JP4484291B2 - 粉体塗料の調色方法及び製造方法 - Google Patents

粉体塗料の調色方法及び製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡便に調色できる新規な熱硬化型粉体塗料の調色方法及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉体塗料の調色は、例えば、ユーザーから指定された塗膜の色調になるように着色顔料を粉体樹脂、硬化剤等と混合分散し、次に得られた混合分散物を2軸分散機等を使用して着色顔料、硬化剤等を粉体樹脂中に溶融混合分散したのち、冷却、粗粉砕、微粉砕、篩い濾過を行うことにより目的とする調色粉体塗料を製造することによって、行われている。
【0003】
上記調色粉体塗料の製造は、予め決められた色の粉体塗料を多量に製造する場合には問題とならないが、一方少量の粉体塗料を多色にわたって製造しようとする場合、即ち小口多色化する場合は、粉体塗料のロスが多くなること、手間が掛かること、コンタミが多くなること等の問題点がある。
【0004】
上記問題点を解消する粉体塗料の調色方法として、例えば特表平4−504431号公報には、2種類以上の異なった色の粉体塗料の混合物を水性アクリル樹脂造粒剤を用いて造粒し、調色粉体塗料組成物とすることが記載されている。また、特開平7ー188586号公報には、2種以上の粉体塗料をドライブレンドして色合わせをし、これを合成樹脂バインダーで造粒する調色方法が記載されている。しかしながら、これらの従来方法では、塗膜性能を低下させないために水性アクリル樹脂やバインダー樹脂の分子量を大きくする必要があり、そのため造粒粉体の熱流動性が低下して、塗膜平滑性、鏡面反射率等の塗膜性能が低下すること、これらの樹脂成分の粘度が高いために造粒が均一でないこと等の問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色別れが無く仕上がり外観に優れ、塗膜平滑性、鏡面反射率、付着性等の塗膜性能に優れ、且つ調色や小口多色化を容易に行うことができる粉体塗料の調色方法及び製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の記載から明らかにされるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒子径が10μm以下の原料着色熱硬化型粉体塗料の色が異なる2種類以上をドライブレンドして色合わせする工程、及びこのブレンド物にポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを添加して、塗装に適する範囲の粒子径まで造粒する工程を含有する熱硬化型粉体塗料の調色方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記色合わせ工程及び造粒工程を含有する調色熱硬化型粉体塗料の製造方法をも提供するものである。
【0009】
本発明者は、上記従来技術の諸問題を解決するために鋭意検討した結果、色が異なる2種以上の特定粒度の原料粉体塗料をドライブレンドして色合わせした後、特定のバインダーを添加して造粒することにより、簡便に調色できること、しかも仕上がり外観及び塗膜性能に優れた着色熱硬化型粉体塗料が得られることを見出した。本発明は、かかる諸知見に基づいて、完成されたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明方法で用いる原料粉体塗料、色合わせ工程、造粒工程等について、順次説明する。
【0011】
原料着色熱硬化型粉体塗料
本発明の調色方法及び製造方法(以下、単に「本発明方法」という)で原料とする着色熱硬化型粉体塗料としては、それ自体加熱により溶融、流動する熱硬化型粉体樹脂に硬化剤を配合した樹脂成分に、着色顔料を含有せしめてなるものを使用することができる。該熱硬化型粉体樹脂の軟化温度は、通常、約30〜100℃程度である。
【0012】
上記着色顔料としては、白色顔料、黒色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、鱗片状アルミニウム粉、着色マイカ粉、銅粉、スズ粉、ステンレス粉等から選ばれる1種を、又は2種以上を組合せて、使用することができる。着色顔料の配合量は、得られる粉体塗料の塗膜の隠蔽性、平滑性等の塗膜性能が満たされるように、適宜選択できる。具体的な配合量としては、顔料の種類によって異なるが、通常粉体樹脂成分100重量部に対して0.1〜100重量部程度、特に1〜80重量部程度の範囲が好ましい。
