JPH11106528A - ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

ラミネート用ポリエステルフィルム及びその製造方法

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JPH11106528A
JPH11106528A JP9274240A JP27424097A JPH11106528A JP H11106528 A JPH11106528 A JP H11106528A JP 9274240 A JP9274240 A JP 9274240A JP 27424097 A JP27424097 A JP 27424097A JP H11106528 A JPH11106528 A JP H11106528A
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JP
Japan
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polyester
film
intrinsic viscosity
polyester film
mixture
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JP9274240A
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English (en)
Inventor
Junichi Kono
順一 河野
Kazuhisa Kondo
一寿 近藤
Minoru Kishida
稔 岸田
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Nippon Ester Co Ltd
Unitika Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製缶工程でのフィルムの耐スクラッチ性、缶
の生産性に優れ、かつ、耐熱性及び保香性(耐フレーバ
ー性)に優れたポリエステルフィルム及びその製造方
法、ならびにこのフィルムと金属板等をラミネートした
ラミネート板、さらにはこのラミネート板を用いた優れ
た性能を有するレトルト処理容器を提供する。 【解決手段】 極限粘度が0.60以上のポリエチレン
テレフタレート(A)50〜95重量%と、極限粘度が
0.60〜1.0のポリエステル(B)50〜5重量%
との溶融混合物からなるポリエステルフィルムであっ
て、ポリエステル(B)が、酸成分がイソフタル酸20
〜100モル%とテレフタル酸80〜0モル%からな
り、グリコール成分が主としてエチレングリコールから
なるものであり、溶融混合物の共重合連鎖指数Rが3〜
150であることを特徴とするポリエステルフィルム。 R=4×P(T-E-T) ×P(I-E-I) /P(T-E-I)2

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)とポリエチレンイソフタレート
(PEI)系ポリエステルとの溶融混合物からなる、製
缶工程でのフィルムの耐スクラッチ性、缶の生産性に優
れ、かつ、耐熱性及び保香性(耐フレーバー性)に優れ
たポリエステルフィルムとその製造方法、及びこのフィ
ルムと金属板等とラミネートされたラミネート板、並び
にこのラミネート板を成形してなる飲食品用レトルト処
理容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PETは機械的強度、化学的安定性、透
明性などに優れており、また軽量、安価であるために、
各種のシート、フィルム、容器などの成形品として幅広
く用いられている。近年は特に、コンビニエンスストア
や自動販売機の普及にともなって、炭酸飲料、果汁飲食
品、コーヒー飲料やインスタント食品などのレトルト処
理飲食品の伸びが著しい。これらは衛生面から飲料や食
品を容器に充填してレトルト殺菌処理(通常120〜130
℃のスチーム処理)したり、暖かい状態で食べるために
容器に入れたまま加熱処理するものが多い。
【0003】従来、金属缶などの飲食品用容器の内面及
び外面には、内容物の風味やフレーバー性を保つと同時
に、容器素材の腐食を防止するために溶剤型塗料が塗布
されていたが、食料品を充填した場合に、塗膜に残存す
る微量の揮発成分が食料品に移行し、フレーバー性に悪
影響を及ぼすという問題があった。この問題を改善する
ために、従来の塗装に代えてポリエステルフィルムを金
属板にラミネートしたラミネート金属板を成形した金属
缶が上市されている。これは、耐フレーバー性に優れ、
内面塗装工程や水洗工程が不要であるため、産業廃棄物
が少なく環境保護の面で好ましく、しかもコストダウン
を図れるということで注目されてる。
【0004】しかし、通常のPETフィルムでは、例え
ば製缶工程においてラミネート金属板を移送するときや
巻締め加工などの加工工程で、フィルム表面にスクラッ
チ傷が発生し商品価値が落ちるという問題があった(耐
スクラッチ性)。この耐スクラッチ性を改良する方法と
して、ポリエステルフィルムの表面に潤滑剤や耐スクラ
ッチ性に優れた有機物のコーティング被膜を形成する方
法が提案されている。有機物の被膜をコーティングする
ことにより耐スクラッチ性は改良されるが、コーティン
グ工程で有機溶剤を使用する必要があり、その有機溶剤
のごく一部が被膜に残存し、食料品のフレーバー性に悪
影響を与えるという問題がある。
