JPH11119145A - ガルバノミラーおよびこれを用いた光ディスク装置 - Google Patents

ガルバノミラーおよびこれを用いた光ディスク装置

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JPH11119145A
JPH11119145A JP28325097A JP28325097A JPH11119145A JP H11119145 A JPH11119145 A JP H11119145A JP 28325097 A JP28325097 A JP 28325097A JP 28325097 A JP28325097 A JP 28325097A JP H11119145 A JPH11119145 A JP H11119145A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来のガルバノミラーは質量が大きく、光学ヘ
ッドの高速シークが阻害されてしまっていた。 【解決手段】本発明のガルバノミラー9 は第1のプレー
ト21,第2のプレート22の2つのプレートが積層された
構造をなしている。第1のプレート21には固定部24、揺
動部25、および2枚の弾性部26a,26b からなり、シリコ
ンを主体とする半導体の異方性エッチングにより一体成
形されている。また第2のプレート22は、例えばガラス
板等の電気的絶縁材料で形成され、第1のプレート21の
固定部24に対して静電接合等の手段で接合されている。
さらに揺動部25は、一方にミラー面31が、他方に絶縁膜
32が形成されており、ミラー面31は金属膜や誘電体多層
膜等、絶縁層32は酸化シリコンからなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光を所定の
方向に反射するためのガルバノミラー、およびこのガル
バノミラーを搭載し、対物レンズへの入射光の向きを変
化させながら光ディスクへの情報の記録再生を行う光デ
ィスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のとおり、コンパクトディスク(C
D)やレーザディスク(LD)に代表されるように、レ
ーザ光を用いて情報の再生を行う光ディスク装置が広く
普及している。また最近では、光ディスク装置はコンピ
ュータの記憶装置として利用されるようになっている。
【0003】また、併せてデータの高速記録再生が可能
となるように、光学系を搭載する光学ヘッドの高速移動
が要求されるようになった。このような光学ヘッドの高
速移動の要求に対し、光学ヘッドの質量をできるだけ小
さくして素早いシークを実現する方式が提案されてい
る。このような方式として、半導体レーザ(光源)やフ
ォトディテクタ(検出器)などを光学ヘッドに搭載せ
ず、光ディスクに焦点を形成する対物レンズのみを光学
ヘッドに搭載して移動させる分離光学方式が採用されて
いる。
【0004】以下、分離光学方式の一例を図9を参照し
て説明する。半導体レーザ111 やフォトディテクタ112
などの固定光学系113 は、図示しないベースなどに固定
されている。半導体レーザ111 から照射されたレーザ光
L は、同じく固定配置されたガルバノミラー114 を介し
て光学ヘッド115 内に搭載された対物レンズ116 に与え
られている。対物レンズ116 は光ディスクD 上のピット
に焦点を形成し、その反射光を再び逆の経路でフォトデ
ィテクタ112 に導く。光学ヘッド115 は図示しない駆動
手段によってトラッキング方向Xおよびフォーカシング
方向Yにそれぞれ駆動される。
【0005】このような方式によれば、光学ヘッド115
をトラッキング方向Xへ駆動する際に発生する微小な光
路の傾き(対物レンズ116 へのレーザ光の入射角度の変
化)を、固定配置されたガルバノミラー114 の揺動角度
の制御によって補正することができる。そのため対物レ
ンズ116 自体を傾ける手段などを光学ヘッド115 に搭載
