JPH11104558A - 凹凸外観を持つ耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優れた塗装金属板 - Google Patents

凹凸外観を持つ耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優れた塗装金属板

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JPH11104558A
JPH11104558A JP26888997A JP26888997A JPH11104558A JP H11104558 A JPH11104558 A JP H11104558A JP 26888997 A JP26888997 A JP 26888997A JP 26888997 A JP26888997 A JP 26888997A JP H11104558 A JPH11104558 A JP H11104558A
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resin
resistance
coating
coating film
beads
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JP26888997A
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Hiroshi Kanai
洋 金井
Yoshio Kimata
芳夫 木全
Kenji Inada
賢治 稲田
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 意匠性を付与し、かつ耐汚染性、耐傷つき
性、耐ブロッキング性を改善する目的で、滑らかな凹凸
のある外観を持つ塗装金属板を提供する。 【解決手段】 金属板の少なくとも片面に、水酸基価が
40mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と、分子中
の官能基に占めるメトキシ基の量が80%以上であるメ
チル化メラミン樹脂と、酸性の触媒と、塗膜の焼き付け
温度で揮発するアミンと、塗膜焼き付け時には溶融し、
かつ塗料には溶解しない樹脂ビーズとを必須成分とする
塗料組成物を塗布、焼き付けた被覆層を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材用、自動車
用、家電・器物用等に用いられる、凹凸のある外観を持
つ耐汚染性に優れた塗装金属板およびその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】金属板への塗装は、従来金属板を成形加
工した後に行われていた。このいわゆるポストコートの
塗装は、エアスプレー、エアレススプレー、静電塗装、
或いはこれらの組み合わせ技術で行われ、乾燥後の外観
は、滑らかな凹凸のあるユズ肌状外観となる。この凹凸
のある外観を持つ塗装金属板を提供する技術として特願
平9−98573号、特願平9−28135号等が提案
されている。一方、近年、公害問題の解決、塗装スペー
スの有効活用、コストダウン等の観点から、あらかじめ
金属板に被覆層を設けた塗装金属板が広く用いられるよ
うになっている。塗装金属板は、ロールコーターやカー
テンコーターで塗装され、その表面は平滑であり、美麗
な外観を呈している。塗装金属板には加工性の他、耐汚
染性が要求されることが多く、特開平2−269168
号公報にあるように、特定の樹脂や触媒の組み合わせで
耐汚染性を向上させる方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】塗装金属板の用途が広
がり、また需要量が増えるに従って、問題点も見られる
ようになってきた。その一つは、塗膜の傷つき性であ
る。平滑な塗装金属板の塗膜は、凹凸のあるユズ肌外観
のポストコートの塗膜に比べて小さな傷でも目立ちやす
いという欠点がある。製造時、輸送時、加工成形時の傷
のいずれも、凹凸のある外観のほうが目立ちにくい。ま
た、塗装後の金属板を積み重ねて放置しておいたときに
生じるプレッシャーマークも、平滑な塗装金属板の塗膜
で目立ちやすいことが多い。更に、塗装金属板の適用部
位によっては、むしろ周辺のポストコートされた金属板
