JP3263811B2 - 廃プラスチック類の分解油中の塩素成分除去方法及び装置 - Google Patents

廃プラスチック類の分解油中の塩素成分除去方法及び装置

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    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/62Plastics recycling; Rubber recycling

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃プラスチック類
を熱分解により油化して再利用のために分解油として回
収する方法と装置であって、該分解油中の塩素成分を除
去して回収する方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のように分解油として回収す
る方法や装置は知られており、通常は廃プラスチック類
を熱分解槽で加熱分解し、これにより発生したガス状の
熱分解生成物を分留塔などの凝縮手段へ導いて凝縮さ
せ、分解油として回収している。
【0003】廃プラスチック類が塩化ビニルのような塩
素成分を含む場合、分解油中にも塩素成分が混入し、こ
のような分解油を燃焼させるとダイオキシンが発生する
不都合を生じる。そのため、本願発明者は、先に、熱分
解槽内で気相状態の熱分解生成物を酸化鉄や水酸化鉄に
接触させ、塩素成分を該酸化鉄等と反応させ或いは該酸
化鉄等に吸着させることで除去した分解油を得る方法を
提案した(特開平11-140460号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した気相状態の熱
分解生成物に酸化鉄や水酸化鉄を接触させることで塩素
成分を減少させる方法では、分解油中の塩素含有量は1
100ppm程度であり、酸化鉄等に接触させない場合よ
りも大幅に減少するが、この程度の量でも分解油の燃焼
に伴い環境基準を超えるダイオキシンが発生して好まし
くなく、更に塩素含有量を減少させることが望ましい。
【0005】本発明は、塩素含有量が更に少ない分解油
を回収する方法とその方法の実施に適した装置を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、塩素成分を
含む廃プラスチック類を熱分解槽で加熱分解し、その加
熱分解で発生するガス状の熱分解生成物を凝縮して分解
油を回収する方法に於いて、該熱分解生成物が気液混相
状態にあるときこれを酸化鉄系の触媒に接触させ、該熱
分解生成物に含まれる塩素成分を該触媒と反応させ或い
は該触媒に吸着させて分離除去することにより、上記の
目的を達成するようにした。該気液混相状態の熱分解生
成物は、そのガス分及び液分の両方が上記触媒に接触後
に凝縮され、分解油として回収される。
【0007】本発明の方法は、該熱分解槽の加熱分解で
発生したガス状の熱分解生成物を分解油に凝縮するため
の凝縮手段へ導く傾斜配管の途中であって、該熱分解生
成物が気液混相状態になり且つその液分を分解油として
回収できる位置に、酸化鉄系の触媒の固定層を設けるこ
とにより、適切に実施できる。該固定層は、該酸化鉄系
の触媒を粒状に形成して多数の透孔を有する容器に詰
め、該容器を着脱自在に該傾斜配管に設けて構成するこ
とが好ましく、該酸化鉄系の触媒としては、酸化第一
鉄、酸化第二鉄、水酸化鉄、四三酸化鉄のうちの1種ま
たは2種以上の混合物が使用される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
き説明すると、図1に於いて符号1は塩素成分を含む廃
プラスチック類2を収容したバッチ式の熱分解槽を示
し、該熱分解槽1を加熱炉3のバーナー4により加熱す
ることにより該廃プラスチック類2が熱分解され、ガス
状の熱分解生成物が熱分解槽1内に発生する。
【0009】該熱分解槽1の上方には、その内部で発生
