JPH11132961A - 構造物用検査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の劣化度合いを容易に抽出でき、作業
の高能率化向上を図ることができる構造物用検査装置を
提供することにある。 【解決手段】 被検査物を複数に分割して撮像する撮像
手段と、前記撮像手段１により撮像された複数画像デー
タに、該画像データの各々に対応する位置情報や撮影情
報を画像付加情報として付加された画像データを記憶す
る画像記憶手段５と、前記被検査物の所望の検査位置を
指定することにより、前記画像記憶手段から前記付加情
報に基づいて所望の画像データを選択し、該所望検査位
置及びその周辺の複数の画像データとをつなぎ合わせ画
像として表示する画像選択表示手段２とを備えた構成で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、構造物を検査する
方法及び装置に関するもので、特に時系列画像データに
基づく検査に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】橋梁や建築物などのコンクリート構造物
の検査方法として、例えば、ひび割れ検査がある。従
来、ひび割れ検査の方法は、作業者が現場に行ってひび
割れ部分をスケッチまたは撮影した写真を持ち帰って新
たな検査図面に作成し直し、その図面に基づいてひび割
れの長さ、方向、密度をデータベースシートに記録し、
危険個所の診断を行っていた。また、構造物の劣化の進
行の確認は、作業者が上記方法でその都度作成したデー
タベースシートの数値から確認するか、ひび割れにペン
キ等で印を付けることを行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の方法では、現場の状況をスケッチするため作業者の
手間が掛かるとともに作業者による個人差や誤りが入る
問題がある。また、構造物の劣化の進行は、測定位置の
特定が困難であること、美観上構造物にペンキをつけら
れない等の理由から劣化度合いの時間的変化を簡単に比
較することができないなど検査作業の能率化に問題があ
った。

【０００４】本発明の目的は、構造物の劣化度合いを容
易に抽出でき、作業の高能率化を図ることができる構造
物用検査装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の第１の態様は、
被検査物を複数に分割して撮像する撮像手段と、前記撮
像手段により撮像された複数画像データに、該画像デー
タの各々に対応する位置情報や撮影情報を画像付加情報
として付加された画像データを記憶する画像記憶手段
と、前記被検査物の所望の検査位置を指定することによ
り、前記画像記憶手段から前記付加情報に基づいて所望
の画像データを選択し、該所望検査位置及びその周辺の
複数の画像データとをつなぎ合わせ画像として表示する
画像選択表示手段とを備えている。

【０００６】本発明の第２の態様は、本発明の第１の態
様に付け加え、前記画像選択表示手段では、つなぎ合わ
せ画像の中の所望の検査位置を指定することにより、該
指定検査位置での時系列画像データを前記画像記憶手段
から抽出し、時系列合成画像表示するようになってい
る。本発明の第３の態様は、本発明の第１の態様に付け
加え、前記画像選択表示手段では、つなぎ合わせ画像を
構成する画像の中の各時系列画像データは全て最新画像
表示するようになっている。

【０００７】

【発明の実施の形態】まず、本発明の実施の形態である
構造物用検査装置の構成について説明する。図１は本発
明に実施の形態を示す構造物用検査装置の構成概念図で
ある。撮像手段１は、検査しようとする建築物や橋梁な
どの構造物を撮像するカメラ、代表的には構造物をデジ
タル的に記録するデジタルカメラが用いられる。その
際、被検査物としての構造物の複数の画像データに対応
し、その１枚１枚に撮影位置情報、撮影日、撮影条件な
どの付加情報が記録される。この付加情報の入力は撮像
時に入力しても撮影後入力してもかまわない。次に、付
加情報が付加された画像データは、直接次の画像選択表
示手段２を構成している画像選択手段３に送られる。画
像選択手段３は、撮像された画像を作業者が選択的に入
力及び出力するものである。この画像選択手段２におい
ては、画像入力時に記憶すべき画像の抽出処理を行うと
ともに複数の画像データの各々に対応した作業者のコメ
ントなどの付加情報を各画像データにさらに付加するこ
とができる。

