JP2019044048A - 水溶性フィルム及び薬剤包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた水溶解性に加えて、フィルムを水シール処理して包装体を製造した際のシール部分の密着性が高く、特に液体洗剤の包装体として有用な水溶性フィルムを提供すること。【解決手段】 ポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラーを(B)を含有する水溶性フィルムであって、フィラー(B)として有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)を含有し、有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)の含有比率(重量比:B1/B2)が4〜15であり、かつフィラー(B)の含有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して1〜25重量部であることを特徴とする水溶性フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性フィルムに関し、更に詳しくは、水シール性に優れ、液体洗剤等の各種薬剤の包装体として有用な水溶性フィルム、およびこれを用いてなる薬剤包装体に関するものである。
以下、ポリビニルアルコールをPVA、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水溶性フィルムをPVA系水溶性フィルムと略記することがある。
従来より、PVA系樹脂の水溶性を生かして、農薬や洗浄剤等の各種薬剤をPVA系樹脂のフィルムからなる袋に入れた薬剤の分包(ユニット包装)が提案され、幅広い用途に用いられている。
かかる用途に用いる水溶性ユニット包装袋として、例えば、PVA100重量部に対して、可塑剤5〜30重量部、澱粉1〜10重量部および界面活性剤0.01〜2重量部を配合してなる水溶性フィルム(例えば、特許文献1参照。)や、20℃における4重量%水溶液粘度が10〜35mPs・s、平均ケン化度80.0〜99.9モル%、アニオン性基変性量1〜10モル%のアニオン性基変性PVA系樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(B)20〜50重量部、フィラー(C)2〜30重量部、界面活性剤(D)0.01〜2.5重量部を含有してなる樹脂組成物からなる水溶性フィルム(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
特開2001−329130号公報 特開2004−161823号公報
上記特許文献1及び2に開示の水溶性フィルムは、いずれも水溶性に優れるものであり、水溶性フィルムを貼り合わせて包装体とする際のヒートシール性にも優れていることが記載されており、液体洗剤などを包装した薬剤包装体として用いることができるものである。
しかしながら、包装体製造時にヒートシール処理を施すと、シールされた包装体端部の溶解性が低下して水に不溶化する等の問題が生じることがある。また、ヒートシール処理には、時間を要するため製造効率が低下するという問題も生じてしまう。
一方、包装体製造時に水シール処理を施す場合、水を塗って圧着させるだけという単純な原理からシール処理にかかる時間が短くなり生産効率に優れる。
そのため、近年、包装体の製造時に水溶性フィルムを貼り合わせる際には、ヒートシール処理に代わって、水シール処理が用いられることが多くなっているが、上記特許文献1及び2に開示の水溶性フィルムでは、水シール処理時のシール性が十分ではなく、シール部分の密着が不十分となり、液漏れ等が生じる恐れがあったため、水シール処理を適用するためには更なる改良が求められていた。
そこで、本発明ではこのような背景下において、優れた水溶解性に加えて、フィルムを水シール処理して包装体を製造した際のシール部分の密着性が高く、特に液体洗剤の包装体として有用な水溶性フィルムを提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究した結果、PVA系樹脂を主成分とする水溶性フィルムにおいて、フィラーとして有機フィラーと無機フィラーの両方を特定比率で併用し、かつ、フィラーの含有量が特定範囲であることにより、フィルムの水溶解性を損なうことなく、水シール部分の密着性が高くシール性に優れた水溶性フィルムを得ることができ、さらには、弾性率が高く機械特性に優れ、張りのある良好な包装体を形成することができる水溶性フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラーを(B)を含有する水溶性フィルムであって、フィラー(B)として有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)を含有し、有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)の含有比率(重量比:B1/B2)が4〜15であり、かつフィラー(B)の含有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して1〜25重量部であることを特徴とする水溶性フィルムに関するものである。
更に、本発明では、前記水溶性フィルムを用いてなる薬剤包装体も提供するものである。
本発明の水溶性フィルムは、優れた水溶解性を有するとともに、水シール性に優れ、さらに水溶性フィルムの弾性率が高く機械特性にも優れるため、張りのある良好な包装体を形成することができる。
本発明においては、水シール性の向上を目的として、フィルム中の無機フィラーと水シール性の強度の関係について着目し検討した結果、無機フィラーがフィルムのシール部分の界面に存在することにより水シール性が向上することを見出したが、一方で、製膜過程において無機フィラーがフィルム表面へとマイグレーションすることがあり、これによりフィルム表面上で無機フィラー同士が凝集した場合には水シール性の改善効果が得られ難くなることもあるため、水シール性の向上のためには、シール界面に存在する無機フィラーの量及び分散状態が重要であることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき、有機フィラーと無機フィラーの含有割合が特定範囲であり、かつフィラーの含有量が特定範囲とする構成を見出したものである。このような構成とすることにより、フィルム表面における無機フィラーの凝集を抑制して水シール性に効果的な分散状態を形成することが可能となり、水シール性に優れるとともに、フィルムの弾性率、ブロッキング性等にもバランスよく優れるという本発明の効果が得られたものと推測される。
本発明の水溶性フィルムは、例えば、以下の通り製造される。
まず、本発明で用いられるPVA系樹脂(A)について説明する。
本発明で用いられるPVA系樹脂(A)としては、未変性PVAや変性PVA系樹脂が挙げられる。
未変性PVAは、ビニルエステル系化合物を重合して得られるビニルエステル系重合体をケン化することにより製造することができる。
かかるビニルエステル系化合物としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリル酸ビニル、バーサティック酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。上記ビニルエステル系化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
変性PVAは、上記ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体とを共重合させた後、ケン化することにより製造することができる。
上記ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ウンデシレン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩等が挙げられる。