する必要がなくなり、光学ヘッド115 全体の質量を低減
することができ、素早いシークを実現している。
【0006】このようにして利用される従来のガルバノ
ミラー114 は、具体的には図10乃至図12に示す構造とな
っている。ここで、図10はガルバノミラー114 の平面
図、図11は図10中のA−A線断面図、図12は図10中のB
−B線断面図である。
【0007】ガルバノミラー114 は、レーザ光を反射す
るための反射ミラー117 と、この反射ミラー117 を固定
した揺動体118 と、この揺動体118 を固定部119 に対し
て支持する2枚の支持体120a,120b とを備えている。固
定部119 は、ヨーク121 と磁石122 とから構成されてお
り、揺動体118 の側面に固定されたコイル123 に対して
磁界を作用させることにより、反射ミラー117 を支持体
120a,120b の軸回りに揺動させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガルバ
ノミラー114 の反射ミラー117 表面は、温度変化や経年
変化によって徐々に傾いてしまう危険性がある。このよ
うな傾きが発生すると、ガルバノミラー114 からの反射
光を正確に対物レンズ116 へ導くことが困難となってし
まうため、トラッキングオフセットの要因となり、正確
なトラッキング動作を阻害してしまう危険性がある。ま
た、この傾きの影響は、ガルバノミラー114 から対物レ
ンズ116 までの距離に応じて変化するため、ガルバノミ
ラー114 の揺動角度の補正を光学ヘッド115 の現在位置
によってさらに補正するといった複雑な制御が必要とな
ってしまう。
【0009】したがって、ガルバノミラー114 のみ光学
ヘッド115 に搭載し、ガルバノミラー114 と対物レンズ
116 との距離を一定に保った状態の固定光学方式が望ま
れている。
【0010】ところが、上述のとおり、従来のガルバノ
ミラー114 はヨーク121 ,磁石122,コイル123 などを
備えているため質量が大きく、光学ヘッド115 に搭載す
ると光学ヘッド115 の高速シークが阻害されてしまい実
質的には不可能であった。そこで本発明は、軽量・小形
な構成のガルバノミラー、および高速シークが可能な光
ディスク装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明では、反射ミラーを備えた揺動体と、一端が
前記揺動体に接続され、前記揺動体を揺動可能に吊設支
持する一対の支持部材と、前記支持部材の他端が接続さ
れるとともに前記揺動体と対向配置される固定部と、前
記揺動体を静電力で駆動するための電極と、を有するガ
ルバノミラーにおいて、前記揺動体の前記反射ミラーが
形成された面の反対面に、前記揺動体の熱膨張率に対す
る前記反射ミラーの熱膨張率の大小関係と同じ関係とな
るような熱膨張率の絶縁膜が設けられたガルバノミラー
とした。
【0012】また、レーザ光を発生する光源と、前記光
源からのレーザ光を反射するガルバノミラーと、前記ガ
ルバノミラーにより反射したレーザ光を受け、光ディス
クに焦点を形成する対物レンズと、前記ガルバノミラー
および前記対物レンズを搭載するキャリッジと、前記キ
ャリッジを前記光ディスクの径方向に駆動する駆動手段
と、前記光ディスクからの反射光を処理して前記駆動手
段への駆動信号および前記光ディスクからの再生信号を
生成する信号処理手段とを有する光ディスク装置におい
て、前記ガルバノミラーは、反射ミラーを備えた揺動体
と、一端が前記揺動体に接続され、前記揺動体を揺動可
能に吊設支持する一対の支持部材と、前記支持部材の他
端が接続されるとともに前記揺動体と対向配置される固
定部と、前記揺動体を静電力で駆動するための電極とを
有し、前記揺動体の前記反射ミラーが形成された面の反
対面に、前記揺動体の熱膨張率に対する前記反射ミラー
の熱膨張率の大小関係と同じ関係となるような熱膨張率
の絶縁膜が設けられている光ディスク装置とした。