【0013】
上記熱硬化型粉体樹脂としては、熱により硬化剤と反応する官能基を有する樹脂が使用できる。具体的には、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂及びこれらのハイブリッド系樹脂等であって、官能基として、例えば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、ブロックイソシアネート基等を有するものが好適である。
【0014】
また、上記硬化剤としては、該粉体樹脂中の官能基と反応し硬化塗膜を形成する官能基を有するもの又は該粉体樹脂中の官能基の重合を開始させるものを使用できる。例えば、水酸基含有粉体樹脂の硬化剤としては、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート化合物等を、カルボキシル基含有粉体樹脂の硬化剤としては、ポリエポキシド、β−ヒドロキシエチルアルキルアミド等を、エポキシ基含有粉体樹脂の硬化剤としては、ポリカルボン酸、エポキシ基のカチオン重合開始剤等を、ブロックイソシアネート基含有粉体樹脂の硬化剤としては、ポリオール等を、それぞれ挙げることができる。
【0015】
上記アミノ樹脂としては、ヘキサメトキシメラミン樹脂、ヘキサエトキシメラミン樹脂、「サイメル303」(商品名、三井サイテック(株)製)、「スミマールM−55(商品名、住友化学工業(株)製)等を例示できる。ブロックイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族又は芳香族ポリイソシアネートを、フェノール類、ε−カプロラクタム類、アルコール類等のブロック剤でブロックしたものを例示できる。ポリエポキシドとしては、トリグリシジルイソシアヌレート、グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマー、「セロキサイド2021」(商品名、ダイセル化学(株)製)、「EHPE−3150」(商品名、ダイセル化学(株)製)等を例示できる。β−ヒドロキシエチルアルキルアミドとしては、β−ヒドロキシエチルプロピルアミド等を例示できる。ポリカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、ドデカン二酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族ポリカルボン酸及びその酸無水物、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸及びその酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の脂環式ポリカルボン酸及びその酸無水物等を例示できる。ポリオールとしては、トリメチロールプロパン、ソルビトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等を例示できる。エポキシ基のカチオン重合開始剤としては、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等を例示できる。
【0016】
原料着色熱硬化型粉体塗料の成分として、上記粉体樹脂、硬化剤及び着色顔料以外に、必要に応じて硬化触媒、充填剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動性調整剤、ハジキ防止剤、撥油剤、抗菌剤、防錆剤等が配合できる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール化合物等を使用できる。
【0017】
原料粉体塗料は、従来公知の溶融混練方法や凍結乾燥方法等の方法により、製造することができる。溶融混練方法は、粉体樹脂、硬化剤、着色顔料及び必要に応じてその他の成分を、ミキサー等でドライブレンドした後、加熱溶融混練し、冷却、粗粉砕、微粉砕、濾過することにより、行うことができる。また、凍結乾燥方法は、粉体樹脂、硬化剤、着色顔料及び必要に応じてその他の成分を、融点−40℃以上の有機溶剤に、溶解又は分散し、通常10〜−40℃で凍結し、減圧下に脱溶剤して乾燥することにより、行うことができる。該有機溶剤としては、例えば、tert−ブタノール、ジオキサン等を挙げることができる。
【0018】
本発明において、原料粉体塗料の平均粒子径は10μm以下、特に1〜10μm、更に1〜8μmの範囲のものが好適である。平均粒子径が10μmを越えると造粒された粉体塗料の平均粒子径が大きくなって、静電塗装作業性等が低下したり、塗膜の平滑性、耐色別れ性等が低下する。