【０００８】画像選択手段３により選択された画像デー
タは画像記憶手段（画像データベース）５に送られ、記
憶される。作業者が必要とする画像データは、検査すべ
き項目に応じて画像選択表示手段２を操作することによ
り画像データベースより画像を抽出し、表示する。次に
本発明の構造物用検査装置の動作について、図１に基づ
いて手順を追って説明する。 （手順１）構造物の撮影 まず、撮像手段１、具体的にはデジタルカメラで被検査
物としての構造物を状況を細部まで記録するため、複数
に分割して撮影される。図２は、撮像手段により得られ
た各検査位置での複数の画像データである。大型の構造
物は画像表示する際、複数の画像を用いて全体をカバー
するようにお互いの画像に重なりを持たせて表示する必
要があるため、分割撮影には抜けが無いように撮影しな
ければならない。複数の各々の画像には美観上問題とな
らないように規則的なベンチマーク等の特徴点を複数写
し込んでおき、その位置、撮影倍率が特定できるように
するため、それぞれの画像に合わせ、必要に応じて撮影
年月日、撮影対象物、撮影部位、点検者のコメント等の
付加情報を記録しておく必要がある。 （手順２）画像データベースの作成 画像選択手段３にて処理された画像データは、画像デー
タベース５に送られるが、その詳細な作成手順について
説明する。

【０００９】（１）撮影した画像の構造物上での位置関
係を明確にするため、位置座標データなどの位置情報、
画像番号等のデータを付け加える。 （２）作業者は、撮影された画像の中から構造物の検査
項目、例えばひび割れ等の情報を引き出し、その形状
（座標）、幅等の情報を抽出して、データとして付け加
える。検査項目に必要な数値データの一例として、ひび
割れ検査項目の場合の亀裂の幅や長さ測定について具体
的に説明する。

【００１０】まず、デジタルカメラにより亀裂の幅を測
定するためには、撮影領域内でその測定精度に対応する
画素が少なくとも１画素以上、通常は数画素必要であ
る。その際、その撮影可能面積を各カメラのもつ性能
（撮影素子数）から算出することができる。また、亀裂
の長さ測定は、端部から端部の直線距離は非常に簡単に
測定できるが、蛇行しているひび割れの実長さは、作業
者が手を加えればより確実に測定できる。また、幅、長
さともに測定に必要な情報として画像の縮尺があげられ
る。定期的なひび割れの進行を測定する場合、ベンチマ
ークや既知寸法線を撮影個所に予め設置しておくことに
より、作業が簡略化できる。また、作業者がその中で注
目したい場所を指定すると、その場所の画像データをデ
ータベースから引き出し、指定した場所の拡大表示をし
て詳細な情報を含む画像を表示する。さらに、劣化の発
生位置、画像として記録されている周辺状況、及び画像
から得られる数値データ（ひび割れの幅、長さ、方向、
密度等）に基づいて、劣化発生原因を推定することがで
きる。

【００１１】（３）撮影された複数の画像の中からデー
タ圧縮（データを間引く）して情報量を減らした上で、
上記位置座標データをもとに画像データをつなぎ合わ
せ、構造物全体を１枚、または検査すべき位置周辺の必
要最小限の数の画像にて表現（表示、プリント）できる
ようにする。複数の画像データをつなぎ合わせる時は、
画像処理、または作業者の指示によって、細部の調整を
行われる。 （手順３）データベースの更新 構造物の特定位置での時系列的な劣化を記録するため、
構造物を同一位置で時間をおいて撮影した画像データを
新たな画像データとして付け加えることができる。この
場合は、その都度全体の画像を撮影しても良いし、劣化
の発生等の注目箇所のみを撮影してもよい。またデータ
ベースから撮影した画像データを抽出し、画像データに
付加情報を付け加えることができる。 （手順４）情報の画像表示 図３は構造物の検査位置周辺の画像データをつなぎ合わ
せ画像を表示した一例である。画像データベースに記憶
された画像データから画像選択手段２にて選択処理され
たつなぎ合わせ画像は、ＣＲＴや液晶ディスプレイなど
の画像表示手段４に表示される。その際、作業者が指定
検査位置の画像データだけでなくその検査位置の周辺画
像データも含めたつなぎ合わせた画像（細部のデータは
間引かれている）を表示する。

【００１２】ここでは、画像選択表示手段の動作として
つなぎ合わせ画像の作成について説明する。従来、構造
物の局所的な画像を撮影する場合に、その画像の正確な
位置関係が不明となることがあるが、本発明のようにデ
ジタルカメラを用いることは非常に有効である。構造物
の臨時点検を行う場合、分割して撮影された複数の画像
データを１つの画像としてつなぎ合わせすることで構造
物全体の劣化を詳細に記録できる。また、定期点検を行
う場合には、毎回画像つなぎ合わせ作業を行う必要がな
い。予め作成してある全画像データに対し、劣化してい
る個所の画像データを撮影し、各画像データ毎に劣化の
発生位置、撮影年月日、劣化規模、作業者コメントなど
の情報を入力し、画像データとしてデータベースに記憶
しておくことができる。そのため、全体の構造物の所望
な個所の画像データを画像選択処理手段を介して容易に
抽出し、画像表示することができるため、作業者は劣化
の進行度合いを即座に把握ができる。