また、変性PVAとして、側鎖に一級水酸基を有するもので、例えば、側鎖の一級水酸基の数が、通常1〜5個、好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個であるものも挙げられ、さらには、一級水酸基以外にも二級水酸基を有することが好ましい。かかる変性PVAとしては、例えば、側鎖にヒドロキシアルキル基を有するPVA系樹脂、側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂等があげられる。側鎖に1,2−ジオール構造単位を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により製造することができる。
上記、ビニルエステル系化合物と、ビニルエステル系化合物と共重合可能な不飽和単量体との共重合方法としては、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等、公知の重合方法を任意に用いることができるが、通常、メタノール、エタノールあるいはイソプロピルアルコール等のアルコールを溶媒とする溶液重合法により行われる。
重合触媒としては、重合方法に応じて、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系触媒、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物触媒等の公知の重合触媒を適宜選択することができる。又、重合の反応温度は50℃〜沸点程度の範囲から選択される。
ケン化は公知の方法で行うことができ、通常、得られた共重合体をアルコールに溶解してケン化触媒の存在下で行なわれる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。アルコール中の共重合体の濃度は、溶解率の観点から20〜50重量%の範囲から選択される。
ケン化触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒を用いることができ、酸触媒を用いることも可能である。ケン化触媒の使用量はビニルエステル系化合物に対して1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。
本発明で用いる変性PVAとしては、溶解性の点で、アニオン性基変性PVA系樹脂を用いることが好ましい。アニオン性基の種類としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられるが、耐薬品性及び経時安定性の点で、カルボキシル基、スルホン酸基が好ましく、特にはカルボキシル基が好ましい。
上記カルボキシル基変性PVA系樹脂は、任意の方法で製造することができ、例えば、(I)カルボキシル基を有する不飽和単量体とビニルエステル系化合物を共重合した後にケン化する方法、(II)カルボキシル基を有するアルコールやアルデヒドあるいはチオール等を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合物を重合した後にケン化する方法等を挙げることができる。
(I)または(II)の方法におけるビニルエステル系化合物としては、前述のものを用いることができるが、酢酸ビニルを用いることが好ましい。
上記(I)の方法におけるカルボキシル基を有する不飽和単量体としては、エチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等)、又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)〔但し、これらのジエステルは共重合体のケン化時に加水分解によりカルボキシル基に変化することが必要である〕、又はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)、あるいはエチレン性不飽和モノカルボン酸((メタ)アクリル酸、クロトン酸等)等の単量体、及びそれらの塩が挙げられ、中でもマレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル酸等を用いることが好ましく、更には、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸塩、無水マレイン酸を用いることが好ましく、特にはマレイン酸モノアルキルエステルを用いることが好ましい。
上記(II)の方法においては、特に連鎖移動効果の大きいチオールに由来する化合物が有効であり、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2019044048
Figure 2019044048
[但し、上記一般式(1)、(2)において、nは0〜5の整数で、R1、R2、R3はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基(置換基を含んでもよい)を示す。]
Figure 2019044048
[但し、上記一般式(3)において、nは0〜20の整数である。]
また、上記一般式(1)〜(3)で表される化合物の塩も挙げられる。具体的にはメルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
なお、上記カルボキシル基を有する不飽和単量体、ビニルエステル系化合物以外に、その他の一般の単量体を、水溶性を損なわない範囲で含有させて重合を行なっても良く、これらの単量体としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸のアルキルエステル、飽和カルボン酸のアリルエステル、α−オレフィン、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、その他、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等を用いることができる。
また、上記カルボキシル基変性PVA系樹脂の製造方法としては、上記方法に限らず、例えばポリビニルアルコール(部分ケン化物又は完全ケン化物)にジカルボン酸、アルデヒドカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸等の水酸基と反応性のある官能基をもつカルボキシル基含有化合物を後反応させる方法等も実施可能である。
また、スルホン酸基で変性されたスルホン酸変性PVA系樹脂を用いる場合は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の共重合成分を、ビニルエステル系化合物と共重合した後、ケン化する方法、ビニルスルホン酸もしくはその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはその塩等をPVAにマイケル付加させる方法等により製造することができる。
一方、上記未変性PVAを後変性する方法としては、未変性PVAをアセト酢酸エステル化、アセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化、オキシアルキレン化する方法等が挙げられる。
本発明のPVA系樹脂(A)の平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは82〜99.9モル%、特に好ましくは85〜99.5モル%、殊に好ましくは90〜99.0モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象の薬剤のpHによっては経時的にフィルムの溶解性が低下する傾向がある。
特に、本発明において、PVA系樹脂(A)として未変性PVAを用いる場合には、その平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは82〜99モル%、特に好ましくは85〜90モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、水溶性が低下する傾向がある。なお、平均ケン化度が大きすぎても水溶性が低下する傾向がある。
一方、PVA系樹脂(A)として変性PVAを用いる場合には、その平均ケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは85〜99.9モル%、特に好ましくは90〜99.0モル%である。かかる平均ケン化度が小さすぎると、包装対象の薬剤のpHによっては経時的にフィルムの溶解性が低下する傾向がある。なお、平均ケン化度が大きすぎると製膜時の熱履歴により水への溶解性が大きく低下する傾向がある。
