JPH1113874A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
無段変速機の制御装置Info
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- JPH1113874A JPH1113874A JP17489697A JP17489697A JPH1113874A JP H1113874 A JPH1113874 A JP H1113874A JP 17489697 A JP17489697 A JP 17489697A JP 17489697 A JP17489697 A JP 17489697A JP H1113874 A JPH1113874 A JP H1113874A
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- Japan
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- continuously variable
- variable transmission
- line pressure
- pressure
- transmission mechanism
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Abstract
(57)【要約】
【課題】ベルトを挟持するためにプーリに供給される作
動流体が、ベルトの耐久性を低下させるのを防止する。 【解決手段】遠心圧PL1等を考慮した要求ライン圧PLD
が、入力回転数NPri 及び変速比CP で決まる最大ライ
ン圧PLMAXを超えるときには、到達ライン圧PLRを最大
ライン圧PLMAXで規制する。最大ライン圧PLMAXは、ベ
ルトにかかる遠心力が大きくなる入力回転数NPri が大
きいときに小さく、またプーリへの巻付き角が小さくな
るプーリの変速比Cp が1より大きいときや小さいとき
に小さく、またベルトにかかる遠心力が大きくなるプー
リの変速比CP が1より小さくなるときにより小さくな
るように設定される。
動流体が、ベルトの耐久性を低下させるのを防止する。 【解決手段】遠心圧PL1等を考慮した要求ライン圧PLD
が、入力回転数NPri 及び変速比CP で決まる最大ライ
ン圧PLMAXを超えるときには、到達ライン圧PLRを最大
ライン圧PLMAXで規制する。最大ライン圧PLMAXは、ベ
ルトにかかる遠心力が大きくなる入力回転数NPri が大
きいときに小さく、またプーリへの巻付き角が小さくな
るプーリの変速比Cp が1より大きいときや小さいとき
に小さく、またベルトにかかる遠心力が大きくなるプー
リの変速比CP が1より小さくなるときにより小さくな
るように設定される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
無段変速機の制御装置に関するものであり、特に溝幅が
可変の一対のプーリで巻回されるベルトを狭持し、当該
プーリの溝幅を調整することで変速比を可変制御する無
段変速機構を備えたものに好適なものである。
無段変速機の制御装置に関するものであり、特に溝幅が
可変の一対のプーリで巻回されるベルトを狭持し、当該
プーリの溝幅を調整することで変速比を可変制御する無
段変速機構を備えたものに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】このような無段変速機の制御装置として
は例えば本出願人が先に提案した特開平8−20046
1号公報に記載されるものがある。この従来技術に見ら
れるように、プーリの溝幅を調整して変速比を可変制御
するものでは、ベルトの滑りを抑制防止するためにプー
リを構成する二つの円錐体に作動流体圧を供給し、その
推力,つまり押圧力により二つの円錐体でベルトを挟持
する。この無段変速機構を構成するプーリへの供給作動
流体圧を、この従来技術ではライン圧と称しているが、
前述のような目的から、一般にエンジンからの入力負荷
に応じてこのライン圧の基本的な設定圧を大きくしてベ
ルトが滑らないようにしている。また、この従来技術で
は、例えばプーリが高速回転することによって発生する
遠心圧(プーリのシリンダ室内に供給された作動流体が
遠心力で外側に押し出され、結果的に当該シリンダ室内
の流体圧が高くなる状態)も考慮しており、この遠心圧
と前記入力負荷に応じた基本的な設定圧との和が、例え
ば変速比に応じて予め設定した最大値以内になるように
ライン圧を制御している。ちなみに、このライン圧は、
ポンプで昇圧された作動流体を、例えばデューティ弁や
モディファイヤ弁等を含んで構成される無段変速機構用
調圧弁で調圧するようにしており、その場合には、前記
デューティ弁へのデューティ比制御信号によってライン
圧を制御できるようにしている。
は例えば本出願人が先に提案した特開平8−20046
1号公報に記載されるものがある。この従来技術に見ら
れるように、プーリの溝幅を調整して変速比を可変制御
するものでは、ベルトの滑りを抑制防止するためにプー
リを構成する二つの円錐体に作動流体圧を供給し、その
推力,つまり押圧力により二つの円錐体でベルトを挟持
する。この無段変速機構を構成するプーリへの供給作動
流体圧を、この従来技術ではライン圧と称しているが、
前述のような目的から、一般にエンジンからの入力負荷
に応じてこのライン圧の基本的な設定圧を大きくしてベ
ルトが滑らないようにしている。また、この従来技術で
は、例えばプーリが高速回転することによって発生する
遠心圧(プーリのシリンダ室内に供給された作動流体が
遠心力で外側に押し出され、結果的に当該シリンダ室内
の流体圧が高くなる状態)も考慮しており、この遠心圧
と前記入力負荷に応じた基本的な設定圧との和が、例え
ば変速比に応じて予め設定した最大値以内になるように
ライン圧を制御している。ちなみに、このライン圧は、
ポンプで昇圧された作動流体を、例えばデューティ弁や
モディファイヤ弁等を含んで構成される無段変速機構用
調圧弁で調圧するようにしており、その場合には、前記
デューティ弁へのデューティ比制御信号によってライン
圧を制御できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ようにライン圧を入力負荷に応じて調整制御しているに
も関わらず、ベルトの耐久性に問題が生じる恐れのある
ことが分かってきた。より正確には、この種のベルト式
無段変速機構に用いられるベルトは、所謂プッシュ式ベ
ルトと呼ばれ、例えばエレメントと称される金属製の薄
板片を、ベルトの長手方向又は巻回方向に並べて構成さ
れる。このようなベルトの前記ライン圧に対する耐久
性,つまり側方からの押圧力に対する耐久性は、例えば
プーリへのベルトの巻付き角やプーリの回転速度,つま
りベルトの周速にも影響を受ける。即ち、プーリへの巻
付き角が小さくなると、例えばエレメント単体の側方荷
重が大きくなって耐久性が低下する。また、周速が速く
なるとベルトに係る遠心力が高まり、ところがプーリの
溝は外周側広がりのV字断面になっているから、側方か
らの押圧力が、このベルトに係る遠心力を助長してベル
トに滑りや伸びが発生して耐久性が低下する。勿論、前
記エンジンからの入力負荷に応じた設定ライン圧は、こ
のようにベルトの耐久性に影響を及ぼす流体圧レベルよ
りずっと小さな値に設定されているが、前記遠心圧等の
補正を加えてゆくと、そのトータルなライン圧はベルト
の耐久性に影響を与えるレベルにまで達してしまう。
ようにライン圧を入力負荷に応じて調整制御しているに
も関わらず、ベルトの耐久性に問題が生じる恐れのある
ことが分かってきた。より正確には、この種のベルト式
無段変速機構に用いられるベルトは、所謂プッシュ式ベ
ルトと呼ばれ、例えばエレメントと称される金属製の薄
板片を、ベルトの長手方向又は巻回方向に並べて構成さ
れる。このようなベルトの前記ライン圧に対する耐久
性,つまり側方からの押圧力に対する耐久性は、例えば
プーリへのベルトの巻付き角やプーリの回転速度,つま
りベルトの周速にも影響を受ける。即ち、プーリへの巻
付き角が小さくなると、例えばエレメント単体の側方荷
重が大きくなって耐久性が低下する。また、周速が速く
なるとベルトに係る遠心力が高まり、ところがプーリの
溝は外周側広がりのV字断面になっているから、側方か
らの押圧力が、このベルトに係る遠心力を助長してベル
トに滑りや伸びが発生して耐久性が低下する。勿論、前
記エンジンからの入力負荷に応じた設定ライン圧は、こ
のようにベルトの耐久性に影響を及ぼす流体圧レベルよ
りずっと小さな値に設定されているが、前記遠心圧等の
補正を加えてゆくと、そのトータルなライン圧はベルト
の耐久性に影響を与えるレベルにまで達してしまう。
【0004】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、ライン圧等,無段変速機構のプーリに供
給される作動流体圧が、変速比や入力回転数で決まる設
定値を最終的に越えないようにすることでベルトの耐久
性を確保できる無段変速機の制御装置を提供することを
目的とするものである。
たものであり、ライン圧等,無段変速機構のプーリに供
給される作動流体圧が、変速比や入力回転数で決まる設
定値を最終的に越えないようにすることでベルトの耐久
性を確保できる無段変速機の制御装置を提供することを
目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に記載される無段変速機の制
御装置は、溝幅が可変の一対のプーリで、巻回されるベ
ルトを狭持する無段変速機構を有し、ポンプで昇圧され
た作動流体を前記無段変速機構への入力負荷に応じた所
定の流体圧に無段変速機構用調圧弁で調圧して当該無段
変速機構に供給する無段変速機の制御装置にあって、前
記一対のプーリからなる無段変速機構の変速比を検出す
る変速比検出手段と、前記無段変速機構への入力回転数
を検出する入力回転数検出手段と、前記変速比検出手段
で検出された無段変速機構の変速比及び入力回転数検出
手段で検出された無段変速機構への入力回転数に応じ
て、前記無段変速機構に供給する流体圧に対して、前記
ベルトを保護するための当該流体圧の最大値を設定する
流体圧最大値設定手段と、この流体圧最大値設定手段で
設定された流体圧の最大値以内になるように前記無段変
速機構に供給される流体圧を制御する制御手段とを備え
たことを特徴とするものである。
に、本発明のうち請求項1に記載される無段変速機の制
御装置は、溝幅が可変の一対のプーリで、巻回されるベ
ルトを狭持する無段変速機構を有し、ポンプで昇圧され
た作動流体を前記無段変速機構への入力負荷に応じた所
定の流体圧に無段変速機構用調圧弁で調圧して当該無段
変速機構に供給する無段変速機の制御装置にあって、前
記一対のプーリからなる無段変速機構の変速比を検出す
る変速比検出手段と、前記無段変速機構への入力回転数
を検出する入力回転数検出手段と、前記変速比検出手段
で検出された無段変速機構の変速比及び入力回転数検出
手段で検出された無段変速機構への入力回転数に応じ
て、前記無段変速機構に供給する流体圧に対して、前記
ベルトを保護するための当該流体圧の最大値を設定する
流体圧最大値設定手段と、この流体圧最大値設定手段で
設定された流体圧の最大値以内になるように前記無段変
速機構に供給される流体圧を制御する制御手段とを備え
たことを特徴とするものである。
【0006】ここで用いられる無段変速機構に供給する
流体圧とは、例えば前記ライン圧と称されるような、対