との調和が要求される場合もある。これらの外観の他
に、耐汚染性への要求レベルは厳しくなっており、これ
らを両立する技術が求められている。本発明は、上述の
問題点を解決するために、凹凸のある外観を持つ耐汚染
性に優れた塗装金属板とそれを効率よく製造する方法を
提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、凹凸を持つ外
観を持つ耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優
れた塗装金属板及びその製造方法であって、金属板の少
なくとも片面に、水酸基価が40mgKOH/g以下の
ポリエステル樹脂と、メチル化メラミン樹脂と、酸性の
触媒と、塗膜の焼き付け温度で揮発するアミンと、塗膜
焼き付け時には溶融し、かつ塗料には溶解しない樹脂ビ
ーズとを含む塗料組成物を塗布、焼き付けた被覆層を設
けたことを特徴とする凹凸外観を持つ耐汚染性、耐傷つ
き性、耐ブロッキング性に優れた塗装金属板及びその製
造方法を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明は、焼き付け時の熱で溶融する樹脂ビーズ
を特定のポリエステル樹脂を特定のメラミン樹脂で架橋
する塗膜に混合し、これらからなる塗膜を金属板上に形
成することによって、凹凸のある外観を発現させるとと
もに、メラミン樹脂の自己縮合反応によって塗膜表面に
メラミン樹脂の濃化層を形成するとともに、このメラミ
ン樹脂の濃化層の自己縮合反応による塗膜表面の収縮に
よって凹凸外観をより大きく、滑らかにすること、及び
耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性を向上するこ
とに特徴がある。
【0006】ポリエステル樹脂としては、メラミン樹脂
と架橋反応を起こすことのできる公知の樹脂が使用可能
であるが、その水酸基価は40mgKOH/g以下であ
ることが必要である。ポリエステル樹脂のガラス転移点
や分子量は任意である。分子量は、数平均分子量として
8000以上であると、加工性が良好になるので望まし
い。ガラス転移点は、0℃未満であると塗膜の硬度が不
足しやすく、また、70℃を越えると加工性が不良にな
るので、0〜70℃の範囲にあることが好ましい。ま
た、メラミン樹脂としてはメチル化メラミン樹脂を使用
することが必要である。ここで、メチル化メラミン樹脂
とは、官能基としてメトキシ基を分子中に有するメラミ
ンホルムアルデヒド樹脂を指す。公知のメチル化メラミ
ン樹脂が使用可能であるが、分子中の官能基に占めるメ
トキシ基の量が、80mol%以上のメチル化メラミン
樹脂が必須である。他のメラミン樹脂との併用は差し支
えない。
【0007】また、触媒として、メチル化メラミン樹脂
の硬化反応を促進する酸性の触媒、たとえばドデシルベ
ンゼンスルフォン酸、パラトルエンスルフォン酸、ベン
ゼンスルフォン酸等、公知の触媒が使用できる。また、
この触媒を中和するために、塗膜焼き付け時に揮発する
アミンを加えることが必須である。アミンとしては、公
知のアミンが使用できる。たとえば、トリエチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエタノ
ール、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン
などである。アミンは、あらかじめ触媒に加えてから添
加してもよいし、別に加えても良い。ポリエステル樹脂
とメチル化メラミン樹脂、触媒、アミンの配合量比は特
に限定されず、任意である。
【0008】ポリエステル樹脂とメチル化メラミン樹脂
の配合比率は固形分重量比で95/5〜60/40が望
ましい。95/5よりもメラミン樹脂が少なくなると、
硬度が不足しやすい。また、60/40よりもメラミン
樹脂が多いと、加工性が不足しやすい。この範囲内で
は、メラミン樹脂の配合量が多いほど、凹凸の形成、耐
汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性はよくなる傾向
にある。メチル化メラミン樹脂の他に、他の種類にアミ
ノ樹脂や、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂等の他の
樹脂を架橋剤として併用してもよい。この場合は、メチ
