架橋微粒
子に4級化反応を利用して(メタ)アクリロイル基を導
入した乳化重合型水性エネルギー線硬化性樹脂組成物の
製造方法が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特公平
7−49467に開示された樹脂組成物は光硬化速度が
遅く、また得られる塗膜の硬化密度が低く、十分な耐溶
剤性は得られないという問題があった。また、特開平8
−325328に開示された樹脂組成物は、光硬化速度
が改善されたものの、十分な耐溶剤性が得られないとい
う問題があった。また、アドヴァンスト・マテリアルズ
に開示された樹脂組成物は、乳化重合時に使用する乳化
剤の存在が、耐水性、耐薬品性、接着性等の塗膜性能に
悪影響を及ぼすという問題があった。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、光硬化
性が良好であり、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる、
極めて実用性の高い水分散性エネルギー線硬化性樹脂組
成物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、重合性ビ
ニル基が結合した第4級アンモニウム塩基及び架橋剤と
反応し得る官能基を有する樹脂を転相乳化により水中に
分散させた後、粒子内を架橋せしめることで得られる水
分散性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、優れた光硬化
性を有し、耐溶剤性に優れた塗膜を形成できる、極めて
実用性の高い物であることを見出し、本発明を完成させ
るに到った。
【0009】すなわち、本発明は上記課題を解決するた
めに、重合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩
基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己水分散性
アクリル樹脂を水中に分散させた後、分散粒子内を架橋
させることを特徴とするエネルギー線硬化性アクリル樹
脂組成物の製造方法を提供する。
【0010】また、本発明は上記課題を解決するため
に、疎水性の架橋剤を自己水分散性アクリル樹脂と共に
水中に分散させる請求項1記載のエネルギー線硬化性ア
クリル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0011】また、本発明は上記課題を解決するため
に、疎水性の架橋剤として、疎水性ポリイソシアネート
化合物及び疎水性ポリイソシアネート樹脂から成る群か
ら選ばれる1種又は2種以上の架橋剤を用いる請求項2
記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方
法を提供する。
【0012】また、本発明は上記課題を解決するため
に、自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散させた後、
架橋剤を添加し、分散粒子内を架橋させる請求項1記載
のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法を
提供する。
【0013】また、本発明は上記課題を解決するため
に、自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散させた後に
添加する架橋剤が、一分子内に2以上の1級ないし2級
アミノ基を有する架橋剤である請求項4記載のエネルギ
ー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0014】また、本発明は上記課題を解決するため
に、重合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩基
及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己水分散性ア
クリル樹脂が、分子中に3級アミノ基及び重合性ビニル
基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基及び重
合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成物か
らなるアクリル樹脂と、カルボキシル基を有する化合物
及びグリシジル基を有する化合物との4級化反応によっ
て得られる自己水分散性アクリル樹脂であって、かつ、
カルボキシル基を有する化合物、グリシジル基を有する
化合物のうち少なくともいずれか一つが重合性ビニル基
を併せ有するものである請求項1〜5のいずれか1項に
記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方
法を提供する。
【0015】また、本発明は上記課題を解決するため
に、重合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩基
及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己水分散性ア
クリル樹脂が、分子中にグリシジル基及び重合性ビニル
基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基及び重
合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成物か
らなるアクリル樹脂と、3級アミノ基を有する化合物及
びカルボキシル基を有する化合物との4級化反応によっ
て得られる自己水分散性アクリル樹脂であって、かつ、
3級アミノ基を有する化合物、カルボキシル基を有する
化合物のうち少なくともいずれか一つが重合性ビニル基
を併せ有するものである請求項1〜5のいずれか1項に
記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方
法を提供する。
【0016】また、本発明は上記課題を解決するため
に、重合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩基
及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己水分散性ア
クリル樹脂が、分子中にカルボキシル基及び重合性ビニ
ル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基及び
重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成物
からなるアクリル樹脂と、3級アミノ基を有する化合物
及びグリシジル基を有する化合物との4級化反応によっ
て得られる自己水分散性アクリル樹脂であって、かつ、
3級アミノ基を有する化合物、グリシジル基を有する化
合物のうち少なくともいずれか一つが重合性ビニル基を
併せ有するものである請求項1〜5のいずれか1項に記
載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法
を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物は、重
合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩基及び架
橋剤と反応し得る官能基を有する自己水分散性アクリル
樹脂を、転相乳化することで水中に分散させた後、架橋
剤を用いて粒子内を架橋することで得られるものであ
る。
【0018】本発明で使用する重合性ビニル基が結合し
た第4級アンモニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能
基を有する自己水分散性アクリル樹脂は、例えば、以下
の製法に従って製造することができる。
【0019】(1)分子中に3級アミノ基及び重合性ビ
ニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基及
び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成
物からなるアクリル樹脂と、少なくともいずれか一つが
重合性ビニル基を併せ有するカルボキシル基を有する化
合物及びグリシジル基を有する化合物との4級化反応に
より製造する方法。
【0020】(2)分子中にグリシジル基及び重合性ビ
ニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基及
び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組成
物からなるアクリル樹脂と、少なくともいずれか一つが
