JPH11100606A

JPH11100606A - コイル、圧粉磁芯、圧粉磁芯用合金粉末、及びその製造方法

Info

Publication number: JPH11100606A
Application number: JP9279841A
Authority: JP
Inventors: Kazuya Akiyama; 和也秋山; Teruhiko Fujiwara; 照彦藤原
Original assignee: Tokin Corp
Current assignee: Tokin Corp
Priority date: 1997-09-26
Filing date: 1997-09-26
Publication date: 1999-04-13

Abstract

(57)【要約】【課題】高い透磁率と、透磁率の優れた高周波特性を
有する圧粉磁芯と、これを用いたコイルと、その原料で
ある針状の磁性金属粉末を容易に製造できる製造方法を
提供する。【解決手段】鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓｉ）、アルミニウ
ム（Ａｌ）を主成分とし、外形が針状で、その平均のア
スペクト比が２.５以上で、平均の短軸径が１００μｍ
以下である合金粉末であり、その製造において、回転す
る円筒状ドラム１の内側に遠心力によって冷却液体層５
を形成し、前記冷却液体層５に、鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓ
ｉ）、アルミニウム（Ａｌ）を主成分とする合金の溶湯
９をジェット状に噴射ノズル７から噴出させ、前記合金
の溶湯９を凝固させて、針状の粉末を得る圧粉磁芯用合
金粉末の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コイル、圧粉磁
芯、及び圧粉磁芯用合金粉末とその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】高周波で用いられるコイルの磁芯とし
て、フェライト磁芯や圧粉磁芯が使用されている。チョ
ークコイルなどの電流が大きい用途や、ノイズフィルタ
などの用途では、特に、圧粉磁芯を用いたコイルが多用
されている。磁性金属粉末をバインダーと共に圧縮成形
して作製される圧粉磁芯を用いた場合、フェライト磁芯
に比べ、圧粉磁芯が高い飽和磁束密度と、優れた直流重
畳特性を持ち、さらに、比較的高周波まで伸びた透磁率
の周波数特性を持つため、これらの用途に適している考
えられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の圧粉磁
芯は、金属塊を機械的に粉砕した磁性金属粉末や、アト
マイズ法などにより作られ、機械加工により扁平化され
た磁性金属粉末を有機バインダー等と混合し、圧縮成形
して作製されていた。このような従来の圧粉磁芯は、フ
ェライト磁芯などに比べ、透磁率を高く取り難く、また
透磁率の周波数特性も高周波側まで伸び難い傾向にあ
る。しかし、近年の電子機器の小型化要請に伴う電子部
品の小型化への要求は、圧粉磁芯の磁気特性に対しても
高特性化を強く要求している。その解決手段として、透
磁率の向上、及び透磁率の周波数特性の改善が強く望ま
れている。

【０００４】一般に、圧粉磁芯の透磁率を向上させる方
法は、大別して次の２つの方法が考えられる。１）素材である原料粉末自体の透磁率を上げる、２）圧粉磁芯の成形において粉末の充填率を上げる、という方法である。従来、透磁率を向上する方法は、主
として充填率の向上に主点が置かれており、例えば、成
形圧を上げたり、バインダー条件を種々変化させたり、
異種形状や異種特性の粉末の混合、粒度分布の調整、圧
縮性のよい合金組成の粉末等が検討されている。

【０００５】しかし、前記した方法による圧粉磁芯の透
磁率の改善は、既に検討がし尽くされた状態である。従
って、これらの改善は、多くの場合、複雑で高度な管理
工程が必要となり、製品が高価になる傾向にある。例え
ば、成形圧力を上げる方法にしても、金型寿命の低下
等、製造コストの面からも無視できない状況にある。

【０００６】また、圧粉磁芯の透磁率の周波数特性を向
上させるには、原料粉末の電気抵抗率大きくしたり、粉
末の粒子径をなるべく小さくするなどの方法が考えられ
る。しかし、この改善も検討し尽くされている状態にあ
る。しかも、前述の透磁率の改善と透磁率の周波数特性
の改善の手法は、互いに影響しあい、相反する効果を奏
することが多い。