した熱分解生成物を分留塔からなる凝縮手段5へ導く傾
斜配管6を設け、該凝縮手段5から更にクーラー7を備
えた連結配管8を介して分留塔からなる第2の凝縮手段
9へと該熱分解生成物を導くようにし、該凝縮手段5で
は凝縮温度の高い重質油の分解油を回収し、第2の凝縮
手段9では凝縮温度の低い軽質油の分解油を回収するよ
うにした。第2の凝縮手段9で凝縮されなかったガス状
の熱分解生成物は、分解ガスとしてバーナー4などの熱
源に利用される。
【0010】廃プラスチック類2は、例えば該熱分解槽
1内で約450℃に加熱されて加熱分解され、これによ
り発生するガス状の熱分解生成物は、凝縮手段5で約1
70℃に冷却されて重質油が凝縮し、これにより凝縮し
なかった熱分解生成物が約50℃の第2の凝縮手段9で
凝縮されて軽質油として回収される。しかし、該廃プラ
スチック類2がポリ塩化ビニルを7〜8wt%(一般廃棄
物中の廃プラスチックに於けるポリ塩化ビニルの含有
量)を含有するものであると、ガス状生成物(分解ガ
ス)は491,000ppm以上の塩素濃度を有し、回収
された分解油中も1700ppm以上の塩素濃度になり、
分解油を燃焼させたとき基準以上のダイオキシンを発生
させるおそれを伴うので、前記提案のように酸化鉄、水
酸化鉄などを充填した充填層に気相状態の熱分解生成物
を接触させて塩素濃度を希釈することが提案されたが、
これでも1100ppm程度の塩素濃度が存在して不十分
であったので、本発明では、該熱分解生成物が気液混相
状態になったときに酸化鉄、水酸化鉄などの水酸化系の
触媒と接触させ、反応或いは吸着により塩素成分の十分
な除去を行うようにした。
【0011】該傾斜配管6は逆V字状で断熱材で保温さ
れているが、配管内は熱分解槽1の温度から凝縮手段5
の温度にまで低下する温度勾配を有し、これの内部を流
れる熱分解生成物は、熱分解槽1から傾斜配管6の最上
部6aまではガス状態で流れ、その後は気液混相状態と
なって凝縮手段5へ流入するもので、気液混相状態にな
る該傾斜配管6の下降部分6bに該触媒の固定層10を
設け、熱分解生成物が該固定層10を通過するとき、熱
分解生成物中の塩素成分が該触媒と反応し或いは吸着さ
れ、該凝縮手段5に到達したガス状成分或いは液状成分
にはごく僅かの塩素成分が含まれるにすぎなくなる。そ
のため該凝縮手段5に溜まる重質油の分解油13および
第2の凝縮手段9に溜まる軽質油の分解油14には塩素
成分がごく僅かしか含有されず、これを燃焼させても殆
どダイオキシンの発生がなくなる。
【0012】該触媒には、酸化第一鉄、酸化第二鉄、水
酸化鉄、四三酸化鉄のうちの1種または2種以上の混合
物が使用され、これらを粒状に加工して図2に示したよ
うな網篭などの多孔を有する容器11に詰め、該傾斜配
管6の途中に着脱自在に設けた外筒12に該容器11を
収めることで該固定層10を構成するようにした。該触
媒の成型体は一般に圧縮強度が小さく、充填物としては
不適当であるが、全体が或いは底部が10〜100メッ
シュ程度の多孔の容器11に成型体を詰めることでその
崩壊を防ぎながら使用することができる。
【0013】該触媒を気相中でなく気液混相中に設ける
ことで、熱分解生成物から塩素成分を収奪する量が向上
する理由は定かでないが、塩素分は、図3に示すよう
に、低炭素数である低沸点側に偏在しており、熱分解生
成物の炭素数の多い高沸点側の成分が凝縮して液状にな
ると残りのガス状分中の塩素ガス濃度が高くなり、反応
効率が高まるからであると推定される。該触媒は、適当
な時間が経過して触媒機能が低下したとき交換される。
廃プラスチック類2は該熱分解槽1へ連続的に投入する
構成とすることも可能である。
【0014】
【実施例】(実施例1)図1の装置構成で熱分解槽1に
ポリエチレン9.4kg、塩化ビニル0.6kgを含む廃プ
ラスチック類2を入れ、容器11に粒子状のγ−Fe2
3を2.5kg詰め、該熱分解槽1内を450℃に加熱
してガス状の熱分解生成物を発生させた。該熱分解生成
物は該容器11を設けた位置では約400℃になり、気