【0019】
本発明において原料粉体塗料及び造粒粉体塗料の平均粒子径は、粒度分布を測定してその累積頻度が50%になる粒子径を示す。粒度分布の測定は、例えば、「マイクロトラック」(商品名、FRA粒度分析計、日機装(株)製)を用いて、測定する。
【0020】
色合わせ工程
本発明方法においては、先ず、平均粒子径が10μm以下の原料着色熱硬化型粉体塗料の色が異なる2種類以上をドライブレンドして色合わせを行う。
【0021】
本工程は、例えば色が異なる2種以上の粉体塗料をハイスピードミキサー等によりドライブレンドして均一に混合し色確認を行って、所望の色調としたブレンド物を得ることにより、行われる。
【0022】
ドライブレンドする場合の温度及び時間は、特に限定されないが、通常、5〜40℃程度、好ましくは8〜30℃の温度で、0.5分〜24時間程度、好ましくは1分〜1時間程度とするのが、適当である。また、例えば、ハイスピードミキサーを使用する場合の撹拌条件としては、通常、アジテーター100〜5000rpm程度、好ましくは200〜2000rpm程度で、チョッパー1000〜10000rpm程度、好ましくは2000〜6000rpm程度とするのが、好適である。
【0023】
本工程においては、必要に応じて、2種以上の原料粉体塗料の混合割合と塗膜の色調との関係を、予めコンピューターに入力しておくことにより、所望の色調の塗膜を得るための2種以上の粉体塗料の混合割合を自動的に決定することができる。即ち、本工程に、コンピューター色合わせ方法を適用することにより、本工程を自動化でき、更に簡便に色合わせができる。
【0024】
造粒工程
本発明方法においては、色合わせ工程で所望の色調とした混合粉体塗料であるブレンド物に、ポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを添加して、塗装に適する範囲の粒子径まで造粒する。この造粒工程により、目的の調色された熱硬化型粉体塗料が得られる。
【0025】
造粒工程のバインダーとして使用されるポリエチレングリコール水溶液は、固形分が約1〜50重量%の範囲であるのが好ましく、約10〜20重量%の範囲であるのがより好ましい。また、ポリエチレングリコール水溶液の配合量は、固形分として、ブレンド物である総粉体塗料100重量部に対して約0.01〜5重量部の範囲が好ましく、約0.1〜3重量部の範囲がより好ましい。配合量が約0.01重量部未満になると造粒が不十分となり色別れを生じる傾向にあり、一方5重量部を超えると塗料の耐ブロッキング性が低下し、又塗膜の耐水性等の塗膜性能が低下する傾向にあるので好ましくない。ここで、耐ブロッキング性とは、粉体粒子同士が融着してより大きな固まりになること(ブロッキング)を防止できる性質である。ポリエチレングリコールを水溶液として使用することにより、造粒工程における粉体塗料の均一分散性が向上する。
【0026】
上記ポリエチレングリコールとしては、融点が50℃以上のものが好ましく、50〜65℃の範囲のものがより好ましい。融点が50℃未満になると塗料の耐ブロッキング性が低下し、又融点65℃を超えると塗膜仕上がり外観が低下するので好ましくない。また、ポリエチレングリコールの分子量としては、1000〜30000の範囲であるのが好ましく、2000〜20000の範囲であるのがより好ましい。分子量が1000未満になると塗料の耐ブロッキング性が低下し、30000を超えると塗膜仕上がり外観が低下するので好ましくない。該ポリエチレングリコールとしては、例えばポリエチレングリコール#3000(融点55〜58℃)、ポリエチレングリコール#4000(融点54〜58℃)、ポリエチレングリコール#6000(融点56〜63℃)、ポリエチレングリコール10000(融点58〜63℃)、ポリエチレングリコール15000(融点58〜63℃)、ポリエチレングリコール20000(融点58〜63℃)等が挙げられる。
【0027】
造粒工程のバインダーとして使用されるパラフィンワックス水分散液の固形分は約1〜50重量%の範囲であるのが好ましく、約10〜20重量%の範囲であるのがより好ましい。該ワックス水分散液の配合量は、固形分として、ブレンド物である総粉体塗料100重量部に対して約0.01〜5重量部の範囲が好ましく、約0.1〜3重量部の範囲がより好ましい。配合量が約0.01重量部未満になると造粒が不十分となり色別れを生じる傾向にあり、一方5重量部を超えると塗膜の光沢が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0028】
