JPH111503A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
塩化ビニル系重合体の製造方法Info
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- JPH111503A JPH111503A JP15818097A JP15818097A JPH111503A JP H111503 A JPH111503 A JP H111503A JP 15818097 A JP15818097 A JP 15818097A JP 15818097 A JP15818097 A JP 15818097A JP H111503 A JPH111503 A JP H111503A
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Abstract
かつ生産性に優れた塩化ビニル系重合体の製造方法を提
供する。 【解決手段】(a)水溶性もしくは水分散性の高分子懸
濁分散安定剤液を総量の20%以内の水と共に重合反応
器に仕込み、(b)次いで予め脱気した温水と、塩化ビ
ニル系単量体とを同時に又は温水を僅かに早く仕込み始
め、(c)塩化ビニル系単量体の仕込み開始と同時に、
油溶性開始剤を塩化ビニル系単量体ラインに導入して仕
込む。
Description
の製造方法に関するものであり、更に詳細には重合安定
性に優れ、フィッシュアイが少なく、かつ生産性に優れ
た塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
ンスに優れているため、軟質分野、硬質分野等種々の広
範な分野で利用されている。例えば軟質分野では電線被
覆、ラップフィルム、シート等、硬質分野ではパイプ、
窓枠、フィルム等である。一方、材料としての塩化ビニ
ル系樹脂は安価なことが必須要件である汎用樹脂であ
り、製造コストを下げるために従来から様々な重合生産
性の向上手段が図られてきた。例えば重合器の容量を大
きくして一生産あたりの生産量を多くする方法、塩化ビ
ニル系単量体を先に仕込み、続いて脱気された温水を仕
込むことにより昇温時間を短縮して生産性を上げる方
法、さらに塩化ビニル系単量体と脱気された温水を同時
に仕込むことにより仕込み及び昇温時間を短縮して生産
性を上げる方法等が提案されている。
は、予め加温された水性媒体(分散剤を水に溶解した混
合物)と、塩化ビニル系単量体と開始剤の均一混合物と
を同時に仕込むことにより昇温時間を短縮して生産性を
上げる方法、特公昭60ー26488号には、分散剤
の全量を溶解した水と開始剤の全量を溶解した塩化ビニ
ル系単量体の仕込み時期に若干の時差を設け、両者の仕
込み終了時点に所定温度になるようにして生産性を上げ
る方法、特開昭60ー158207号には、開始剤を
含有する塩化ビニル系単量体と分散剤を含有する水とを
50℃以下で予備混合し、この混合物を熱交換器にて反
応温度まで昇温しながら重合器に仕込む方法、特開平
1ー172407号には、塩化ビニル系単量体の仕込み
中に分散剤の少なくとも20%を仕込むとともに、重合
器内の塩化ビニル系単量体の水に対する重量比が1.5
以下の間に開始剤を全量仕込む方法等が開示されてい
る。
の方法では、塩化ビニル系単量体と開始剤の均一混合に
塩化ビニル系単量体の貯蔵タンクとは別のタンクや特殊
な混合器を必要とし仕込み操作が煩雑となるばかりでな
く、重合器に仕込むと同時に開始反応が急激に進行する
とともに、分散剤が水中に分散した単量体油滴表面に均
一に拡散して安定な保護層を形成する時間的余裕がない
ため重合安定性に乏しく、粗粒分が多かったり、フィッ
シュアイが増加するといった欠点があった。
開始剤の全量を溶解した塩化ビニル系単量体と水の仕込
み時期に若干の時差を設けてはいるものの、前記特公昭
62ー39601号の方法と同様の欠点があった。特開
平1ー172407号の方法は上記、の改良方法で
あるが、分散剤の仕込み時期が単量体の仕込み時期に対
して遅れることに起因し、重合安定性が損なわれる傾向
にある。
は水と塩化ビニル系単量体の予備混合後、この混合物を
熱交換器で反応温度まで昇温するため熱交換に時間がか
かり、生産性向上効果が思ったほどには望めない。この
