JPH11100352A - 新規不飽和カルボン酸エステル - Google Patents

新規不飽和カルボン酸エステル

Info

Publication number
JPH11100352A
JPH11100352A JP26406197A JP26406197A JPH11100352A JP H11100352 A JPH11100352 A JP H11100352A JP 26406197 A JP26406197 A JP 26406197A JP 26406197 A JP26406197 A JP 26406197A JP H11100352 A JPH11100352 A JP H11100352A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
unsaturated carboxylic
carboxylic acid
cardanol
formula
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26406197A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP26406197A priority Critical patent/JPH11100352A/ja
Publication of JPH11100352A publication Critical patent/JPH11100352A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • C08F20/02Monocarboxylic acids having less than ten carbon atoms, Derivatives thereof
    • C08F20/10Esters
    • C08F20/26Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen
    • C08F20/32Esters containing oxygen in addition to the carboxy oxygen containing epoxy radicals

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 射出成形を行う場合に、金型に対する離型性
に優れ、溶融成形温度が低く、また、吸水性が低く且つ
十分な耐熱性を有する樹脂の原料となるモノマーとし
て、さらに、ポリオレフィン系樹脂との接着性に優れる
塗料や接着剤の原料となるモノマーとして好適に用いる
ことができる不飽和カルボン酸エステルを提供すること
にある。 【解決手段】 ラジカル重合性不飽和二重結合と、特定
の構造のアルキル基を置換基として有する脂環式6員環
が結合してなる新規な不飽和カルボン酸エステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な不飽和カル
ボン酸エステルに関する。さらに詳しくは、分子内にラ
ジカル重合性不飽和二重結合と、特定のアルキル基、又
はハロゲンもしくはエポキシ基で置換された該アルキル
基を置換基とする脂環式6員環構造を有することを特徴
とし、単独重合やまたは他の不飽和二重結合を有する化
合物との共重合が可能である、成形用樹脂、接着剤、塗
料用バインダー、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の原料
として有用な、新規不飽和カルボン酸エステルに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より上記用途に用いられる不飽和カ
ルボン酸エステルとしては、各種のアクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル類が用いられ、これらの単独
又は他のモノマーとの共重合体が広く用いられている。
これら不飽和カルボン酸エステルとしては、アクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸エ
チル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタク
リル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタ
クリル酸イソボルニル等が知られている。
【0003】中でも、MMAを構成単位とするメタクリ
ル系樹脂(PMMA)が良好な耐熱性、力学物性、及び
光学特性を有していることから、光学用部品等の射出成
形材料、シート状等の押し出し成形材料、塗料用途、接
着剤用途等の各種用途に使用され、その用途範囲と需要
は増大しつつある。しかしながら、該用途範囲が増大す
るにつれ、原料樹脂に要求される性能も高くなり、その
改良を望まれている分野が増加してきている。
【0004】例えば、光学用部品等の射出成形材料用途
や押し出し成形材料用途においては、一般に得られる製
品の吸湿性が低いものが望まれており、上記PMMAは
ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、或い
