JPH11135108A - リチウム二次電池用炭素とその製造方法並びにリチウム二次電池とその製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用炭素とその製造方法並びにリチウム二次電池とその製造方法

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JPH11135108A
JPH11135108A JP9295980A JP29598097A JPH11135108A JP H11135108 A JPH11135108 A JP H11135108A JP 9295980 A JP9295980 A JP 9295980A JP 29598097 A JP29598097 A JP 29598097A JP H11135108 A JPH11135108 A JP H11135108A
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coal
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Akihiro Nakamura
章寛 中村
Ryuichi Yazaki
隆一 矢崎
Hiroshi Taira
博司 平
Yoshiaki Watanabe
良紀 渡辺
Takashi Inui
隆 乾
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Japan Oxygen Co Ltd
Nippon Sanso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充電可能なリチウム二次電池の電極材に適用
することによって優れた放電特性を有するリチウム二次
電池を作製可能なリチウム二次電池用の炭素およびその
製造方法並びにリチウム二次電池の提供。 【解決手段】 乾留炭をハロゲンガスに接触させてハロ
ゲン化乾留炭を得るハロゲン化処理と、該ハロゲン化乾
留炭を熱分解性炭化水素と接触させて予備細孔調整処理
炭を得る予備細孔調整処理と、該予備細孔調整処理炭中
のハロゲンの一部または全部を脱離させて脱ハロゲン処
理炭を得る脱ハロゲン処理と、該脱ハロゲン処理炭を熱
分解性炭化水素と接触させる細孔調整処理とを備えたリ
チウム二次電池用炭素材の製造方法、それにより得られ
たリチウム二次電池用炭素、それを用いたリチウム二次
電池とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、充電可能なリチウ
ム二次電池の電極材として好適なリチウム二次電池用炭
素とその製造方法、並びに該炭素を用いて作製されるリ
チウム二次電池とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電極用炭素の原料としては、褐炭、亜
炭、無煙炭、コークス、木炭、やし殻炭などの動植物質
が炭化したもの、フェノール樹脂、フラン樹脂、塩化ビ
ニリデン共重合体などの各種樹脂を不活性ガス雰囲気下
で加熱(乾留)したもの、などが利用されている。
【0003】炭素材は化学的に不活性であるため、吸着
剤、触媒、電極材、機械用構造材、などの広い用途に利
用されているが、これらの用途は、炭素材の構造と密接
に関連する。多孔性炭素と呼称される炭素は、細孔が発
達しているため、特異な作用がある。例えば、吸着現象
を利用した、混合物の分離や精製に使用される。また、
電気二重層キャパシタ用炭素やリチウム二次電池用炭素
などの電気化学的エネルギー貯蔵作用がある。
【0004】炭素材の構造は原料により、また製造方法
により、種々の構造をとり得る。チャーやこれを賦活し
て得た活性炭は、微晶質炭素(結晶子)、鎖状構造をと
る炭素などから成り立っている。難黒鉛化性炭素の場合
は、結晶子が乱雑に積層した構造をとっており、これら
結晶子の間隙にはミクロ孔からマクロ孔まで広範囲の細
孔が形成されている。結晶子は、数層の平行な炭素六員
環の網面が積み重なったものであり、炭素六員環を構成
するグラファイト炭素は、SP2混成軌道を利用して結
合している。炭素六員環からなる網面を基底面という。
易黒鉛化性炭素は、高温度で加熱することにより結晶子
が成長し、最終的には黒鉛(グラファイト)になる。
【0005】難黒鉛化性炭素や完全に黒鉛化していない
易黒鉛化性炭素には、通常、未組織炭素が含まれてい
る。未組織炭素とは、グラファイト炭素とのみ化学結合
しているグラファイト炭素以外の炭素であり、鎖状構造
を有する炭素、炭素六員環の周辺に付着している炭素、
炭素六員環の最外縁(プリズム面)にある炭素、炭素六
員環(結晶子)どうしの架橋構造にあずかっている炭素
などをいう。未組織炭素には、C−H、C−OH、C−
OOH、C=Oなどの形で水素原子、酸素原子などが結
合しているものや、炭素二重結合(−C=C−)などが
ある。
【0006】負極に多孔性の炭素材を使用するリチウム
二次電池では、負極の炭素材がリチウムイオンを取り込
む(ドープ)ことにより充電され、放出(脱ドープ)す
ることにより放電する。このリチウム二次電池では、炭
素材のリチウムイオンのドープ量により充電容量が決ま
り、脱ドープ量により放電容量が決まる。充放電の効率
は、充電容量と放電容量の比として定義される。
【0007】上記炭素材として黒鉛を使用するときは、
リチウムイオンは炭素網面層の層間に取り込まれる。こ