【０００７】そこで、本発明者らは、前記問題点を解消
するために、粉末形状と圧粉磁芯の透磁率の関係の検討
を重ねた。その結果、原料の磁性金属粉末のアスペクト
比を高くすることにより、圧粉磁芯の透磁率が格段に向
上し、しかも高アスペクト比の粉末で作製された磁芯の
高周波特性が非常に優れていることを見出した。

【０００８】さらに、従来の扁平粉末では到達できなか
った改善を、針状の粉末を使用することにより見いだし
た。即ち、針状の粉末は、扁平粉末に比べて高い透磁率
の圧粉磁芯で、しかも、これを鉄（Ｆｅ）・珪素（Ｓ
ｉ）・アルミニウム（Ａｌ）系の合金で実現することに
より、高周波まで良好な透磁率の周波数特性が得られる
ことを見いだした。更に、圧粉磁芯の製造に適した針状
の磁性金属粉末を容易に作製する製造方法と、良好な磁
芯が得られる磁性金属粉末の粉末特性の検討し、本発明
に至った。

【０００９】従って、本発明の課題は、高い透磁率と、
透磁率の優れた高周波特性を有する圧粉磁芯、これを用
いたコイル、その原料である針状の磁性金属粉末、及び
これを容易に製造できる製造方法を提供することであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明者らは、回転式の冷却用液体層中に溶融合金
原料を噴射投入させて粉末を得る方法、いわゆる紡糸法
を用いて、原料粉末を針状にすることを見い出し、容易
に所要の形状特性を有する磁性金属粉末が得られること
を見い出した。この方法で鉄・珪素・アルミニウム系合
金の所定の形状特性を持つ合金粉末を得ることで、高い
透磁率と優れた透磁率の高周波特性を有する圧粉磁芯が
得られることを見出した。

【００１１】本発明は、磁性金属粉末で、組成が鉄
（Ｆｅ）、珪素（Ｓｉ）、アルミニウム（Ａｌ）を主成
分とし、外形が針状で、その平均のアスペクト比が２.
５以上で、平均の短軸径が１００μｍ以下である圧粉磁
芯用合金粉末である。

【００１２】又、本発明は、鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓ
ｉ）、アルミニウム（Ａｌ）を主成分とし、外形が針状
で、その平均のアスペクト比が２.５以上で、平均の短
軸径が１００μｍ以下である合金粉末の製造において、
回転する円筒状ドラムの内側に遠心力によって冷却液体
層を形成し、前記冷却液体層に、鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓ
ｉ）、アルミニウム（Ａｌ）を主成分とする合金の溶湯
をジェット状に噴出させ、前記合金の溶湯を凝固させ
て、針状の粉末を得る圧粉磁芯用合金粉末の製造方法で
ある。

【００１３】又、本発明は、前記記載の圧粉磁芯用
合金粉末、または、前記記載の方法で作られた圧粉磁
芯用合金粉末のいずれかを用いた圧粉磁芯である。

【００１４】又、本発明は、前記記載の圧粉磁芯用
合金粉末、または、前記記載の製造法で作られた圧粉
磁芯用合金粉末のいずれかを圧縮成形して磁芯を作る圧
粉磁芯の製造方法である。

