JPH11140460A - プラスチック類の熱分解方法および装置ならびにこれに用いる脱塩素剤 - Google Patents

プラスチック類の熱分解方法および装置ならびにこれに用いる脱塩素剤

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JPH11140460A
JPH11140460A JP15947598A JP15947598A JPH11140460A JP H11140460 A JPH11140460 A JP H11140460A JP 15947598 A JP15947598 A JP 15947598A JP 15947598 A JP15947598 A JP 15947598A JP H11140460 A JPH11140460 A JP H11140460A
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iron
oxide
plastics
iron hydroxide
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JP15947598A
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English (en)
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Yusaku Sakata
祐作 阪田
Woodin Azuha Mohamed
ウッディン アズハ モハメド
Katsuhide Murata
勝英 村田
Yoshinao Hirano
義直 平野
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
Original Assignee
Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理工程および装置が比較的簡単で、しかも
分解生成油として塩素含有量の少ない軽質油を回収する
ことができるプラスチック類の熱分解装置を提供するこ
とにある。 【解決手段】 塩素成分を含む廃プラスチック17を加
熱分解する熱分解槽4と、該熱分解槽4で加熱分解され
たプラスチックの熱分解物を冷却して軽質油9等を回収
する凝縮装置8と、該凝縮装置8と前記熱分解槽4とを
連結する連結配管18とを有するプラスチック類の熱分
解装置において、前記熱分解槽4内または連結配管18
の途中に、気相状態のプラスチック熱分解物と接触する
酸化鉄または水酸化鉄を充填した充填層7を設けたこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック類の
熱分解方法および装置ならびにこれに用いる脱塩素剤に
係り、特に、塩素成分をほとんど含まない軽質油を回収
することができるプラスチック類の熱分解方法および装
置ならびにこれに用いる脱塩素剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題および廃棄物問題の
高まりにより、廃棄物を無公害で処理すること、再生し
て資源として有効利用することなど廃棄物対策の必要性
が強く叫ばれており、廃棄物の無公害化、再資源化の研
究が盛んに行われている。廃プラスチックについても同
様で、様々な処理、再生方法に係る研究が各所で行われ
ている。
【0003】廃プラスチックのリサイクル方法は、マテ
リアルリサイクルとサーマルリサイクルとに大別でき、
サーマルリサイクルは、さらに廃プラスチックを直接燃
焼して熱を回収する方法と、一旦加工して燃料化し、最
終的にエネルギとして回収する方法とに分かれる。廃プ
ラスチックの燃料化方法としては、留出物として有用性
の高い油を回収することができる熱分解油化方法が注目
されている。
【0004】図4は、廃プラスチックを燃料化する従来
の熱分解油化方法のシステムフローを示す説明図であ
る。この熱分解油化方法は、被処理材料である廃プラス
チック41を熱分解槽42に供給し、加熱管43によっ
て間接加熱して分解し、熱分解物を分留して分解ガス4
4と分解油45を回収するものである。しかしながら、
このような従来技術では塩素含有プラスチックの分解に
よって生じた塩化水素が、冷却過程で分解生成物と再反
応して有機塩素化合物となり、分解生成油中に多量の塩
素が含まれることになる。すなわち、廃プラスチックに
は、通常、塩素系樹脂、例えば塩化ビニルや塩化ビニリ
