JPH11126604A - 密閉形鉛蓄電池およびその製造方法 - Google Patents
密閉形鉛蓄電池およびその製造方法Info
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Abstract
鉛蓄電池の寿命性能の向上と安定化を図る。 【解決手段】 正極格子にPb−Ca系合金を用い、正
極活物質にアンチモンを添加して正極活物質重量当たり
0.005%以上1.0%以下存在させた密閉形鉛蓄電
池であって、正極活物質の密度が化成後の状態で3.7
5g/cc以上である密閉形鉛蓄電池。
Description
a系合金を用いた密閉形鉛蓄電池の寿命性能の向上に関
するもので、特に正極活物質へのアンチモン又はその化
合物の添加により正極活物質の劣化を防いで密閉形鉛蓄
電池の寿命性能の向上と安定化を図ることを目的とする
ものである。
れている、微細ガラスマットセパレータを正、負極板に
当接したリテーナ式電池と、古くからヨーロッパを中心
に用いられている、電解液をコロイダルシリカでゲル化
したゲル式電池と、近年開発が進められている、顆粒状
のシリカを極板間および極板群の周囲に充填し、そのシ
リカに電解液を含浸させたた顆粒シリカ式電池とがあ
る。
合金格子を用いており、そのためサイクル寿命が、従来
の正極にSb合金格子を用いた液式電池のそれに比べる
と、かなり短いことが知られている。この原因の一つは
正極活物質の劣化(軟化)である。
に微量のアンチモンを添加するという技術がある。以下
にその例を示す。
物質にSb2 O3 を0.05%以下添加。
0.05%〜0.5%含んだ鉛合金から作製した鉛粉を
使用した正極板。
をSb2 O3 溶液に浸漬または正極板にSb2 O3 を吹
き付ける。
ウム格子を用いた電池の正極活物質にSb2 O3 を添
加。
格子を用いた電池の正極活物質にSb2 O3 を添加。
の正極活物質に0.05〜0.5%のアンチモン粉末と
シリカ粉末とを添加。
%〜1%のアンチモン又はアンチモン酸化物を添加。
るものの、実際に上記アンチモン又はアンチモン酸化物
を添加すると、性能向上する場合もあれば、かえって寿
命性能が悪くなる場合もあった。この原因を調査したと
ころ、早期に容量低下した電池ではアンチモンが負極板
に析出して充電効率が低下し硫酸鉛が多く蓄積してい
た。また調査結果を統計的に検討したところ、この現象
は活物質の密度の低い正極板に多く見られた。種々の試
験を行ったところ、アンチモンだけでなく同時に砒素を
添加すると負極板に影響のでない比較的少ないアンチモ
ン添加量で、さらに寿命性能アップを達成することがで
きた。また、単にアンチモンをペーストに添加するだけ
でなく、活物質中のアンチモンの分散状態の良否がキー
ポイントであることがわかった。さらに、この現象は現
在鉛電池の化成方式として一般的な電槽化成方式(電槽
の中に極板群を入れた状態で極板化成を行う方式)を用
いた場合に多いこと、注液後化成に入るまでの放置時間
が長い場合に起こることがわかった。この電槽化成方式
は電池のコスト削減のためにはなくてはならない方式で
あり、この方式を前提にした改良が不可欠である。
は、正極格子にPb−Ca系合金を用い、正極活物質に
アンチモンを添加して正極活物質重量当たり0.005
%以上1.0%以下存在させた密閉形鉛蓄電池であっ
て、正極活物質の密度が化成後の状態で3.75g/c
c以上であることを特徴とする。また、正極活物質にア
ンチモンとともに砒素を0.005〜0.1%同時に添
加したこと、Pb−Sb−As合金から作製した鉛粉を
正極活物質原料に用いることを特徴とする。さらに、製
造方法として、硫酸アンチモン、3酸化アンチモンある
いは金属アンチモンを、あらかじめ希硫酸あるいは水の
中で超音波を付与して細かく粉砕、分散させ、ペースト