【0005】また、ポリエステルフィルムを用いて缶の
継目まで完全に被覆するには、熱収縮の大きいフィルム
であることが必要であり、例えば、イソフタル酸(IP
A)やフタル酸を共重合したPETからなるフィルムが
使用されている(特開平2-57339 号など)。IPA共重
合PETは耐スクラッチ性は良好であるが、コポリエス
テルとPETとのエステル交換反応が起こりすぎて耐熱
性が低下し、レトルト処理を行った場合にフィルムが収
縮しすぎて亀裂が入ることがあるという問題点があっ
た。すなわち、コポリエステルのIPA共重合割合にも
よるが、フィルムの耐熱性はエステル交換反応が起こら
ないほどよく、また、容器の耐スクラッチ性は、ある程
度エステル交換反応が起こることによって向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の欠点
を解消し、PETとPEI系ポリエステルとの溶融混合
物からなる、製缶工程でのフィルムの耐スクラッチ性、
缶の生産性に優れ、かつ、耐熱性及び保香性(耐フレー
バー性)に優れたポリエステルフィルムとその製造方
法、及びこのフィルムと金属板等とラミネートされたラ
ミネート板、並びにこのラミネート板を成形してなる飲
食品用レトルト処理容器を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、PETとPEI系
ポリエステルとの溶融混合物を原料として用い、溶融混
合物の共重合連鎖分布を特有の範囲に制御することによ
り、この目的が達成されることを見いだし、本発明に到
達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、次のとおりで
ある。 1.PET(A)50〜95重量%と、ポリエステル(B)
50〜5重量%との溶融混合物からなるポリエステルフィ
ルムであって、ポリエステル(B)が、酸成分がイソフ
タル酸20〜100 モル%とテレフタル酸 80 〜0モル%か
らなり、グリコール成分が主としてエチレングリコール
からなるものであり、溶融混合物の共重合連鎖指数Rが
3〜150 であることを特徴とするポリエステルフィル
ム。 R=4×P(T-E-T) ×P(I-E-I) /P(T-E-I)2 ここで、Tはテレフタル酸(TPA)残基、Eはエチレ
ングリコール(EG)残基、Iはイソフタル酸(IP
A)残基であり、P(T-E-T) はT-E-T からなる共重合連
鎖ユニットのモル分率、P(T-E-I) はT-E-I からなる共
重合連鎖ユニットのモル分率、およびP(I-E-I) はI-E-
I からなる共重合連鎖ユニットのモル分率を示す。 2.極限粘度が0.60以上のPET(A)50〜95重量%
と、極限粘度が0.60〜1.0のポリエステル(B)50〜5
重量%との混合物を、押出温度260 〜300 ℃、滞留時間
3〜30分の条件でシート状に溶融押出した後、少なくと
も一方向に延伸することを特徴とする上記1記載のポリ
エステルフィルムの製造法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリエステルフィルムは、PET(A)
とPEI系ポリエステル(B)との溶融混合物からな
る。本発明におけるPET(A)は、フィルムの強度を
高める役割を担うものであり、フィルム用として使用さ
れているもの、すなわち、溶融重合で得られた極限粘度
0.60〜0.75程度のPETや、溶融重合で得られた極限粘
度0.4 〜0.7 程度のPETを固相重合(または固相熱処
理)して、極限粘度を0.60以上とし、アルデヒド類やオ
リゴマーの含有量を低減したものを用いることができ
る。
【0010】ポリエステル(B)は、耐スクラッチ性を
向上させる作用をするものであり、IPA20〜100 モル
%とTPA 80 〜0モル%の酸成分と、グリコール成分
が主としてEGからなるものである。
【0011】ポリエステル(B)におけるIPA成分の
割合が全酸成分の20モル%未満であると、フィルムの耐
スクラッチ性が低下する。ポリエステル(B)における
IPA成分の割合は、好ましくは全酸成分の30〜95モル
%、最適には50〜90モル%とするのが適当である。
【0012】ポリエステル(B)において、EGと併用
することのできる好ましいグリコールとしては、例えば
1,3-ビス(β- ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビ
ス(β- ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-シクロヘ
キサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタン
ジオール、1,3-プロパンジオール、ポリエチレングリコ
ール、あるいは2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニ
ル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)
メタン、ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)エーテ
ル、ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)スルホキシ
ド等のビスフェノール類のエチレンオキサイド付加体等
であり、これらを2種類以上併用して用いても差し支え
ない。
【0013】また、ポリエステル(B)の極限粘度は0.
