JPH1129723A - 熱硬化性粉体塗料の製造方法 - Google Patents

熱硬化性粉体塗料の製造方法

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JPH1129723A
JPH1129723A JP13584798A JP13584798A JPH1129723A JP H1129723 A JPH1129723 A JP H1129723A JP 13584798 A JP13584798 A JP 13584798A JP 13584798 A JP13584798 A JP 13584798A JP H1129723 A JPH1129723 A JP H1129723A
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JP
Japan
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powder coating
thermosetting powder
dispersion
weight
pigment
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JP13584798A
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English (en)
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Naohito Adachi
尚人 安達
Nobushige Numa
伸茂 奴間
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基体樹脂及び架橋剤の分散をなるべく低温で
かつ効率的に行い、更に顔料をより均一に分散すること
により、短時間でかつ簡便に、仕上がり性、硬化性、加
工性、付着性、耐チッピング性等の良好な熱硬化性粉体
塗料を製造する方法を提供する。 【解決手段】 基体樹脂、架橋剤及び必要に応じて顔料
を含有する熱硬化性粉体塗料成分を減圧装置付き分散混
合機内で40〜200℃の範囲内の温度で分散混合し、
得られた分散混合物中の有機溶剤を必要により減圧脱溶
剤し、ついでこのものに水を添加し、減圧して該分散混
合物の温度を軟化点以下の温度に低下させて、更に該分
散混合機の分散力で該分散混合物を一気に破砕すること
によって粉末状あるいは粒状化することを特徴とする熱
硬化性粉体塗料の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な熱硬化性粉
体塗料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱硬化性粉体塗料は、基体樹脂、
架橋剤及び必要に応じて顔料及び添加剤をミキサーでド
ライブレンドした後、2軸エクストルーダー等の混練機
を使用して加熱溶融混練し、ついで冷却、粉砕して製造
されている。しかしながら、該製造方法では、ドライブ
レンドした後、加熱溶融混練するといった製造工程を経
るために工程が複雑であること、加熱溶融混練時の温度
制御が難しく局所加熱等を起こしやすく、そのため増
粘、ゲル化する恐れがあること、低温硬化型塗料を製造
することができないこと、等の問題点がある。また、顔
料及び架橋剤の分散を2軸エクストルーダーでの溶融混
練で行うため、顔料及び架橋剤の分散が不充分となり、
仕上がり性や硬化性が劣るという問題点がある。さら
に、2軸エクストルーダー等の清掃に手間がかかるた
め、エナメル系塗料で求められる多色の粉体塗料の製造
には上記した粉体塗料の製造法は適していない。また、
熱硬化性粉体塗料は、溶剤型塗料に比較して厚膜に塗装
されることが多く、また硬化過程で揮散するものがほと
んどないため、硬化過程で内部応力が発生しやすく、水
や熱により塗膜の剥がれが生じたりするという問題や、
耐ブロッキング性への配慮から比較的硬質の化合物が多
く使用されているため、塗膜の柔軟性が不充分であり、
耐チッピング性に劣るといった問題を有する。このた
め、内部応力の緩和や耐チッピング性の改良のために粉
体塗料に微粒子を分散することが行われているが、例え
ば水に分散されたガラス転移温度の低い合成樹脂微粒子
は加熱乾燥すると粒子が融着し、再分散不可能となる。
またこのものを凍結乾燥しても数ミクロン程度の凝集体
としかなりえず、溶融混練時に分散させても1次粒子と
して分散することができず、塗膜物性の改良に寄与でき
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、基体樹脂及び架橋剤の分散をなるべく低温
でかつ効率的に行い、さらに顔料や合成樹脂微粒子をよ
り均一に分散することにより、短時間でかつ簡便に、塗
装仕上がり性、塗膜の硬化性、耐チッピング性、付着
性、加工性等の良好な熱硬化性粉体塗料を製造する方法
を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる時
間を解決するため鋭意研究を重ねた結果、減圧装置付き
分散混合機を用いて、基体樹脂に含まれる溶剤の脱溶
剤、架橋剤の分散、顔料の分散、微粒子の分散及び粉末
状までを一括で行うことにより、簡便であり、顔料分散
性が良好であり、仕上がり性及び塗膜性能に優れる熱硬
化性粉体塗料の製造が可能であることを見出し、本発明
を完成させるに至った。かくして、本発明にしたがえ
ば、 「1. 基体樹脂、架橋剤及び必要に応じて溶剤、顔料
を含有する熱硬化性粉体塗料成分を減圧装置付き分散混
合機内で40〜200℃の範囲内の温度で分散混合し、
得られた分散混合物中に有機溶剤が存在する場合は該有
機溶剤を必要により減圧脱溶剤し、ついでこのものに水
を添加し、減圧して該分散混合物の温度を軟化点以下の
温度に低下させて、さらに該分散混合機の分散力で該分
散混合物を粉末状あるいは粒状化することを特徴とする
熱硬化性粉体塗料の製造方法。 2. 熱硬化性粉体塗料成分中の基体樹脂及び架橋剤を