ように、分散剤を含む温水と開始剤を含む塩化ビニル系
単量体とを同時に、または若干の時差を設けて仕込む方
法は、生産性向上には効果があるものの、重合安定性に
乏しい、粗粒分が多い、フィッシュアイが増加する、等
の問題点を有する上、重合安定性を高めるために多量の
分散剤を必要としコストアップになるという問題点があ
る。
50〜80℃に加温脱気された水を仕込む方法、特公昭
58ー50603号には、分散剤と冷水を仕込み、次い
で塩化ビニル系単量体を仕込み、最後に加温された水を
仕込む方法が開示されている。しかしながら特開昭58
ー21408号は、開始剤を含んだ塩化ビニル系単量体
が仕込み中に重合器内壁と直接接触するため膜状スケー
ルを発生し易く、これによってジャケットによる重合熱
の除去能力が著しく低下するため重合時間を短縮するこ
とができないという問題がある。
ュアイ改良効果はあるものの仕込みに時間がかかるた
め、稼働率の点では不利であるという問題点を有してい
た。
に鑑みてなされたものであり、温水と塩化ビニル系単量
体を同時に仕込む方法の有する問題点、即ち重合器内面
へのスケール付着、重合安定性の低下、粗粒の発生、フ
ィッシュアイの増加等の生産上及び品質上の問題を生じ
ることなく仕込み時間を短縮し、重合稼働率を向上し、
生産性の高い塩化ビニル系重合体の製造方法を提供する
ことを目的とし、換言すれば、品質上の諸問題と生産性
の相反する要素をバランス良く向上させることを目的と
する。
諸問題と生産性の相反する要素をバランス良く向上させ
るために鋭意検討した結果、特定の仕込み方法を採用す
ることによって品質上の問題点生じることなく生産性を
大幅に向上させることが可能であることを見いだし、本
発明に到った。
塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単
量体との混合物(以下、両者を塩化ビニル系単量体と記
す)を水性媒体中で懸濁重合するに際し、(a)温度が
0〜50℃の水を使用総量の20重量%を越えない範囲
で重合反応器に仕込むと同時に、水溶性もしくは水分散
性の高分子懸濁分散安定剤(以下、分散剤と記す)の水
溶液もしくは水分散液を重合反応器に仕込んでから該重
合反応器を脱気し、(b)予め脱気した温水と、塩化ビ
ニル系単量体とを同時に又は温水を僅かに早く仕込み始
め、(c)塩化ビニル系単量体の仕込み開始と同時に、
油溶性開始剤を専用計量ラインを通じて塩化ビニル系単
量体ラインに導入して仕込む、ことを特徴とする塩化ビ
ニル系重合体の製造方法を内容とする。
散剤として部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、スチレンーマ
レイン酸共重合体、ゼラチン、デンプン等を用いる。更
に好ましくは上記分散剤のうち少なくとも一種とポリエ
チレンオキサイドを組み合わせて用いる。
た温水を仕込み始めてから、塩化ビニル系単量体を仕込
み始めるまでの時間が2分以内である場合において品質
及び生産性の向上に対し顕著な効果が発揮される。
(a)工程として温度が0〜50℃の水を使用総量の2
0重量%を越えない範囲で重合反応器に仕込むと同時
に、水溶性もしくは水分散性の分散剤の水溶液もしくは
水分散液を重合反応器に仕込んだ後、該重合反応器を脱
気する。この際、(a)工程を実施せずに、例えば塩化
ビニル系単量体と全量の温水を始めから同時に仕込む方
法では、生産性は向上するものの重合器内部管壁等に付
着するスケールが多く、フィッシュアイの改良効果は必
ずしも十分ではない。また、(b)工程以降の工程の途
中や終了後に分散剤の水溶液もしくは水分散液を仕込み
始める方法では、水中に分散した単量体油滴表面に分散
剤が均一に拡散して安定な保護層を形成する時間的余裕
がないため重合安定性に乏しく、粗粒分が多かったり、
フィッシュアイが増加するので好ましくない。従って分
散剤の水溶液もしくは水分散液は、予め使用総量の20
重量%以内の水とともに重合器内に仕込んでおくのが良
い。このように、分散剤の水溶液もしくは水分散液を予
め使用総量の20重量%以内の水とともに重合器内に仕
込んでおくことによって重合が安定化され、粗粒分が減
少し粒度分布を狭くすることが可能となる。予め仕込ん
