JPH11116854A - 熱硬化性粉体塗料の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料の製造方法

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JPH11116854A
JPH11116854A JP28826397A JP28826397A JPH11116854A JP H11116854 A JPH11116854 A JP H11116854A JP 28826397 A JP28826397 A JP 28826397A JP 28826397 A JP28826397 A JP 28826397A JP H11116854 A JPH11116854 A JP H11116854A
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JP
Japan
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powder coating
producing
thermosetting powder
thermosetting
coating material
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JP28826397A
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Nagamoto Kawamoto
酉元 川本
Naohito Adachi
尚人 安達
Toshio Ogoshi
利雄 大越
Nobushige Numa
伸茂 奴間
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】塗装作業性、塗膜外観に優れた新規な粉体塗料
の製造方法を提供する。 【解決手段】基体樹脂、架橋剤及び有機溶剤を必須とす
る熱硬化性塗料を次の工程、(1)減圧装置付き分散混
合機内で40〜200℃の範囲内の温度で分散混合する
工程、(2)必要により減圧脱溶剤する工程、(3)水
を添加する工程、(4)減圧して熱硬化性塗料の温度を
軟化点以下の温度とし、該分散混合機の分散力で一気に
破砕して粉末状あるいは粒状の固形物を得る工程、
(5)次いで、該粉末状あるいは粒状の固形物を微粉砕
して平均粒径が10ミクロン以下の母体粉体塗料粒子を
得る工程、(6)更に、該母体粉体塗料粒子を粉体塗装
に適した平均粒子径になるように凝集造粒させる工程、
により製造してなることを特徴とする熱硬化性粉体塗料
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する分野】本発明は、新規な熱硬化性粉体塗
料の製造方法に関し、更に詳しくは、減圧装置付き分散
混合機を用いて、基体樹脂に含まれる溶剤の脱溶剤、架
橋剤の分散及び固形物化までを一括で行なった後、さら
に凝集造粒することにより、塗装作業性が良好で高仕上
がり性の塗膜を形成することができかつ塗料の回収、再
利用が可能な熱硬化性粉体塗料の製造方法に関する。本
発明の製造方法による粉体塗料は、特に自動車上塗クリ
ヤーとして適するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来の粉体塗料は、基体樹
脂、架橋剤、添加剤等を粉砕、乾式混合後、加熱溶融混
練機により溶融混和させ、冷却後、このものを粉砕する
ことにより製造してきた。しかし、この方法では基体樹
脂と架橋剤を熱で溶融させて混練りするため、一部樹脂
と架橋剤の反応が進行し、高分子量化する。このため塗
料の溶融粘度が高くなり仕上がり性が低下する。また、
溶融混練機を長時間稼働している間にゲル物が生じ易く
なり、このものが塗膜外観、特に膜厚の薄いクリヤー塗
膜では致命的な欠陥となる。
【0003】また、上記した粉体塗料において、基体樹
脂は、アクリル樹脂などに代表されるように一般的には
溶剤を用いて重合を行ない、重合後、脱溶剤工程を経
て、排出し、冷却、粉砕したものが使用されている。し
かしながら、上記のような基体樹脂の製造法は工程が多
く、また長時間を要すること、反応槽の清掃に手間がか
かること、等の問題点を有している。