はポリスチレン系樹脂と比較した場合、優れた光学特性
を有するものの、吸湿性が大きいという欠点があり、環
境条件の変化により反り、寸法変化、屈折率の変化が起
きやすい傾向にあった。
【0005】また、塗料、接着剤分野においても吸湿性
が低いことが望まれている。さらに該分野においては、
他の樹脂、例えばポリオレフィン系樹脂等との接着性に
優れるものが望まれる分野が広がっており、MMAを用
いた場合には未だ十分ではなく、新規な不飽和カルボン
酸が望まれている。さらに、射出成形によりPMMA製
品を得るような分野においては、シリンダー内での樹脂
の滞留をできるだけ短時間とし、樹脂の着色を最小限と
するために、PMMA系樹脂の金型に対する離型性をさ
らに向上させ、長時間連続成形ができるようにすること
が望まれている。
【0006】近年、上記問題点の改善を試みた各種不飽
和カルボン酸エステル、及びこれを含有する新しい樹脂
の検討がなされている。例えば、特開昭58−5318
号公報、特開昭58−5354号公報、特開昭58−1
1515号公報、特開昭59−227909号公報にお
いて、吸湿性を低減するために、メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベン
ジル、メタクリル酸トリシクロデカンメチル等の脂環基
又は芳香族基を有する不飽和カルボン酸エステルを用い
ることが提案され、MMAとの共重合体を用いることが
試みられている。
【0007】しかしながら、これらの不飽和カルボン酸
エステルの重合体は、吸湿性は低減できるものの、ガラ
ス転移点が大きく上昇するため、射出成形を行う場合に
は高い溶融温度が必要であり、また離型性が十分ではな
いため成形品が着色しやすい傾向にあった。また、MM
Aの吸湿性を例えばポリカーボネート系樹脂と同等レベ
ルにまで低下させる共重合組成となるように、上記メタ
クリル酸シクロヘキシル等の不飽和カルボン酸エステル
をMMAに共重合させた場合には、MMA本来の引張強
度や耐衝撃性等の力学物性が低下する。
【0008】一方、PMMAの射出成形時における離型
性を改善し、成形品の吸湿性を低減でき、または接着剤
や塗料として用いる場合にはポリオレフィン系樹脂との
接着性を向上できる方法として、メタクリル酸エチルヘ
キシルやメタクリル酸ステアリル等の長鎖アルキル鎖を
有する不飽和カルボン酸エステルを用いることが知られ
ている。しかし、これら長鎖アルキル基を有する不飽和
カルボン酸エステルからなる樹脂は、熱変形温度がPM
MAと比較し非常に低い。従って、例えばPMMAの吸
湿性を十分に低下させる共重合組成となるように、これ
らの長鎖アルキル基を有する不飽和カルボン酸エステル
をMMAと共重合させた場合には、PMMA本来のガラ
ス転移点及び引張強度が大きく低下する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、射出成形を
行う場合に金型に対する離型性に優れ、溶融成形温度が
低く、また、吸湿性が低く且つ十分な耐熱性を有する樹
脂の原料となるモノマーであり、さらにポリオレフィン
系樹脂との接着性に優れる塗料や接着剤の原料となるモ
ノマーである不飽和カルボン酸エステルを提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく、各種不飽和カルボン酸エステルに関し鋭意検
討し、特定の構造のアルキル基が結合した6員環脂環式
構造を有する、新規な不飽和カルボン酸エステルが、公
知の開始剤を用いることにより、容易に熱、電子線、紫
外線等の作用によって単独重合や他の不飽和二重結合を
有する化合物と共重合を行うことができ、優れた離型
性、十分な耐熱性、及び低い吸湿性を併せ持つ樹脂の原
料となること、また、ポリオレフィン系樹脂と十分な接
着性を与える接着剤や塗料の原料としても有用であるこ
とを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は以下の通りである。 [1] 下記一般式(1)で表される不飽和カルボン酸
エステル。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1 は水素原子、又はメチル基を
示し、R2 は、炭素数15〜17のアルキル基、又はハ
ロゲン、もしくはエポキシ基で置換された炭素数15〜
17のアルキル基を示す。) [2] 下記一般式(2)で表される構造である上記
[1]の不飽和カルボン酸エステル。
【0014】
【化4】
【0015】(式中、R3 は水素原子、又はメチル基を
示し、R4 は炭素数15〜17の直鎖アルキル基を示
す。) 本発明による新規不飽和カルボン酸エステルは一般式
(1)で表されるものである。本発明において、R1
水素原子、又はメチル基であるが、メチル基の場合は得
られる樹脂のガラス転移点等の耐熱性が高い傾向にあ
る。
【0016】また、本発明においては、R2 は炭素数1
5〜17のアルキル基、又はハロゲンもしくはエポキシ
基で置換された炭素数15〜17のアルキル基である。
特に該炭素数が15であることが好ましい。さらに、こ
れらアルキル基、ハロゲン化アルキル基、エポキシ化ア