でおく水の量が使用総量の20重量%を越えると、全仕
込みを終了した時点での反応混合液の温度が下がりすぎ
るため、所定の反応温度まで昇温するのに時間がかか
り、生産性の向上という面で効果が薄れる。
範囲とすることが必要であり、この温度範囲の水を用い
ることによって重合安定性が十分に確保され、粗粒分や
フィッシュアイを著しく改良することが可能となる。こ
の温度が50℃を越えると、次の(c)工程で塩化ビニ
ル系単量体とともに仕込まれる油溶性開始剤が一気に分
解し、単量体の仕込み後あまりにも速く重合が開始し
て、重合安定性が損なわれたり、重合器内の管壁スケー
ル、粗粒分やフィッシュアイが増加し好ましくない。
と、塩化ビニル系単量体とを同時に又は温水を僅かに早
く仕込み始める。脱気した温水と塩化ビニル系単量体は
同時に仕込み始めても良いが、温水を若干早く仕込み始
めるのが好ましい。この時間差が長くなると仕込みに要
する時間が長くなり、生産性の向上という面では効果が
薄れることになる。従って時差は2分以内とするのが良
い。
する時間は特に制約はないが、特に塩化ビニル単量体の
ように、重合器内で温水と接触することによって一気に
昇圧する単量体を用いる場合には、用いるポンプの揚程
能力によっては仕込みが困難となる場合がある。従っ
て、所望の仕込み時間に適した揚程能力及び仕込能力を
有するポンプを用いる必要がある。
総量は特に制約はなく、重合安定性を損なわない範囲で
生産性及び品質を両立し得るように決めれば良い。例え
ば重合開始時の水の総量を塩化ビニル系単量体に対する
水の重量比で0.8〜1.5とすれば良く、さらに重合
の進行に伴い、塩化ビニル系単量体と該重合体との比重
差によりスラリー容積は減少するが、その減少量を越え
ない範囲で水を連続的、間欠的、あるいは一括して追加
することもなんら差し支えない。
ビニル系単量体の仕込み開始と同時に、油溶性開始剤を
専用計量ラインを通じて塩化ビニル系単量体ラインに導
入して仕込む。油溶性開始剤は塩化ビニル系単量体の仕
込みと実質的に同時に開始する。油溶性開始剤の仕込み
に要する時間には特に制約はないが、塩化ビニル系単量
体の仕込み時間の40%(例えば塩化ビニル系単量体の
仕込み時間が25分の場合には10分)以内、好ましく
は30%(同、7.5分)以内とするのが良い。
単量体の仕込みラインに接続される。即ち、油溶性開始
剤と塩化ビニル系単量体は重合器の直前で合流、混合さ
れて重合器内に導入される。従来、油溶性開始剤を塩化
ビニル系単量体と均一に混合して重合器に仕込むという
方法が提案されているが、その方法では均一混合するた
めの別タンクや特別な計量設備を必要とするため実用的
とは言えない。また、開始剤を含んだ単量体は開始剤の
分解による開始反応を避けるためにできるだけ低温に保
っておかなければならないといった不都合も生じる。
分散剤としては、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カル
ボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ
アクリル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、スチレ
ンーマレイン酸共重合体、ゼラチン、デンプン等が挙げ
られる。分散剤を単独で用いる場合には、その使用量を
かなり多くしないと初期分散時の単量体油滴保護力が弱
く、これらのうち少なくとも一種とポリエチレンオキサ
イドを組み合わせることで十分な保護力が確保される。
00重量部あたり0.005〜0.1重量部、好ましく
は0.01〜0.08重量部である。この量が0.00
5重量部未満では初期の単量体の分散力が不足し、生成
する樹脂の粗粒分が増加する。また0.1重量部を越え
ると分散力が強すぎていわゆる過分散となり、生成する
樹脂の粒度分布が広くなったり、微粒子が増加する。
場合、その量は塩化ビニル系単量体100重量部あたり
0.001〜0.02重量部、好ましくは0.002〜
0.01重量部である。この量が0.001重量部未満
では初期分散した単量体の保護力が不足するため、生成
する樹脂の粗粒分が増加したり、極端な場合には重合が
正常に行われず全体が凝塊となることがある。また0.