溶解する有機溶剤が水と共沸しうる有機溶剤である、1
項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 3. 基体樹脂及び架橋剤を溶解する有機溶剤の含有量
が、水添加時に該基体樹脂及び架橋剤の固形分合計量に
対して80重量%以下である、1項または2項に記載さ
れた熱硬化性粉体塗料の製造方法。 4. 顔料は、樹脂、有機溶剤及び顔料を予め分散させ
てなる顔料ペーストあるいは固形状顔料チップである、
1項ないし3項のいずれか1項に記載された熱硬化性粉
体塗料の製造方法。 5. 顔料を含む熱硬化性粉体塗料成分の分散は、加熱
溶融及び/または有機溶剤による溶解分散によって行
う、1項ないし4項のいずれか1項に記載された熱硬化
性粉体塗料の製造方法。 6. 熱硬化性粉体塗料成分の分散は、基体樹脂及び顔
料を予め熱により分散し、次に架橋剤を加えて加熱溶融
及び/または有機溶剤による溶解分散によって行う、1
項ないし5項のいずれか1項に記載された熱硬化性粉体
塗料の製造方法。 7. 熱硬化性粉体塗料成分の分散は、基体樹脂及び顔
料を予め有機溶剤により分散し、ついで減圧により溶剤
を留去した後架橋剤を加えて加熱溶融及び/または有機
溶剤による溶解分散によって行う、1項ないし6項のい
ずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 8. 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物に、水が添加
される前にさらにガラス転移温度が40℃以下である粒
子径0.01〜1μmの合成樹脂微粒子の水分散物を添
加して分散する、1項ないし7項のいずれか1項に記載
された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 9. 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物に添加する水
の量が、該基体樹脂及び架橋剤の固形分合計量に対して
2〜120重量%である、1項ないし8項のいずれか1
項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 10. 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物の軟化点が
30〜130℃の範囲内である、1項ないし9項のいず
れか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 11. 基体樹脂のガラス転移温度が40〜100℃の
範囲内である、1項ないし10項のいずれか1項に記載
された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 12. 基体樹脂がアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、
エポキシ樹脂及びフッ素樹脂から選ばれる1種または2
種以上である、1項ないし11項のいずれか1項に記載
された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 13. 基体樹脂の数平均分子量が1,000〜10
0,000の範囲内である、1項ないし12項のいずれ
か1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。 14. 架橋剤がポリカルボン酸、無水ポリカルボン
酸、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ
化合物、ポリオール化合物、アミノ樹脂から選ばれる1
種または2種以上である、1項ないし13項のいずれか
1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。」に関
する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の粉体塗料の製造方法で
は、高粘度のものでも効率的に分散混合することのでき
る減圧装置及び好ましくは加熱装置を有する分散混合機
を使用する。該分散混合機としては、例えば、日本アイ
リッヒ社製の商品名アイリッヒミキシングリアクターR
02Vac、R08Vac等を挙げることができる。本
発明において、熱硬化性粉体塗料成分の基体樹脂とし
て、有機溶剤に溶解した状態で合成させるもの(以下、
「ワニス」と呼ぶ)を使用するときは、減圧装置付き分
散混合機に架橋剤及び/または顔料、及び必要に応じて
分散剤、分散助剤などの添加剤と一緒に仕込み減圧す
る。ついで減圧することによって有機溶剤を留去する。
他方溶剤を含まない基体樹脂を使用するときは、熱によ
り溶融状態とし、これに架橋剤及び/または顔料、及び
必要に応じて分散剤、分散助剤等の添加剤を加えて分散
する。分散は加熱溶融のみで行ってもよいが、有機溶剤
を使用する溶解分散と併用するほうが、分散温度を下げ
たり、またより均一な分散が可能となることから好まし
い。
【0006】分散温度は40〜200℃が好ましく、4
0℃以下では内容物の粘度が上昇し撹拌困難となり、2
00℃以上では内容物の破砕が困難となるので好ましく
ない。熱硬化性粉体塗料成分における顔料は、樹脂、有
機溶剤及び顔料を用いて予め分散された顔料ペーストあ
るいは固形状顔料チップであってもよい。顔料ペースト
中の有機溶剤は、架橋剤添加前に減圧し、留去するか、
もしくは架橋剤分散時の溶剤としてもよい。また、顔料
ペーストまたは顔料チップの顔料分散時に用いる樹脂
は、基体樹脂と必ずしも同一でなくてもよい。
【0007】架橋剤と顔料の分散の順序は、顔料分散に
時間を要する成分のものでは、顔料分散時の温度で架橋
反応の一部が進行し、ゲル化物が発生して塗装時の仕上
がり性が低下する恐れがあるため、顔料を分散させた
後、架橋剤を分散することが好ましい。次に、上記の分
散混合物に水を加えて減圧を行うか、あるいは減圧状態