さらに、PVA系樹脂(A)として、アニオン性基変性PVA系樹脂を用いる場合には、その平均ケン化度は、85モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは88〜99.9モル%、特に好ましくは90〜99.5モル%、殊に好ましくは90〜99.0モル%である。
また、本発明のPVA系樹脂(A)の20℃における4重量%水溶液粘度は10〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは15〜45mPa・s、特に好ましくは20〜40mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、包装材料としてのフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
本発明において、上記アニオン性基変性PVA系樹脂の変性量は、1〜10モル%であることが好ましく、更に好ましくは2〜9モル%、特に好ましくは2〜8モル%である。かかる変性量が少なすぎると、水に対する溶解性が低下する傾向があり、多すぎるとPVA樹脂の生産性が低下したり、生分解性が低下する傾向があり、また、ブロッキングを引き起こしやすくなる傾向がある。
本発明において、上記のPVA系樹脂(A)はそれぞれ単独で用いることもできるし、また、未変性PVA同士を併用すること、変性PVA同士を併用すること、未変性PVAと変性PVAを併用すること、更に、ケン化度、粘度、変性種、変性量等が異なる2種以上を併用することなどもできる。
本発明においては、PVA系樹脂(A)が、溶解性を長く保持できる点で、変性PVAであることが好ましく、更にはアニオン性基変性PVAであることが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVAであることが好ましい。また、フィルム強度の点からは、アニオン性基変性PVAと未変性PVAを含有することが好ましく、特にはカルボキシル基変性PVAと未変性PVAを含有することが好ましい。
変性PVAと未変性PVAを併用する場合における含有割合(重量比)については、変性PVA/未変性PVA=95/5〜60/40であることが好ましく、更に好ましくは94/6〜70/30、特に好ましくは93/7〜80/20である。かかる含有割合が小さすぎると水溶解性が低下する傾向があり、大きすぎると酸性物質包装後の水溶解性が低下する傾向がある。
また、変性PVAと未変性PVAを併用する場合において、未変性PVAは、特に20℃における4重量%水溶液粘度が、5〜50mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは10〜45mPa・s、特に好ましくは12〜40mPa・s、殊に好ましくは15〜35mPa・sである。かかる粘度が小さすぎると、包装材料としてのフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、一方、大きすぎると製膜時の水溶液粘度が高く生産性が低下する傾向がある。
上記の平均ケン化度は、JIS K 6726 3.5に準拠して測定され、4重量%水溶液粘度は、JIS K 6726 3.11.2に準じて測定される。
〔フィラー(B)〕
本発明の水溶性フィルムにおいては、フィラー(B)を含有させることが必要であり、水シール性改良の点から、有機フィラー(B1)と無機フィラー(B2)の両方を併用することが重要である。
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、フィラー(B)としてハイブリッドフィラー等のその他のフィラー(B3)を含有してもよい。
本発明の有機フィラー(B1)とは、有機化合物で構成された針状・棒状、層状、鱗片状、球状などの任意の形状からなる粒子状物質(1次粒子)、もしくはその粒子状物質の集合体(2次粒子)のことを示す。
かかる有機フィラー(B1)としては、主に高分子化合物の中から選択され、例えば、メラミン系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂の他、澱粉、ポリ乳酸等の生分解性樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、ポリメチル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、澱粉、等の生分解性樹脂が好ましく、特にはPVAに対する分散性の点から澱粉が好ましい。
上記の澱粉としては、例えば、生澱粉(トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、キッサバ澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、モロコシ澱粉、コメ澱粉、マメ澱粉、クズ澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ヒシ澱粉等)、物理的変性澱粉(α−澱粉、分別アミロース、湿熱処理澱粉等)、酵素変性澱粉(加水分解デキストリン、酵素分解デキストリン、アミロース等)、化学分解変性澱粉(酸処理澱粉、次亜塩素酸酸化澱粉、ジアルデヒド澱粉等)、化学変性澱粉誘導体(エステル化澱粉、エーテル化澱粉、カチオン化澱粉、架橋澱粉等)等が挙げられる。中でも入手の容易さや経済性の点から、生澱粉、とりわけトウモロコシ澱粉、コメ澱粉を用いることが好ましい。
有機フィラー(B1)平均粒子径は、5〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは10〜40μm、特に好ましくは15〜35μmである。かかる平均粒子径が小さすぎるとフィルムのブロッキング性が高くなる傾向があり、大きすぎるとフィラー同士が凝集しやすくなり分散性が低下したり、フィルムを成形加工時に引き伸ばした際にピンホールとなる傾向がある。
なお、有機フィラー(B1)の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した値であり、得られた累計体積分布のD50値(累積50%の粒子径)より算出したものである。
上記有機フィラー(B1)の含有量は、PVA系樹脂(A)100重量部に対して0.75〜25重量部であることが好ましく、更には3.5〜20重量部、特には5〜15重量部であることが好ましい。かかる含有量が少なすぎるとブロッキング性が高くなる傾向があり、多すぎるとフィルムの柔軟性や靱性が低下する傾向がある。
また、上記有機フィラー(B1)の含有割合は、フィラー(B)全体に対して70〜94重量%であることが好ましく、更に好ましくは75〜92重量%、特に好ましくは80〜90重量%である。かかる含有割合が少なすぎるとブロッキング性が高くなる傾向があり、多すぎるとフィルムの柔軟性や靱性が低下する傾向がある。
本発明の無機フィラー(B2)とは、無機化合物で構成された針状・棒状、層状、鱗片状、球状などの任意の形状からなる粒子状物質(1次粒子)、もしくはその粒子状物質の集合体(2次粒子)のことを示す。
無機フィラー(B2)としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、珪藻土、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化亜鉛等の酸化物系無機化合物や、タルク、クレー、カオリン、雲母、アスベスト、石膏、グラファイト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、ウイスカー状炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドーソナイト、ドロマイト、チタン酸カリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、加工鉱物繊維、炭素繊維、炭素中空球、ベントナイト、モンモリロナイト、銅粉、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アルミニウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、クロム酸カリウム等が挙げられる。これらは、単独で、もしくは2種以上併せて用いることができる。