向する二つの円錐体でベルトを挟持するためにプーリの
シリンダ室に供給される作動流体圧を言う。また、同様
に一対のプーリからなる無段変速機構の変速比とは、最
終的な出力回転数とエンジン回転数との比などではなく
て、一般的に変速機で用いられる変速比,即ち減速比で
あり、本発明では溝幅を変更することによって変わるプ
ーリのベルト接触円弧の半径比等で与えられるものであ
り、その場合には特にプーリ比と称する場合もある。ま
た、ベルトを保護するための無段変速機構供給流体圧の
最大値とは、例えばベルトの耐久性を確保するための供
給流体圧の最大値であり、ベルトへの側方荷重が滑りや
伸びを発生させない上限値である。従って、前述のよう
にベルトへの側方荷重が同じでも、変速比や入力回転
数,つまりベルト巻付き角や周速によってベルトの耐久
性への影響が異なるのであるから、これらに応じて無段
変速機構供給流体圧の最大値は一意に設定される。そし
て、本発明では、前記従来の遠心圧等を補正した最終的
な無段変速機構供給流体圧が、この最大値以内となるよ
うに制御することで、ベルトの耐久性を確保するなどし
て保護する。
流体圧とは、例えば前記ライン圧と称されるような、対
向する二つの円錐体でベルトを挟持するためにプーリの
シリンダ室に供給される作動流体圧を言う。また、同様
に一対のプーリからなる無段変速機構の変速比とは、最
終的な出力回転数とエンジン回転数との比などではなく
て、一般的に変速機で用いられる変速比,即ち減速比で
あり、本発明では溝幅を変更することによって変わるプ
ーリのベルト接触円弧の半径比等で与えられるものであ
り、その場合には特にプーリ比と称する場合もある。ま
た、ベルトを保護するための無段変速機構供給流体圧の
最大値とは、例えばベルトの耐久性を確保するための供
給流体圧の最大値であり、ベルトへの側方荷重が滑りや
伸びを発生させない上限値である。従って、前述のよう
にベルトへの側方荷重が同じでも、変速比や入力回転
数,つまりベルト巻付き角や周速によってベルトの耐久
性への影響が異なるのであるから、これらに応じて無段
変速機構供給流体圧の最大値は一意に設定される。そし
て、本発明では、前記従来の遠心圧等を補正した最終的
な無段変速機構供給流体圧が、この最大値以内となるよ
うに制御することで、ベルトの耐久性を確保するなどし
て保護する。
【0007】また、本発明のうち請求項2に係る無段変
速機の制御装置は、前記流体圧最大値設定手段が、前記
無段変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段
変速機構の変速比が1.0であるときに最も大きく且つ
当該無段変速機構の変速比が1.0よりも大きいほど又
はそれよりも小さいほど小さくなるように前記流体圧の
最大値を設定することを特徴とするものである。
速機の制御装置は、前記流体圧最大値設定手段が、前記
無段変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段
変速機構の変速比が1.0であるときに最も大きく且つ
当該無段変速機構の変速比が1.0よりも大きいほど又
はそれよりも小さいほど小さくなるように前記流体圧の
最大値を設定することを特徴とするものである。
【0008】本発明では、プーリへのベルト巻付き角が
ベルトの耐久性に与える影響を考慮している。即ち、前
記プーリ比に相当する無段変速機構の変速比が1.0で
あるときに、各プーリのベルト巻付き角は等しい。これ
に対して、当該無段変速機構の変速比が1.0より大き
くなると入力側のプーリのベルト巻付き角が小さくな
り、当該無段変速機構の変速比が1.0より小さくなる
と出力側のプーリのベルト巻付き角が小さくなって、何
れの場合もベルトの耐久性が低下する。そこで、本発明
では、同等の入力回転数に対して、前記無段変速機構へ
の供給流体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が
1.0であるときを最大として、それより変速比が大き
くなるときも小さくなるときも変速比の変化と共に次第
に小さくなるように設定することでベルトの耐久性を確
保するなどして保護する。
ベルトの耐久性に与える影響を考慮している。即ち、前
記プーリ比に相当する無段変速機構の変速比が1.0で
あるときに、各プーリのベルト巻付き角は等しい。これ
に対して、当該無段変速機構の変速比が1.0より大き
くなると入力側のプーリのベルト巻付き角が小さくな
り、当該無段変速機構の変速比が1.0より小さくなる
と出力側のプーリのベルト巻付き角が小さくなって、何
れの場合もベルトの耐久性が低下する。そこで、本発明
では、同等の入力回転数に対して、前記無段変速機構へ
の供給流体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が
1.0であるときを最大として、それより変速比が大き
くなるときも小さくなるときも変速比の変化と共に次第
に小さくなるように設定することでベルトの耐久性を確
保するなどして保護する。
【0009】また、本発明のうち請求項3に係る無段変
速機の制御装置は、前記流体圧最大値設定手段が、前記
無段変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段
変速機構の変速比が1.0より大きくなるときの減少割
合よりも当該無段変速機構の変速比が1.0より小さく
なるときの減少割合が大きくなるように、前記流体圧の
最大値を設定することを特徴とするものである。
速機の制御装置は、前記流体圧最大値設定手段が、前記
無段変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段
変速機構の変速比が1.0より大きくなるときの減少割
合よりも当該無段変速機構の変速比が1.0より小さく
なるときの減少割合が大きくなるように、前記流体圧の
最大値を設定することを特徴とするものである。
【0010】本発明では、プーリの回転速度,即ちベル
トの周速がベルトの耐久性に与える影響を考慮してい
る。即ち、前述のベルト巻付き角は、無段変速機構の変
速比が1.0より大きくなるときも小さくなるときも、
何れか一方のプーリだけが同様の割合で小さくなるが、
しかしながら変速比が1.0より小さくなるときには出
力回転数が増加し、ベルトの周速も速くなることにな
る。ベルトの周速が速くなるとベルトに係る遠心力が増
加することになるから、同等の側方荷重であってもベル
トには滑りや伸びが発生し易くなってベルトの耐久性が
低下する。そこで、本発明では、同等の入力回転数に対
して、前記無段変速機構への供給流体圧の最大値を、当
該無段変速機構の変速比が1.0であるときを最大とす
ることは変わりないが、変速比が1.0より小さくなる
ときの当該無段変速機構への供給流体圧の最大値の減少
割合を、変速比が1.0より大きくなるときのそれより
大きく設定することでベルトの耐久性を確保するなどし
て保護する。
トの周速がベルトの耐久性に与える影響を考慮してい
る。即ち、前述のベルト巻付き角は、無段変速機構の変
速比が1.0より大きくなるときも小さくなるときも、
何れか一方のプーリだけが同様の割合で小さくなるが、
しかしながら変速比が1.0より小さくなるときには出
力回転数が増加し、ベルトの周速も速くなることにな
る。ベルトの周速が速くなるとベルトに係る遠心力が増
加することになるから、同等の側方荷重であってもベル
トには滑りや伸びが発生し易くなってベルトの耐久性が
低下する。そこで、本発明では、同等の入力回転数に対
して、前記無段変速機構への供給流体圧の最大値を、当
該無段変速機構の変速比が1.0であるときを最大とす
ることは変わりないが、変速比が1.0より小さくなる
ときの当該無段変速機構への供給流体圧の最大値の減少
割合を、変速比が1.0より大きくなるときのそれより
大きく設定することでベルトの耐久性を確保するなどし
て保護する。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1に係る無段変速機の制御装置によれば、変速比や入
力回転数,つまりベルト巻付き角や周速に応じてベルト
の耐久性に影響を与える無段変速機構供給流体圧の最大
値を一意に設定し、遠心圧等を補正した最終的な無段変
速機構供給流体圧が、この最大値以内となるように制御
することで、ベルトの耐久性を確保するなどして保護す
ることができる。
項1に係る無段変速機の制御装置によれば、変速比や入
力回転数,つまりベルト巻付き角や周速に応じてベルト
の耐久性に影響を与える無段変速機構供給流体圧の最大
値を一意に設定し、遠心圧等を補正した最終的な無段変
速機構供給流体圧が、この最大値以内となるように制御
することで、ベルトの耐久性を確保するなどして保護す
ることができる。
【0012】また、本発明のうち請求項2に係る無段変
速機の制御装置によれば、前記無段変速機構への供給流
体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が1.0で
あるときを最大として、それより変速比が大きくなると
きも小さくなるときも変速比の変化と共に次第に小さく
なるように設定することで、ベルト巻付き角の減少,つ
まり単位面積値に側方荷重の増加によるベルトの耐久性
の低下を抑制防止するなどしてベルトを保護する。
速機の制御装置によれば、前記無段変速機構への供給流
体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が1.0で
あるときを最大として、それより変速比が大きくなると
きも小さくなるときも変速比の変化と共に次第に小さく
なるように設定することで、ベルト巻付き角の減少,つ
まり単位面積値に側方荷重の増加によるベルトの耐久性
の低下を抑制防止するなどしてベルトを保護する。
【0013】また、本発明のうち請求項3に係る無段変
速機の制御装置によれば、前記無段変速機構への供給流
体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が1.0で
あるときを最大とすると共に、変速比が1.0より小さ
くなるときの当該無段変速機構への供給流体圧の最大値
の減少割合を、変速比が1.0より大きくなるときのそ
れより大きく設定することで、ベルト周速,つまりベル
トに作用する遠心力の増加によるベルトの耐久性の低下
を抑制防止するなどしてベルトを保護する。
速機の制御装置によれば、前記無段変速機構への供給流
体圧の最大値を、当該無段変速機構の変速比が1.0で
あるときを最大とすると共に、変速比が1.0より小さ
くなるときの当該無段変速機構への供給流体圧の最大値
の減少割合を、変速比が1.0より大きくなるときのそ
れより大きく設定することで、ベルト周速,つまりベル
トに作用する遠心力の増加によるベルトの耐久性の低下
を抑制防止するなどしてベルトを保護する。
【0014】
【発明の実施形態】以下、本発明の無段変速機の制御装
置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
置の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】図1は本発明の一実施形態を示す無段変速
機及びその制御装置の概略構成図である。まず、この無
段変速機の動力伝達機構は、フルードカップリングがト
ルクコンバータに変更されている点を除いて、本出願人
が先に提案した特開平7−317895号公報に記載さ
れるものと同等であるために、同等の構成部材には同等