【００１３】画面表示する他の方法として、必要に応じ
て構造物の特徴点を抽出する方法がある。例えば輪郭を
抽出しておき、この輪郭とひび割れ等の必要な検査に必
要な付加情報を表示することができる。 （手順５）履歴情報の表示 構造物の検査履歴を見たい時、画像位置を指定した場合
は、指定した個所の周辺画像も含めて、その時点の最新
の画像を画像データベース５より抽出し、つなぎ合わせ
画像として表示する。構造物の場所において撮影時期が
異なる場合、または同一位置に撮影時期の異なる複数の
画像データが存在する場合、すなわち時系列画像データ
が存在するときには、それぞれの位置に対して最新の画
像データを抽出し表示するようにする。また、ひび割れ
等検査項目の診断に必要な情報の履歴を注目して表示す
る。

【００１４】構造物全体及び指定検査位置の画像及び指
定した検査位置周辺位置の画像データを画像データベー
スより抽出して、ひび割れの進行度合いの状況を、同一
位置での時系列画像データを合成することにより表示す
る。図４は、同一検査位置での時系列画像データを合成
を説明する図である。図４の図中に検査したい項目、亀
裂データの進行状況を時系列的にＡ，Ｂ，Ｃと表示して
ある。このように検査したい個所のみを特徴立てて表示
することにより、作業者は構造物の検査が容易に的確に
判断することができる。

【００１５】このように、単に時期的に異なる複数画像
を同一画面に並べて時系列表示するだけでなく、また単
にひび割れ部を特徴抽出するのみだけでなく、時系列的
にひび割れの進行度合いのみを色、線種等を変え、特徴
点として表示したり、ひび割れの時間的変化をアニメー
ション表示など動的表示をするなどすることにより、作
業者が構造物の劣化の進行を的確に把握できるととも
に、作業が容易にできるようになる。

【００１６】このように、構造物の劣化度合いの画像デ
ータは、時系列的な画像データであるため劣化度合いと
時間との関係で表される。そのため本願発明の実施の形
態のように亀裂色表示、亀裂進展の動的表示などの表示
方法は、検査作業の能率化につながり、作業者の負担が
大幅に軽減できる。

【００１７】

【発明の効果】以上、本発明の実施の形態によれば、人
間の個人差、誤りが生じることがなく正確で迅速な作業
を行うことができる。また、従来構造物の劣化進行度合
いの比較検査が容易にできるようになり、構造物検査作
業の効率化が図れるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１の実施の形態の検査装置の構成
概念図。

【図２】 本発明の撮像手段より得られた複数の画像デ
ータを説明する図。

【図３】 本発明のつなぎ合わせ画像データを説明する
図。

【図４】 本発明の検査位置での時系列画像データ及び
その合成画像データを説明する図。

【符号の説明】

１ 撮像手段 ２ 画像選択表示手段 ３ 画像選択手段 ４ 画像表示手段 ５ 画像記憶手段（画像データベース） ６ 画像付加情報の一例

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新井 淳一 東京都新宿区住吉町１番20号 リテックエ ンジニアリング株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被検査物を複数に分割して撮像する撮像
   手段と、前記撮像手段により撮像された複数画像データ
   に、該画像データの各々に対応する位置情報や撮影情報
   を画像付加情報として付加された画像データを記憶する
   画像記憶手段と、前記被検査物の所望の検査位置を指定
   することにより、前記画像記憶手段から前記付加情報に
   基づいて所望の画像データを選択し、該所望検査位置及
   びその周辺の複数の画像データとをつなぎ合わせ画像と
   して表示する画像選択表示手段とを備えたことを特徴と
   する構造物用検査装置。
2. 【請求項２】 前記画像選択表示手段では、つなぎ合わ
   せ画像の中の所望の検査位置を指定することにより、該
   指定検査位置での時系列画像データを前記画像記憶手段
   から抽出し、時系列合成画像表示することを特徴とする
   請求項１記載の構造物用検査装置。
3. 【請求項３】 前記画像選択表示手段では、つなぎ合わ
   せ画像を構成する画像の中の各時系列画像データは全て
   最新画像を表示することを特徴とする請求項１記載の構
   造物用検査装置。