液混相の状態にあった。ここで発生した液分は熱分解生
成物の10〜30wt%に達し、傾斜配管6を伝って分留
塔の凝縮手段5に流れ込み、該凝縮手段5により凝縮さ
れた重質油の分解油13と合流する。ここで凝縮しなか
ったガス状の熱分解生成物は、続いて第2の凝縮手段9
へと送られ、そこで約25℃に冷却され軽質油の分解油
14として回収した。ここでも凝縮しなかったガスは、
熱源用の分解ガスとして排出した。該熱分解槽1に収容
した廃プラスチック類2の熱分解が終了したとき、該熱
分解槽1には20.0wt%の残査が残り、凝縮手段5、
9で回収された重質油および軽質油の分解油の合計は7
5.5wt%、分解ガスは4.5wt%であった。そして、
該残査、分解油および分解ガスの塩素濃度を測定したと
ころ、10ppm、127ppm、55ppmであった。分解油
の塩素濃度は従来の約1/10であり、これを燃焼させ
てダイオキシン濃度を測定したところ、0.086ng−
TEQ/Nm3であったので環境を損なう程のダイオキシン
は発生しない。
【0015】(実施例2)実施例1の廃プラスチック類
2を、ポリスチレン3.2kg、ポリプロピレン3.1k
g、ポリスチレン3.1kg、塩化ビニル0.6kgに代
え、熱分解槽1の温度を430℃とした以外は実施例1
と同条件で熱分解を行った。その熱分解が終了したと
き、該熱分解槽1には20.0wt%の残査が残り、凝縮
手段5、9で回収された重質油および軽質油の分解油の
合計は76.2wt%、分解ガスは3.8wt%であった。
該残査、分解油および分解ガスの塩素濃度を測定したと
ころ、12ppm、132ppm、53ppmであった。この塩
素濃度の分解油を燃焼させても環境を損なう程のダイオ
キシンは発生しない。
【0016】(実施例3)実施例1の廃プラスチック類
2を、廃農業用フィルム(農業用ビニル+農業用ポリエ
チレン)5.0kgに代えた以外は実施例1と同条件で熱
分解を行った。その熱分解が終了したとき、該熱分解槽
1には15.3wt%の残査が残り、凝縮手段5、9で回
収された重質油および軽質油の分解油の合計は77.5
wt%、分解ガスは7.2wt%であった。該残査、分解油
および分解ガスの塩素濃度を測定したところ、10pp
m、96ppm、49ppmであった。この塩素濃度の分解油
を燃焼させても環境を損なう程のダイオキシンは発生し
ない。
【0017】(実施例4)実施例1の廃プラスチック類
2を、ポリエチレン9.4kg、塩化ビニル0.6kgに代
え、容器11の触媒を粒子状のFeOOH(ゲータイ
ト)に変更した以外は実施例1と同条件で熱分解を行っ
た。その熱分解が終了したとき、該熱分解槽1には2
0.0wt%の残査が残り、凝縮手段5、9で回収された
重質油および軽質油の分解油の合計は75.3wt%、分
解ガスは4.7wt%であった。該残査、分解油および分
解ガスの塩素濃度を測定したところ、17ppm、135p
pm、63ppmであった。この塩素濃度の分解油を燃焼さ
せても環境を損なう程のダイオキシンは発生しない。
【0018】(比較例1)比較のために図1の装置構成
から容器11を取り外し、実施例1と同条件でポリエチ
レン9.4kg、塩化ビニル0.6kgの廃プラスチック類
2を熱分解した。この場合、残査は20.0wt%、凝縮
手段5、9で回収された重質油および軽質油の分解油の
合計は73.4wt%、分解ガスは6.6wt%であった。
該残査、分解油および分解ガスの塩素濃度を測定したと
ころ、500ppm、1700ppm、495400ppmであ
った。分解油の塩素濃度は実施例1の場合の約13倍
で、この分解油を燃焼させることは環境上好ましくな
い。
【0019】(比較例2)更に比較のために図1の装置
構成から容器11を取り外し、実施例2と同条件でポリ
スチレン3.2kg、ポリプロピレン3.1kg、ポリスチ
レン3.1kg、塩化ビニル0.6kgの廃プラスチック類
2を熱分解した。この場合、残査は20.0wt%、凝縮
手段5、9で回収された重質油および軽質油の分解油の