上記パラフィンワックス水分散液は、その分散ワックスの平均粒子径が約5μm以下のものが好ましく、約0.01〜3μmの範囲のものがより好ましい。また、パラフィンワックスとしては、融点が約20〜100℃のものが好ましく、約30〜80℃の範囲のものがより好ましい。
【0029】
上記したポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液は、いずれか一方を使用しても良いし、両者を混合して使用しても良い。混合する場合の使用量は、ポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液の合計量で、固形分として、ブレンド物である総粉体塗料100重量部に対して約0.01〜5重量部の範囲が好ましく、約0.1〜3重量部の範囲がより好ましい。
【0030】
上記ポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液で使用する水において、必要に応じて、水の一部(50重量%以下)に置き換えて、粉体塗料を溶解しない沸点約150℃以下の水性有機溶剤を併用することができる。該有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられる。
【0031】
本発明方法の造粒工程は、色合わせ工程で得られたブレンド物に、攪拌下、ポリエチレングリコール水溶液及びパラフィンワックス水分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを添加して、塗装に適する範囲の粒子径まで造粒した後、通常乾燥して水分を除去することにより行うことができる。
【0032】
上記のバインダーの添加は、例えば滴下、噴霧等により行われ、乾燥は、例えば減圧乾燥により、行われる。
【0033】
また、造粒工程において、製造中の粉体塗料の温度が粉体塗料の融着温度以上にならないようにすることが必要である。上記の造粒及び減圧乾燥の温度条件は、バインダー及び原料粉体塗料の融点、軟化温度、溶融粘度、製造量等により異なるので、使用する原料粉体塗料等に応じて好適な条件を設定すればよいが、一般的には約10〜80℃、好ましくは30〜50℃の温度範囲で約1分間〜20時間、好ましくは約5分間〜10時間の範囲で行うことができる。
【0034】
本発明方法で得られた調色された造粒粉体塗料の平均粒子径は、造粒前のブレンド物である粉体塗料の平均粒子径よりも約1〜50μm、特に約2〜40μm大きいことが好ましい。一般的には、造粒後の粉体塗料の平均粒子径は約11〜60μmの範囲、好ましくは約12〜50μmの範囲であるのが適当である。この範囲を下回ると静電塗装による塗着効率が低下する傾向にあり、一方この範囲を上回ると塗膜平滑性が低下する傾向にあるので、いずれも好ましくない。
【0035】
本発明方法で得られた調色粉体塗料は、被塗物に粉体塗装し、焼付けることによって硬化塗膜を形成することができる。
【0036】
該被塗物としては、粉体塗装が可能な素材であれば特に制限なしに従来から公知のものを使用することができ、例えば、金属類、表面処理が施された金属類、プラスチック類、これらの素材に塗料が塗装されたもの等が挙げられる。粉体塗装は、それ自体公知の方法、例えば、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装、流動浸漬粉体塗装等で行うことが好ましい。塗装膜厚は、特に制限されないが、硬化塗膜で、約20〜200μm、好ましくは約20〜150μm、より好ましくは約20〜80μmの範囲が好適である。また、焼付け条件としては、通常、約100〜250℃程度、好ましくは160〜200℃程度の温度で、約3〜120分間程度、好ましくは約20〜40分間程度とするのが適当である。
【0037】
本発明方法で得られた調色粉体塗料は、例えば、自動車、家電製品、鋼製家具、事務用品、建材、パイプ等の従来から粉体塗料が使用されている用途に制限なしに適用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。尚、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。但し、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0039】
各例で用いた原料粉体塗料は、次の通りである。
【0040】
(1)「エバクラッド#4800白」:関西ペイント(株)製、商品名、平均粒子径約5μm、ブロックイソシアネート硬化型ポリエステル樹脂粉体塗料、白色で、L***表色系(JIS Z 8729)における塗膜の明度L*が約95。