ルキル基は直鎖状の場合が、得られる樹脂の成形時にお
ける金型に対する離型性が高くなる傾向にあり好まし
い。該炭素数が15未満の場合は、得られる樹脂を射出
成形する場合に金型に対する離型性が低下する傾向にあ
り好ましくない。該炭素数が17を越える場合は、該離
型性は向上するが、耐熱性及び引張強度等の力学物性が
低下する傾向にある。
【0017】本発明におけるR2 がハロゲン化アルキル
基の場合、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素等特に制限
はない。ハロゲン化アルキル基をより具体的に例示する
と、下記化5及び化6に示す構造のものが挙げられるが
この限りではない。これらは後述する天然物であるカル
ダノールのアルケニル基にハロゲン或いはハロゲン化水
素を付加した後に芳香環を水素還元することにより、容
易に得ることができるものである。
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】また、本発明におけるR2がエポキシ化ア
ルキル基の場合とは、例えば下記化7に示す構造が挙げ
られる。これらは上記カルダノールのアルケニル基を過
酸化物等でエポキシ化し、ついで芳香環を水素還元する
ことにより容易に得ることができる。
【0021】
【化7】
【0022】本発明においては、一般式(1)における
2 の結合位置に特に制限はないが、一般式(1)中の
シクロヘキサン環上でエステル基の結合位置に対しメタ
位である一般式(2)で表される結合位置であること
が、重合速度を低下させず、また得られる樹脂の溶融成
形温度が低くなることから望ましい。中でも、アルキル
基の場合が、得られる樹脂が低吸湿性となる傾向にあ
り、射出成形時の金型に対する離型性が向上する点で好
ましい。
【0023】本発明においては、下記式(3)又は下記
式(4)で表される構造である不飽和カルボン酸エステ
ルが、得られる樹脂の射出成形時の金型に対する離型
性、吸湿性、耐熱性、引張強度等のバランスが良好であ
る点で、特に好ましい。
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】本発明の不飽和カルボン酸エステルの製造
方法を以下に述べる。本発明の不飽和カルボン酸エステ
ルは、例えば、下記化10の式(5)で示される一般に
カルダノールと呼ばれる、アルケニルフェノールを水素
化することにより得られる、下記化12の式(6)に示
される水添カルダノールと、不飽和カルボン酸類又は不
飽和カルボン酸誘導体とを反応させることにより得るこ
とができる。
【0027】
【化10】
【0028】(式中、R′は下記化11に示される基で
ある。)
【0029】
【化11】
【0030】
【化12】
【0031】上記カルダノールは、種々の植物、例えば
カシュー(Anacardiumoccidental
e、ウルシ科)の種子殻や果実などから、圧搾法や溶媒
抽出法等により得られる抽出油中、又は該抽出油を加熱
処理をして得られる油状物質中に含有されており、蒸留
法、液−液抽出法等により分離精製することにより得る
ことができる。また、下記化13に示されるアナカルド
酸を加熱し、脱炭酸処理をすることにより、カルダノー
ルを得ることもできる。
【0032】
【化13】
【0033】(式中、R″は下記化14に示されるアル
ケニル基である。)
【0034】
【化14】
【0035】本発明においては、あらかじめ分離精製を
したカルダノールを水素化してもよいし、上記カルダノ
ールを含有する抽出油や油状物質をあらかじめ水素化
し、含有される水添カルダノールを分離精製してもかま
わない。カルダノールを水素化することにより、水添カ
ルダノールを得る方法としては、一般に芳香族化合物の
核水添を行う際に用いる触媒及び水素の存在下で、水素
化反応を行うことにより得ることができる。この際、溶
媒にカルダノールを溶解させて該水素化反応を行っても
よい。
【0036】該触媒としては、カルダノールを水素化で
きるものであれば特に制限はないが、一般には周期律表
第VIII族の金属の使用が好適に使用でき、ニッケ
ル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金等が挙げ
られる。また、これらの金属をカーボン、シリカ、アル
ミナ、ケイソウ土、シリカ−アルミナ等の多孔性担体に
担持させて用いることが、取り扱い上望ましい。上記水
素化反応において、用いられる触媒量は、特に制限はな
いが、通常、カルダノールに対し、0.1〜100重量
%の範囲にある。
【0037】また、上記溶媒としては、カルダノールを
溶解するもので有れば特に制限はなく、例えばヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン、シクロヘキ
サン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、ベンゼ
ン、シクロヘキセン、トルエン、キシレン等の炭化水素
類、ジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル等の
エステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、γ−