なかでも、本発明においては、PVA系樹脂との水素結合作用に優れ、水シール性の向上効果が高くなる点から、酸化物系無機化合物、タルクを用いることが好ましく、更に好ましくは酸化チタン、タルク、シリカを用いることが好ましく、特には、シリカを用いることが好ましい。フィルムの貼り合せ面に存在するシリカ同士の相互作用により水シール時の接着力が向上するものと推測される。
上記のシリカとしては、非晶質の合成シリカが挙げられ、例えば、(I)乾式法(四塩化ケイ素、酸素、水素を燃焼して合成)で得られる乾式シリカ,フュームドシリカ、(II)湿式法(ケイ酸ナトリウムに鉱酸を添加して湿式で合成)で得られる沈降シリカ、シリカゲル(多孔質シリカ)、ゾルゲル法で合成したコロイダルシリカなどが挙げられる。また、これらのシリカ表面にカップリング剤などを修飾したものを用いてもよい。
本発明においては、水シール性向上の点から、細孔構造による吸水補助作用とPVA樹脂との補強作用に優れる多孔質シリカを用いることがより好ましい。
無機フィラー(B2)の平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましく、更に好ましくは2〜15μm、特に好ましくは3〜10μmである。かかる平均粒子径が小さすぎるとフィルムのブロッキング性が高くなる、フィルムの柔軟性や靭性が低下するなどの傾向があり、大きすぎるとシール面に接触する際の無機フィラーの表面積量が少なく水シール性向上の作用効果が得られにくい傾向がある。
なお、無機フィラー(B2)の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した値であり、得られた累計体積分布のD50値(累積50%の粒子径)より算出したものである。
無機フィラー(B2)の細孔状態の指標として、煮アマニ油による吸油量が5〜500ml/100gであることが好ましく、更に好ましくは100〜450ml/100g、特に好ましくは200〜400ml/100gである。かかる吸油量が小さすぎると細孔による吸水補助効果が不足して水シール性が得られにくい傾向があり、かかる吸油量が大きすぎると細孔内での吸水保持量が多過ぎて水シール性が低下する傾向がある。
上記のアマニ油による吸油量は、JIS K 5101−13−2に準拠して測定される。
上記無機フィラー(B2)の含有量は、PVA系樹脂(A)100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.8〜4重量部、特に好ましくは1〜2.5重量部である。かかる含有量が少なすぎると水シール性が低下する傾向があり、多すぎるとフィルム柔軟性や靱性が低下する傾向がある。
また、上記有機フィラー(B2)の含有割合は、フィラー(B)全体に対して5〜20重量%であることが好ましく、更に好ましくは6〜18重量%、特に好ましくは8〜17重量%である。かかる含有割合が少なすぎると水シール性が低下する傾向があり、多すぎるとフィルムの柔軟性や靱性が低下する傾向がある。
本発明においては、有機フィラー(B1)と無機フィラー(B2)の含有比率(重量比:B1/B2)が4〜15であることが必要であり、好ましくは4.5〜13、特に好ましくは5〜10である。無機フィラー(B2)に対する有機フィラー(B1)の含有量が小さすぎると、フィルムの柔軟性や靱性が低下して、良好な包装体が得られないこととなり、無機フィラー(B2)に対する有機フィラー(B1)の含有量が大きすぎるとフィルム表面で分散した無機フィラー間の距離が離れ過ぎて水シール性が低下することとなる。
また、上記フィラー(B)の含有量が、PVA系樹脂(A)100重量部に対して1〜25重量部であることが必要であり、好ましくは3.5〜20重量部、更に好ましくは4〜15重量部、特に好ましくは5〜10重量部である。かかる含有量が少なすぎると耐ブロッキング性が低下することとなり、多すぎるとフィルムの柔軟性や靱性が不足することとなる。
さらに、フィラー(B)全体に対して、有機フィラー(B1)及び無機フィラー(B2)の合計量が85重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上、殊に好ましくはフィラー(B)全体が上記有機フィラー(B1)及び無機フィラー(B2)のみからなる場合である。かかる有機フィラー(B1)及び無機フィラー(B2)の合計量が少なすぎると水シール性の改良効果が低下する傾向がある。
さらに、本発明においては、有機フィラー(B1)と無機フィラー(B2)の平均粒子径比率(B1/B2)が0.05〜50であることが好ましい。更には、有機フィラー(B1)の平均粒子径が無機フィラー(B2)の平均粒子径より大きいことがより好ましく、平均粒子径比率(B1/B2)が特に好ましくは1.5〜10、殊に好ましくは2.5〜7である。平均粒径比率(B1/B2)が小さすぎると無機フィラー(B2)の分散性が低下し、水シール性の改良効果が低下する傾向があり、大きすぎても無機フィラー(B2)の分散性が低下し、水シール性の改良効果が低下する傾向がある。
なお、有機フィラー(B1)や無機フィラー(B2)として2種以上を用いる場合における平均粒子径は、それらの平均粒子径の平均値を有機フィラー(B1)または無機フィラー(B2)の平均粒子径とする。
本発明においては、さらに可塑剤(C)を含有させることが薬剤包装体とした際に水溶性フィルムに柔軟性を持たせる点で好ましい。可塑剤(C)は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができるが、特には、2種以上を併用することが、包装体とした場合のフィルム自身の強靭さ、液体洗剤用の包装体とした際の経時的な形状安定性の点で好ましい。
かかる可塑剤(C)を2種以上併用する場合、融点が80℃以上である多価アルコール(C1)(以下、「可塑剤(C1)」と略記することがある。)、および融点が50℃以下である多価アルコール(C2)(以下、「可塑剤(C2)」と略記することがある。)を用いることが、水溶性フィルム製造時や包装体製造時の強靭さ及び液体薬剤用の包装体とした際の経時的な形状安定性の点で好ましい。
上記の融点が80℃以上である多価アルコール(C1)、すなわち可塑剤(C1)としては、糖アルコール、単糖類、多糖類の多くが適用可能であるが、なかでも、例えば、サリチルアルコール(83℃)、カテコール(105℃)、レゾルシノール(110℃)、ヒドロキノン(172℃)、ビスフェノールA(158℃)、ビスフェノールF(162℃)、ネオペンチルグリコール(127℃)等の2価アルコール、フロログルシノール(218℃)等の3価アルコール、エリスリトール(121℃)、トレイトール(88℃)、ペンタエリスリトール(260℃)等の4価アルコール、キシリトール(92℃)、アラビトール(103℃)、フシトール(153℃)、グルコース(146℃)、フルクトース(104℃)等の5価アルコール、マンニトール(166℃)、ソルビトール(95℃)、イノシトール(225℃)等の6価アルコール、ラクチトール(146℃)、スクロース(186℃)、トレハロース(97℃)等の8価アルコール、マルチトール(145℃)等の9価以上のアルコールがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、上記( )内は、各化合物の融点を示す。
上記のなかでも、水溶性フィルムの引張強度の点で融点が85℃以上、特には90℃以上のものが好ましい。なお、融点の上限は通常300℃、特には200℃が好ましい。
更に、本発明では、可塑剤(C1)のなかでも、1分子中の水酸基の数が4個以上であることがPVA系樹脂との相溶性の点で好ましく、更に好ましくは5〜10個、特に好ましくは6〜8個であり、具体的には、例えば、ソルビトール、スクロース、トレハロース等が好適なものとしてあげられる。
また、本発明においては、可塑剤(C1)として、水溶性フィルムの強靭さの点で、分子量が150以上であることが好ましく、更には160〜500、特には180〜400であることが好ましく、具体的には、例えば、ソルビトール、スクロース等が好適なものとしてあげられる。
