JPH11145555A - 面発光レーザ用ミラー構造およびその形成方法 - Google Patents

面発光レーザ用ミラー構造およびその形成方法

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JPH11145555A
JPH11145555A JP31091497A JP31091497A JPH11145555A JP H11145555 A JPH11145555 A JP H11145555A JP 31091497 A JP31091497 A JP 31091497A JP 31091497 A JP31091497 A JP 31091497A JP H11145555 A JPH11145555 A JP H11145555A
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JP
Japan
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film
mirror structure
emitting laser
surface emitting
semiconductor
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Application number
JP31091497A
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English (en)
Inventor
Keizo Takemasa
敬三 武政
Hiroshi Wada
浩 和田
Takeshi Takamori
毅 高森
Takeshi Kamijo
健 上條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 InP系面発光レーザ用ミラー構造を構成す
る半導体多層膜の1ペアあたりの反射率を向上させる。 【解決手段】 III 族元素としてアルミニウムのみを含
むIII-V族化合物半導体としてのAlAs0.6 Sb0.4
の酸化物を以て構成された第1膜と、このIII-V族化合
物半導体よりも酸化スピードの遅い半導体としてのIn
0.65Ga0.35As0.740.26を以て構成された第2膜と
を交互に繰り返し積層した半導体多層膜を以てミラー構
造12を構成してある。AlAs0.6 Sb0.4 およびI
0.65Ga0.35As0.740.26の格子定数は、それぞれ
InP基板の格子定数5.869Åに一致する。また、
第1膜32のAlAs0.6 Sb0.4 の酸化物の屈折率
1.8は、第2膜のIn0.65Ga0.35As0.740.26
屈折率3.4よりも1.6小さい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、InP系の材料
を用いた面発光レーザに用いて好適な、半導体多層膜で
構成されたミラー構造およびその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】面発光レーザの一例が、文献1:「IEEE
Photonics Technology Letters,vol.7,no.6,pp.608-61
0,1995」に開示されている。この文献1に開示の面発光
レーザは、InP系の材料(すなわち、InP基板と格
子整合する材料)を用いた面発光レーザ(以下、「In
P系面発光レーザ」とも称する。)である。この面発光
レーザは、レーザ発振の閾値電流を下げるため、活性層
に平行な反射面を持つミラー構造を具えている。このミ
ラー構造は、互いに屈折率の異なる2種類の半導体膜を
交互に繰り返し積層した半導体多層膜を以って形成して
ある。この文献1に開示の例では、1種類目の半導体膜
としてInGaAsPを用い、2種類目の半導体膜とし
てInPを用いている。InGaAsPの屈折率とIn
Pとの屈折率との差は、0.14と小さい。このため、
この文献1の例では、99%以上の高反射率を得るた
め、1種類目と2種類目の半導体膜1層ずつを合わせて
1ペアとし、これを45ペアも積層している。
【0003】これに対して、文献2:「IEEE Photonics
Technology Letters,vol.7,no.3,pp.229-231,1995」に
は、半導体膜をわずか4ペアだけ積層した半導体多層膜
のミラー構造を具えた面発光レーザの例が開示されてい
る。この文献2に開示の面発光レーザは、GaAs系の
材料(すなわち、GaAs基板と格子整合する材料)を
用いた面発光レーザ(以下、「GaAs系面発光レー
ザ」とも称する。)である。この文献2に開示の例で
は、半導体多層膜を構成する2種類の半導体膜のうちの
1種類目の半導体膜としてGaAsを用い、2種類目の
半導体膜としてAlAsの酸化物を用いている。GaA
s系面発光レーザの発振波長(940nm程度)でのG
aAsの屈折率3.45とAlAsの酸化物の屈折率
1.55との差は1.95と大きい。このため、この半
導体多層膜は、1ペアあたりの反射率を高くすることが
できる。その結果、この半導体多層膜では、わずか4ペ
アの積層数で高反射率を達成することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、GaA
s系面発光レーザの発振波長は940nm程度である。
このため、GaAs系面発光レーザでは、光通信に用い
られる1.33μmおよび1.55μmの波長を発振さ
せることができない。1.33μmおよび1.55μm
の波長を発振させるためには、レーザの発振波長はレー
ザの材料によって決まるので、例えば、InP系の材料
を用いる必要がある。
【0005】ところが、上記の文献2に開示のミラー構
造において用いられたGaAsおよびAlAsの酸化物
は、いずれもInP基板と格子整合しない。従って、こ
れらの材料をInP基板上に成長させることはできな
い。このため、InP系面発光レーザにおいては、ミラ
ー構造として1ペアあたりの反射率の高い半導体多層膜
が得られていない。その結果、InP系面発光レーザに
おいては、99%以上の高反射率を得るために、上記の
文献1に開示の例のように、半導体多層膜を多数ペア
(例えば30ペア以上)積層する必要があった。そし
て、半導体多層膜のペア数が多いと、下記のような種々
の問題点が生じる。
