JPH1112484A - α−テトラ置換フタロシアニンの製造法 - Google Patents
α−テトラ置換フタロシアニンの製造法Info
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- JPH1112484A JPH1112484A JP20704097A JP20704097A JPH1112484A JP H1112484 A JPH1112484 A JP H1112484A JP 20704097 A JP20704097 A JP 20704097A JP 20704097 A JP20704097 A JP 20704097A JP H1112484 A JPH1112484 A JP H1112484A
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Abstract
に置換基が位置する有機溶剤溶解性の低い異性体と、有
機溶剤性の高い他の2種類の異性体とを比較的均等に生
成させることのできる方法の提供。 【解決手段】 式(2)で表される3−置換フタロニト
リルを脂肪族アルコール中、1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]−7−ウンデセンの存在下にアンモニ
ア、尿素、カルバミン酸アンモニウム、ホルムアミド及
びカルバミン酸エチルから選ばれる化合物と反応させた
後、引き続き三塩化バナジウムと反応させることを特徴
とする、式(1)で表されるα−テトラ置換フタロシア
ニンの製造法。置換基Xは1,1,1,3,3,3,−
ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロポキシ基を意
味する。
Description
ラーフィルター用色素、光電変換素子、電子写真感光
体、有機半導体素子、触媒及びガスセンサー、カラーフ
ィルターに利用可能な式(1)で表されるα−テトラ置
換フタロシアニンの製造法に関するものである。
〜16の数字は炭素原子の位置番号を示す。フタロシア
ニン骨格に結合する置換基Xは式(3)で表される1,
1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−フェニル
−2−プロポキシ基を意味し、1又は4のいずれか、5
又は8のいずれか、9又は12のいずれか、13又は1
6のいずれかの位置の炭素原子にそれぞれ結合している
ものとする。
しては特開平5−17700号公報にみられる様に3−
置換フタロニトリルを直接環化する方法と、特開平5−
25177号公報にみられる様に3−置換フタロニリル
から一旦ジイミノイソインドリンを得、このジイミノイ
ソインドリンを環化する方法とが知られている。α−テ
トラ置換フタロシアニンにはフタロシアニン骨格の4,
8,12,16位(1,5,9,13位でも同じ)に置
換基が位置する有機溶剤溶解性の低い異性体とこの異性
体以外の比較的有機溶剤溶解性の高い3つの異性体とが
存在し、これらの混合比によって光記録用色素としての
性能が微妙に変化する。これら異性体の生成比は、置換
基及び中心金属が同一のフタロシアニンを製造する場合
であっても製法が上記のいずれの方法であるかによって
相当に異なっている。しかし、いずれの製法による場合
にも前記した従来のフタロシアニンの場合にはフタロシ
アニン骨格の4,8,12,16位に置換基を有する異
性体が、常に1番目か又は2番目に多く生成している点
で共通している。
フタロシアニンの製法のうち、前者の3−置換フタロニ
トリルを直接環化する方法は、収率、工程数などの点で
後者に優る方法と考えられる。ところが、目的物として
式(1)で表される特定のフタロシアニンを得る為にこ
の方法を採用した際には、使用する三塩化バナジウムの
品質によって目的物中の異性体比が相当に異なり、フタ
ロシアニン骨格の4,8,12,16位に置換基が位置
する有機溶剤溶解性の低い(11)式の異性体が全異性
体の80%以上を占めることが多かった。また、(1
1)式以外の異性体混合物を合計で全異性体の25〜3
0%生成させることができても、その為には条件設定を
相当に厳しくしなければならず、量産化する場合は未だ
再現性の面で不安が残った。更にまた、この様な厳しい
条件設定で(11)式以外の異性体混合物の生成比を高
めようとすると、3−置換フタロニトリルからの粗製フ
タロシアニンの収率が50%台と相当に悪くなるという
不都合もみられた。
(1)で表されるフタロシアニンを高収率で容易に製造
することができ、また、フタロシアニン骨格の4,8,
12,16位に置換基が位置する有機溶剤溶解性の低い
(11)式の異性体以外の異性体を多く、確実に製造す
ることのできる方法を提供せんと研究の結果、既にジイ
ミノイソインドリンを経由する発明に到達し出願済みで
