JPH1096001A - 部分拡散合金化鋼粉の製造方法 - Google Patents
部分拡散合金化鋼粉の製造方法Info
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Abstract
拡散合金化させた合金化鋼粉を経済的に製造する方法の
提供。 【解決手段】 Oを0.3 〜0.9wt %、Cを0.3wt %未満
含有する水アトマイズしたままの鉄系粉末に、平均粒径
が20〜100 μm のCuの金属粉を混合し、得られた混合物
を、好ましくは20〜150 ℃/分の昇温速度で昇温し、還
元性雰囲気下、820 〜1000℃の温度で1回熱処理し、前
記鉄系粉末の表面にCuを部分拡散合金化させる部分拡散
合金化鋼粉の製造方法。
Description
鋼粉の製造方法に係わり、特に、Cuの偏析が少なく、圧
縮性が高い、Cuを部分拡散合金化させた合金化鋼粉の製
造方法に関する。
は、材料歩留に優れ、加工費が安価であるため、複雑な
形状の部品を低コストで得られる利点がある。従来、焼
結部品は、純鉄粉を主原料にCuやNi、Moなどの金属粉と
黒鉛を混合し、成形、焼結して製造していた。
よび黒鉛それぞれの形状、粒度、比重が異なるため、混
合後の、輸送、ホッパへの装入、ホッパからの払い出
し、成形処理などの際に、純鉄粉、金属粉および黒鉛そ
れぞれが分離し、成分偏析が発生し、焼結部品の強度や
寸法が不均一となる問題があった。これに対して、Cuを
部分拡散合金化させた偏析の少ない部分合金化鋼粉の製
造方法に関するものとして、仕上げ還元を行っていない
粉末冶金用鉄粉に対し、金属含有率で10〜50重量%とな
るように、平均粒径が5μm 以下、かつ、比表面積が10
m2/g 以上である酸化銅を混合し、還元性雰囲気下、 7
00℃〜 950℃の温度で加熱還元することにより、金属銅
を鉄粉表面に拡散付着させることを特徴とする粉末冶金
用鉄基銅複合粉末の製造方法が開示されている(特開平
8-92604号公報)。
合金化を同時に行うが、酸化銅の粒径が小さく、昇温時
の低温領域で酸化銅が還元され銅粉となり、鉄粉粒子内
へ銅の拡散が進行しすぎて、圧縮性が低下するという問
題があり、さらには、必要となる酸化銅のコストが高い
という問題がある。また、特開平1-290702号公報には、
水アトマイズしたままの鉄系粉末に、金属Cu粉と酸化鉄
粉とを混合し、還元性雰囲気中で加熱し、鉄系粉末表面
に還元されたFeとCuを拡散付着する技術が開示されてい
る。
化を同時に行うので低コストであるが、還元鉄粉が気孔
を有し、形状が不規則であるため見掛け密度が低く、圧
縮性が劣る欠点があった。
来技術の問題点を解決し、Cuの偏析が少なく、圧縮性が
高い、Cuを部分拡散合金化させた合金化鋼粉を経済的に
製造する方法を提供することを目的とする。
拡散合金化せしめる際の合金鋼粉の圧縮性の低下を抑制
し、さらにCuの偏析が少ないCuの部分拡散合金化鋼粉の
製造方法について鋭意検討した結果、本発明に至った。
本発明は、O:0.3 〜0.9wt %、C:0.3wt %未満を含
有する水アトマイズしたままの鉄系粉末に、平均粒径が
20〜100 μm のCuの金属粉を混合し、得られた混合物
を、昇温速度を20〜 150℃/分、熱処理温度を 820〜10
00℃とする還元性雰囲気下の熱処理で、前記鉄系粉末の
表面にCuを部分拡散合金化せしめることを特徴とする部
分拡散合金化鋼粉の製造方法である。
したままの鉄系粉末の平均粒径が50〜100 μm であるこ
とが好ましい。
する。本発明においては、原料の鉄系粉末として、Oを
0.3 〜0.9wt %、Cを0.3wt%未満含有する水アトマイ
ズしたままの鉄系粉末に、平均粒径が20〜100 μm のCu
の金属粉を混合し、得られた混合物を還元性雰囲気下、
熱処理でCuを部分拡散合金化する。
イズしたままの鉄系粉末粒子の表面は、未還元のため、
FeO あるいはFe2O3 などの酸化物で覆われている。この
ため、還元性雰囲気下での仕上還元は、鉄系粉末粒子の
Cu粉と接触していない粒子表面から優先的に進み、Cu粉
と鉄系粉末粒子との接触面は最後に還元されると考えら
れる。
への拡散は最小限に抑えられ、この結果、Cuの固溶硬化
による部分合金化鋼粉の圧縮性の低下を抑制することが
できる。さらに、本発明によれば、Cu粉の粒子径を大き
くすることにより、鉄系粉末粒子に接するCu粉の接触点
の数を減らせるので、Cuの固溶硬化量が少なくなり、得
られる合金鋼粉の圧縮性の低下が抑制可能となる。
アトマイズ鉄粉を還元した場合と同等の良好な圧縮性を
有するCuの部分拡散合金化鋼粉を1回の熱処理で得るこ