【0006】多数ペアの半導体多層膜を形成するには、
長時間かかる。このため、この半導体多層膜のミラー構
造を具えた面発光レーザを製造するのにも長時間を要す
る。
【0007】さらに、多数ペアの半導体多層膜を結晶成
長させるためには、半導体多層膜を形成中の積層体を成
長室に長時間置いておく必要がある。その結果、結晶が
成長室内の汚れを取り込んでしまう可能性が高くなり、
また、成長室内の温度をはじめとする成長条件が微妙に
変化する可能性が高くなる。このため、半導体膜を多数
ペア結晶成長させると、半導体多層膜の膜質の劣化(例
えば、格子欠陥の発生や表面モホロジーの劣化)が発生
する傾向がある。
【0008】また、このミラー構造では、1ペアあたり
の反射率が低いため、このミラー構造に入射した光は、
ミラー構造の奥深くまで進入してから反射される。すな
わち、光の進入長が長くなる。進入長が長くなると、光
は多数ペアの半導体多層膜を通過することになる。その
結果、このミラー構造での光の損失が大きくなる。
【0009】また、光が透過する半導体多層膜のペア数
が多くなると、半導体多層膜の波長選択性が高くなる。
その結果、ミラー構造のストップバンド幅(99%以上
の高反射率が得られる波長域幅)が狭くなる。ところ
で、面発光レーザの発振スペクトルのピーク波長は、温
度が上昇すると、長波長側にシフトする。このため、ス
トップバンド幅が狭すぎると、このピーク波長が、この
ストップバンド幅の外へ出てしまう場合がある。その場
合、面発光レーザは発振しなくなる。
【0010】また、ストップバンド幅が狭い場合、ミラ
ー構造の反射波長と発振スペクトルのピーク波長とを一
致させるために、半導体多層膜を構成する各膜の膜厚に
は高精度が要求される。
【0011】このため、InP系面発光レーザに用いて
好適な、1ペアあたりの反射率の高い半導体多層膜から
なるミラー構造およびその形成方法の出現が望まれてい
た。
【0012】
【課題を解決するための手段】この出願にかかる発明者
は、種々の実験および検討を重ねた結果、InP系面発
光レーザにおいて、InP基板と格子整合する2種類の
材料を交互に積層し、2種類のうちの1種類の材料を選
択的に酸化させれば、互いの屈折率差が大きな2種類の
半導体膜からなる多層膜が得られることに想到した。
【0013】(面発光レーザ用ミラー構造)そこで、こ
の発明の面発光レーザ用ミラー構造によれば、InP基
板上に形成された面発光レーザを構成するミラー構造で
あって、III 族元素としてアルミニウムのみを含むIII-
V族化合物半導体の酸化物を以て構成された第1膜と、
該III-V族化合物半導体よりも酸化スピードの遅い半導
体を以て構成された第2膜とを交互に繰り返し積層した
ミラー構造であって、このIII-V族化合物半導体および
この半導体は、それぞれInP基板に格子整合する材料
からなることを特徴とする。
【0014】この発明の構成によれば、酸化されて第1
膜となるIII-V族化合物半導体および第2膜を構成する
半導体を、それぞれInP基板と格子整合する材料で構
成してある。このため、このIII-V族化合物半導体およ
びこの半導体を、それぞれInP基板に形成された面発
光レーザ構造上に結晶成長させることができる。
【0015】また、一般に、アルミニウムを含む化合物
半導体の酸化物の屈折率は、非酸化の半導体の屈折率よ
りも格段に小さい。このため、第1膜を構成するIII-V
族化合物半導体の酸化物の屈折率と、第2膜を構成する
半導体の屈折率との差は、非酸化の2種類の半導体同士
の屈折率差よりも大きい。従って、この発明のミラー構
造では、第1膜と第2膜とを交互に積層した半導体多層
膜の1ペアあたりの反射率を高くすることができる。
【0016】また、III 族元素としてAlのみを含むII
I-V族化合物半導体の酸化スピードは、III 族元素とし
てAlを含まない化合物半導体の酸化スピードや、III
族元素としてAlおよびAl以外の元素を含む化合物半
導体の酸化スピードよりも速い。このため、このIII-V
族化合物半導体で構成された第1予備膜と第2膜とを交
互に繰り返し積層しておいてから、積層体に酸化処理を
施せば、第1予備膜のみを選択的に酸化させることがで
きる。その結果、第1予備膜が酸化されて形成された第
1膜と、第2膜とを交互に積層した半導体多層膜のミラ
ー構造が得られる。
【0017】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造において、好ましくは、酸化されて第1膜となるIII-
V族化合物半導体および第2膜を構成する半導体膜の格
子定数をそれぞれ5.869Å(0.5869nm)
(「Å」は、オングストロームを表す。)とするのが良
い。
【0018】第1膜および第2膜が、それぞれInP基
板と格子整合するためには、この第1膜となるIII-V族
化合物半導体の格子定数および第2膜を構成する半導体
の格子定数が、それぞれInP基板の格子定数5.86
9Åの格子定数と一致することが必要である。
【0019】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造において、好ましくは、III-V族化合物半導体は、A
lAsSbまたはAlPSbからなるのが良い。
【0020】AlAsSbおよびAlPSbは、いずれ
も、III 族元素としてAlのみを含むIII-V族化合物半
導体にあって、かつ、その格子定数をInP基板の格子
定数に一致させることができる材料である。
【0021】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造において、好ましくは、第2膜を構成する半導体は、
アルミニウム非含有のIII-V族化合物半導体からなるの
が良い。
【0022】Al非含有のIII-V族化合物半導体の酸化
スピードは、III 族元素としてAlのみを含むIII-V族
化合物半導体の酸化スピードよりも遅い。このため、第
2膜をこのAl非含有のIII-V族化合物半導体で構成す
れば、III 族元素としてAlのみを含むIII-V族化合物
半導体を選択的に酸化させて第1膜を容易に得ることが
できる。
【0023】さらに、この発明の実施にあたり好ましく
は、Al非含有のIII-V族化合物半導体として、第2膜
を構成する半導体は、InGaAsPまたはInPから
なるのが良い。
【0024】InGaAsPおよびInPは、いずれ