ある。
発明とは、式(2)で表される3−置換フタロニトリル
を脂肪族アルコール中、ナトリウム(又はカリウム)メ
トキシド、ナトリウム(又はカリウム)エトキシド、ナ
トリウム(又はカリウム)ブトキシドなどのアルコキシ
ドの存在下にアンモニア、尿素、カルバミン酸アンモニ
ウム、ホルムアミド及びカルバミン酸エチルから選ばれ
る化合物と反応させて式(4)で表されるジイミノイソ
インドリンを得た後、これを反応系から単離することな
く引き続き三塩化バナジウムと反応させることを特徴と
する、式(1)で表されるα−テトラ置換フタロシアニ
ンの製造法である。
明により、式(11)の異性体以外の異性体が全異性体
中に50〜90%を占めるフタロシアニンを収率よく得
ることが可能となった。本発明は、式(11)の異性体
以外の異性体が全異性体中に占める比率を更に異ならし
め、3種類の異性体を比較的均等に生成させることので
きる方法について検討の結果到達したものであり、3−
置換フタロニトリルを直接環化する前述の方法とジイミ
ノイソインドリンを経由する出願済みの方法との中間に
位置する新規な方法に係るものである。尚、α−テトラ
置換フタロシアニンには理論的に4種類の異性体が考え
られる。しかし、本発明のα−テトラ置換フタロシアニ
ンの場合、いずれの方法によっても4種類の異性体は得
られず、多くても3種類の異性体が得られのみである。
で表される3−置換フタロニトリルを脂肪族アルコール
中、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウン
デセン(以下DBUという)の存在下にアンモニア、尿
素、カルバミン酸アンモニウム、ホルムアミド及びカル
バミン酸エチルから選ばれる化合物と反応させた後、引
き続き三塩化バナジウムと反応させることを特徴とす
る、式(1)で表されるα−テトラ置換フタロシアニン
の製造法に係るものである。
を経由する発明で使用するアルコキシドに代えてDBU
を使用する。アルコキシドを使用する場合、アンモニア
などの量が充分であれば原料の3−置換フタロニトリル
はアンモニアなどとの30〜60℃の反応で完全になく
なっていくことが薄層クロマトグラフィの経時観察でわ
かっている。ところが、DBUを使用する場合、ジイミ
ノイソインドリンも一部生成するが、反応温度や反応時
間を多少変化させても、3−置換フタロニトリルの多く
が消費しきらずに残存する。
点から本発明においては前半の反応で生成したジイミノ
イソインドリンが環化してα−テトラ置換フタロシアニ
ンに至る反応と、前半の反応で消費しきらずに残存した
3−置換フタロニトリルが環化してα−テトラ置換フタ
ロシアニンに至る反応の2種類が後半の反応で生起する
ものと思われる。
ロニトリルとアンモニアとの反応は、3−置換フタロニ
トリルを仕込んだ反応容器中へアンモニアを継続的に導
入しつつおこなっても、反応容器中へ当初にアンモニア
を導入するのみ後は導入せずにおこなってもよい。
アンモニウムを使用して3−置換フタロニトリルと反応
させる場合は、3−置換フタロニトリルに対しその0.
5倍モル程度の尿素又はカルバミン酸アンモニウムを仕
込んで反応させればよい。またアンモニアの変わりにホ
ルムアミド又はカルバミン酸エチルを使用する場合は、
3−置換フタロニトリルに対し同モル程度のホルムアミ
ド又はカルバミン酸エチルを仕込んで反応させればよ
い。この3−置換フタロニトリルとアンモニア、尿素、
カルバミン酸アンモニウム、ホルムアミド及びカルバミ
ン酸エチルから選ばれる化合物との反応は、90℃以下
の低温でおこなえばよい。
素、カルバミン酸アンモニウム、ホルムアミド及びカル
バミン酸エチルから選ばれる化合物との反応とこの反応
に続くジイミノイソインドリン又は/及び3−置換フタ
ロニトリルの環化反応を一浴でおこなうには、先の反応
に使用する脂肪族アルコールとして炭素数5〜8の脂肪
族アルコールを用いることが望ましい。先の反応に炭素
数5〜8の脂肪族アルコールを用いた場合には、後の環
化反応に必要な温度を常圧下に無理なく達成できるから
である。後半のジイミノイソインドリンなどの環化反応
は、90〜150℃、更に望ましくは100〜130℃
でおこなう。この温度が低くなればなるほど反応は進み
難くなる。一方、反応温度が高すぎると、目的とするフ
タロシアニン中、歪の大きい構造の異性体の比率が減少
したり、各種の副生物が増大する危険性が大きくなる。
反応は、出発原料である3−置換フタロニトリルの仕込
モル数のおよそ4分の1モルに相当する三塩化バナジウ
ムを添加して反応させる。この三塩化バナジウムの反応
系への添加に際しては、残存するアンモニアなどによっ
て三塩化バナジウムが消費したり、分解したりすること
のない様に反応系へ事前に窒素を導入するとよい。
成したフタロシアニンを固形粉末として得、光記録媒体