デンが5〜10%程度含まれており、これら塩素系樹脂
から発生する塩化水素(HCl)が処理されないまま、
分解生成油に含まれてくると、軽質油としての価値が低
下し、燃料として使用した場合は、ダイオキシン等の有
害塩素化合物の発生原因になるという問題があった。一
方、分解生成油中の塩素を取り除くために、別途脱塩素
工程を設けたり、加熱分解工程の前工程として脱塩素工
程を設ける等の提案がなされているが、工程および装置
が極めて複雑となるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、処理工程および装置が比較
的簡単で、しかも分解生成油として塩素含有量の少ない
軽質油を回収することができるプラスチック類の熱分解
方法および装置を提供することにある。また、本発明の
他の目的は、プラスチック熱分解物から効率よく塩素成
分を分離除去することができる脱塩素剤を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願で特許請求される発明は以下のとおりである。 (1)塩素成分を含む廃プラスチックを加熱分解して軽
質油等として回収するプラスチック類の熱分解方法にお
いて、加熱分解したプラスチックの熱分解物を気相状態
で酸化鉄または水酸化鉄と接触させ、前記プラスチック
熱分解物に含まれる塩素成分を前記酸化鉄または水酸化
鉄と反応またはこれに吸着させて分離することを特徴す
とるプラスチック類の熱分解方法。
【0007】(2)前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化
第一鉄、酸化第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうち
の1種または2種以上の混合物であることを特徴とする
上記(1)記載のプラスチック類の熱分解方法。 (3)前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割合のシリカア
ルミナを混入させることを特徴とする上記(1)または
(2)記載のプラスチック類の熱分解方法。
【0008】(4)塩素成分を含む廃プラスチックを加
熱分解する熱分解槽と、該熱分解槽で加熱分解されたプ
ラスチックの熱分解物を冷却して軽質油等を回収する凝
縮装置と、該凝縮装置と前記熱分解槽とを連結する連結
配管とを有するプラスチック類の熱分解装置において、
前記熱分解槽内または連結配管の途中に、気相状態のプ
ラスチック熱分解物と接触する酸化鉄または水酸化鉄を
充填した充填層を設けたことを特徴とするプラスチック
類の熱分解装置。 (5)前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化第一鉄、酸化
第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1種または
2種以上の混合物であることを特徴とする上記(4)記
載のプラスチック類の熱分解装置。
【0009】(6)前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割
合のシリカアルミナを混入させたことを特徴とする上記
(4)または(5)に記載のプラスチック類の熱分解装
置。 (7)前記熱分解槽は、槽内の底部に加熱手段を有し、
該底部は、該底部を取り外した際にプラスチックの加熱
手段が露出するように、熱分解槽本体に対して着脱自在
に設けられていることを特徴とする上記(4)〜(6)
のいずれかに記載のプラスチック類の熱分解装置。
【0010】(8)気相状態のプラスチック熱分解物と
接触して該プラスチック熱分解物に含まれる塩素成分と
反応またはこれを吸着する脱塩素剤であって、酸化鉄ま
たは水酸化鉄からなることを特徴とする脱塩素剤。 (9)前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化第一鉄、酸化
第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1種または
2種以上の混合物であることを特徴とする上記(8)記
載の脱塩素剤。 (10)前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割合のシリカ
アルミナを混入させたことを特徴とする上記(8)また
は(9)記載の脱塩素剤。
【0011】本発明において、熱分解槽内の上部または
凝縮装置との連結配管の途中に、気相状態のプラスチッ