一方、融点が50℃以下である多価アルコール(C2)、すなわち可塑剤(C2)としては、脂肪族系アルコールの多くが適用可能であり、例えば、好ましくはエチレングリコール(−13℃)、ジエチレングリコール(−11℃)、トリエチレングリコール(−7℃)、プロピレングリコール(−59℃)、テトラエチレングリコール(−5.6℃)、1,3−プロパンジオール(−27℃)、1,4−ブタンジオール(20℃)、1,6−ヘキサンジオール(40℃)、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール等の2価アルコール、グリセリン(18℃)、ジグリセリン、トリエタノールアミン(21℃)等の3価以上のアルコールがあげられる。そして、水溶性フィルムの柔軟性の点で融点が30℃以下、特には20℃以下のものが好ましい。なお、融点の下限は通常−80℃であり、好ましくは−10℃、特に好ましくは0℃である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。なお、上記( )内は、各化合物の融点を示す。
更に、本発明では、可塑剤(C2)のなかでも、1分子中の水酸基の数が4個以下、特には3個以下であることが室温(25℃)近傍での柔軟性を制御しやすい点で好ましく、具体的には、例えば、グリセリン等が好適である。
また、本発明においては、可塑剤(C2)として、柔軟性を制御しやすい点で、分子量が100以下であることが好ましく、更には50〜100、特には60〜95であることが好ましく、具体的には、例えば、グリセリン等が好適である。
本発明においては、上記の可塑剤(C1)や(C2)以外の可塑剤(C3)を併用することもでき、かかる可塑剤(C3)としては、例えば、トリメチロールプロパン(58℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、カルビトール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類、ジブチルエーテル等のエーテル類、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ソルビン酸、クエン酸、アジピン酸等のカルボン酸類、シクロヘキサノン等のケトン類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、イミダゾール化合物等のアミン類、アラニン、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、システイン等のアミノ酸類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明では、可塑剤(C)の含有量は、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、20重量部以上であることが好ましく、特には25〜70重量部、更には30〜60重量部、殊には35〜50重量部であることが好ましい。かかる可塑剤(C)の含有量が少なすぎると液体薬剤等の液体を包装して包装体とした場合に経時で水溶性フィルムの強靭さを損なう傾向がある。なお、多すぎると機械強度が低下する傾向にある。
また、上記の可塑剤(C1)と可塑剤(C2)を併用する場合について、その含有重量割合(C1/C2)が0.1〜5であることが好ましく、特には0.35〜4.5、更には0.4〜4、殊には0.5〜3.5、殊には0.7〜3であることが好ましい。かかる含有重量割合が小さすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎる傾向があり、低温でのシール強度が低下する傾向があり、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、大きすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向がある。
また、上記の可塑剤(C1)と可塑剤(C2)の含有量としては、PVA系樹脂(A)100重量部に対して、可塑剤(C1)が5〜40重量部、更には8〜30重量部、特には10〜25重量部であることが好ましく、可塑剤(C2)が5〜40重量部、更には10〜35重量部、特には15〜30重量部であることが好ましい。
かかる可塑剤(C1)が少なすぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎて、低湿環境下でもろくなる傾向がある。また、可塑剤(C2)が少なすぎると水溶性フィルムが硬くなりすぎる傾向があり、低湿環境下でもろくなる傾向があり、多すぎると水溶性フィルムが柔らかくなりすぎて、ブロッキングが生じやすくなる傾向がある。
更に、可塑剤(C)全体に対して、可塑剤(C1)及び可塑剤(C2)の合計量が70重量%以上であることが好ましく、更には80重量%以上、特には87重量%以上、殊には90重量%以上、更には95重量%以上であることが好ましい。殊に好ましくは可塑剤(C)全体が上記可塑剤(C1)及び可塑剤(C2)のみからなる場合である。かかる可塑剤(C1)と(C2)の合計量が少なすぎると機械強度が低下する傾向がある。
本発明においては、必要に応じて、更に界面活性剤(D)等を含有させることができる。
かかる界面活性剤(D)の含有量については、PVA系樹脂(A)100重量部に対して0.01〜3重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.5重量部、特に好ましくは0.5〜2重量部である。かかる含有量が少なすぎると製膜装置のキャスト面と製膜した水溶性フィルムとの剥離性が低下して生産性が低下する傾向があり、多すぎると水溶性フィルムを包装体とする場合に実施するシール時の接着強度が低下する等の不都合を生じる傾向がある。
なお、本発明においては、発明の目的を阻害しない範囲で、更に他の水溶性高分子(例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)や、香料、防錆剤、着色剤、増量剤、消泡剤、紫外線吸収剤、流動パラフィン類、蛍光増白剤、苦味成分(例えば、安息香酸デナトニウム等)等を含有させることも可能である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、本発明においては、黄変抑制の点で酸化防止剤を配合することが好ましい。かかる酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩、酒石酸、アスコルビン酸、チオ硫酸ナトリウム、カテコール、ロンガリット等が挙げられ、中でも亜硫酸塩、特には亜硫酸ナトリウムが好ましい。かかる配合量はPVA系樹脂(A)100重量部に対して0.1〜10重量部であるが好ましく、更に好ましくは0.2〜5重量部、特に好ましくは0.3〜3重量部である。
<PVA系水溶性フィルムの製造>
本発明においては、上記の通りPVA系樹脂(A)、好ましくは更に可塑剤(B)、必要に応じて更に、フィラー(C)及び界面活性剤(D)等を含有してなるPVA系樹脂組成物を得て、かかるPVA系樹脂組成物を、[I]溶解工程、[II]製膜工程、[III]巻取工程、の順序で製造してPVA系水溶性フィルムとする。
〔[I]溶解工程〕
溶解工程では、上記PVA系樹脂組成物を水で溶解または分散して、製膜原料となる水溶液または水分散液を調製する。
上記PVA系樹脂組成物を水に溶解する際の溶解方法としては、通常、常温溶解、高温溶解、加圧溶解等が採用され、中でも、未溶解物が少なく、生産性に優れる点から高温溶解、加圧溶解が好ましい。
溶解温度としては、高温溶解の場合には、通常80〜100℃、好ましくは90〜100℃であり、加圧溶解の場合には、通常80〜130℃、好ましくは90〜120℃である。
溶解時間としては、溶解温度、溶解時の圧力により適宜調整すればよいが、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間、更に好ましくは3〜10時間である。溶解時間が短すぎると未溶解物が残る傾向にあり、長すぎると生産性が低下する傾向にある。
また、溶解工程において、撹拌翼としては、例えば、パドル、フルゾーン、マックスブレンド、ツイスター、アンカー、リボン、プロペラ等が挙げられる。
更に、溶解した後、得られたPVA系樹脂水溶液に対して脱泡処理が行われるが、かかる脱泡方法としては、例えば、静置脱泡、真空脱泡、二軸押出脱泡等が挙げられる。中でも静置脱泡、二軸押出脱泡が好ましい。
静置脱泡の温度としては、通常50〜100℃、好ましくは70〜95℃であり、脱泡時間は、通常2〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