重合性ビニル基を併せ有する3級アミノ基を有する化合
物及びカルボキシル基を有する化合物との4級化反応に
より製造する方法。
【0021】(3)分子中にカルボキシル基及び重合性
ビニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官能基
及び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合性組
成物からなるアクリル樹脂と、少なくともいずれか一つ
が重合性ビニル基を併せ有する3級アミノ基を有する化
合物及びグリシジル基を有する化合物との4級化反応に
より製造する方法。
【0022】(1)における3級アミノ基、(2)にお
けるグリシジル基、(3)におけるカルボキシル基は、
それぞれその後の4級化反応のためにアクリル樹脂中に
導入され、これらの官能基と重合性ビニル基とを併せ有
する化合物を必須とする重合性組成物を、公知慣用の方
法で重合することによって、それぞれの官能基を含有し
たアクリル樹脂が得られる。
【0023】この時用いられる、分子中に3級アミノ基
及び(メタ)アクリロイル基の如き重合性ビニル基を有
する化合物としては、例えば、ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレートの如き(メタ)アクリロイル基を有する化
合物の他、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバ
ゾール等が挙げられる。
【0024】分子中にグリシジル基及び(メタ)アクリ
ロイル基の如き重合性ビニル基を有する化合物として
は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートの如き
(メタ)アクリロイル基を有する化合物の他、アリルグ
リシジルエーテル、α−エチルグリシジルエーテル等が
挙げられる。
【0025】分子中にカルボキシル基及び(メタ)アク
リロイル基の如き重合性ビニル基を有する化合物として
は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコ
ン酸、マレイン酸モノアルキル類、フマル酸モノアルキ
ル類、イタコン酸モノアルキル類等が挙げられる。
【0026】本発明の製造方法では、分散粒子内を架橋
させる点に特徴があり、分散粒子内を架橋し得るもので
あれば任意のものを用いることができる。使用する架橋
剤によって、アクリル樹脂に導入されるべき官能基も当
然変わる。ここでは、便宜上、分散粒子を容易に架橋で
き、しかも、得られた分散体の分散安定性も良い架橋剤
として、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物
を例に挙げて詳述するが、架橋剤はこれらに限られるも
のではない。
【0027】架橋剤と反応しうる官能基は、アクリル樹
脂を水中に分散させた後、架橋剤を使用して分散粒子内
を架橋させるためにアクリル樹脂に導入される。
【0028】架橋剤と反応しうる官能基としては、水酸
基、グリシジル基、カルボキシル基等が挙げられ、これ
らの官能基と重合性ビニル基とを併せ有する化合物を含
有する重合性組成物を重合せしめることによって、架橋
剤と反応しうる官能基をアクリル樹脂に導入することが
できる。
【0029】グリシジル基及び(メタ)アクリロイル基
の如き重合性ビニル基を有する化合物や、カルボキシル
基及び(メタ)アクリロイル基の如き重合性ビニル基を
有する化合物としては、前述した種々の化合物が使用で
きる。また、水酸基及び(メタ)アクリロイル基の如き
重合性ビニル基を有する化合物としては、例えば、ヒド
ロキシブチルビニルエーテルなどの、ヒドロキシアルキ
ルビニルエーテル類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレートなどのような、いわゆる(ポ
リ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート
類;(メタ)アリルアルコールなどをはじめ、さらに
は、これらの水酸基含有単量体と、ε−カプロラクトン
またはγ−バレロラクトンの如き、各種のラクトン類と
の付加物などが挙げられる。
【0030】架橋剤と反応しうる官能基と重合性ビニル
基を有する化合物を含有する重合性組成物には、重合性
ビニル基と共重合可能な基を有するその他の化合物を併
用することもできる。そのような化合物としては、特に
制限無く、公知慣用のものをいずれも使用することがで
きるが、代表的なものを挙げれば、スチレン、ビニルト
ルエン、α−メチルスチレンの如き芳香族ビニル化合物
類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)ア
クリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エ
チルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレー
ト、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)ア
クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ
ート、イソボルニル(メタ)アクリレートの如き(メ
タ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニ
ル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如き
ビニルエステル類;(メタ)アクリロニトリルの如き重
合性ニトリル類;などが挙げられる。
【0031】重合性組成物の重合方法は、塊状重合、溶
液重合など各種方法が利用できるが、簡便な溶液重合が
好ましく、使用する溶剤は有機溶剤を用いるのが望まし
い。有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンもし
くはベンゼンの如き、各種の芳香族炭化水素類;アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンもし
くはシクロヘキサノンの如き、各種のケトン類;あるい
は酢酸エチルもしくは酢酸ブチルの如き、各種のエステ
ル類などのような不活性溶剤が挙げられる。これらの有
機溶剤の中でも、転相乳化後の脱溶剤操作において、容
易に脱溶剤できるような、アセトン、メチルエチルケト
ンまたは酢酸エチル等の低沸点溶剤の使用が好ましい。
【0032】また、重合開始剤は、公知のラジカル重合
開始剤を用いればよいが、例えば、2,2−アゾビスイ
ソブチロニトリル、または2,2−アゾビス(2,4,
−ジメチルバレロニトリル)などのような種々のアゾ系
開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキ
シドまたはtert−ブチルパーオクトエートなどのよ
うな、種々の過酸化物系開始剤などが挙げられる。
【0033】重合禁止剤としては、ベンゾキノン、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(p−
メトキシフェノール、メトキノン)、2,6−ジ−te
rtブチル−p−クレゾール(ブチルヒドロキシトルエ
ン)などのような、公知慣用の化合物を使用することが
できる。
【0034】このようにして得られたアクリル樹脂の分
子量は、重量平均分子量3000〜100000の範囲
が好ましい。重量平均分子量3000未満である場合に
は、一般的に必要とされる塗膜としての性能が得難く、
100000を超える範囲では、本発明における樹脂の
扱いが困難になる上、水分散性にも乏しくなる傾向にあ
るので、好ましくない。
【0035】次に、得られたアクリル樹脂に、(1)に
おいては少なくともいずれか一つが重合性ビニル基を併
せ有するカルボキシル基を有する化合物、グリシジル基
を有する化合物を、(2)においては少なくともいずれ
か一つが重合性ビニル基を併せ有する3級アミノ基を有
する化合物及びカルボキシル基を有する化合物を、
(3)においては少なくともいずれか一つが重合性ビニ
ル基を併せ有する3級アミノ基を有する化合物及びグリ
シジル基を有する化合物をそれぞれ反応させることによ
り、主鎖アクリル樹脂中に第4級アンモニウム塩基及び
重合性ビニル基を導入することができる。
【0036】このような3級アミノ基を有する化合物と
しては、例えば、ジメチルアミノエタノール、トリエチ
ルアミン、ジエチルアミノエタノール、メチルジエタノ
ールアミン等が挙げられる。また、グリシジル基を有す
る化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテ
ル、エチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、
カルボキシル基を有する化合物としては、例えば、蟻
酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸等のモノカルボン酸
が挙げられる。さらに、3級アミノ基と重合性ビニル基
とを併せ有する化合物、グリシジル基と重合性ビニル基
とを併せ有する化合物、カルボキシル基と重合性ビニル
基とを併せ有する化合物としては、前述した種々の化合
物が使用できる。
【0037】この4級化反応は室温でも進行するが、反
応促進の為加熱を必要とする場合は、重合禁止剤の存在
下で、反応温度90℃以下、好ましくは70℃以下にお
いて縮合反応を行なうことで、反応時におけるゲル化の
虞もなく、反応を行うことができる。
【0038】上記に示したいずれの方法でも重合性ビニ
ル基が結合した第4級アンモニウム塩基及び架橋剤と反
応し得る官能基を有する自己水分散性アクリル樹脂を得
ることはできるが、第4級アンモニウム塩基がアクリル
樹脂と共有結合で結合される前述した(1)、(2)の
製造方法であって、かつ、4級化反応の際、(1)にお
いては重合性ビニル基とグリシジル基を併せ有する化合
物を使用すること、(2)においては重合性ビニル基と
3級アミノ基を併せ有する化合物を使用することによっ
て、更に重合性ビニル基がアクリル樹脂と共有結合で結
合されることとなり、より良好な耐水性が得られるので
好ましい。
【0039】重合性ビニル基が結合した第4級アンモニ
ウム塩基及び架橋剤と反応しうる官能基を有するアクリ
ル樹脂を得る方法としては、(1)〜(3)を例示して
説明したが、もちろんこれらの方法に限られるわけでは
なく、例えば、少なくともいずれか一つが重合性ビニル
基を併せ有するグリシジル基を有する化合物、3級アミ
ノ基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物と
の4級化反応によって得られる水酸基を有する化合物
と、水酸基と反応しうる基及び架橋剤と反応しうる官能
基を有するアクリル樹脂とを反応させることによって重
合性ビニル基が結合した第4級アンモニウム塩基及び架
橋剤と反応しうる官能基を有するアクリル樹脂を得るこ
とができる。
【0040】また、自己水分散性アクリル樹脂中の重合
性ビニル基の割合を増やすために、4級化反応により導
入される重合性ビニル基の他に、更に重合性ビニル基を
導入することも勿論できる。
【0041】4級化反応以外に重合性ビニル基を導入す
る方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる
が、これらに限るものではない。
【0042】例えば、(1)〜(3)の製法において、
4級化反応で生じた水酸基に、水酸基と反応しうる基及
び重合性ビニル基を有する化合物を反応させることによ
って、重合性ビニル基を導入することができる。
【0043】あるいは、(1)〜(3)の製法におい
て、4級化反応に関与しない過剰の3級アミノ基、グリ
シジル基、カルボキシル基に、これらと反応しうる基及
び重合性ビニル基を有する化合物を反応させることによ
って、重合性ビニル基を導入することができる。
【0044】あるいは、(1)〜(3)の製法におい
て、アクリル樹脂を重合する際に、イソシアネート基及
び重合性ビニル基を有する化合物を併用することで、当
該樹脂中にイソシアネート基を導入し、これと反応しう
る基及び重合性ビニル基を有する化合物を反応させるこ
とによって、重合性ビニル基を導入することができる。
【0045】水酸基と反応しうる官能基及び重合性ビニ
ル基を有する化合物としては、イソシアネート基を有す
る化合物が反応が容易に進行するので好ましい。イソシ
アネート基及び重合性ビニル基を有する化合物として
は、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシア
ネート、メタクリロイルイソシアネート等が挙げられ
る。
【0046】一方、イソシアネート基と反応しうる官能
基及び重合性ビニル基を有する化合物としては、水酸基
を有する化合物が反応が容易に進行するので好ましい。
水酸基及び重合性ビニル基を有する化合物としては、例
えば、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどの、ヒドロ
キシアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレートなどのような、いわ
ゆる(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリ
レート類;(メタ)アリルアルコールなどをはじめ、さ
らには、これらの水酸基含有単量体と、ε−カプロラク
トンまたはγ−バレロラクトンの如き、各種のラクトン
類との付加物などが挙げられる。
【0047】本発明における自己水分散性アクリル樹脂
は、樹脂中に親水性基として第4級アンモニウム塩基を
有する為、中和剤を加えなくとも水媒体中で親水性を呈
し、転相乳化することにより容易に分散するものであ
る。
【0048】また、アクリル樹脂中に存在する第4級ア
ンモニウム塩基の他に、更に親水性基を導入することも
できる。この場合は、アクリル樹脂を重合する際に、重
合性ビニル基と共重合可能な反応基及び親水性基を有す
る化合物を併用することで、当該樹脂中に親水基を導入
することができる。
【0049】重合性ビニル基と共重合可能な反応基及び
親水性基を有する化合物としては、特に制限無く公知慣
用なものを使用することができるが、第4級アンモニウ
ム塩基を導入するための反応基、即ち、(1)の製法に
おいては3級アミノ基、(3)の製法においてはカルボ
キシル基、と対イオンとなる親水性基の導入は、ゲル化
を引き起こす恐れがあるから避けなければならない。
【0050】すなわち、(1)の製法においては、親水
性基として酸性基を有する化合物は使用できない。ある
いは、(3)の製法においては、親水性基として塩基性
基を有する化合物は使用できない。
【0051】親水性基として酸性基を有する化合物とし
ては、例えば、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリ
ル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸モノアルキ
ル類、フマル酸モノアルキル類、イタコン酸モノブチル
等が挙げられる。
【0052】親水性基として塩基性基を有する化合物と
しては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N−ビニルイミダゾール、N−ビニルカルバゾール等が
挙げられる。
【0053】上記親水基を導入する場合は、適宜中和剤
を使用することが好ましい。酸性基を有する化合物の中
和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化バリウム等の各種水酸化物、トリエチルア
ミン、ジメチルエタノールアミン、トリブチルアミン等
の各種アミン類が挙げられる。
【0054】一方、塩基性基を有する化合物の中和剤と
しては、例えば、蟻酸、酢酸もしくはくえん酸などのよ
うな各種有機酸;または塩酸、ほう酸もしくは硫酸など
の各種無機酸類が挙げられる。
【0055】本発明の製造方法で得られるエネルギー線
硬化性樹脂組成物は、優れた光硬化性を有し、得られた
塗膜の耐溶剤性、その他諸性能を向上させるために、分
散樹脂粒子を架橋粒子とすることで目的を達成した。
【0056】即ち、重合性ビニル基が結合した第4級ア
ンモニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する
自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散した後、架橋剤
を用いて粒子内を架橋させることで、架橋粒子の水分散
体とするものである。その粒子内を架橋させる手法とし
ては、
【0057】例えば、重合性ビニル基が結合した第4級
アンモニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有す
る自己水分散性アクリル樹脂と、粒子架橋剤とを混合し
た後、転相乳化することで、アクリル樹脂と架橋剤から
なる粒子を形成し、その後、アクリル樹脂中の官能基と
粒子架橋剤とを反応させることで架橋粒子とすることが
できる。
【0058】あるいは、重合性ビニル基が結合した第4
級アンモニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有
する自己水分散性アクリル樹脂を転相乳化により分散
し、粒子とした後、粒子架橋剤を添加し、粒子内に浸透