の符号を附して簡潔に説明する。なお、図中の符号10
はエンジン、12はトルクコンバータ、15は前後進切
換機構、29はベルト式無段変速機構、56は差動装
置、66,68は前輪用の左右ドライブシャフトであ
る。
機及びその制御装置の概略構成図である。まず、この無
段変速機の動力伝達機構は、フルードカップリングがト
ルクコンバータに変更されている点を除いて、本出願人
が先に提案した特開平7−317895号公報に記載さ
れるものと同等であるために、同等の構成部材には同等
の符号を附して簡潔に説明する。なお、図中の符号10
はエンジン、12はトルクコンバータ、15は前後進切
換機構、29はベルト式無段変速機構、56は差動装
置、66,68は前輪用の左右ドライブシャフトであ
る。
【0016】前記エンジン10の吸気管路11には、運
転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉する
スロットルバルブ19が配設されている。また、このス
ロットルバルブ19には、その開度(以下、スロットル
開度とも記す)TVOを検出するスロットル開度センサ
303が取付けられている。また、エンジン10の出力
軸10aには、その回転速度(以下、エンジン回転数と
も記す)NE を検出するエンジン回転数センサ301が
取付けられている。なお、エンジン負荷や車速等に応じ
て例えば燃料噴射量やその時期、点火時期等をエンジン
コントロールユニット200が制御することで、エンジ
ン10の回転状態は車両の走行状態に応じて最適状態に
制御される。また、スロットル開度センサ303で検出
されるスロットル開度TVOの検出信号は、当該スロッ
トル開度TVOが大でアクセルペダルの踏込み量が大で
あることを示す。また、前記エンジン回転数センサ30
1はエンジンのイグニッション点火パルスからエンジン
回転速度を検出するように構成してもよい。
転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉する
スロットルバルブ19が配設されている。また、このス
ロットルバルブ19には、その開度(以下、スロットル
開度とも記す)TVOを検出するスロットル開度センサ
303が取付けられている。また、エンジン10の出力
軸10aには、その回転速度(以下、エンジン回転数と
も記す)NE を検出するエンジン回転数センサ301が
取付けられている。なお、エンジン負荷や車速等に応じ
て例えば燃料噴射量やその時期、点火時期等をエンジン
コントロールユニット200が制御することで、エンジ
ン10の回転状態は車両の走行状態に応じて最適状態に
制御される。また、スロットル開度センサ303で検出
されるスロットル開度TVOの検出信号は、当該スロッ
トル開度TVOが大でアクセルペダルの踏込み量が大で
あることを示す。また、前記エンジン回転数センサ30
1はエンジンのイグニッション点火パルスからエンジン
回転速度を検出するように構成してもよい。
【0017】前記エンジン10の出力軸10aに連結さ
れたトルクコンータ12は、ロックアップ機構付きの既
存のものであり、図示されるロックアップフェーシング
の図示左方がアプライ側流体室12a、その反対側,即
ちロックアップフェーシングとトルコンカバーとの間が
リリース側流体室12bになり、アプライ側流体室12
aへの作動流体圧が高まるとロックアップ、リリース側
流体室12bへのそれが高まるとアンロックアップ状態
となる。なお、このトルクコンバータ12の出力軸,即
ちタービン出力軸13には、無段変速機構29への回転
速度(以下、単に入力回転数とも記す)NPri を検出す
る入力回転数センサ305が取付けられている。なお、
後述する前後進切換機構15では、例えば前進用クラッ
チ40の締結力を可変調整することにより、アクセルペ
ダルを踏込んでいないときの,所謂クリープ走行力等を
制御することもあるが、通常の走行時には当該前進用ク
ラッチ40は完全に締結しているので、前記タービン出
力軸13の回転数を無段変速機構への入力回転数NPri
として用いる。また、前記リリース側流体室12bに供
給される作動流体はアプライ側流体室12aを通ってド
レンされるし、アプライ側流体室12aに供給された作
動流体のドレン分はリリース側流体室12bから、その
他の冷却・潤滑系に転用されてゆく。従って、このロッ
クアップ機構への作動流体は流体路そのものを切換える
のではなく、供給の向きを切換えることでロックアップ
/アンロックアップの切換制御を行っている。
れたトルクコンータ12は、ロックアップ機構付きの既
存のものであり、図示されるロックアップフェーシング
の図示左方がアプライ側流体室12a、その反対側,即
ちロックアップフェーシングとトルコンカバーとの間が
リリース側流体室12bになり、アプライ側流体室12
aへの作動流体圧が高まるとロックアップ、リリース側
流体室12bへのそれが高まるとアンロックアップ状態
となる。なお、このトルクコンバータ12の出力軸,即
ちタービン出力軸13には、無段変速機構29への回転
速度(以下、単に入力回転数とも記す)NPri を検出す
る入力回転数センサ305が取付けられている。なお、
後述する前後進切換機構15では、例えば前進用クラッ
チ40の締結力を可変調整することにより、アクセルペ
ダルを踏込んでいないときの,所謂クリープ走行力等を
制御することもあるが、通常の走行時には当該前進用ク
ラッチ40は完全に締結しているので、前記タービン出
力軸13の回転数を無段変速機構への入力回転数NPri
として用いる。また、前記リリース側流体室12bに供
給される作動流体はアプライ側流体室12aを通ってド
レンされるし、アプライ側流体室12aに供給された作
動流体のドレン分はリリース側流体室12bから、その
他の冷却・潤滑系に転用されてゆく。従って、このロッ
クアップ機構への作動流体は流体路そのものを切換える
のではなく、供給の向きを切換えることでロックアップ
/アンロックアップの切換制御を行っている。
【0018】また、前記前後進切換機構15は、遊星歯
車機構17、前進用クラッチ40、および後進用ブレー
キ50を有して構成される。このうち、遊星歯車機構1
7は、複段のピニオン列を有して構成されており、これ
らのピニオン列を支持するピニオンキャリアが駆動軸1
4を介して前記無段変速機構29の駆動プーリ16に接
続され、サンギヤが前記タービン回転軸13に接続され
ている。また、前記ピニオンキャリアは前進用クラッチ
40によって前記タービン回転軸13と締結可能とさ
れ、遊星歯車機構17のリングギヤが後進用ブレーキ5
0によって静止部と締結可能とされている。従って、前
進用クラッチ40が流体室40aへの作動流体圧によっ
て締結されると、ピニオンキャリアを介して前記駆動軸
14とタービン出力軸13とが同方向に等速回転する。
また、後進用ブレーキ50が流体室50aへの作動流体
圧によって締結されると、複段のピニオン列を介して前
記駆動軸がタービン出力軸13と逆方向に等速回転す
る。
車機構17、前進用クラッチ40、および後進用ブレー
キ50を有して構成される。このうち、遊星歯車機構1
7は、複段のピニオン列を有して構成されており、これ
らのピニオン列を支持するピニオンキャリアが駆動軸1
4を介して前記無段変速機構29の駆動プーリ16に接
続され、サンギヤが前記タービン回転軸13に接続され
ている。また、前記ピニオンキャリアは前進用クラッチ
40によって前記タービン回転軸13と締結可能とさ
れ、遊星歯車機構17のリングギヤが後進用ブレーキ5
0によって静止部と締結可能とされている。従って、前
進用クラッチ40が流体室40aへの作動流体圧によっ
て締結されると、ピニオンキャリアを介して前記駆動軸
14とタービン出力軸13とが同方向に等速回転する。
また、後進用ブレーキ50が流体室50aへの作動流体
圧によって締結されると、複段のピニオン列を介して前
記駆動軸がタービン出力軸13と逆方向に等速回転す
る。
【0019】前記無段変速機構29を構成する駆動プー
リ16は、前記駆動軸14と一体に回転する固定円錐体
18と、これに対向配置されてV字状プーリ溝を形成す
ると共に軸方向に移動可能な可動円錐体22とから構成
される。また、この駆動プーリ16の可動円錐体22に
は、固定円錐体18との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室20が形成され
ている。また、前記駆動プーリ16と対をなして、ベル
ト24が巻回される従動プーリ26は、従動軸28と一
体に回転する固定円錐体30と、これに対向配置されて
V字状プーリ溝を形成すると共に軸方向に移動可能な可
動円錐体34とから構成され、当該可動円錐体34に
も、固定円錐体30との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室32が形成され
ている。
リ16は、前記駆動軸14と一体に回転する固定円錐体
18と、これに対向配置されてV字状プーリ溝を形成す
ると共に軸方向に移動可能な可動円錐体22とから構成
される。また、この駆動プーリ16の可動円錐体22に
は、固定円錐体18との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室20が形成され
ている。また、前記駆動プーリ16と対をなして、ベル
ト24が巻回される従動プーリ26は、従動軸28と一
体に回転する固定円錐体30と、これに対向配置されて
V字状プーリ溝を形成すると共に軸方向に移動可能な可
動円錐体34とから構成され、当該可動円錐体34に
も、固定円錐体30との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室32が形成され
ている。
【0020】このベルト式無段変速機構29は、ラック
182に噛合するピニオン108aをステップモータ1
08の回転軸に取付け、更にラック182と前記可動プ
ーリ16の可動円錐体22とをレバー178で連結し、
このステップモータ108を後述する変速機コントロー
ルユニット300からの駆動信号DS/M により回転制御
することで駆動プーリ16の可動円錐体22及び従動プ
ーリ26の可動円錐体34を軸方向に移動させてベルト
24との接触位置半径を変えることにより、駆動プーリ
16と従動プーリ26との回転比,つまり変速比(プー
リ比)を変えることができる。なお、このプーリ比接触
位置半径変更制御は、例えば前述のように本実施形態で
は駆動プーリ16の可動円錐体22を移動させてその溝
幅を変更することで、従動プーリ26の可動円錐体34
が自動的に移動されて溝幅が変更されるようになってい
る。これは、前述のようにベルト24が、主として押圧
方向に駆動力を伝達する,プッシュ式ベルトであるため
である。なお、このプッシュ式ベルトの構成は、周知の
エレメントをベルトの長手方向又は巻回方向に並べて構
成される。
182に噛合するピニオン108aをステップモータ1
08の回転軸に取付け、更にラック182と前記可動プ
ーリ16の可動円錐体22とをレバー178で連結し、
このステップモータ108を後述する変速機コントロー
ルユニット300からの駆動信号DS/M により回転制御
することで駆動プーリ16の可動円錐体22及び従動プ
ーリ26の可動円錐体34を軸方向に移動させてベルト
24との接触位置半径を変えることにより、駆動プーリ
16と従動プーリ26との回転比,つまり変速比(プー
リ比)を変えることができる。なお、このプーリ比接触
位置半径変更制御は、例えば前述のように本実施形態で
は駆動プーリ16の可動円錐体22を移動させてその溝