【0013】以上のような本発明によれば、ヨーク,磁
石,コイルなど質量の大きい要素を含むことなく、軽量
・小形な構成のガルバノミラー、および高速シークが可
能な光ディスク装置が実現する。
【0014】また、揺動体を挟んで反射ミラーと反対面
に絶縁膜が形成され、反射ミラーと絶縁膜の熱膨張率が
揺動体の熱膨張率よりも大きいか、あるいは反射ミラー
と絶縁膜の熱膨張率が揺動体の熱膨張率よりも小さいか
のいずれかに設定されている。したがって、揺動体に反
射ミラーを形成する場合にミラー面に反りが生じてしま
うようなことがあっても、絶縁膜がこの反りを相殺する
ように熱変形するため、ミラー面の平面度を一定に保つ
ことができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を説明する。まず、図1から図4を用いて本発明の
ガルバノミラーを搭載した光ディスク装置について説明
する。ここで、図1は光ディスク装置の内部構造を示す
断面図、図2は光学ヘッドを含む駆動系の平面図、図3
は光学ヘッドの断面図、図4は光学ユニットの断面図で
ある。
【0016】情報の記録再生に供されるディスク1 (光
ディスク,光磁気ディスクなど)は、図示しないベース
に固定されたスピンドルモータ2 に対してマグネットチ
ャック等のチャッキング手段により保持されており、記
録再生時にはこのスピンドルモータ2 によって安定に回
転駆動される。
【0017】ディスク1 に照射するためのレーザ光を生
成する半導体レーザ3 は、フォトディテクタ4 とHOE(Ho
logramic Optical Element) 素子5 などと共に光学ユニ
ット6 を構成しており、この光学ユニット6 は光学ヘッ
ド7 の下部に固定されている。なお、光学ユニット6 の
下部には放熱性を高める目的で複数の凹凸が形成されて
いる。
【0018】半導体レーザ3 より発せられたレーザ光
は、ガラス面に形成されたHOE 素子5を通過し、HOE 素
子5 の反対面に固定されたプリズム8 で90゜向きを変
え、ガルバノミラー9 (詳細は後述する)で再び90゜向
きを変え、光学ヘッド7 の上部に配置された対物レンズ
10に導かれる。そして、この対物レンズ10よりディスク
1の記録トラック上にレーザ光を集光させ焦点を形成す
る。
【0019】またディスク1 からの反射光は、対物レン
ズ10に戻り、ガルバノミラー9 ,プリズム8 を経由し、
HOE 素子5 で向きを変えてフォトディテクタ4 に戻され
る。フォトディテクタ4 に取り込まれた反射光から、記
録情報信号,フォーカスオフセット信号,トラックオフ
セット信号等が生成される。そして、フォーカスオフセ
ット信号を用いることにより対物レンズ10のフォーカス
方向の位置ズレが検出され、この位置ズレを補正するよ
うにフォーカスコイル11に電流を流す制御動作を行う。
また、トラックオフセット信号を用いることにより対物
レンズ10のトラック方向の位置ズレが検出され、この位
置ズレを補正するようにリニアモータコイル12とガルバ
ノミラー9 に電圧を加えて制御動作を行う。このように
してディスク1 の記録トラック上に情報が記録され、ま
たディスク1 の記録トラック上から情報が読み取られ
る。
【0020】対物レンズ10は、プラスチックマグネット
で形成された対物レンズホルダ13に保持されている。ま
た平行板バネ14の一端が対物レンズホルダ13に固定さ
れ、平行板バネ14の他端は光学ヘッド7 に固定されるこ
とにより、対物レンズ10はその光軸方向に移動可能に支
持されている。プラスチックマグネットからなる対物レ
ンズホルダ13と、光学ヘッド7 に巻装固定されたフォー
カスコイル11に流れる電流との間に電磁作用が作用し、
対物レンズ10にフォーカス駆動力を発生させる。
【0021】リニアモータコイル12は筒状に形成されて
おり、光学ヘッド7 の両側面に各1個が固定されてい
る。光学ヘッド7 のリニアモータコイル12を挟んで両側
には、計4個の滑り軸受15が形成されており、ディスク