のときの理論的な最大ドープ量は、炭素原子六個に対し
リチウムイオン一個がドープされたときである。しかし
難黒鉛化性の多孔性炭素材を使用すると、前記最大理論
値を超える充電容量が得られる場合があると報告されて
いる。
【0008】リチウム二次電池電極用炭素の製造方法
は、これまでに種々提案されてきた。例えば、特開平2
−66856号公報、特開平6−187972号公報、
特開昭61−218060号公報、特開平5−3350
17号公報、特開平2−230660号公報、特開平5
−89879号公報、特開平5−182668号公報、
特開平3−245473号公報、特開平5−14440
号公報、等に記載されているものがある。
【0009】特開平2−66856号公報は、フルフリ
ルアルコール樹脂を500℃で炭化し、更に、1100
℃で熱処理すると、結晶子の面間隔d002=3.80
Å、真密度=1.55g/cm3の炭素が得られ、炭素
網面の間に多くのリチウムイオンがドープできることを
開示している。
【0010】特開平6−187972号公報は、縮合多
環芳香族化合物とパラキシレングリコールなどの架橋剤
とを反応させ、生成した樹脂を1000℃以上の温度で
焼成し、炭素材を得る。芳香族成分が結晶化した黒鉛構
造と架橋剤が非晶化した領域とからなる構造になり、リ
チウム二次電池用の炭素材として好適であるとしてい
る。
【0011】特開昭61−218060号公報は、ポリ
アセンなどの芳香族系縮合樹脂の熱処理物であって、H
/C原子比が0.5〜0.05、BET比表面積が60
0m 2/g以上、平均孔径が10μm以下の連通孔を有
するものが良いとしている。初期重合物と塩化亜鉛など
の無機塩の水溶液を調整し、350〜800℃で加熱処
理すると三次元網目構造に成長し、前記特徴を備えた炭
素が製造できることを開示している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】リチウム二次電池で
は、一般に、充電容量の全てが放電できない不可逆充放
電があり、効率が低いという問題があった。また、大き
な容量を有するリチウム二次電池が求められるなかで、
放電容量の大きな炭素材への期待も高い。
【0013】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、充電可能なリチウム二次電池の電極材に適用するこ
とによって優れた放電特性を有するリチウム二次電池を
作製可能なリチウム二次電池用の炭素およびその製造方
法並びにリチウム二次電池を提供することを課題として
いる。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特開平7
−230803号公報やWO97/01192(PCT
/JP96/01684)に開示されている通り、細孔
調整処理やハロゲン化処理により充放電特性の向上した
炭素材が得られることを知見したが、さらに鋭意研究を
重ねた結果、乾留炭をハロゲン化処理して得られるハロ
ゲン化乾留炭に予備的に細孔調整処理した後に、脱ハロ
ゲン処理、細孔調整処理を施すことにより、放電容量お
よび効率をさらに向上できることを知見し、本発明を完
成させるに至った。
【0015】本発明のリチウム二次電池用炭素材の製造
方法は、乾留炭をハロゲンガスに接触させてハロゲン化
乾留炭を得るハロゲン化処理と、該ハロゲン化乾留炭を
熱分解性炭化水素と接触させて予備細孔調整処理炭を得
る予備細孔調整処理と、該予備細孔調整処理炭中のハロ
ゲンの一部または全部を脱離させて脱ハロゲン処理炭を
得る脱ハロゲン処理と、該脱ハロゲン処理炭を熱分解性
炭化水素と接触させる細孔調整処理とを備えたことを特
徴としている。この製造方法において、前記ハロゲン化
乾留炭は、粉末状態であることが好ましい。また前記脱
ハロゲン処理炭が粉末状態であることが好ましい。さら
に前記予備細孔調整処理が、不活性ガスで希釈した熱分
解性炭化水素中、300〜900℃の温度で行う加熱処
理であることが望ましい。また前記予備細孔調整処理に
用いる熱分解性炭化水素は、熱分解して炭素を生成する
芳香族炭化水素、環式炭化水素、飽和鎖式炭化水素、不
飽和鎖式炭化水素からなる群から選択される少なくとも
一種として良い。本発明のリチウム二次電池用炭素は、
請求項1から5のいずれか1項記載の製造方法により得
られたものである。本発明のリチウム二次電池は、炭素
電極と、リチウム電極と、それら電極間に設けられた電
解液とを備えたリチウム二次電池において、炭素電極が
前記請求項6記載のリチウム二次電池用炭素からなるこ
とを特徴としている。本発明のリチウム二次電池の製造
方法は、炭素電極とリチウム電極とそれらの電極間に設
けられた電解液とを備えたリチウム二次電池の製造方法
において、炭素電極として請求項6記載のリチウム二次
電池用炭素を用いて乾燥した不活性ガス中でリチウム二
次電池を組み立てる組立工程を設けたことを特徴として
いる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に、本発明によるリチウム二
次電池用炭素の製造方法の一形態を説明するための工程
図を示す。
【0017】(炭素化合物)本発明のリチウム二次電池
用炭素の製造方法において使用される乾留炭は、褐炭、
亜炭、無煙炭、コークス、木炭、やし殻炭などの動植物
質が炭化したもの、フェノール樹脂、フラン樹脂、塩化
ビニリデン共重合体などの各種樹脂、等の各種の原料を