【0004】また、粉体塗膜は、塗着した粉体粒子が加
熱により融着、溶融、流動といった熱による工程により
塗膜が形成されるため、塗着した時にすでに塗膜が形成
される有機溶剤型塗膜と異なり塗膜外観が劣る。このた
めに、粉体塗料を自動車上塗り塗料として使用するため
には、現行の有機溶剤型自動車上塗り塗膜と同じ膜厚で
同程度の仕上がり外観が要求されている。
【0005】粉体塗膜の平滑性を改良する方法として、
粉体塗料の粒子径をなるだけ小さくすることが考えられ
ているが、粉体塗料の粒子径を小さくすると静電粉体塗
装による塗着効率が低下する、そのために粉体塗料を回
収するのに手間がかかり、また回収作業の工程が多くな
るほど、粉体粒子径が変化したりゴミなどの異物が入り
塗膜仕上がり外観が悪くなるといった欠点がある。一
方、粉体塗料の粒子径を大きくすると塗着効率は向上す
るが塗膜の平滑性が低下するといった欠点がある。その
ため、良好な塗着効率と塗膜外観を有し、且つ安価な熱
硬化性クリヤー粉体を得られていないのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、減圧装置付き分散混合機を用いて、基体樹
脂に含まれる溶剤の脱溶剤、架橋剤の分散及び固形物化
までを一括で行うことにより短時間で且つ簡便に得られ
る粉体塗料粒子をさらに粉体塗装に適した平均粒子径に
凝集造粒させることにより塗装作業性が良く、仕上がり
性に優れる熱硬化性粉体塗料を製造する方法を提供す
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、減圧装置付き
分散混合機を用いて、基体樹脂に含まれる溶剤の脱溶
剤、架橋剤の分散及び固形物化までを一括で行うことに
より得られた粉体塗料粒子をさらに粉体塗装に適した平
均粒子径に凝集造粒させることにより塗装作業性が良
く、仕上がり性に優れる粉体塗料を製造できることを見
出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明は、基体樹脂、架橋剤及び有
機溶剤を必須とする熱硬化性塗料を下記した工程、
(1)減圧装置付き分散混合機内で40〜200℃の範
囲内の温度で分散混合する工程、(2)必要により減圧
脱溶剤する工程、(3)水を添加する工程、(4)減圧
して熱硬化性塗料の温度を軟化点以下の温度とし、該分
散混合機の分散力で一気に破砕して粉末状あるいは粒状
の固形物を得る工程、(5)次いで、該粉末状あるいは
粒状の固形物を微粉砕して平均粒径が10ミクロン以下
の母体粉体塗料粒子を得る工程、(6)更に、該母体粉
体塗料粒子を粉体塗装に適した平均粒子径になるように
凝集造粒させる工程、により製造してなることを特徴と
する熱硬化性粉体塗料の製造方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の方法には、減圧装置及び
好ましくは、加熱装置を有し、高粘度の物でも効率的に
分散混合することのできる分散混合機を使用する。該装
置としては、例えば、日本アイリッヒ社製アイリッヒミ
キサーR02Vac、 R08Vac等を挙げることが
できる。基体樹脂として、溶剤に溶解した状態で合成さ
れるもの(以下、「ワニス」と呼ぶ)を使用するとき
は、減圧装置付き分散混合機に仕込み、減圧することで
溶剤を留去した後、架橋剤及び必要に応じて添加剤を加
え、分散する。分散は熱のみで溶融して行ってもよい
が、溶剤を併用して溶解分散する法が、分散温度を上げ
たり、またより均一な分散が可能となることから好まし
い。次に、上記の分散物に水を加えて減圧を行うか、あ
るいは減圧状態とした後、水を圧力差を利用して、一気
に分散混合機内に仕込むことにより、水が一気に蒸発
し、その蒸発潜熱により分散物の温度は急激に低下し、
軟化点以下になることで分散混合機の分散力で破砕する
ことが可能となり、粒子径が約1〜20mm程度の粒状
の熱硬化性クリヤー粉体塗料を得ることができる。水が
残存している場合には、減圧乾燥で水を留去した後、粉
砕機などで粉砕することにより得られる平均粒子径が1
0ミクロン以下の母体粉体塗料を得ることができる。
【0010】架橋剤を分散する溶剤は、ワニスの溶剤全
てを減圧留去しないで1部を残存させたものを用いても
良いし、ワニスの溶剤全てを減圧留去した後から加えて