1 の径方向に延設された2本のガイドシャフト16とそれ
ぞれ係合している。これにより光学ヘッド7 はディスク
1 の半径方向に移動できるように支持されている。
【0022】ガイドシャフト16は磁性体で形成されてお
り、磁気回路のヨークとしての役割も果たしている。そ
して、ガイドシャフト16の両端にはコ字形のバックヨー
ク17が固定されている。また磁気ギャップを挟んでリニ
アモータコイル12と対向する位置にはラジアル磁石18が
配置され、バックヨーク17に固定されている。これらガ
イドシャフト16,バックヨーク17,ラジアル磁石18がラ
ジアル磁気回路19を形成しており、リニアモータコイル
12に磁界を作用させ、リニアモータコイル12に流れる電
流との電磁作用により、光学ヘッド7 にディスク1 の半
径方向への駆動力を発生させている。
【0023】続いて図5乃至図8を参照してガルバノミ
ラー9 の具体的な構造を説明する。図5はガルバノミラ
ーの第1実施例を示す斜視図、図6は第1のプレートの
裏面を示す斜視図、図7は第2のプレートの表面を示す
斜視図、図8 は揺動体の断面図である。
【0024】ガルバノミラー9 は図5に示されるよう
に、第1のプレート21,第2のプレート22の2つのプレ
ートが積層された構造をなしている。第1のプレート21
には、図6に示されるように、2本の溝23a,23b が形成
されている。この溝23a,23b によって第1のプレート21
は固定部24、揺動部25、および2枚の弾性部(支持部
材)26a,26b に区分されている。
【0025】固定部24は第1のプレート21の外周部分に
対応して形成されたものであり、第2のプレート22に接
合されることにより第1のプレート21全体を固定保持し
ている。
【0026】揺動部25は、第1のプレート21に包囲され
る関係に形成されており、その表面には半導体レーザ3
からのレーザ光を反射するべくミラー面31が形成されて
いる。ミラー面31は、鏡面加工を施した揺動部25の表面
に蒸着等の方法によって金属膜や誘電体多層膜等の反射
膜を堆積したものである。
【0027】一方、揺動部25のミラー面31が形成された
面とは反対の面には絶縁層32が形成されている。この絶
縁層32としては、揺動部25の熱膨張率に対するミラー面
31の熱膨張率の大小関係と同じ関係となるような熱膨張
率の材料が選択される。例えば、ミラー面31の熱膨張率
が揺動部25の熱膨張率よりも大きな場合には、絶縁層32
の熱膨張率も揺動部25の熱膨張率よりも大きいものとな
るように設定される。ここでは、揺動部25は単結晶シリ
コンからなり、ミラー面31は金属膜や誘電体多層膜等、
絶縁層32は酸化シリコンからなっている。
【0028】なお、絶縁層32はミラー面31の反対面だけ
ではなく、第1 のプレート21の裏面全体にコーティング
されていてもよい。弾性部26a,26b は、その一端が揺動
部25に、他端が固定部24にそれぞれ接続されることによ
り、揺動部25と固定部24とを連結し吊設支持している。
なお、弾性部26a,26b には1ミクロンから20ミクロン程
度の段差39a,39b が形成されており、後述する第2のプ
レート22との間に隙間が形成される。第2 のプレート22
の揺動部25と対向する位置には静電力駆動用の電極27a,
27b が形成され、段差39a,39b は静電力駆動のためのギ
ャップとして利用される。
【0029】ここで、揺動部25(可動部分)の質量の重
心は、ちょうど2枚の弾性部26a,26b を結ぶ線上の中間
付近となるように構成されている。なお、第1 のプレー
ト21には単結晶シリコンが用いられ、水酸化カリウム水
溶液を用いるウェットの異方性エッチングやRIE 等のド
ライエッチング等の方法によって、固定部24、揺動部2
5、2 枚の弾性部26a,26b および段差39a,39b の形状加
工が行われる。また揺動部25の表面のミラー面31は、こ
のエッチング加工を行う前に鏡面加工により仕上げら
れ、その後、蒸着等の方法によって金属膜や誘電体多層