60〜1.0 、好ましくは0.7 〜0.9 である。ポリエステル
(B)の極限粘度が0.60未満のものでは、フィルムの耐
スクラッチ性が低下することがあり、極限粘度が1.0 を
越えるものでは、エチレンイソフタレート単位の環状2
量体(DEI)の含有量が多くなり、好ましくない。ポ
リエステル(B)は、PETに比べて非晶性になりやす
いため、単独で用いると十分な耐熱性を有するフィルム
とならない場合がある。本発明においては、PET
(A)とポリエステル(B)とを特定の割合で配合し、
特定の条件で溶融混合し、溶融混合物の共重合連鎖分布
を適切に制御することにより、上記の各種の問題が解消
すると同時に、優れた耐スクラッチ性を有するフィルム
が得られるのである。
【0014】すなわち、本発明においては、PET
(A)50〜95重量%とポリエステル(B)50〜5重量%
を溶融混合する。ポリエステル(B)の割合が50重量%
を超えると、実用に供することのできる耐熱性を有する
フィルムを得ることが困難であり、一方、この割合が5
重量%未満であると、十分な耐スクラッチ性を有するフ
ィルムを得ることができない。ポリエステル(B)の割
合は、好ましくは40〜10重量%とするのが適当である。
【0015】また、本発明のフィルムの共重合連鎖指数
Rは3〜150 の範囲とすることが必要である。フィルム
の耐熱性の程度は、溶融混合物中のIPA成分の割合と
Rによって左右され、PET(A)とポリエステル
(B)とを上記のような割合で用い、溶融混合物のRを
3〜150 の範囲とすることによって、耐熱性が良好にな
るのである。また、このような溶融混合物は、PET
(A)とポリエステル(B)とがよくエステル交換され
ているほど、優れた耐スクラッチ性を示す。Rが3未満
であると、ランダム共重合性が高く、耐熱性が低下し、
一方、Rが150 を超えると、エステル交換反応が十分で
なく、耐スクラッチ性が低下する。Rは好ましくは5〜
125 、より好ましくは10〜100 となるようにするのが望
ましい。
【0016】溶融混合物のRは、 1H−NMRを用いて
測定することができる。すなわち、常磁性シフト試薬:
トリス(ジピバロイルメタナト)ユーロピウムEu(DPM)3
を適当量サンプルに混合して 1H−NMRを測定する
と、EGのメチレンプロトンのピークがT-E-T 、T-E-I
、I-E-I の3種類に分離できる。 そして、それぞれ
の積分強度比から、P(T-E-T) 、P(I-E-I) 及びP(T-E
-I) を求めることができる。なお、PETとPEIとの
完全ランダム共重合体では、TPAのモル分率をPT 、
IPAのモル分率をPI とすると、ベルヌーイ統計か
ら、P(T-E-T) =PT2、P(T-E-I) =2PT ・ PI 、P
(I-E-I) =PI2となり、R=1となる。Rは0に近づく
ほど交互共重合性が高く、Rの値が大きいほどブロック
共重合性が高いと見なすことができ、このRの値から、
共重合連鎖分布を評価することができる(Isao Ando et
al.,Polymer J.,3,3,394(1972) )。
【0017】ここで、交互共重合とは、エチレンテレフ
タレート単位とエチレンイソフタレート単位とが完全に
交互に共重合されたものをいい、ブロック共重合とは、
エチレンテレフタレート単位またはエチレンイソフタレ
ート単位の各々の連鎖体が混ざっているか、又は各々の
連鎖体の末端が結合したものであることを意味する。つ
まり、エチレンテレフタレート単位とエチレンイソフタ
レート単位との結合の数が多いほど交互共重合性が高