も、Al非含有のIII-V族化合物半導体であって、か
つ、その格子定数をInP基板の格子定数に容易に一致
させることができる材料である。
【0025】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造において、好ましくは、半導体は、アルミニウムおよ
びアルミニウム以外の元素を含むIII-V族化合物半導体
からなるのが良い。
【0026】AlおよびAl以外の元素を含むIII-V族
化合物半導体の酸化スピードは、III 族元素としてAl
のみを含むIII-V族化合物半導体の酸化スピードよりも
遅い。このため、第2膜をこのAlおよびAl以外のII
I 族元素を含むIII-V族化合物半導体で構成すれば、II
I 族元素としてAlのみを含むIII-V族化合物半導体を
選択的に酸化させて第1膜を容易に得ることができる。
【0027】さらに、この発明の実施にあたり好ましく
は、AlおよびAl以外のIII 族元素を含むIII-V族化
合物半導体として、第2膜を構成する半導体は、InA
lAsからなるのが良い。
【0028】InAlAsは、AlおよびAl以外のII
I 族元素を含むIII-V族化合物半導体であって、かつ、
その格子定数をInP基板の格子定数に容易に一致させ
ることができる材料である。
【0029】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造において、好ましくは、ブラッグ反射条件を満たすた
め、第1膜の膜厚を、ミラー構造で反射させる光の四分
の一波長を当該第1膜の屈折率で除した値とし、第2膜
の膜厚を、四分の一波長を当該第2膜の屈折率で除した
値とするのが良い。
【0030】(面発光レーザ用ミラー構造の形成方法)
また、この発明の面発光レーザ用ミラー構造の形成方法
によれば、InP基板上に形成された面発光レーザを構
成するミラー構造を形成するにあたり、第1予備膜を、
InP基板に格子整合し、かつ、III 族元素としてアル
ミニウムのみを含むIII-V族化合物半導体を以て構成
し、第2膜を、InP基板に格子整合し、かつ、第1予
備膜よりも酸化スピードの遅い半導体を以て構成し、I
nP基板を含む下地上に、第1予備膜と第2膜とを交互
に繰り返し積層して積層体を形成する工程と、積層体に
対してメサエッチングを行って、画成積層体を形成する
工程と、画成積層体の側面から、第1予備膜を選択的に
酸化して当該第1予備膜の酸化物からなる第1膜を形成
する工程とを含むことを特徴とする。
【0031】この発明の形成方法によれば、第1予備膜
および第2膜をそれぞれInP基板に格子整合する材料
で構成する。このため、第1予備膜および第2膜を、I
nP基板に形成された面発光レーザの構造上に結晶成長
させることができる。
【0032】また、一般に、アルミニウムを含む化合物
半導体を酸化すると、その屈折率は、非酸化の半導体の
屈折率よりも小さくなる。このため、第1予備膜を酸化
して得られた第1膜の屈折率は、第1予備膜の屈折率お
よび第2膜の屈折率よりも格段に小さくなる。その結
果、第1膜の屈折率と第2膜の屈折率との差を、非酸化
の2種類の半導体同士の屈折率差よりも大きくすること
ができる。従って、この発明では、第1膜と第2膜とを
交互に積層した半導体多層膜の1ペアあたりの反射率を
高くすることができる。
【0033】また、III 族元素としてAlのみを含むII
I-V族化合物半導体の酸化スピードは、III 族元素とし
てAlを含まない化合物半導体の酸化スピードおよびII
I 族元素としてAlおよびAl以外の元素を含む化合物
半導体の酸化スピードよりも速い。このため、第1予備
膜と第2膜とを交互に繰り返し積層して得られた積層体
に対して酸化処理を施すと、第1予備膜のみを選択的に
酸化させることができる。その結果、第1予備膜が酸化
されて形成された第1膜と、第2膜とを交互に積層した
半導体多層膜のミラー構造が得られる。
【0034】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、第1予備膜を構成
するIII-V族および第2膜を構成する半導体膜の格子定
数をそれぞれ5.869Åとすると良い。
【0035】第1予備膜および第2膜が、それぞれIn
P基板と格子整合するためには、第1予備膜を構成する
III-V族の格子定数および第2膜を構成する半導体の格
子定数が、それぞれInP基板の格子定数5.869Å
の格子常数と一致することが必要である。
【0036】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、III-V族化合物半
導体として、AlAsSbまたはAlPSbを用いると
良い。
【0037】AlAsSbおよびAlPSbは、いずれ
も、III 族元素としてAlのみを含むIII-V族化合物半
導体であって、それらの格子定数をInP基板の格子定
数に容易に一致させることができる材料である。
【0038】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、第2膜を構成する
半導体として、アルミニウム非含有のIII-V族化合物半
導体を用いると良い。
【0039】Alを含まないIII-V族化合物半導体の酸
化スピードは、III 族元素としてAlのみを含むIII-V
族化合物半導体の酸化スピードよりも遅い。このため、
第2膜をこのAl非含有のIII-V族化合物半導体で構成
した積層体に対して酸化処理を施せば、III 族元素とし
てAlのみを含む第1予備膜のIII-V族化合物半導体の
みを選択的に酸化させて第1膜を容易に得ることができ
る。
【0040】さらに、この発明の実施にあたり、好まし
くは、Al非含有のIII-V族化合物半導体として、第2
膜を構成する半導体としては、例えば、InGaAsP
またはInPを用いると良い。
【0041】InGaAsPおよびInPは、いずれ
も、Al非含有のIII-V族化合物半導体であって、か
つ、その格子定数をInP基板の格子定数に容易に一致
させることができる材料である。
【0042】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、第2膜を構成する
半導体として、アルミニウムおよびアルミニウム以外の
III族元素を含むIII-V族化合物半導体を用いると良
い。