ル化メラミン樹脂の一部をこれらの樹脂で置き換えれば
良い。なお、架橋剤としてメラミン樹脂以外のたとえば
イソシアネート樹脂やウレタン樹脂等を併用するとき
は、架橋剤の配合量が前に述べた範囲をはずれていて
も、加工性が低下しないことがある。ブチル化メラミン
樹脂を併用すると、特に凹凸の形成されやすさ、耐汚染
性、耐傷つき性、耐ブロッキング性が良好となる。ここ
で、ブチル化メラミン樹脂とは、分子中にブトキシ基を
含有するメラミンホルムアルデヒド樹脂である。
【0009】触媒の添加量は、通常は配合した樹脂固形
分に対して0.1〜8%程度である。0.1%以下では
触媒の効果が少なくなり、また、8%以上では、コスト
が高くなったり、塗膜の性能を劣化させることがある。
アミンの添加量も特に限定されないが、酸に対して当量
の50%以上の量を加えるときに、凹凸の形成、滑らか
さ、耐汚染性が特に良くなる。また、当量の300%以
上加えると、焼き付け時にアミンの臭気がすることが多
く、環境上良くない。この樹脂と触媒の組み合わせから
なる塗料を焼き付けると、その焼き付け過程で、アミン
の揮発によって塗膜表面の酸性度が上がり、塗膜表面付
近でメチル化メラミン樹脂の自己縮合反応が選択的に起
こり、塗膜表面にメラミン樹脂の濃化層が形成され、耐
汚染性がよくなる。
【0010】樹脂ビーズは、塗膜の焼き付け過程で溶融
することが必須である。溶融しないと、凹凸が滑らかで
なく、ゴツゴツした感じとなる。通常の塗装金属板の焼
き付け板温は180℃から250℃である。従ってポリ
エステルビーズの融点または変異点は180℃以下であ
ることが望ましい。また、常温では塗料中で固体である
必要があり、ビーズが含有される塗料に溶解しないこと
が必要である。塗料に溶解すると、凹凸は形成されな
い。また、塗料中で液体であると、塗料の攪拌等によっ
て凝集して大きな塊まりとなって塗料中に存在するため
に、凹凸が均一に形成されなくなる。焼き付け時に形成
される凹凸を滑らかにするためには、このビーズの融点
または変異点は60〜180℃であることが望ましい。
融点または変異点が60℃以下のビーズでは、凹凸を生
じにくい。粒径は特に限定されないが、平均粒径が10
μmから80μmであることが望ましい。10μm以下
では凹凸が形成されにくく、80μm以上では凹凸に滑
らかさがなくなる。また、溶融時にも塗料の他の成分と
相溶しないことが凹凸の形成のために必要である。
【0011】樹脂ビーズとしては、公知のものが使用で
き、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ブチラール
樹脂、あるいはこれらの混合物や共重合物が使用でき
る。熱硬化性樹脂としては、ポリエステル樹脂が望まし
いことを前述したが、樹脂ビーズとしてもポリエステル
ビーズを用いると、ビーズと熱硬化性樹脂の密着性に優
れるので望ましい。樹脂ビーズの配合量は特に限定され
ず、必要な外観と性能、コスト等を勘案して決定すれば
よい。望ましい配合量は、塗膜の固形分に対して0.2
〜30重量%である。メラミン樹脂の塗膜表面への濃化
がないときに比べてより少ない量の樹脂ビーズの添加で
も、凹凸外観がきれいに形成できる。樹脂ビーズが結晶
性を持つと、理由は不明であるが、特に滑らかな凹凸外
観が形成しやすい。樹脂ビーズの配合量が、0.2%よ
り少なくなると、凹凸が形成されにくくなり、耐傷つき
性や耐ブロッキング性がやや悪くなる。配合量が30%
を越えると、やや凹凸に滑らかさがなくなり、ゴツゴツ
した外観となる。
【0012】なお、本発明は、これまでに提案されてい
る樹脂ビーズによる凹凸外観の形成技術に比べて、ビー
ズの配合量が少なくても、凹凸外観が形成しやすいこと
も特徴である。樹脂ビーズが配合されると、ロールコー
ターで塗布したときに、塗膜に線状の欠陥が発生しやす
くなり、また、カーテンコーターで塗布したときにも、
ブツのような欠陥や泡による欠陥が発生しやすくなるた
め、樹脂ビーズの配合量は極力少なくすることが求めら
れており、この要求に応えられる技術である。この樹脂
と触媒、樹脂ビーズの組み合わせからなる塗料を焼き付
けると、その焼き付け過程で、樹脂ビーズによって塗膜
表面に凹凸が形成される。このとき、塗膜表面にメラミ
ン樹脂の自己縮合層が形成による塗膜表面の体積収縮に
よって、この凹凸が生じやすく、また、より滑らかな凹