とした後、水を圧力差を利用して、一気に分散混合機内
に仕込むことにより、水が一気に蒸発し、その蒸発潜熱
により分散物の温度は急激に低下し軟化点以下となる。
この状態になった分散混合物は分散混合機の分散力で容
易に破砕することが可能となり、粒子径が約1〜10m
m程度の粒状の熱硬化性粉体塗料を得ることができる。
かくして得られる粉体塗料に水が残存している場合に
は、減圧乾燥で水を留去した後、粉砕機等で粉砕するこ
とにより目的とする粒子径の熱硬化性粉体塗料を得るこ
とができる。また、本発明において使用する分散混合機
によって得られる粉体塗料は粒状であり、分散混合機の
内面等への付着も少なく、ゲル化物も発生しないことか
ら、洗浄は非常に容易であり、色替えを必要とするエナ
メル系粉体塗料の製造法としては極めて適している。
【0008】架橋剤及び顔料を溶解分散する有機溶剤
は、ワニス中の溶剤全てを減圧留去しないで一部を残存
させて物を用いてもよいし、ワニスの溶剤全てを減圧留
去した後から加えてもよい。さらに、顔料分散時に加え
る有機溶剤は、顔料分散後留去しても構わない。架橋剤
及び顔料を溶解分散する有機溶剤の種類は特に限定され
ないが、熱硬化性粉体塗料成分が粉末状あるいは粒状化
した後の有機溶剤の残存を極力少なくするために、水と
共沸する有機溶剤を用いることが好ましい。該有機溶剤
の具体例としては、例えば、イソプロパノール、n−ブ
タノール、イソブタノール、sec−ブタノール、トル
エン等を挙げることができる。基体樹脂及び架橋剤を溶
解する有機溶剤の量は、水添加時に該基体樹脂及び架橋
剤の固形分合計量に対して80重量%以下、好ましくは
50重量%以下の範囲内で用いることが適当である。基
体樹脂及び架橋剤を溶解する有機溶剤の量が80重量%
を超えると水添加後、減圧によっても充分に溶剤が留去
されず、さらに、その後の減圧乾燥によっても溶剤が充
分に除去されずに残存し、得られる熱硬化性粉体塗料の
耐ブロッキング性が悪化する結果となる。
【0009】添加する水の量は、該基体樹脂及び架橋剤
の固形分合計量に対して2〜120重量%、好ましくは
5〜80重量%の範囲内で用いることが適当である。添
加する水の量が2重量%以下の場合には熱硬化性粉体塗
料成分の分散混合物を軟化点以下に下げるまでに必要な
蒸発潜熱を得ることができず、破砕不可能となる。ま
た、添加する水の量が120重量%を超えると、破砕後
に多量の水が残存するため、長時間減圧乾燥しなければ
ならず好ましくない。
【0010】また、熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物
の軟化点は、30〜130℃、好ましくは40〜100
℃の範囲内にある事が必要である。熱硬化性粉体塗料成
分の分散混合物の軟化点が30℃を下回ると、水の蒸発
潜熱で分散混合物の温度が下がっても、破砕に必要な固
さが得られないため破砕がうまくゆかず、融着した塊と
なってしまう。逆に、軟化点が130℃を超えると、該
分散混合物の破砕は可能であるが、熱硬化性粉体塗料と
して充分なフロー性が得られないので塗装時の仕上がり
性の低下を招くため好ましくない。
【0011】熱硬化性粉体塗料を構成する基体樹脂とし
ては、それ自体加熱により溶融、流動し、架橋剤または
硬化触媒によって硬化することができる官能基を含有す
る合成樹脂を使用することができる。具体的には、例え
ば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系
樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができ、これ等は単独
もしくは2種以上併用して使用される。これ等の樹脂が
含有する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ
ル基、エポキシ基、ブロックされたイソシアネート基等
を挙げることができる。本発明において用いる基体樹脂
は、ガラス転移温度(Tg)が40〜100℃、好まし
くは50〜80℃の範囲内にあることが好ましい。ガラ
ス転移温度が40℃を下回ると得られる粉体塗料の耐ブ
ロッキング性が劣り、一方、100℃を上回ると塗膜の
仕上がり外観(平滑性等)が劣るので好ましくない。
【0012】上記したガラス転移温度(℃)は、以下の
ようにして求める。すなわち、示差走査熱量測定装置
(DSC)を用い、試料をサンプルパンに約10mg秤
量したものを100℃まで加熱し、10分間保持し、そ
の後、−20℃まで急冷する。その後、10℃/分の速
度で昇温してガラス転移温度を求める。基体樹脂の数平
均分子量は1,000〜100,000、好ましくは
2,000〜30,000の範囲内である。数平均分子
量が1,000を下回ると破砕に必要な固さが得られな
いので破砕がうまくゆかず、融着した塊となってしま
う。逆に、数平均分子量が100,000を超えると、
粉体塗料自体が強靭となって破砕されにくくなり、大き
な塊となってしまうので好ましくない。
【0013】架橋剤は、基体樹脂中に含まれる官能基と
反応し、硬化塗膜を形成するものであり、具体例として
は、例えば、以下ものものを挙げることができる。 (1) 水酸基を含有する基体樹脂に対しては、アミノ
樹脂、ブロックポリイソシアネート等を挙げることがで
きる。アミノ樹脂としてはヘキサメトキシメラミン樹脂
等、ブロックポリイソシアネートとしてはイソホロンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
(水添)キシリレンジイソシアネート、(水添)トリレ
ンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式もしくは芳香族
ポリイソシアネート化合物をフェノール類、カプロラク
トン類、アルコール類等のブロック剤でブロックしたも
の等を挙げることができる。 (2) カルボキシル基を含有する基体樹脂に対して
は、トリスエポキシプロピルイソシアネート、(水添)
ビスフェノールA、セロキシド2021、EHPE−3