02重量部を越えると保護力が強すぎて、生成する樹脂
の粒度分布が広くなったり、微粒子が増加する。
はケン化度が60〜95%、重合度400〜4000の
部分ケン化ポリ酢酸ビニルと平均分子量60万以上のポ
リエチレンオキサイドとの組み合わせが挙げられる。本
発明において攪拌操作は(b)工程の開始と同時に行
い、重合器内の塩化ビニル系単量体油滴を攪拌剪断力に
よって温水中に分散させ、なるべく早く均質化すること
が重要である。攪拌速度は攪拌翼の形状によっても異な
るが、5m/sec以上の攪拌翼周速度で行うと本発明
の効果を容易に発現できる。5m/sec未満の攪拌翼
周速度では分散系の均質化が不完全となり、フィッシュ
アイの増加、粒度分布の拡大、粗粒や微粒子の増加等を
きたす。5m/sec以上の攪拌翼周速度を維持するに
好適な攪拌翼は、傾斜パドル又はブルーマージン翼であ
る。
用するが、温水の温度は50〜80℃が好ましく、重合
制御が可能な限り高くすることが生産性向上の面から好
ましい。仕込み工程の途中で所定重合温度に到達し、重
合が開始された状態となっている場合には、従来の除熱
方式、例えばジャケットによる除熱、還流凝縮器による
除熱、内部ジャケットによる除熱等を利用して、重合反
応を制御すれば良い。
のを使用すれば良いが、これらの開始剤のうち10時間
半減期温度が30〜65℃のものを1種又は2種以上使
用するのが好ましい。開始剤の使用量はその種類や重合
温度によっても異なるが、塩化ビニル系単量体100重
量部あたり0.005〜0.5重量部が好ましい。この
量の開始剤を使用することにより、重合時間を6時間以
下とすることができる。このような重合開始剤として
は、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイ
ド、2,4,4トリメチルペンチル−2−パーオキシネ
オデカノエート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジ
カーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジ
カーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の有
機過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビス−2,4,−ジメチルバレロニトリル等のアゾ系
開始剤が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合
わせて用いることができる。
専用ラインにて計量され、塩化ビニル系単量体の仕込ラ
インに切り込み重合器に導入される。重合反応をなるべ
く早く開始し、昇温時間、全重合時間を短縮するために
は、開始剤の仕込みタイミングはなるべく早く実施する
のが良いが、計量精度を維持するには全重合時間の40
%以内の時間内に行うのが好ましい。
成分とする単量体であり、具体的には、塩化ビニル単量
体単独、又は塩化ビニルを70重量%以上含有し、塩化
ビニルと共重合可能な単量体との混合物である。塩化ビ
ニルと共重合可能な単量体としては、例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレ
ン、プロピレン、イソブチルビニルエーテル等のα−オ
レフィン類、1−クロロプロピレン、2−クロロブチレ
ン等のクロル化オレフィン類、(メタ)アクリル酸メチ
ル等の(メタ)アクリル酸エステル類、無水マレイン
酸、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデン等が
挙げられ、これらは単独で用いることも、2種以上組み
合わせて用いることも可能である。
共重合に使用される重合度調節剤、連鎖移動剤、pH調
節剤、ゲル化性改良剤、帯電防止剤、乳化剤、安定剤、
スケール防止剤等やこれらの仕込方法も公知の技術をな
んら支障なく任意に用いることができ、その使用量も従
来公知の方法に従うことができる。
下に実施例および比較例を示すが、これら実施例は本発
明をなんら限定するものではない。なお、以下の実施例
では特にことわりのない限り「部」は重量部、「%」は
重量%を表す。また本実施例の水は全てイオン交換水を
用いた。
の方法により測定した。 (1)フィッシュアイ 塩化ビニル系重合体100部にジオクチルフタレート5