ブチロラクトン等のラクトン類、メタノール等のアルコ
ール類、アセトン等のケトン類が例示される。これら溶
媒を2種以上用いて混合溶媒として用いても良い。これ
ら溶媒を用いる場合は、当該溶媒に溶解させるカルダノ
ールの濃度は特に制限はなく、通常1〜99重量%の範
囲にある。
【0038】さらに、該水素化反応は、粉末触媒を用い
てバッチ式オートクレーブ中で行っても、また、成形触
媒を用いて連続固定床で行ってもよい。また、該水素化
反応における反応温度及び水素圧は、水添カルダノール
が得られる条件で有れば特に制限はなく、通常、0〜3
00℃、大気圧〜300kg/cm2 の範囲にある。
【0039】本発明において、用いる水添カルダノール
の水酸基とアルキル基はシス位、トランス位、又はこれ
らの混合物であってもよい。水添カルダノールと不飽和
カルボン酸類又は不飽和カルボン酸誘導体とを反応さ
せ、本発明の不飽和カルボン酸エステルを得る方法は、
公知の方法で行うことができる。
【0040】例えば、不飽和カルボン酸類を用いる場合
は、酸触媒の存在下で水添カルダノールと脱水縮合反応
をさせる方法が挙げられる。該酸触媒としては、例えば
硫酸、メタンスルホン酸、無水リン酸、p−トルエンス
ルホン酸等の公知のものが使用できる。また、その使用
量は特に制限はないが、通常、用いる不飽和カルボン酸
類に対し、0.05〜20モル%、望ましくは0.1〜
10モル%である。上記不飽和カルボン酸類としては、
アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。また、上記脱
水縮合をさせる場合は、反応により生成した水を除去す
るため、減圧下で行ってもよいし、共沸溶剤を用いても
よい。ここでいう共沸溶剤とは、水と容易に分離がで
き、60〜120℃の沸点を有するものであり、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化
水素、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が好適
に使用できる。該共沸溶剤の使用量は特に制限はない
が、反応混合物の5〜80重量%の範囲が望ましい。
【0041】さらに、本発明の不飽和カルボン酸エステ
ルを上記脱水縮合により製造するにあたり、反応系に存
在する上記不飽和カルボン酸類の重合を防止するため
に、通常、重合禁止剤を添加する。該重合禁止剤として
は、ハイドロキノン、フェノチアジン、2,5−ジヒド
ロキシ−p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、p−メ
トキシフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチル
フェノール、3−ヒドロキシチオフェノール等の公知の
ものが使用でき、その使用量は、通常、用いる不飽和カ
ルボン酸類に対し0.001〜10重量%の範囲にあ
る。
【0042】また、不飽和カルボン酸誘導体を用いて、
本発明の不飽和カルボン酸エステルを得る場合、該不飽
和カルボン酸誘導体としては、アクリル酸クロライド、
メタクリル酸クロライド等の不飽和カルボン酸塩化物
や、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の不飽和
カルボン酸アルキルが使用できる。例えば、上記不飽和
カルボン酸アルキルと水添カルダノールをエステル交換
触媒の存在下で反応させ、本発明の新規不飽和カルボン
酸エステルを得る場合は、これらの反応モル比(該不飽
和カルボン酸アルキル:水添カルダノール)は1:1〜
100:1が望ましく、さらには2:1〜50:1とす
ることが望ましい。また、この際用いるエステル交換触
媒としては、アルカリ金属アルコラート、マグネシウム
アルコラート、アルミニウムアルコラート、チタンアル
コラート、ジブチルスズオキシド等の公知のものから任
意に選択し使用でき、その使用量は、水添カルダノール
に対し0.001〜70モル%である。
【0043】また、この際生成するアルキルアルコール
は不飽和カルボン酸アルキルと共沸させ、系外に留去す
ることが有利である。また、この場合においても前述し
た重合禁止剤を用いることができ、その使用量は、通
常、用いる不飽和カルボン酸アルキルに対し0.001
〜10重量%である。以上のようにして得られる、本発
明の新規不飽和カルボン酸エステルは、単独重合や他の
不飽和二重結合を有する化合物と共重合させることがで
きる。本発明の不飽和カルボン酸エステルを用いて得ら
れる樹脂は、射出成形を行う場合に金型に対する離型性
に優れ、溶融成形温度が低く、また、吸湿性が低く且つ
十分な耐熱性を有する。さらに、本発明の不飽和カルボ
ン酸エステルは、他の樹脂、例えばポリオレフィン系樹
脂との接着性に優れる塗料や接着剤の原料として有用で
ある。また、本発明の不飽和カルボン酸エステルは低臭
気性であり且つ刺激性が低いため、塗料構成成分として
用いた場合でも作業環境を損ねることなく、良好な塗膜
を得ることができる。
【0044】以下、本発明を実施例により説明する。
【0045】
【発明の実施の形態】