【００１５】又、本発明は、前記またはいずれか
に記載の圧粉磁芯を用いたコイルである。

【００１６】

【発明の実施の形態】本発明では、圧粉磁芯用の原料粉
末を、針状で、平均アスペクト比が２.５以上で、平均
の短軸径が１００μｍ以下の形状特性を持つ針状粉末と
することで、従来の機械加工等で作られた扁平状の粉末
より、さらに高い透磁率と、優れた透磁率の高周波特性
に改善された圧粉磁芯が得られる。また、いわゆる、紡
糸法を用いて製造することにより、所望の形状で、機械
的歪みも小さく、後加工の必要のない合金粉末が、簡単
な工程で安価に製造できる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は、本発明の実施例で用いた圧粉磁芯用合金
粉末の製造に使用した装置の概略の構成を示す正面図で
ある。図１に示す装置は、回転可能な円筒状ドラム１が
あり、この円筒状ドラム１の一端面は、その中央部に回
転用動力源（モータ１０）と接続した回転軸２が接続さ
れた円板が固定されている、他方の面には、その中央部
が開口した円環状の板が液体流出防止板４として取り付
けられている。この円筒状ドラム１の内壁面の上には、
ドラムの回転による遠心力によって冷却液体層５が形成
される。

【００１８】他方、この円筒状ドラム１内の中央部分
に、合金を溶融するためのるつぼ６が下方に延在して配
置されている。るつぼ６の先端には、溶融紡糸のための
噴射ノズル７が設けられ、この噴射ノズルから溶融金属
ジェット８が、円筒状ドラムの内側の冷却液体層５に噴
射される。また、このるつぼ６の外側に設けられた加熱
コイル１３により、合金の溶湯９がるつぼ６内に生成さ
れる。この円筒状ドラム１は、回転軸２の他端に固定さ
れたモータ１０により回転駆動される。るつぼ６は、鉛
直方向及び水平方向に位置調節可能に支持部材１１等に
より支持されている。

【００１９】回転ドラムの回転数を変えることで、任意
の長さの針状粉末を得ることができ、アスペクト比を自
在に制御できる。すなわち、回転速度を速くするとアス
ペクト比を小さくでき、回転速度を遅くするとアスペク
ト比を大きくできる。また、噴射口の大きさや、噴射速
度を調節することでも、粉末の短軸径の大きさや、アス
ペクト比の調節ができる。

【００２０】このような構成の装置を用いて、以下のよ
うに鉄・珪素・アルミニウム系圧粉磁芯用合金粉末を製
造した。

【００２１】まず、円筒状ドラム１として、内径φ５０
０ｍｍのものを使用した。その内部に深さ１００ｍｍの
冷却液体層５を形成した。るつぼ６には、組成比が残部
Ｆｅ−１０ｗｔ％Ｓｉ−５ｗｔ％Ａｌとなる合金原料を
投入し、アルゴン雰囲気中で溶融し、合金の溶湯９とし
た。アルゴンガス導入管１２を通してるつぼ６に導入す
るアルゴンガス圧を制御して、種々の口径の紡糸用噴射
ノズル７から合金の溶湯９を冷却液体層５に噴出させ
た。冷却液体層５の媒体としては、シリコンオイルを用
いた。また、回転ドラムの回転数を３２０〜３４０ｒｐ
ｍとすることで、平均のアスペクト比１.５〜２０の針
状の合金粉末の試料を作製した。これらの試料の粉末の
平均の短軸径（針状粉末の直径）を測定した。

【００２２】次に、この合金粉末にシリコーン樹脂を３
ｗｔ％混合し、外径２０ｍｍ、内径１０ｍｍの金型を用
い、室温で５ｔｏｎ／ｃｍ²の成形圧で成形し、トロイ
ダル形状の圧粉磁芯を得た。これら圧粉磁芯を１７０℃
で２時間大気中で熱処理を行い、バインダー硬化を行っ
た。更に、酸化性雰囲気である大気中で、７００℃、２
時間熱処理を行った。次に、これら圧粉磁芯に対して巻
線し、コイルを作製して、インピーダンスアナライザー
（ＹＨＰ製４１９４Ａ）を用いて、１００ｋＨｚでのイ
ンダクタンスを測定し、透磁率を求めた。これらの結果
を表１（試料番号１〜９）に示す。