かかる製膜原料の固形分濃度は、10〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは15〜40重量%、特に好ましくは20〜35重量%である。かかる濃度が低すぎるとフィルムの生産性が低下する傾向があり、高すぎると粘度が高くなりすぎ、製膜原料の脱泡に時間を要したり、フィルム製膜時にダイラインが発生したりする傾向がある。
〔[II]製膜工程〕
製膜工程では、溶解工程で調製した製膜原料を膜状に賦形し、必要に応じて乾燥処理を施すことで、含水率15%未満にしたPVA系水溶性フィルムに調整する。
製膜に当たっては、例えば、溶融押出法や流延法等の方法を採用することができ、膜厚の精度の点で流延法が好ましい。
流延法を行うに際しては、例えば、上記製膜原料を、T型スリットダイ等のスリットから吐出させ、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面に流延し、乾燥することにより本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
T型スリットダイ等の製膜原料吐出部における製膜原料の温度は、60〜98℃であることが好ましく、特に好ましくは70〜95℃である。かかる温度が低すぎると製膜原料の粘度が増加してPVA系水溶性フィルムの生産性が低下する傾向があり、高すぎると発泡等が生じる傾向がある。
流延後、キャスト面上で製膜原料を乾燥させるのであるが、乾燥にあたっては、通常、エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等のキャスト面を加熱することにより行う。上記キャスト面の表面温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に好ましくは60〜140℃である。かかる表面温度が低すぎると、乾燥不足でフィルムの含水率が高くなり、ブロッキングしやすくなる傾向があり、高すぎると製膜原料が発泡し、製膜不良となる傾向がある。
また、製膜時の乾燥においては、熱ロールによる乾燥、フローティングドライヤーを用いてフィルムに熱風を吹き付ける乾燥や遠赤外線装置、誘電加熱装置による乾燥等を併用することもできる。
上記の乾燥処理で製膜原料を含水率15%以下になるまで乾燥した後、キャスト面から剥離すること(キャスト面から剥離後に更に熱ロールによる乾燥を行う場合は、乾燥熱ロールから剥離すること)でPVA系水溶性フィルムが得られる。キャスト面(または、乾燥熱ロール)から剥離されたPVA系水溶性フィルムは、10〜35℃の環境下で冷却されながら搬送される。
〔[III]巻取工程〕
巻取工程では、製膜工程でキャスト面等から剥離したPVA系水溶性フィルムを搬送して巻き取り、芯管(S1)に巻き取ることによりフィルムロールに調整する。
得られたフィルムロールは、そのまま製品として供給することもできるが、好ましくは所望サイズのPVA系水溶性フィルム幅に見合った長さの芯管(S2)に巻き取り直し、所望のサイズのフィルムロールとして供給することもできる。
PVA系水溶性フィルムを巻き取る芯管(S1)は円筒状のもので、その材質は金属、プラスチック等、適宜選択できるが、堅牢性、強度の点で金属であることが好ましい。
芯管(S1)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S1)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは2〜25mmである。
芯管(S1)の長さは、PVA系水溶性フィルムの幅より長くすることが必要で、フィルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
また、芯管(S2)は円筒状のもので、その材質は紙や金属、プラスチック等、適宜選択できるが、軽量化及び取扱いの点で紙であることが好ましい。
芯管(S2)の内径は、3〜30cmが好ましく、より好ましくは10〜20cmである。
芯管(S2)の肉厚は、1〜30mmが好ましく、より好ましくは3〜25mmである。
芯管(S2)の長さは、製品のPVA系水溶性フィルム幅と同等或いはそれ以上の長さのものであればよく、好ましくは同等〜50cm長いものである。
芯管(S2)に巻き取る際には、PVA系水溶性フィルムは所望の幅にスリットされる。
かかるスリットに当たっては、シェア刃やレザー刃などを用いてスリットされるが、好ましくはシェア刃でスリットすることがスリット断面の平滑性の点で好ましい。
なお、フィルムのカール防止の点からは、[I]製膜工程の後に更に熱処理を行うことも好ましい。
熱処理については、通常熱ロールにて行うことができるが、その他、フローティングドライヤーを用いてフィルムに熱風を吹き付ける熱処理や遠赤外線装置、誘電加熱装置による熱処理等も挙げられる。本発明においては、熱ロールを用いて行うことが、生産性の点で好ましい。なお、熱ロールは、複数本用いることもできる。
具体的に、熱処理を行う際にフィルムを熱処理する温度(熱処理装置の温度)としては、50〜120℃が好ましく、更に好ましくは60〜115℃、特に好ましくは70〜110℃である。かかる温度が低すぎるとカール改善効果が得られ難い傾向があり、高すぎると溶解性が低下したり、包装体の成形時、シール性(特には水シール性)が低下する傾向がある。
熱処理時間としては、熱処理温度により適宜調整すればよいが、0.01〜30秒であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜25秒、特に好ましくは0.1〜20秒である。短すぎるとカール抑制効果が低い傾向があり、長すぎるとカールは抑制されるがフィルムの溶解性が低下する傾向がある。
かかる熱処理温度と時間は、フィルム溶解性低下の抑制と生産性を向上させる観点から高温で短時間の熱処理を行うことが好ましく、好ましくは90〜120℃で0.01〜5秒、特に好ましくは100〜115℃で0.05〜3秒である。
熱処理の際には、2面あるフィルム面のうち、キャスト面(エンドレスベルトやドラムロールの金属表面等)と接触するフィルム面側(以下、β面側と記載することがある。)とは反対のフィルム面側(以下、α面側と記載することがある。)に熱処理を施すことが好ましく、特に好ましくはフィルムのα面が熱ロール(熱処理装置部分)と接触することが、フィルム表裏の熱履歴が近似し、フィルムのカール抑制の点で好ましい。
また、本発明の水溶性フィルムの表面はプレーンであってもよいが、耐ブロッキング性、加工時の滑り性、製品同士の密着性軽減、及び外観の点から、水溶性フィルムの片面或いは両面にエンボス模様や微細凹凸模様、特殊彫刻柄等の凹凸加工を施しておくことも好ましい。
かかる凹凸加工に際しては、加工温度は、通常60〜150℃であり、好ましくは80〜140℃である。加工圧力は、通常2〜8MPa、好ましくは3〜7MPaである。加工時間は、上記加工圧力、製膜速度にもよるが、通常0.01〜5秒であり、好ましくは0.1〜3秒である。
また、必要に応じて、凹凸加工処理の後に、熱によるフィルムの意図しない延伸を防止するために、冷却処理を施してもよい。
本発明において、上記PVA系水溶性フィルムの製造は、10〜35℃、特には15〜30℃の環境下にて行うことが好ましく、湿度については、通常70%RH以下であることが好ましい。
このようにして、本発明のPVA系水溶性フィルムを製造することができる。
PVA系水溶性フィルムの厚みとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは10〜120μmであり、更に好ましくは15〜110μm、特に好ましくは20〜100μmである。かかる厚みが薄すぎるとフィルムの機械的強度が低下する傾向があり、厚すぎると水への溶解速度が遅くなる傾向があり、製膜効率も低下する傾向がある。
PVA系水溶性フィルムの幅としては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは300〜5000mmであり、更に好ましくは500〜4000mm、特に好ましくは600〜3000mmである。かかる幅が狭すぎると生産効率が低下する傾向があり、広すぎると弛みや膜厚の制御が困難になる傾向がある。