150(何れもダイセル化学社製ポリエポキシ化合物)
等を挙げることができる。 (3) エポキシ基を含有する基体樹脂に対してはドデ
カン2酸、ピペリン酸、アゼライン酸、イタコン酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒ
ドロイソフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のポ
リカルボン酸及びその(ポリ)酸無水物を挙げることが
できる。 (4) ブロックされたイソシアネート基を含有する基
体樹脂に対しては、トリメチロールプロパン、ネオペン
チルグリコール等のポリオール化合物を挙げることがで
きる。
【0014】本発明においては、必要に応じて硬化触媒
を併用してもよい。具体的には、例えば水酸基とアミノ
樹脂との反応では、パラトルエンスルホン酸、ドデシル
ベンゼンスルホン酸等の有機酸やリン酸等の無機酸等の
酸触媒;水酸基とブロックイソシアネート基との反応で
は、テトラブチル錫、ジブチルジラウリル錫、テトラブ
チルジアセチルスタノヒサン等有機錫触媒;カルボキシ
ル基とエポキシ基の反応では、3フッ化ホウ素等の酸
類、アミン、アルカリ土類金属水酸化物、3級オニウム
塩、4級アンモニウム塩:などを挙げることができる。
エポキシ基含有基体樹脂においては、例えば、ベンジル
−4−ヒドロキシフェニルメチルホスホニウムヘキサフ
ルオロネート等の重合触媒を用いることにより、架橋剤
を使用しなくても硬化塗膜を得ることができる。
【0015】本発明の粉体塗料の製造方法において、着
色粉体塗料を製造する場合に用いる顔料は特に制限され
ず、具体的には、例えば、ファーストエロー等のアゾ系
顔料:フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン
等のフタロシアニン系顔料:キナクリドンレッド、ペリ
レンレッド等の縮合多環系顔料;ナフトールエロー等の
ニトロソ系顔料;二酸化チタン、弁柄等の酸化系顔料:
紺青等のフタロシアニン系顔料;モリブデンレッド等の
クロム酸塩系顔料;カーボンブラック等の炭素系顔料:
着色マイカ等のマイカ系顔料;燐片状アルミニウム粉、
ブロンズ粉、亜鉛末等の金属粉末顔料を挙げることがで
きる。また、これ等の顔料は顔料分散剤によって被覆さ
れていてもよいし、顔料分散時に顔料分散剤等を添加し
てもよい。
【0016】本発明の粉体塗料の製造方法において、得
られる粉体塗料塗膜の付着性、耐チッピング性を改良す
るために、熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物に、水が
添加される前にガラス転移温度が40℃以下、好ましく
は20℃以下、特に好ましくは0℃以下の合成樹脂微粒
子の水分散物が添加され、分散される。該合成樹脂微粒
子の水分散物は、エチレン性不飽和モノマー(例えばア
クリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル、スチ
レン等)をエマルジョン重合して得られるものを挙げる
ことができる。
【0017】該微粒子の粒子径は0.01μm〜1μm
の範囲内が適切である。微粒子の粒予径が0.01μm
以下であると、硬化塗膜の付着性、耐チッピング性の改
善が見られなくなり、一方、微粒子の粒子径が1μm以
上であると、塗装時の仕上がり性が低下し、硬化塗膜の
付着性、耐チッピング性の改善も見られなくなる。さら
に、添加する微粒子の添加量は前記した基体樹脂及び架
橋剤の固形分合計量に対して固形分で1〜40重量%の
範囲内であることが適切である。添加量が1重量%未満
であると、硬化塗膜の付着性、耐チッピング性の改善が
みられなくなあり、一方、40重量%を超えると、仕上
がり性が低下し、硬化塗膜の付着性、耐チッピング性の
改善も見られなくなる。
【0018】また、本発明においては、上記した成分以
外に、ワキ防止剤、表面調整剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、紫外線安定剤、ブロッキング防止剤、流動調整
剤、帯電制御剤、充填剤等の通常塗料に配合される添加
剤を必要に応じて使用することができる。減圧装置付き
分散混合機で破砕された粉体塗料は20〜70℃、好ま
しくは30〜50℃で減圧乾燥され、ついでピンディス
ク等で微粉砕し、適当なフルイで瀘過することにより目
的の粒子径の熱硬化性粉体塗料を得ることができる。該
熱硬化性粉体塗料の粒子径は約1〜100μm、好まし
くは約5〜60μmの範囲内が好適である。本発明によ
って得られる熱硬化性粉体塗料は、被塗物に粉体塗装さ
れ、焼き付け(例えば160℃で30分間)ることによ
って塗膜物性や仕上がり性に優れた硬化塗膜を形成す
る。粉体塗装はそれ自体公知の方法、例えば、静電粉体
塗装(コロナ帯電式、摩擦帯電式等)、流動浸漬等の塗
装方法によって行うことができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。
【0020】実施例1 グリシジルメタクリレート35重量%、スチレン15重
量%、メチルメタクリレート20重量%及びn−ブチル
アクリレート30重量%からなるアクリル系ワニス(数
平均分子量5,000、溶剤トルエン、樹脂固形分65
重量%、樹脂軟化点約80℃、Tg50℃)1,539
重量部(固形分1,000重量部)をアイリッヒミキシ
ングリアクターR02Vacに仕込み、80℃で減圧状
態とし、トルエンを留去した。常圧に戻した後、そこに
ドデカン2酸(平均粒子径1μm)250重量部を仕込
み、撹拌速度を速め、撹拌熱で温度が120℃に約5分
間要して上昇したところで水を500重量部加え、再
び、減圧を行った。これにより系の温度は30℃まで瞬
時に低下し、分散機の分散力で粉体塗料組成物は破砕さ
れ、粒子径1〜10mmの粒状の固形物が得られた。そ
の後、分散させながら、減圧下で1時間乾燥を行い、こ
れをピンディスクミルで粉砕し、150メッシュのフル
イで瀘過して熱硬化性クリアー粉体塗料を得た。