幅を変更することで、従動プーリ26の可動円錐体34
が自動的に移動されて溝幅が変更されるようになってい
る。これは、前述のようにベルト24が、主として押圧
方向に駆動力を伝達する,プッシュ式ベルトであるため
である。なお、このプッシュ式ベルトの構成は、周知の
エレメントをベルトの長手方向又は巻回方向に並べて構
成される。
【0021】そして、前記従動軸28に固定された駆動
ギヤ46と、アイドラ軸52上のアイドラギヤ48とが
噛合し、このアイドラ軸52に設けられたピニオンギヤ
54がファイナルギヤ44に噛合し、このファイナルギ
ヤ44に差動装置56を介して前左右のドライブシャフ
ト66及び68が連結されている。なお、この最終出力
軸には車速VSPを検出する車速センサ302が取付けら
れている。
ギヤ46と、アイドラ軸52上のアイドラギヤ48とが
噛合し、このアイドラ軸52に設けられたピニオンギヤ
54がファイナルギヤ44に噛合し、このファイナルギ
ヤ44に差動装置56を介して前左右のドライブシャフ
ト66及び68が連結されている。なお、この最終出力
軸には車速VSPを検出する車速センサ302が取付けら
れている。
【0022】次に、この無段変速機の流体圧制御装置に
ついて説明する。この流体圧制御装置は、前記エンジン
10の回転駆動力で回転されるポンプ101により、リ
ザーバ130内の作動流体を十分に昇圧してアクチュエ
ータユニット100に供給する。このアクチュエータユ
ニット100内の構成は、本出願人が先に提案した前記
特開平7−317895号公報に記載されるものと同様
であるため、同等の構成要素には同等の符号を附して、
その詳細な図示並びに説明を省略する。
ついて説明する。この流体圧制御装置は、前記エンジン
10の回転駆動力で回転されるポンプ101により、リ
ザーバ130内の作動流体を十分に昇圧してアクチュエ
ータユニット100に供給する。このアクチュエータユ
ニット100内の構成は、本出願人が先に提案した前記
特開平7−317895号公報に記載されるものと同様
であるため、同等の構成要素には同等の符号を附して、
その詳細な図示並びに説明を省略する。
【0023】図1中の符号104は、セレクトレバー1
03によって直接操作され、主として前記前進用クラッ
チ40のシリンダ室40aへのクラッチ圧PCLと後進用
ブレーキ50のシリンダ室50aへのブレーキ圧PBRK
とを切換制御するためのマニュアル弁である。なお、こ
のセレクトレバー103には、選択されたシフトポジシ
ョンを検出し、それに応じたシフトレンジ信号SRANGE
を出力するインヒビタスイッチ304が取付けられてい
る。ちなみに、このシフトレンジ信号SRANGEは、実車
のシフトポジションに合わせて、P,R,N,D,2,
Lに相当する信号になっている。
03によって直接操作され、主として前記前進用クラッ
チ40のシリンダ室40aへのクラッチ圧PCLと後進用
ブレーキ50のシリンダ室50aへのブレーキ圧PBRK
とを切換制御するためのマニュアル弁である。なお、こ
のセレクトレバー103には、選択されたシフトポジシ
ョンを検出し、それに応じたシフトレンジ信号SRANGE
を出力するインヒビタスイッチ304が取付けられてい
る。ちなみに、このシフトレンジ信号SRANGEは、実車
のシフトポジションに合わせて、P,R,N,D,2,
Lに相当する信号になっている。
【0024】また、符号106は、前記ステップモータ
108と駆動プーリ16の可動円錐体22との相対変
位,即ち前記レバー178の挙動に応じて操作され、主
として変速の様子,つまり要求する変速比と当該駆動プ
ーリ16の溝幅との相対関係に応じて駆動プーリ106
側への作動流体圧(ライン圧)PL(Pri)を制御する変速
制御弁である。
108と駆動プーリ16の可動円錐体22との相対変
位,即ち前記レバー178の挙動に応じて操作され、主
として変速の様子,つまり要求する変速比と当該駆動プ
ーリ16の溝幅との相対関係に応じて駆動プーリ106
側への作動流体圧(ライン圧)PL(Pri)を制御する変速
制御弁である。
【0025】また、符号128は後述する変速機コント
ロールユニット300からの駆動信号DL/U によって駆
動され、主として前記トルクコンバータ12のロックア
ップ機構によるロックアップ/アンロックアップを制御
するためのロックアップ制御用デューティ弁である。ち
なみに、このロックアップ制御用デューティ弁128
は、デューティ比の大きい制御信号でトルクコンバータ
12をロックアップし、デューティ比の小さい制御信号
でアンロックアップするように作用する。また、符号1
29は、後述する変速機コントロールユニット300か
らの駆動信号DCLによって駆動され、主として前記前進
用クラッチ40又は後進用ブレーキ50の締結力を制御
するためのクラッチ締結制御用デューティ弁である。こ
のクラッチ締結制御用デューティ弁129は、デューテ
ィ比の大きい制御信号で前進用クラッチ40又は後進用
ブレーキ50を締結し、デューティ比の小さい制御信号
で締結解除するように作用する。
ロールユニット300からの駆動信号DL/U によって駆
動され、主として前記トルクコンバータ12のロックア
ップ機構によるロックアップ/アンロックアップを制御
するためのロックアップ制御用デューティ弁である。ち
なみに、このロックアップ制御用デューティ弁128
は、デューティ比の大きい制御信号でトルクコンバータ
12をロックアップし、デューティ比の小さい制御信号
でアンロックアップするように作用する。また、符号1
29は、後述する変速機コントロールユニット300か
らの駆動信号DCLによって駆動され、主として前記前進
用クラッチ40又は後進用ブレーキ50の締結力を制御
するためのクラッチ締結制御用デューティ弁である。こ
のクラッチ締結制御用デューティ弁129は、デューテ
ィ比の大きい制御信号で前進用クラッチ40又は後進用
ブレーキ50を締結し、デューティ比の小さい制御信号
で締結解除するように作用する。
【0026】また、符号120は、後述する変速機コン
トロールユニット30からの駆動信号DPLによって駆動
され、前述のようにベルト24を挟持するために、主と
して前記従動プーリ26(又は一部,駆動プーリ16)
への作動流体圧(以下、この流体圧をライン圧とも記
す)PL を制御するためのライン圧制御用デューティ弁
120である。なお、引用する公報では、このデューテ
ィ弁120をモディファイヤ用デューティ弁としてい
る。これは、このデューティ弁120からの出力圧が、
一旦、プレッシャモディファイヤ弁というパイロット圧
調圧弁のパイロット圧として作用し、その結果、プレッ
シャモディファイヤ弁からの出力圧がライン圧調圧弁の
パイロット圧として作用して、当該ライン圧調圧弁の上
流側に形成されるライン圧PL を調圧するためである。
しかしながら、この説明からも明らかなように、このデ
ューティ弁120のデューティ比を制御すれば、間接的
にではあるが、ライン圧PL を制御することができるの
である。また、これにより、本実施形態では、図2に示
すように、所定の不感帯領域を除き、このライン圧制御
用デューティ弁120への制御信号又は駆動信号のデュ
ーティ比D/TPLの増加に伴って(目標)ライン圧P
L(OR) はリニアに増圧するものとする。ちなみに、前記
プレッシャモディファイヤ弁からの出力圧が増圧される
と、クラッチ圧の元圧やトルクコンバータのロックアッ
プ圧の元圧も同時に増圧する(傾きや切片は異なる)こ
とができるようになっている。
トロールユニット30からの駆動信号DPLによって駆動
され、前述のようにベルト24を挟持するために、主と
して前記従動プーリ26(又は一部,駆動プーリ16)
への作動流体圧(以下、この流体圧をライン圧とも記
す)PL を制御するためのライン圧制御用デューティ弁
120である。なお、引用する公報では、このデューテ
ィ弁120をモディファイヤ用デューティ弁としてい
る。これは、このデューティ弁120からの出力圧が、
一旦、プレッシャモディファイヤ弁というパイロット圧
調圧弁のパイロット圧として作用し、その結果、プレッ
シャモディファイヤ弁からの出力圧がライン圧調圧弁の
パイロット圧として作用して、当該ライン圧調圧弁の上
流側に形成されるライン圧PL を調圧するためである。
しかしながら、この説明からも明らかなように、このデ
ューティ弁120のデューティ比を制御すれば、間接的
にではあるが、ライン圧PL を制御することができるの
である。また、これにより、本実施形態では、図2に示
すように、所定の不感帯領域を除き、このライン圧制御
用デューティ弁120への制御信号又は駆動信号のデュ
ーティ比D/TPLの増加に伴って(目標)ライン圧P
L(OR) はリニアに増圧するものとする。ちなみに、前記
プレッシャモディファイヤ弁からの出力圧が増圧される
と、クラッチ圧の元圧やトルクコンバータのロックアッ
プ圧の元圧も同時に増圧する(傾きや切片は異なる)こ
とができるようになっている。
【0027】前記変速機コントロールユニット300
は、例えば後述する図3の演算処理等を実行すること
で、前記無段変速機構29並びに前記アクチュエータユ
ニット100を制御するための制御信号を出力する制御
手段としてのマイクロコンピュータ310と、当該マイ
クロコンピュータ310から出力される制御信号を、実
際のアクチュエータ,即ち前記ステップモータ108や
各デューティ弁120,128,129に適合する駆動
信号に変換する駆動回路311〜314とを備えて構成
される。
は、例えば後述する図3の演算処理等を実行すること
で、前記無段変速機構29並びに前記アクチュエータユ
ニット100を制御するための制御信号を出力する制御
手段としてのマイクロコンピュータ310と、当該マイ
クロコンピュータ310から出力される制御信号を、実
際のアクチュエータ,即ち前記ステップモータ108や
各デューティ弁120,128,129に適合する駆動
信号に変換する駆動回路311〜314とを備えて構成
される。
【0028】このうち、前記マイクロコンピュータ31
0は、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェ
ース回路310aと、マイクロプロセサ等の演算処理装
置310bと、ROM,RAM等の記憶装置310c
と、例えばD/A変換機能を有する出力インタフェース
回路310dとを備えている。このマイクロコンピュー
タ310では、例えば前記特開平7−317895号公
報に記載される演算処理を行うことで、実際の変速比を
司るステップモータ108の回転角を求め、その回転角
が達成されるパルス制御信号SS/M を出力したり、ベル
ト24を挟持するのに最適なライン圧PL を求め、それ
を達成するために必要なライン圧制御用デューティ弁1
20のデューティ比D/TPLを算出し、そのライン圧制
御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPL
を出力したり、或いはトルクコンバータ12のロックア
ップ機構をロックアップ/アンロックアップ制御するの
に最適な作動流体圧(以下、これを単にトルコン圧とも
記す)PT/C を求め、それを達成するために必要なロッ
クアップ制御用デューティ弁128のデューティ比D/
TL/U を算出し、そのロックアップ制御デューティ比D
/TL/U に応じたロックアップ制御信号SL/U を出力し
たり、例えばアクセルペダルが踏込まれていない状態で
の車両のクリープ走行に最適な作動流体圧(以下、これ
を単にクラッチ圧とも記す)PCLを求め、それを達成す