0部、ステアリン酸カルシウム2部、ステアリン酸バリ
ウム1部、及びカーボンブラック0.02部を添加し十
分攪拌混合した後、表面温度が150℃に調節された8
インチロールに投入混練りし、4分で厚み0.3mmの
ロールシートを切り出した。採取したロールシート表面
の面積100mm2中に観察される透明粒子の数を計数
して示した。 (2)平均粒子径、粒度分布 JIS K−6721に準拠し、42、60、80、1
00、120、145、200メッシュの篩を使用し、
篩振とう器にて篩分けを行い、50重量%通過径をもっ
て平均粒子径とした。また粒度分布は、各メッシュに残
留した塩化ビニル系重合体の重量を測定し、百分率にて
表示した。このうち42メッシュ上に残留した重合体の
量は粗粒分とし、200メッシュを通過した量はパス分
とした。 (3)仕込み時間、重合時間 温水叉は塩化ビニル系単量体の仕込み開始時点から、こ
れらを全て仕込み終わるまでの時間を全仕込み所要時
間、全て仕込み終わってから内温を所定重合温度まで昇
温するのに要する時間を昇温時間と定義した。 (4)重合器内部スケール 重合後の重合器内部を観察して管壁及び攪拌翼スケール
の付着量を肉眼で調べ、評価結果を次の様に表した。 ◎:ほとんど付着していない、○:付着量が少ない、
△:付着量が多い、×:付着量が著しく多い 実施例1 攪拌機、還流凝縮器を付設した内容積2000Lのステ
ンレス製重合器内に、使用総量の10%に相当する温度
30℃の水(以下先仕込み水という)80Lを、ケン化
度79%、重合度2000の部分ケン化ポリ酢酸ビニル
(これを以下PVA1という)の3%水溶液8.0L及
び平均分子量450万のポリエチレンオキサイド(これ
を以下PEO1という)の0.5%水溶液12.1Lと
ともに仕込み(塩化ビニル単量体100部に対してPV
A1及びPEO1の仕込み量はそれぞれ0.036部及
び0.009部)、重合器内を真空ポンプで脱気した。
次いでこの重合器内に、脱気後70℃に温度調節した温
水716Lを42L/分の速度で仕込み始め、1分後、
塩化ビニル単量体740Lを約41L/分の速度で仕込
み始めた。温水を約17分で、塩化ビニル単量体を約1
8分で仕込み完了した。塩化ビニル単量体を仕込み始め
ると同時に、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネートを濃度70%で溶解したイソパラフィン溶液を
約0.15L/分の速度で計量ラインを通じて塩化ビニ
ル単量体ラインに導入して仕込み始め、約3分で仕込み
を完了した。ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカー
ボネートの仕込み量は塩化ビニル単量体100部に対し
て0.045部とした。
拌機を塩化ビニル単量体を仕込み始めると同時に稼働
し、攪拌翼周速が8.6m/secとなるように回転数
を調節した。仕込み開始と同時に内温は徐々に上昇し始
め、全仕込み終了時の内温は48℃であった。次いでジ
ャケット及び還流凝縮器による温度調節を実施した結
果、内温が57℃になるのに要した時間は8分であっ
た。従って昇温時間は8分である。
圧が定常圧より1kg/cm2低下した時点で重合を停
止し、未反応単量体を回収して重合を終了した。得られ
たスラリーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得、各
特性値を測定した(表1参照)。 実施例2 温水の温度を75℃とした以外は実施例1と同様の仕込
み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各種特性値
の測定に供した。 実施例3 先仕込み水の温度を45℃とした以外は実施例1と同様
の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各種
特性値の測定に供した。 実施例4 脱気した温水と塩化ビニル単量体との仕込み開始の時差
を1分とせず、全く同時に仕込み始めた以外は実施例1
と同様の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を
得、各種特性値の測定に供した。 実施例5 部分ケン化ポリ酢酸ビニルとしてケン化度88%、重合
度2300のもの(これを以下PVA2という)と、ケ
ン化度78%、重合度600のもの(これを以下PVA
3という)を組み合わせ、それぞれ0.04部及び0.