も良い。溶剤の種類は特に限定されないが、固形物化し
た後の残存を極力少なくするために、水と共沸する溶剤
を用いるのが好ましい。該溶剤の具体例としては、例え
ば、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、sec−ブタノール、tert−ブタノール、トル
エン等を挙げることができる。
【0011】基体樹脂及び架橋剤を溶解する溶剤の量
は、水添加時に該基体樹脂及び架橋剤の固形分合計量に
対して80重量%以下、好ましくは50重量%以下の範
囲内で用いることが適当である。基体樹脂及び架橋剤を
溶解する溶剤の量が80重量%を越えると水添加後、減
圧によっても充分に溶剤が留去されず、更に、その後の
減圧乾燥によっても溶剤が充分に除去されずに残存し、
得られる熱硬化性粉体塗料の耐ブロッキング性が悪化す
る結果となる。
【0012】添加する水の量は、該基体樹脂及び架橋剤
の固形分合計量100に対して、重量比が2〜120、
好ましくは5〜80の範囲内で用いることが適当であ
る。添加する水の量が重量比2未満の場合には熱硬化性
粉体塗料を軟化点以下に下げるまでに必要な蒸発潜熱を
得ることができず、破砕不可能となり、一方、添加する
水の量が重量比120を超えると、破砕後に多量の水が
残存するため、長時間減圧乾燥しなければならなくなる
ので、いずれも好ましくない。
【0013】また、熱硬化性粉体塗料の軟化点は、30
〜130℃、好ましくは40〜100℃の範囲内にある
ことが必要である。熱硬化性粉体塗料の軟化点が30℃
を下回ると、水の蒸発潜熱で熱硬化性粉体塗料の温度が
下がっても、破砕に必要な固さが得られないので破砕が
巧くゆかず、融着した塊となってしまう。逆に、軟化点
が130℃を超えると、破砕は可能であるが、熱硬化性
粉体粉体塗料として充分なフロー性が得られないので仕
上がり性の低下を招くため、いずれも好ましくない。
【0014】母体粉体塗料となる熱硬化性粉体塗料を構
成する基体樹脂としては、それ自体加熱により溶融、流
動し、架橋剤又は硬化触媒によって硬化することができ
る官能基を含有する樹脂を使用することができる。具体
的には、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹
脂、エポキシ系樹脂、フッ素樹脂のいずれか及びこれら
の2種以上の併用が好適である。官能基としては、例え
ば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、ブロックさ
れたイソシアネート基等を挙げることができる。その中
でも特にクリヤー塗料として特に求められる耐候性、仕
上がり性を満たすには、官能基としてエポキシ基を含有
するアクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0015】上記基体樹脂は、ガラス転移温度が40〜
100℃、好ましくは50〜80℃の範囲内にあること
が好ましい。ガラス転移温度が40℃を下回ると塗料の
耐ブロッキング性が劣り、一方、100℃を上回ると塗
膜の仕上がり外観(平滑性等)が劣るので好ましくな
い。
【0016】また、ガラス転移温度(Tg、℃)は、以
下のように求める。即ち、示差走査熱量測定装置(DS
C)を用い、試料をサンプルパンに約10mg秤量した
ものを100℃まで加熱し、10分間保持し、その後、
−20℃まで急冷する。その後、10℃/分の速度で昇
温し、ガラス転移温度を求める。
【0017】基体樹脂の数平均分子量は1,000〜1
00,000、好ましくは2,000〜30,000の
範囲内である必要がある。数平均分子量が1,000を
下回ると破砕に必要な固さが得られないので破砕がうま
くいかず、融着した塊となってしまう。逆に、数平均分
子量が100,000を超えると、熱硬化性粉体塗料が
強靭となって破砕されにくくなり、大きな塊となってし
まうので、いずれも好ましくない。
【0018】架橋剤は、基体樹脂中に含まれる官能基と
反応し、硬化塗膜を形成するものであり、具体例として
は、例えば、以下のものを挙げることができる。
【0019】(1)水酸基を含有する基体樹脂に対して
は、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート等を挙げ