などの用途に利用するに当たっては、反応溶液をメタノ
ールなどで希釈した後、攪拌下に水を滴下して析出する
フタロシアニン色素を濾集し、得られたペーストを常法
により洗浄・乾燥して粗製のフタロシアニンとする。次
いで粗製のフタロシアニンをシリカゲルカラムクロマト
グラフィにかけ、適宜間隔で各種異性体からなるフタロ
シアニンを順次分取し、濃縮・乾燥して精製フタロシア
ニンとする。分取した精製フタロシアニンについては、
それぞれに含まれる異性体の種類や比率を適宜液体クロ
マトグラフィなどで確認し、適宜の分取区分を組み合わ
せて光記録媒体などの用途に供する。
置換フタロニトリルからの粗製フタロシアニンの収率
(粗製収率)は60%台であり、粗製フタロシアニンか
らの精製フタロシアニンの収率(精製収率)は40%台
である。ちなみに、3−置換フタロニトリルを直接環化
して本発明のフタロシアニンを得る場合には、異性体生
成比率を度外視した場合でも粗製フタロシアニンの収率
は70%台止まりであり、前記した様に式(11)の異
性体以外からなる異性体の生成比を25〜30%まで増
大させようとするとその収率は50%台止まりとなる。
しかも、この場合は粗製フタロシアニンからの精製フタ
ロシアニンの精製収率も30%台と低い。一方、ジイミ
ノイソインドリンを経由する出願済みの方法による場
合、(3)式の3−置換フタロニトリルからの粗製フタ
ロシアニンの収率(粗製収率)は80%台におよび、粗
製フタロシアニンからの精製フタロシアニンの収率(精
製収率)は70%台におよぶ。特に前半の反応でホルム
アミドを使用した場合には、粗製フタロシアニンの収率
が80%台におよぶだけでなく、精製フタロシアニンの
収率も90%台におよぶ。また、収率に重点をおいてこ
の出願済みの方法により得たフタロシアニン中には、式
(11)の異性体以外の異性体が合計して50〜90%
含まれており、多くの場合は式(11)の異性体以外の
異性体が70%以上を占める。
明する。 実施例1 1)3−(1’,1’,1’,3’,3’,3’−ヘキ
サフルオロ−2’−フェニル−2’−プロポキシ)フタ
ロニトリルの合成;反応フラスコに1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニル−2−プロパノ
ール29.3g(0.120mol)、3−ニトロフタ
ロニトリル17.3g(0.100mol)、無水炭酸
カリウム55.2g(0.400mol)、及びジメチ
ルスルホキシド100mlを仕込み、窒素気流下70℃
で6時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物を水1
00ml中に排出し、析出物をろ集、水洗、100℃で
乾燥して25.9gの目的物結晶を得た(収率70
%)。この化合物の融点は150〜155℃であり、G
C/MS分析の結果、分子量ピークM+=370が確認
された。
れたフタロニトリル誘導体18.5g(0.0500m
ol)、DBU3.80g(0.0250mol)、ホ
ルムアミド1.12g(0.0250mol)、1−ペ
ンタノール100mlを仕込み、窒素気流下で撹拌しな
がら90℃まで加熱し、この温度で1時間攪拌した。次
いで、三塩化バナジウム2.24g(0.0143mo
l)を投入した。その後、110℃まで加熱し、この温
度で4時間撹拌した。放冷後、反応混合物をメタノール
230ml中に排出し、撹拌下で水115mlを滴下し
て生成物を晶析させた。これをろ集、メタノール/水
(2/1:容量比)300mlで洗浄、100℃で乾燥
して12.62gの粗製色素を得た(粗収率65.26
%)。ここで得られた粗製色素を液体クロマトグラフィ
ーにより分析し(分析条件:カラム;NUCLEOSI
L 300−5C18 96YB−2,キャリア;TH
F/メタノール=10/90)、次の表1のような結果
を得た。
剤に対する溶解度が高い成分である。ピークNo.3
は、有機溶剤に対する溶解度が低い(11)式の異性体
と他の異性体の2種の異性体から成るピークであると推
定される。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トル
エン/ヘキサン=7/3:容量比)により精製して、そ
の異性体比を調査した結果、(11)式の異性体と構造
不明の色素成分に分離することができた。後者は、その
吸収波長、及びLC/MSの結果より、環化反応中に置
換基の一部が分解した成分であると推定されたが、その
生成量は微量であった。
を溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーによ
り精製した結果、精製色素1.17gを得た(精製収率
46.8%)。
した以外は、すべて実施例1と同様にして目的とする粗
製色素を得た。粗収量11.73g(粗収率60.66