ク熱分解物と接触する酸化鉄または水酸化鉄を充填した
充填層を設けたことにより、廃プラスチックに含まれ、
熱分解に伴ってプラスチック熱分解物中に移行した塩素
成分(主として塩化水素、以下塩化水素という)が前記
酸化鉄または水酸化鉄と反応またはこれに吸着してプラ
スチック熱分解物から分離される。従って、プラスチッ
ク熱分解物を分留して得られる軽質油中の塩素分を著し
く低減することができる。
【0012】本発明において、酸化鉄または水酸化鉄
(以下、脱塩素剤ともいう)の充填層は、プラスチック
熱分解物を気相状態で脱塩素剤と接触させることができ
れば、特に限定されるものではない。プラスチックの熱
分解物中に含まれる塩化水素と、プラスチックが分解し
た軽質油成分(炭化水素)との反応は、プラスチック熱
分解物を冷却して分留する過程、例えば350〜300
℃で生じるが、本発明においては、塩化水素と軽質油成
分とが反応する前の気相状態において脱塩素剤と接触さ
せてプラスチック熱分解物中の塩化水素を取り除くの
で、このような問題は起こらず、有害な塩素化合物を含
まない軽質油を回収することができる。
【0013】本発明において、脱塩素剤としては、酸化
第一鉄(FeO)、酸化第二鉄(α−Fe2 3 、γ−
Fe2 3 )、水酸化鉄(α−FeOOH、β−FeO
OH、γ−FeOOH)および四三酸化鉄(Fe
3 4 )のうちの1種または2種以上の粒状物の混合物
が用いられる。粒状物の形状としては、例えば球形、円
柱形、角柱形、円筒(リング)形であり、例えば直径1
〜3mm、高さ3〜10mmの円柱状に成形されたもの
が使用される。プラスチック熱分解物中の塩化水素は脱
塩素剤中の鉄分と反応またはこれに吸着して固定、分離
されると考えられる。塩化水素が酸化鉄等に固定される
メカニズムは、必ずしも明らかではないが、塩素と鉄と
が反応した塩化鉄として固定されるか、または塩素と鉄
とが複雑に結合または付着した形態で固定されるものと
考えられる。脱塩素剤の再生は、例えば空気流通下に2
00〜400℃に加熱することによって行われる。加熱
時間は、例えば3〜10時間であり、このとき加熱空気
の空間速度は、例えば1,000〜3,000/hrで
ある。脱塩素剤は、再生することにより半永久的に使用
することができる。
【0014】表1に本発明に使用される脱塩素剤として
の酸化鉄または水酸化鉄の種類および特性を示す。
【0015】
【表1】 本発明において、脱塩素剤としての酸化鉄または水酸化
鉄には、所定割合、例えば10〜50wt%のシリカア
ルミナを混入させることが好ましい。これによって分解
生成油中の塩素濃度をより低減することができる。
【0016】本発明において、熱分解槽のケーシングの
底部をケーシング本体に対して着脱自在に設け、該底部
ケーシングを取り外した際にプラスチックの加熱手段が
露出するような構成とすることが好ましい。これによっ
て、プラスチックの加熱手段である加熱コイルの表面に
付着したコーキング物(付着炭化物)を容易に取り除く
ことができる。
【0017】なお、廃プラスチックとしては、例えばポ
リエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリス
チレン(PS)等、またはこれらの混合物等があげられ
るが、特に限定されるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施例によりさら
に詳細に説明する。図1は、本発明であるプラスチック
類の熱分解装置の一実施例を示す系統図である。図にお
いて、この装置は、廃プラスチック17を受け入れて貯
留する受入槽1と、異物を取り除く分別機、粉砕機等か
らなる前処理装置2と、前処理後の廃プラスチックを熱
分解槽4に導入する供給機3と、前記熱分解槽4内に設
けられた加熱コイル5と、該加熱コイル5に燃焼ガスを
送る燃焼器6と、前記熱分解槽4の上部空間部に設けら
れた脱塩素剤の充填層7と、脱塩素化された熱分解物を
冷却して分解油9と分解ガス10とに分ける凝縮器8と
から主として構成されている。なお、11は、廃プラス
チックから分別された異物、12は、熱分解槽4に設け
られた攪拌機、13は、残渣油抜き出しポンプ、14
は、残渣油、15は、燃焼器6に供給される燃料、16
は、凝縮器8に導入される冷却媒体である。
【0019】このような構成において、廃プラスチック
17は受入槽1に受け入れられたのち、前処理装置2で
金属片等の異物が取り除かれるとともに所定の大きさに
粉砕される。粉砕された廃プラスチック17は、供給機