ることができる。アミノ樹脂としてはヘキサメトキシメ
ラミン樹脂等、ブロックポリイソシアネートとしてはヘ
キサメチレンジイソシアネート、(水添)キシリレンジ
イソシアネート、(水添)トリレンジイソシアネート等
の脂肪族、脂環式、芳香族ポリイソシアネート化合物を
フェノール類、カプロラクタム類、アルコール類等のブ
ロック剤でブロックしたもの等を挙げることができる。
【0020】(2)カルボキシル基を含有する基体樹脂
に対しては、トリスエポキシプロピルイソシアネート、
(水添)ビスフェノールA、セロキサイド2021(ダ
イセル化学社製)、EHPE−3150(ダイセル化学
社製)等のポリエポキシ化合物を挙げることができる。
【0021】(3)エポキシ基を含有する基体樹脂に対
しては、ドデカン2酸、ピペリン酸、アゼライン酸、イ
タコン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ト
リメリット酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル
酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のポリカルボン酸お
よびその(ポリ)酸無水物を挙げることができる。
【0022】(4)ブロックされたイソシアネート基を
含有する基体樹脂に対しては、トリメチロールプロパ
ン、ネオペンチルグリコール等のポリオール化合物を挙
げることができる。
【0023】本発明においては、必要に応じて硬化触媒
を併用してもよい。具体的には、例えば、水酸基とアミ
ノ樹脂との反応では、パラトルエンスルホン酸、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸等の有機酸、リン酸等の無機酸等
の酸触媒;水酸基とブロックイソシアネート基との反応
では、テトラブチル錫、ジブチルジラウリル錫、テトラ
ブチルジアセチルスタノキサン等の有機錫触媒;カルボ
キシル基とエポキシ基の反応では3フッ化ホウ素等の酸
類、アミン、アルカリ土類金属水酸化物、4級オニウム
塩、4級アンモニウム塩等を挙げることができる。エポ
キシ基含有基体樹脂においては、例えば、ベンジル−4
−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオ
ロネート等の重合触媒を用いることにより、架橋系を使
用しなくても硬化塗膜を得ることができる。
【0024】また、本発明においては、上記した成分以
外に、ワキ防止剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、流動調整
剤、帯電制御剤、充填剤、着色剤等の通常の塗料に配合
されるものを必要に応じて使用することができる。
【0025】本発明において、母体粉体塗料の平均粒子
径は10ミクロン以下、特に1〜10ミクロン、更に1
〜8ミクロンの範囲のものが好適である。平均粒子径が
10ミクロンを越えると造粒された粒子径が大きくなり
塗膜の平滑性が悪くなる。
【0026】本発明において母体及び造粒粉体塗料の平
均粒子径は粒度分布を測定(例えば、マイクロトラッ
ク、FRA粒度分析計、商品名、“日機装株式会社
製”)してその累積頻度が50%になる粒子径を示す。
【0027】本発明において、造粒粉体塗料は母体粉体
塗料粒子同志がお互いに融着し、且つその粒子同志が溶
融混合して粒子径が大きく変形しない温度で加熱しなが
ら混合分散することにより製造できる。造粒の温度条件
は母体粉体塗料の軟化温度、溶融粘度、製造量等により
異なるので、使用する母体粉体塗料に応じて好適な条件
を設定すればよいが、一般的には約40〜80℃、好ま
しくは40℃〜60℃の温度範囲で約1分間〜20時
間、好ましくは約5分間〜10時間の範囲で行うことが
できる。
【0028】造粒粉体塗料は母体粉体塗料粒子が幾つか
集まった凝集体であり、その粒子の形状は母体粒子の形
が大きく変形しないで残っており、且つ塗装タンクから
静電塗装機までの輸送中や静電噴霧中に造粒粉体塗料の
凝集が壊れたりしない程度に融着していることが好まし
い。
【0029】造粒粉体塗料の平均粒子径は粉体塗装に適
した範囲に設定すれば良いが、一般的には10〜50ミ
クロン、特に12〜25ミクロンの範囲が好ましい。上