【0043】AlおよびAl以外のIII 族元素を含むII
I-V族化合物半導体の酸化スピードは、III 族元素とし
てAlのみを含むIII-V族化合物半導体の酸化スピード
よりも遅い。このため、第2膜をこのAlおよびAl以
外のIII 族元素を含むIII-V族化合物半導体で構成すれ
ば、III 族元素としてAlのみを含む第1予備膜のIII-
V族化合物半導体を選択的に酸化させて第1膜を容易に
得ることができる。
【0044】また、AlおよびAl以外のIII 族元素を
含むIII-V族化合物半導体として、第2膜を構成する半
導体としては、例えば、InAlAsを用いると良い。
【0045】InAlAsは、AlおよびAl以外のII
I 族元素を含むIII-V族化合物半導体であって、かつ、
その格子定数をInP基板の格子定数に容易に一致させ
ることができる材料である。
【0046】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、第1予備膜および
第2膜をそれぞれMOCVD(Metal Organic Chemical
Vapor Deposition )法またはMBE(Molecular Beam
Epitaxy)法を用いて形成すると良い。
【0047】また、この発明の面発光レーザ用ミラー構
造の形成方法において、好ましくは、第1予備膜の膜厚
を、当該第1予備膜を酸化して得られる第1膜の膜厚
が、ミラー構造の反射する光の四分の一波長を当該第1
膜の屈折率で除した値となる厚さとし、第2膜の膜厚
を、この四分の一波長を当該第2膜の屈折率で除した値
とすると良い。
【0048】また、この発明の好適実施例では、第1予
備膜を選択的に酸化するにあたり、好ましくは、水蒸気
酸化法を用いると良い。
【0049】また、ミラー構造の構成材料のバンドギャ
ップ波長は、面発光レーザの発振波長よりも短いことが
望ましい。このバンドギャップ波長をこの発振波長より
も短くすれば、ミラー構造の構成材料にレーザ光に吸収
されることを抑制することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、この発明の
面発光レーザ用ミラー構造およびその形成方法の実施の
形態について説明する。尚、参照する図は、この発明が
理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状および配置
関係を概略的に示してあるにすぎない。従って、この発
明は図示例にのみ限定されるものではない。
【0051】尚、以下の説明においては、屈折率は、波
長1.55μmの光に対する値とする。
【0052】(第1の実施の形態)図1を参照して、第
1の実施の形態におけるこの発明の面発光レーザ用ミラ
ー構造の一例について説明する。図1は、この実施の形
態の面発光レーザ用ミラー構造の説明に供する断面図で
ある。
【0053】この発明のミラー構造は、InP基板上に
形成された面発光レーザを構成するミラー構造である。
ここでは、ミラー構造の詳細な説明に先立ち、面発光レ
ーザ10のうちの、半導体多層膜のミラー構造12を除
いた部分である、面発光レーザ構造14について説明す
る。
【0054】この面発光レーザ構造14は、従来のIn
P系面発光レーザの構造と同様の構造であって、InP
基板16aの主表面16b上に順次に積層された、pー
InGaAsPのエッチングストップ層18、pーIn
Pの第1クラッド層20、活性層22、nーInPの第
2クラッド層24、およびn+ ーInGaAsのコンタ
クト層26をそれぞれ具えている。
【0055】また、この面発光レーザ構造14は、コン
タクト層26上の一部分に、円形の平面パタンのミラー
構造12を具えている。また、コンタクト層26上の、
ミラー構造12の周囲には、リング状の平面パタンで配
置されたn側電極28を設けてある。また、InP基板
16aのうちの、ミラー構造12と対向する領域には、
主表面16bの裏側の裏面16cからエッチングストッ
プ層18に達する開口部42が設けてある。この開口部
42には、活性層22と平行に積層された誘電体多層膜
36を設けてある。また、裏面16cに、p側電極30
を設けてある。
【0056】尚、この実施の形態においては、活性層2
4の第2クラッド層26側にのみ、半導体多層膜のミラ
ー構造12を設けているが、例えば、誘電体多層膜36
を半導体多層膜のミラー構造としても良い。
【0057】次に、ミラー構造12について説明する。
この発明では、ミラー構造12は、III 族元素としてア
ルミニウムのみを含むIII-V族化合物半導体の酸化物を
以て構成された第1膜と、該III-V族化合物半導体より
も酸化スピードの遅い半導体を以て構成された第2膜と
を交互に繰り返し積層した構成としてある。そして、こ
の発明では、第1膜を構成するIII-V族化合物半導体お
よび第2膜を構成する半導体は、それぞれInP基板に
格子整合する材料からなる。
【0058】そこで、この実施の形態では、第1膜32
をAlAs0.6 Sb0.4 の酸化物で以て構成する。この
AlAs0.6 Sb0.4 の格子定数は、InPの格子定数
5.869Åと一致する。従って、このAl0.6 As
0.4 Sbは、InP基板上に結晶成長させることができ
る。
【0059】また、この実施の形態では、第2膜34
を、Al非含有のIII-V族化合物半導体であるIn0.65
Ga0.35As0.740.26で構成する。このIn0.65Ga
0.35As0.740.26の格子定数は、InPの格子定数
5.869Åと一致する。従って、このIn0.65Ga
0.35As0.740.26は、InP基板上に結晶成長させる
ことができる。また、In0.65Ga0.35As0.740.26
のバンドギャップ波長は、約1.44μmである。この
バンドギャップ波長は、面発光レーザの発振波長(例え
ば1.55μm)よりも短い。このため、面発光レーザ
の発振するレーザ光は、第2膜34では吸収されない。
従って、このIn0.65Ga0.35As0.740.26は、In
P系面発光レーザを構成するミラー構造の材料として用
いて好適である。
【0060】また、第2膜34のIn0.65Ga0.35As
0.740.26の屈折率は、3.4程度である。これに対し
て、第1膜32のAlAs0.6 Sb0.4 の酸化物の屈折
率は、1.8程度である。従って、第1膜32と第2膜