【0021】実施例2 ドデカン2酸の分散温度を100℃とした以外は実施例
1と同様にして熱硬化性クリアー粉体塗料を得た。
【0022】実施例3 ドデカン2酸の分散温度を80℃とした以外は実施例1
と同様にして熱硬化性クリアー粉体塗料を得た。
【0023】実施例4 高粘度用撹拌モーターに錨型の撹拌羽根と邪魔板を有
し、容器を暖める電熱ジャッケト及び減圧装置(コンデ
ンサーと真空ポンプ)を有する装置を用いて実施例1と
同様にして熱硬化性クリアー粉体塗料を得た。
【0024】実施例5 実施例1のアクリル系ワニスをアイリッヒミキシングリ
アクターR02Vacに仕込み、80℃で減圧状態と
し、トルエンを留去した。常圧に戻した後、そこにドデ
カン2酸(平均粒子径1μm)250重量部及びイソブ
タノール150重量部を仕込み、80℃で5分間分散し
た後、水を400重量部加え、再び、減圧を行った。こ
れにより系の温度は30℃まで瞬時に低下し、分散機の
分散力で粉体塗料組成物は破砕され、粒子径1〜10m
mの粒状の固形物が得られた。その後は実施例1と同様
の方法で熱硬化性クリアー粉体塗料を得た。
【0025】比較例1 実施例1のアクリル系ワニスを温度計、サーモスタッ
ト、撹拌機、コンデンサー及び真空ポンプを有する反応
容器に仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後こ
のものを排出し、冷却することによって固形樹脂を得
た。得られた固形樹脂をヘンシュルミキサーを用いて粉
砕した。次に、粉砕した固形樹脂1,000重量部及び
ドデカン2酸(平均粒子径1μm)250重量部を室温
でヘンシュルミキサーでドライブレンドした後、エクス
トルーダーで溶融混練した。この時の出口温度は120
℃であった。次に冷却した後、ピンディスクミルで粉砕
し、150メッシュのフルイで瀘過して熱硬化性クリア
ー粉体塗料を得た。
【0026】比較例2 エクストルーダーでの溶融混練時の出口温度を100℃
とした以外は比較例1と同様にして熱硬化性クリアー粉
体塗料を得た。
【0027】〔塗膜性能試験〕上記実施例1〜5及び比
較例1〜2から得られた熱硬化性クリアー粉体塗料を用
いて下記の方法で塗板を作成し塗膜性能試験に供した。
その結果を表1に示す。なお装置の洗浄時間を含む粉体
塗料の製造に要する時間も記載した。
【0028】
【表1】
【0029】(註) 表1中のAはイソブタノールであ
る。
【0030】〔塗膜の作成〕リン酸亜鉛化成処理を施し
た厚さ0.8mmのダル鋼板上にエポキシ系カチオン電
着塗料を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、焼
き付けた電着塗膜上に自動車中塗りサーフェーサーを乾
燥塗膜約20μmとなるように焼き付けた後、#400
のサンドペーパーで水研ぎし、水切乾燥した。次いでマ
ジクロンベースコートHM−22(関西ペイント社製、
メタリック塗料、商品名)を硬化塗膜で約15μmとな
るように塗装し、乾燥機で140℃で30分間焼き付け
硬化させて試験用の素材とした。次いで、該素材の表面
に上記実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた熱硬化
性クリアー粉体塗料をそれぞれ膜厚70μmとなるよう
に静電塗装し、乾燥機で160℃で30分間加熱硬化さ
せることによって得た。
【0031】〔試験方法〕 塗膜外観:塗膜の仕上がり外観を目視で観察し、そのツ
ヤ感、平滑感から次の基準で評価した。 ◎:良好、 ○:若干平滑性が劣るがツヤ感は良好、 △:平滑性及びツヤ感が若干劣る、 ×:平滑性及びツヤ感が劣る。 60゜グロス:JISK−5400に従って60゜での
鏡面反射率を測定した。 平滑性:表面粗度計(サーフコム、商品名、東洋精密社
製)を用いて中心線表面粗さを測定した。 ペレットフロー性:粉体塗料約0.8gを直径13m
m、高さ約4mmの円筒状になるように30Kg/mm
加圧成型したものを、水平に保ったアルミニウム板の
上に乗せ、160℃で10分間加熱フローさせた時の広
がり長さを測定した。 耐酸性:40重量%硫酸水を塗膜表面に0.4cc滴下
し、85℃に加熱したホットプレート上で、15分間加
熱した後、水洗し、塗膜を観察し、次の基準で評価し
た。 ◎:変化がなく良好、 ○:滴下部と非滴下部の界面にごくわずかに段差が認め
られる、 ×:塗膜が白化する。
【0032】実施例6 ポリエステル樹脂ER−7200(日本エステル社製、
商品名、水酸基含有ポリエステル樹脂、軟化点約84
℃、Tg52℃、水酸基価21)1,000重量部をア
イリッヒミキシングリアクターR02Vacに仕込み、
加熱し溶融させ、110℃の溶融物とした。その後、二
酸化チタンを600重量部仕込み、110℃で10分間
分散させた。その後、ε−カプロラクタムブロックイソ
ホロンジイソシアネートを105重量部、TK−1(武
田薬品工業社製、商品名、錫系触媒)10重量部を仕込
み、110℃で5分間分散した後、水を600重量部加
え、減圧を行った。これにより温度は30℃まで瞬時に
低下し、分散機の分散力で粉体塗料組成物は破砕され、
粒子径1〜10mmの粒状の固形物が得られた。その
後、分散させながら、減圧下で1時間乾燥を行い、これ
をピンディスクミルで粉砕し、150メッシュのフルイ
で瀘過して熱硬化性エナメル粉体塗料を得た。
【0033】実施例7 グリシジルメタクリレート40重量%、スチレン10重
量%、メチルメタクリレート20重量%及びn−ブチル
アクリレート30重量%からなるアクリル系ワニス(数
平均分子量7,000、溶剤トルエン、樹脂固形分65
重量%、樹脂軟化点約85℃、Tg50℃)1,539
重量部(固形分1,000重量部)をアイリッヒミキシ
ングリアクターR02Vacに仕込み、110℃で減圧
状態とし、トルエンを留去した。常圧に戻した後、二酸
化チタンを600重量部仕込み、110℃で10分間分
散した、次いで、ドデカン2酸(平均粒子径1μm)2
90重量部を仕込み、撹拌速度を速め、撹拌熱で温度が