<測定法> 1.核磁気共鳴スペクトル測定 反応生成物の核磁気共鳴スペクトルは、テトラメチルシ
ランを基準物質とし、重クロロホルムを溶媒として用い
て、日本電子製JNM−α400(400MHz)で1
H−NMRスペクトルデータを得た。 2.赤外吸収スペクトル測定 反応生成物を臭化カリウム板に塗布し、Nicolet
InstrumentCorporation社製F
T−IRスペクロメーター、Impact400Dで測
定した。 <水添カルダノールの合成>内容積1.5リットルのバ
ッチ式オートクレーブに、熱処理を行ったカシューナッ
ツオイルから蒸留精製により得たカルダノールを10
0.00g、シクロヘキサン500g、ラネーニッケル
を10g仕込み、室温下で30kg/cm2 の水素圧を
圧入し、80℃で2時間攪拌することにより水素化反応
を行った。
【0046】水素化反応後、該オートクレーブから取り
出した溶液を平均孔径0.2μmのテフロン製メンブレ
ンフィルターを用いて濾過することにより、ラネーニッ
ケルを除去した。ついで、得られた濾液を加熱下で減圧
にすることによりシクロヘキサンを留去した結果、室温
で白色固体である水添カルダノールを103.2g得
た。得られた水添カルダノールは前記化12に示した式
(6)においてOH基とアルキル基がシス位であるもの
とトランス位であるものの混合物であり、純度は99重
量%であった。
【0047】得られた水添カルダノールをマススペクト
ル(GC−MS)(HEWLETTPACTARD社製
ガスクロマトグラフ 5890 SERIES I
I、マススペクトロメータ 5989A)で測定した結
果、分子量は310であり、分子式C21421 からの
計算値と一致した。また、後述する核磁気共鳴スペクト
ル法で分析した結果を図1に示した。 <1H−NMRの帰属> δ:3.4〜4.1 、1H:OH基が結合している炭
素原子に結合する水素原子 δ:0.6〜2.0 、40H:上記以外の水素原子
【0048】
【実施例1】200mlの四つ口フラスコに、上記で得
られた水添カルダノール31g(0.1モル)、及びp
−トルエンスルホン酸0.95g(0.005モル)を
仕込み、60℃迄昇温した。該温度で、水添カルダノー
ルは溶融しており、該温度で20分間攪拌した。つい
で、メタクリル酸を43.1g(0.5モル)、ハイド
ロキノン0.04gを添加し、200〜230mmHg
の減圧下で少量の空気を導入しながら125℃まで昇温
し、生成水を系外に除去しつつ6時間反応を行った。つ
いで、該温度で減圧度を150〜160mmHgとし、
さらに1時間反応を行った。水添カルダノールの反応率
は99.2%あった。
【0049】反応液を冷却後、中和当量の苛性ソーダ水
溶液を加えて中和したのち、ヘキサン300mlを加え
た。ついで水200mlを添加してヘキサン溶液を洗浄
する操作を5回行った。得られたヘキサン層を無水硫酸
マグネシウムを用いて乾燥させ、さらに減圧下でヘキサ
ンを留去することにより、水添カルダノールとメタクリ
ル酸の反応物である透明液体34.9g(収率92.3
%、純度99.6重量%)を得た。
【0050】このようにして得られた透明液体元素分析
結果を表1に、また核磁気共鳴スペクトル測定結果を図
2に示した。 <1H−NMRの結果> 帰属 δ:5.4〜6.2、2H:炭素−炭素二重結合を有す
る炭素原子に結合する水素原子 δ:4.6〜5.2、1H:エステル基が結合するシク
ロヘキサン環上の炭素原子に結合する水素原子 δ:0.6〜2.2、43H:上記以外の水素原子 また後述する方法により測定した赤外吸収スペクトルの
測定結果を図3に示した(1720cm-1:エステル基
の伸縮振動)。
【0051】これらの測定結果より、この化合物は前記
化9に示した式(4)で表される不飽和カルボン酸エス
テルであることを確認した。攪拌機を備えた内容積20
0mlのステンレススチール製の反応器に、上記で得ら
れた透明液体20g、メタクリル酸メチル30gを仕込
み、開始剤としてアゾビスイソブリロニトリル0.02
gを添加し溶解させ、98℃で12分間重合させた。さ
らに、開始剤としてアゾビスバレロニトリルを0.05
gを加えて混合溶解後、66℃で11時間重合させ、さ
らに110℃で2時間重合させることにより、透明な高
分子体を得た。該高分子体を厚さ500μmのシート状
に溶融プレス成形を行ったところ、該高分子体は吸水率
0.8%である吸湿性の低いものであった。なお、吸水
率は、上記成形されたシートを10cm×10cmに切
断したものを試験片として用い、JIS規格K6911
に準拠し、23℃24時間水中に浸漬して測定した。
【0052】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】水添カルダノールの核磁気共鳴スペクトル図で
ある。
【図2】実施例1により得られた生成物の核磁気共鳴ス
ペクトル図である。
【図3】実施例1により得られた生成物の赤外吸収スペ
クトル図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される不飽和カル
    ボン酸エステル。 【化1】 (式中、R1 は水素原子、又はメチル基を示し、R
    2 は、炭素数15〜17のアルキル基、又はハロゲン、