記した範囲を下回ると静電塗装による塗着効率が悪くな
り、一方、上記した範囲を上回ると平滑性が悪くなる。
【0030】本発明の方法によって得られた熱硬化性粉
体塗料は、被塗物に静電粉体塗装し、焼付け(例えば、
約160℃以上の温度で約30分間)によって硬化塗膜
を形成することができる。該被塗物としては、静電粉体
塗装が可能な素材であれば特に制限なしに従来から公知
のものを使用することができる。該被塗物としては、例
えば、金属類、表面処理が施された金属類、プラスチッ
ク類、これらの素材に塗料が塗装されたもの等が挙げら
れる。
【0031】粉体塗装は、それ自体公知の方法、例え
ば、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装等で行うことが好
ましい。塗装膜厚は、特に制限されないが、約20ミク
ロン〜80ミクロン、好ましくは約20ミクロン〜70
ミクロンの範囲が好適である。
【0032】本発明の造粒粉体塗料は、例えば、自動
車、家電製品、鋼製家具、事務用品、建材等の従来から
粉体塗料が使用されている用途に制限なしに適用できる
が、特に塗膜の平滑性が望まれる自動車の外板や内板に
使用することが好ましい。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法による熱硬化性粉体塗料の
製造方法は、従来の溶融混練法と比較して、短時間且つ
簡便に熱硬化性粉体塗料を製造することが可能であり、
また基体樹脂と架橋剤の分散を従来の溶融混練法により
低温で行っても、得られる熱硬化性粉体塗料をより均一
なものとすることができる。更に、凝集造粒を行うこと
で、塗装作業性が良好で仕上がりが優れるといった顕著
な効果を発揮する。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。なお、以下「部」および「%」はそれぞれ「重
量部」および「重量%」を示す。
【0035】実施例1 グリシジルメタクリレート35%、スチレン15%、メ
チルメタクリレート20%及びn−ブチルアクリレート
30%からなるアクリル系ワニス(数平均分子量5,0
00、樹脂固形分65%トルエン希釈溶液、樹脂軟化点
約80℃)1,539部(固形分1,000部)をアイ
リッヒミキシングリアクターR02Vacに仕込み、8
0℃で減圧状態とし、トルエンを留去した。常圧に戻し
た後、そこにドデカン2酸(平均粒子径15ミクロン)
250部を仕込み、撹拌速度を速め、撹拌熱で温度が1
20℃以上に上昇したところ(約5分間)で水を500
部加え、再び、減圧を行った。これにより系の温度は3
0℃まで一気に低下し、分散機の分散力で粉体組成物は
破砕され、粒子径1〜10mmの粒状の固形物がえられ
た。その後、分散させながら、減圧下で1時間撹拌を行
い、これを微粉砕(ジェットミル)し、濾過を行い平均
粒子径が約6ミクロンの熱硬化性クリヤー樹脂粉体塗料
を得た。
【0036】上記粉体塗料200部をハイスピードミキ
サー(容量2L、深江工業株式会社製)に仕込みアジテ
ーター500rpm、チョッパー4000rpmで撹拌
しながら50℃で30分間撹拌して造粒を行ったのち、
15分かけて20℃に冷却して造粒粉体塗料を製造し
た。造粒粉体塗料の平均粒子径は約14ミクロンであっ
た。
【0037】実施例2 実施例1のアクリル系ワニスをアイリッヒミキシングリ
アクターR02Vacに仕込み、80℃で減圧状態と
し、トルエンを留去した。常圧に戻した後、そこにドデ
カン2酸(平均粒子径15μm)250部及びイソブタ
ノール150部を仕込み、80℃で5分間分散した後、
水を400部加え、再び、減圧を行った。これにより系
の温度は30℃まで瞬時に低下し、分散機の分散力で粉
体組成物は破砕され、粒子径1〜10mmの粒状の固形
物が得られた。その後は実施例1と同様に行った。
【0038】比較例1 グリシジルメタクリレート35%、スチレン15%、メ
チルメタクリレート20%及びn−ブチルアクリレート
30%からなるアクリル系ワニス(数平均分子量5,0
00、樹脂固形分65%トルエン希釈溶液、樹脂軟化点
約80℃)1,539部(固形分1,000部)をアイ
リッヒミキシングリアクターR02Vacに仕込み、8
0℃で減圧状態とし、トルエンを留去した。常圧に戻し