120℃に約5分間要して上昇したところで水を600
重量部加え、再び、減圧を行った。これにより系の温度
は30℃まで瞬時に低下し、分散機の分散力で粉体塗料
組成物は破砕され、粒子径1〜10mmの粒状の固形物
が得られた。その後、分散させながら、減圧下で1時間
乾燥を行い、これをピンディスクミルで粉砕し、150
メッシュのフルイで瀘過して熱硬化性エナメル粉体塗料
を得た。
【0034】実施例8 実施例7のアクリル系ワニス1,539重量部(固形分
1,000重量部)をアイリッヒミキシングリアクター
R02Vacに仕込み、110℃で減圧状態とし、トル
エン400重量部を留去した。常圧に戻した後、二酸化
チタンを600重量部仕込み、110℃で10分間分散
した。その後、再び減圧状態とし、残りのトルエンを留
去した。次いで、ドデカン2酸(平均粒子径1μm)2
90重量部を仕込み、110℃に約5分間分散した後、
水を500重量部加え、再び、減圧を行った。これによ
り系の温度は30℃まで瞬時に低下し、分散機の分散力
で粉体塗料組成物は破砕され、粒子径1〜10mmの粒
状の固形物が得られた。その後、分散させながら、減圧
下で1時間乾燥を行い、これをピンディスクミルで粉砕
し、150メッシュのフルイで瀘過して熱硬化性エナメ
ル粉体塗料を得た。
【0035】実施例9 実施例7のアクリル系ワニス308重量部(固形分20
0重量部)、二酸化チタン600重量部及びトルエン2
00重量部を容量2リットルのステンレス容器に仕込
み、撹拌機にて15分間撹拌した後、ガラスビーズを用
いて卓上サンドミルで15分間分散して白顔料ペースト
を作成した。次に、実施例7のアクリル系ワニス1,2
31重量部(固形分800重量部)をアイリッヒミキシ
ングリアクターR02Vacに仕込み、そこに撹拌しな
がら上記白顔料ペースト1,108重量部を徐々に添加
し、その後、110℃で減圧状態とし、トルエンを留去
した。次いで、ドデカン2酸(平均粒子径1μm)29
0重量部を仕込み、撹拌速度を速め、撹拌熱で温度が1
20℃に約5分間要して上昇したところで水を600重
量部加え、再び、減圧を行った。これにより系の温度は
30℃まで瞬時に低下し、分散機の分散力で粉体塗料組
成物は破砕され、粒子径1〜10mmの粒状の固形物が
得られた。その後、分散させながら、減圧下で1時間乾
燥を行い、これをピンディスクミルで粉砕し、150メ
ッシュのフルイで瀘過して熱硬化性エナメル粉体塗料を
得た。
【0036】比較例3 実施例1で用いたポリエステル樹脂ER−7200を
1,000重量部、ε−カプロラクタムブロックイソホ
ロンジイソシアネートを105重量部、実施例1で用い
たTK−1を10重量部及び二酸化チタン600重量部
を室温でヘンシュルミキサーでドライブレンドした後、
エクストルーダーで溶融混練した。次に冷却した後、ピ
ンディスクミルで粉砕し、150メッシュのフルイで瀘
過して熱硬化性エナメル粉体塗料を得た。
【0037】比較例4 実施例7のアクリル系ワニスを温度計、サーモスタッ
ト、撹拌機、コンデンサー、真空ポンプを有する反応容
器に仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去し、これを
排出、冷却して、固形樹脂を得た。これをヘンシュルミ
キサーを用いて粉砕した。その後、固形樹脂1,000
重量部、ドデカン2酸250重量部及び二酸化チタン6
00重量部を室温でヘンシュルミキサーでドライブレン
ドした後、比較例3と同様に行い、熱硬化性エナメル粉
体塗料を得た。上記実施例6〜9及び比較例3〜4から
得られた熱硬化性エナメル粉体塗料を用いて下記の方法
で塗板を作成し塗膜性能試験に供した。その結果を表2
に示す。なお、装置の洗浄時間を含む粉体塗料の製造に
要する時間も記載した。
【0038】〔塗板の作成〕リン酸亜鉛化成処理を施し
た厚さ0.8mmのダル鋼板上に上記実施例6〜9及び
比較例3〜4で得られた熱硬化性エナメル粉体塗料をそ
れぞれ膜厚60μmとなるように静電塗装し、乾燥機で
160℃で30分間加熱硬化させて得た。
【0039】
【表2】
【0040】〔試験方法〕 塗膜外観:塗膜表面を目視で観察し、次の基準で評価し
た。 ○:平滑性、チヂミ等の異常がないもの、 △:平滑性、チヂミ等の異常が認められるもの、 ×:平滑性、チヂミ等の異常が著しく認められるもの。 60゜グロス:表1の方法と同じ。 硬化性:塗膜表面をキシレンで含浸させたガーゼを指先
で強く往復10回払拭したのちの外観を目視評価した。 ○:塗膜に異常がなく硬化性がよいもの、 △:わずかに表面に傷が認められ硬化性が劣るもの、 ×:表面が溶解し硬化性が著しく劣るもの。 加工性:エリクセン加工試験機を用いて押し出し加工を
行った。ワレ、ハガレが発生するまでの押し出し距離
(mm)を測定した。
【0041】実施例10 グリシジルメタクリレート35重量%、メチルメタクリ
レート60重量%及びイソブチルアクリレート5重量%
からなるアクリル系ワニス(数平均分子量7,000、
溶剤トルエン、樹脂固形分65重量%、樹脂軟化点約8
5℃、Tg℃)1,539重量部(固形分1,000重
量部)をアイリッヒミキシングリアクターR02Vac
に仕込み、100℃で減圧状態とし、トルエンを留去し
た。常圧に戻した後、そこにドデカン2酸(平均粒子径
1μm)250重量部を仕込み、撹拌速度を速め、撹拌
熱で温度が120℃に約5分間要して上昇したところ
で、下記製造例1で得た微粒子水分散液を333重量部
(固形分50重量部)添加し、90℃で5分間分散後、
水を250重量部加え、再び、減圧を行った。これによ
り系の温度は30℃まで瞬時に低下し、分散機の分散力
で粉体塗料組成物は破砕され、粒子径1〜10mmの粒
状の固形物が得られた。その後、分散させながら、減圧
下で1時間乾燥を行い、これをピンディスクミルで粉砕
し、150メッシュのフルイで瀘過して微粒子含有熱硬
化性粉体塗料を得た。
【0042】製造例1 窒素導入管、サーモスタット、撹拌機及び還流冷却器を
備えた反応容器に蒸留水670重量部を仕込み、そこへ