膜等の反射膜を堆積してなる。
【0030】一方、第2のプレート22は、例えばガラス
板等の電気的絶縁材料で形成されるか、あるいは表面に
電気的絶縁材料(または酸化膜)がコーティングされた
シリコンで形成されており、第1のプレート21の固定部
24に対して静電接合,拡散接合,陽極酸化接合等の手段
で接合されている。また、図7に示されたように、第2
プレート22上の揺動部25と対向する部位には、2枚の弾
性部26a,26b を結ぶ線に対しほぼ平行に延びる櫛歯形状
の電極27a,27b が形成されている。また、電極27a,27b
の櫛歯部位以外の部位、すなわち櫛歯間については、対
応する第2プレート22側に複数の筋状凹部40が刻設され
ている。これら凹部40の深さは、例えば10ミクロンから
200 ミクロンの範囲に設定される。
【0031】また、電極27a,27b はそれぞれ、端子28a,
28b により電気的に接続されている。そして、外部より
端子28a,28b に電圧を印加することにより電極27a,27b
に電圧を印加することができるようになっている。
【0032】一方、ここでは図示していないが、固定部
24の裏面(反射ミラーが形成されていない側の面)と接
触する関係となるように、第2プレート22上に端子29a,
29bが形成されている。これら端子29a,29b はグランド
に接続される。そして、第1のプレート21と第2のプレ
ート22を接合する際には、固定部24と端子29a,29b の一
部とが接触する関係となる。
【0033】しかし、電極27a,27b と端子28a,28b は第
1のプレート21側とは電気的に接続されないように設計
されている。具体的には、電極27a,27b と第1のプレー
ト21には前記段差39a,39b によって1ミクロンから20ミ
クロン程度の隙間が形成され、また端子28a,28b は第1
のプレート21に形成された空間部分に位置決めされるよ
うになっている。
【0034】また、弾性部26a,26b の断面形状は、揺動
部25に形成された反射ミラー面と平行な方向の長さに対
して、反射ミラー面と直交する方向の長さが長く形成さ
れていることを条件としている。
【0035】このような断面形状は、弾性部26a,26b の
長手方向にわたって全体的に一律であってもよいが、少
なくとも弾性部26a,26b の一部にのみ適用されていても
よい。また、断面形状についての具体的なアスペクト比
は、上記条件の範囲内で任意に設定することができる。
【0036】なお、第1プレート21と第2プレート22と
は、ほぼ同じ熱膨張係数を有する材料が選択されている
ことが好ましいが、異なる熱膨張係数を有する材料であ
っても問題ない。
【0037】このように構成されている本実施例のガル
バノミラー9 は、光学ヘッド7 の一部に設けられた端子
とガルバノミラー9 に設けられた端子28a,28b とが半田
などの手段により電気的に接続され、また機械的にも強
固に接続されている。
【0038】続いて、本発明のガルバノミラーの具体的
な駆動方法を説明する。まず、端子28a,28b を介して電
流を流すことにより、半導体で形成された揺動体25を例
えば+に帯電させ、また同様に電極27a を−に、電極27
b を+に帯電させる。すると電極27a が揺動部25を吸引
する力と、電極27b が揺動部25を吸引する力とのバラン
スが崩れ、揺動部25に回転トルクが発生し、2枚の弾性
体26a,26b がねじれ変形することにより揺動体25が図5
中Aで示す方向に回転する。これとは逆に、揺動体25を
+に帯電させ、また電極27a を+に、電極27b を−に帯
電させることにより、2枚の弾性体26a,26b がねじれ変
形を起こし揺動体25が図5中Bで示す方向に回転する。
【0039】なお、上述の例では、揺動体25を+に帯電
させ、第1の電極28および第2の電極29を−に帯電させ
る場合を説明したが、例えば揺動体25を−に帯電させ、
第1の電極28および第2の電極29を+に帯電させても同