させて反応させることで架橋粒子とすることができる。
【0059】あるいは重合性ビニル基が結合した第4級
アンモニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有す
る自己水分散性アクリル樹脂と、アクリル樹脂と同じ反
応性官能基を2個以上有する化合物とを混合した後、転
相乳化を行って粒子を形成し、その後、粒子架橋剤を添
加し、粒子内に浸透させた後、反応させることで架橋粒
子とすることができる。
【0060】架橋剤と反応し得る官能基としては、前に
挙げた通り、水酸基、グリシジル基、カルボキシル基等
が挙げられ、なかでも水酸基、グリシジル基が、反応が
し易く好ましい。
【0061】該官能基の導入量としては、10〜500
ミリモル/樹脂固形分100グラム(g)なる範囲内が
適切である。この反応性官能基の量が、10ミリモル/
樹脂固形分100グラム(g)未満では、粒子内架橋密
度が低くなり、十分な耐溶剤性が得られない。また50
0ミリモル/樹脂固形分100グラム(g)を超える量
では、アクリル樹脂中に導入できる4級塩量が減少して
分散安定性が乏しくなるとともに、重合性ビニル基量が
自ずから減少して十分な耐溶剤性が得られない。
【0062】また、架橋剤としては、1分子中に、アク
リル樹脂に導入した反応性官能基と反応可能な官能基を
2個以上有する化合物が用いられる。架橋剤の添加量
は、アクリル樹脂に対し重量比1〜50%という範囲内
で、好ましくは、3〜30%という範囲内であることが
好ましい。架橋剤が1%未満では、粒子内架橋密度が低
くなり、十分な耐溶剤性が得られない。また50%を越
える量では、粒子径が大きくなりすぎて均一な分散状態
が得られず、分散安定性、塗膜外観の面から望ましいも
のは得られない。
【0063】例えば、アクリル樹脂中に導入した反応性
官能基が水酸基であるならば、粒子架橋剤は、1分子中
に2官能以上のポリイソシアネート化合物であれば特に
制限無く使用できる。
【0064】1分子中に2官能以上のポリイソシアネー
ト化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシ
アネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フ
ェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、
2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’
−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキ
シ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,
3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネ
ートもしくは1,5−ナフタレンジイソシアネートの如
き、各種の芳香族ジイソシアネート類;1,5−テトラ
ヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジ
イソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソ
シアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネー
トまたは1,4−シクロヘキシレンジイソシアネートあ
るいはイソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシ
リレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジ
イソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート
(水添キシリレンジイソシアネート)、3,3’−ジメ
チル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ートまたはダイマー酸ジイソシアネートの如き、各種の
脂肪族ジイソシアネート類ないしは脂環式ジイソシアネ
ート類;さらには、トリレンジイソシアネートの如き、
前記した各種の芳香族ジイソシアネート類の多量体;ヘ
キサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソ
シアネートの如き、前掲したような各種の脂肪族ないし
は脂環式ジイソシアネート類の多量体;前掲したような
各種の芳香族、脂肪族ないしは脂環式ジイソシアネート
と、トリメチロールプロパンの如き、各種の多価アルコ
ール(ポリオール)との付加物;あるいは、イソシアヌ
レート環を含むポリイソシアネート類;または、イソシ
アネート基含有重合性単量体とそれ以外の重合性単量体
とを、重合開始剤の存在化で共重合させることで得られ
る、ビニル樹脂系のポリイソシアネート化合物などが挙
げられる。これらのポリイソシアネートのうち、芳香族
ポリイソシアネートは水との反応性が高く、取り扱いが
困難となる傾向にあるので、作業性が高い脂肪族および
脂環式ポリイソシアネートの使用がより好ましい。
【0065】イソシアネート基と反応可能な官能基を有
する自己水分散性アクリル樹脂と1分子中にイソシアネ
ート基を2個以上有する化合物を上述のように水分散さ
せた後、分散粒子内でもってウレタン結合させることに
よって、架橋粒子となり、優れた耐溶剤性を得する物が
得られる。
【0066】アクリル樹脂中に導入した水酸基と、2官
能以上のポリイソシアネート化合物との反応は、無触媒
下で行なっても、公知慣用の種々のウレタン化触媒を用
いて行なってもよい。ウレタン化触媒としては、例え
ば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、塩化第一
錫、塩化第二錫、テトラn−ブチル錫、トリn−ブチル
錫アセテート、n−ブチル錫トリクロライド、トリメチ
ル錫ハイドロオキサイド、ジメチル錫ジクロライド、ジ
ブチル錫アセテート、ジブチル錫ジラウレートまたはオ
クテン酸錫などが挙げられる。
【0067】また、アクリル樹脂中に導入した反応性官
能基がグリシジル基であるならば、粒子架橋剤は、1分
子中に、カルボキシル基、1級アミノ基、2級アミノ
基、アミド基等の官能基を2個以上有する化合物であれ
ば特に制限無く使用できる。
【0068】1分子中にカルボキシル基を2個以上有す
る化合物としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ス
ベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、(無水)フタル
酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)グルタル
酸、(無水)マレイン酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、
1,4−シクロへキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無
水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラ
ヒドロ無水フタル酸または2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット
酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5
−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサ
ントリカルボン酸、1,2,5−シクロヘキサントリカ
ルボン酸または2,5,7−ナフタレントリカルボン酸
などの他、カルボキシル基を含む重合性化合物とそれ以
外の重合性化合物とを重合させた、任意の量のカルボキ
シル基を有する樹脂などが挙げられる。
【0069】また、1分子中に1級、2級アミノ基を2
個以上有する含む化合物としては、例えば、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、ピペラジンまたはヒドラジンな
どのような、種々のポリアミン化合物などが挙げられ
る。
【0070】また、1分子中にアミド基を2個以上有す
る化合物としては、例えば、マレイン酸ジアミド、イタ
コン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、ジアセトンアクリ
ルアミドなどの不飽和ジアミドの他、アミド基を含む重
合性化合物とそれ以外の重合性化合物とを重合せしめ
た、任意の量のアミド基を持つ樹脂などが挙げられる。