%)。ここで得た粗製色素を実施例1と同様に液体クロ
マトグラフィーにより分析し、次の表2のような結果を
得た。
ルエンを溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより精製した結果、精製色素0.95gを得た(精
製収率38.0%)。
した以外は、すべて実施例1と同様にして目的とする粗
製色素を得た。粗収量12.88g(粗収率66.13
0%)。ここで得た粗製色素を実施例1と同様に液体ク
ロマトグラフィーにより分析し、次の表3のような結果
を得た。
ルエンを溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより精製した結果、精製色素1.00gを得た(精
製収率40.0%)。以上の実施例1〜3で得た粗製色
素について物性を調査した結果を表4に示す。
18.5g(0.0500mol)、DBU3.80g
(0.0250mol)、尿素1.50g(0.025
0mol)、1−ペンタノール100mlを仕込み、窒
素気流下で撹拌しながら90℃まで加熱し、この温度で
1時間攪拌した。次いで、三塩化バナジウム2.24g
(0.0143mol)を投入した後、110℃まで加
熱し、この温度で4時間撹拌した。放冷後、反応混合物
をメタノール230ml中に排出し、撹拌下で水115
mlを滴下して生成物を晶析させた。これをろ集、メタ
ノール/水(2/1:容量比)300mlで洗浄、10
0℃で乾燥して13.10gの粗製色素を得た(粗収率
67.74%)。ここで得られた粗製色素を実施例1と
同様に液体クロマトグラフィーにより分析したところ、
ピークNo1、ピークNo2、ピークNo3の濃度は順
に28.8%、25.1%、16.2%であった。
比が比較的均等なα−テトラ置換フタロシアニンを再現
性よく得ることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 式(2)で表される3−置換フタロニト
リルを脂肪族アルコール中、1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]−7−ウンデセンの存在下にアンモニ
ア、尿素、カルバミン酸アンモニウム、ホルムアミド及
びカルバミン酸エチルから選ばれる化合物と反応させた
後、引き続き三塩化バナジウムと反応させることを特徴
とする、式(1)で表されるα−テトラ置換フタロシア
ニンの製造法。以下の式(2)(1)において置換基X
は1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−フ
ェニル−2−プロポキシ基を意味する。また、式(1)
において、フタロシアニン骨格周辺の1〜16の数字は
炭素原子の位置番号を示し、置換基Xは、1又は4のい
ずれか、5又は8のいずれか、9又は12のいずれか、
13又は16のいずれかの位置の炭素原子にそれぞれ結
合しているものとする。 【化1】 【化2】 - 【請求項2】 脂肪族アルコールとして炭素数5〜8の
アルコールを使用し、全ての反応を常圧下、130℃以
下でおこなう請求項1記載のα−テトラ置換フタロシア
ニンの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20704097A JP3780435B2 (ja) | 1997-06-25 | 1997-06-25 | α−テトラ置換フタロシアニンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20704097A JP3780435B2 (ja) | 1997-06-25 | 1997-06-25 | α−テトラ置換フタロシアニンの製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1112484A true JPH1112484A (ja) | 1999-01-19 |
JP3780435B2 JP3780435B2 (ja) | 2006-05-31 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20704097A Expired - Fee Related JP3780435B2 (ja) | 1997-06-25 | 1997-06-25 | α−テトラ置換フタロシアニンの製造法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3780435B2 (ja) |
-
1997
- 1997-06-25 JP JP20704097A patent/JP3780435B2/ja not_active Expired - Fee Related
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