練膏中正極ペーストに添加すること、超音波の周波数が
1kHz〜100kHzであること、電解液注液後、電
槽化成開始までの時間を2時間以内にしたことを特徴と
する。
池およびその製造方法の実施の形態について述べる。
形鉛蓄電池の正極活物質中にアンチモンを一定量存在す
るように添加するとともに、この正極活物質の密度が化
成後の状態で3.75g/cc以上になるようにする。
この時、正極活物質中にアンチモンとともに砒素を一定
量存在するように添加する。
金から作製した鉛粉を用いても、従来の純鉛で作製した
鉛粉を用いてペースト練膏時にSb、Asを添加しても
その効果は同等であった。また、その時用いるSb,A
sは金属でもよいし、酸化物あるいは硫酸化物等の化合
物でもよい。また鉛粉はボールミルで作製しても、所定
の鉛合金を溶融状態にして鉛粉を作成する、いわゆるバ
ルトン方式で作製してもよい。
が均一に分散して存在するように製造する。このための
添加方法は、あらかじめ希硫酸あるいは水の中で1kH
z〜100kHzの超音波を付与して細かく粉砕、分散
させた硫酸アンチモン、3酸化アンチモンあるいは金属
アンチモンを、ペースト練膏中正極ペーストに添加する
ことにより行う。
式で製作する密閉形鉛蓄電池で、注液後電槽化成開始ま
での時間を2 時間以内に、最適には30分以内にして製造
する。
1.40の希硫酸中に硫酸アンチモンを入れた硫酸アン
チモン溶液を、活物質重量当り0.001%、0.00
5%、0.01%、0.05%、0.1%、1%、3%
添加したペーストをPb−0.1%Ca−1.5%Sn
合金からなる格子に充填し2.4mm厚さの正極板を製
作した。なお、これは活物質密度の異なる5種類のペー
スト(化成後の活物質密度:3.4、3.75、4.
0、4.5、5.0g/cc)に上記7種類の量のアン
チモンを添加して、計35種類の正極板を製作した。
スト式負極板11枚と微細ガラスマットセパレータとか
ら、約63Ah(3hR)−12Vのリテーナ式密閉電
池を通常の製法にならって製作した。
来の標準極板を用いた電池も併せて製作した。これらの
電池は常法に従って所定の注液を行なった後、電槽化成
を実施し、電池を完成させた。まず、1/3CA放電初
期容量を測定した後、寿命試験を行った。寿命試験は4
0℃で、1/3CA電流で定格の80%を放電した後、
定電圧−定電流方式で充電するという一般的な条件で行
った。
たが、Sb添加量による差はなかった。寿命性能はその
結果を図1に示すが、Sb添加量が0.005〜1%の
場合、特に正極活物質密度が3.75g/cc以上の場
合に著しい向上が見られた。電槽化成後に同一構成の別
電池の解体を行って、負極板に析出しているアンチモン
量を分析した。結果を図2に示すが、活物質密度が3.
75g/cc以下の極板を用いた場合は負極板へのアン
チモン析出量が多かった。
が低いと添加したアンチモンが電解液中に溶出し、その
後負極板に析出してかえって寿命性能を低下させること
が分かる。正極活物質であるPbO2 はアンチモンを吸
着する能力があることがわかっているので、添加したア
ンチモンを正極板の中に捕らえておくには、正極板はア
ンチモン添加量に適した活物質密度を有している必要が
ある。
モンを分散、添加したが、ペースト練膏液の一つである
水に添加してもその効果には大差はなかった。また、ア
ンチモンとして硫酸アンチモンを用いたが、アンチモン
金属や3酸化アンチモンを同様に添加して試験しても結
果には大差なかった。
−Sb−As合金を作製し、この合金を用い、ボールミ
ルで鉛粉を作製した。Sb量は正極活物質重量に対し、
0.001%、0.005%、0.01%、0.05
%、0.1%、1%、3%の7種類、砒素量は、0.0
01%、0.005%、0.01%、0.05%、0.
