JPH11116701A - ポリビニルアルコール系フィルム - Google Patents

ポリビニルアルコール系フィルム

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JPH11116701A
JPH11116701A JP28815297A JP28815297A JPH11116701A JP H11116701 A JPH11116701 A JP H11116701A JP 28815297 A JP28815297 A JP 28815297A JP 28815297 A JP28815297 A JP 28815297A JP H11116701 A JPH11116701 A JP H11116701A
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Japan
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polyvinyl alcohol
cyclodextrin
film
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ultraviolet absorber
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Takanori Isozaki
孝徳 磯▲ざき▼
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、紫外線吸収性に優れると共
に、透明性に優れ、かつ保管中にブリードアウトが生じ
ないポリビニルアルコールフィルムを提供するものであ
る。 【解決手段】 シクロデキストリンの円筒状の分子構造
の内部に包接された紫外線吸収剤を含有するポリビニル
アルコールフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紫外線吸収性を有す
るポリビニルアルコールフィルムに関する。さらに詳し
くは、包装した内容物の光劣化を防止する機能を有する
ポリビニルアルコールフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアルコールフィルム
は、透明性に優れ、かつ帯電防止性を有することから、
衣類等の繊維製品の包装用途に広く使用されている。し
かしながら、繊維製品は紫外線の影響による退色や脆弱
化など種々の光劣化により、商品性が失われるという欠
点を有していた。
【0003】一般に、フィルム製品、プラスチック製
品、塗装製品等の光劣化を防ぐ方法およびこれらにより
保護、包装されたものの紫外線透過による光劣化を防ぐ
方法としては、ベンゾトリアゾール類やヒドロキシベン
ゾフェノン類などの紫外線吸収剤を練り込んだり、アク
リル樹脂やウレタン樹脂などのバインダーを用いて紫外
線吸収剤を基材表面に塗布して、皮膜化する方法が試み
られている。しかしながら、ポリビニルアルコールフィ
ルムが親水性を有しているのに対して、従来の紫外線吸
収剤は油溶性のものが多いことから、紫外線吸収剤をポ
リビニルアルコールフィルムに練り込む際に安定性や分
散性に問題があり、フィルムの白濁や紫外線吸収剤のブ
リードアウトなどの問題があった。
【0004】また、特開昭51−132259号による
と、水溶性の紫外線吸収剤をポリビニルアルコールフィ
ルムに添加する方法が報告されているが、フィルムを長
期間保管していると紫外線吸収剤がブリードアウトする
という欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術における欠点を克服し、紫外線吸収性に優れると共
に、透明性に優れ、かつ保管中にブリードアウトが生じ
ないポリビニルアルコールフィルムを提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意検討した結果、シクロデキストリン
の円筒状の分子構造の内部に包接された紫外線吸収剤を
含有するポリビニルアルコールフィルムを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用するシクロデキストリンとしては、従来公
知の各種のシクロデキストリンが使用できる。具体的に
は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリ
ン、γ−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキ
ストリン、ジメチル−β−シクロデキストリン、トリメ
チル−β−シクロデキストリン、カルボキシメチル−β
−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキス
トリン、硫酸−β−シクロデキストリンなどが挙げられ
る。これらの中でも、円筒状の分子構造の内部に包接さ
れる紫外線吸収剤の安定性の点から、β−シクロデキス
トリンおよびその変性物が特に好ましい。これらのシク
ロデキストリンの一種あるいは二種以上が組み合わせて
使用される。
【0008】本発明に用いられる紫外線吸収剤として
は、2−ヒドロキシベンゾトリアゾール誘導体または2
−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体が好ましい。メタノ
ールやアセトンなどの親水性の溶剤に溶解し、紫外線吸
収性を有する物質が特に好ましい。
【0009】紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テ
トラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2’−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシ
クロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキ
シベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−
4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウ
ム、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン−5,5−ビススルホン酸ナトリウム、2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−
ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−
5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5−ジ−t−ブチ
ルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t
−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸
フェニル、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエー
ト、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレ
ートなどが挙げられる。これらの紫外線吸収剤の一種あ
るいは二種以上が組み合わせて使用される。特にシクロ
デキストリンへの包接の容易さという点から、25℃の
メタノールあるいはアセトン100gに対する溶解度が
0.1g以上、より好ましくは2g以上、最も好ましく
は10g以上の紫外線吸収剤が好適に用いられる。
【0010】本発明のシクロデキストリンに包接された
紫外線吸収剤は、シクロデキストリンの水溶液と親水性
の溶媒に溶解された紫外線級剤を混ぜ合わせることによ
り容易に作成される。得られた混合溶液をそのままポリ
ビニルアルコール溶液と混ぜ合わせても良いし、ポリビ
ニルアルコールの溶解用の溶剤としても良い。また、蒸
留等の分離操作により親水性溶剤を除去して紫外線吸収
剤の水溶液または分散液として用いてもよいし、親水性
溶剤および水をスプレードライなどの方法によって除去
してシクロデキストリンに包接された紫外線吸収剤粉末
として用いても良い。
【0011】紫外線吸収剤100重量部に対するシクロ
デキストリンの使用量は、10重量部以上、好ましくは
50重量部以上、より好ましくは200重量部以上であ
る。シクロデキストリンの使用量が10重量部より少な
いと紫外線吸収剤のブリードアウトが起こりやすい。シ
クロデキストリンの使用量の上限としては、3000重
量部以下が好ましく、1500重量部以下がより好まし
く、600重量部以下が特に好ましい。
【0012】本発明における紫外線吸収剤の添加量は、
ポリビニルアルコール100重量部に対して、好ましく
は0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重
量部、最も好ましくは0.5〜2重量部である。紫外線
吸収剤の添加量が0.05重量部より少ない場合には紫
外線吸収効果が十分でない。一方、紫外線吸収剤の添加
量が10重量部より多い場合にはブリードアウトが起こ
りやすい。
【0013】本発明に用いられるポリビニルアルコール
は、酢酸ビニル等のビニルエステル系モノマーをラジカ
ル重合して得られたポリビニルエステル系重合体をケン
化することにより得られる。ポリビニルエステル系モノ
マーの重合法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁
重合法および乳化重合法が挙げられる。
【0014】かかるポリビニルエステル系重合体として
は、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バ
レリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサテ
ィック酸ビニル等のビニルエステル類のポリマーが挙げ
られるが、とりわけ酢酸ビニルのポリマーが好ましい。
【0015】また、上記のビニルエステル系モノマーに
共重合可能なモノマーを共重合した共重合体であること
も差し支えなく、本発明の主旨を損なわない範囲で使用
される。このようなコモノマーとしては、エチレン、プ
ロピレン、1ーブテン、イソブテン等のオレフィン類、
アクリル酸及びその塩とアクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロ
ピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、
アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等の
アクリル酸エステル類、メタクリル酸およびその塩、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸
n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸
t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタク
リル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタク
リル酸エステル類、アクリルアミド、N−メチルアクリ
ルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチ
ルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリ
ルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルア
ミドプロピルジメチルアミンおよびその塩またはその4
級塩、N−メチロールアクリルアミドおよびその誘導体
等のアクリルアミド誘導体、メタクリルアミド、N−メ
チルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、
メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メ
タクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩ま
たはその4級塩、N−メチロールメタクリルアミドおよ
びその誘導体等のメタクリルアミド誘導体、メチルビニ
ルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニ
ルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチル
ビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチ
ルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル等のニトリル類、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン
等のハロゲン化ビニル、酢酸アリル、塩化アリル等のア
リル化合物、マレイン酸およびその塩またはそのエステ
ル、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合
物、酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
【0016】ポリビニルアルコールの重合度としては、
300以上、好ましくは500以上、さらに好ましくは
1000以上であり、製膜や延伸等の加工特性の点から
は30000以下である。重合度が300より小さいと
フィルムとしての強度が劣る。ポリビニルアルコールの
ケン化度は、少なくとも80モル%以上、好ましくは9
5モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上であ
る。
【0017】ポリビニルアルコールフィルムの製造方法
としては、必要とされるフィルムの厚さ、フィルムの用
途、目的などにより適宜選択されるが、通常溶液からの
キャスト製膜法、乾式製膜法(空気中や窒素等不活性気
体中への押し出し)、乾湿式製膜法、ゲル製膜法、溶融
製膜法等によって行われる。このときに使用される溶剤
としては、紫外線吸収剤が溶解する溶媒が適宜選択され
て用いられる。具体的には、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレン
グリコール、グリセリン、ジグリセリン、水、ヘキサフ
ルオロイソプロパノール等が単独または混合して使用さ
れる。また、塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機塩
の水溶液も単独または前記有機溶剤と混合して使用でき
る。これらの中でも、水、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルスルホキシドと水との混合液、グリセリン、エチレ
ングリコール等が好んで使用される。
【0018】製膜時のポリビニルアルコールの濃度は製
膜方法によって異なるが、好ましくは7〜70重量%で
あり、より好ましくは10〜60重量%である。ポリビ
ニルアルコールの濃度が7重量%未満では、シクロデキ
ストリンに包接された紫外線吸収剤がブリードアウトす
ることから好ましくない。一方、ポリビニルアルコール
の濃度が70重量%よりおおきいと、粘度が高いため製
膜が困難となる。製膜時の乾燥温度は50℃〜200
℃、より好ましくは80℃〜150℃である。紫外線吸
収剤の溶解度によって好ましい乾燥温度は異なるが、一
般的には製膜温度を高くした方が紫外線吸収剤の溶解度
が上がるため、透明性の良好なフィルムが得られやす
い。延伸または圧延操作は、乾熱または湿熱で実施可能
であり、温度は通常室温から270℃の範囲である。
【0019】本発明のポリビニルアルコールフィルム
は、本発明の主旨を損なわない範囲において、他の成分
を含有することは何ら差し支えなく、例えばその他の重
合体、グリセリン、ジグリセリン、ジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等の可
塑剤、クレイ、シリカ、炭酸カルシウム、Ti化合物、
Ni化合物等の無機化合物、界面活性剤、ホウ素化合物
等の架橋剤等が挙げられる。また、必要に応じて着色の
ための染料や顔料、酸化防止剤等の安定化剤が添加され
ることもある。
【0020】本発明においてシクロデキストリンに包接
された紫外線吸収剤をポリビニルアルコールフィルム中
に含有させる場合に、その方法には特に制限はなく、初
期に一括で添加する方法、製造原液に添加する方法、製
膜したフィルムに含浸する方法、製膜したフィルムに塗
布する方法等が用いられる。塗布する場合には、シクロ
デキストリンに包接された紫外線吸収剤に水溶性バイン
ダーを添加して、グラビアコーター、ディップコータ
ー、リバースロールコーター、押し出しコーターなど公
知の方法で塗布できる。フィルムに充分な量の紫外線吸
収剤を含有させるためには、初期に一括で添加する方
法、製造原液に添加する方法がより好ましい。
【0021】本発明に用いるポリビニルアルコールフィ
ルムの厚さは、紫外線を吸収するのに十分な紫外線吸収
剤を含有するためには、少なくとも2μmの厚さを必要
とする。フィルムの厚さが厚すぎると、経済的に不利に
なるばかりか、用途によってはフィルム、シート等の柔
軟性などの特性を損なうことになるので、150μm以
下が好ましく、30〜100μmがより好適である。重
量物を包装するため等の目的で強度が不足する場合に
は、接着剤で他のフィルム、布、不織布、紙等にラミネ
ートして用いることもできる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は実施例によりなんら制限されるも
のではない。なお、実施例中の「%」および「部」は特
に断りのない限り、それぞれ「重量%」および「重量
部」を表す。
【0023】実施例1 水1000部にβ−シクロデキストリン11部を溶解
し、該水溶液に2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン1.2部をメタノール10部に溶解した
メタノール溶液を少量ずつ加えた。さらに減圧蒸留によ
ってメタノールを除去することにより、シクロデキスト
リンに包接された紫外線吸収剤の分散液を得た。該分散
液に、重合度1750、ケン化度99.9モル%のポリ
ビニルアルコール100部とグリセリン12部を加え、
スチームバスで加熱した後、80℃で脱泡した。次に、
ガラス板上に乾燥後の厚みが40μとなるように流延
し、80℃で乾燥することによって、シクロデキストリ
ンに包接された紫外線吸収剤を含有するポリビニルアル
コールフィルムを得た。得られたフィルムの340nm
の光線透過率は0.3%、500nmの光線透過率は9
1%であった。