34との屈折率差は、1.6程度となる。この値は、上
述の文献1の例における屈折率差0.14に比べて1桁
大きな値である。このため、このミラー構造12は、1
ペアあたりの反射率を高くすることができる。その結
果、この実施の形態では、ミラー構造12は、わずか4
ペアの半導体多層膜を積層することで99%以上の高反
射率を達成することができる。
【0061】尚、図1に示すように、この実施の形態で
は、ミラー構造12の最上面に、5層目の第2膜34を
積層してある。5層目の第2膜34を設けた理由は、ミ
ラー構造12と空気との界面での屈折率差を大きくする
ことによって、反射率の向上を図るためである。
【0062】このように、このミラー構造12では、1
ペアあたりの反射率が高いので、従来文献1に開示のI
nP系面発光レーザにおけるミラー構造(以下、従来例
とも称する。)の場合に比べて、光の進入長を短くする
ことができる。このため、このミラー構造では、光の損
失の低減を図ることができる。
【0063】また、このミラー構造12では、光の進入
長が短いため、光の通過する半導体多層膜のペア数を少
なくすることができる。このため、半導体多層膜の波長
選択性を従来例の場合よりも低くすることができる。そ
の結果、このミラー構造12では、ストップバンド幅
を、従来例のストップバンド幅よりも広くすることがで
きる。
【0064】ここで、図2のグラフに、ストップバンド
幅の例として、この実施の形態のミラー構造12および
比較例のミラー構造の反射特性の計算結果を示す。図2
のグラフの横軸は波長(μm)を表し、縦軸は反射率を
表す。また、図2のグラフ中の曲線Iは、このミラー構
造12の反射特性を表す。また、図2のグラフ中の破線
IIは、比較例のミラー構造の反射特性を表す。比較例の
ミラー構造は、InGaAsPの半導体膜とInPの半
導体膜とを交互に30ペア積層した構造である。この比
較例のミラー構造を構成する半導体膜の種類の組み合わ
せは、文献2に開示のミラー構造での組み合わせと同じ
である。従って、半導体多層膜の1ペアを構成する半導
体どうしの屈折率差は、0.14と小さい。
【0065】そして、この実施の形態のミラー構造12
のストップバンド幅は、曲線Iに示すように、1.35
μm付近から1.80μm付近までの0.45μm程度
の幅である。これに対して、比較例のストップバンド幅
は、破線IIに示すように、1.50付近から1.55付
近までの0.05μm程度の幅である。従って、曲線I
と曲線IIとの比較から明らかなように、この実施の形態
のミラー構造12では、ストップバンド幅を広くするこ
とができる。
【0066】また、このミラー構造12においては、レ
ーザの発振波長である1.55μmの波長の光を反射さ
せるために、第1膜32および第2膜34の膜厚をそれ
ぞれブラッグ反射条件を満たす値とする。すなわち、第
1膜32の膜厚を、ミラー構造12で反射させる光の四
分の一波長を当該第1膜の屈折率で除した値とする。ま
た、第2膜の膜厚を、この四分の一波長を当該第2膜の
屈折率で除した値とする。
【0067】このブラッグ反射条件は、膜厚をL、波長
をλ、屈折率をnとそれぞれ表すと、下記の(1)式で
表される。
【0068】L=λ/(4n)・・・(1) 第1膜32の膜厚を求めるため、上記の(1)式に、λ
=1.55およびn=1.8をそれぞれ代入すると、第
1膜32の膜厚は、約0.22μmと求められる。
【0069】また、第2膜34の膜厚を求めるため、上
記の(1)式に、λ=1.55およびn=3.5をそれ
ぞれ代入すると、第2膜34の膜厚は、約0.11μm
と求められる。
【0070】尚、この第1の実施の形態のような半導体
積層構造は、後述の第5の実施の形態で詳細に説明する
ように、酸化されていないAlAs0.6 Sb0.4 とIn
0.65Ga0.35As0.740.26とを交互に積層した後、こ
のAlAs0.6 Sb0.4 のみを選択的に酸化することに
よって得られる。
【0071】(第2の実施の形態)第2の実施の形態の
ミラー構造は、第1膜をAlAs0.6 Sb0.4 の酸化物
の代わりにAlPSbの酸化物で構成してある点を除い
ては、上述の第1の実施の形態のミラー構造と同一の構
造である。
【0072】(第3の実施の形態)第3の実施の形態の
ミラー構造は、第2膜をIn0.65Ga0.35As0.74
0.26の代わりに、Al非含有のIII-V族化合物半導体で
あるInPで構成してある点を除いては、上述の第1の
実施の形態のミラー構造と同一の構成である。
【0073】ただし、InPの屈折率は、3.17であ
る。従って、第3の実施の形態では、上記の(1)式か
ら、第2膜の膜厚を0.12μmとする。
【0074】(第4の実施の形態)第4の実施の形態の
ミラー構造は、第2膜をIn0.65Ga0.35As0.74
0.26の代わりに、AlおよびAl以外のIII 族元素を含
むIII-V族化合物半導体であるInAlAsで構成して
ある点を除いては、上述の第1の実施の形態のミラー構
造と同一の構成である。
【0075】ただし、InAlAsの屈折率は3.22
である。従って、第4の実施の形態では、上記の(1)
式から、第2膜の膜厚を0.12μmとする。
【0076】(第5の実施の形態)図3〜図5を参照し
て、第5の実施の形態におけるこの発明の面発光レーザ
用ミラー構造の形成方法の一例について説明する。図3
の(A)および(B)は、第5の実施の形態のミラー構
造の形成方法の説明に供する工程図である。また、図4
の(A)および(B)は、図3の(B)に続く、工程図
である。また、図5の(A)および(B)は、図4の
(B)に続く、工程図である。
【0077】この発明では、InP基板上に形成された
面発光レーザを構成するミラー構造を形成するにあた
り、第1予備膜を、InP基板に格子整合し、かつ、II
I 族元素としてアルミニウムのみを含むIII-V族化合物
半導体を以て構成する。
【0078】そこで、第5の実施の形態では、第1予備
膜38をAlAs0.6 Sb0.4 で以て構成する。このA
lAs0.6 Sb0.4 の格子定数は、InPの格子定数
5.869Åと一致する。従って、このAlAs0.6
0.4 は、InP基板上に結晶成長させることができ
る。AlAs0.6 Sb0.4 の屈折率は、3.5程度であ
る。そして、このAlAs0.6 Sb0.4 を酸化して得ら