1%、1%の6種類になるようにし、これらを組み合わ
せた合金を作製した。
成後に正極活物質密度が3.75g/ccになるように
作製したペーストをPb−0.1%Ca−1.5%Sn
合金からなる格子に充填し、2.4mm厚さの正極板を
製作する。この正極板10枚と1.7mm厚さのペース
ト式負極板11枚と微細ガラスマットセパレータとか
ら、約63Ah(3hR)−12Vのリテーナ式密閉電
池を通常の製法にならって製作した。
鉛粉や純鉛から作製した鉛粉を適用した正極板を用いた
従来の標準電池も併せて製作した。これらの電池は常法
に従って所定の注液、充電を行なった後、1/3CA電
流で放電し初期容量を測定し、さらに寿命試験を行っ
た。寿命試験は40℃で、1/3CA電流で定格の80
%を放電した後、定電圧−定電流方式で充電するという
一般的な条件で行った。
ず大差はなかった。寿命性能はその結果を図3に示す
が、Sbに加えてAsが添加されていると寿命性能が大
幅に向上した。またそれらの元素量はSbが0.005
〜1%、Asは0.005〜0.1%の時が最も寿命性
能がよかった。
寿命性能が向上していた。
んだ合金から作製した鉛粉を用いたが、従来の純鉛で作
製した鉛粉を用いてペースト練膏時にSb、Asを添加
してもその効果は同等であった。また、その時用いるS
b,Asは金属でもよいし、酸化物あるいは硫酸化物等
の化合物でもよい。
たが、所定の鉛合金を溶融状態にして鉛粉を作成する、
いわゆるバルトン方式で作製した鉛粉を用いても同様の
結果であった。
1.40の希硫酸中に硫酸アンチモンを入れ、200
Hz1kHz10kHz100kHz1MHz
の周波数の超音波で粉砕、分散させた硫酸アンチモン
を、活物質重量当り0.001%、0.005%、0.
01%、0.05%、0.1%、1%、3%添加し化成
後に正極活物質密度が3.75g/ccになるように製
作したペーストをPb−0.1%Ca−1.5%Sn合
金からなる格子に充填し2.4mm厚さの正極板を製作
した。この正極板10枚と1.7mm厚さのペースト式
負極板11枚と微細ガラスマットセパレータとから、約
63Ah(3hR)−12Vのリテーナ式密閉電池を通
常の製法にならって製作した。
来の標準極板を用いた電池も併せて製作した。これらの
電池は常法に従って所定の注液・充電を行ない、以下の
試験に供した。
た後、寿命試験を行った。寿命試験は40℃で、1/3
CA電流で定格の80%を放電した後、定電流で放電量
の110%を充電するという一般的な条件で行った。
方法によらず大差はなかった。寿命性能はその結果を図
4に示すが、超音波で粉砕、分散させた硫酸アンチモン
を0.005〜1%添加した正極板を用いた電池が優れ
ていた。その中でも特に、超音波の周波数が1kHz〜
10kHzの場合が最も効果的であった。
モンを添加して分散させたが、ペースト練膏液の一つで
ある水に添加してもその効果には大差はなかった。ま
た、アンチモンとして硫酸アンチモンを用いたが、アン
チモン金属や3酸化アンチモンを同様に添加して試験し
ても結果には大差なかった。
1.40の希硫酸中に硫酸アンチモンを入れ、約50k
Hzの周波数の超音波を付与し、粉砕・分散させた硫酸
アンチモン溶液を、活物質重量当り0.001%、0.
005%、0.01%、0.05%、0.1%、1%、
3%添加し、化成後に正極活物質密度が3.75g/c
cになるように製作したペーストをPb−0.1%Ca
−1.5%Sn合金からなる格子に充填し2.4mm厚
さの正極板を製作した。この正極板10枚と1.7mm
厚さのペースト式負極板11枚と微細ガラスマットセパ
レータとから、約63Ah(3hR)−12Vのリテー
ナ式密閉電池を通常の製法にならって製作した。
来の標準極板を用いた電池も併せて製作した。これらの
電池は常法に従って所定の注液を行なった後、5分後、
30分後、1時間後、2時間後、5時間後、10時間後
に7Aで64時間の電槽化成を行った。その後、まず3
0℃で1/3CA放電容量を測定した後、寿命試験を行
った。寿命試験は40℃で、1/3CA電流で定格の8
0%を放電した後、定電圧−定電流方式で充電するとい
う一般的な条件で行った。
置時間によって大差はなかった。寿命性能はその結果を
図5に示すが、注液後、電槽化成までの放置時間が短い
ものほど寿命性能が優れていた。特に、アンチモン添加
量が0.005〜1%の場合で、放置時間が2時間以内
の場合に著しい効果が見られた。特に放置時間が30分
以内の場合に最も効果があった。電槽化成終了後、同一
構成の電池を解体して負極板に析出していたアンチモン
量を分析した結果を図6に示すが、寿命試験の結果と同
じく、上記アンチモン量でかつ放置時間が2時間までの
場合にはほとんどアンチモンの析出量は少なかった。本
実験の結果からは、電槽化成終了時に負極板に0.01
%以上のアンチモンが析出していると寿命性能に悪影響
があることがわかった。
出と関係しているかははっきりとはしていないが、アン
チモン はPbO2 には吸着するが、PbSO4 には吸着