【0041】
(2)「エバクラッド#4800グレー」:関西ペイント(株)製、商品名、平均粒子径約5μm、ブロックイソシアネート硬化型ポリエステル樹脂粉体塗料、グレーで、L***表色系(JIS Z 8729)における塗膜の明度L*が約70。
【0042】
(3)「エバクラッド#4800黄」:関西ペイント(株)製、商品名、平均粒子径約5μm、ブロックイソシアネート硬化型ポリエステル樹脂粉体塗料、黄色で、L***表色系(JIS Z 8729)における塗膜の明度L*が約84。
【0043】
実施例1
ハイスピードミキサー(深江工業(株)製、容量2リットル)に「エバクラッド#4800白」100g及び「エバクラッド#4800グレー」100gを仕込み、アジテーター600rpm、チョッパー4000rpmで1分間攪拌してドライブレンドした後、同じ攪拌条件下でバインダーであるポリエチレングリコール#4000(融点54〜58℃、分子量2700〜3400)の水溶液(固形分5%)1.5部(粉体塗料100部に対する固形分換算)を10分間かけて噴霧して配合し、次いで同じ攪拌条件で10分間攪拌を続けて造粒した。次に、アジテーター100rpm、チョッパー500rpmで減圧下で30分間攪拌して乾燥を行って、調色粉体塗料を得た。ドライブレンド時及び造粒時における温度は25℃であり、減圧乾燥時の温度は40℃とした。
【0044】
実施例2
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000に代えてポリエチレングリコール#6000(融点56〜63℃、分子量7400〜9000)を同量使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0045】
実施例3
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000に代えてポリエチレングリコール10000(融点58〜63℃、分子量9000〜12500)を同量使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0046】
実施例4
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000に代えてポリエチレングリコール20000(融点58〜63℃、分子量約20000)を同量使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0047】
実施例5
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000に代えて「フローレンALX−3082」(パラフィンワックス、共栄社化学(株)製、商品名、融点62℃、平均粒子径0.54μm、70%水分散液を水で希釈して35%水分散液として使用)を同量(固形分)使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0048】
実施例6
実施例1において、「エバクラッド#4800グレー」に代えて「エバクラッド#4800黄」を同量使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0049】
比較例1
実施例1において、バインダーを使用しない以外は実施例1と同様にして、調色粉体塗料を得た。
【0050】
比較例2
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000をブレンドされた粉体塗料100部に対する固形分換算で6部使用した以外は実施例1と同様にして、調色粉体塗料を得た。
【0051】
比較例3
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000に代えてポリエチレングリコール#600(融点35〜40℃、分子量約600)を同量使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0052】
比較例4
実施例1において、ポリエチレングリコール#4000の水溶液に代えて酸化ポリエチレンワックスエマルション(固形分40%、融点30〜40℃、分子量約600)を同量(固形分)使用した以外は実施例1と同様の方法で、調色粉体塗料を得た。
【0053】
比較例5
実施例6において、バインダーを使用しない以外は実施例6と同様にして、調色粉体塗料を得た。
【0054】
各実施例及び各比較例で得られた粉体塗料の塗料性状及び塗膜性能を、次の方法により調べた。
塗料性状