凸外観となることを見出した。同時に、凹凸の形成によ
って、耐傷つき性、耐ブロッキング性も向上する。ブチ
ル化メラミン樹脂を併用すると、さらにこの効果が大き
くなる。
【0013】金属板としては、たとえば鋼板、アルミ
板、ステンレス板、チタン板、銅板等が使用できる。こ
のうち鋼板の例として、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛めっ
き鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼
板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、
クロムめっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、亜鉛−ニッケ
ル合金めっき鋼板、すずめっき鋼板等が挙げられる。次
いで金属板には必要に応じて前処理を施すことができ
る。前処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱
脂、研削、研磨、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、複
合酸化皮膜処理等があり、これらを単独または組み合わ
せて塗装前処理を行う。塗装前処理の条件は適宜選択す
ればよい。
【0014】次いで必要に応じて、下塗り塗料を金属板
上に塗布し、硬化乾燥させることにより下塗り塗膜層を
形成することができる。下塗り塗料としては、種類は特
に限定されないが、ポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂
系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等があり、これを
ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカ
ーテンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレードコータ
ー、ダイコーター等で必要な膜厚になるように塗装し、
次いで常温放置であるいは熱風炉、誘導加熱炉、近赤外
線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉等で硬化乾燥す
ることによって下塗り塗膜層が得られる。下塗り塗膜層
には必要に応じて公知の顔料や添加剤を加えることがで
きる。膜厚は任意であるが、塗装金属板においては1〜
30μm程度、特に2〜12μmの乾燥膜厚が一般的で
ある。乾燥条件は塗料の内容と得たい性能に応じて適宜
選択すればよいが、熱風炉や誘導加熱炉、近赤外線炉等
で最高到達板温150〜240℃、到達時間10〜20
0秒程度の条件が一般的である。下塗り塗膜層はなくて
もよいし、1層であっても、多層であっても差し支えな
い。
【0015】最後に、表面に出る、凹凸外観を発現する
塗料によって被覆層(上塗り塗膜層)を形成する。塗料
内容の詳細はすでに述べた通りである。この塗料を、ロ
ールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカー
テンコーター、静電塗装機、ハケ、ブレードコーター、
ダイコーター等で必要な膜厚になるように塗装し、次い
で熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉等で、
樹脂ビーズの軟化点以上の温度で硬化乾燥することによ
って(樹脂ビーズは焼き付け過程で溶融状態となる)上
塗り塗膜層を形成する。塗膜層の厚みは特に限定される
ものではないが、乾燥膜厚として5〜40μmで製造す
るのが一般的である。
【0016】塗料の色は特に限定されない。クリアーで
もよい。また、下塗り、上塗り塗料ともに必要に応じて
消泡剤、レベリング剤等の添加剤や、体質顔料、着色顔
料、防錆顔料等の公知の顔料、キシレン、シクロヘキサ
ノン、ソルベッソ150、ブチルセロソルブ等の公知の
溶剤等を加えることができる。また、ポリエステル樹脂
やメラミン樹脂が水系樹脂の場合には、水やブチルセロ
ソルブ等の水に混ざる溶剤を加えることが可能である。
塗膜表面の光沢を調整するために、シリカ等の顔料や、
ウイスカー等の添加材を加えるなど公知の方法を適用し
てもよい。
【0017】また、この滑らかな凹凸を持つ塗膜の上に