02部用いた以外は実施例1と同様の仕込み及び重合条
件にて塩化ビニル重合体を得、各種特性値の測定に供し
た。 実施例6 PVA1とPVA3とを組み合わせ、それぞれ0.08
部及び0.02部用い、PEO1は使用しない以外は実
施例1と同様の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル重合
体を得、各特性値を測定した。 比較例1 先仕込み水を用いず、PVA1の3%水溶液8.0L及
びPEO1の0.5%水溶液12.1Lを実施例1と同
じ重合器内に仕込み、重合器内を真空ポンプで脱気し
た。次いでこの重合器内に、脱気後70℃に温度調節し
た温水を約42L/分の速度で仕込み始め、1分後、塩
化ビニル単量体を約42L/分の速度で仕込み始めた。
温水800Lを約19分で、塩化ビニル単量体740L
を約18分で仕込み完了した。塩化ビニル単量体を仕込
み始めると同時に、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシ
ジカーボネートを濃度70%で溶解したイソパラフィン
溶液を約0.15L/分の速度で計量ラインを通じて塩
化ビニル単量体ラインに導入して仕込み始め、約3分で
仕込みを完了した。全仕込み終了時の内温は52℃であ
った。次いでジャケット及び還流凝縮器による温度調節
を実施した結果、内温が57℃になるのに要した時間は
4分であった。従って昇温時間は4分である。
圧が定常圧より1kg/cm2低下した時点で重合を停
止し、未反応単量体を回収して重合を終了した。得られ
たスラリーを脱水、乾燥して塩化ビニル重合体を得、各
種特性値の測定に供した。 比較例2 分散剤を予め重合器内に仕込む替わりに、塩化ビニル単
量体を仕込み始めると同時に、実施例1と同じ量のPV
A1の3%水溶液を約2L/分の速度で計量ラインを通
じて温水ラインに導入して仕込み始めて約4分で仕込み
を完了し、PVA1水溶液の仕込みが終了すると同時
に、実施例1と同じ量のPEO1の0.5%水溶液を約
4L/分の速度で計量ラインを通じて温水ラインに導入
して仕込み始めて約3分で仕込みを完了した。これ以外
は実施例1と同様の仕込み及び重合条件にて塩化ビニル
重合体を得、各種特性値の測定に供した。 比較例3 先仕込み水の量を使用総量の30重量%に相当する24
0Lとし、脱気した70℃の温水約550Lを44L/
分で約13分で仕込んだ以外は、実施例1と同様の仕込
み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各種特性値
の測定に供した。 比較例4 温水の温度を45℃とした以外は、実施例1と同様の仕
込み及び重合条件にて塩化ビニル重合体を得、各種特性
値の測定に供した。
ル単量体と全量の温水を同時に仕込むと、重合器内部の
スケール、フィッシュアイが多くなる(比較例1)。ま
た、分散剤を予め仕込まず温水とラインで混合して仕込
む方法では、フィッシュアイの改良効果があまりない
(比較例2)。さらに先仕込み水の量を全使用量の30
%とした場合や温水の温度を45℃とした場合には、フ
ィッシュアイは良好であるものの、全仕込み終了時の内
温が下がりすぎるために昇温時間が長くなる(比較例3
及び4)。
も粒度分布が狭く、フィッシュアイも少ないことがわか
る。
ば、フィッシュアイの少ない塩化ビニル系重合体が得ら
れかつ生産性は大幅に向上するため、本発明の工業的価
値はすこぶる大きいものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 塩化ビニル単量体、または塩化ビニル単
量体と共重合可能な単量体と塩化ビニル単量体との混合
物を水性媒体中で懸濁重合するに際し、(a)温度が0
〜50℃の水を使用総量の20重量%を越えない範囲で
重合反応器に仕込むと同時に、水溶性もしくは水分散性
の高分子懸濁分散安定剤の水溶液もしくは水分散液を重
合反応器に仕込んでから該重合反応器を脱気し、(b)
予め脱気した温水と、塩化ビニル系単量体とを同時に又
は温水を僅かに早く仕込み始め、(c)塩化ビニル系単
量体の仕込み開始と同時に、油溶性開始剤を専用計量ラ
インを通じて塩化ビニル系単量体ラインに導入して仕込
む、ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。 - 【請求項2】 水溶性もしくは水分散性の高分子懸濁分
散安定剤が部分ケン化ポリ酢酸ビニル、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリ
ル酸、酢酸ビニルーマレイン酸共重合体、スチレンーマ
レイン酸共重合体、ゼラチン、デンプンのうち少なくと
も一種とポリエチレンオキサイドの組み合わせからなる
請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 脱気された温水を仕込み始めてから、塩
化ビニル系単量体を仕込み始めるまでの時間が2分以内
である請求項1又は2記載の製造方法。
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JP15818097A JP3571179B2 (ja) | 1997-06-16 | 1997-06-16 | 塩化ビニル系重合体の製造方法 |
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-
1997
- 1997-06-16 JP JP15818097A patent/JP3571179B2/ja not_active Expired - Lifetime
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