乾留したものを使用することができ、それら原料のうち
でもフェノール樹脂が好適に使用できる。
【0018】(乾留)フェノール樹脂などの原料は、適
宜窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中、500〜1
000℃程度で加熱し、乾留炭とする。
【0019】(ハロゲン化処理)次に、作製された乾留
炭に塩素などのハロゲンガスを接触せしめ、炭素とハロ
ゲンとを反応させる。このハロゲン化処理には、各種ハ
ロゲンが使用可能であるが、塩素及び臭素が好適に使用
される。
【0020】ハロゲン化乾留炭、例えば塩素化乾留炭の
塩素化の程度は、塩素と炭素の原子数比(Cl/C)で
表される。当該原子数比は、塩素化処理においては、塩
素化処理前の乾留炭の重量を炭素の重量とし、塩素化処
理における重量増加を塩素の重量として、原子数のモル
比に換算したものである。また、脱塩素処理において
は、脱塩素処理による重量減少を塩素の減量として原子
数に換算して、これを塩素化乾留炭の塩素原子数から減
じて求めたものである。実際のハロゲン化処理において
は、炭化の進行に伴う乾留作用や水蒸気の賦活作用(炭
素のガス化)があるため、前記定義による原子数比が負
の値になることもある。
【0021】ハロゲン化処理が、例えば塩素ガスを使用
する場合には、乾留炭を窒素などの不活性ガスで希釈し
た塩素ガス中、350〜1000℃、好ましくは400
〜800℃、最も好ましくは500〜700℃の温度で
加熱処理を施すことにより実施される。また、塩素に代
えて臭素を用いる場合には、乾留炭を窒素などの不活性
ガスで希釈した臭素ガス中、350〜1000℃、好ま
しくは400〜800℃の温度で加熱処理を施す。
【0022】ハロゲン化処理、例えば塩素化処理時の加
熱温度が1000℃を超える場合、乾留が進行して水素
原子の量が低下するため、塩素化の程度が小さくなり、
好ましくない。また、塩素化処理時の加熱温度が350
℃未満の場合、塩素と未組織炭素の反応速度が遅すぎる
ので、塩素化処理に長時間を要し、好ましくない。臭素
化処理においても同様である。
【0023】ここで不活性ガスとは、窒素、もしくはヘ
リウム、アルゴンなどの希ガス、およびこれらの混合ガ
スである。
【0024】上記ハロゲン化処理により、塩素と炭素の
原子数比(Cl/C)が0.03以上、好ましくは0.
07以上である塩素化乾留炭、或いは臭素と炭素の原子
数比(Br/C)が0.01以上、好ましくは0.03
以上である臭素化乾留炭などのハロゲン化乾留炭を得
る。なお、この原子数比が上記の値未満の場合、ミクロ
孔形成が不十分であり、作製された炭素材をリチウム二
次電池に適用した場合に、優れた充放電特性が得られな
いので、好ましくない。また、上記原子数比の上限は、
ハロゲン化乾留炭中の水素原子の量、すなわち、乾留温
度により決まり、特に限定されないが、原子数比(Cl
/C)が0.315以下であれば、作製された炭素材を
リチウム二次電池に適用した場合に、充放電特性の向上
効果が得られることが判っている。
【0025】(予備細孔調整処理)本発明者らは、特開
平7−230803号公報やWO97/01192に開
示した細孔調整処理やハロゲン化処理により充放電特性
の向上した炭素材が得られることを知見したが、さらに
鋭意研究した結果、乾留炭をハロゲン化処理して得られ
るハロゲン化乾留炭に予備的に細孔調整処理を施すこと
により、放電容量および充放電効率を更に向上し得るこ
とを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0026】ハロゲン化乾留炭に熱分解性炭化水素と接
触させる予備細孔調整処理の一つの態様は、ハロゲン化
乾留炭を、不活性ガスで希釈した熱分解性炭化水素中、
300〜900℃、好ましくは400〜700℃の温度
で行う加熱処理である。
【0027】加熱処理が900℃を超えると予備細孔調
整を制御することが困難になり、本発明の効果が得られ
ないことがある。300℃未満の温度であると、炭化水
素の熱分解速度が遅くなり、予備細孔調整処理に長時間
を要して好ましくない。
【0028】前記熱分解性炭化水素は、熱分解して炭素
を生成する芳香族炭化水素、環式炭化水素、飽和鎖式炭
化水素、不飽和鎖式炭化水素からなる群から選択される
少なくとも一種を使用して良い。この熱分解性炭化水素
としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、ナフタレン、メチルナフタリン、ビフェ
ニル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、1,1
−ジメチルシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、シクロヘプタン、メタン、イソブタン、
ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、アセチレン、エチ
レン、ブタジエン、エタノール、イソプロパノール、イ
ソブチレンなどが使用され、好ましくはベンゼン、トル
エンが使用される。
【0029】ハロゲン化乾留炭に熱分解性炭化水素と接
触させる予備細孔調整処理の別の態様は、ハロゲン化乾
留炭に、添着させた液状の炭化水素化合物の熱分解によ
って行う。実施の一例を示すと、例えば、2,4−キシ
レノール、キノリン、クレオソートを、前駆体に1〜2