さらに、塗膜を塗り重ねることも可能である。たとえ
ば、クリアー塗膜を塗り重ねて光沢の向上をはかる、保
護層とする、別の機能を付与する等が考えられる。ま
た、色のついたエナメル塗膜を塗り重ねても良い。ま
た、滑らかな凹凸を持つ塗膜を重ねて形成してもよい。
なお、本発明は、これまでに提案されている樹脂ビーズ
による凹凸外観の形成技術に比べて、ビーズの配合量が
少なくても、凹凸外観が形成しやすいことも特徴であ
る。樹脂ビーズが配合されると、ロールコーターで塗布
したときに、塗膜に線状の欠陥が発生しやすくなり、ま
た、カーテンコーターで塗布したときにも、ブツのよう
な欠陥や泡による欠陥が発生しやすくなるため、樹脂ビ
ーズの配合量は極力少なくすることが求められており、
この要求に応えられる技術である。
【0018】
【実施例】本発明の塗装金属板の実施例を説明する。厚
み0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板に塗装前処理用の塗
布型クロメート処理を施し(Crとして50mg/m2
の付着量)、下塗りとして市販のポリエステル樹脂系プ
ライマー塗料(日本ペイント製P185)を乾燥膜厚が
5μmとなるようにロールコーターで塗布したのち、高
周波誘導加熱炉で最高到達板温215℃となるように焼
き付けた。使用した上塗り塗料の内容は以下の通りであ
る。樹脂として表1に示す高分子ポリエステル樹脂を用
いた。メラミン樹脂として、表2に示すものを用いた。
ポリエステル樹脂とメラミン樹脂の配合比は表4に示す
通りである。顔料としてチタン白を用い、顔料重量濃度
が48%となるように塗料を調合した。触媒は必要に応
じてドデシルベンゼンスルフォン酸を、樹脂固形分に対
して1%加えた。また、アミンとしてジメチルアミノエ
タノールをドデシルベンゼンスルフォン酸の酸当量に対
してアミン当量として1.25倍の量を加えた。塗料の
内容は表3にまとめた。ついで表4の塗料をプライマー
を塗布・焼き付けしてある鋼板上に、ロールコーターで
塗布し、高周波誘導加熱炉で最高到達板温230℃とな
るように焼き付けた。上塗り塗膜の乾燥膜厚は15μm
とした。得られた塗装鋼板の表面の光沢は約80〜85
であった。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】樹脂ビーズとしては、表3に示すポリエス
テル樹脂ビーズを用いた。いずれも結晶性を持ち、示差
走査熱量測定(DSC)によって測定したときに、結晶
の融解による明確なピークまたはショルダーが観察され
た。ここでは、この明確なピークまたはショルダーが観
察されることをもって、結晶性を持つと判断する。表3
には、このピークまたはショルダーの位置を融点として
示した。樹脂ビーズの粒径は、分級によって変化させ
た。塗装金属板は、その外観と20℃における折り曲げ
加工性を評価した。滑らかな凹凸外観が得られている場
合は、◎とし、凹凸外観が得られていない場合には×と
した。また、凹凸があるが滑らかでない場合、凹凸感に
乏しい場合は◎から減点し、良いほうから順に〇、△と
評価した。〇または◎の場合に、滑らかな凹凸感があ
る、と評価した。なお、「滑らかな凹凸感」はいわゆる
ユズ肌といわれるような外観である。
【0024】20℃における折り曲げ加工性は、塗装金
属板を所定の枚数の板(塗装金属板と同じ厚みの板)を
挟んで180曲げ(T折り曲げ)し、加工を受けた塗膜
を観察して割れの程度を評価した。7点は割れなし、1
点は全面に大きな亀裂を生じる場合で、その間を程度に
応じて点数化した。なお、加工性は樹脂ビーズの配合さ
れていない元の塗料の性能に依存しており、各樹脂系に
よってレベルが異なる。加工性は、樹脂ビーズの配合に
よって加工性のレベルが元の塗料から大きく劣化するか
どうかを見るために評価した。耐汚染性は油性インキで
塗膜に線を引き、24時間室温で放置した後にエタノー
ルでふき取り、油性インキの線のあとの残り方を目視で
評価した。5点は、跡残りなし、1点はインキがほとん
どふき取れないで残る、と評価し、その間を程度に応じ
て点数化した。
【0025】耐ブロッキング性は、30℃の雰囲気中
で、200×300mmに切断した塗装金属板を塗膜面
同志が重なるようにして置き、その上にさらに同じ大き
さの板を20枚重ねて置いて、24時間放置した後に、
塗膜面同志を重ねておいた板を手ではがすことによって