PVA系水溶性フィルムの長さとしては、用途等により適宜選択されるものであるが、好ましくは100〜20000mであり、更に好ましくは500〜15000m、特に好ましくは1000〜10000mである。かかる長さが短すぎるとフィルムの切り替えに手間を要する傾向があり、長すぎると巻き締まりによる外観不良や重量が重くなりすぎる傾向がある。
また、本発明においては、得られたPVA系水溶性フィルムの含水率は、機械強度やシール性の点で3〜15重量%であることが好ましく、更に好ましくは5〜14重量、特に好ましくは6〜13重量%である。かかる含水率が低すぎるとフィルムが硬くなりすぎる傾向があり、高すぎるとブロッキングが生じやすくなる傾向がある。かかる含水率に調整するに際しては、乾燥条件や調湿条件を適宜設定することにより達成することができる。
なお、上記含水率は、JIS K 6726 3.4に準拠して測定され、得られた揮発分の値を含水率とする。
本発明においては、得られたフィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装するのであるが、かかるフィルムとしては特に限定されないが、透湿度が10g/m2/日(JIS Z 0208に準じて測定)以下のものが使用可能である。具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレン、ガラス蒸着ポリエステル、等の単層フィルム、あるいはこれらの積層フィルム、又は割布、紙、不織布との積層フィルム等が挙げられる。積層フィルムとしては、例えば、ガラス蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フィルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレンとポリエチレンの積層フィルム等が例示される。
かかるフィルムは、帯電防止処理しておくことも異物の混入を防ぐ点で好ましく、帯電防止剤はフィルムに練り込まれていても、表面にコーティングされていても良い。練り込みの場合は樹脂に対して0.01〜5重量%程度、表面コーティングの場合は0.01〜1g/m2程度の帯電防止剤が使用される。
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
次に、フィルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルムで包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フィルムを包装するのであるが、かかるフィルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム箔とポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミニウム蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミニウム蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)、アルミナ蒸着フィルムと耐湿性プラスチックフィルムの積層フィルム(例えばアルミナ蒸着ポリエステルフィルムとポリエチレンフィルムの積層フィルム)等が挙げられ、本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフィルムの積層フィルム、アルミニウム蒸着フィルムとポリオレフィンフィルムの積層フィルムが有用で、特には延伸ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフィルムの構成よりなる積層フィルム、延伸ポリプロピレンフィルム/低密度ポリエチレンフィルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フィルム等が有用である。
包装に当たっては内側の水蒸気バリヤー性樹脂の包装フィルム、外側のアルミニウム素材からなる包装フィルムで順次包装を行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めばよい。
本発明のフィルムロールには、端部の傷付きやゴミ等の異物の付着を防止するため、直接、あるいは包装の後、フィルムロールの両端部に芯管貫通孔をもつ保護パットを装着させることができる。
保護パットの形状は、フィルムロールにあわせて、円盤状のシート、フィルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのが良い。又、湿度からフィルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層又は混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
又、上記乾燥剤入りの保護パッドとしては、例えば、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブス、糖類、特に浸透圧の高い糖類、吸水性樹脂等の乾燥剤または吸水剤を天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥した吸湿層としたもの、これらの吸湿剤または吸水剤を上記の成形可能な材料やポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、テフロン(登録商標)フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムでサンドイッチ状に挟んだりしたものが挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
かかる手段によって包装されたフィルムロールは、芯管の両端突出部にブラケット(支持板)を設けたり、該両端突出部を架台に載置したりして支えられ、接地することなく、いわゆる宙に浮いた状態で保管や輸送が行われることが好ましい。フィルムの幅が比較的小さい場合はブラケットが、フィルムの幅が比較的大きい場合は架台が使用される。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの4辺がフィルムロールの直径より大きいものであればよい。
そして、前記フィルムロールの両端の芯管突出部に一対のブラケットを互いに向かい合うように直立して配置、嵌合させフィルムロールに設けられる。嵌合は、ブラケットの中央部に芯管直径よりやや大きめのくりぬき穴を設けたり、芯管が挿入し易いようにブラケットの上部から中心部までU字型にくりぬかれていても良い。
ブラケットで支持されたフィルムロールは段ボール箱等のカートンに収納されて保管や輸送がされるが、収納時の作業を円滑にするため矩形のブラケットを使用するときはその四隅を切り落として置くことが好ましい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
包装したフィルムロールの保管または輸送にあたっては、極端な高温や低温、低湿度、高湿度条件を避けるのが望ましく、具体的には温度10〜30℃、湿度40〜75%RHであるのが良い。
かくして得られるPVA系水溶性フィルムは包装用途に有用であり、中でも薬剤等の個包装用途に有用である。特に本発明のPVA系水溶性フィルムは水シール性に優れるため、液体洗剤の個包装用途に有用である。
<薬剤包装体>
本発明の薬剤包装体は、PVA系樹脂(A)を主成分とする水溶性フィルムからなる薬剤包装体であり、水溶性フィルムで薬剤を内包し包装体とする。
内包する薬剤としては、特に制限はなく、アルカリ性、中性、酸性のいずれであっても良く、薬剤の形状も顆粒、錠剤、粉体、粉末、液状等いずれの形状でも良いが、特には、水に溶解又は分散させて用いる薬剤が好ましく、とりわけ液体洗剤を包装するのに有用である。
上記薬剤包装体は、その表面は、通常平滑であることがあげられるが、耐ブロッキング性、加工時の滑り性、製品(包装体)同士の密着性軽減、及び外観の点から、包装体(PVA系水溶性フィルム)の外表面にエンボス模様や微細凹凸模様、特殊彫刻柄、等の凹凸加工が施されたものであってもよい。
以下、本発明の薬剤包装体の一例である液体洗剤包装体について述べる。
液体洗剤包装体は、保存の際には液体洗剤を内包した形状が保持されている。そして、使用時(洗濯時)には、包装体(水溶性フィルム)が水と接触することにより、包装体が溶解して内包されている液体洗剤が包装体から流出することとなる。