0重量%添着(含浸)させた後、窒素ガス気流下で、該
炭化水素化合物がハロゲン化乾留炭と反応する温度、例
えば400〜800℃で加熱して、これらの炭化水素化
合物を分解させて炭素を析出させ、該析出炭素がハロゲ
ン化乾留炭のハロゲンの一部と置換し、細孔調整前の炭
素材の細孔入口を狭隘化させる。また、熱分解性炭化水
素化合物としては、ピッチ、樹脂などを用いることも可
能である。
【0030】粒状や円柱状のハロゲン化乾留炭に対し予
備細孔調整処理を行った後、粉砕処理を施すことができ
る。しかし、予め粉末状態のハロゲン化乾留炭を用意
し、これに予備細孔調整処理を施すことが可能であり、
好ましい方法である。
【0031】(脱ハロゲン処理)低温脱ハロゲン処理
は、不活性ガスで希釈した水蒸気または低級炭化水素ガ
ス中、上記予備細孔調整されたハロゲン化乾留炭を加熱
してハロゲンを脱離する処理であり、600〜850
℃、好ましくは650〜750℃の温度で行う加熱処理
である。また、低温脱ハロゲン処理は、不活性ガスで希
釈した水素ガス中、ハロゲン化乾留炭を加熱してハロゲ
ンを脱離する処理であり、600〜1400℃、好まし
くは650〜1200℃の温度で行う加熱である。加熱
処理の時間は20〜60分程度である。脱ハロゲンの程
度は、ハロゲンが塩素である場合には、前記原子数比
(Cl/C)が0.02以下、ハロゲンが臭素である場
合には、前記原子数比(Br/C)が0.01以下であ
ることが好ましいが、必ずしも限定されることはなく、
ハロゲンが一部残っても本発明の効果を奏し得る。
【0032】高温脱ハロゲン処理は、不活性ガス中、7
00〜1400℃、好ましくは800〜1300℃の温
度で行う加熱処理である。また、高温脱ハロゲン処理は
真空排気下での700〜1400℃、好ましくは800
〜1300℃の温度で行う加熱処理である。真空排気の
程度は特に限定されないが、10Torr程度で良い。
加熱処理の時間は、30〜120分程度必要である。高
温脱ハロゲンの温度は、700℃未満の温度ではハロゲ
ンの脱離に長時間を必要とするので効率が悪く、140
0℃を超える温度では熱収縮の効果が大きすぎて細孔構
造の形成に好ましくない。高温脱ハロゲン処理はハロゲ
ンを脱離させる作用とともに、多孔性炭素材全体を熱収
縮させて空隙率を低下させる作用がある。
【0033】(細孔調整処理)脱ハロゲン処理した炭素
材に熱分解性炭化水素と接触させる細孔調整処理を施
す。細孔調整前の炭素を電極用炭素前駆体と呼ぶ。熱分
解性炭化水素と接触させる細孔調整処理の一つの態様
は、電極用炭素前駆体を、不活性ガスで希釈した熱分解
性炭化水素中、600〜1100℃、好ましくは700
〜1050℃、最も好ましくは800〜1000℃の温
度で行う加熱処理であって良い。細孔調整処理は、電解
液中の有機溶媒が細孔内に入らないように細孔径を調整
するために行うものであって、熱分解性炭化水素の種
類、処理温度、処理時間を適切に選定することにより、
所望の大きさの細孔径とすることができる。加熱温度が
1100℃を超えると熱分解した炭素の析出を制御する
ことが困難になり、炭素の所望の細孔を形成することが
困難になる。600℃未満の温度であると、炭化水素の
熱分解速度が遅くなり、細孔調整処理に長時間を要して
好ましくない。
【0034】熱分解性炭化水素と接触させる細孔調整処
理の別な態様は、電極用炭素前駆体に、添着(含浸)さ
せた液状の炭化水素化合物の熱分解によって行う。実施
の一例を示すと、例えば、2,4−キシレノール、キノ
リン、クレオソートを、前駆体に1〜20重量%添着さ
せた後、窒素ガス気流下で、該炭化水素化合物が分解す
る温度、例えば600〜1200℃で加熱してこれらの
炭化水素化合物を分解させて炭素を析出させ、該析出炭
素が前駆体の細孔を狭隘化させる。又、熱分解性炭化水
素化合物としては、ピッチ、樹脂などを用いることも可
能である。
【0035】細孔調整処理を行ったのち、粉砕処理を施
し、この粉末品から電極を作製することができる。しか
し、粉砕後の粒子の平均粒径が極めて小さい等の条件に
よっては、細孔調整の効果が低下する場合があるので、
予め粉末の脱ハロゲン処理炭素を用意し、しかるのち、
前記細孔調整処理を施すことが可能であり、好ましい方
法である。
【0036】以下の記載において、細孔調整処理を施し
た炭素、および充放電特性を測定するため所定の形状に
形成した炭素を電池用炭素または略して炭素と呼び、そ
れに電解液を含浸させたものを炭素電極と呼ぶ。
【0037】上記製造方法により得られるリチウム二次
電池用炭素は、放電容量および効率が優れている。
【0038】充放電容量および効率を測定する評価セル
を図2に示す。このセルは、炭素電極1と、その対極と
して用いるリチウム電極2と、これら炭素電極とリチウ
ム電極2との間に設けられたセパレーター3と、これら
電極に接する電解液4と、電解液中に配置されたリチウ
ムからなる参照電極5とを備えている。なお、図2に示
す評価セルでは、厳密には炭素電極1が正極であり、炭
素電極1へのリチウムイオンのドーピングは放電である
が、実際の電池に合わせて便宜上この過程を充電と呼ぶ
こととし、これとは逆に炭素電極1からリチウムイオン
を取り出す過程を放電と呼ぶことにする。
【0039】充放電容量および効率を評価する試験方法
を、図3に示す電流電位変化図に従って説明する。初め
の充電過程では、負極の炭素電極の初期電位はリチウム
参照電極5に対して約1.5Vであり、電流密度が0.