【0071】これら、粒子内架橋反応は、必要に応じ
て、80℃迄の加温下でもって架橋反応を促進すること
も可能である。
【0072】また、アクリル樹脂中に導入した反応性官
能基がカルボキシル基であるならば、例えば、粒子架橋
剤として、1分子中に、グリシジル基を2個以上有する
化合物であれば特に制限無く使用できる。
【0073】1分子中にグリシジル基を2個以上有する
化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂類、ビスフェノールF型エポキシ樹脂類、ビスフェ
ノールS型エポキシ樹脂類または水添ビスフェノールA
型エポキシ樹脂類;トリグリシジルイソシアヌレート;
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメ
チロールプロパントリグリシジルエーテルの如き、各種
のポリオールのポリグリシジルエーテル類;セバシン酸
ジグリシジルエステルの如き、各種の2塩基酸類のジグ
リシジルエステル類;ノボラックフェノールのグリシジ
ルエーテル類;あるいはグリシジルアミン類などが、特
に代表的なものである。
【0074】粒子架橋剤としては、任意のものを用いる
ことができるが、重合性ビニル基が消失しない条件で、
且つ、水中で、粒子内架橋が進行する架橋剤を選択すべ
きであり、そのような架橋剤として、疎水性ポリイソシ
アネート化合物及び疎水性ポリイソシアネート樹脂から
成る群から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤、また
は、一分子内に2以上の1級ないし2級アミノ基を有す
る架橋剤を使用することが好ましく、さらに、前者は疎
水性の架橋剤であることから、自己水分散性アクリル樹
脂とともに分散させた後に粒子内を架橋させることが、
また、後者は、自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散
させた後に架橋剤を添加し、分散粒子内を架橋させるこ
とが分散粒子を安定に製造できる点からより好ましい。
【0075】本発明においては、得られたアクリル樹脂
を転相乳化させることによって水中に分散させることか
ら、アクリル樹脂の水分散性、すなわち、第4級アンモ
ニウム塩基や親水性基の量を適宜調整することによって
粒子径を0.002〜30μmの範囲で、任意に制御す
ることが可能である。
【0076】こうした中で、本発明における水分散性型
エネルギー線硬化性樹脂組成物の粒子径は、0.01〜
1μmの範囲内であることが望ましい。水分散体の粒子
径を0.01μm未満に形成するのは、この手法では困
難であるし、また1μmを超える範囲では、得られた組
成物は貯蔵安定性に劣るというものである。
【0077】また、有機溶剤は、必要であれば、減圧蒸
留を行い除去することが好ましい。
【0078】本発明は、重合性ビニル基が結合した第4
級アンモニウム塩基を有する自己水分散性アクリル樹脂
の他に、更に必要に応じて0〜50%という範囲内で、
種々の化合物を内包することもできる。内包する化合物
は特に制限はなく、水溶性、油溶性のものも内包するこ
とができるが、具体的には、エネルギー線硬化性化合
物、光(重合)開始剤の他、顔料、着色料、架橋剤、触
媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防錆剤、可塑剤、接着
剤、洗剤、酵素、食品添加物または香料などのような、
鉱工業をはじめとする、種々の産業用素材類;あるいは
除草剤、殺菌剤または殺虫剤などのような、種々の農薬
類;さらには、薬剤や医薬品などのような種々の医療用
品類などが挙げられる。
【0079】これらの中でも、特に反応性希釈剤のよう
なエネルギー線硬化性化合物を内包することは、より強
い耐溶剤性を付与することができ、より好ましい。
【0080】エネルギー線硬化性化合物としては、分子
中に重合性ビニル基を有する化合物であれば特に制限無
く使用できるが、分子中に(メタ)アクリレート基を有
する化合物の使用が反応性が高いことからより好まし
く、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アク
リレート、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、
ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アク
リレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール
ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)ア
クリレートの如き、各種ジ(メタ)アクリレート類;ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたは
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの如
き、各種トリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリ
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレートの如き、各種ポリ
(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
【0081】また、光(重合)開始剤としては、公知慣
用なもので有れば特に制限無く使用できるが、例えば、
アセトフェノン類、ベンゾフェノン誘導体、ミヒラーズ
ケトン、ベンジン、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導
体、ベンゾインメチルエーテル類、α−アシロキシムエ
ステル、チオキサントン類、アンスラキノン類およびそ
れらの各種誘導体などで、例えば4−ジメチルアミノ安
息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、アルコ
キシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベン
ゾフェノン、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−
ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジル、ベンゾ
イン、ベンゾインベンゾエート、ベンゾインアルキルエ
ーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4
−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキ
シ−2−プロピルケトン、チオキサントン、2,4,6
−トリメチルベンゾイルジフェノイルフォスフィンオキ
シド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニ
ル]−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジル−2
−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−
ブタノン−1等が挙げられる。
【0082】光(重合)開始剤は、本発明のエネルギー
線アクリル硬化性樹脂に対して、0.05〜20重量
%、好ましくは、0.5〜10重量%の範囲内で添加さ
れる。
【0083】また、こうした光(重合)開始剤に公知慣
用の光増感剤をも併用することができる。光増感剤とし
ては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐
化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他
の含窒素化合物などが挙げられる。
【0084】これら種々の化合物を内包する際には、転
相乳化操作の前に、予め、アクリル樹脂と共に有機溶剤
溶液の状態で混合しておくのが好ましい。混合は、公知
慣用の撹拌操作によればよく、しかも、均一に混合され
ているという程度であればよい。この状態で転相乳化を
行うことで、化合物が微細分散化された状態のまま、球
形粒子の内部に、均一に取り込まれるということにな
る。また、この時の粒子表面には、親水性基が局在化す
るため、いわゆるカプセル化粒子として、水中に安定に
分散する処となる。
【0085】本発明のエネルギー線硬化性樹脂組成物
は、樹脂塗布後、常温乾燥若しくは必要に応じて90℃
までの熱風下で水を気散せしめることで、透明で、しか
も、タックのない塗膜を形成する。この時、水媒体を完
全に気散せずとも、約30%の水を気散させた状態で、