く、少ないほどブロック共重合性が高く、その中間にラ
ンダム共重合があることを意味する。
【0018】PET(A)とポリエステル(B)とは、
フィルムの成形時に押出機中で直接溶融混合してもよい
し、両者を一旦溶融混合してチップ化したものを用いて
フィルム化してもよい。押出機としては、単軸スクリュ
ー、同方向または異方向の二軸スクリュー式のものが好
ましく、スクリューの形状や寸法等は任意でよい。ま
た、回転数、吐出量は、押出機中での滞留時間が所定の
範囲に入るように、押出機の容量等に応じて適宜調節す
ればよい。
【0019】押出温度は、260 〜300 ℃、好ましくは27
0 〜290 ℃である。押出温度が260 ℃未満であると、ポ
リエステルチップが十分に溶融しないため均一なフィル
ムが得られないため好ましくない。押出温度が300 ℃を
超えると、ポリエステルの熱分解等により、DEIやエ
チレンテレフタレートの環状三量体等のオリゴマーが発
生して、フィルムを汚染するため好ましくない。
【0020】また、押出機中での滞留時間は、3〜30
分、好ましくは5〜20分、より好ましくは7〜15分とす
ることが必要である。滞留時間が3分未満であると、P
ET(A)とポリエステル(B)とのエステル交換が不
十分となり、フィルムの耐スクラッチ性が低下する。ま
た、溶融滞留時間が30分を超えると、PET(A)とポ
リエステル(B)とのエステル交換反応が起こりすぎて
ランダム共重合の度合が高くなるため、フィルムの耐熱
性が低下する。
【0021】フィルムの製造は、ポリエステルチップを
十分に乾燥させた後、押出機にてポリマーの融点より10
〜80℃高い温度で溶融押出し、T型あるいは円形口金等
を用いて、シート状または円筒状に口金より吐出させ、
冷却ロールまたは水等の冷媒中に導いて冷却固化させ、
未延伸フィルムを得る。続いて、この未延伸フィルムを
少なくとも1軸方向に延伸する。1軸に延伸する場合
は、オーブン等を用いて幅方向に延伸することが望まし
く、2軸に延伸する場合には、延伸ロール等を用いて長
手方向に延伸し、続いて幅方向に延伸する逐次2軸延
伸、両方向に実質的に同時に延伸する同時2軸延伸のい
ずれでもよい。また、延伸されたフィルムは、本発明の
目的を損なわない程度で、熱処理や表面処理等を施して
もよい。また、ポリエステルフィルムは単層であっても
積層であっても構わない。
【0022】本発明のポリエステルフィルムは、厚みが
10〜30μmであることが好ましい。ポリエステルは、通
常、滑剤を添加して成形してフィルムとされる。滑剤と
しては、二酸化ケイ素、カオリン、クレー、炭酸カルシ
ウム、テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸
化チタン、リン酸カルシウム、シリコーン粒子等が挙げ
られるが、無機系滑剤が好ましい。なお、溶融混合に際
し、滑剤のほか、必要に応じて、安定剤、着色剤、酸化
防止剤、消泡剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させるこ
とができる。
【0023】得られたポリエステルフィルムを金属板、
紙又は樹脂シートにラミネートすることによりラミネー
ト板とする。ポリエステルフィルムと金属板をラミネー
トする場合には、たとえば、ローラーまたは金属板を15
0 〜250 ℃に加熱しておき、金属板とフィルムとをロー
ラーを介して貼合わせた後、急冷し、金属板に接するフ
ィルムの少なくとも表層部を溶融して融着させればよ
い。ラミネート速度は通常1〜200m/分である。また、