53mA/cm2の定電流で通電を開始する。炭素電極
1の電位が徐々に低下して、0mVに達したときに、定
電流から定電位に切り替えて電流密度が充分に小さくな
ったときに電源を切り、電位の回復が2時間休止後に1
0mV以下のときをもって充電終了とする。次の放電過
程は、充電終了となった2時間の休止の後に行う。0.
53mA/cm2の定電流で連続放電し、電位が1.5
Vに達した時点で放電終了とする。充電容量Aおよび放
電容量Bは、各々図3の斜線部分A,Bで示した面積で
表わされる。充電容量または放電容量は、炭素材1g当
たりの容量で示す。容量ロスは充電容量と放電容量の差
であり、A−Bより求められる。放電効率Kは、B÷A
×100(%)より求められる。
【0040】電解液としては各種の電解質を有機溶媒に
溶解したものを使用することができ、例を示せば、電解
質としては、LiClO4、LiAsF6、LiPF6
LiBF4等が、有機溶媒としては、プロピレンカーボ
ネイト、エチレンカーボネイト、ジエチルカーボネイ
ト、ジメチルカーボネイト、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチルラクトン、
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、
ジエチルエーテル、アセトニトリル、等が使用できる。
【0041】このように、上述した製造方法により優れ
た放電特性を有するリチウム二次電池用炭素が製造され
る根拠について、以下に説明する。
【0042】ハロゲン化処理では、乾留炭に接触したハ
ロゲン、例えば塩素は、未組織炭素と反応する。これら
の反応には、炭素二重結合への塩素付加反応、未組織炭
素に結合している水素原子と塩素原子の交換反応(塩素
と等モルの塩化水素が発生する)、脱水素化反応(塩素
の二倍の塩化水素が発生する)、などがある。
【0043】予備細孔調整処理は、後工程で実施する細
孔調整処理に適した細孔径となるように、ハロゲン化乾
留炭の細孔径を予め調整しておくために行うものであ
る。予備細孔調整処理において、熱分解性炭化水素は炭
素一次粒子の表面近傍でハロゲンと置換し、表面近傍の
細孔入口径を狭隘化させる。予備細孔調整を行い脱ハロ
ゲン処理した後に細孔調整処理した場合、予備細孔調整
をせずに1回の細孔調整処理を行った場合に比べ、熱分
解炭素の添着量を少なくすることができる。炭素添着量
が少ないことで、ハロゲン化処理により向上した炭素材
のリチウムイオン吸蔵量を高く維持できると考えられ
る。
【0044】予備細孔調整処理を行った後、粉末状の炭
素とすることができるが、粉末状態のハロゲン化乾留炭
に予備細孔調整処理を施すことが可能であり、より好ま
しい方法である。粉末状ハロゲン化乾留炭に予備細孔調
整することで、粉末炭粒子の表面近傍において細孔径が
狭められ、かつ粒子内部はハロゲンによりそのリチウム
イオン吸蔵能力を高く維持できるためと考えられる。
【0045】脱ハロゲン処理では、上記未組織炭素に結
合したハロゲン、例えば塩素が脱離する。ハロゲン(塩
素)化処理、予備細孔調整処理、低温脱ハロゲン(塩
素)処理および高温脱ハロゲン(塩素)処理において、
脱ハロゲン(塩素)および熱収縮により、次式に示す反
応が起きて、新たな炭素原子−炭素原子結合(以下、炭
素結合という)が形成されていると推測される。次の式
(i)において、Cの横に□を付したのは未組織炭素で
あることを示す。 C□−Cl + C□−H → C−C +HCl ……(i)
【0046】この新たな炭素結合の形成により、炭素網
面または結晶子のグラファイト構造の欠陥を修復する作
用、結晶子の成長作用、結晶子の集合状態を変える作
用、等の作用を果たすと考えられるが、詳細は不明であ
る。しかしながら、これらの作用により、窒素や酸素な
どの分子径が小さいガスを吸着するのに好適なミクロ孔
(0.8〜2.0nm)および/またはサブミクロ孔
(<0.8nm)が多数形成されるものと推定される。
そしてこれらの細孔は、リチウムイオンの取り込み、放
出に有効に作用するものと推定される。
【0047】高温脱ハロゲン処理の別な作用は、ハロゲ
ン処理して得られた多孔性炭素全体を熱収縮させて空隙
率を低下させる作用である。言い換えれば、結晶子の集
合体を引き締める作用を果たす。この結果、細孔径も小
さくなる。
【0048】細孔調整の機構についての定説は確立され
ていないが、熱分解された炭素がミクロ孔の入口を狭隘
化する結果、分子径の大きい溶媒分子が細孔内に侵入で
きなくなるものと推定される。しかし、イオン径の小さ
いリチウムイオンは通過可能であることから充放電はで
きる。溶媒分子が細孔内に侵入すると放電容量が低下す
ることが判っている。
【0049】本発明の製造方法によって製造されたリチ
ウム二次電池用炭素は、上記各作用が相乗的に作用し
て、放電容量および充放電効率が向上するものと推定さ
れる。
【0050】リチウム二次電池は、本発明の製造方法に
よって作製される炭素を負極とし、リチウム化合物を正
極として構成することができる。本発明の炭素電極と、
正極の成分または形状あるいは電解液の組成濃度等との
組み合わせは、リチウム二次電池の用途に応じて適宜設
定される。
【0051】
【実施例】以下に、本発明に係る実施例を記すが、以下
の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本発明は以下の実
施例に限定されるものではない。