合計は74.1wt%、分解ガスは5.9wt%であった。
該残査、分解油および分解ガスの塩素濃度を測定したと
ころ、400ppm、6700ppm、491900ppmであ
った。分解油の塩素濃度は実施例2の場合の約50倍
で、この分解油を燃焼させることは環境上好ましくな
い。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明によるときは、塩素
成分を含む廃プラスチック類を熱分解槽で加熱分解して
分解油を回収する方法に於いて、熱分解生成物が気液混
相状態にあるときこれを酸化鉄系の触媒に接触させ、該
熱分解生成物に含まれる塩素成分を該触媒と反応させ或
いは該触媒に吸着させて分離除去するので、該触媒を熱
分解生成物が気相状態にあるときこれに接触させるより
も約1桁以上に塩素成分を減少させることができ、環境
を損なわない分解油を回収することができる。また、請
求項3の構成とすることにより本発明の方法を適切に実
施でき、請求項4の構成とすることで圧縮強度の小さい
該触媒を壊さずに設けることができその交換も簡単に行
える等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用した装置の説明図
【図2】図1の固定層の詳細を示す断面図
【図3】塩素分と炭素数の関係を示す線図
【符号の説明】
1 熱分解槽、2 廃プラスチック類、5 凝縮手段、
6 傾斜配管、9 第2の凝縮手段、10 固定層、1
1 容器、13・14 分解油、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10G 1/10 C08J 11/12 B09B 3/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩素成分を含む廃プラスチック類を熱分解
    槽で加熱分解し、その加熱分解で発生するガス状の熱分
    解生成物を凝縮して分解油を回収する方法に於いて、該
    熱分解生成物が気液混相状態にあるときこれを酸化鉄系
    の触媒に接触させ、該熱分解生成物に含まれる塩素成分
    を該触媒と反応させ或いは該触媒に吸着させて分離除去
    することを特徴とする廃プラスチック類の分解油中の塩
    素成分除去方法。
  2. 【請求項2】上記気液混相状態の熱分解生成物は、その
    ガス分及び液分の両方が上記触媒に接触後に凝縮される
    ことを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチック類の
    分解油中の塩素成分除去方法。
  3. 【請求項3】塩素成分を含む廃プラスチック類を加熱分
    解する熱分解槽と、この加熱分解で発生したガス状の熱
    分解生成物を分解油に液化するための凝縮手段へ導く傾
    斜配管とを備えた廃プラスチック類の油化処理装置に於
    いて、該傾斜配管の途中であって該熱分解生成物が気液
    混相状態になり且つその液分を分解油として回収できる
    位置に、酸化鉄系の触媒の固定層を設けたことを特徴と
    する廃プラスチック類の分解油中の塩素成分除去装置。
  4. 【請求項4】上記酸化鉄系の触媒を粒状に形成して多数
    の透孔を有する容器に詰め、該容器を着脱自在に上記傾
    斜配管に設けて上記固定層を構成したことを特徴とする
    請求項3に記載の廃プラスチック類の分解油中の塩素成
    分除去装置。
  5. 【請求項5】上記酸化鉄系の触媒は、酸化第一鉄、酸化
    第二鉄、水酸化鉄、四三酸化鉄のうちの1種または2種
    以上の混合物であることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか1項に記載の廃プラスチック類の分解油中の塩
    素成分除去方法または装置。
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