エネルギー線硬化反応を行うことが可能である。
【0086】これに電子線またはγ線を照射すること
で、あるいは、更に光(重合)開始剤を添加し、紫外線
を照射することで容易に硬化し、耐溶剤性、機械的物性
に優れた塗膜を形成する。
【0087】こうして得られた塗膜は、機械的物性また
は耐溶剤性、耐薬品性、耐水性に優れ、塗面も平滑であ
り、様々な用途に使用することが出来る。
【0088】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
により、より一層具体的に説明するが、以下において特
に断りのない限り、部及び%は、すべて、重量基準であ
るものとする。
【0089】《参考例1》(3級アミノ基含有自己水分
散性アクリル樹脂の調製例) メチルエチルケトンの100部を反応器に入れ、加熱し
て80℃とし、次いで、以下に示した割合の混合物を、
窒素雰囲気下で撹拌しながら約4時間に亘って滴下し
た。
【0090】 メタクリル酸ジメチルアミノエチル 28.00部 メタクリル酸ヒドロキシエチル 6.95部 アクリル酸−n−ブチル 21.65部 メタクリル酸−n−ブチル 43.40部 「パーブチル O」[日本油脂(株)製の過酸化物 2.00部 の商品名] 滴下終了の1時間後に、「パーブチル O」の0.25
部を反応系中に加え、その2時間後、「パーブチル
O」の0.25部を更に加え、次いで、80℃に保持し
たまま12時間反応を続行させた。反応終了後、不揮発
分が50%、3級アミノ基含有量が178ミリモル/樹
脂固形分100gで、且つ、水酸基含有量が53.4ミ
リモル/樹脂固形分100gである、アクリル共重合体
のメチルエチルケトン溶液を得た。このもののゲル・パ
ーミネーション・クロマトグラフィー(GPC)測定に
よる重量平均分子量は37000であった。
【0091】《参考例2》(3級アミノ基含有自己水分
散性アクリル樹脂の調製例) 参考例1において、以下に示した割合の混合物を用いた
以外は、参考例1と同様にして反応させた。
【0092】 メタクリル酸−ジメチルアミノエチル 28.00部 メタクリル酸ヒドロキシエチル 27.80部 アクリル酸−n−ブチル 28.00部 メタクリル酸−n−ブチル 16.20部 「パーブチル O」 2.00部 反応終了後、不揮発分が50%、3級アミノ基含有量が
178ミリモル/樹脂固形分100gで、且つ、水酸基
含有量が214ミリモル/樹脂固形分100gである、
アクリル共重合体のメチルエチルケトン溶液を得た。こ
のもののGPC測定による重量平均分子量は37000
であった。
【0093】《参考例3》(カルボキシル基含有自己水
分散性アクリル樹脂の調製例) 参考例1において、以下に示した割合の混合物を用いた
以外は、参考例1と同様にして反応させた。
【0094】 メタクリル酸 16.90部 メタクリル酸ヒドロキシエチル 25.50部 アクリル散−n−ブチル 43.04部 メタクリル酸−n−ブチル 14.56部 「パーブチル O」 2.00部 反応終了後、不揮発分が50%、カルボキシル基含有量
が196ミリモル/樹脂固形分100gで、且つ、水酸
基含有量が196ミリモル/樹脂固形分100gであ
る、アクリル共重合体のメチルエチルケトン溶液を得
た。このもののGPC測定による重量平均分子量は40
000であった。
【0095】《参考例4》(グリシジル基含有アクリル
樹脂の調製例) 参考例1において、以下に示した割合の混合物を用いた
以外は、参考例1と同様にして反応させた。
【0096】 メタクリル酸グリシジル 25.30部 アクリル散−n−ブチル 26.81部 メタクリル酸−n−ブチル 47.89部 「パーブチル O」 2.00部 反応終了後、不揮発分が50%、グリシジル基含有量が
178ミリモル/樹脂固形分100gである、アクリル
共重合体のメチルエチルケトン溶液を得た。このものの
GPC測定による重量平均分子量は39000であっ
た。
【0097】《実施例1》(メタクリロイル基含有第4
級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性樹脂組成物
の製造方法) 参考例1で得た3級アミノ基含有アクリル自己分散性樹
脂のメチルエチルケトン溶液200部に、p−メトキシ
フェノール0.02部、メタクリル酸グリシジル25.
31部及び酢酸10.7部を加え、空気のバブリング
下、60℃で5時間4級化反応を行った。反応終了後、
第4級アンモニウム塩基含有量が178ミリモル/樹脂
固形分100g、水酸基含有量が53.4ミリモル/樹
脂固形分100g、かつ、第4級アンモニウム塩基に結
合したメタクリロイル基含有量が178ミリモル/樹脂
固形分100gである、自己水分散性アクリル樹脂のメ
チルエチルケトン溶液を得た。次に、このようにして得
た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液
に、「バーノックDN−980」[大日本インキ化学工
業(株)製のポリイソシアネート]13.33部(有効
成分10部)およびジブチル錫ラウレート2滴を加え、
よく撹拌した。この混合物に350部の水を滴下して転
相乳化を行い、減圧蒸留にてメチルエチルケトンを系内
から取り除いた後、粒子内の水酸基とイソシアネート基
を反応させ、更に濃縮することによって、不揮発分35
%のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物を得た。
【0098】《実施例2》(アクリル、メタクリロイル
基含有第4級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性
樹脂組成物の製造方法) 参考例3で得たカルボキシル基含有アクリル自己分散性
樹脂のメチルエチルケトン溶液200部に、p−メトキ
シフェノール0.02部、メタクリル酸グリシジル2
5.31部及びジメチルアミノエチルアクリレート1
5.86部を加え、空気のバブリング下、60℃で5時
間、第4級アンモニウム塩化反応を行った。反応終了
後、第4級アンモニウム塩基含有量が178ミリモル/
樹脂固形分100g、水酸基含有量が196ミリモル/
樹脂固形分100g、また第4級アンモニウム塩基に結
合したメタクリロイル基含有量が178ミリモル/樹脂
固形分100g、かつ、第4級アンモニウム塩基に結合
したアクリロイル基含有量が178ミリモル/樹脂固形
分100gである、自己水分散性アクリル樹脂のメチル
エチルケトン溶液を得た。次に、このようにして得た自
己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液に、
「バーノックDN−980」[大日本インキ化学工業
(株)製のポリイソシアネート]10部およびジブチル
錫ラウレート2滴を加え、よく撹拌した。この混合物に
350部の水を滴下して転相乳化を行い、減圧蒸留にて
メチルエチルケトンを系内から取り除き、更に濃縮する
ことによって、不揮発分35%のエネルギー線硬化性ア
クリル樹脂組成物を得た。
【0099】《実施例3》(アクリル、メタクリロイル
基含有第4級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性
樹脂組成物反応基増量タイプの製造方法) 参考例2で得た3級アミノ基含有アクリル自己分散性樹
脂のメチルエチルケトン溶液200部、p−メトキシフ
ェノール0.02部、メタクリル酸グリシジル25.3
1部及びアクリル酸12.8部を加え、空気のバブリン
グ下、60℃で5時間第4級アンモニウム塩化反応を行
った。反応終了後、第4級アンモニウム塩基含有量が1
78ミリモル/樹脂固形分100g、水酸基含有量が2
14ミリモル/樹脂固形分100g、かつ、第4級アン
モニウム塩基に結合したメタクリロイル基含有量が17
8ミリモル/樹脂固形分100g、さらに第4級アンモ
ニウム塩基に結合したアクリロイル基含有量が178ミ
リモル/樹脂固形分100gである、自己水分散性アク
リル樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。次に、この
ようにして得た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチ
ルケトン溶液に、「カレンズ MOI」27.63部
[昭和電工(株)製の2−メタクリロイルオキシエチル
イソシアネートの商品名]を加え、更にジブチル錫ラウ
レート2滴を加えてよく撹拌し、約3時間主樹脂中の水
酸基とイソシアネート基の反応を行った。反応終了後、
第4級アンモニウム塩基含有量が178ミリモル樹脂固
形分100g、水酸基含有量が36ミリモル/樹脂固形
分100g、また、第4級アンモニウム塩基に結合した
メタクリロイル基含有量が178ミリモル/樹脂固形分
100g、第4級アンモニウム塩基に結合したアクリロ