るために必要なクラッチ締結制御用デューティ弁129
のデューティ比D/TCLを算出し、そのクラッチ圧制御
デューティ比D/TCLに応じたクラッチ締結制御信号S
CLを出力したりする。
0は、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェ
ース回路310aと、マイクロプロセサ等の演算処理装
置310bと、ROM,RAM等の記憶装置310c
と、例えばD/A変換機能を有する出力インタフェース
回路310dとを備えている。このマイクロコンピュー
タ310では、例えば前記特開平7−317895号公
報に記載される演算処理を行うことで、実際の変速比を
司るステップモータ108の回転角を求め、その回転角
が達成されるパルス制御信号SS/M を出力したり、ベル
ト24を挟持するのに最適なライン圧PL を求め、それ
を達成するために必要なライン圧制御用デューティ弁1
20のデューティ比D/TPLを算出し、そのライン圧制
御デューティ比D/TPLに応じたライン圧制御信号SPL
を出力したり、或いはトルクコンバータ12のロックア
ップ機構をロックアップ/アンロックアップ制御するの
に最適な作動流体圧(以下、これを単にトルコン圧とも
記す)PT/C を求め、それを達成するために必要なロッ
クアップ制御用デューティ弁128のデューティ比D/
TL/U を算出し、そのロックアップ制御デューティ比D
/TL/U に応じたロックアップ制御信号SL/U を出力し
たり、例えばアクセルペダルが踏込まれていない状態で
の車両のクリープ走行に最適な作動流体圧(以下、これ
を単にクラッチ圧とも記す)PCLを求め、それを達成す
るために必要なクラッチ締結制御用デューティ弁129
のデューティ比D/TCLを算出し、そのクラッチ圧制御
デューティ比D/TCLに応じたクラッチ締結制御信号S
CLを出力したりする。
【0029】また、前記駆動回路311は前記パルス制
御信号SS/M をステップモータ108に適した駆動信号
DS/M に、駆動回路312は前記ライン圧制御信号SPL
をライン圧制御用デューティ弁120に適した駆動信号
DPLに、駆動回路313は前記ロックアップ制御信号S
L/U をロックアップ制御用デューティ弁128に適した
駆動信号DL/U に、駆動回路314は前記クラッチ締結
制御信号SCLをクラッチ締結制御用デューティ弁129
に適した駆動信号DCLに、夫々変換して出力する。
御信号SS/M をステップモータ108に適した駆動信号
DS/M に、駆動回路312は前記ライン圧制御信号SPL
をライン圧制御用デューティ弁120に適した駆動信号
DPLに、駆動回路313は前記ロックアップ制御信号S
L/U をロックアップ制御用デューティ弁128に適した
駆動信号DL/U に、駆動回路314は前記クラッチ締結
制御信号SCLをクラッチ締結制御用デューティ弁129
に適した駆動信号DCLに、夫々変換して出力する。
【0030】なお、例えばデューティ比に応じた制御信
号やパルス制御信号の形態は、既に所望するデューティ
比やパルス数を満足しており、各駆動回路311〜31
4は、例えば単にそれを増幅するなどの電気的処理を施
すだけで、信号の形態そのものを処理するものではな
い。
号やパルス制御信号の形態は、既に所望するデューティ
比やパルス数を満足しており、各駆動回路311〜31
4は、例えば単にそれを増幅するなどの電気的処理を施
すだけで、信号の形態そのものを処理するものではな
い。
【0031】また、前記エンジンコントロールユニット
200内にも独自のマイクロコンピュータを有してお
り、前記変速機コントロールユニット300のマイクロ
コンピュータ310と相互通信を行って、エンジン並び
に変速機を車両走行状態に応じて最適状態に制御するよ
うに構成されている。
200内にも独自のマイクロコンピュータを有してお
り、前記変速機コントロールユニット300のマイクロ
コンピュータ310と相互通信を行って、エンジン並び
に変速機を車両走行状態に応じて最適状態に制御するよ
うに構成されている。
【0032】次に、本実施形態の変速制御全体の概略構
成を、前記マイクロコンピュータ310で実行される図
3に示すゼネラルフローの演算処理に従って説明する。
この演算処理は、基本的には、前記Dレンジが選択され
且つエンジンコントロールユニット側からの要求がない
状態で、前記特開平7−317895号公報に記載され
る変速制御を簡潔に纏めたものであり、その詳細は当該
公報を参照されるとして、ここではゼネラルフローの概
要を説明するに止める。この演算処理は、所定サンプリ
ング時間(例えば10msec)ΔT毎にタイマ割込処理と
して実行される。なお、これ以後の演算処理では、何れ
も特に通信のためのステップを設けていないが、演算処
理装置310bで必要なプログラムやマップ、或いは必
要なデータは随時記憶装置310cから読込まれるし、
逆に演算処理装置310bで算出されたデータは随時記
憶装置310cに更新記憶されるものとする。
成を、前記マイクロコンピュータ310で実行される図
3に示すゼネラルフローの演算処理に従って説明する。
この演算処理は、基本的には、前記Dレンジが選択され
且つエンジンコントロールユニット側からの要求がない
状態で、前記特開平7−317895号公報に記載され
る変速制御を簡潔に纏めたものであり、その詳細は当該
公報を参照されるとして、ここではゼネラルフローの概
要を説明するに止める。この演算処理は、所定サンプリ
ング時間(例えば10msec)ΔT毎にタイマ割込処理と
して実行される。なお、これ以後の演算処理では、何れ
も特に通信のためのステップを設けていないが、演算処
理装置310bで必要なプログラムやマップ、或いは必
要なデータは随時記憶装置310cから読込まれるし、
逆に演算処理装置310bで算出されたデータは随時記
憶装置310cに更新記憶されるものとする。
【0033】この演算処理では、まずステップS1で、
前記車速センサ302からの車速V SP,エンジン回転数
センサ301からのエンジン回転数NE ,入力回転数セ
ンサ305からの入力回転数NPri ,スロットル開度セ
ンサ303からのスロットル開度TVO,及びインヒビ
タスイッチ304からのシフトレンジ信号SRANGE を読
込む。
前記車速センサ302からの車速V SP,エンジン回転数
センサ301からのエンジン回転数NE ,入力回転数セ
ンサ305からの入力回転数NPri ,スロットル開度セ
ンサ303からのスロットル開度TVO,及びインヒビ
タスイッチ304からのシフトレンジ信号SRANGE を読
込む。
【0034】次にステップS2に移行して、個別の演算
処理に従って、前記車速VSP,入力回転数NPri から現
在の変速比CP を算出する。具体的には、最終出力軸回
転数に比例する車速VSPを、無段変速機構29から最終
出力軸までの,所謂最終減速比nで除せば無段変速機構
29の出力回転数NSec が得られるから、これに対する
入力回転数NPri の比を算出すれば現在の変速比CP が
得られる。
処理に従って、前記車速VSP,入力回転数NPri から現
在の変速比CP を算出する。具体的には、最終出力軸回
転数に比例する車速VSPを、無段変速機構29から最終
出力軸までの,所謂最終減速比nで除せば無段変速機構
29の出力回転数NSec が得られるから、これに対する
入力回転数NPri の比を算出すれば現在の変速比CP が
得られる。
【0035】次にステップS3に移行して、制御マップ
検索等の個別の演算処理に従って、スロットル開度TV
O,エンジン回転数NE からエンジントルクTE を算出
する。具体的には、例えば図4に示すように、スロット
ル開度TVOをパラメータとし且つエンジン回転数NE
に応じたエンジントルクTE の出力特性図から現在のエ
ンジントルクTE を算出する。
検索等の個別の演算処理に従って、スロットル開度TV
O,エンジン回転数NE からエンジントルクTE を算出
する。具体的には、例えば図4に示すように、スロット
ル開度TVOをパラメータとし且つエンジン回転数NE
に応じたエンジントルクTE の出力特性図から現在のエ
ンジントルクTE を算出する。
【0036】次にステップS4に移行して、後述する図
7の演算処理に従って前記ライン圧PL の制御を行う。
次にステップS5に移行して、個別の演算処理に従っ
て、ロックアップ制御を行う。具体的には、例えば図5
のような車速VSP及びスロットル開度TVOに応じたロ
ックアップ車速VON及びアンロックアップ車速VOFF を
設定し、原則的に車速VSPがロックアップ車速VON以上
ならロックアップ,アンロックアップ車速VOFF 以下な
らアンロックアップとなるように制御信号SL/U を創成
出力するが、特にロックアップ側に移行するときに、そ
のときのエンジン回転数NE と入力回転数NPri ,即ち
タービン出力軸回転数との差分値が大きいときには、そ
の差分値の大きさに応じた比較的大きなゲインでデュー
ティ比D/TL/U を増加し、両者の差分値が小さくな
る,つまりロックアップ気味になると比較的小さな所定
値ずつデューティ比D/TL/U を増加して、完全なロッ
クアップ移行時の衝撃を緩和する。
7の演算処理に従って前記ライン圧PL の制御を行う。
次にステップS5に移行して、個別の演算処理に従っ
て、ロックアップ制御を行う。具体的には、例えば図5
のような車速VSP及びスロットル開度TVOに応じたロ
ックアップ車速VON及びアンロックアップ車速VOFF を
設定し、原則的に車速VSPがロックアップ車速VON以上
ならロックアップ,アンロックアップ車速VOFF 以下な
らアンロックアップとなるように制御信号SL/U を創成
出力するが、特にロックアップ側に移行するときに、そ
のときのエンジン回転数NE と入力回転数NPri ,即ち
タービン出力軸回転数との差分値が大きいときには、そ
の差分値の大きさに応じた比較的大きなゲインでデュー
ティ比D/TL/U を増加し、両者の差分値が小さくな
る,つまりロックアップ気味になると比較的小さな所定
値ずつデューティ比D/TL/U を増加して、完全なロッ
クアップ移行時の衝撃を緩和する。
【0037】次にステップS6に移行して、制御マップ
検索等の個別の演算処理に従って、到達変速比CD を算
出する。この到達変速比CD は、車速VSP及びスロット
ル開度TVOとから現在のエンジン回転数NE を達成す
る、最も理想的な無段変速機構29の変速比であり、具
体的には図6に示すように、3者が完全に一致する変速
比Cが設定できれば、そのときの車速VSPとエンジン回
転数NE とを満足しながら、運転者によるアクセルペダ
ルの踏込み量,即ちスロットル開度TVOに応じた加速
を得られる。ここで、例えば前記図6が到達変速比CD
の設定に用いる制御マップであると仮定すれば、原点を
通る傾き一定の直線が或る一定の変速比となり、例えば
変速パターンの全領域において最も傾きの大きい直線
は、車両全体の減速比が最も大きい,即ち最大変速比C
Loであり、逆に最も傾きの小さい直線は、車両全体の減
速比が最も小さい,即ちDレンジ最小変速比CDHi であ
ると考えてよい。
検索等の個別の演算処理に従って、到達変速比CD を算
出する。この到達変速比CD は、車速VSP及びスロット
ル開度TVOとから現在のエンジン回転数NE を達成す
る、最も理想的な無段変速機構29の変速比であり、具
体的には図6に示すように、3者が完全に一致する変速
比Cが設定できれば、そのときの車速VSPとエンジン回
転数NE とを満足しながら、運転者によるアクセルペダ