様の効果が得られる。さらに、揺動体25をグランドに接
続して電位ゼロの状態に設定した場合には、電極28,29
は共に+に帯電させるか、あるいは共に−に帯電させて
も同様の効果が得られる。
【0040】ここで、揺動体25と電極27a,27b の間の静
電容量を測定することにより、揺動体25と第2のプレー
ト22とのギャップ長を検出することができ、これによっ
て可動体25の回転(揺動)角度を正確に検出することが
できる。そして、その検出値を用いてトラッキングオフ
セットを電気的に補正するすることにより、ガルバノミ
ラー特有の回転角度の制約をほとんどなくすことがで
き、安定かつ精度の高いトラッキング制御を行うことが
できる。
【0041】また、静電容量からギャップ長の変化を測
定することにより、温度上昇や経時変化によるミラー面
の傾きを補正することもできる。このような構成のガル
バノミラー9 によれば、ヨーク,磁石,コイルなど質量
の大きい要素を具備していない。したがって、従来に比
べて大幅な軽量化を図ることが可能となる。そのため、
光学ヘッド7 にガルバノミラー9 を搭載しても光学ヘッ
ド7 は軽量・小型を維持することができ、光学ヘッド7
の高速シークが可能となる。
【0042】また、2枚の弾性部26a,26b を結ぶ直線に
対しほぼ平行に複数の筋状凹部40が延設されている。反
射ミラーの揺動角度を高精度に制御しようとする場合、
揺動部25を高速で揺動駆動する必要があるが、その際に
は揺動部25と第2のプレート22との間の隙間に作用する
空気の粘性抵抗を無視することができなくなる。また、
この粘性抵抗は図7中のC方向に向かって徐々に大きく
なる圧力分布を形成する。したがって、この圧力差によ
り空気の流れもC方向に向かう流れとなる。そのため、
凹部40を設けることにより空気の流れを圧力分布の方向
とほぼ直交する方向に向けることが可能となり、C方向
への圧力分布による悪影響を大幅に緩和することができ
るようになる。そして、揺動部25の揺動運動を最大限に
高めることができるようになる。
【0043】なお、凹部は揺動部25側の裏面に設けても
もちろん良いが、揺動部25を比較的薄く作成する場合に
は凹部形成は困難となってしまう場合もある。そのよう
な場合であっても、第2のプレート22側のみに凹部を設
けるだけでも十分な効果が期待できる。
【0044】また、静電力を利用して駆動力を発生する
構成であるため、消費電力を少なくすることができ、光
学ヘッド7 に搭載される光学ユニット6 や対物レンズ10
などに与える熱的悪影響を極力回避することができる。
【0045】さらに、対物レンズ10を駆動するために用
いられているコイルや磁石といった電磁駆動要素に対し
て、電磁力を全く必要としない静電駆動要素からなるガ
ルバノミラーを用いている。すなわち、電磁力と静電力
とを用いることにより、互いの駆動力が干渉し合うなど
といった不具合をほぼ完全に防止することができる。そ
のため、ガルバノミラー9 を光学ヘッド7 へ搭載するこ
とによる悪影響が排除できるとともに、ガルバノミラー
9 と対物レンズ10とを極めて近接した位置(例えば図1
に示すように対物レンズの真下など)に配置することも
容易となり、装置設計の自由度が大幅に改善される。そ
して、ガルバノミラーを揺動し傾けることによる光軸中
心の対物レンズ位置での移動を抑制することが可能とな
り、結果としてトラッキングおよびフォーカス制御信号
に発生するオフセットを小さくすることができ、スポッ
ト位置をより高精度に定めることが可能となる。
【0046】また、従来はガルバノミラーと揺動体との
接合、およびコイルと揺動体との接合が接着剤などで行
われていたが、本発明では接着剤などの介在物が一切用
いられていない。そのため、コイルや磁石などで発生す
るトルクが接着層を介して伝達されることがなく、振周
波数を極めて高く設定することが可能となる。つまり、
接着部分の剛性不足によってガルバノミラーの駆動周波
数特性が劣化すること(例えば20kHz 付近に共振点を持