【0052】本発明による実施例1〜6の炭素材を作製
し、その充放電特性を比較例1〜4の炭素材と比較し
た。
【0053】・乾留炭 原料乾留炭は、フェノール樹脂(鐘紡(株)製 R80
0 商品名ベルパール)に、バインダーとしてフェノー
ル樹脂(群栄化学工業(株)製 PGA−4560 商品
名レヂトップ)を加えて、およそ2mmφ×5−6mm
の円柱状に成形し、窒素ガス気流下、700℃で乾留し
て得た。
【0054】・ハロゲン化処理 原料乾留炭に次のハロゲン化処理を施して、多孔性炭素
材とした。塩素化処理では、原料乾留炭(約15g)
を、塩素5容量%を含む窒素気流下(2.7NL/
分)、600℃の温度で2時間加熱して塩素化した。臭
素化処理では、原料乾留炭(約15g)を、臭素5容量
%を含む窒素気流下(3NL/分)、600℃の温度で
2時間加熱して臭素化した。
【0055】・予備細孔調整処理 予備細孔調整処理は、25℃の飽和ベンゼンまたはトル
エンを含む窒素気流下(1NL/分)、400〜550
℃の温度で25〜120分間加熱処理して行った。
【0056】・脱ハロゲン処理 低温脱ハロゲン処理は25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下(1NL/分)、700℃の温度で30分間加
熱処理して行った。高温脱ハロゲン処理は、窒素ガス気
流下(3NL/分)、1000℃の温度で60分間加熱
処理して行った。
【0057】・細孔調整処理 細孔調整処理は、25℃の飽和トルエンを含む窒素気流
下(3NL/分)、900℃の温度で10分間加熱処理
して行った。
【0058】・粉砕 日陶科学(株)製 小型振動ボールミル NB−0 で3
0分間粉砕した。
【0059】・電池用炭素 ハロゲン化処理、予備細孔調整処理、脱ハロゲン処理お
よび細孔調整処理をして得た炭素に、結合剤として炭素
の9重量%に相当するポリフッ化ビニリデンを加え、更
に、N−メチル−2−ピロリドンを加えてペースト状と
し、集電極用ステンレス鋼板(直径10mm)の上にシ
ート化して電池用炭素とした。
【0060】・充放電容量評価試験 電解液は、プロピレンカーボネートとジメトキシエタン
の1対1の混合溶液に、支持電解質として過塩素酸リチ
ウム(LiClO4)を加えたもの(1.0モル/L)
を用いた。上記電池用炭素に電解液が含浸して炭素電極
を形成する。充放電は、北斗電工(株)製充放電試験装
置(型式、HJ−201B)を使用し、前記充電容量
(A)および放電容量(B)を測定した。
【0061】(比較例1;予備細孔調整無し、塩素化、
高温脱塩素、水蒸気脱塩素、脱塩素後粉砕)乾留炭に塩
素化処理を施し、つぎに窒素ガス気流下で1000℃の
温度に加熱(高温脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む
窒素ガス気流下で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処
理)を行った。粉砕して細孔調整を施した後、前記の方
法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定
した。結果は、A=772mAh/g、B=652mA
h/gであった。放電効率K=84.5%、容量ロス=
120mAh/gであった。
【0062】(比較例2;予備細孔調整無し、塩素化、
高温脱塩素、水蒸気脱塩素、塩素化後粉砕)乾留炭に塩
素化処理を施した後、粉砕した。つぎに窒素ガス気流下
で1000℃の温度に加熱(高温脱塩素処理)し、さら
に水蒸気を含む窒素ガス気流下で加熱して脱塩素処理
(低温脱塩素処理)を行った。これに細孔調整を施した
後、前記の方法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放
電特性を測定した。結果は、A=773mAh/g、B
=649mAh/gであった。放電効率K=84.0
%、容量ロス=124mAh/gであった。
【0063】(比較例3;予備細孔調整無し、塩素化、
水蒸気脱塩素、高温脱塩素、脱塩素後粉砕)乾留炭に塩
素化処理を施した。つぎに水蒸気を含む窒素ガス気流下
で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)し、さらに窒
素ガス気流下で1000℃の温度に加熱(高温脱塩素処
理)を行った。粉砕して細孔調整を施した後、前記の方
法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定
した。結果は、A=764mAh/g、B=642mA
h/gであった。放電効率K=84.0%、容量ロス=
122mAh/gであった。
【0064】(比較例4;予備細孔調整無し、臭素化、
水蒸気脱臭素、高温脱臭素、脱臭素後粉砕)乾留炭に臭
素化処理を施した。つぎに水蒸気を含む窒素ガス気流下
で加熱して脱臭素処理(低温脱臭素処理)し、さらに窒
素ガス気流下で1000℃の温度に加熱(高温脱臭素処
理)を行った。粉砕して細孔調整を施した後、前記の方
法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定
した。結果は、A=774mAh/g、B=660mA
h/gであった。放電効率K=85.3%、容量ロス=
114mAh/gであった。
【0065】(実施例1;塩素化、予備細孔調整(トル
エン550℃×25分)、高温脱塩素、水蒸気脱塩素、