ルの踏込み量,即ちスロットル開度TVOに応じた加速
を得られる。ここで、例えば前記図6が到達変速比CD
の設定に用いる制御マップであると仮定すれば、原点を
通る傾き一定の直線が或る一定の変速比となり、例えば
変速パターンの全領域において最も傾きの大きい直線
は、車両全体の減速比が最も大きい,即ち最大変速比C
Loであり、逆に最も傾きの小さい直線は、車両全体の減
速比が最も小さい,即ちDレンジ最小変速比CDHi であ
ると考えてよい。
【0038】次にステップS7に移行して、個別の演算
処理に従って、目標変速比CR を算出する。具体的に
は、原則的に前記到達変速比CD が現在の変速比CP よ
り大きければダウンシフト方向,小さければアップシフ
ト方向に、例えば現在の変速比CP を最も速い変速速度
dCR /dt又は最も小さい時定数τで変速した所定サ
ンプリング時間ΔT後の変速比を目標変速比CR として
設定する。但し、スロットル開度TVOが全開状態に近
い状態から閉方向変化した,所謂アクセルペダルの足戻
し状態では変速速度dCR /dtを少し遅くし又は時定
数τを少し大きくし、更にこの条件に加えてスロットル
開度の閉方向への変化速度が速く且つスロットル開度の
閉方向への変化量が大きい,所謂アクセルペダルの足離
し状態では変速速度dCR /dtを更に遅くし又は時定
数τを更に大きくして、夫々、目標変速比CR を設定す
る。
処理に従って、目標変速比CR を算出する。具体的に
は、原則的に前記到達変速比CD が現在の変速比CP よ
り大きければダウンシフト方向,小さければアップシフ
ト方向に、例えば現在の変速比CP を最も速い変速速度
dCR /dt又は最も小さい時定数τで変速した所定サ
ンプリング時間ΔT後の変速比を目標変速比CR として
設定する。但し、スロットル開度TVOが全開状態に近
い状態から閉方向変化した,所謂アクセルペダルの足戻
し状態では変速速度dCR /dtを少し遅くし又は時定
数τを少し大きくし、更にこの条件に加えてスロットル
開度の閉方向への変化速度が速く且つスロットル開度の
閉方向への変化量が大きい,所謂アクセルペダルの足離
し状態では変速速度dCR /dtを更に遅くし又は時定
数τを更に大きくして、夫々、目標変速比CR を設定す
る。
【0039】次にステップS8に移行して、個別の演算
処理に従って、クラッチ締結制御を行う。具体的には、
原則的に車速VSPがクリープ制御閾値以上なら前進用ク
ラッチ40を締結、車速VSPがクリープ制御閾値未満で
且つスロットル開度TVOがクリープ制御用の全閉閾値
以上なら締結解除するように制御信号SCLを創成出力す
るが、車速VSPがクリープ制御閾値未満で且つスロット
ル開度TVOが全閉閾値未満の場合には、そのときのエ
ンジン回転数NE と入力回転数NPri ,即ちタービン出
力軸回転数との差分値に応じて反比例するゲインでデュ
ーティ比D/T CLを設定することにより、坂道などの影
響で車両がクリープ走行し易いときにはクラッチの締結
力を弱め、クリープ走行し難いときにはクラッチの締結
力を強めるようにしている。
処理に従って、クラッチ締結制御を行う。具体的には、
原則的に車速VSPがクリープ制御閾値以上なら前進用ク
ラッチ40を締結、車速VSPがクリープ制御閾値未満で
且つスロットル開度TVOがクリープ制御用の全閉閾値
以上なら締結解除するように制御信号SCLを創成出力す
るが、車速VSPがクリープ制御閾値未満で且つスロット
ル開度TVOが全閉閾値未満の場合には、そのときのエ
ンジン回転数NE と入力回転数NPri ,即ちタービン出
力軸回転数との差分値に応じて反比例するゲインでデュ
ーティ比D/T CLを設定することにより、坂道などの影
響で車両がクリープ走行し易いときにはクラッチの締結
力を弱め、クリープ走行し難いときにはクラッチの締結
力を強めるようにしている。
【0040】次にステップS9に移行して、個別の演算
処理に従って、変速比制御を行ってからメインプログラ
ムに復帰する。具体的には前記設定された目標変速比C
R に対して、そのときの変速速度dCR /dt又は時定
数τで変速を行うための総パルス数並びに単位時間値に
パルス数を設定し、その両者を満足するパルス制御信号
SS/M を創成出力する。
処理に従って、変速比制御を行ってからメインプログラ
ムに復帰する。具体的には前記設定された目標変速比C
R に対して、そのときの変速速度dCR /dt又は時定
数τで変速を行うための総パルス数並びに単位時間値に
パルス数を設定し、その両者を満足するパルス制御信号
SS/M を創成出力する。
【0041】次に、本実施形態において前記図3の演算
処理のステップS4で実行される制御閾値変更のための
演算処理について図7を用いて説明する。この演算処理
では、まずステップS401で、制御マップ検索等の個
別の演算処理に従って、トルコン入出力速度比NE /N
Pri からトルク比tを算出する。具体的には、エンジン
回転数NE を入力回転数NPri ,即ちタービン出力軸回
転数で除してトルコン入出力速度比NE /NPri を算出
し、例えば図8に示すように、このトルコン入出力速度
比NE /NPri からトルクコンバータ(図ではトルコ
ン)領域,つまりトルク増幅領域かロックアップ領域か
を弁別すると共に、トルコン領域ならばトルコン入出力
速度比NE /NPri に応じたトルク比tを求める。
処理のステップS4で実行される制御閾値変更のための
演算処理について図7を用いて説明する。この演算処理
では、まずステップS401で、制御マップ検索等の個
別の演算処理に従って、トルコン入出力速度比NE /N
Pri からトルク比tを算出する。具体的には、エンジン
回転数NE を入力回転数NPri ,即ちタービン出力軸回
転数で除してトルコン入出力速度比NE /NPri を算出
し、例えば図8に示すように、このトルコン入出力速度
比NE /NPri からトルクコンバータ(図ではトルコ
ン)領域,つまりトルク増幅領域かロックアップ領域か
を弁別すると共に、トルコン領域ならばトルコン入出力
速度比NE /NPri に応じたトルク比tを求める。
【0042】次にステップS402に移行して、前記エ
ンジントルクTE に前記トルク比tを乗じて入力トルク
TPri を算出し、次いでステップS403に移行して、
図9の制御マップに従って、前記入力トルクTPri を用
いて基準ライン圧PL0を算出する。この図9の制御マッ
プは、入力トルクTPri をパラメータとし且つ現在の変
速比CP に応じた基準ライン圧PL0の設定マップであ
る。前述のように、ライン圧PL はベルト24への側方
荷重であるから、ベルト耐久性の面からも、或いはエネ
ルギ損の面からもライン圧PL は小さい方が望ましい。
しかしながら、ベルト24には伝達すべきトルクがかか
るから、それによってベルトが滑らないようにプーリで
挟持しなければならず、そのトルクとは変速比CP が大
きいほど,及び/又は入力トルクTPri が大きいほど大
きいから、その分だけベルト挟持力を高めるようにライ
ン圧PL を大きくする必要がある。これを変速比CP 及
び入力トルクTPri だけから設定するのが基準ライン圧
PL0になる。勿論、この基準ライン圧PL0は、ベルトの
耐久性に直接影響するような領域よりもずっと小さく設
定される。
ンジントルクTE に前記トルク比tを乗じて入力トルク
TPri を算出し、次いでステップS403に移行して、
図9の制御マップに従って、前記入力トルクTPri を用
いて基準ライン圧PL0を算出する。この図9の制御マッ
プは、入力トルクTPri をパラメータとし且つ現在の変
速比CP に応じた基準ライン圧PL0の設定マップであ
る。前述のように、ライン圧PL はベルト24への側方
荷重であるから、ベルト耐久性の面からも、或いはエネ
ルギ損の面からもライン圧PL は小さい方が望ましい。
しかしながら、ベルト24には伝達すべきトルクがかか
るから、それによってベルトが滑らないようにプーリで
挟持しなければならず、そのトルクとは変速比CP が大
きいほど,及び/又は入力トルクTPri が大きいほど大
きいから、その分だけベルト挟持力を高めるようにライ
ン圧PL を大きくする必要がある。これを変速比CP 及
び入力トルクTPri だけから設定するのが基準ライン圧
PL0になる。勿論、この基準ライン圧PL0は、ベルトの
耐久性に直接影響するような領域よりもずっと小さく設
定される。
【0043】次にステップS404に移行して、前述の
ように車速VSPを最終減速比nで除して出力回転数N
Sec を算出し、次いでステップS405に移行して、こ
の出力回転数の2乗値(NSec )2 に所定の係数kを乗
じて、出力側,即ち従動プーリの遠心圧PL1を算出す
る。この遠心圧PL1とは、前述のように、前記従動プー
リ26のシリンダ室32内の作動流体が、遠心力によっ
て外周側に押付けられ、その結果、当該シリンダ室32
内の外周側の作動流体圧が高まり、それがライン圧PL
に相乗して作用する作動流体圧増加分を示す。従って、
この遠心圧PL1は通常の遠心力と同様に周速,つまり出
力回転数の2乗値(NSec )2 に比例し、それに作動流
体の比重や粘性等を考慮した比例係数kを乗じて算出さ
れる。
ように車速VSPを最終減速比nで除して出力回転数N
Sec を算出し、次いでステップS405に移行して、こ
の出力回転数の2乗値(NSec )2 に所定の係数kを乗
じて、出力側,即ち従動プーリの遠心圧PL1を算出す
る。この遠心圧PL1とは、前述のように、前記従動プー
リ26のシリンダ室32内の作動流体が、遠心力によっ
て外周側に押付けられ、その結果、当該シリンダ室32
内の外周側の作動流体圧が高まり、それがライン圧PL
に相乗して作用する作動流体圧増加分を示す。従って、
この遠心圧PL1は通常の遠心力と同様に周速,つまり出
力回転数の2乗値(NSec )2 に比例し、それに作動流
体の比重や粘性等を考慮した比例係数kを乗じて算出さ
れる。
【0044】次にステップS406に移行して、前記基
準ライン圧PL0と遠心圧PL1との和から要求ライン圧P
LDを算出し、次いでステップS407に移行して、図1
0の制御マップから最大ライン圧PLMAXを算出設定す
る。この図10の制御マップは、変速比CP 及び入力回
転数NPri に応じた最大ライン圧PLMAX設定マップであ
り、図示される特性曲線は最大ライン圧PLMAXの連続曲
線であって、同等の変速比CP に対しては、概略的に入
力回転数NPri が大きいほど最大ライン圧PLMAXは小さ
い。また、同等の入力回転数NPri に対しては、変速比
CP (プーリ比)が“1.0”のとき、つまり駆動プー
リ16のベルト接触半径と従動プーリ26のベルト接触
半径とが等しいときに最大ライン圧PLMAXは最も大き
く、変速比C P が“1.0”より大きくなっても、それ
より小さくなっても、共に最大ライン圧PLMAXは小さく
なる。また、変速比CP が“1.0”より大きくなると
きよりも、小さくなるときの方が、最大ライン圧PLMAX
の減少割合が大きい。これらの設定理由については、後
段の作用の部分で詳述する。
準ライン圧PL0と遠心圧PL1との和から要求ライン圧P
LDを算出し、次いでステップS407に移行して、図1
0の制御マップから最大ライン圧PLMAXを算出設定す
る。この図10の制御マップは、変速比CP 及び入力回
転数NPri に応じた最大ライン圧PLMAX設定マップであ
り、図示される特性曲線は最大ライン圧PLMAXの連続曲
線であって、同等の変速比CP に対しては、概略的に入