【００２３】次に、比較例として、アトマイズ法にて作
製した実施例と組成比が、同じ残部Ｆｅ−１０ｗｔ％Ｓ
ｉ−５ｗｔ％Ａｌなる合金粉末を原料とし、ボールミル
を使用して粉末の偏平化加工を行った。ボールミルの粉
砕時間で変化させ、平均のアスペクト比が５、１０、２
０になるように偏平化加工を行い、圧粉磁芯用合金粉末
の試料を作製した。これらの粉末の平均の短軸径を測定
した。次に、実施例と同様の方法でトロイダル形状の圧
粉磁芯を得た。さらに、実施例と同様の方法で透磁率を
求めた。それらの結果を表１（試料番号１０〜１２）に
示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】表１から明らかなように、圧粉磁芯の原料
粉末を、扁平状の合金粉末である比較例の試料（試料番
号１０から１２）に対して、実施例の針状の合金粉末を
用いた試料（試料番号１から９）の内、試料番号１と５
を除いた実施例の試料では高い透磁率の圧粉磁芯が得ら
れていることが分かる。即ち、アスペクト比が２.５以
上の実施例で、比較例の試料の透磁率よりも改善されて
いることが分かる。他方、短軸径については、１００μ
ｍを越えて大きくすると、透磁率の高周波特性が劣化す
る傾向が認められた。従って、短軸径は１００μｍ以下
で良好な特性の圧粉磁芯、即ちコイルが得られた。な
お、長軸径について規定していないが、長軸径は、圧粉
成形する方法や、原料の供給方法により使い易い長さが
決まるので、特に限定しない。

【００２６】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の方法を
用いて作製した鉄（Ｆｅ）・珪素（Ｓｉ）・アルミニウ
ム（Ａｌ）系合金の所定の形状特性を持つ針状粉末を原
料とし、その粉末で圧粉磁芯を製造することにより、周
波数特性の良好な高透磁率の磁芯を作製することが可能
となり、機器に対する強い小型化の要求に対応でき、工
業的利用価値大である。また、この製造法で合金粉末や
圧粉磁芯を製造することにより、簡単な工程で安価にコ
イルが製造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例で用いた圧粉磁芯用合金粉末を
製造するための装置の概略を示す正面図。

【符号の説明】

１円筒状ドラム２回転軸３すべり軸受け４液体流出防止板５冷却液体層６るつぼ７（紡糸用）噴射ノズル８溶融金属ジェット９合金の溶湯１０モータ１１支持部材１２アルゴンガス導入管１３加熱コイル

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】磁性金属粉末において、組成が鉄（Ｆ
ｅ）、珪素（Ｓｉ）、アルミニウム（Ａｌ）を主成分と
し、外形が針状で、その平均アスペクト比が２.５以上
で、平均短軸径が１００μｍ以下であることを特徴とす
る圧粉磁芯用合金粉末。
【請求項２】鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓｉ）、アルミニウ
ム（Ａｌ）を主成分とし、外形が針状で、その平均アス
ペクト比が２.５以上で、平均短軸径が１００μｍ以下
である合金粉末の製造において、回転する円筒状ドラム
の内側に遠心力によって冷却液体層を形成し、前記冷却
液体層に、鉄（Ｆｅ）、珪素（Ｓｉ）、アルミニウム
（Ａｌ）を主成分とする合金の溶湯をジェット状に噴出
させ、前記合金の溶湯を凝固させて、針状の粉末を得る
ことを特徴とする圧粉磁芯用合金粉末の製造方法。
【請求項３】請求項１記載の圧粉磁芯用合金粉末、ま
たは、請求項２記載の方法で作られた圧粉磁芯用合金粉
末のいずれかを用いたことを特徴とする圧粉磁芯。
【請求項４】請求項１記載の圧粉磁芯用合金粉末、ま
たは、請求項２記載の製造方法で作られた圧粉磁芯用合
金粉末のいずれかを圧縮成形して磁芯を製造することを
特徴とする圧粉磁芯の製造方法。
【請求項５】請求項３または請求項４のいずれかに記
載の圧粉磁芯を用いたことを特徴とするコイル。