ち、高域までサーボをかけることができなくなってしま
うというような不都合)がないため、高周波帯域まで制
御動作を行うことが極めて容易となり、精度の高い位置
決め動作が可能になる。
【0047】また、揺動体25の回転軸と弾性体26a,26b
の長手方向とがほぼ一致しており、しかも揺動部25(可
動部分)の質量の重心がちょうど2枚の弾性部26a,26b
を結ぶ線上の中間付近となるように構成されている。そ
のため、装置に外乱加速度が作用したとしても、揺動体
25の回転動作に影響を及ぼすことがない。
【0048】さらに、端子29a,29b がグランドに接続さ
れているために、揺動部25が静電気を帯びてしまうこと
がない。そのため、浮遊するチリ等の浮遊物が反射ミラ
ーに吸着してしまう危険性が大幅に低下し、ガルバノミ
ラー9 の性能が長期間維持される。
【0049】なお、上述した実施例においては、第2の
プレート22はガラス板等の電気的絶縁材料で形成されて
いるが、例えばシリコンを主体とする半導体の表面に酸
化膜による絶縁層を設けたものを用いてもよい。このよ
うな構成であっても同様な効果が得られる。
【0050】また同様に、2本の溝23c,23d および凹部
40は、ちょうどシリコンの(111)面方向と平行とな
るように加工されている。そのため、細長形状の弾性部
26a,26b および凹部40周辺を加工する際に面が荒れた
り、バリ状のエッチングが残ったりすることがなくな
る。そのため、応力集中や負荷による弾性部26a,26b や
凹部40の破断の危険が少なくなることから、衝撃に強い
製品が得られる。また、弾性部26a,26b や凹部40自体を
さらに微細に加工することが可能となる。
【0051】そして本発明では特に、先に説明したよう
に、揺動部25のミラー面31が形成された面とは反対の面
には絶縁層32が形成されている。また、この絶縁層32
は、揺動部25の熱膨張率に対するミラー面31の熱膨張率
の大小関係と同じ関係となるような熱膨張率の材料が選
択される。
【0052】仮に絶縁層32が存在しない場合を考える
と、揺動部25とミラー面31との熱膨張率の差によってミ
ラー面31に反りが発生してしまう。例えば、ミラー面31
としては誘電体多層膜、具体的には酸化チタンと酸化シ
リコンの積層膜を用いることが知られているが、このよ
うな誘電体多層膜を用いた場合には揺動部25は図8(a)
に示すように凸形状に変形してしまう。これは誘電体多
層膜が揺動部25のシリコンよりも小さな熱膨張率であ
り、これらの膜が温度の高い状態で堆積されるからであ
る。また、ミラー面31としてアルミニウム膜を用いた場
合には逆に凹形状となるが、一般的に表面に保護膜とし
て酸化シリコンがコーティングされるために、最終的に
は同様に凸形状となる。
【0053】そして、ミラー面31が凸形状であると反射
光は広がってしまい、入射光の向きを正確に90°方向に
変えるための機能を持たなくなってしまう。揺動部25全
体が凸形状になるのを防止するためには揺動部25を厚く
する方法があるが、厚みを増すと揺動部25の重量が増加
してしまうために高速駆動が阻害されてしまい、今後ま
すます厳しくなる光ディスクに対する追従性を十分に満
たすことができない。
【0054】一方、本発明では揺動部25のミラー面31と
反対面に酸化シリコンからなる絶縁膜32を形成してい
る。酸化シリコンは、酸化チタンと酸化シリコンからな
る誘電体多層膜(ミラー面31)と同様にシリコン(揺動
部25)よりも小さな熱膨張率を有するため、膜厚を適当
な値に設定するだけで反りを除去することができる。図
8(b) は本発明に係る揺動部25全体を示す断面図である
が、同図に示すように、ミラー面31形成による反りを打
ち消しし反りのない平坦なミラー面31を得ることができ
る。
【0055】なお、本発明は上述した各実施例および変
形例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない
範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。
例えば、揺動部25,ミラー面31,絶縁膜32を構成する材
料は、上記の材料以外のものを用いてももちろんよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、軽
量・小形な構成のガルバノミラー、および高速シークが
可能な光ディスク装置が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ディスク装置の内部構造を示す
断面図。
【図2】光学ヘッドを含む駆動系の平面図。
【図3】光学ヘッドを含む駆動系の平面図。
【図4】光学ユニットの断面図。
【図5】本発明に係るガルバノミラーを示す斜視図。
【図6】第1のプレートの裏面を示す斜視図。
【図7】第2のプレートの表面を示す斜視図。
【図8】揺動部の反りの状態を示す断面図。
【図9】従来の分離光学方式の一例を示す構成図。
【図10】従来のガルバノミラーを示す平面図。
【図11】図10中のA−A線断面図。
【図12】図10中のB−B線断面図。
【符号の説明】
1…ディスク 6…光学ユニット 7…光学ヘッド 9…ガルバノミラー 10…対物レンズ 11…フォーカスコイル 12…リニアモータコイル 13…対物レンズホルダ 14…平行板バネ 15…滑り軸受 16…ガイドシャフト 17…バックヨーク 18…ラジアル磁石 19…ラジアル磁気回 21…第1のプレート 22…第2のプレート 24…固定部 25…揺動部 26a,26b …弾性部(支持手段) 31…ミラー面 32…絶縁層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】反射ミラーを備えた揺動体と、 一端が前記揺動体に接続され、前記揺動体を揺動可能に
    吊設支持する一対の支持部材と、 前記支持部材の他端が接続されるとともに前記揺動体と
    対向配置される固定部と、 前記揺動体を静電力で駆動するための電極と、を有する
    ガルバノミラーにおいて、 前記揺動体の前記反射ミラーが形成された面の反対面
    に、前記揺動体の熱膨張率に対する前記反射ミラーの熱
    膨張率の大小関係と同じ関係となるような熱膨張率の絶
    縁膜が設けられていることを特徴とするガルバノミラ
    ー。
  2. 【請求項2】前記揺動体は、前記反射ミラーおよび絶縁
    膜よりも熱膨張率が大きいことを特徴とする請求項1記
    載のガルバノミラー。
  3. 【請求項3】レーザ光を発生する光源と、 前記光源からのレーザ光を反射するガルバノミラーと、 前記ガルバノミラーにより反射したレーザ光を受け、光
    ディスクに焦点を形成する対物レンズと、 前記ガルバノミラーおよび前記対物レンズを搭載するキ
    ャリッジと、 前記キャリッジを前記光ディスクの径方向に駆動する駆
    動手段と、 前記光ディスクからの反射光を処理して前記駆動手段へ
    の駆動信号および前記光ディスクからの再生信号を生成
    する信号処理手段と、を有する光ディスク装置におい
    て、前記ガルバノミラーは、 反射ミラーを備えた揺動体と、 一端が前記揺動体に接続され、前記揺動体を揺動可能に
    吊設支持する一対の支持部材と、 前記支持部材の他端が接続されるとともに前記揺動体と
    対向配置される固定部と、 前記揺動体を静電力で駆動するための電極とを有し、 前記揺動体の前記反射ミラーが形成された面の反対面
    に、前記揺動体の熱膨張率に対する前記反射ミラーの熱
    膨張率の大小関係と同じ関係となるような熱膨張率の絶
    縁膜が設けられていることを特徴とする光ディスク装
    置。
  4. 【請求項4】前記揺動体は、前記反射ミラーおよび絶縁
    膜よりも熱膨張率が大きいことを特徴とする請求項3記
    載の光ディスク装置。
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