れる酸化物の屈折率は、1.8程度となる。
【0079】また、この発明では、第2膜を、InP基
板に格子整合し、かつ、前記第1予備膜よりも酸化スピ
ードの遅い半導体を以て構成する。
【0080】そこで、この実施の形態では、第2膜34
を、Al非含有のIII-V族化合物半導体であるIn0.53
Ga0.47Asで構成する。このIn0.65Ga0.35As
0.74 0.26の格子定数は、InPの格子定数5.869
Åと一致する。従って、このIn0.65Ga0.35As0.74
0.26は、InP基板上に結晶成長させることができ
る。すなわち、このIn0.65Ga0.35As0.74
0.26は、InP系面発光レーザを構成するミラー構造の
材料として用いることができる。また、このIn0.65
0.35As0.740.26の屈折率は、3.4程度である。
【0081】尚、第1膜および第2膜の酸化スピードに
ついては後述する。
【0082】そして、この発明では、InP基板を含む
下地上に、第1予備膜と前記第2膜とを交互に繰り返し
積層して積層体を形成する。
【0083】そこで、この実施の形態では、先ず、In
P基板を含む下地の形成方法について説明する。
【0084】ここでは、InP基板16の主表面16b
上に、MOVPE法またはMBE法を用いて、pーIn
GaAsPのエッチングストップ層18、pーInPの
第1クラッド層20、活性層22、nーInPの第2ク
ラッド層24、およびn+ ーInGaAsのコンタクト
層26を、順次に積層して、従来の面発光レーザの主要
部と同様の構造を下地14aとして形成する(図3の
(A))。
【0085】次に、この実施の形態では、第1予備膜3
8としてのAlAs0.6 Sb0.4 と、第2膜34として
のIn0.65Ga0.35As0.740.26とを交互に繰り返し
積層して積層体を形成する。ここでは、第1予備膜38
および第2膜34aを、MOCVD法を用いてそれぞれ
結晶成長させる。具体的には、第1予備膜38および第
2膜34aを、MOCVD装置(図示せず)を用いて、
590℃〜650℃の温度条件下でそれぞれ結晶成長さ
せる。また、第1予備膜38を結晶成長させる際には、
MOCVD装置の結晶成長室へのV族元素の原料ガスの
導入量に対するIII 族元素の原料ガスの導入量の比(II
I /V)を1よりも小さく設定する(図3の(B))。
【0086】また、この実施の形態では、レーザの発振
波長である1.55μmの波長の光を反射させるため
に、第1膜および第2膜34の膜厚をそれぞれブラッグ
反射条件を満たす値とする。
【0087】すなわち、第1予備膜38の膜厚を、当該
第1予備膜38を酸化して得られる酸化物を以て構成さ
れる第1膜(図3では図示せず)の膜厚が、ミラー構造
の反射する光の四分の一波長を当該第1膜の屈折率で除
した値となる厚さとする。具体的には、AlAs0.6
0.4 38を酸化すると、その膜厚は10%程度減少す
る。このため、この実施の形態では、第1予備膜38の
膜厚の約90%の膜厚がブラッグ反射条件を満たすよう
にする。
【0088】そのために、第1の実施の形態で説明した
(1)式の条件において、λ=1.55、酸化物の屈折
率としてのn=1.8をそれぞれ代入して、酸化物の第
1膜の膜厚をL=0.22μmと求める。従って、この
実施の形態では、第1予備膜の厚さを、酸化物の第1膜
の膜厚の約1割増しの0.24μmとする。
【0089】また、第2膜もブラッグ反射条件を満たす
ために、第2膜の膜厚を、この四分の一波長を当該第2
膜の屈折率で除した値とする。具体的には、上記の
(1)式に、λ=1.55およびn=3.4をそれぞれ
代入して、第2膜34の膜厚を約0.11μmと求め
る。
【0090】次に、この発明では、積層体に対してメサ
エッチングを行って、画成積層体を形成する。
【0091】そのために、この実施の形態では、先ず、
積層体12a上に、SiO2 膜(図示せず)を形成す
る。次に、SiO2 膜からフォトリソグラフィ技術を用
いて、直径数μmの円形のマスクパタン40を形成す
る。次に、このマスクパタン40をエッチングマスクと
して用いて、積層体12aに対してメサエッチングを行
う。メサエッチングにあたっては、塩素ガス(Cl2
およびアルゴンガス(Ar)を用いてドライエッチング
を行う。そして、このメサエッチングの結果、円柱形状
の画成積層体12bが形成される(図4の(A))。
【0092】次に、この発明では、画成積層体の側面か
ら、前記第1予備膜を選択的に酸化して当該第1予備膜
の酸化物からなる第1膜を形成する。
【0093】そこで、この実施の形態では、画成積層体
12bを水蒸気酸化炉(図示せず)に入れ、水蒸気酸化
法によってこの画成積層体12bを酸化する。酸化にあ
たっては、水蒸気酸化炉内部の圧力を常圧(760To
rr)とする。そして、試料温度450℃とし、90℃
の温度に設定された水に、キャリアガスとしての酸素
(O2 )またはアルゴン(Ar)を吹き込んでバブリン
グする。ここでは、酸素ガスまたはアルゴンガスを標準
状態で毎分2L(リットル)吹き込む。
【0094】ところで、III 族元素としてAlのみを含
むIII-V族化合物半導体の酸化スピードは、他の半導体
の酸化スピードよりも速い。例えば、第1予備膜38を
構成するAlAs0.6 Sb0.4 の水蒸気酸化方法による
酸化スピードは、約100μm/時間である。これに対
して、第2膜のIn0.65Ga0.35As0.740.26の酸化
スピードは、約0.01μm/時間である。従って、画
成積層体12bに対して酸化処理を施すと、第1予備膜
38のみが選択的に円柱形状の側面から酸化される。
尚、酸化スピードは、一定以上の膜厚(例えば15nm
程度以上の膜厚)ならば、膜の種類および酸化条件によ
り、膜厚によらずほぼ一定となる。そして、第1予備膜
38が選択的に酸化されることにより、Al0.6 As
0.4 Sbの酸化物を以て構成された第1膜32が形成さ
れる。その結果、第1膜32および第2膜34が交互に
積層された半導体多層膜を以て構成されたミラー構造1
2が形成される(図4の(B))。
【0095】また、第2膜34のIn0.65Ga0.35As
0.740.26の屈折率は、前述のように3.4程度であ
る。これに対して、第1膜32のAlAs0.6 Sb0.4
の酸化物の屈折率は、前述のように1.8程度である。
従って、第1膜32と第2膜34との屈折率差は、1.