た後、そこにドデカン2酸(平均粒子径15ミクロン)
250部を仕込み、撹拌速度を速め、撹拌熱で温度が1
20℃以上に上昇したところ(約5分間)で水を500
部加え、再び、減圧を行った。これにより系の温度は3
0℃まで一気に低下し、分散機の分散力で粉体組成物は
破砕され、粒子径1〜10mmの粒状の固形物がえられ
た。その後、分散させながら、減圧下で1時間撹拌を行
い、これを微粉砕(ジェットミル)し、濾過を行い平均
粒子径が約6ミクロンの熱硬化性クリヤー樹脂粉体塗料
を得た。
【0039】比較例2 実施例1のアクリル系ワニスを温度計、サーモスタッ
ト、撹拌機、コンデンサー及び真空ポンプを有する反応
容器に仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去し、これ
を排出、冷却して、固形樹脂を得た。得られた固形樹脂
をヘンシェルミキサーを用いて粉砕した。次に、粉砕し
た固形樹脂1,000部及びドデカン2酸(平均粒子径
1μm)250部を室温でヘンシェルミキサーでドライ
ブレンドした後、エクストルーダーで溶融混練した。次
に冷却した後、微粉砕(ジェットミル)、濾過を行い平
均粒子径が約6ミクロンの熱硬化性クリヤー樹脂粉体塗
料を得た。
【0040】上記実施例1〜2及び比較例1〜2の製造
方法、及び粉体塗料の性状、塗装作業性、塗膜外観の結
果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】表1における塗膜作成条件及び塗膜評価は
次のようにして行った。
【0043】粉体形状:顕微鏡観察を行って評価した。
【0044】塗装作業性:静電塗装機(PG−1、松尾
産業社製を使用)を使用して、−70KV、吐出量15
0g/分の塗装条件で300mm×400mmのブリキ
板に焼付け塗膜が50ミクロンとなるように静電粉体塗
装した時の塗装作業性を下記の基準で評価した。○は吐
出ムラ、ガン先端への塗料付着がなく塗装作業性が優れ
る、△は吐出ムラ、ガン先端への塗料付着があり塗装作
業性が劣る、×は△は吐出ムラ、ガン先端への塗料付着
が多く塗装作業性が著しく劣る。
【0045】塗着効率:垂直にしたブリキ板(大きさ3
00mm×300mmの被塗物)に距離200mm(被
塗物とガン先端との距離)離れたところから静電塗装機
(PG−1、松尾産業社製を使用)を使用して、−70
KV、吐出量150g/分で10秒間塗装した。塗着効
率は式(塗着重量/吐出重量)×100で求めた数値で
ある。
【0046】塗膜作成条件 燐酸亜鉛化処理を施した厚さ0.8mmのダル鋼板にエ
ポキシ系カチオン電着塗料を乾燥膜厚20ミクロンとな
るように電着塗装し、焼き付けた電着塗膜上に自動車中
塗りサーフェサーを乾燥膜厚20ミクロンとなるように
焼き付けした後、#400サンドペーパーで水研ぎし、
水切乾燥した。次いでマジクロンベースコートHM−2
2(関西ペイント株式会社製、メタリック塗料、商品
名)を硬化塗膜で約15ミクロンとなるように塗装し、
乾燥器で140℃で約30分間焼付け硬化させ試験用の
素材とした。
【0047】次いで該素材の表面に粉体塗料を膜厚が約
50ミクロンとなるように静電塗装し、乾燥器で160
℃で30分間加熱硬化させた。得られた塗板について塗
膜外観を評価した。
【0048】塗膜平滑性:塗膜の平滑性について次の基
準で評価した。◎は良好なもの、○は若干平滑性が劣る
もの、△は劣るもの、×は著しく劣るもの。
【0049】60゜グロス:JISK−5400に従っ
て60゜での鏡面反射率を測定した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 167/00 C09D 167/00 175/04 175/04 201/00 201/00 (72)発明者 奴間 伸茂 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体樹脂、架橋剤及び有機溶剤を必須とす
    る熱硬化性塗料を下記した工程、(1)減圧装置付き分
    散混合機内で40〜200℃の範囲内の温度で分散混合
    する工程、(2)必要により減圧脱溶剤する工程、
    (3)水を添加する工程、(4)減圧して熱硬化性塗料
    の温度を軟化点以下の温度とし、該分散混合機の分散力