3によって、例えば100kg/hで熱分解槽4に供給
され、燃焼器6で発生した燃焼ガスが流通する加熱コイ
ル5によって、例えば350〜450℃に間接加熱され
るとともに攪拌機12によって攪拌されて分解する。分
解によって発生したプラスチック熱分解物は、気相状態
で、熱分解槽4の上部空間部に設けられた、脱塩素剤、
例えば酸化鉄が充填された充填層7を流通して塩化水素
が除去されたのち、後流の凝縮器8に流入し、ここで、
例えば50〜300℃に冷却されて分解油9と分解ガス
10とに分けて回収される。
【0020】本実施例によれば、プラスチック熱分解槽
4の上部空間部に脱塩素剤の充填層7を設けたことによ
り、プラスチック熱分解物が気相状態で脱塩素剤と接触
するので、前記プラスチック熱分解物に含まれる塩化水
素を効率よく分離することができ、分解油として塩素を
含まない軽質油を回収することができる。図2は、本発
明の他の実施例であるプラスチック熱分解装置を示す系
統図である。この装置が図1と異なることろは、脱塩素
剤の充填層7を熱分解槽4の上部空間ではなく、熱分解
槽4とその後流の凝縮器8とを連結する連結配管18内
に設けたものであり、図1の装置と同様の効果を得るこ
とができる。
【0021】図2において、熱分解槽4と凝縮器8とを
連結する連結配管18にバイパス管を設け、該バイパス
管にも脱塩素剤の充填層7を設け、バルブ等の切り換え
手段等によって交互に切り換えて使用することにより、
プラスチックの熱分解および脱塩素剤の再生を連続して
行うことができる。図3は、本発明の別の実施例である
プラスチック熱分解装置の熱分解槽を示す説明図であ
る。図において、熱分解槽4は、槽内の底部に加熱手段
を有し、そのケーシングは、ケーシング本体4aと底部
ケーシング4bとに分解できるように構成されている。
このような構成とすることにより、底部ケーシング4b
を取り外すことによって加熱コイル5を露出させること
ができるので、加熱コイル5の表面に付着したコーキン
グ物を容易に除去することができる。
【0022】次に、本発明の具体的実施例を説明する。 実施例1 図1の装置を用い、熱分解槽4の上部空間部に設けられ
た脱塩素剤の充填層7に、直径1.5mm、高さ7mm
の円筒状に成形した水酸化鉄α−FeOOHを充填し、
粉砕した廃ポリプロピレン(PP)と廃ポリ塩化ビニル
(PVC)を8:2の割合で混合した被処理物を100
kg/h(塩素分:1.27kg/h)で熱分解槽4に
導入し、加熱コイル5で380℃に加熱して分解し、発
生したプラスチック熱分解物を気相状態で脱塩素剤の充
填層7に流通させた後、凝縮器8に導入して約200℃
に冷却したところ、62.6kg/hの分解油と8.9
kg/hの分解ガスが得られた。なお、残渣油は28.
5kg/hで回収され、分解油の塩素濃度は3200p
pmであった。
【0023】実施例2 脱塩素剤を実施例1で用いたα−FeOOHとシリカア
ルミナ(SA1)を2対1の割合で混合した混合物とし
た以外は上記引例1と同様の装置および廃プラスチック
を用いて同様の熱分解を行ったところ、63.9kg/
hの分解油と16.4kg/hの分解ガスが得られた。
なお、残渣油は19.7kg/hで回収され、分解油の
塩素濃度は1100ppmであった。
【0024】比較例1 脱塩素剤を使用しない以外は、上記実施例1と同様の装
置および廃プラスチックを用いて同様の熱分解を行った
ことろ、73.2kg/hの分解油と12.8kg/h
の分解ガスが得られた。なお、残渣油は14.0kg/
hで回収され、分解油の塩素濃度は12700ppmで
あった。
【0025】比較例2 脱塩素剤を熱分解槽の上部空間部に層状に配置しない
で、粒状のまま、溶融状態のプラスチック溶融物に投入
し、液相接触させた以外は上記引例1と同様の装置およ
び廃プラスチックを用いて同様の熱分解を行ったとこ
ろ、73.4kg/hの分解油と9.7kg/hの分解
ガスが得られた。なお、残渣油は16.9kg/hで回
収され、分解油の塩素濃度は4100ppmであった。
【0026】比較例3 脱塩素剤を熱分解槽の上部空間部に層状に配置しない
で、粒状のまま、溶融状態のプラスチック溶融物に投入
し、液相接触させた以外は上記引例2と同様の装置およ
び廃プラスチックを用いて同様の熱分解を行ったとこ
ろ、60.6kg/hの分解油と17.0kg/hの分
解ガスが得られた。なお、残渣油は22.4kg/hで
回収され、分解油の塩素濃度は18100ppmであっ
た。
【0027】実施例1、2および比較例1〜3における
熱分解条件ならびに分解生成物量および性状を表2に、