とができる。本発明において用いる水アトマイズしたま
まの鉄系粉末としては、Oを 0.3〜0.9wt%、Cを 0.3w
t%未満含有する鉄系粉末を用いる。
時にCuの鉄系粉末粒子中への拡散が過剰に進行し、Cuの
固溶硬化によって、得られる合金鋼粉の圧縮性が低下
し、逆に 0.9wt%超えの場合は、仕上げ還元速度が遅く
実用的でない。Cの含有量が 0.3wt%以上の場合は、仕
上還元後に得られる合金鋼粉の圧縮性が低くなる。
〜 0.9wt%、Cを 0.3wt%未満含有し、不可避的不純物
の含有量がSi: 0.2wt%以下、Mn: 0.2wt%以下、P:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下である鉄粉が好まし
い。また、鉄系粉末の平均粒径は50〜100 μm とするの
が好ましい。鉄系粉末の平均粒径が50μm 未満では、水
アトマイズ法ではアトマイズコストが高く実用的でな
く、逆に100 μm を超えると、合金鋼粉から製造される
焼結体の強度が低下するので好ましくない。
0.5〜 15wt %とするのが好ましい。金属Cu粉の添加量
が0.5wt %未満では、Cu添加による焼結体の強度向上の
効果がなく、逆に15wt%を超えると圧縮性が低下するの
で好ましくない。金属Cu粉の平均粒径は20〜100 μm と
する。金属Cu粉の平均粒径が20μm 未満の場合には、仕
上還元の熱処理中に、鉄系粉末粒子中へのCuの拡散量が
増加し、圧縮性が低下する。一方、金属Cu粉の平均粒径
が100 μm を超えると、仕上還元の熱処理でのCu粉の鉄
系粉末粒子への拡散付着が不十分となり、仕上還元後の
輸送、ホッパへの装入、ホッパからの払出し、成形処理
等の際にCuの成分偏析が発生する。このため、金属Cu粉
の平均粒径を20〜100 μm の範囲に限定した。
マイクロトラック粒度分布計で測定した50%粒径で定義
される。前記した鉄粉などの鉄系粉末に合金成分である
Cuを部分拡散合金化させる時の熱処理としては、還元性
雰囲気下で、好ましくはH2を含むガス中で、 820〜1000
℃の温度条件下で行う。
鉄系粉末の脱炭、還元が進まず、圧縮性が低下し、逆に
1000℃を超えると合金成分であるCuが鉄系粉末粒子中に
拡散しすぎて圧粉密度が低下するので好ましくない。熱
処理時の昇温速度は、20〜 150℃/分とする。昇温速度
が20℃/分未満の場合、合金化鋼粉の特性は影響されな
いが、生産性が低下し、経済的にも好ましくない。一
方、逆に 150℃/分を超えると脱炭が完全には進行せ
ず、圧縮性が低下し好ましくない。
C:0.01wt%以下、O:0.15wt%以下であることが好ま
しい。これは、部分拡散合金化鋼粉のC、Oの含有量が
これらの範囲を外れると、圧縮性が低下するためであ
る。また、実際に使用する場合、本発明鋼粉と市販のア
トマイズ純鉄粉や還元鉄粉と混合して用いても何ら問題
はない。
する。 (実施例1)表1に示す3種類の未還元の水アトマイズ
したままの鉄粉(以下水アトマイズ鉄粉とも記す)に、
表1に示す種々の粒径の金属Cu粉2wt%を添加、混合
し、得られた混合粉を熱処理炉中で昇温速度50℃/分で
昇温し、H2 雰囲気中、 880℃の条件下、1hr、部分合
金化熱処理を行った。得られた熱処理後の混合粉を解
砕、分級し、合金鋼粉(本発明例、試験No.1〜No.4およ
び比較例、試験No.5)を得た。
たままの鉄粉を、金属Cu粉無添加で上記と同様の条件下
で熱処理し、熱処理後の混合粉を解砕、分級し、鋼粉
(比較例、試験No.6)を得た。一方、表1に示す未還元
の水アトマイズしたままの鉄粉を、H2 雰囲気中、 950
℃の条件下、1hr、脱炭、還元し、さらに得られた鉄粉
に、Cu2O粉を、Cu換算で2wt%添加、混合した後、熱処
理温度を 850℃とした以外は前記した本発明例1と同一
の脱炭、還元条件で部分合金化熱処理を行った(従来
例:2回還元法、試験No.7)。
よび鋼粉について圧縮性を測定、評価し、また合金鋼粉
および鋼粉のC、Oの分析を行った。得られた結果を表
1に示す。なお、圧縮性の測定、評価は、合金鋼粉また
は鋼粉にステアリン酸亜鉛を1wt%混合した後、7t/cm
2 の成形圧で直径が11mm、高さが10mmの成形体を作製
し、その密度を求めることにより行った。
ズのまま鉄粉を還元した場合(比較例、試験No.6)とほ
ぼ同等の圧縮性を有していることが分かる。また、本発
明例の試験No.1〜No.4と比較例の試験No.6とを比較する
と、金属Cu粉の粒径が20μm未満では圧縮性が低下する
ことがわかる。また、本発明によれば、水アトマイズの