しにくいという特性を持っており、注液時には化成前の
極板中のPbOと激しく反応し、通常の充放電では考え
られないほど多量の硫酸鉛が極板中に生成するため、注
液後の放置中にアンチモンの溶出が起こりやすいものと
思われる。
は電解液中で陰イオン錯体として存在するのでアンチモ
ンは正極格子の方向にさらに移動する。その結果、電槽
化成中にはもはやアンチモンの溶出はほとんど起こらな
いと考えられる。
モンを分散、添加したが、ペースト練膏液の一つである
水に添加してもその効果には大差はなかった。また、ア
ンチモンとして硫酸アンチモンを用いたが、アンチモン
金属や3酸化アンチモンを同様に添加して試験しても結
果には大差なかった。
05〜1%のアンチモンを添加するとともに、化成後の
正極活物質密度を3.75g/cc以上にすることによ
り、密閉形鉛蓄電池の寿命性能が著しく改善される。ま
たアンチモンとともに0.005〜0.1%の砒素を添
加することでさらに寿命性能が改善される。また、アン
チモンまたはアンチモン化合物を超音波で液中に粉砕分
散させた後正極活物質に添加したり、あるいは電解液注
液後2時間以内に電槽化成を開始することで、アンチモ
ンまたはアンチモン化合物を活物質中に添加した正極板
を用いる密閉形鉛蓄電池を実用化できる。このような見
地から、本発明の工業的価値はきわめて大きい。
との関係を示す特性図
析出していたアンチモン量との関係を示す特性図
寿命性能との関係を示す特性図
の関係を示す特性図
寿命性能との関係を示す特性図
負極板に析出していたアンチモン量との関係を示す特性
図
Claims (6)
- 【請求項1】 正極格子にPb−Ca系合金を用い、正
極活物質にアンチモンを添加して正極活物質重量当たり
0.005%以上1.0%以下存在させた密閉形鉛蓄電
池であって、該正極活物質の密度が化成後の状態で3.
75g/cc以上であることを特徴とする密閉形鉛蓄電
池。 - 【請求項2】 正極活物質にアンチモンとともに砒素を
0.005〜0.1%同時に添加したことを特徴とする
請求項1に記載の密閉形鉛蓄電池。 - 【請求項3】 Pb−Sb−As合金から作製した鉛粉
を正極活物質原料に用いることを特徴とする請求項2に
記載の密閉形鉛蓄電池。 - 【請求項4】 正極格子にPb−Ca系合金を用い、硫
酸アンチモン、3酸化アンチモンあるいは金属アンチモ
ンを、あらかじめ希硫酸あるいは水の中で超音波を付与
して細かく粉砕、分散させ、ペースト練膏中正極ペース
トに添加することにより、アンチモンを正極活物質重量
当たり0.005%以上1.0%以下存在させ、正極活
物質の密度が化成後の状態で3.75g/cc以上にな
るようにしたことを特徴とする密閉形鉛蓄電池の製造方
法。 - 【請求項5】 超音波の周波数が1kHz〜100kH
zであることを特徴とする請求項4に記載の密閉形鉛蓄
電池の製造方法。 - 【請求項6】 電解液注液後、電槽化成開始までの時間
を2時間以内にしたことを特徴とする請求項4または5
に記載の密閉形鉛蓄電池の製造方法。
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JP30931397A JP4224729B2 (ja) | 1997-10-23 | 1997-10-23 | 密閉形鉛蓄電池およびその製造方法 |
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JPH11126604A true JPH11126604A (ja) | 1999-05-11 |
JP4224729B2 JP4224729B2 (ja) | 2009-02-18 |
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---|---|---|---|---|
JP2006066283A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Furukawa Battery Co Ltd:The | 密閉型鉛蓄電池用正極板および前記正極板を用いた密閉型鉛蓄電池 |
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JP2013140678A (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-18 | Gs Yuasa Corp | 液式鉛蓄電池とこれを用いた電池システム及び液式鉛蓄電池の使用方法 |
JP2021086732A (ja) * | 2019-11-27 | 2021-06-03 | 古河電池株式会社 | 鉛蓄電池用正極板、鉛蓄電池 |
-
1997
- 1997-10-23 JP JP30931397A patent/JP4224729B2/ja not_active Expired - Fee Related
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