【0024】比較例1 紫外線吸収剤の2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノンを添加しないこと以外は、実施例1と同
様にして、ポリビニルアルコールフィルムを得た。得ら
れたフィルムの340nmの光線透過率は88%、50
0nmの光線透過率は92%であった。
【0025】実施例2 メタノール100部にヒドロキシプロピル−β−シクロ
デキストリン7部を溶解し、該メタノール溶液に2,4
−ジヒドロキシベンゾフェノン 1.1部をメタノール
100部に溶解したメタノール溶液を少量ずつ加えた。
さらにメタノールを減圧除去することによって、シクロ
デキストリンに包接された紫外線吸収剤の粉末を得た。
水1000部に、該粉末と重合度1750、ケン化度9
9.9モル%のポリビニルアルコール100部およびグ
リセリン12部を加え、スチームバスで加熱した後、8
0℃で脱泡した。次に、ガラス板上に乾燥後の厚みが4
0μとなるように流延し、80℃で乾燥することによっ
て、シクロデキストリンに包接された紫外線吸収剤を含
有するポリビニルアルコールフィルムを得た。得られた
フィルムの340nmの光線透過率は0.1%、500
nmの光線透過率は90%であった。該フィルムをJI
S−B7751のカーボンアーク灯式耐光性試験機で紫
外線を50時間照射後のフィルムの340nmの光線透
過率は0.1%、500nmの光線透過率は90%であ
った。
【0026】比較例2 実施例2において、流延した水溶液の乾燥温度を25℃
にしたこと以外は、実施例2と同様にして、シクロデキ
ストリンに包接された紫外線吸収剤練り込みフィルムを
得た。得られたフィルムの膜面は、シクロデキストリン
に包接された紫外線吸収剤がブリードアウトして白濁
し、不良であった。
【0027】実施例3 水1000部にヒドロキシプロピル−β−シクロデキス
トリン14部を溶解し、該水溶液に2−ヒドロキシ−4
−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム
1部をメタノール10部に溶解したメタノール溶液を少
量ずつ加えた。さらに減圧蒸留によってメタノールを除
去することにより、シクロデキストリンに包接された紫
外線吸収剤の分散液を得た。該分散液に、重合度175
0、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコール1
00部を加え、スチームバスで加熱した後、80℃で脱
泡した。次に、ガラス板上に乾燥後の厚みが40μとな
るように流延し、100℃の熱風で24時間乾燥するこ
とによって、シクロデキストリンに包接された紫外線吸
収剤を含有するポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたフィルムは無色透明であった。得られたフィル
ムの340nmの光線透過率は2%、500nmの光線
透過率は90%であった。
【0028】比較例3 シクロデキストリンを添加しないこと以外は、実施例3
と同様にして、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたフィルムは黄変していた。
【0029】実施例4 水1000部にβ−シクロデキストリン11部を溶解
し、該水溶液に2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
1.1部をメタノール10部に溶解したメタノール溶液
を少量ずつ加えた。さらに減圧蒸留によってメタノール
を除去することにより、シクロデキストリンに包接され
た紫外線吸収剤の分散液を得た。該分散液に、重合度1
750、ケン化度99.9モル%のポリビニルアルコー
ル100部を加え、スチームバスで加熱した後、80℃
で脱泡した。次に、ガラス板上に乾燥後の厚みが40μ
となるように流延し、80℃で乾燥することによって、
シクロデキストリンに包接された紫外線吸収剤を含有す
るポリビニルアルコールフィルムを得た。得られたフィ
ルムの340nmの光線透過率は0.2%、500nm
の光線透過率は90%であった。該フィルムをJIS−
B7751のカーボンアーク灯式耐光性試験機で紫外線
を50時間照射後のフィルムの340nmの光線透過率
は0.2%、500nmの光線透過率は90%であっ
た。
【0030】比較例4 シクロデキストリンを添加しないこと以外は、実施例4
と同様にして、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
得られたフィルムの340nmの光線透過率は0.2
%、500nmの光線透過率は90%であった。該フィ
ルムをJIS−B7751のカーボンアーク灯式耐光性
試験機で紫外線を50時間照射後のフィルムの340n
mの光線透過率は1.8%、500nmの光線透過率は
90%であった。
【0031】
【発明の効果】本発明のポリビニルアルコールフィルム
は、柔軟性および透明性に加えて、紫外線吸収性にも優
れていることから、衣類包装用フィルム、食品包装フィ
ルム、農業用フィルム、産業資材用フィルム、ガスバリ
ヤー材料、離型用フィルム、偏光膜、位相差膜などの光
学用フィルム、各種分離膜等に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C08L 29/04 5:16) B29K 29:00 B29L 7:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シクロデキストリンの円筒状の分子構造
    の内部に包接された紫外線吸収剤を含有するポリビニル
    アルコールフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール100重量部に対
    する水溶性紫外線吸収剤の添加量が0.05〜10重量
    部であり、水溶性紫外線吸収剤100重量部に対するシ
    クロデキストリンの使用量が10重量部以上である請求
    項1記載のポリビニルアルコールフィルム。
  3. 【請求項3】 濃度7〜70重量%のポリビニルアルコ
    ール溶液を50〜200℃の温度で乾燥することを特徴
    とする請求項1記載のポリビニルアルコールフィルム。
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