評価した。このとき、同じ塗膜同志を重ねる試験と、一
方の塗膜面は当実施例に示す塗膜、もう一方の塗膜は、
プレコート鋼板の裏面用に用いるサービスコートの塗膜
とした。サービスコート用の塗膜は、日本ペイント製オ
ルガ100(グレー色、光沢50)を乾燥膜厚7μmと
なるようにロールコーターで塗装し、乾燥板温215℃
で焼き付け、さらに乾燥板温230℃で焼き付けたもの
を使用した場合の、2種類の試験を行った。前者の試験
(同じ塗膜同志を重ねる試験)では主に塗膜同志が密着
してはがしにくくないかどうかを調べた。塗膜面同志が
密着してはがしにくい場合は×、塗膜面同志が密着せず
に簡単にはがれる場合は〇、若干密着してややはがしに
くい場合は△と評価した。また、後者の試験(当実施例
による塗膜とサービスコートの塗膜を重ねる試験)で
は、主に当実施例に示す塗膜に部分的あるいは全面的な
光沢や外観の変化がないかどうかを評価した。これは、
板を重ねることによる圧力で、塗膜外観が変化しにくい
かどうかを調べる試験である。さらに、板同志を重ねた
後の放置時間を240時間に延長して同様の試験を行っ
た。
【0026】耐傷つき性は、はがきを指で塗膜表面に荷
重約5kgで押し当てて、塗膜表面上を10回往復させ
て擦った後の、塗膜表面の傷付き具合を目視で判定し
た。傷が目立つ場合は×、傷がほとんど見えない場合を
〇、若干の傷が見える場合を△と評価した。各塗装金属
板の性能を表4に示した。本発明の範囲にある例は、滑
らかな凹凸外観を持ち、また樹脂ビーズの添加量が少な
くても凹凸外観が得られやすく、耐汚染性、耐傷つき
性、耐ブロッキング性が良好で、加工性のレベルが元の
塗料から大きく低下していないことがわかる。また、耐
傷つき性や耐ブロッキング性にも優れていた。これに対
し、比較例では凹凸がない、或いは少ない、また凹凸に
滑らかさが不足している、耐汚染性が悪い、滑らかな凹
凸外観を得るために樹脂ビーズをより多く配合する必要
がある等の欠点がある。
【0027】本発明例による実施例No2、3、4、7
は、樹脂ビーズの配合量が少ないが、凹凸外観が発現さ
れている。No2と3の比較から、ブチル化メラミン樹
脂を併用すると、凹凸外観が得られやすく、かつ耐汚染
性や耐傷つき性、耐ブロッキング性もよりよくなること
がわかる。一方、比較例である実施例No1、29、3
2では樹脂ビーズが配合されていないため、凹凸が形成
されない。比較例であるNo5、6、8では、メラミン
樹脂の種類が本発明例からはずれるため、耐汚染性、耐
傷つき性、耐ブロッキング性に劣る。また、樹脂ビーズ
配合量が少ないために、凹凸の形成が十分でない。
【0028】本発明例の中でも、樹脂ビーズの大きさが
最も適した範囲からはずれているNo16(小さすぎ
る)やNo19(大きすぎる)では、それぞれやや凹凸
が少なかったり、やや滑らかさに欠けたりする。また、
樹脂ビーズの配合量が多すぎるNo11でもやや滑らか
さに欠ける傾向が見られる。比較例No21、22で
は、樹脂ビーズの配合により凹凸外観は形成されている
が、メラミン樹脂の種類が本発明からはずれているた
め、耐汚染性が悪く、また、厳しい耐ブロッキング試験
(240時間)ではやや劣っている。本発明例から、樹
脂ビーズを加えても、加工性の低下は少ないことがわか
る。ただし、樹脂ビーズのサイズや配合量が望ましい範
囲からはずれている場合に、若干加工性が低下している
ケースもある。本発明例では、耐汚染性、耐傷つき性、
耐ブロッキング性がいずれも良好であるが、比較例で
は、これらを同時に満足させることはできないことがわ
かる。
【0029】次に、この塗料の塗装作業性の試験をロー
ルコーターとローラーカーテンコーターで行った。ポリ
エステル樹脂P1、メラミン樹脂M1、メラミン樹脂B
1を70/15/15(固形分重量比)で配合し、触媒
としてドデシルベンゼンスルフォン酸を樹脂固形分に対
して1%、ジメチルアミノエタノールをドデシルベンゼ
ンスルフォン酸の酸当量1に対して塩基当量が1となる
重量の1.25倍を加えた塗料を用意した。この塗料
に、樹脂ビーズ2を0.1%、0.3%、1%、10%
加えた塗料で塗装作業性の試験を行った。ロールコータ
ーとしては、2本ロールのリバースロールコーターと、
ローラーカーテンコーターを用いた。塗装後、最高到達
板温が230℃となるように焼付け、冷却した後に、塗