分解生成物における塩素の回収割合を表3に示した。
【表2】
【表3】 表2において、プラスチック熱分解物を気相状態で脱塩
素剤と接触させた実施例1および2は、液相状態で接触
させた比較例2または3に比較して分解油中の塩素含有
量が著しく低くなっており、特に、脱塩素剤としてFe
OOH+AS1を用いた実施例2においては1100p
pmまで低減されていることが分かる。また、表3にお
いて、プラスチック熱分解物を気相状態で脱塩素剤と接
触させた実施例1および2は、分解油に混入する塩素分
を全塩素の2.5%以下に低減できることが分かる。こ
れに対して、脱塩素剤を用いない比較例1、または液相
状態のプラスチック熱分解物と脱塩素剤とを接触させた
比較例2および3においては、分解油中の塩素分を実施
例1または2ほど低減できないことが分かる。
【0028】
【発明の効果】本願の請求項1記載の発明によれば、プ
ラスチックの熱分解物を気相状態で酸化鉄または水酸化
鉄と接触させ、前記プラスチック熱分解物に含まれる塩
素成分を酸化鉄または水酸化鉄と反応またはこれに吸着
させて分離することにより、塩素含有量の少ない軽質油
を回収することができる。
【0029】本願の請求項2記載の発明によれば、酸化
鉄または水酸化鉄として、酸化第一鉄、酸化第二鉄、水
酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1種または2種以上の
混合物を用いることにより、上記発明の効果に加え、プ
ラスチック熱分解物に含まれる塩化水素が酸化鉄または
水酸化鉄中の鉄と反応またはこれに吸着するので、脱塩
素効果が向上する。
【0030】本願の請求項3記載の発明によれば、酸化
鉄または水酸化鉄に所定割合のシリカアルミナを混入さ
せることにより、上記発明の効果に加え、分解生成油と
しての軽質油中の塩素濃度をさらに低減することができ
る。本願の請求項4記載の発明によれば、熱分解槽内ま
たは連結配管の途中に、気相状態のプラスチック熱分解
物と接触する酸化鉄または水酸化鉄を充填した充填層を
設けたことにより、プラスチック熱分解物に含まれる塩
素成分を前記酸化鉄または水酸化鉄と反応またはこれに
吸着させることができるので、塩素含有量の少ない軽質
油を回収することができる。
【0031】本願の請求項5記載の発明によれば、酸化
鉄または水酸化鉄を、酸化第一鉄、酸化第二鉄、水酸化
鉄および四三酸化鉄のうちの1種または2種以上の混合
物としたことにより、上記発明の効果に加え、プラスチ
ック熱分解物に含まれる塩化水素を酸化鉄または水酸化
鉄中の鉄と反応させて、またはこれに吸着して分離でき
るので、脱塩素効果が向上する。
【0032】本願の請求項6記載の発明によれば、酸化
鉄または水酸化鉄に所定割合のシリカアルミナを混入さ
せたことにより、上記発明の効果に加え、分解生成油と
しての軽質油中の塩素濃度をさらに低減することができ
る。本願の請求項7記載の発明によれば、熱分解槽が、
槽内の底部に加熱手段を有し、該底部は、該底部を取り
外した際にプラスチックの加熱手段が露出するように、
熱分解槽本体に対して着脱自在に設けられていることに
より、上記発明の効果に加え、加熱手段の表面に付着し
たコーキング物の除去が容易となる。
【0033】本願の請求項8記載の発明によれば、酸化
鉄または水酸化鉄を、気相状態のプラスチック熱分解物
と接触して該プラスチック熱分解物に含まれる塩素成分
と反応またはこれを吸着する脱塩素剤としたことによ
り、プラスチック熱分解物中の塩化水素を効率よく分離
回収することができる。本願の請求項9記載の発明によ
れば、酸化鉄または水酸化鉄を、酸化第一鉄、酸化第二
鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1種または2種
以上の混合物としたことにより、塩化水素を酸化鉄また
は水酸化鉄の鉄分と反応、またはこれに吸着させて効率
よく分離することができる。
【0034】本願の請求項10記載の発明によれば、脱
塩素剤としての酸化鉄または水酸化鉄に所定割合のシリ
カアルミナを混入させたことにより、上記発明の効果に
加え、脱塩素能力がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるプラスチック熱分解装
置を示すシステムフロー図。
【図2】本発明の他の実施例を示す説明図。
【図3】本発明の別の実施例の熱分解槽を示す説明図。
【図4】従来技術を示す説明図。
【符号の説明】
1…受入槽、2…前処理装置、3…供給機、4…熱分解