ポリエステルフィルムに接着層を積層した後、金属板と
ラミネートしてもよい。
【0024】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例におけるポリエステルの各特性値等は
次のようにして測定した。 (a) 極限粘度 フェノールと四塩化エタンの等重量混合物を溶媒とし
て、温度20.0℃で測定した。 (b) IPAおよびグリコール成分の共重合割合 ポリエステルを重水素化ヘキサフルオロイソプロパノー
ルと重水素化クロロホルムとの容量比1/25の混合溶媒
に溶解し、日本電子社製LA-400型NMR装置で1H−N
MRを測定した。得られたチャートの各共重合成分のプ
ロトンのピークの積分強度から共重合割合を求めた。 (c) 耐スクラッチ性 フィルムサンプルを80℃の金属板上に重ね、荷重400 g
の摩擦子を100mm の往復距離で30往復/分の条件で、1
分間摩擦処理した後のフィルム表面の傷を肉眼観察で評
価した。 ○:傷が殆ど認められない。 △:部分的に傷が認められる。(実用上問題のないレベ
ルである。) ×:全面に傷が認められる。 (d) フィルムの耐熱性の評価方法 縦10cm、横10cmのフィルム片を、70℃の熱水中に浸し、
30分間処理する。処理前後のフィルムの横方向と縦方向
の長さを測定し、処理後の面積が処理前の面積の95%
未満のものを、面積変化ありとし、耐熱性がないと評価
した。 ○:耐熱性良好 ×:耐熱性不良 (e) 共重合性連鎖指数(R) フィルムを常磁性シフト試薬:Eu(DPM)3の存在下、重水
素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロ
ホルムとの容量比1/34の混合溶媒に溶解し、日本電子
社製LA-400型NMR装置にて 1H−NMRを測定し、得
られたチャートのEG部位のメチレンプロトンのピーク
の積分強度からRを求めた。
【0025】実施例1 ビス( β- ヒドロキシエチル) テレフタレート及び/又
はその低重合体(PETオリゴマー)の存在するエステ
ル化反応缶に、TPAとEGとのモル比1/1.6 のスラ
リーを連続的に供給し、温度 250℃、圧力 500Paの条件
で8時間反応させ、エステル化反応率95%のPETオリ
ゴマーを連続的に得た。別のエステル化反応缶に、IP
A42.9kg及びEG31.7kg(IPA /EG=モル比1/2)か
らなるスラリーを仕込み、温度 200℃、常圧で約3時間
エステル化反応を行い、エステル化反応率95%のPEI
オリゴマーを得た。PETオリゴマー7.5kg とPEIオ
リゴマー42.5kgとを重縮合反応缶に仕込み、重合触媒と
して全酸成分1モルに対し三酸化アンチモンを4×10-4
モル加え、減圧にして、最終的に66.7Pa、280 ℃で3時
間重縮合を行い、ポリエステル(B)を得た。得られた
ポリエステル(B)は、極限粘度が0.85、IPAの共重
合割合が84.9モル%であった。また、PETオリゴマー
60kgを重縮合反応缶に仕込み、滑剤として0.08重量%と
なる量の二酸化ケイ素微粒子、及び重縮合触媒としてT
PA成分1モルに対し三酸化アンチモンを2×10-4モル
加え、減圧にして、最終的に66.7Pa、280 ℃で2時間重
縮合を行い、極限粘度0.60のPETを得た。このPET
を、回転式固相重合装置に仕込み、70℃で2時間予備乾
燥し、続いて130 ℃で4時間乾燥させた後、温度 220℃
で圧力 66.7Pa で8時間固相重合を行い、極限粘度0.70
のPET(A)を得た。ついで、ポリエステル(B)7.