脱塩素後粉砕)乾留炭に塩素化処理を施し、トルエンを
用いて550℃で25分間予備細孔調整処理を行った。
つぎに窒素ガス気流下で1000℃の温度に加熱(高温
脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む窒素ガス気流下で
加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)を行った。粉砕
して細孔調整処理を施した後、前記の方法で電池用炭素
を作製し、評価セルで充放電特性を測定した。結果は、
A=798mAh/g、B=688mAh/gであっ
た。放電効率K=86.2%、容量ロス=110mAh
/gであった。
【0066】(実施例2;塩素化、予備細孔調整(トル
エン550℃×25分)、高温脱塩素、水蒸気脱塩素、
塩素化後粉砕)乾留炭に塩素化処理を施し粉砕した後、
トルエンを用いて550℃で25分間予備細孔調整処理
を行った。つぎに窒素ガス気流下で1000℃の温度に
加熱(高温脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)を行
った。これに細孔調整処理を施した後、前記の方法で電
池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定した。
結果は、A=816mAh/g、B=720mAh/g
であった。放電効率K=88.2%、容量ロス=96m
Ah/gであった。
【0067】(実施例3;塩素化、予備細孔調整(ベン
ゼン550℃×50分)、高温脱塩素、水蒸気脱塩素、
塩素化後粉砕)乾留炭に塩素化処理を施し粉砕した後、
ベンゼンを用いて550℃で50分間予備細孔調整処理
を行った。つぎに窒素ガス気流下で1000℃の温度に
加熱(高温脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)を行
った。これに細孔調整処理を施した後、前記の方法で電
池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定した。
結果は、A=819mAh/g、B=721mAh/g
であった。放電効率K=88.0%、容量ロス=98m
Ah/gであった。
【0068】(実施例4;塩素化、予備細孔調整(トル
エン550℃×25分)、水蒸気脱塩素、高温脱塩素、
脱塩素後粉砕)乾留炭に塩素化処理を施した後、トルエ
ンを用いて550℃で25分間予備細孔調整処理を行っ
た。つぎに窒素ガス気流下で1000℃の温度に加熱
(高温脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む窒素ガス気
流下で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)を行っ
た。これを粉砕して細孔調整処理を施した後、前記の方
法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定
した。結果は、A=812mAh/g、B=700mA
h/gであった。放電効率K=86.2%、容量ロス=
112mAh/gであった。
【0069】(実施例5;塩素化、予備細孔調整(トル
エン400℃×120分)、水蒸気脱塩素、高温脱塩
素、脱塩素化後粉砕)乾留炭に塩素化処理を施した後、
トルエンを用いて400℃で120分間予備細孔調整処
理を行った。つぎに窒素ガス気流下で1000℃の温度
に加熱(高温脱塩素処理)し、さらに水蒸気を含む窒素
ガス気流下で加熱して脱塩素処理(低温脱塩素処理)を
行った。これを粉砕して細孔調整処理を施した後、前記
の方法で電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を
測定した。結果は、A=797mAh/g、B=687
mAh/gであった。放電効率K=86.2%、容量ロ
ス=110mAh/gであった。
【0070】(実施例6;臭素化、予備細孔調整(トル
エン550℃×25分)、水蒸気脱臭素、高温脱臭素、
脱臭素後粉砕)乾留炭に臭素化処理を施した後、トルエ
ンを用いて550℃で25分間予備細孔調整処理を行っ
た。つぎに水蒸気を含む窒素ガス気流下で加熱して脱塩
素処理(低温脱塩素処理)し、さらに窒素ガス気流下で
1000℃の温度に加熱(高温脱塩素処理)を行った。
これを粉砕して細孔調整処理を施した後、前記の方法で
電池用炭素を作製し、評価セルで充放電特性を測定し
た。結果は、A=796mAh/g、B=693mAh
/gであった。放電効率K=87.1%、容量ロス=1
03mAh/gであった。
【0071】比較例1〜4と実施例1〜6の処理条件と
充放電特性の一覧を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】乾留炭に塩素処理を施し予備細孔調整処理
を行った試料(実施例)は、予備細孔調整処理を施さな
い試料(比較例)に比べて、放電容量が大きく、容量ロ
スが小さく、リチウム二次電池用炭素材として良好な性
能を示した。この場合、粉砕後に予備細孔調整する方
が、脱ハロゲン処理後に予備細孔調整するより性能が良
かった。予備細孔調整はトルエンを用いた場合でもベン
ゼンを用いた場合でも予備細孔調整しない場合に比べ、
良い性能であった。また、臭素化処理した試料に対して
も予備細孔調整の効果は認められた。
【0074】実施例1〜6において、対応する比較例に