6程度となる。この値は、上述の文献1の例における屈
折率差0.14に比べて1桁大きな値である。このた
め、このミラー構造12は、1ペアあたりの反射率を高
くすることができる。その結果、この実施の形態では、
ミラー構造12は、わずか4ペアの半導体多層膜を積層
することにより99%以上の高反射率を達成することが
できる。
【0096】次に、マスクパタン40を、四フッ化炭素
(CF4 )を用いたドライエッチングにより除去する。
【0097】次に、コンタクト層26上の、ミラー構造
12の周囲に、リング形状の平面パタンで配置されたn
側電極28をリフトオフ法を用いて形成する(図5の
(A))。
【0098】次に、InP基板16の裏面側を研磨し
て、InP基板16の厚さを100μm程度に薄くす
る。
【0099】次に、InP基板16の裏面16cに、ミ
ラー構造12と対向する領域の周囲を囲うように、リン
グ形状の平面パタンを有するp側電極30をリフトオフ
法により形成する(図5の(A))。
【0100】次に、このp側電極30をエッチングマス
クとして用いて、InP基板16の裏面16c側からウ
エットエッチングを行って、エッチングストップ層18
に達する開口部42を形成する。この開口部42は、I
nP基板16aのうちの、ミラー構造12に対向する領
域に形成され、円形の平面パタンを有する(図5の
(B))。
【0101】次に、この開口部42に、誘電体多層膜の
ミラー構造36を蒸着により形成する。その結果、図1
に示す、前述の第1の実施の形態で説明したミラー構造
12を具えた面発光レーザが得られる。
【0102】(第6の実施の形態)第6の実施の形態の
ミラー構造の形成方法は、第1予備膜として、AlAs
0.6 Sb0.4 の代わりにAlPSbを用いる点を除いて
は、上述の第5の実施の形態のミラー構造の形成方法と
同一の形成方法である。
【0103】また、AlPSbの酸化スピードは、Al
As0.6 Sb0.4 の酸化スピードと同程度の約100μ
m/時間である。
【0104】(第7の実施の形態)第7の実施の形態の
ミラー構造の形成方法は、第2膜として、In0.65Ga
0.35As0.740.26の代わりに、Al非含有のIII-V族
化合物半導体であるInPを用いる点を除いては、上述
の第5の実施の形態のミラー構造の形成方法と同一の形
成方法である。
【0105】ただし、InPの屈折率は、3.17であ
る。従って、第7の実施の形態では、上記の(1)式の
条件から、第2膜の膜厚を0.12μmとする。
【0106】また、InPの酸化スピードは、In0.65
Ga0.35As0.740.26の酸化スピードと同程度の約
0.01μm/時間である。
【0107】(第8の実施の形態)第8の実施の形態の
ミラー構造は、第2膜をIn0.65Ga0.35As0.74
0.26の代わりに、AlおよびAl以外のIII 族元素を含
むIII-V族化合物半導体であるInAlAsで構成して
ある点を除いては、上述の第5の実施の形態のミラー構
造と同一の構成である。
【0108】ただし、InAlAsの屈折率は、3.2
2である。従って、第8の実施の形態では、上記の
(1)式の条件から、第2膜の膜厚を0.12μmとす
る。
【0109】また、InAlAsの酸化スピードは、I
0.65Ga0.35As0.740.26の酸化スピードと同程度
の約0.01μm/時間である。
【0110】上述した各実施の形態では、この発明を特
定の材料を用い、特定の条件で構成した例について説明
したが、この発明は多くの変更および変形を行うことが
できる。例えば、上述の実施の形態では、第1予備膜を
酸化して第1膜を形成するのに、水蒸気酸化法を用いた
が、この発明では、酸化方法は、これに限定されない。
例えば、プラズマ酸化法または熱酸化法を用いても良
い。
【0111】また、上述の実施の形態においては、面発
光レーザのミラー構造のうち、活性層の片側のミラー構
造を半導体多層膜で形成したが、この発明では、活性層
の両側のミラー構造を半導体多層膜で形成しても良い。
【0112】また、上述の実施の形態においては、ミラ
ー構造の第2膜をIII-V族化合物半導体で形成した例に
ついて説明したが、この発明では、第2膜をIII-V族化
合物半導体に限定する必要はない。例えば、第2膜をII
I-V族化合物半導体以外の半導体で形成しても良い。
【0113】
【発明の効果】この発明の面発光レーザ用ミラー構造お
よびその形成方法によれば、第1膜となるIII-V族化合
物半導体および第2膜を構成する半導体をそれぞれIn
P基板に格子整合する材料で構成してある。このため、
このIII-V族化合物半導体およびこの半導体をInP基
板に形成された面発光レーザの構造上に交互に結晶成長
させることができる。III 族元素としてAlのみを含む
III-V族化合物半導体を選択的に酸化して第1膜を形成
することにより、第1膜と第2膜との屈折率差を大きく
することができる。その結果、この発明では、InP系
面発光レーザに用いて好適な半導体多層膜の1ペアあた
りの反射率を向上させることができる。
【0114】このように1ペアあたりの反射率を向上さ
せることができるので、この発明のミラー構造は、従来
のInP系面発光レーザ用ミラー構造の半導体多層膜の
ペア数よりも少ないペア数で99%以上の高反射率を達
成することができる。
【0115】そして、半導体多層膜のペア数を従来のI
nP系面発光レーザ用ミラー構造でのペア数よりも少な
くできるので、以下の効果が得られる。
【0116】ミラー構造を構成する半導体多層膜のペア
数が少なくなるので、半導体多層膜を形成するのに要す
る時間を従来よりも短縮することができる。その結果、
このミラー構造を具えた面発光レーザを製造するのに要
する時間も従来よりも短縮する事ができる。
【0117】さらに、結晶成長させるペア数が少ないの
で、半導体多層膜を形成中の積層体を成長室に長時間置
いておく必要がない。その結果、結晶が成長室内の汚れ
を取り込んでしまう可能性が低くなり、また、成長室内
の温度をはじめとする成長条件が微妙に変化する可能性
が低くなる。このため、半導体多層膜の膜質の劣化を抑
制することができる。
【0118】また、このミラー構造では1ペアあたりの
反射率が高いため、このミラー構造に入射した光はミラ
ー構造の奥深くまで進入せずに反射される。すなわち、
光の進入長が短くなる。進入長が短くなると、光が通過
する半導体多層膜のペア数が少なくなる。その結果、こ
のミラー構造における光の損失を小さくすることができ
る。
【0119】また、この発明のミラー構造では、光が通
過する半導体多層膜のペア数が従来のInP系面発光レ
ーザ用ミラー構造のペア数よりも少ない。このため、こ
の発明のミラー構造は、波長選択性が低い。その結果、
ミラー構造のストップバンド幅を広くすることができ
る。このため、面発光レーザの発振スペクトルのピーク
波長が、ストップバンド幅の外へ出るおそれが少ない。
【0120】また、この発明のミラー構造の形成方法で
は、ストップバンド幅が従来よりも広いため、半導体多
層膜を形成する際に、各膜の膜厚に要求される精度を緩
和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の面発光レーザ用ミラー構造
の説明に供する断面図である。
【図2】ミラー構造の反射特性の説明に供するグラフで
ある。
【図3】(A)および(B)は、第5の実施の形態の面
発光レーザ用ミラー構造の形成方法の説明に供する工程
図である。
【図4】(A)および(B)は、図3の(B)に続く、
工程図である。
【図5】(A)および(B)は、図4の(B)に続く、
工程図である。
【符号の説明】
10:面発光レーザ 12:ミラー構造 12a:積層体 12b:画成積層体 14:面発光レーザ構造 16,16a:InP基板 16b:主表面 16c:裏面 18:エッチングストップ層 20:第1クラッド層 22:活性層 24:第2クラッド層 26:コンタクト層 28:n側電極 30:p側電極 32:第1膜 34:第2膜 36:誘電体多層膜 38:第1予備膜 40:マスクパタン 42:開口部
フロントページの続き (72)発明者 上條 健 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 InP基板上に形成された面発光レーザ
    を構成するミラー構造において、 III 族元素としてアルミニウムのみを含むIII-V族化合
    物半導体の酸化物を以て構成された第1膜と、該III-V
    族化合物半導体よりも酸化スピードの遅い半導体を以て
    構成された第2膜とを交互に繰り返し積層したミラー構
    造であって、 前記III-V族化合物半導体および前記半導体は、それぞ
    れInP基板に格子整合する材料からなることを特徴と
    する面発光レーザ用ミラー構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の面発光レーザ用ミラー
    構造において、 前記前記III-V族および前記半導体膜の格子定数を5.