スチレン10重量部、n−ブチルメタクリレート45重
量部及びn−ブチルアクリレート45重量部を分散さ
せ、80℃で過硫酸ナトリウムを2重量部加え、4時間
反応させた後、過硫酸ナトリウムを0.5重量部加えさ
らに1時間反応させることにより、樹脂固形分15重量
%、微粒子の粒子径0.31μm、微粒子のガラス転移
温度−15℃の微粒子水分散液を得た。
【0043】実施例11 実施例10において、上記製造例1で得た微粒子水分散
液の代わりに下記製造例2で得た微粒子水分散液を用い
た以外は実施例10と同様にして微粒子含有熱硬化性粉
体塗料を得た。
【0044】製造例2 窒素導入管、サーモスタット、撹拌機及び還流冷却器を
備えた反応容器に蒸留水670重量部を仕込み、そこへ
スチレン10重量部、メチルメタクリレート10重量
部、n−ブチルメタクリレート65重量部及びn−ブチ
ルアクリレート15重量部を分散させ、80℃で過硫酸
ナトリウムを2重量部加え、4時間反応させた後、過硫
酸ナトリウムを0.5重量部加えさらに1時間反応させ
ることにより、樹脂固形分15重量%、微粒子の粒子径
0.27μm、微粒子のガラス転移温度20℃の微粒子
水分散液を得た。
【0045】実施例12 実施例10において、製造例1で得た微粒子水分散液の
代わりに下記製造例3で得た微粒子水分散液を用いた以
外は実施例10と同様にして微粒子含有熱硬化性粉体塗
料を得た。
【0046】製造例3 窒素導入管、サーモスタット、撹拌機及び還流冷却器を
備えた反応容器に蒸留水670重量部を仕込み、そこへ
スチレン10重量部、n−ブチルメタクリレート45重
量部及びn−ブチルアクリレート35重量部及び1,6
−ヘキサンジオールジアクリレート10重量部を分散さ
せ、80℃で過硫酸ナトリウムを2重量部加え、4時間
反応させた後、過硫酸ナトリウムを0.5重量部加えさ
らに1時間反応させることにより、樹脂固形分15重量
%、微粒子の粒予径0.30μm、微粒子のガラス転移
温度−5℃の微粒子水分散液を得た。
【0047】比較例5 実施例10において、製造例1で得た微粒子水分散液の
代わりに下記製造例4で得た微粒子水分散液を用いた以
外は実施例10と同様にして粉体塗料を得た。
【0048】製造例4(比較用) 窒素導入管、サーモスタット、撹拌機及び還流冷却器を
備えた反応容器に蒸留水670重量部を仕込み、そこへ
スチレン10重量部、メチルメタクリレート45重量部
及びn−ブチルメタクリレート45重量部を分散させ、
80℃で過硫酸ナトリウムを2重量部加え、4時間反応
させた後、過硫酸ナトリウムを0.5重量部加えさらに
1時間反応させることにより、樹脂固形分15重量%、
微粒子の粒子径0.29μm、微粒子のガラス転移温度
60℃の微粒子水分散液を得た。
【0049】比較例6 実施例10のアクリル系ワニスを温度計、サーモスタッ
ト、撹拌機、コンデンサー及び真空ポンプを有する反応
容器に仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、
このもの排出し、冷却することによって固形樹脂を得
た。別に製造例2で得た微粒子水分散液を耐熱性容器に
メタノールとドライアイスを入れて−40℃とし、これ
にナスフラスコに入れた製造例1で得た微粒子水分散液
をナスフラスコの内面に薄く凍結するように入れ、液体
窒素で冷却したコールドトラップを有する減圧装置にセ
ットし、1mmHg以下の圧力で8時間凍結乾燥を行っ
た。得られた微粒子粉体を乳鉢で粉砕し、150メッシ
ュのフルイで瀘過し、微粒子粉体を得た。次に、上記固
形樹脂1,000重量部、微粒子粉体50重量部及びド
デカン2酸(平均粒子径1μm)250重量部を室温で
ヘンシュルミキサーでドライブレンドした後、エクスト
ルーダーで溶融混練した後、冷却し、ピンディスクミル
で粉砕し、150メッシュのフルイで瀘過して黴粒子含
有熟硬化性粉体塗料を得た。
【0050】比較例7 実施例10のアクリル系ワニスを温度計、サーモスタッ
ト、撹拌機、コンデンサー及び真空ポンプを有する反応
容器に仕込み、減圧蒸留によりトルエンを除去した後、
このもの排出し、冷却することによって固形樹脂を得
た。次に、上記固形樹脂1,000重量部及びドデカン
2酸(平均粒子径1μm)250重量部を室温でヘンシ
ュルミキサーでドライブレンドした後、エクストルーダ
ーで溶融混練した後、冷却し、ピンディスクミルで粉砕
し、150メッシュのフルイで瀘過して微粒子含有熱硬
化性粉体塗料を得た。上記実施例10〜12及び比較例
5〜7から得られた微粒子含有熱硬化性粉体塗料を用い
て下記の方法で塗板を作成し塗膜性能試験に供した。そ
の結果を表3に示す。なお装置の清浄時間を含む粉体塗
料の製造に要する時間も記載した。
【0051】
【表3】
【0052】〔塗板の作成〕実施例1と同様の素材を作
成し、その表面に上記実施例10〜12及び比較例5〜
7で得られた微粒子含有熱硬化性粉体塗料をそれぞれ膜
厚70μmとなるように静電塗装し、乾燥機で160℃
で30分間加熱硬化させることによって得た。
【0053】〔試験方法〕 塗膜外観:表1の方法と同じ。 60゜グロス:表1の方法と同じ。 耐チッピング性: 試験機器:Q−G−Rグラベロメーター(Qパネル社
製) 吹き付けられる石:直径15〜20mmの砕石 吹き付けられる石の容量:約500ml 吹き付けエアー圧力:約5Kg/cm 試験機の温度:約−30℃ 耐熱性容器にメタノールとドライアイスを入れて温度を
−30℃以下に設定し、その内部に塗板を入れて−30
℃に調整した。その後、塗板を保持台に取り付け、約5
Kg/cmの吹き付けエアー圧力で約500mlの砕
石を塗板に発射せしめた。これを5回繰り返した。その
後、JIS−Z2371によって1,000時間、塩水
噴霧試験を行い、2時間室内に放置後、布テープをパネ
ルに強く押し付け、急激に剥離した後の発錆の有無、剥
離した後の発錆の有無、塗膜のハガレ等を次の基準で評
価した。 ○:7×7cmの試験片に錆の発生が全くない、 △:7×7cmの試験片に錆の発生2〜5箇所に認めら