安息角:「パウダーテスター」(ホソカワミクロン(株)製、商品名)を使用して、円形のテ−ブル上に粉体塗料を流下させたときに堆積する山の稜線の角度を測定した。この角度が小さいほど粉体塗料の流動性が良好である。
【0055】
かさ密度:JIS K 5101 20に従って、見掛けのかさ密度(g/cm3)を測定した。かさ密度が大きいほど粉体塗料の流動性が良好である。
【0056】
耐ブロッキング性:粉体塗料を40℃の雰囲気下に7日間貯蔵した後、耐ブロッキング性を下記基準で評価した。○は粉体の融着が全くなく耐ブロッキング性が良いことを、△は粉体が融着するが指でほぐれることを、×は粉体が融着し指でほぐれず耐ブロッキング性が悪いことを、それぞれ示す。
【0057】
平均粒子径:「マイクロトラック」(商品名、FRA粒度分析計、日機装(株)製)を用いて、粒度分布を測定してその累積頻度が50%になる粒子径(μm)として示した。
【0058】
塗膜性能試験
塗装板の調整:燐酸亜鉛処理鋼板に焼き付け塗膜が60μmになるように静電粉体塗装を行い180℃で30分間焼き付けを行い、得られた塗装板を以下の試験に供した。
【0059】
塗膜平滑性:塗膜表面を目視で観察し評価した。○は平滑性、チヂミ等の異常が実質的に認められないことを、△は平滑性、チヂミ等の異常が認められることを、×は平滑性、チヂミ等の異常が著しく認められることを、それぞれ示す。
【0060】
鏡面反射率:JIS K 5400に従って、60度の鏡面反射率(%)を測定した。
【0061】
塗膜の耐色別れ性:塗膜の耐色別れ性を目視で観察し評価した。○は色別れが認められないことを、△は色別れが認められることを、×は色別れが著しく認められることを、それぞれ示す。
【0062】
エリクセン値:JIS K 5400 8.2に従って、塗膜に割れ及び剥がれが生じるまでの鋼球を押し出す破断距離(mm)を求めた。この破断距離であるエリクセン値は、塗膜の付着性の指標であり、大きいほど付着力が高い。
【0063】
塗膜の明度:L***表色系(JIS Z 8729)における明度L*値で示した。
【0064】
各粉体塗料の塗料性状及び塗膜性能の試験結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004484291
【0066】
【発明の効果】
本発明方法によれば、調色を簡便にでき、又小口多色化を容易に行うことができ、且つ得られた調色粉体塗料が、色別れが無く仕上がり外観に優れ、塗膜平滑性、鏡面反射率、付着性等の塗膜性能に優れるという顕著な効果が得られる。

Claims (8)

  1. 平均粒子径が10μm以下の原料着色熱硬化型粉体塗料の色が異なる2種類以上をドライブレンドして色合わせする工程、及び
    このブレンド物に融点が50〜65℃かつ分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコールの水溶液及び平均粒子径5μm以下のパラフィンワックス水分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを、固形分としてブレンド物100重量部に対して0.01〜5重量部の配合量で添加して、平均粒子径が11〜60μmの範囲まで造粒する工程
    を含有する熱硬化型粉体塗料の調色方法。
  2. ポリエチレングリコール水溶液の固形分が、1〜50重量%の範囲である請求項1に記載の調色方法。
  3. パラフィンワックス水分散液の固形分が、1〜50重量%の範囲である請求項1に記載の調色方法。
  4. パラフィンワックスが、融点20〜100℃のものである請求項1に記載の調色方法。
  5. 平均粒子径が10μm以下の原料着色熱硬化型粉体塗料の色が異なる2種類以上をドライブレンドして色合わせする工程、及び
    このブレンド物に融点が50〜65℃かつ分子量が1000〜30000であるポリエチレングリコールの水溶液及び平均粒子径5μm以下のパラフィンワックス水分散液からなる群から選ばれる少なくとも1種のバインダーを、固形分としてブレンド物100重量部に対して0.01〜5重量部の配合量で添加して、平均粒子径が11〜60μmの範囲まで造粒する工程
    を含有する調色熱硬化型粉体塗料の製造方法。
  6. ポリエチレングリコール水溶液の固形分が、1〜50重量%の範囲である請求項5に記載の製造方法。
  7. パラフィンワックス水分散液の固形分が、1〜50重量%の範囲である請求項5に記載の製造方法。
  8. パラフィンワックスが、融点20〜100℃のものである請求項5に記載の製造方法。
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