    869Åとすることを特徴とする面発光レーザ用ミラー
    構造。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の面発光レーザ
    用ミラー構造において、 前記III-V族化合物半導体は、AlAsSbまたはAl
    PSbからなることを特徴とする面発光レーザ用ミラー
    構造。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の面発光
    レーザ用ミラー構造において、 前記半導体は、アルミニウム非含有のIII-V族化合物半
    導体からなることを特徴とする面発光レーザ用ミラー構
    造。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の面発光レーザ用ミラー
    構造において、 前記半導体は、InGaAsPまたはInPからなるこ
    とを特徴とする面発光レーザ用ミラー構造。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかに記載の面発光
    レーザ用ミラー構造において、 前記半導体は、アルミニウムおよびアルミニウム以外の
    III 族元素を含むIII-V族化合物半導体からなることを
    特徴とする面発光レーザ用ミラー構造。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の面発光レーザ用ミラー
    構造において、 前記半導体は、InAlAsからなることを特徴とする
    面発光レーザ用ミラー構造。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の面発光
    レーザ用ミラー構造において、 前記第1膜の膜厚を、前記ミラー構造で反射させる光の
    四分の一波長を当該第1膜の屈折率で除した値とし、 前記第2膜の膜厚を、前記四分の一波長を当該第2膜の
    屈折率で除した値とすることを特徴とする面発光レーザ
    用ミラー構造。
  9. 【請求項9】 InP基板上に形成された面発光レーザ
    を構成するミラー構造を形成するにあたり、 第1予備膜を、InP基板に格子整合し、かつ、III 族
    元素としてアルミニウムのみを含むIII-V族化合物半導
    体を以て構成し、および、 第2膜を、InP基板に格子整合し、かつ、前記第1予
    備膜よりも酸化スピードの遅い半導体を以て構成すると
    き、 前記InP基板を含む下地上に、前記第1予備膜と前記
    第2膜とを交互に繰り返し積層して積層体を形成する工
    程と、 前記積層体に対してメサエッチングを行って、画成積層
    体を形成する工程と、 前記画成積層体の側面から、前記第1予備膜を選択的に
    酸化して当該第1予備膜の酸化物からなる第1膜を形成
    する工程とを含むことを特徴とする面発光レーザ用ミラ
    ー構造の形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の面発光レーザ用ミラ
    ー構造の形成方法において、 前記前記III-V族および前記半導体膜の格子定数を5.
    869Åとすることを特徴とする面発光レーザ用ミラー
    構造の形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の面発光レ
    ーザ用ミラー構造の形成方法において、 前記III-V族化合物半導体として、AlAsSbまたは
    AlPSbを用いることを特徴とする面発光レーザ用ミ
    ラー構造の形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項9〜11のいずれかに記載の面
    発光レーザ用ミラー構造の形成方法において、 前記半導体として、アルミニウム非含有のIII-V族化合
    物半導体を用いることを特徴とする面発光レーザ用ミラ
    ー構造の形成方法。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の面発光レーザ用ミ
    ラー構造の形成方法において、 前記半導体として、InGaAsPまたはInPを用い
    ることを特徴とする面発光レーザ用ミラー構造の形成方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項9〜11のいずれかに記載の面
    発光レーザ用ミラー構造において、 前記半導体は、アルミニウムおよびアルミニウム以外の
    III 族元素を含むIII-V族化合物半導体を用いることを
    特徴とする面発光レーザ用ミラー構造の形成方法。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の面発光レーザ用ミ
    ラー構造の形成方法において、 前記半導体として、InAlAsを用いることを特徴と
    する面発光レーザ用ミラー構造の形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項9〜15のいずれかに記載の面
    発光レーザ用ミラー構造の形成方法において、 前記第1予備膜の膜厚を、当該第1予備膜を酸化して得
    られる前記第1膜の膜厚が、前記ミラー構造の反射する
    光の四分の一波長を当該第1膜の屈折率で除した値とな
    る厚さとし、 前記第2膜の膜厚を、前記四分の一波長を当該第2膜の
    屈折率で除した値とすることを特徴とする面発光レーザ
    用ミラー構造の形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項9〜16のいずれかに記載の面
    発光レーザ用ミラー構造の形成方法において、 前記第1予備膜および前記第2膜をそれぞれMOCVD
    (Metal Organic Chemical Vapor Deposition )法また
    はMBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いて形成す
    ることを特徴とする面発光レーザ用ミラー構造の形成方
    法。
  18. 【請求項18】 請求項9〜17のいずれかに記載の面
    発光レーザ用ミラー構造の形成方法において、前記第1
    予備膜を選択的に酸化するにあたり、 水蒸気酸化法を用いることを特徴とする面発光レーザ用
    ミラー構造の形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008503090A (ja) * 2004-06-18 2008-01-31 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー InP基板上のII−VI/III−V層状構造
JP2008530774A (ja) * 2005-02-07 2008-08-07 サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) 局所的な埋込み絶縁体を形成するためのプレナー酸化方法
JP2009520377A (ja) * 2005-12-20 2009-05-21 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー InP基板上のII−VI/III−V層状構造体

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