対する放電容量と効率の向上程度を比較例の値を基準と
したときの倍率として、表2に示す。表2に示す通り、
本発明に係る実施例1〜6では、放電容量と効率がいず
れも向上している。放電容量は最大1.11倍(11%
増)、効率は最大1.05倍(5%増)であった。
【0075】
【表2】
【0076】(リチウム二次電池の作製)上記実施例1
ないし実施例6にしたがって製造された炭素電極を用
い、乾燥した不活性ガス中で組立てて図4に示すような
コイン型のリチウム二次電池を作製した。このリチウム
二次電池は、リチウムイオンを含有する有機溶媒を電解
液として含浸したセパレーター21の両側に、LiCo
2を主成分とする正極22と、実施例1ないし実施例
3において製造された炭素電極からなる負極23とを対
向配置するとともに、これらの周囲を金属製の缶体24
とキャップ25で覆い、かつ缶体24とキャップ25と
の境界部をパッキング26によって絶縁状態で固着した
構成になっている。前記電池の充放電試験により、この
リチウム二次電池の充放電特性を調べた結果、前記評価
セルの場合と同様の性能向上を確認した。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
リチウム二次電池の炭素電極に使用した場合に、放電容
量が大きく、容量ロスが小さく、効率の高い優れたリチ
ウム二次電池用炭素、及びそれを用いて製造された高性
能なリチウム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のリチウム二次電池用炭素の製造方法
を示す工程図。
【図2】 実施例および比較例で用いた評価セルの断面
図。
【図3】 充放電容量を測定する際の典型的な電流電位
変化図。
【図4】 実施例で作製したコイン型リチウム二次電池
の断面図。
【符号の説明】
1……炭素電極、2……リチウム電極、3……セパレー
ター、4……電解液、5……参照電極、21……セパレ
ーター、22……正極、23……負極(炭素電極)、2
4……缶体、25……キャップ、26……パッキング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 渡辺 良紀 東京都港区西新橋1丁目16番7号 日本酸 素株式会社内 (72)発明者 乾 隆 東京都港区西新橋1丁目16番7号 日本酸 素株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾留炭をハロゲンガスに接触させてハロ
    ゲン化乾留炭を得るハロゲン化処理と、該ハロゲン化乾
    留炭を熱分解性炭化水素と接触させて予備細孔調整処理
    炭を得る予備細孔調整処理と、該予備細孔調整処理炭中
    のハロゲンの一部または全部を脱離させて脱ハロゲン処
    理炭を得る脱ハロゲン処理と、該脱ハロゲン処理炭を熱
    分解性炭化水素と接触させる細孔調整処理とを備えたリ
    チウム二次電池用炭素の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ハロゲン化乾留炭が粉末状態である
    ことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用炭
    素の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脱ハロゲン処理炭が粉末状態である
    ことを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池用炭
    素の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記予備細孔調整処理が、不活性ガスで
    希釈した熱分解性炭化水素中、300〜900℃の温度
    で行う加熱処理であることを特徴とする請求項1から3
    のいずれか1項記載のリチウム二次電池用炭素の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記予備細孔調整処理に用いる熱分解性
    炭化水素が、熱分解して炭素を生成する芳香族炭化水
    素、環式炭化水素、飽和鎖式炭化水素、不飽和鎖式炭化
    水素からなる群から選択される少なくとも一種であるこ
    とを特徴とする請求項4記載のリチウム二次電池用炭素
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれか1項記載の製
    造方法により得られたリチウム二次電池用炭素。
  7. 【請求項7】 炭素電極と、リチウム電極と、それら電
    極間に設けられた電解液とを備えたリチウム二次電池に
    おいて、炭素電極が前記請求項6記載のリチウム二次電
    池用炭素からなることを特徴とするリチウム二次電池。
  8. 【請求項8】 炭素電極と、リチウム電極と、それらの
    電極間に設けられた電解液とを備えたリチウム二次電池
    の製造方法において、該炭素電極として請求項6記載の
    リチウム二次電池用炭素を用いて乾燥した不活性ガス中
    でリチウム二次電池を組み立てる組立工程を備えたこと
    を特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
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