力回転数NPri が大きいほど最大ライン圧PLMAXは小さ
い。また、同等の入力回転数NPri に対しては、変速比
CP (プーリ比)が“1.0”のとき、つまり駆動プー
リ16のベルト接触半径と従動プーリ26のベルト接触
半径とが等しいときに最大ライン圧PLMAXは最も大き
く、変速比C P が“1.0”より大きくなっても、それ
より小さくなっても、共に最大ライン圧PLMAXは小さく
なる。また、変速比CP が“1.0”より大きくなると
きよりも、小さくなるときの方が、最大ライン圧PLMAX
の減少割合が大きい。これらの設定理由については、後
段の作用の部分で詳述する。
【0045】次にステップS408に移行して、前記要
求ライン圧PLDが前記最大ライン圧PLMAX以上であるか
否かを判定し、当該要求ライン圧PLDが最大ライン圧P
LMAX以上である場合にはステップS409に移行し、そ
うでない場合にはステップS410に移行する。前記ス
テップS409では、最大ライン圧PLMAXを到達ライン
圧PLRに設定してからステップS411に移行する。ま
た、前記ステップS410では、要求ライン圧PLDを到
達ライン圧PLRに設定してから前記ステップS411に
移行する。
求ライン圧PLDが前記最大ライン圧PLMAX以上であるか
否かを判定し、当該要求ライン圧PLDが最大ライン圧P
LMAX以上である場合にはステップS409に移行し、そ
うでない場合にはステップS410に移行する。前記ス
テップS409では、最大ライン圧PLMAXを到達ライン
圧PLRに設定してからステップS411に移行する。ま
た、前記ステップS410では、要求ライン圧PLDを到
達ライン圧PLRに設定してから前記ステップS411に
移行する。
【0046】前記ステップS411では、前記到達ライ
ン圧PLRから遠心圧PL1を減じて目標ライン圧PL0R を
算出し、次いでステップS412に移行して、前記図2
の制御マップからこの目標ライン圧PL0R を達成するた
めのライン圧制御デューティ比D/TPLを算出設定し、
次いでステップS413に移行して、個別の演算処理に
従って、前記ライン圧制御デューティ比D/TPLに応じ
たライン圧制御信号S PLを創成出力してから、前記図3
の演算処理のステップS5に移行する。なお、ライン圧
制御デューティ比D/TPLの制御マップは、既存のデュ
ーティ比制御を応用すればよいからその詳細な説明は省
略する。また、ライン圧制御デューティ比D/TPLに応
じたライン圧制御信号SPLを創成については、既存のP
WM(Pulse Width Modulation)制御を応用すればよい
から、その詳細な説明は省略する。
ン圧PLRから遠心圧PL1を減じて目標ライン圧PL0R を
算出し、次いでステップS412に移行して、前記図2
の制御マップからこの目標ライン圧PL0R を達成するた
めのライン圧制御デューティ比D/TPLを算出設定し、
次いでステップS413に移行して、個別の演算処理に
従って、前記ライン圧制御デューティ比D/TPLに応じ
たライン圧制御信号S PLを創成出力してから、前記図3
の演算処理のステップS5に移行する。なお、ライン圧
制御デューティ比D/TPLの制御マップは、既存のデュ
ーティ比制御を応用すればよいからその詳細な説明は省
略する。また、ライン圧制御デューティ比D/TPLに応
じたライン圧制御信号SPLを創成については、既存のP
WM(Pulse Width Modulation)制御を応用すればよい
から、その詳細な説明は省略する。
【0047】次に、本実施形態の作用について説明する
が、変速制御の概要は、前記特開平7−317895号
公報に記載されるものと同様であるから、ここでは省略
し、特に図7の演算処理による作用について詳述する。
この演算処理では、ステップS401乃至ステップS4
03で、無段変速機構29への入力トルクTPri に応じ
た基準ライン圧PL0が設定される。この基準ライン圧P
L0は、本来、伝達すべきトルクによってベルトが滑らな
い最低圧であるから、ベルトの耐久性には何ら支障がな
い。しかしながら、続くステップS404,ステップS
405で算出される遠心圧PL1は、前記出力回転数N
Sec の2乗値に比例するため、ステップS406で、こ
れが加算される要求ライン圧PLDは、場合によって非常
に大きな値になり、これがベルトの耐久性に影響を及ぼ
す恐れがある。一方、遠心圧PL1は確実に発生するもの
の、制御されるものではない,つまり正確な値にはなら
ないから、その分を予め見込んで基準ライン圧PL0を正
確な小さな値に設定することはできない。そこで、本実
施形態ではベルトの耐久性に影響を及ぼすと考えられる
最大ライン圧PLMAXを設定し、前記要求ライン圧PLDが
これを超えない場合にはステップS408からステップ
S410に移行して要求ライン圧PLDを到達ライン圧P
LRに設定するが、要求ライン圧PLDが最大ライン圧P
LMAX以上となる場合にはステップS409に移行して当
該最大ライン圧PLMAXを到達ライン圧PLRに設定し、次
のステップS411でこの到達ライン圧PLRから前記遠
心圧PL1を減じた値を管理すべき目標ライン圧PL0R と
し、続くステップS412,ステップS413で、この
目標ライン圧PL0R を達成するライン圧制御信号SPLを
創成出力する。
が、変速制御の概要は、前記特開平7−317895号
公報に記載されるものと同様であるから、ここでは省略
し、特に図7の演算処理による作用について詳述する。
この演算処理では、ステップS401乃至ステップS4
03で、無段変速機構29への入力トルクTPri に応じ
た基準ライン圧PL0が設定される。この基準ライン圧P
L0は、本来、伝達すべきトルクによってベルトが滑らな
い最低圧であるから、ベルトの耐久性には何ら支障がな
い。しかしながら、続くステップS404,ステップS
405で算出される遠心圧PL1は、前記出力回転数N
Sec の2乗値に比例するため、ステップS406で、こ
れが加算される要求ライン圧PLDは、場合によって非常
に大きな値になり、これがベルトの耐久性に影響を及ぼ
す恐れがある。一方、遠心圧PL1は確実に発生するもの
の、制御されるものではない,つまり正確な値にはなら
ないから、その分を予め見込んで基準ライン圧PL0を正
確な小さな値に設定することはできない。そこで、本実
施形態ではベルトの耐久性に影響を及ぼすと考えられる
最大ライン圧PLMAXを設定し、前記要求ライン圧PLDが
これを超えない場合にはステップS408からステップ
S410に移行して要求ライン圧PLDを到達ライン圧P
LRに設定するが、要求ライン圧PLDが最大ライン圧P
LMAX以上となる場合にはステップS409に移行して当
該最大ライン圧PLMAXを到達ライン圧PLRに設定し、次
のステップS411でこの到達ライン圧PLRから前記遠
心圧PL1を減じた値を管理すべき目標ライン圧PL0R と
し、続くステップS412,ステップS413で、この
目標ライン圧PL0R を達成するライン圧制御信号SPLを
創成出力する。
【0048】ここで、設定される最大ライン圧PLMAXに
ついてであるが、前述のように同等の変速比CP に対し
ては、概略的に入力回転数NPri が大きいほど最大ライ
ン圧PLMAXは小さい。これは、一般に入力回転数NPri
が大きいほどベルトの周速が速く、従ってベルトにかか
る遠心力が大きくなるためであり、一方で、前記各プー
リ16,26のベルト溝は外周側が広いV字状であるた
めに、このように遠心力が大きい状況下で、ベルト側方
荷重であるライン圧が大きいと、ベルトに滑りや伸びが
生じて耐久性が低下するから、最大ライン圧PLMAXは入
力回転数NPriが大きいほど小さくしなければならな
い。
ついてであるが、前述のように同等の変速比CP に対し
ては、概略的に入力回転数NPri が大きいほど最大ライ
ン圧PLMAXは小さい。これは、一般に入力回転数NPri
が大きいほどベルトの周速が速く、従ってベルトにかか
る遠心力が大きくなるためであり、一方で、前記各プー
リ16,26のベルト溝は外周側が広いV字状であるた
めに、このように遠心力が大きい状況下で、ベルト側方
荷重であるライン圧が大きいと、ベルトに滑りや伸びが
生じて耐久性が低下するから、最大ライン圧PLMAXは入
力回転数NPriが大きいほど小さくしなければならな
い。
【0049】また、同等の入力回転数NPri に対して
は、変速比CP (プーリ比)が“1.0”のとき、つま
り駆動プーリ16のベルト接触半径と従動プーリ26の
ベルト接触半径とが等しいときに最大ライン圧PLMAXは
最も大きく、変速比CP が“1.0”より大きくなって
も、それより小さくなっても、共に最大ライン圧PLMAX
は小さくなる。これは、この種のベルトが前述のように
エレメントを配列したプッシュ式ベルトであることにも
起因している。即ち、図11に示すように、各プーリ1
6,26に対してベルト24が巻付いている角度を巻付
き角θPri ,θSe c 、そのときの接触半径をrPri ,r
Sec と定義すると、接触半径比(rSec /rPri )でも
表される変速比CP が“1.0”のときにはどちらのプ
ーリの巻付き角θPri ,θSec も等しい。しかしなが
ら、変速比CP が“1.0”より大きくなると駆動プー
リ16側の巻付き角θPri が小さくなり、変速比CP が
“1.0”より小さくなると従動プーリ26側の巻付き
角θSec が小さくなる。このように巻付き角θが小さく
なると、ベルト24と各プーリ16,26との接触線長
さが短くなり、従ってプーリ16,26に接触している
エレメントの個数も少なくなることから、同等の側方荷
重がかかっていてもエレメント単体の側方荷重は大きく
なり、従ってベルトの耐久性が低下するから、最大ライ
ン圧PLMAXは、変速比CP が“1.0”より大きくなっ
ても小さくなっても小さく設定しなければならない。
は、変速比CP (プーリ比)が“1.0”のとき、つま
り駆動プーリ16のベルト接触半径と従動プーリ26の
ベルト接触半径とが等しいときに最大ライン圧PLMAXは
最も大きく、変速比CP が“1.0”より大きくなって
も、それより小さくなっても、共に最大ライン圧PLMAX
は小さくなる。これは、この種のベルトが前述のように
エレメントを配列したプッシュ式ベルトであることにも
起因している。即ち、図11に示すように、各プーリ1
6,26に対してベルト24が巻付いている角度を巻付
き角θPri ,θSe c 、そのときの接触半径をrPri ,r
Sec と定義すると、接触半径比(rSec /rPri )でも
表される変速比CP が“1.0”のときにはどちらのプ
ーリの巻付き角θPri ,θSec も等しい。しかしなが
ら、変速比CP が“1.0”より大きくなると駆動プー
リ16側の巻付き角θPri が小さくなり、変速比CP が
“1.0”より小さくなると従動プーリ26側の巻付き
角θSec が小さくなる。このように巻付き角θが小さく
なると、ベルト24と各プーリ16,26との接触線長
さが短くなり、従ってプーリ16,26に接触している
エレメントの個数も少なくなることから、同等の側方荷
重がかかっていてもエレメント単体の側方荷重は大きく
なり、従ってベルトの耐久性が低下するから、最大ライ
ン圧PLMAXは、変速比CP が“1.0”より大きくなっ
ても小さくなっても小さく設定しなければならない。
【0050】また、同等の入力回転数NPri に対して、
変速比CP が“1.0”より大きくなるときよりも、小
さくなるときの方が、最大ライン圧PLMAXの減少割合が