装板を10倍ルーペで観察した。評点は、1m2 の板を
10枚観察し、1枚当たりの平均の欠陥の数を評価し
た。対象とする欠陥は、樹脂ビーズを配合した影響と思
われる、線状のヘコミ、泡、ブツ、スケとした。評点
は、◎:0.1個未満、〇:0.1から0.5個未満、
△:0.5から1個未満、×:1個以上、とした。その
結果、いずれのコーターでも、樹脂ビーズの添加量が少
ないほど、欠陥の発生が少なかった(表5)。樹脂ビー
ズの配合量は、できるだけ少ないことが望ましく、その
点でも、樹脂ビーズの配合量が少なくても性能が発揮で
きる本発明の有効性が確認された。
【0030】
【表5】
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、金属板の少なくとも
片面に、水酸基価が40mgKOH/g以下のポリエス
テル樹脂と、分子中の官能基に占めるメトキシ基の量が
80%以上であるメチル化メラミン樹脂と、酸性の触媒
と、塗膜の焼き付け温度で揮発するアミンと、塗膜焼き
付け時には溶融し、かつ塗料には溶解しない樹脂ビーズ
とを必須成分とする塗料組成物を塗布、焼き付けた被覆
層を設けることによって、滑らかな凹凸外観を持ち、耐
汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優れる塗装金
属板の、加工性を低下させることなく得ることが出来
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属板の少なくとも片面に、水酸基価が
    40mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と、分子中
    の官能基に占めるメトキシ基の量が80%以上であるメ
    チル化メラミン樹脂と、酸性の触媒と、塗膜の焼き付け
    温度で揮発するアミンと、塗膜焼き付け時には溶融し、
    かつ塗料には溶解しない樹脂ビーズとを必須成分とする
    塗料組成物を塗布、焼き付けた被覆層を設けたことを特
    徴とする凹凸外観を持つ耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロ
    ッキング性に優れた塗装金属板。
  2. 【請求項2】 樹脂ビーズが結晶性を持つポリエステル
    ビーズであることを特徴とする請求項1に記載の塗装金
    属板。
  3. 【請求項3】 架橋剤としてブチル化メラミン樹脂も併
    用することを特徴とする請求項1または2に記載の塗装
    金属板。
  4. 【請求項4】 金属板の少なくとも片面に、水酸基価が
    40mgKOH/g以下のポリエステル樹脂と、分子中
    の官能基に占めるメトキシ基の量が80%以上であるメ
    チル化メラミン樹脂と、酸性の触媒と、塗膜の焼き付け
    温度で揮発するアミンと、塗膜焼き付け時には溶融し、
    かつ塗料には溶解しない樹脂ビーズとを含む塗料組成物
    を塗布、焼き付けることを特徴とする凹凸外観を持つ耐
    汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優れた塗装金
    属板の製造方法。
  5. 【請求項5】 樹脂ビーズが結晶性を持つポリエステル
    ビーズであることを特徴とする請求項1に記載の塗装金
    属板の製造方法。
  6. 【請求項6】 架橋剤としてブチル化メラミン樹脂も併
    用することを特徴とする請求項4または5に記載の塗装
    金属板の製造方法。
JP26888997A 1997-10-01 1997-10-01 凹凸外観を持つ耐汚染性、耐傷つき性、耐ブロッキング性に優れた塗装金属板 Pending JPH11104558A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016150473A (ja) * 2015-02-16 2016-08-22 リンテック株式会社 粗面化フィルム及びその製造方法
JP2016188344A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 リンテック株式会社 剥離フィルム、粘着シート、及び剥離フィルムの製造方法

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