    もしくはエポキシ基で置換された炭素数15〜17のア
    ルキル基を示す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で表される構造である
    請求項1記載の不飽和カルボン酸エステル。 【化2】 (式中、R3 は水素原子、又はメチル基を示し、R
    4 は、炭素数15〜17のアルキル基を示す。)
JP26406197A 1997-09-29 1997-09-29 新規不飽和カルボン酸エステル Pending JPH11100352A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26406197A JPH11100352A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 新規不飽和カルボン酸エステル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26406197A JPH11100352A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 新規不飽和カルボン酸エステル

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11100352A true JPH11100352A (ja) 1999-04-13

Family

ID=17397995

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26406197A Pending JPH11100352A (ja) 1997-09-29 1997-09-29 新規不飽和カルボン酸エステル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11100352A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043418A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Toho Titanium Co Ltd 非対称マロン酸ジエステル類の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014043418A (ja) * 2012-08-27 2014-03-13 Toho Titanium Co Ltd 非対称マロン酸ジエステル類の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6533959B2 (en) Brominated materials
JPH02281013A (ja) ジケトン化合物系共重合体
JP3454544B2 (ja) (メタ)アクリル酸エステル、その製造方法、それを用いた硬化性樹脂組成物およびその硬化物
US5463110A (en) Michael adducts of N-vinylformamide and acrylic and methacrylic esters
JPH11100352A (ja) 新規不飽和カルボン酸エステル
AU757140B2 (en) Brominated materials
US5798434A (en) Monomer mixture and method for the preparation thereof
JPH0267248A (ja) 新規な(メタ)アクリル酸エステル
JP2797000B2 (ja) (メタ)アクリレート化合物の製造方法
EP1253134B1 (en) Vinyl-polymerizable monomer having tertiary hydroxyl group and polymer
JP4110642B2 (ja) (メタ)アクリル酸エステルならびにその製造方法
JPH06321863A (ja) 新規な(メタ)アクリレートおよびその製造法
JP3543886B2 (ja) フッ素含有(メタ)アクリレート、その製造方法及びその硬化物
US4841005A (en) Tricyclodecane derivative
JPH01221348A (ja) 新規なジ(メタ)アクリラート、その製法及び用途
JPH01168712A (ja) 光学材料用樹脂
JP2514455B2 (ja) 分子内に二重結合と三重結合を含有するカ―ボネ―ト化合物
US4734453A (en) Hydrolyzed copolymers of alpha-carbamato-acrylates
JPH1129525A (ja) 新規なシクロペンチルアクリレート化合物及びその製造方法
JP2515586B2 (ja) 新規な(メタ)アクリレ―ト化合物
JPH0797351A (ja) 新規な(メタ)アクリレート化合物およびその製造方法
JPH0465071B2 (ja)
JPH03200745A (ja) アダマンチルジクロトネート誘導体
JP2847211B2 (ja) 高炭素数ジオール混合物及びそのジオール混合物の不飽和脂肪族カルボン酸エステル
JPH0425271B2 (ja)