イル基含有量が178ミリモル/樹脂固形分100g、
さらに主樹脂鎖に結合したメタアクリロイル基含有量が
178ミリモル/樹脂固形分100g、即ちエネルギー
線硬化性基534ミリモル/樹脂固形分100gであ
る、自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶
液を得た。次に、このようにして得た自己水分散性アク
リル樹脂のメチルエチルケトン溶液に、「バーノックD
N−980」[大日本インキ化学工業(株)製のポリイ
ソシアネート]10部およびジブチル錫ラウレート2滴
を加えよく撹拌した。この混合物に350部の水を滴下
して転相乳化を行い、減圧蒸留にてメチルエチルケトン
を系内から取り除き、更に濃縮することによって、不揮
発分35%のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物を
得た。
【0100】《実施例4》(アクリル基含有第4級アン
モニウム塩結合型エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造
方法) 参考例4で得たグリシジル基含有アクリル樹脂のメチル
エチルケトン溶液の200部にp−メトキシフェノール
0.02部、酢酸8.55部及びジメチルアミノエチル
アクリレート20.4部を加え、空気のバブリング下、
60℃で5時間第4級アンモニウム塩化反応を行った。
反応終了後、第4級アンモニウム塩基含有量が142ミ
リモル/樹脂固形分100g、第4級アンモニウム塩基
に結合したアクリロイル基含有量が142ミリモル/樹
脂固形分100gである、自己水分散性アクリル樹脂の
メチルエチルケトン溶液を得た。次に、このようにして
得た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶
液に、350部の水を滴下して転相乳化させた後、ジエ
チレントリアミン1.1部を加え、60℃で2時間グリ
シジル基とアミノ基を反応させた。反応終了後、減圧蒸
留にてメチルエチルケトンを系内から取り除き、更に濃
縮することによって、不揮発分35%のエネルギー線硬
化性アクリル樹脂組成物を得た。
【0101】《比較例1》(メタクリロイル基含有第4
級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性樹脂組成物
の製造方法) 参考例1で得た3級アミノ基含有アクリル樹脂のメチル
エチルケトン溶液200部にp−メトキシフェノール
0.02部、メタクリル酸グリシジル25.31部及び
酢酸10.7部を加え、空気のバブリング下、60℃で
5時間第4級アンモニウム塩化反応を行った。反応終了
後、第4級アンモニウム塩基含有量が178ミリモル/
樹脂固形分100g、水酸基含有量が53.4ミリモル
/樹脂固形分100g、かつ、第4級アンモニウム塩基
の結合したメタクリロイル基含有量が178ミリモル/
樹脂固形分100gである、自己水分散性アクリル樹脂
のメチルエチルケトン溶液を得た。次に、このようにし
て得た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン
溶液に、350部の水を滴下し、転相乳化させた後、減
圧蒸留にてメチルエチルケトンを系内から取り除き、更
に濃縮することによって、不揮発分35%のエネルギー
線硬化性アクリル樹脂組成物を得た。
【0102】《比較例2》(アクリル、メタクリロイル
基含有第4級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性
樹脂組成物の製造方法) 参考例3で得たカルボキシル基含有アクリル樹脂のメチ
ルエチルケトン溶液200部にp−メトキシフェノール
0.02部、メタクリル酸グリシジル25.31部及び
ジメチルアミノエチルアクリレート15.86部を加
え、空気のバブリング下、60℃で5時間、第4級アン
モニウム塩化反応を行った。反応終了後、第4級アンモ
ニウム塩基含有量が178ミリモル/樹脂固形分100
g、水酸基含有量が196ミリモル/樹脂固形分100
g、また第4級アンモニウム塩基に結合したメタクリロ
イル基含有量が178ミリモル/樹脂固形分100g、
かつ、第4級アンモニウム塩基に結合したアクリロイル
基含有量が178ミリモル/樹脂固形分100gであ
る、自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶
液を得た。次に、このようにして得た自己水分散性アク
リル樹脂のメチルエチルケトン溶液に、350部の水を
滴下して転相乳化させた後、減圧蒸留にてメチルエチル
ケトンを系内から取り除き、更に濃縮することによっ
て、不揮発分35%のエネルギー線硬化性アクリル樹脂
組成物を得た。
【0103】《比較例3》(アクリル、メタクリロイル
基含有第4級アンモニウム塩結合型エネルギー線硬化性
樹脂組成物反応基増量タイプの製造方法) 参考例2で得た3級アミノ基基含有アクリル樹脂のメチ
ルエチルケトン溶液200部にp−メトキシフェノール
0.02部、メタクリル酸グリシジル25.31部及び
アクリル酸12.8部を加え、空気のバブリング下、6
0℃で5時間第4級アンモニウム塩化反応を行った。反
応終了後、第4級アンモニウム塩基含有量が178ミリ
モル/樹脂固形分100g、水酸基含有量が214ミリ
モル/樹脂固形分100g、かつ、第4級アンモニウム
塩基に結合したメタクリロイル基含有量が178ミリモ
ル/樹脂固形分100g、さらに第4級アンモニウム塩
基に結合したアクリロイル基含有量が178ミリモル/
樹脂固形分100gである、自己水分散性アクリル樹脂
のメチルエチルケトン溶液を得た。次に、このようにし
て得た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン
溶液に、次いで「カレンズ MOI」27.63部[昭
和電工(株)製の2−メタクリロイルオキシエチルイソ
シアネートの商品名]を加え、ジブチル錫ラウレート2
滴を加えてよく撹拌し、約3時間主樹脂中の水酸基とイ
ソシアネート基の反応を行った。反応終了後、第4級ア
ンモニウム塩基含有量が178ミリモル樹脂固形分10
0g、水酸基含有量が36ミリモル/樹脂固形分100
g、また、第4級アンモニウム塩基に結合したメタクリ
ロイル基含有量が178ミリモル/樹脂固形分100
g、第4級アンモニウム塩基に結合したアクリロイル基
含有量が178ミリモル/樹脂固形分100g、さらに
主樹脂鎖に結合したメタアクリロイル基含有量が178
ミリモル/樹脂固形分100g、即ちエネルギー線硬化
性基534ミリモル/樹脂固形分100gである、自己
水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液を得
た。次に、このようにして得た自己水分散性アクリル樹
脂のメチルエチルケトン溶液に、350部の水を滴下し
て転相乳化させた後、減圧蒸留にてメチルエチルケトン
を系内から取り除き、更に濃縮することによって、不揮
発分35%のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物を
得た。
【0104】《比較例4》(アクリル基含有第4級アン
モニウム塩結合型エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造
方法) 参考例4で得たグリシジル基含有アクリル樹脂のメチル
エチルケトン溶液200部にp−メトキシフェノール
0.02部、酢酸8.55部及びジメチルアミノエチル
アクリレート20.4部を加え、空気のバブリング下、
60℃で5時間第4級アンモニウム塩化反応を行った。
反応終了後、第4級アンモニウム塩基含有量が142ミ
リモル/樹脂固形分100g、第4級アンモニウム塩基
に結合したアクリロイル基含有量が142ミリモル/樹
脂固形分100gである、自己水分散性アクリル樹脂の
メチルエチルケトン溶液を得た。次に、このようにして
得た自己水分散性アクリル樹脂のメチルエチルケトン溶
液に、350部の水を滴下して転相乳化させた後、減圧
蒸留にてメチルエチルケトンを系内から取り除き、更に
濃縮することによって、不揮発分35%のエネルギー線
硬化性アクリル樹脂組成物を得た。
【0105】《評価方法》 (1)粒径測定 各実施例及び比較例で得たエネルギー線硬化性アクリル
樹脂組成物を、「マイクロトラック(MICROTRA
C)9230UPA−150」[日機装社販売のレーザ
ードップラー式粒度分布計]を用いて測定した。
【0106】(2)粒子内架橋 各実施例及び比較例で得たエネルギー線硬化性アクリル
樹脂組成物(分散液)1部にテトラヒドロフランの3部
を加えてよく混合した溶液の濁度から、粒子内架橋の有
無を判断した。すなわち、溶液が濁るものを粒子内架橋