槽、5…加熱コイル、6燃焼器、7…脱塩素剤の充填
層、8…凝縮器、9…分解油、10…分解ガス、11…
異物、12…攪拌機、13…残渣油抜き出しポンプ、1
4…残渣油、15…燃料、16…冷却媒体、17…廃プ
ラスチック、18…連結配管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 11/16 ZAB B01D 53/34 134A // C08L 23:10 27:06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素成分を含む廃プラスチックを加熱分
    解して軽質油等として回収するプラスチック類の熱分解
    方法において、加熱分解したプラスチックの熱分解物を
    気相状態で酸化鉄または水酸化鉄と接触させ、前記プラ
    スチック熱分解物に含まれる塩素成分を前記酸化鉄また
    は水酸化鉄と反応またはこれに吸着させて分離すること
    を特徴すとるプラスチック類の熱分解方法。
  2. 【請求項2】 前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化第一
    鉄、酸化第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1
    種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求
    項1に記載のプラスチック類の熱分解方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割合の
    シリカアルミナを混入させることを特徴とする請求項1
    または2に記載のプラスチック類の熱分解方法。
  4. 【請求項4】 塩素成分を含む廃プラスチックを加熱分
    解する熱分解槽と、該熱分解槽で加熱分解されたプラス
    チックの熱分解物を冷却して軽質油等を回収する凝縮装
    置と、該凝縮装置と前記熱分解槽とを連結する連結配管
    とを有するプラスチック類の熱分解装置において、前記
    熱分解槽内または連結配管の途中に、気相状態のプラス
    チック熱分解物と接触する酸化鉄または水酸化鉄を充填
    した充填層を設けたことを特徴とするプラスチック類の
    熱分解装置。
  5. 【請求項5】 前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化第一
    鉄、酸化第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1
    種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求
    項4に記載のプラスチック類の熱分解装置。
  6. 【請求項6】 前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割合の
    シリカアルミナを混入させたことを特徴とする請求項4
    または5に記載のプラスチック類の熱分解装置。
  7. 【請求項7】 前記熱分解槽は、槽内の底部に加熱手段
    を有し、該底部は、該底部を取り外した際にプラスチッ
    クの加熱手段が露出するように、熱分解槽本体に対して
    着脱自在に設けられていることを特徴とする請求項4〜
    6のいずれかに記載のプラスチック類の熱分解装置。
  8. 【請求項8】 気相状態のプラスチック熱分解物と接触
    して該プラスチック熱分解物に含まれる塩素成分と反応
    またはこれを吸着する脱塩素剤であって、酸化鉄または
    水酸化鉄からなることを特徴とする脱塩素剤。
  9. 【請求項9】 前記酸化鉄または水酸化鉄が、酸化第一
    鉄、酸化第二鉄、水酸化鉄および四三酸化鉄のうちの1
    種または2種以上の混合物であることを特徴とする請求
    項8に記載の脱塩素剤。
  10. 【請求項10】 前記酸化鉄または水酸化鉄に所定割合
    のシリカアルミナを混入させたことを特徴とする請求項
    8または9に記載の脱塩素剤。
JP15947598A 1997-09-05 1998-06-08 プラスチック類の熱分解方法および装置ならびにこれに用いる脱塩素剤 Withdrawn JPH11140460A (ja)

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