5kg (15重量%)とPET(A)42.5Kg(85重量%)を
混合し、280 ℃で押出機より押出しし、急冷固化して、
厚さ170 μmの未延伸フィルムを得た(押出機中での滞
留時間は7分)。この未延伸フィルムを縦方向に90℃で
延伸倍率として4倍延伸した後、テンターに導き105 ℃
で加熱して横方向に4.0 倍延伸した。延伸後、235 ℃に
て熱処理を行い、その後冷却して捲取り、厚さ約12μm
のフィルムとした。得られたフィルムの評価結果等を表
1に示す。
【0026】実施例2〜9及び比較例1〜5 ポリエステル(B)のIPAの共重合割合、EGと共に
用いたEG以外のグリコール成分の種類とその共重合割
合、ポリエステル(B)とPET(A)との混合割合、
極限粘度、押出温度、滞留時間を表1に示すように変更
し、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られ
たフィルムの評価結果等を表1に示す。比較例1では、
ポリエステル(B)のIPAの共重合割合が少なすぎる
ため、フィルムの耐スクラッチ性が低かった。比較例2
では、ポリエステル(B)の混合量が多すぎるため、フ
ィルムの耐熱性が低かった。比較例3では、押出機中で
の滞留時間が短すぎ、エステル交換反応が不十分となり
Rが 150を超えて、フィルムの耐スクラッチ性が低かっ
た。比較例4では、押出機中での滞留時間が長すぎたた
め、エステル交換反応が起こりすぎてランダム共重合性
が高くなりすぎ(Rが3未満)、フィルムの耐熱性が低
かった。比較例5では、ポリエステル(B)の混合量が
少なすぎるため、フィルムの耐スクラッチ性が低かっ
た。
【0027】実施例10 ローラー及びアルミニウム板を200 ℃に加熱し、実施例
1で作製したポリエステルフィルムと上記のアルミニウ
ム板とを、ラミネート速度150m/分で熱圧着させた。得
られたラミネートフィルムの耐スクラッチ性を試験した
ところ、殆ど傷は認めらなかった。また、耐熱性試験を
行ったところ、ラミネートフィルムフィルムが収縮する
ようなことはなかった。
【0028】表1において、BHBは1,3 −ビス(β−
ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、NPGはネオペンチル
グリコール、BAEOは2,2 −ビス(4’−ヒドロキシ
エトキシフェニル)プロパン、CHDMは1,4 −シクロ
ヘキサンジメタノール、DEGはジエチレングリコール
を表す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、製缶工程でのフィルム
の耐スクラッチ性、缶の生産性に優れ、かつ、耐熱性及
び保香性(耐フレーバー性)に優れたポリエステルフィ
ルムを得ることができ、このフィルムと金属板等をラミ
ネートしたラミネート板を用いることにより、優れた性
能を有する飲食品用レトルト処理容器を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/36 B32B 27/36 C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29L 7:00 (72)発明者 岸田 稔 京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ 株式会社宇治プラスチック工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート(A)50〜
    95重量%と、ポリエステル(B)50〜5重量%との溶融
    混合物からなるポリエステルフィルムであって、ポリエ
    ステル(B)が、酸成分がイソフタル酸20〜100 モル%
    とテレフタル酸 80 〜0モル%からなり、グリコール成
    分が主としてエチレングリコールからなるものであり、
    溶融混合物の共重合連鎖指数Rが3〜150 であることを
    特徴とするポリエステルフィルム。 R=4×P(T-E-T) ×P(I-E-I) /P(T-E-I)2 ここで、Tはテレフタル酸残基、Eはエチレングリコー
    ル残基、Iはイソフタル酸残基であり、P(T-E-T) はT-
    E-T からなる共重合連鎖ユニットのモル分率、P(T-E-
    I) はT-E-I からなる共重合連鎖ユニットのモル分率、
    およびP(I-E-I)はI-E-I からなる共重合連鎖ユニット
    のモル分率を示す。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリエステルフィルムを
    金属板、紙又は樹脂シートにラミネートしてなるラミネ
    ート板。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のラミネート板を成形して
    なるレトルト処理容器。
  4. 【請求項4】 極限粘度が0.60以上のポリエチレンテレ
    フタレート(A)50〜95重量%と、極限粘度が0.60〜1.
    0 のポリエステル(B)50〜5重量%との混合物を、押
    出温度260 〜300 ℃、滞留時間3〜30分の条件でシート
    状に溶融押出した後、少なくとも一方向に延伸すること
    を特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルムの製
    造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002235007A (ja) * 2001-02-08 2002-08-23 Toyobo Co Ltd ポリエステル系樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2003049054A (ja) * 2001-08-03 2003-02-21 Mitsubishi Polyester Film Copp ポリエステル組成物

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