液体洗剤包装体の大きさは、通常長さ10〜50mm、好ましくは20〜40mmである。
また、PVA系水溶性フィルムからなる包装体のフィルムの厚みは、通常10〜120μm、好ましくは15〜110μm、より好ましくは20〜100μmである。
内包される液体洗剤の量は、通常5〜50mL、好ましくは10〜40mLである。
本発明のPVA系水溶性フィルムを用いて、液体洗剤を包装して薬剤包装体とするに際
しては、公知の方法を採用することができる。
例えば、2枚のPVA系水溶性フィルムを用いて貼り合わせることにより製造され、成型装置の下部にある金型の上に、フィルム(ボトムフィルム)を固定し、装置の上部にもフィルム(トップフィルム)を固定する。ボトムフィルムをドライヤーで加熱し、金型に真空成型し、その後、成型されたフィルムに液体洗剤を投入した後、トップフィルムとボトムフィルムを圧着する。圧着した後は真空を解放し、包装体を得ることができる。
フィルムの圧着方法としては、例えば、(1)熱シールする方法、(2)水シールする方法、(3)糊シールする方法などが挙げられ、中でも(2)水シールする方法が汎用的で生産性に優れる点で有利である。
本発明のPVA系水溶性フィルムは、水シール強度に優れるため、水シールする方法に特に好適に用いられる。
液体洗剤としては制限はなく、アルカリ性、中性、酸性のいずれであってもよいが、フィルムの水溶性の点から、水に溶解又は分散させた時のpH値が6〜12であることが好ましく、特には7〜11が好ましい。なお、上記pH値は、JIS K 3362 8.3に準拠して測定される。また、水分量は、JIS K 3362 7.21.3に準じて測定される。
また、液体洗剤の水分量が15重量%以下であることが好ましく、特には0.1〜10重量%、更には0.1〜7重量%であるものが好ましく、水溶性フィルムがゲル化したり不溶化することがなく水溶性に優れることとなる。
液体薬剤は、流動性で、容器に合わせて形を変える液状の薬剤であれば、その粘度は特に限定されないが、好ましくは10〜200mPa・sである。なお、かかる液体薬剤の粘度は、常温下におけるB型回転粘度計にて測定される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない
限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<実施例1>
PVA系樹脂(A)として、カルボキシル基変性PVA(A1)(20℃における4%水溶液粘度22mPa・s、平均ケン化度94モル%、マレイン酸モノメチルエステルによる変性量2.0モル%)90部、未変性PVA(A2)(20℃における4%水溶液粘度18mPa・s、平均ケン化度88モル%)10部、フィラー(B)として、澱粉(B1)(平均粒子径20μm)7部、シリカ(B2)(多孔質シリカ、平均粒子径6μm、吸油量280ml/100g)1部、可塑剤(C)として、ソルビトール(C1)20部、グリセリン(C2)20部、界面活性剤(D)として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩2部、及び水を混合して、溶解処理をし、澱粉およびシリカが分散したPVA水溶液(固形分濃度22%)を得た。
得られたPVA水溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に流延し、105℃の乾燥室を通過させて乾燥し、厚さ80μmのPVA系水溶性フィルムを得た。
上記で得られたPVA系水溶性フィルムについて、下記に示す方法に従いフィルムの物性を測定し評価した。結果を下記の表1に示す。
〔水シール性〕
(測定試験片の調製)
上記で得られたPVA系水溶性フィルムを23℃、40%RHの環境下で24時間調湿した後、フィルムの幅方向における中央部から、一辺が流れ方向と平行となるように50mm×50mmの正方形状にフィルムを切り出し、PVA系水溶性フィルム(I)とした。また、フィルムの幅方向における中央部から、流れ方向と平行な一辺が70mm、幅方向と平行な一辺が15mmの長方形となるようにフィルムを切り出し、PVA系水溶性フィルム(II)とした。
30cm角のガラス板上に、上記PVA系水溶性フィルム(I)のキャスト面を上側にして載せ、水を十分に含ませた綿棒(株式会社ジャストネオ製抗菌綿棒)でPVA系水溶性フィルム(I)に直径1cmの円形に水を1g/cm2塗布した。その後、もう1枚のPVA系水溶性フィルム(II)のキャスト面側を、水で濡らした後5秒後のPVA系水溶性フィルム(I)の上に載せ、85gの重りをゆっくりのせてPVA系フィルム2枚を水シール(接着)した。
(水シール部分の剥離強度測定)
上記で水シールしたPVA系水溶性フィルムを10秒間静置した後、下部のPVA系フィルム(I)を基板ガラスに固定し、上部のPVA系フィルム(II)の端面にバネ測りを取り付け、上方に2mm/秒の速さで引っ張ることで、剥離強度(g/15mm)を測定し、下記の通り評価した。水シール部分の剥離強度が大きいほど、シール部分の密着性が高く、水シール性に優れる。なお、測定は、23℃、40%RH環境下で行った。結果を下記表1に示す。
(評価基準)
○・・・140g/15mm以上
×・・・140g/15mm未満
<8%弾性率>
上記で得られたPVA系水溶性フィルムの8%弾性率を、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定した。即ち、PVA系フィルムを測定前に23℃、50%RH調湿条件下に24時間放置した後、この環境下で島津製作所社製のオートグラフAGS−H(解析ソフトは島津製作所社製 Factory SHiKiBU2000)を用いて、引張速度200mm/分で測定した(フィルム幅15mm、チャック間距離50mm)。結果を下記表1に示す。
フィルムの弾性率は包装体の張りや外観に影響し、弾性率が低すぎるとフィルムの柔軟性や靱性が低下し、張りのある外観良好な包装体が得られにくくなる。
(評価基準)
〔8%弾性率〕
○・・・20MPa以上
×・・・20MPa未満
Figure 2019044048
上記表1の結果より、実施例1、2の水溶性フィルムは、有機フィラーと無機フィラーの含有比率およびフィラーの含有量が特定範囲を満足するものであるため、水シール性に優れており、さらに水溶性フィルムの8%弾性率が高く機械特性にも優れ、これを用いて包装体を成型した際には張りのある良好な包装体が得られるものであることがわかる。
これに対して、有機フィラーと無機フィラーの含有比率が特定範囲を満足しない比較例1〜4の水溶性フィルムにおいては、水シール性に劣ることがわかる。
本発明の水溶性フィルムは、水シール性に優れたものであり、さらに、弾性率が高く機械特性にも優れるため、これを用いて包装体を成型した際に、張りのある良好な包装体が得ることができる。このため、各種薬剤の包装用途に用いることができ、とりわけ液体洗剤の個包装用途に有用である。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂(A)およびフィラーを(B)を含有する水溶性フィルムであって、フィラー(B)として有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)を含有し、有機フィラー(B1)および無機フィラー(B2)の含有比率(重量比:B1/B2)が4〜15であり、かつフィラー(B)の含有量がポリビニルアルコール系樹脂(A)100重量部に対して1〜25重量部であることを特徴とする水溶性フィルム。
  2. 無機フィラー(B2)が酸化物系無機化合物であることを特徴とする請求項1記載の水溶性フィルム。
  3. 有機フィラー(B1)と無機フィラー(B2)の平均粒子径比率(B1/B2)が0.05〜50であることを特徴とする請求項1または2記載の水溶性フィルム。
  4. 薬剤包装に用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水溶性フィルム。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の水溶性フィルムで、液体洗剤を包装してなることを特徴とする薬剤包装体。
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