れる、 ×:7×7cmの試験片に錆の発生が6箇所以上に認め
られる。 耐水付着試験:試験片を40℃の温水に10日間浸漬
し、その後、水切乾燥した。塗面にクロスカットを入
れ、セロハンテープを貼り、急激に剥離した後の塗膜の
ハガレ等を次の基準で評価した。 ○:全くハガレなし、 △:一部にハガレあり、 ×:大半あるいは全てハガレ。
【0054】
【発明の効果】本発明の方法による熱硬化性粉体塗料の
製造方法は、従来の溶融混練法と比較して、短時間かつ
簡便に熱硬化性粉体塗料を製造することが可能であり、
また基体樹脂、架橋剤及び顔料の分散を従来の溶融混練
法より低温で行っても、得られる熱硬化性粉体塗料をよ
り均一なものとすることができ、その結果、得られる硬
化塗膜は仕上がり性、耐チッピング性、付着性等の物性
に優れるといった顕著な硬化を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 167/00 C09D 167/00 175/04 175/04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体樹脂、架橋剤及び必要に応じて溶
    剤、顔料を含有する熱硬化性粉体塗料成分を減圧装置付
    き分散混合機内で40〜200℃の範囲内の温度で分散
    混合し、得られた分散混合物中に有機溶剤が存在する場
    合は該有機溶剤を必要により減圧脱溶剤し、ついでこの
    ものに水を添加し、減圧して該分散混合物の温度を軟化
    点以下の温度に低下させて、さらに該分散混合機の分散
    力で該分散混合物を粉末状あるいは粒状化することを特
    徴とする熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性粉体塗料成分中の基体樹脂及び
    架橋剤を溶解する有機溶剤が水と共沸しうる有機溶剤で
    ある、請求項1に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 基体樹脂及び架橋剤を溶解する有機溶剤
    の含有量が、水添加時に該基体樹脂及び架橋剤の固形分
    合計量に対して80重量%以下である、請求項1または
    2に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  4. 【請求項4】 顔料は、樹脂、有機溶剤及び顔料を予め
    分散させてなる顔料ペーストあるいは固形状顔料チップ
    である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載された
    熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  5. 【請求項5】 顔料を含む熱硬化性粉体塗料成分の分散
    は、加熱溶融及び/または有機溶剤による溶解分散によ
    って行う、請求項1ないし4のいずれか1項に記載され
    た熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  6. 【請求項6】 熱硬化性粉体塗料成分の分散は、基体樹
    脂及び顔料を予め熱により分散し、次に架橋剤を加えて
    加熱溶融及び/または有機溶剤による溶解分散によって
    行う、請求項1ないし5のいずれか1項に記載された熱
    硬化性粉体塗料の製造方法。
  7. 【請求項7】 熱硬化性粉体塗料成分の分散は、基体樹
    脂及び顔料を予め有機溶剤により分散し、ついで減圧に
    より溶剤を留去した後架橋剤を加えて加熱溶融及び/ま
    たは有機溶剤による溶解分散によって行う、請求項1な
    いし6のいずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物に、
    水が添加される前にさらにガラス転移温度が40℃以下
    である粒子径0.01〜1μmの合成樹脂微粒子の水分
    散物を添加して分散する、請求項1ないし7のいずれか
    1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物に添
    加する水の量が、該基体樹脂及び架橋剤の固形分合計量
    に対して2〜120重量%である、請求項1ないし8の
    いずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 熱硬化性粉体塗料成分の分散混合物の
    軟化点が30〜130℃の範囲内である、請求項1ない
    し9のいずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 基体樹脂のガラス転移温度が40〜1
    00℃の範囲内である、請求項1ないし10のいずれか
    1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  12. 【請求項12】 基体樹脂がアクリル樹脂、ポリエステ
    ル樹脂、エポキシ樹脂及びフッ素樹脂から選ばれる1種
    または2種以上である、請求項1ないし11のいずれか
    1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方法。
  13. 【請求項13】 基体樹脂の数平均分子量が1,000
    〜100,000の範囲内である、請求項1ないし12
    のいずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 架橋剤がポリカルボン酸、無水ポリカ
    ルボン酸、ブロックポリイソシアネート化合物、ポリエ
    ポキシ化合物、ポリオール化合物、アミノ樹脂から選ば
    れる1種または2種以上である、請求項1ないし13の
    いずれか1項に記載された熱硬化性粉体塗料の製造方
    法。
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