まま鉄粉を還元した後、Cu2O粉を添加、混合し、得られ
た混合粉を還元性雰囲気下で熱処理する方法、すなわ
ち、従来の2回還元法、による鋼粉より、優れた圧縮性
を有する鋼粉が得られることが分かった。
平均粒径65μm 、O量0.65wt%、C量0.21wt%の水アト
マイズのままの鉄粉に、平均粒径45μm のアトマイズ銅
粉を2wt%添加混合して、昇温速度、還元時の熱処理温
度を表2に示す各種条件に設定し熱処理を行い、得られ
た合金鋼粉の圧縮性を実施例1と同様の方法で測定、評
価し、また合金鋼粉のC、Oの分析を行った。
に示す。表2に示されるように、本発明例の試験No.8〜
No.12 は、比較例の試験No.13〜No.15 に比較して、高
圧縮性の部分拡散合金化鋼粉となっていることが分か
る。熱処理時の最高温度が820 ℃未満の場合(試験No.1
3 )、1000℃を超えた場合(試験No.14 )、昇温速度が
150 ℃/分を超えた場合(試験No.15 )は、いずれの場
合も合金鋼粉の圧縮性が低下している。
の未還元の水アトマイズしたままの鉄粉に、平均粒径が
35、60、80、100 μm の電解銅粉を各2wt%添加、混合
し、得られた混合粉を熱処理炉中で昇温速度80℃/分で
昇温し、H2 雰囲気中、熱処理温度が880℃の条件下、
1hr、部分合金化熱処理を行い、熱処理後の混合粉を解
砕、分級し、合金鋼粉(本発明例、試験No.16 〜No.19
)を各1ton 製造した。
の電解銅粉を使用した以外は上記本発明例と同様の方法
で合金鋼粉(比較例、試験No.20 )を1ton 製造した。
さらに、比較例として、Cu粉無添加とした以外は上記本
発明例と同様の方法で鋼粉を製造し、得られた鋼粉に平
均粒径が30μm の電解銅粉を単純混合し1tonの鋼粉
(比較例、試験No.21 )を製造した。
に、チューブ式搬送機(型式:TSO5-7AB、日本興産社
製)を用いて25kg/分の速度で搬送し、25kg毎に、搬送
機から合金鋼粉または鋼粉を採取し、得られた試料のCu
の分析値の標準偏差(1σ)によりCuの偏析の程度を評
価し、その結果を表3に示す。
6 〜No.19 )では、σ=0.02〜0.05%であるのに対し、
比較例の試験No.20 の合金鋼粉では、σ=0.15%、比較
例の試験No.21 の単純混合粉の鋼粉では、σ=0.20%で
あり、本発明によれば、銅の偏析が大幅に防止できるこ
とが分かった。 (実施例4)表4に示す平均粒径が75μm の未還元の水
アトマイズしたままの鉄粉に、平均粒径が45μm のアト
マイズ銅粉を5wt%、または10wt%添加、混合し、得ら
れた混合粉を熱処理炉中で昇温速度80℃/分で昇温し、
H2 雰囲気中、熱処理温度が880 ℃の条件下、1hr、部
分合金化熱処理を行い、熱処理後の混合粉を解砕、分級
し、合金鋼粉(本発明例、試験No.22 、No.23 )を各1
ton 製造した。さらに、これら合金鋼粉に、市販の純鉄
粉(川崎製鉄製 KIP 301A )を表4に示す配合量で配合
し、混合して1ton の鉄粉とした。なお、これら鉄粉の
Cu含有量は2wt%と同一である。
に、各々別個に、チューブ式搬送機(型式:TSO5-7AB、
日本興産社製)を用いて25kg/分の速度で搬送し、25kg
毎に、搬送機から鉄粉を採取し、得られた試料のCuの分
析値の標準偏差(1σ)によりCuの偏析の程度を評価
し、その結果を表4に示す。
ではσ=0.02%、本発明例の鉄粉(試験No.23 )ではσ
=0.03%であった。本発明例の鉄粉は、比較例の試験N
o.20の合金鋼粉(σ=0.15%)、比較例の試験No.21 の
単純混合粉の鋼粉(σ=0.20%)に比べ、銅の偏析が大
幅に防止できることが分かった。
析が少ない合金化鋼粉を経済性に優れた方法で製造する
ことが可能となり、その工業的価値は大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 O:0.3 〜0.9wt %、C:0.3wt %未満
を含有する水アトマイズしたままの鉄系粉末に、平均粒
径が20〜100 μm のCuの金属粉を混合し、得られた混合
物を、昇温速度を20〜 150℃/分、熱処理温度を 820〜
1000℃とする還元性雰囲気下の熱処理で、前記鉄系粉末
の表面にCuを部分拡散合金化せしめることを特徴とする
部分拡散合金化鋼粉の製造方法。 - 【請求項2】 前記水アトマイズしたままの鉄系粉末の
平均粒径が50〜100μm である請求項1記載の部分拡散
合金化鋼粉の製造方法。
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