有り、透明になるものを粒子内架橋無しとした。
【0107】(3)水分散性 各実施例及び比較例で得たエネルギー線硬化性アクリル
樹脂組成物を1週間室温で静置し、凝集物、沈降物の存
在の有無から水分散性を評価した。
【0108】(4)耐溶剤性 (4−1)試験片作成 各実施例及び各比較例で得たエネルギー線硬化性アクリ
ル樹脂組成物100部(樹脂固形分)に「イルガキュア
2959」[チバガイギー社製光開始剤(4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−
プロピルケトン)の商品名]4部を添加した塗料を各々
調整した。この塗料を、乾燥後の膜厚が40μmとなる
ようにガラス板上に塗布し、30分常温にて乾燥させた
後、照射量50、100、150、200、250及び
300mJ/cm2の紫外線を各々照射して得た塗膜を
試験片とした。
【0109】(4−2)ラビング試験 上記で得た各試験片の塗膜(膜厚40μm)を「ラビン
グテスター」[太平理化工業(株)製のラビング試験
機]を用い、1kgの加重下において、メチルエチルケ
トンを浸したフェルトでガラス基盤上の塗膜を擦り、ガ
ラス面が露出するまでの回数を示した。表1には、照射
量300mJ/cm2の紫外線を照射して得た塗膜の結
果を、図1には、各照射量とラビング回数との関係を図
表化して示した。
【0110】(4−3)溶剤ゲル分率 上記で得た照射量300mJ/cm2の各試験片の塗膜
(膜厚40μm)を、メチルエチルケトン(MEK)溶
液にて2時間煮沸処理した後の塗膜残量を、重量100
分率で示した。
【0111】
【表1】
【0112】表1に示した結果から、本発明の製造方法
で得たエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物は、水分
散性に優れており、得られた塗膜は優れた耐溶剤性を示
した。
【0113】
【発明の効果】本発明の製造方法に従って得られるエネ
ルギー線硬化性樹脂組成物は、エネルギー線硬化性基を
多量に導入できる上、水分散性に優れるものである。ま
た、光硬化性は良好な上、得られた塗膜は耐溶剤性に優
れる、極めて実用性の高いものである。
【0114】
【図面の簡単な説明】
【図1】各実施例及び各比較例で得たエネルギー線硬化
性アクリル樹脂組成物からなる硬化塗膜のメチルエチル
ケトンのラビング試験結果と紫外線照射量との関係を示
す図表である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性ビニル基が結合した第4級アンモ
    ニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己
    水分散性アクリル樹脂を水中に分散させた後、分散粒子
    内を架橋させることを特徴とするエネルギー線硬化性ア
    クリル樹脂組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 疎水性の架橋剤を自己水分散性アクリル
    樹脂と共に水中に分散させる請求項1記載のエネルギー
    線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 疎水性の架橋剤として、疎水性ポリイソ
    シアネート化合物及び疎水性ポリイソシアネート樹脂か
    ら成る群から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤を用い
    る請求項2記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散
    させた後、架橋剤を添加し、分散粒子内を架橋させる請
    求項1記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 自己水分散性アクリル樹脂を水中に分散
    させた後に添加する架橋剤が、一分子内に2以上の1級
    ないし2級アミノ基を有する架橋剤である請求項4記載
    のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 重合性ビニル基が結合した第4級アンモ
    ニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己
    水分散性アクリル樹脂が、分子中に3級アミノ基及び重
    合性ビニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官
    能基及び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合
    性組成物からなるアクリル樹脂と、カルボキシル基を有
    する化合物及びグリシジル基を有する化合物との4級化
    反応によって得られる自己水分散性アクリル樹脂であっ
    て、かつ、カルボキシル基を有する化合物、グリシジル
    基を有する化合物のうち少なくともいずれか一つが重合
    性ビニル基を併せ有するものである請求項1〜5のいず
    れか1項に記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成
    物の製造方法。
  7. 【請求項7】 重合性ビニル基が結合した第4級アンモ
    ニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己
    水分散性アクリル樹脂が、分子中にグリシジル基及び重
    合性ビニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る官
    能基及び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重合
    性組成物からなるアクリル樹脂と、3級アミノ基を有す
    る化合物及びカルボキシル基を有する化合物との4級化
    反応によって得られる自己水分散性アクリル樹脂であっ
    て、かつ、3級アミノ基を有する化合物、カルボキシル
    基を有する化合物のうち少なくともいずれか一つが重合
    性ビニル基を併せ有するものである請求項1〜5のいず
    れか1項に記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成
    物の製造方法。
  8. 【請求項8】 重合性ビニル基が結合した第4級アンモ
    ニウム塩基及び架橋剤と反応し得る官能基を有する自己
    水分散性アクリル樹脂が、分子中にカルボキシル基及び
    重合性ビニル基を有する化合物と、架橋剤と反応し得る
    官能基及び重合性ビニル基を有する化合物を含有する重
    合性組成物からなるアクリル樹脂と、3級アミノ基を有
    する化合物及びグリシジル基を有する化合物との4級化
    反応によって得られる自己水分散性アクリル樹脂であっ
    て、かつ、3級アミノ基を有する化合物、グリシジル基
    を有する化合物のうち少なくともいずれか一つが重合性
    ビニル基を併せ有するものである請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載のエネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物
    の製造方法。
JP33009697A 1997-12-01 1997-12-01 エネルギー線硬化性アクリル樹脂組成物の製造方法 Pending JPH11158223A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002173516A (ja) * 2000-12-05 2002-06-21 Mitsubishi Chemicals Corp 活性エネルギー線硬化型水性エマルジョン組成物
US6509133B1 (en) * 1999-03-25 2003-01-21 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Lithographic printing plate and image forming method
JP2004010779A (ja) * 2002-06-07 2004-01-15 Nippon Paint Co Ltd 紫外線硬化型水性塗料組成物
JP2015059160A (ja) * 2013-09-18 2015-03-30 新中村化学工業株式会社 アクリレート系共重合体及びそれを含む樹脂組成物、並びに受容層付き基板

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