    で一気に破砕して粉末状あるいは粒状の固形物を得る工
    程、(5)次いで、該粉末状あるいは粒状の固形物を微
    粉砕して平均粒径が10ミクロン以下の母体粉体塗料粒
    子を得る工程、(6)更に、該母体粉体塗料粒子を粉体
    塗装に適した平均粒子径になるように凝集造粒させる工
    程、により製造してなることを特徴とする熱硬化性粉体
    塗料の製造方法。
  2. 【請求項2】基体樹脂及び架橋剤を溶解する溶剤が、水
    と共沸しうる溶剤である請求項1記載の熱硬化性粉体塗
    料の製造方法。
  3. 【請求項3】基体樹脂及び架橋剤を溶解する溶剤の量が
    水添加時に該基体樹脂及び架橋剤の固形分合計量に対し
    て80重量%以下である請求項1記載の熱硬化性粉体塗
    料の製造方法。
  4. 【請求項4】添加する水の量が該基体樹脂及び架橋剤の
    固形分合計量100に対して重量比が2〜120である
    請求項1記載の熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  5. 【請求項5】熱硬化性粉体塗料の軟化点が30〜130
    ℃の範囲内である請求項1記載の熱硬化性粉体塗料の製
    造方法。
  6. 【請求項6】基体樹脂のガラス転移温度が40〜100
    ℃の範囲内である請求項1記載の熱硬化性粉体塗料の製
    造方法。
  7. 【請求項7】基体樹脂がアクリル樹脂、ポリエステル樹
    脂、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂の1種または2種以上
    から選ばれる請求項1記載の熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
  8. 【請求項8】基体樹脂の平均分子量が1,000〜10
    0,000の範囲内である請求項1記載の熱硬化性粉体
    塗料の製造方法。
  9. 【請求項9】基体樹脂が官能基としてエポキシ基を含有
    するアクリル樹脂である請求項1記載の熱硬化性粉体塗
    料の製造方法。
  10. 【請求項10】架橋剤がポリカルボン酸、無水(ポリ)
    カルボン酸、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリ
    エポキシ化合物、ポリオール化合物、アミノ樹脂の1種
    または2種以上から選ばれる請求項1記載の熱硬化性粉
    体塗料の製造方法。
  11. 【請求項11】母体粉体塗料粒子の平均粒子径が1〜8
    ミクロンの範囲であることを特徴とする請求項1記載の
    熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  12. 【請求項12】凝集造粒してなる粉体塗料の平均粒子径
    が10ミクロンを越えて30ミクロン以下の範囲である
    ことを特徴とする請求項1記載の熱硬化性粉体塗料の製
    造方法。
  13. 【請求項13】凝集造粒してなる粉体塗料が平均粒子径
    10ミクロン以下の母体粉体塗料粒子を該母体粉体塗料
    粒子の粒子表面は溶融するが、その粒子内は溶融しない
    温度で凝集造粒させることを特徴とする請求項1記載の
    熱硬化性粉体塗料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8853320B2 (en) 2010-10-13 2014-10-07 Akzo Nobel Powder Coatings (Ningbo) Co., Ltd. Hybrid polyester fluorocarbon powder coating composition and process for manufacture thereof
CN105949969A (zh) * 2016-06-27 2016-09-21 广西平果宝信涂料有限公司 一种砂纹型耐候粉末涂料及其制备方法
WO2018221517A1 (ja) * 2017-05-29 2018-12-06 Agc株式会社 車両部材塗装用粉体塗料

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