大きい。これは、同等の入力回転数NPri に対して、変
速比CP が小さくなるということが車速VSPが大きくな
るということから、従って変速比CP が小さくなると出
力回転数NSec が大きくなり、結果的にベルト周速が大
きくなる。すると前述と同様に、ベルトにかかる遠心力
が大きくなって耐久性が低下するから、最大ライン圧P
LMAXは入力回転数NPri が大きいほど小さくしなければ
ならない。
変速比CP が“1.0”より大きくなるときよりも、小
さくなるときの方が、最大ライン圧PLMAXの減少割合が
大きい。これは、同等の入力回転数NPri に対して、変
速比CP が小さくなるということが車速VSPが大きくな
るということから、従って変速比CP が小さくなると出
力回転数NSec が大きくなり、結果的にベルト周速が大
きくなる。すると前述と同様に、ベルトにかかる遠心力
が大きくなって耐久性が低下するから、最大ライン圧P
LMAXは入力回転数NPri が大きいほど小さくしなければ
ならない。
【0051】従って、このようにして設定される最大ラ
イン圧PLMAXで到達ライン圧PLRを規制することができ
れば、少なくともベルトの耐久性が低下することはな
い。また、最終的な目標ライン圧PL0R が前記基準ライ
ン圧PL0より小さく設定される可能性はあるが、前述の
ように遠心圧PL1は、値そのものは不確定ではあるが、
確実にしかも大きく発生するから、この遠心圧PL1と目
標ライン圧PL0R との和が前記基準ライン圧PL0より小
さくなることはなく、従ってベルトが滑るという事態は
発生しない。
イン圧PLMAXで到達ライン圧PLRを規制することができ
れば、少なくともベルトの耐久性が低下することはな
い。また、最終的な目標ライン圧PL0R が前記基準ライ
ン圧PL0より小さく設定される可能性はあるが、前述の
ように遠心圧PL1は、値そのものは不確定ではあるが、
確実にしかも大きく発生するから、この遠心圧PL1と目
標ライン圧PL0R との和が前記基準ライン圧PL0より小
さくなることはなく、従ってベルトが滑るという事態は
発生しない。
【0052】以上より、前記ライン圧デューティ弁12
0が本発明の無段変速機構用調圧弁を構成し、以下同様
に、前記入力回転数センサ305及び車速センサ302
及び図3の演算処理のステップS1及びステップS2が
変速比検出手段を構成し、前記入力回転数センサ305
及び図3の演算処理のステップS1が入力回転数検出手
段を構成し、図3の演算処理のステップS4で実行され
る図7の演算処理のステップS407が流体圧最大値設
定手段を構成し、図3の演算処理のステップS4で実行
される図7の演算処理全体が制御手段を構成する。
0が本発明の無段変速機構用調圧弁を構成し、以下同様
に、前記入力回転数センサ305及び車速センサ302
及び図3の演算処理のステップS1及びステップS2が
変速比検出手段を構成し、前記入力回転数センサ305
及び図3の演算処理のステップS1が入力回転数検出手
段を構成し、図3の演算処理のステップS4で実行され
る図7の演算処理のステップS407が流体圧最大値設
定手段を構成し、図3の演算処理のステップS4で実行
される図7の演算処理全体が制御手段を構成する。
【0053】なお、前記各実施形態では、各コントロー
ルユニットをマイクロコンピュータで構築したものにつ
いてのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、
演算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいこ
とは言うまでもない。
ルユニットをマイクロコンピュータで構築したものにつ
いてのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、
演算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいこ
とは言うまでもない。
【図1】無段変速機及びその制御装置の一例を示す概略
構成図である。
構成図である。
【図2】目標ライン圧からライン圧制御用デューティ弁
へのデューティ比を設定する制御マップである。
へのデューティ比を設定する制御マップである。
【図3】図1の変速機コントロールユニットで実行され
る演算処理の一例を示すフローチャートである。
る演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】スロットル開度をパラメータとしてエンジン回
転数からエンジントルクを設定する制御マップである。
転数からエンジントルクを設定する制御マップである。
【図5】車速とスロットル開度とからロックアップ車速
及びアンロックアップ車速を設定する制御マップであ
る。
及びアンロックアップ車速を設定する制御マップであ
る。
【図6】スロットル開度をパラメータとして車速から変
速比を設定する制御マップである。
速比を設定する制御マップである。
【図7】図3の演算処理で実行されるマイナプログラム
のフローチャートである。
のフローチャートである。
【図8】トルコン入出力速度比からトルク比を設定する
制御マップである。
制御マップである。
【図9】入力トルクをパラメータとして変速比から基準
ライン圧を設定する制御マップである。
ライン圧を設定する制御マップである。
【図10】変速比と入力回転数とから最大ライン圧を設
定する制御マップである。
定する制御マップである。
【図11】ベルト巻付き角の説明図である。
10はエンジン 12はトルクコンバータ 16は駆動プーリ 19はスロットルバルブ 20はシリンダ室 24はベルト 26は従動プーリ 29は無段変速機構 32はシリンダ室 108はステップモータ 120はライン圧制御用デューティ弁 128はロックアップ制御用デューティ弁 129はクラッチ締結制御用圧切換弁 200はエンジンコントロールユニット 300は変速機コントロールユニット 301はエンジン回転数センサ 302は車速センサ 303はスロットル開度センサ 304はインヒビタスイッチ 305は入力回転数センサ 310はマイクロコンピュータ
Claims (3)
- 【請求項1】 溝幅が可変の一対のプーリで、巻回され
るベルトを狭持する無段変速機構を有し、ポンプで昇圧
された作動流体を前記無段変速機構への入力負荷に応じ
た所定の流体圧に無段変速機構用調圧弁で調圧して当該
無段変速機構に供給する無段変速機の制御装置にあっ
て、前記一対のプーリからなる無段変速機構の変速比を
検出する変速比検出手段と、前記無段変速機構への入力
回転数を検出する入力回転数検出手段と、前記変速比検
出手段で検出された無段変速機構の変速比及び入力回転
数検出手段で検出された無段変速機構への入力回転数に
応じて、前記無段変速機構に供給する流体圧に対して、
前記ベルトを保護するための当該流体圧の最大値を設定
する流体圧最大値設定手段と、この流体圧最大値設定手
段で設定された流体圧の最大値以内になるように前記無
段変速機構に供給される流体圧を制御する制御手段とを
備えたことを特徴とする無段変速機の制御装置。 - 【請求項2】 前記流体圧最大値設定手段は、前記無段
変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段変速
機構の変速比が1.0であるときに最も大きく且つ当該
無段変速機構の変速比が1.0よりも大きいほど又はそ
れよりも小さいほど小さくなるように前記流体圧の最大
値を設定することを特徴とする請求項1に記載の無段変
速機の制御装置。 - 【請求項3】 前記流体圧最大値設定手段は、前記無段
変速機構への同等の入力回転数に対して、前記無段変速
機構の変速比が1.0より大きくなるときの減少割合よ
りも当該無段変速機構の変速比が1.0より小さくなる
ときの減少割合が大きくなるように、前記流体圧の最大
値を設定することを特徴とする請求項2に記載の無段変
速機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17489697A JP3341634B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | 無段変速機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17489697A JP3341634B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | 無段変速機の制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1113874A true JPH1113874A (ja) | 1999-01-22 |
JP3341634B2 JP3341634B2 (ja) | 2002-11-05 |
Family
ID=15986590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17489697A Expired - Fee Related JP3341634B2 (ja) | 1997-06-30 | 1997-06-30 | 無段変速機の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3341634B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005163906A (ja) * | 2003-12-02 | 2005-06-23 | Fuji Heavy Ind Ltd | 無段変速機の制御装置 |
US8105191B2 (en) | 2006-06-15 | 2012-01-31 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus and method for continuously variable transmissions |
WO2012098773A1 (ja) * | 2011-01-17 | 2012-07-26 | 日産自動車株式会社 | 無段変速機の変速制御装置 |
-
1997
- 1997-06-30 JP JP17489697A patent/JP3341634B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005163906A (ja) * | 2003-12-02 | 2005-06-23 | Fuji Heavy Ind Ltd | 無段変速機の制御装置 |
JP4565832B2 (ja) * | 2003-12-02 | 2010-10-20 | 富士重工業株式会社 | 無段変速機の制御装置 |
US8105191B2 (en) | 2006-06-15 | 2012-01-31 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control apparatus and method for continuously variable transmissions |
WO2012098773A1 (ja) * | 2011-01-17 | 2012-07-26 | 日産自動車株式会社 | 無段変速機の変速制御装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3341634B2 (ja) | 2002-11-05 |
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